(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095137
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20230629BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20230629BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20230629BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/82
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210850
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】奥出 竜基
【テーマコード(参考)】
4D002
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA03
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA31
4D002DA41
4D002DA45
4D002EA08
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC05
4G146JC30
4G146JC34
4G146JC37
(57)【要約】
【課題】粒状充填材による目詰まりを抑制する技術を提供する。
【解決手段】ガス中に含まれる二酸化炭素を回収可能な二酸化炭素回収装置は、粒状充填材と、反応容器と、少なくとも1つの支持板と、を備える。反応容器は、二酸化炭素を吸収する粒状充填材が内部に充填され、ガスが内部を通過する。少なくとも1つの支持板は、反応容器内に配置され、粒状充填材を支持する。少なくとも1つの支持板は、ガスが通過する複数の通気孔と、少なくとも1つの支持板から突出する複数の凸部と、を有する。複数の凸部は、千鳥状に配列される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中に含まれる二酸化炭素を回収可能な二酸化炭素回収装置であって、
二酸化炭素を吸収する粒状充填材と、
前記粒状充填材が内部に充填され、ガスが内部を通過する反応容器と、
前記反応容器内に配置され、前記粒状充填材を支持する少なくとも1つの支持板と、
を備え、
前記少なくとも1つの支持板は、ガスが通過する複数の通気孔と、前記少なくとも1つの支持板から突出する複数の凸部と、を有し、
前記複数の凸部は、千鳥状に配列される、二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記複数の通気孔は、前記複数の凸部と、前記少なくとも1つの支持板における前記複数の凸部が形成されていない部分である平面部と、に配置される、二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記複数の凸部は、三角形状に並ぶ3つの凸部に前記粒状充填材が支えられた状態で、前記少なくとも1つの支持板における前記複数の凸部が形成されていない部分である平面部と、前記粒状充填材と、の間に隙間を有するような間隔で配置される、二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記少なくとも1つの支持板は、複数の支持板であり、前記反応容器の内部をガスの流れ方向に沿って並ぶ複数の部屋に区分けするように配置され、
前記粒状充填材は、前記複数の部屋のそれぞれに充填される、二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記粒状充填材は、略球状である、二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスが通過する多数のスリット孔が設けられた平らな仕切板によって、ガス中の成分を分離したり反応させたりするために充填筒に充填された粒状充填材を支持する支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した平らな仕切板では、スリット孔上に粒状充填材が乗った場合、粒状充填材によってスリット孔が塞がれやすく、その結果、仕切板における粒状充填材による目詰まりが発生するという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、粒状充填材による目詰まりを抑制する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ガス中に含まれる二酸化炭素を回収可能な二酸化炭素回収装置であって、粒状充填材と、反応容器と、少なくとも1つの支持板と、を備える。粒状充填材は、二酸化炭素を吸収する。反応容器は、粒状充填材が内部に充填され、ガスが内部を通過する。少なくとも1つの支持板は、反応容器内に配置され、粒状充填材を支持する。少なくとも1つの支持板は、複数の通気孔と、複数の凸部と、を有する。複数の通気孔は、ガスが通過する。複数の凸部は、少なくとも1つの支持板から突出し、千鳥状に配列される。
【0007】
このような構成では、複数の凸部によって支持板が立体的な形状を有する。そして、複数の凸部が千鳥状に配列される。このため、粒状充填材が複数の凸部上に留まりやすく、かつ、複数の凸部のうち三角形状に配置された3つの凸部によって、当該3つの凸部に当接するように支持板における粒状充填材が安定する位置が制御されやすい。その結果、支持板が複数の凸部を有しない例えば平らな支持板と比較して、粒状充填材と支持板との間に隙間が生じやすいため、支持板が有する複数の通気孔が塞がりにくくなる。したがって、支持板における粒状充填材による目詰まりを抑制することができる。その結果、粒状充填材のガス接触が向上しやすく、粒状充填材の利用率が低減することを抑制することができる。
【0008】
本開示の一態様では、複数の通気孔は、複数の凸部と、少なくとも1つの支持板における複数の凸部が形成されていない部分である平面部と、に配置されてもよい。このような構成によれば、複数の凸部に形成される通気孔と、平面部に形成される通気孔と、の様々な位置に通気孔が配置されるため、支持板に粒状充填材が支持されている状態においても、様々な位置における通気孔の少なくともいずれかからガスを流れやすくすることができる。
【0009】
本開示の一態様では、複数の凸部は、三角形状に並ぶ3つの凸部に粒状充填材が支えられた状態で、少なくとも1つの支持板における複数の凸部が形成されていない部分である平面部と、粒状充填材と、の間に隙間を有するような間隔で配置されてもよい。このような構成によれば、三角形状に並ぶ3つの凸部に粒状充填材が支えられた状態において、平面部と粒状充填材との間に隙間が形成されるため、少なくとも平面部に形成される通気孔を塞がれにくくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、少なくとも1つの支持板は、複数の支持板であり、反応容器の内部をガスの流れ方向に沿って並ぶ複数の部屋に区分けするように配置されてもよい。粒状充填材は、複数の部屋のそれぞれに充填されてもよい。このような構成によれば、複数の支持板のそれぞれによって粒状充填材が支持されるため、反応容器内に充填される粒状充填材の自重を複数の支持板で分散することができる。
【0011】
本開示の一態様では、粒状充填材は、略球状であってもよい。このような構成では、粒状充填材が略球状であるため、粒状充填材が複数の凸部と当接する際及び粒状充填材同士で当接する際にも、例えば棒状の粒状充填材と比較して、隙間が形成されやすい。したがって、複数の通気孔の粒状充填材による目詰まりを抑制し、粒状充填材による充填密度が高くても通気性を保つという効果が得られやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】二酸化炭素回収装置を模式的に示す図である。
【
図2】粒状充填材が充填されるタンクを模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3Aは支持板を模式的に示す斜視図であり、
図3Bは三角形状に並ぶ3つの凸部の平面部との堺目上の3点を繋いで形成される仮想円の直径よりも通気孔の直径が小さくなるように凸部が配置された場合を模式的に示す上面図である。
【
図4】
図4Aは
図3Aに示す支持板によって粒状充填材が支持された状態を模式的に示す斜視図であり、
図4Bは
図3Bのように配置される凸部の上に粒状充填材が乗った状態を模式的に示す上面図である。
【
図5】
図5Aは
図3Aに示す支持板によって粒状充填材が支持された状態を模式的に示す上面図であり、
図5Bは
図5AのVB-VB線での模式的な断面図であり、
図5Cは
図5AのVC-VC線での模式的な断面図である。
【
図6】三角錐形状の凸部を有する支持板を模式的に示す上面図である。
【
図7】
図6に示す支持板によって粒状充填材が支持された状態を模式的に示す上面図である。
【
図8】凸部の側面に通気孔が配置される構成を模式的に示す図である。
【
図9】隣り合う2つの凸部の間に通気孔が配置される構成を模式的に示す図である。
【
図10】反応容器の中心軸が水平方向に延びるように横向きに配置されるタンクを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す二酸化炭素回収装置100は、例えば発電機などの内燃機関から発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収及び貯留するための装置である。なお、二酸化炭素回収装置100は、燃焼排ガスを発生させる様々な装置に用いられることが可能である。二酸化炭素回収装置100は、燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を吸収する粒状充填材5が充填されるタンク10を複数備える。二酸化炭素を吸収する粒状充填材5は、例えば、アミン等の二酸化炭素と結合する化合物の液体の二酸化炭素吸収材を担持した粒状の固体であってもよいし、活性炭やゼオライト等の二酸化炭素を吸着する材料を粒状に成形した材料であってもよい。
【0014】
二酸化炭素回収装置100では、吸収工程を経て燃焼排ガスから二酸化炭素が回収され、その後、脱離工程を経て吸収した二酸化炭素が脱離され、貯留槽に貯留される。
吸収工程では、
図1における点線A1に示すように、タンク10内に燃焼排ガスGが導入され、燃焼排ガスGを粒状充填材5へ通過させて燃焼排ガスG中の二酸化炭素を吸収させる。二酸化炭素吸収後の処理済み排ガスは、外部へ排気される。
【0015】
脱離工程では、図示しない加熱装置によって粒状充填材5を加熱しつつ、
図1における点線A2に示すように、キャリアガス導出部20からタンク10内に導入される水蒸気等のキャリアガスとポンプ30とによって、粒状充填材5から二酸化炭素を脱離させる。脱離した二酸化炭素は、図示しない貯留槽へ貯留される。なお、脱離工程によってタンク10内の圧が下がるため、脱離工程後には、外部の空気を取り込んでタンク10内の圧が戻され、粒状充填材5が吸収工程においてあるべき温度まで図示しない冷却装置によって冷却される。
【0016】
図2に示すように、タンク10は、反応容器1と、外郭部2と、支持板3と、サブ支持板4と、粒状充填材5と、を備える。
反応容器1は、粒状充填材5が内部に充填される筒状の容器である。本実施形態でいう充填には、反応容器1内いっぱいに粒状充填材5が収容されている状態に加え、反応容器1内に隙間を有するように粒状充填材5が収容され、後述する支持板3の上に粒状充填材5が積み上がった状態も含まれる。反応容器1は、燃焼排ガスGが内部を通過するように、燃焼排ガスGの導入口11及び導出口12を有する。本実施形態では、導入口11及び導出口12は、反応容器1の中心軸Aに沿って配置され、中心軸A方向に直交する断面積が反応容器1よりも小さくなるように設けられる。また、本実施形態では、反応容器1は、中心軸Aが鉛直方向に延びるように縦向きに配置され、導入口11が当該反応容器1の下方に位置し、導出口12が当該反応容器1の上方に位置する。これにより、燃焼排ガスGは、反応容器1を下方から上方に向かって通過する。なお、燃焼排ガスGが、反応容器1を上方から下方に向かって通過する構成であってもよい。
【0017】
外郭部2は、反応容器1の外周の一部を囲うように配置され、反応容器1との間に空間が形成されるように、中心軸A方向における両側端部が反応容器1の外周面に溶着固定される。すなわち、タンク10は、反応容器1と外郭部2とを備える二重管構造を有する。以下の説明では、外郭部2によって覆われている反応容器1の壁を内壁部13という。なお、二重管構造のタンク10においては、反応容器1における外郭部2で覆われた領域に粒状充填材5が配置される。
【0018】
支持板3及びサブ支持板4は、反応容器1内に配置される板状の部材である。本実施形態では、反応容器1内に3つの支持板3及び1つのサブ支持板4が配置される。3つの支持板3及び1つのサブ支持板4は、燃焼排ガスGの流れ方向、すなわち反応容器1の中心軸Aに沿って所定の間隔を空けて、中心軸Aにそれぞれ直交し、互いに平行に並ぶように配置される。換言すると、3つの支持板3及び1つのサブ支持板4は、反応容器1の内部を燃焼排ガスGの流れ方向、すなわち中心軸Aに沿って並ぶ複数の部屋に区分けするように、それぞれ水平方向に延びるように配置される。1つのサブ支持板4は、燃焼排ガスGの流れ方向において最も下流側、本実施形態では、一番上方に配置される。なお、タンク10は、サブ支持板4を備えなくてもよい。
【0019】
支持板3及びサブ支持板4は、平らな平面部31と、平面部31の縁部に設けられる保持部32と、を有する。保持部32は、平面部31よりも厚く形成されている。支持板3及びサブ支持板4は、反応容器1の内壁部13と、外郭部2と、の間に保持部32が配置されることによって、反応容器1に固定される。
【0020】
例えば、タンク10は、複数の部品を有する反応容器1のそれぞれの部品の間に保持部32と平面部31とが一体に形成された支持板3及びサブ支持板4を配置させて組み合わせた状態で溶接固定し、その後保持部32を覆うように反応容器1に外郭部2を溶接固定することで形成されてもよい。また、例えば、平面部と保持部とが別部品であってもよい。その場合、複数の孔が内壁部に形成された反応容器の当該複数の孔にそれぞれ平面部を貫通させた後、平面部の縁部に複数の孔よりも大きい保持部を反応容器の外側から取り付け、その後保持部32を覆うように反応容器1に外郭部2を溶接固定することで、反応容器に支持板及びサブ支持板が固定されてもよい。また、反応容器の内壁部と、支持板及びサブ支持板の平面部及び保持部と、は一体に形成されていてもよい。
【0021】
粒状充填材5は、3つの支持板3のそれぞれに支持されるように、上述した反応容器1内の複数の部屋にそれぞれ充填される。本実施形態でいう粒状充填材5の支持には、支持板3によって粒状充填材5を下から支える状態に加え、例えば、2つの支持板3によって粒状充填材5を挟み込むことによって粒状充填材5を横から支えるような状態も含まれる。本実施形態では、粒状充填材5は、略球状である。
【0022】
図3A~
図5Cに示すように、支持板3は、複数の凸部33と、複数の通気孔34と、を更に有する。なお、サブ支持板4は、複数の通気孔34のみを有する。
複数の凸部33は、支持板3から突出するように設けられている。具体的には、複数の凸部33は、支持板3の上面、すなわち支持板3における燃焼排ガスGの流れ方向に対して下流側に面する面から突出するように設けられる。なお、以下の説明では、支持板3における複数の凸部33が形成されていない部分を平面部31と称する。
【0023】
本実施形態では、複数の凸部33は、半球状の形状を有する。
図5Bに示すように、各凸部33の直径d1は、粒状充填材5の直径d2以下の大きさを有する。
図3A及び
図4Aに示すように、複数の凸部33は、千鳥状に配列される。本開示において千鳥状の配列とは、次のような配置を意味する。すなわち、複数の凸部33は、支持板3の
図3Aの矢印で示すX方向に沿って一直線上に並ぶ凸が形成する凸列を、X方向と交差するY方向に沿って複数有し、当該複数の凸列のうち隣り合う凸列において各凸部33が互い違いに配置される。つまり、複数の凸部33は、所定の方向に沿って並ぶ各凸部33がそれぞれ互い違いに配置される。本実施形態では、千鳥状に配列される複数の凸部33のうちの三角形状に並ぶ3つの凸部33の頂点が、正三角形を形成するように配置される。なお、三角形状に並ぶ3つの凸部33の頂点が、二等辺三角形を形成するように配置されてもよい。
【0024】
図5A~
図5Cに示すように、複数の凸部33は、三角形状に並ぶ3つの凸部33に粒状充填材5が支えられた状態で、平面部31と粒状充填材5との間に
図5Cに示す隙間S1を有するような間隔で配置される。例えば、複数の凸部33は、三角形状に並ぶ3つの凸部33の斜面最下部上、換言すると3つの凸部33の平面部31との堺目上の3点を繋いで形成される
図3Bに示す仮想円Cの直径d3が粒状充填材5の直径d2よりも小さくなるような間隔で配置される。
【0025】
複数の通気孔34は、支持板3及びサブ支持板4に形成され、当該支持板3及び当該サブ支持板4を貫通する円形状の貫通孔である。複数の通気孔34の直径d4は、当該複数の通気孔34から粒状充填材5が抜け落ちないように、粒状充填材5の直径d2以下の大きさを有する。
【0026】
図3A~
図4Bに示すように、支持板3に形成される複数の通気孔34は、複数の凸部33に配置される。本実施形態では、複数の通気孔34は、複数の凸部33の頂点部に配置される。また、支持板3に形成される複数の通気孔34は、支持板3の平面部31にも配置される。本実施形態では、複数の通気孔34は、支持板3の平面部31における、三角形状に並ぶ3つの凸部33の間、具体的には3つの凸部33の頂点部を繋いで形成される仮想三角形の中心に配置される。
【0027】
図5A~
図5Cに示すように、粒状充填材5と平面部31との間に隙間S1を有するように、粒状充填材5の1層目が支持板3に乗る。更にその上に乗る2層目の粒状充填材5は、凸部33と2層目の粒状充填材5との間に
図5Bに示す隙間S2を有するように、三角形状に並ぶ1層目の3つの粒状充填材5に支えられるように支持されやすい。すなわち、本実施形態の支持板3では、粒状充填材5が面心立方格子状に配列されやすい。このため、支持板3に充填密度が高い状態で粒状充填材5が支持されている状態においても、隙間S1及び隙間S2を通じて通気性を高めることができる。これにより、複数の通気孔34を燃焼排ガスGが通過しやすいため、支持板3における粒状充填材5による目詰まりが抑制される。また、複数の通気孔34を通過した燃焼排ガスGが積み上げられた粒状充填材5同士の間も通過しやすいため、粒状充填材5の燃焼排ガスGとの接触が向上しやすく、粒状充填材5の利用率の低減が抑制される。
【0028】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、支持板3の平面部31から突出する複数の凸部33によって支持板3が立体的な形状を有する。そして、複数の凸部33が千鳥状に配列され、複数の凸部33の頂点部と支持板3の平面部31とに複数の通気孔34が配置される。このため、粒状充填材5が複数の凸部33上に乗りやすく、かつ、複数の凸部33のうち三角形状に配置された3つの凸部33によって、当該3つの凸部33の側面に当接するように支持板3における粒状充填材5が乗る位置が制御されやすい。
【0029】
また、複数の凸部33は、三角形状に並ぶ3つの凸部33に粒状充填材5が支えられた状態で、平面部31と粒状充填材5との間に隙間S1を有するような間隔で配置される。これにより、支持板3に乗る1層目の粒状充填材5は、平面部31との間に隙間S1を有するように支持板3に支持され、更にその上に乗る2層目の粒状充填材5は、凸部33との間に隙間S2を有するように支持板3に支持されやすい。
【0030】
このため、支持板3上に粒状充填材5が乗っている状態においても、平面部31に配置される複数の通気孔34から隙間S1を介して燃焼排ガスGが通過しやすく、複数の凸部33に配置される複数の通気孔34から隙間S2を介して燃焼排ガスGが通過しやすい。これにより、支持板3が有する複数の通気孔34が塞がりにくくなるため、支持板3における粒状充填材5による目詰まりを抑制することができる。つまり、支持板3に充填密度が高い状態で粒状充填材5が支持されている状態においても、隙間S1及び隙間S2を通じて通気性を高めることができる。また、複数の通気孔34を通過した燃焼排ガスGが積み上げられた粒状充填材5同士の間も通過しやすいため、粒状充填材5の燃焼排ガスGとの接触が向上しやすく、粒状充填材5の利用率が低減することを抑制することができる。
【0031】
(2b)本実施形態では、縦向きに配置される反応容器1の内部を中心軸Aに沿って並ぶ複数の部屋に区分けするように3つの支持板3が配置される。このため、3つの支持板3のそれぞれによって粒状充填材5を下方から支持できるため、反応容器1内に充填される粒状充填材5の自重を3つの支持板3で分散することができる。これにより、反応容器1内に高い密度で粒状充填材5が充填されている場合にも、下方側の粒状充填材5が自重により割れてしまうことを抑制することができる。
【0032】
(2c)本実施形態では、粒状充填材5が略球状であるため、粒状充填材5が複数の凸部33と当接する際及び粒状充填材5同士で当接する際にも、例えば棒状の粒状充填材と比較して、隙間が形成されやすい。したがって、複数の通気孔34の粒状充填材5による目詰まりを抑制し、粒状充填材5による充填密度が高くても通気性を保つという効果が得られやすい。
【0033】
(2d)本実施形態では、反応容器1における導入口11及び導出口12が、反応容器1の中心軸Aに沿って配置される。このため、導入口11及び導出口12が中心軸Aに沿って配置されない構成と比較して、燃焼排ガスGの流れの偏りを少なくすることができる。また、支持板3を通過する燃焼排ガスGの流れの制御が行いやすくなる。
【0034】
(2e)本実施形態では、タンク10が反応容器1と外郭部2とを備える二重管構造を有するため、外界の熱影響を受けにくくすることができる。また、本実施形態では、反応容器1における外郭部2で覆われた領域に粒状充填材5が配置されるため、タンク10内で行われる吸収工程及び脱離工程のためのタンク10の温度管理が容易になる。
【0035】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0036】
(3a)上記実施形態では、半球状の形状を有する複数の凸部33が支持板3に設けられる構成を例示したが、凸部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、
図6及び
図7に示す支持板3aのように、複数の凸部33aが三角錐形状を有してもよい。複数の凸部33aは、千鳥状に配列される。支持板3aは、平面部31aに配置される複数の通気孔34aを有し、複数の凸部33aのうち3つの凸部33aに囲まれる範囲に複数の通気孔34aが配置される。図示は省略するが、複数の凸部33aの頂点部、又は、三角錐の何れかの側面に複数の通気孔34aが配置されていてもよい。支持板3aの構成の場合も、
図7に示すように、支持板3aと隙間を有するように、三角形状に並ぶ3つの凸部33aに粒状充填材5が支えら、凸部33aと隙間を有するように、三角形状に並ぶ3つの粒状充填材5に更にその上に乗る2層目の粒状充填材5が支えられる。このため、上述した本実施形態の支持板3と同様な効果を得ることができる。
【0037】
(3b)上記実施形態では、複数の凸部33と、支持板3における平面部31と、に複数の通気孔34が配置される構成を例示したが、複数の通気孔の配置はこれに限定されるものではない。例えば、複数の通気孔は、複数の凸部及び支持板における平面部のいずれか一方のみに配置されていてもよい。
【0038】
(3c)上記実施形態では、凸部33に配置される通気孔34が凸部33の頂点部に配置される構成を例示したが、凸部における通気孔の位置はこれに限定されるものではない。例えば、
図8に示す通気孔34bのように、凸部33bの頂点部以外の面、すなわち側面に設けられていてもよい。なお、凸部33bにおいて、凸部33bの頂点部に配置される通気孔34に加え、凸部33bの側面に配置される通気孔34bが配置されていてもよい。また、凸部33bにおいて、凸部33bの側面に配置される通気孔34bのみが配置されていてもよい。また、通気孔は円形状以外の形状であってもよく、例えば、通気孔は四角形状であってもよい。
【0039】
(3d)上記実施形態では、支持板3の平面部31に配置される通気孔34が三角形状に並ぶ3つの凸部33の間に配置される構成を例示したが、平面部における通気孔の位置はこれに限定されるものではない。例えば、
図9に示す通気孔34cのように、隣り合う2つの凸部33cの間に配置されていてもよい。なお、平面部31において、三角形状に並ぶ3つの凸部33の間に配置される通気孔34に加え、隣り合う2つの凸部33cの間に配置される通気孔34cが配置されていてもよい。また、平面部31において、隣り合う2つの凸部33cの間に配置される通気孔34cのみが配置されていてもよい。
【0040】
(3e)上記実施形態では、反応容器1の中心軸Aが鉛直方向に延びるように縦向きに配置される構成を例示したが、反応容器が配置される向きはこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示すタンク10dのように、反応容器1dの中心軸Adが水平方向に延びるように横向きに配置されていてもよい。これにより、燃焼排ガスGは、反応容器1dを左右方向に沿って通過する。このように横向きに配置される反応容器1dでは、当該反応容器1d内に配置される支持板3における燃焼排ガスGの流れ方向に対して下流側に面する面、
図10に示す例では右側面から突出するように複数の凸部33が設けられる。すなわち、上記実施形態では、支持板3によって粒状充填材5を下から支持する構成を例示したが、粒状充填材の支持方法はこれに限定されるものではない。例えば、粒状充填材5は、上述した横向きに配置される反応容器1d内に配置される支持板3によって横から支持されてもよい。
【0041】
(3f)上記実施形態では、導入口11及び導出口12は、反応容器1の中心軸Aに沿って配置される構成を例示したが、反応容器における導入口及び導出口は、反応容器の中心軸Aに沿って配置されていなくてもよい。
【0042】
(3g)上記実施形態では、タンク10が反応容器1と外郭部2とを備える二重管構造を有していたが、タンクは、二重管構造を有していなくてもよい。
(3h)上記実施形態では、3つの支持板3が反応容器1内に配置される構成を例示したが、反応容器1内に配置される支持板の数はこれに限定されるものではない。例えば、支持板は、1つ、2つ又は4つ以上配置されていてもよい。
【0043】
(3i)上記実施形態では、粒状充填材5が略球状の形状であったが、粒状充填材の形状はこれに限定されるものではない。粒状充填材は、様々な形状を有していてもよい。
(3j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0044】
1,1d…反応容器、2…外郭部、3,3a…支持板、4…サブ支持板、5…粒状充填材、10,10d…タンク、11…導入口、12…導出口、13…内壁部、20…キャリアガス導出部、30…ポンプ、31,31a…平面部、32…保持部、33,33a~33c…凸部、34,34a~34c…通気孔、100…二酸化炭素回収装置、A,Ad…中心軸、A1,A2…点線、C…仮想円、G…燃焼排ガス、S1,S2…隙間。