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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095150
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】RFアンプ及びMRI装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230629BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20230629BHJP
   G01R 33/36 20060101ALI20230629BHJP
   H03F 1/32 20060101ALI20230629BHJP
   H03F 3/189 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
A61B5/055 351
G01N24/00 580B
G01R33/36
H03F1/32
H03F3/189
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210876
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山木 裕文
(72)【発明者】
【氏名】村上 満幸
(72)【発明者】
【氏名】林 昂佑
【テーマコード(参考)】
4C096
5J500
【Fターム(参考)】
4C096AA15
4C096AB41
4C096AD10
4C096CC32
4C096CC38
5J500AA01
5J500AA51
5J500AC22
5J500AF12
5J500AF17
5J500AK23
5J500AK68
5J500AT07
5J500ND02
(57)【要約】
【課題】周波数の異なる複数の入力信号に対してゲインリニアリティ補償すること。
【解決手段】実施形態に係るRFアンプは、FB回路と、取得手段と、変更手段とを備える。前記FB回路は、入力されたRF信号に対するゲインリニアリティを補償する。前記取得手段は、前記RF信号の周波数を示す情報を取得する。前記変更手段は、前記周波数を示す情報に基づいて、前記FB回路の制御範囲を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたRF信号に対するゲインリニアリティを補償するFB回路と、
前記RF信号の周波数を示す情報を取得する取得手段と、
前記周波数を示す情報に基づいて、前記FB回路の制御範囲を変更する変更手段と
を具備するRFアンプ。
【請求項2】
前記取得手段は、前記RFアンプに前記RF信号を出力するMRIシステムから前記周波数を示す情報を取得する、請求項1に記載のRFアンプ。
【請求項3】
前記周波数を示す情報は、前記RF信号の周波数の値又は前記RF信号に基づく計測における計測対象の核種を示す情報を含む、請求項1又は請求項2に記載のRFアンプ。
【請求項4】
入力されたRF信号の周波数を検出する周波数検出回路をさらに備え、
前記周波数を示す情報は、前記周波数検出回路により検出されたRF信号の周波数の値である、
請求項1に記載のRFアンプ。
【請求項5】
前記RF信号の周波数は、計測対象の核種に応じて異なる、請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のRFアンプ。
【請求項6】
前記変更手段は、前記RF信号の周波数に応じて前記FB回路に供給する信号レベルを決定し、
前記FB回路は、増幅前の前記RF信号を減衰する第1の電圧可変ATTによる前記RF信号の減衰量を可変するコントロール電圧を、前記変更手段から供給される信号に応じて決定する、
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載のRFアンプ。
【請求項7】
前記変更手段は、
伝送線路で順方向に伝送される増幅後の前記RF信号から取り出された進行波のFWD信号を減衰して前記FB回路に供給する第2の電圧可変ATTと、
増幅前の前記RF信号から分配されたリファレンス信号を減衰して前記FB回路に供給する第3の電圧可変ATTと、
前記第2の電圧可変ATT及び前記第3の電圧可変ATTによる前記RF信号の減衰量を可変するコントロール電圧を、前記RF信号の周波数に応じて決定する電圧変換回路と、
を有する、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載のRFアンプ。
【請求項8】
前記変更手段は、前記RF信号の周波数と、前記第2の電圧可変ATT及び前記第3の電圧可変ATTのコントロール電圧との対応を示すテーブルを参照し、前記第2の電圧可変ATT及び前記第3の電圧可変ATTによる前記RF信号の減衰量を可変するコントロール電圧を決定する、請求項7に記載のRFアンプ。
【請求項9】
前記変更手段は、演算式を用いて前記RF信号の周波数から前記RF信号の周波数に対するゲインを算出するとともに、前記RF信号の周波数に対するゲインと、前記第2の電圧可変ATT及び前記第3の電圧可変ATTのコントロール電圧との対応を示すテーブルを参照し、前記第2の電圧可変ATT及び前記第3の電圧可変ATTによる前記RF信号の減衰量を可変するコントロール電圧を決定する、請求項7に記載のRFアンプ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載のRFアンプと、
前記RFアンプから出力された前記RF信号の供給を受けて高周波磁場を発生するRFコイルと、
静磁場中に配置された被検体に対して前記高周波磁場を照射する撮像により取得された磁気共鳴信号に基づいて画像を再構成する処理回路と
を備えるMRI装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、RFアンプ及びMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、強力な静磁場中に置かれた生体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号で励起し、この励起に伴って被検体内から発生する磁気共鳴信号(MR信号)に基づいて画像データを再構成する磁気共鳴イメージング(MRI)装置がある。MRI装置では、RF(Radio Frequency)アンプにより増幅されたRF信号の供給を受けたRFコイルにより発生された高周波磁場を静磁場中に配置された被検体に対して照射する。
【0003】
RFアンプには、ゲインリニアリティを一定にする目的で出力をフィードバックするFB回路が設けられるが、そのゲイン制御範囲は、FB回路内のLogアンプのダイナミックレンジと、電圧可変ATT(アッテネータ)の可変範囲とにより制限される場合があった。例えば、RFアンプは、一般に、基本周波数に合わせてLogアンプへの入力信号が入力範囲内になるように、出力をフィードバックしてFB回路に入力する信号のレベルダイヤグラムが設計されている。
【0004】
このように、RFアンプでは、多核種のような周波数の異なる入力信号が想定されておらず、基本周波数の他の周波数の信号が入力される場合には、基本周波数の他の周波数の信号に対するゲインリニアリティ補償に対応できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-081161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、周波数の異なる複数の入力信号に対してゲインリニアリティ補償することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るRFアンプは、FB回路と、取得手段と、変更手段とを備える。前記FB回路は、入力されたRF信号に対するゲインリニアリティを補償する。前記取得手段は、前記RF信号の周波数を示す情報を取得する。前記変更手段は、前記周波数を示す情報に基づいて、前記FB回路の制御範囲を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るRF(Radio Frequency)アンプの構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る周波数を示す情報と電圧可変ATT(アッテネータ)のコントロール電圧との対応を示すルックアップテーブルの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るRFアンプにおいて実行される増幅処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係るLogアンプの入力範囲の制限について説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係るRFアンプとは異なり、FB制御範囲基準可変回路を搭載しないRFアンプにおけるゲインリニアリティについて説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係るRFアンプにおけるゲインリニアリティについて説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る周波数を示す情報と電圧可変ATTのコントロール電圧との対応を示すルックアップテーブルの別の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るRFアンプの構成の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るRF(Radio Frequency)アンプ及び磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係るMRI装置10の構成の一例を示す図である。MRI装置10は、静磁場中に配置された被検体Pに対して高周波磁場を照射する撮像により取得された磁気共鳴信号に基づいて画像を再構成する装置である。MRI装置10は、図1に示すように、磁石架台111及び寝台121を備える。磁石架台111は、静磁場磁石112、傾斜磁場コイルユニット115及びRFコイル116を備える。なお、図1は、磁石架台111の内部構成については、縦断面図にて例示する。なお、MRI装置10に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例であり、例えば、シーケンス制御回路135及びコンソール141の一部又は全部は、適宜統合して構成されてもよいし、適宜分離して構成されてもよい。例えば、MRI装置10は、MR撮影室に設置される。
【0011】
傾斜磁場コイルユニット115には、メインコイル113及びシールドコイル114が含まれている。また、MRI装置10は、傾斜磁場電源131、送信回路132、受信回路133、寝台制御回路134、シーケンス制御回路135及びコンソール141を備える。
【0012】
静磁場磁石112は、概略円筒形状を有し、被検体Pの撮像領域を含むボア(静磁場磁石112の円筒内部の空間)内に静磁場を発生する。静磁場磁石112は超伝導磁石でもよいし、永久磁石でもよい。
【0013】
傾斜磁場コイルユニット115は、概略円筒形状を有し、静磁場磁石112の内側に防振ゴム等の支持構造により保持されている。傾斜磁場コイルユニット115は、傾斜磁場電源131から供給される電流により互いに直交する方向に傾斜磁場を印加(発生)するメインコイル113と、メインコイル113の漏洩磁場をキャンセルするシールドコイル114とを有する。
【0014】
寝台121は、被検体Pが載置される天板122を備え、寝台制御回路134による制御の下、天板122を、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイルユニット115の空洞(撮像口)内へ挿入する。寝台制御回路134は、コンソール141による制御の下、寝台121を駆動して天板122を長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
RFコイル116は、傾斜磁場コイルユニット115の内側に配置され、送信回路132からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路133へ出力する。なお、RFコイル116は、送信コイルと受信コイルとに分かれて構成されるものでもよい。
【0016】
送信回路132は、シーケンス制御回路135の制御により、ラーモア周波数(磁気共鳴周波数とも称される)に変調された高周波パルスをRFコイル116に供給する。本実施形態では、ラーモア周波数(磁気共鳴周波数とも称される)に変調された高周波パルスを、RFパルス、あるいはRF信号と記載する場合もある。磁気共鳴周波数は、磁気共鳴対象の原子に応じた磁気回転比と静磁場の磁束密度とに応じてあらかじめ設定される。つまり、RF信号の周波数は、当該RF信号に基づく計測における計測対象の核種に応じて異なる。静磁場の磁束密度が1.5Tである場合、磁気共鳴周波数は、およそ64MHzである。また、静磁場の磁束密度が3Tである場合、磁気共鳴周波数は、およそ128MHzである。例えば、送信回路132は、発振部や位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、RF(Radio Frequency)アンプ50などを有する。
【0017】
発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。発振部は、水晶振動子を用いた発振回路と倍周器などとを用いた水晶発振器に相当する。すなわち、水晶発振器は、水晶振動子の発振周波数を倍周器で整数倍した振動(システムクロック)を源振として構成された発振器である。なお、発振回路は、水晶振動子を用いることに限定されず、他の振動子が用いられてもよい。また、発振部は、処理回路142に設けられてもよいし、コンソール141に搭載されてもよい。このとき、発振部は、MRI装置10の制御全体に関する源振となる。
【0018】
位相選択部は、発振部によって発生したRFパルスの位相を選択する。
【0019】
周波数変換部は、位相選択部から出力されたRFパルスの周波数を変換する。
【0020】
振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。
【0021】
RFアンプ50は、振幅変調部から出力された磁気共鳴周波数を有するRFパルスを増幅して、図示しないデュプレクサを介して、RFコイル116に供給する。例えば、RFアンプ50は、RFパルスを10数kW~数10kWに増幅する。ここで、送信回路132からRFコイル116に供給される高周波パルスであるRFパルスは、RF信号の一例である。
【0022】
受信回路133は、RFコイル116から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出された磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路133は、RFコイル116で受信された磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路133は、生成された磁気共鳴データをシーケンス制御回路135へ送信する。
【0023】
シーケンス制御回路135は、コンソール141から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動することによって、パルスシーケンスを実行し、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源131がメインコイル113に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路132がRFコイル116に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路133が磁気共鳴信号を検出するタイミング等がパルスシーケンスとして定義される。例えば、シーケンス制御回路135は、プロセッサにより実現される。
【0024】
なお、シーケンス情報には、計測対象の核種やRFコイル116に供給するRFパルス(入力信号)の周波数が含まれていてもよい。
【0025】
さらに、シーケンス制御回路135は、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路133から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データをコンソール141へ転送する。
【0026】
また、送信回路132、受信回路133及び寝台制御回路134等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0027】
コンソール141は、MRI装置10を制御するコンピュータである。コンソール141は、MRI装置10の全体制御や、画像の生成等を行う。コンソール141は、処理回路142、記憶回路143、入力インタフェース144、ディスプレイ145及び通信回路146を備える。
【0028】
処理回路142は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路142は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、MRI装置10の有する各機能を実行する。処理回路142は、MRI装置10の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、処理回路142は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、処理回路142は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路135へ送信する。また、処理回路142は、シーケンス制御回路135から磁気共鳴データを受信し、受信した磁気共鳴データを記憶回路143に格納する。また、処理回路142は、k空間データを記憶回路143から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。つまり、処理回路142は、静磁場中に配置された被検体Pに対して高周波磁場を照射する撮像により取得された磁気共鳴信号に基づいて画像を再構成する。
【0029】
記憶回路143は、処理回路142で使用される各種の情報を記憶する。具体的には、記憶回路143は、処理回路142によって受信された磁気共鳴データや、処理回路142によってk空間に配置されたk空間データ、処理回路142によって生成された画像データ等を記憶する。また、記憶回路143は、処理回路142により実行される各種のプログラムや各種の設定情報を記憶する。具体的には、記憶回路143は、撮像範囲の位置決めを支援するプログラム、磁気共鳴データの信号処理に係るプログラム等を記憶する。例えば、記憶回路143は、RAMやROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等で実現される。
【0030】
入力インタフェース144は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路142に出力する。例えば、入力インタフェース144は、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。また、コンソール141とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路142へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース144の例に含まれる。
【0031】
ディスプレイ145は、処理回路142による制御の下、撮像条件の設定や調整に係る入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路142によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ145としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ145として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0032】
なお、ディスプレイ145は、如何なる場所に設けられてもよい。例えば、ディスプレイ145は、撮影室や操作室等に設けられてもよい。また、ディスプレイ145は、磁石架台111に設けられてもよい。また、ディスプレイ145は、デスクトップ型でもよいし、コンソール141の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ145として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。
【0033】
通信回路146は、ネットワークを介して情報処理装置30等の外部装置と通信を行う。通信回路146は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等の通信インタフェースである。
【0034】
図2は、実施形態に係るRF(Radio Frequency)アンプ50の構成の一例を示す図である。図2においては、MRI装置10のうちのRFアンプ50の他の要素を、MRIシステム30として示す。図2は、RFアンプ50として、第1のRFアンプ50aを例示する。
【0035】
第1のRFアンプ50aは、図2に示すように、分配回路51、第1の電圧可変ATT(アッテネータ)52、増幅回路53、方向性結合器54、FB(フィードバック)制御範囲基準可変回路55及びFB回路56を有する。
【0036】
分配回路51の入力端は、送信回路132の振幅変調部の出力端に電気的に接続される。分配回路51の出力端は、第1の電圧可変ATT52及び第3の電圧可変ATT553の各入力端に電気的に接続される。分配回路51は、送信回路132の振幅変調部からの磁気共鳴周波数を有するRFパルスを、第1の電圧可変ATT52及び第3の電圧可変ATT553の各入力端に分配して出力する。以下、分配回路51から第3の電圧可変ATT553の入力端に分配して出力される信号を、リファレンス信号と記載する。
【0037】
第1の電圧可変ATT52の出力端は、増幅回路53の入力端に電気的に接続される。第1の電圧可変ATT52の制御端は、FB回路56のアンプ563の出力端に電気的に接続される。第1の電圧可変ATT52は、アンプ563からのコントロール電圧に応じた減衰量で、分配回路51からのRF信号を減衰する。より具体的には、第1の電圧可変ATT52は、方向性結合器54を介して第2の電圧可変ATT552の入力端に入力される、出力をモニタしているFWD信号を周波数に対応したレベルに可変する。
【0038】
増幅回路53の出力端は、方向性結合器54の入力端(入力ポート)に電気的に接続される。増幅回路53は、予め定められたゲイン(増幅率)で第1の電圧可変ATT52からのRF信号を増幅し、増幅されたRF信号を方向性結合器54に供給する。
【0039】
方向性結合器54の出力端(出力ポート)は、RFコイル116の入力端に電気的に接続される。方向性結合器54の出力端(結合ポート)は、第2の電圧可変ATT552の入力端に電気的に接続される。方向性結合器54は、増幅回路53で所定の増幅率で増幅されたRF信号をRFコイル116の入力端に供給する。また、方向性結合器54は、伝送線路で順方向に伝送される信号から進行波のFWD信号を取り出して第2の電圧可変ATT552の入力端に供給する。
【0040】
FB制御範囲基準可変回路55は、RFアンプ50に入力されたRF信号の周波数を示す情報に基づいて、FB回路56の電圧制御範囲を変更するように構成された回路である。FB制御範囲基準可変回路55は、図2に示すように、周波数vsGAIN電圧変換回路551、第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553を有する。
【0041】
周波数vsGAIN電圧変換回路551の入力端は、MRIシステム30の例えばシーケンス制御回路135又はコンソール141に接続される。周波数vsGAIN電圧変換回路551の出力端は、第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553の各制御端に電気的に接続される。ここで、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、電圧変換回路の一例である。本実施形態に係る周波数vsGAIN電圧変換回路551は、プロセッサ及びメモリを有する。
【0042】
周波数vsGAIN電圧変換回路551は、RFアンプ50に入力されるRF信号の周波数を示す情報をMRIシステム30から取得する。RF信号の周波数を示す情報は、RF信号の周波数の値であってもよいし、計測対象の核種を示す情報であってもよい。ここで、RFアンプ50に入力されるRF信号の周波数を示す情報を取得するFB制御範囲基準可変回路55は、取得手段の一例である。
【0043】
一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、メモリに展開された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、RFアンプ50に入力されるRF信号の周波数を示す情報をMRIシステム30から取得する。
【0044】
別の一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、RFアンプ50に入力されるRF信号の周波数を示す情報をMRIシステム30から取得するように構成された回路構成を有する。
【0045】
なお、周波数vsGAIN電圧変換回路551によるRF信号の周波数を示す情報の取得は、情報を要求するプッシュを行うなど能動的な取得であってもよいし、MRIシステム30から情報が流し込まれるなど受動的な取得であってもよい。
【0046】
周波数vsGAIN電圧変換回路551は、RFアンプ50に入力されるRF信号(入力信号)の周波数に応じたコントロール電圧を決定し、第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553の各制御端に供給する。
【0047】
一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、メモリに展開された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、メモリに格納された周波数とコントロール電圧との関係が予め登録されたルックアップテーブルを参照し、入力されるRF信号の周波数に応じたコントロール電圧を決定する。
【0048】
別の一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、上記のルックアップテーブルが示す周波数とコントロール電圧との対応と同様に、周波数の入力に応じたコントロール電圧を出力するように構成された回路構成を有する。
【0049】
周波数とコントロール電圧との対応は、例えば、RFアンプ50の「周波数vsゲイン」の特性データから求めることができる。RFアンプ50の「周波数vsゲイン」の特性データは、例えば、予めネットワークアナライザで測定可能である。
【0050】
図3は、実施形態に係る周波数を示す情報とコントロール電圧との対応を示すルックアップテーブルの一例を示す図である。図3に示すように、ルックアップテーブルは、入力信号の周波数と、入力信号の増幅回路53によるゲインと、入力信号の基準周波数の入力信号に対するゲイン差と、コントロール電圧との対応を示す。
【0051】
各周波数は、互いに値が異なる、例えばMRI装置10で撮影に使用され得る核種ごとの周波数である。一例として、f1~f4は、それぞれ、H、F19、P31及びC13の核種に対応する周波数である。なお、これらの核種は一例であり、f1~f4は、他の核種に対応する周波数であってもよい。
【0052】
なお、ルックアップテーブルに登録される周波数の数は、3以下又は5以上の複数であってもよい。
【0053】
なお、図3のルックアップテーブルに登録される項目としては、少なくとも入力信号の周波数と、コントロール電圧との項目が含まれていればよく、ゲイン及びゲイン差の項目は含まれていなくてもよい。
【0054】
なお、FB制御範囲基準可変回路55は、入力されたRF信号のゲインや、入力されたRF信号と基準周波数のRF信号とのゲイン差をRFアンプ50に入力されるRF信号の周波数を示す情報として取得してもよい。つまり、FB制御範囲基準可変回路55は、ゲイン又はゲイン差に応じたコントロール電圧を第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553の各制御端に供給するように構成されていてもよい。この場合、ルックアップテーブルは、少なくともゲイン又はゲイン差とコントロール電圧との対応が予め登録されていてもよい。あるいは、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、ゲイン又はゲイン差の入力に応じたコントロール電圧を出力するように構成された回路構成を有していてもよい。
【0055】
第2の電圧可変ATT552は、周波数vsGAIN電圧変換回路551からのコントロール電圧に応じた減衰量で、方向性結合器54からのFWD信号を減衰する。換言すれば、第2の電圧可変ATT552は、方向性結合器54からのFWD信号を入力信号の周波数に応じたレベルに変更する。
【0056】
第3の電圧可変ATT553は、周波数vsGAIN電圧変換回路551からのコントロール電圧に応じた減衰量で、分配回路51からのリファレンス信号を減衰する。換言すれば、第3の電圧可変ATT553は、分配回路51からのリファレンス信号を入力信号の周波数に応じたレベルに変更する。
【0057】
このように、FB制御範囲基準可変回路55において、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、MRIシステム30からの周波数を示す情報に基づいて第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553のコントロール電圧を決定する。また、第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553は、周波数vsGAIN電圧変換回路551からのコントロール電圧に応じて、FB回路56へ入力されるリファレンス信号及びFWD信号を、入力信号の周波数に対応したレベルに可変する。
【0058】
ここで、FB回路56へ入力されるリファレンス信号及びFWD信号は、FB回路56の制御範囲基準を変更することにより、FB回路56の制御範囲を変更する信号である。つまり、FB制御範囲基準可変回路55は、周波数を示す情報に基づいてFB回路56の制御範囲を変更する。ここで、周波数を示す情報に基づいてFB回路56の制御範囲を変更するFB制御範囲基準可変回路55は、変更手段の一例である。
【0059】
FB回路56は、RFアンプ50の出力をフィードバックし、ゲインリニアリティを補償する。具体的には、FB回路56は、FB制御範囲基準可変回路55により変更された、核種ごとの各周波数に応じた制御範囲基準で第1の電圧可変ATT52の制御端にコントロール電圧を供給するように構成される。FB回路56は、図2に示すように、第1のLogアンプ561、第2のLogアンプ562及びアンプ563を有する。
【0060】
第1のLogアンプ561の入力端は、第2の電圧可変ATT552の出力端に電気的に接続される。第1のLogアンプ561は、第2の電圧可変ATT552からのFWD信号の対数値を出力する。
【0061】
第2のLogアンプ562の入力端は、第3の電圧可変ATT553の出力端に電気的に接続される。第2のLogアンプ562は、第3の電圧可変ATT553からのリファレンス信号の対数値を出力する。
【0062】
アンプ563の一対の入力端は、それぞれ、第1のLogアンプ561及び第2のLogアンプ562の各出力端に電気的に接続される。アンプ563の出力端は、第1の電圧可変ATT52の制御端に電気的に接続される。アンプ563は、FWD信号及びリファレンス信号の各対数値の差に応じたコントロール電圧を出力するように構成される。換言すれば、アンプ563は、RFアンプ50による増幅前後の信号に基づいて決定されたコントロール電圧を第1の電圧可変ATT52の制御端に供給する。
【0063】
ここで、実施形態に係る処理の流れについて説明する。図4は、実施形態に係る第1のRFアンプ50aにおいて実行される増幅処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4の流れは、少なくとも本スキャンに先立って行われる。図4の流れは、プリスキャンにおいて行われてもよい。図4の流れは、シーケンス情報が得られる状態、すなわち撮影プロトコルが決定された状態など、スキャンに使用される核種が決定された状態で行われる。
【0064】
まず、FB制御範囲基準可変回路55は、MRIシステム30から周波数を示す情報を受信する(S101)。なお、FB制御範囲基準可変回路55は、周波数の値そのものに限らず、スキャンに使用される核種を示す情報や撮影プロトコルを示す情報などを、周波数を示す情報として取得してもよい。
【0065】
FB制御範囲基準可変回路55は、MRIシステム30からの周波数を示す情報に基づき、周波数を決定する(S102)。なお、S101の処理で周波数の値そのものを受信する場合には、本ステップの処理は不要である。
【0066】
FB制御範囲基準可変回路55は、周波数とコントロール電圧との関係に基づいて、第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553のコントロール電圧を決定する(S103)。
【0067】
FB制御範囲基準可変回路55は、周波数に応じたコントロール電圧で第2の電圧可変ATT552及び第3の電圧可変ATT553の減衰量を決定する(S104)。
【0068】
S101~S104の処理において入力信号の周波数に応じてFB回路56の制御範囲基準が変更された後、RFアンプ50へRF信号が入力される(S105)。
【0069】
RFアンプ50では、入力されたRF信号が増幅回路53により増幅されるとともに、FB回路56によるFB制御、すなわちゲインリニアリティ補償が、周波数に対応したレベルに減衰された、入力に応じた分配回路51からのリファレンス信号と、出力をモニタしているFWD信号とに基づいて行われる(S106)。そして、FB制御の下で増幅されたRF信号がRFアンプ50から出力される(S107)。
【0070】
ここで、RFアンプ50には、ゲインリニアリティを一定にする目的で出力をフィードバックするFB回路56が設けられるが、そのゲイン制御範囲は、Logアンプ561,562のダイナミックレンジと、第1の電圧可変ATT52の可変範囲とにより制限される場合があった。
【0071】
図5は、実施形態に係るLogアンプ561,562の入力範囲の制限について説明するための図である。図5のグラフにおいて、縦軸及び横軸は、それぞれ、Logアンプ561,562の出力[V]及び入力されるRF信号の大きさ[dBm]を示す。
【0072】
図5の左側に示すように、RFアンプ50は、一般に、基本周波数f1に合わせてLogアンプ561,562への入力信号が入力範囲内になるように、リファレンス信号とFWD信号とのレベルダイヤグラムが設計されている。
【0073】
このような中、スキャンに使用される核種が変更されたり、多核種であったりするなど、周波数f1の他の周波数f2の信号が入力される場合もあり得る。しかしながら、周波数f1の他の周波数f2の信号が入力されると、図5の右側に示すように、領域R1のように可変範囲が広くなり、増幅回路53のゲインが小さくなるため、領域R2のように、Logアンプ561,562へ入力されるFWD信号が入力範囲外となる場合があった。また、RFアンプ50の増幅回路53や方向性結合器54には周波数特性があり、入力信号の周波数によりゲインが変化する。
【0074】
図6は、実施形態に係るRFアンプ50とは異なり、FB制御範囲基準可変回路55を搭載しないRFアンプにおけるゲインリニアリティについて説明するための図である。図6のグラフにおいて、縦軸及び横軸は、それぞれ、増幅回路53によるゲイン[dB]及び入力されるRF信号の大きさ[dBm]を示す。図6の左側は、FB制御を行っていない場合の周波数f1,f2,f3の入力信号に対する増幅回路のゲインリニアリティを模式的に例示する。図6の右側は、FB制御範囲基準可変回路55を搭載しないRFアンプによる、周波数f1,f2,f3の入力信号に対するゲインリニアリティを模式的に例示する。
【0075】
FB回路56は、一般に、使用周波数(図6では周波数f1)に対して±500kHz程度の制御範囲しかない。このため、FB制御範囲基準可変回路55を搭載しないRFアンプにおいては、図6の右側に示すように、周波数f1の他の周波数f2の信号については、リニアリティを一定にできないという問題があった。換言すれば、従来、RFアンプにおいては、多核種のような周波数の異なる入力信号が想定されておらず、周波数の異なる複数の入力信号に対するゲインリニアリティ補償に対応できないという問題があった。
【0076】
このような中、本実施形態に係るRFアンプ50は、FB制御範囲基準可変回路55を搭載する。図7は、実施形態に係るRFアンプ50におけるゲインリニアリティについて説明するための図である。図7のグラフにおいて、縦軸及び横軸は、それぞれ、増幅回路53によるゲイン[dB]及び入力されるRF信号の大きさ[dBm]を示す。図7の左側は、FB制御を行っていない場合の周波数f1,f2,f3の入力信号に対する増幅回路のゲインリニアリティを模式的に例示する。図7の右側は、FB制御範囲基準可変回路55を搭載する実施形態に係るRFアンプ50による、周波数f1,f2,f3の入力信号に対するゲインリニアリティを模式的に例示する。
【0077】
FB制御範囲基準可変回路55は、上述したように、入力されたRF信号の周波数を示す情報に基づいてFB回路56のゲイン制御範囲基準を可変するように構成されている。このため、実施形態に係るRFアンプ50によれば、図7に示すように、他核種の周波数に対応したゲインリニアリティ補償を提供することができる。
【0078】
つまり、実施形態に係るRFアンプ50は、入力信号の周波数に応じてFB回路56の制御範囲を可変するため、従来よりも広帯域な入力信号に対してゲインリニアリティを一定にする効果を得ることができる。これにより、MRI装置10において多核種を使用したスキャンを実施する場合であっても、RFアンプ50のゲインリニアリティを適切に補償することができる。換言すれば、実施形態に係るRFアンプ50によれば、周波数の異なる複数の入力信号に対してゲインリニアリティ補償することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
なお、上述の実施形態に係るRFアンプ50において、演算式を用いて、周波数を示す情報から電圧可変ATTのコントロール電圧が決定されてもよい。この場合、周波数vsGAIN電圧変換回路551のメモリには、RFアンプ50の「周波数vsゲイン」の特性データから予め定められた、以下のゲインカーブを近似する近似式を格納する。
【0080】
入力信号の周波数fに対するゲインGの演算式は、RFアンプ50によりそれぞれ定まる定数A,B,C,Dと、RFアンプ50の「周波数vsゲイン」の特性データから規定される定数fcとを用いて、以下のように表される。
【0081】
f<fcのとき、
G=A*f+B
f≧fcのとき、
G=C*f+D
【0082】
また、基本周波数f1のゲインG1と、入力信号の周波数fに対するゲインGとの差ΔGの演算式は、以下のように表される。
【0083】
ΔG=G-G1
【0084】
周波数vsGAIN電圧変換回路551は、上記の演算式を用いて入力信号の周波数に対するゲインと、当該ゲインと基本周波数のゲインとの差とを演算式によりそれぞれ算出する。また、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、演算式により算出されたゲイン差に応じたコントロール電圧を決定する。
【0085】
一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、メモリに展開された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、メモリに格納されたゲイン差とコントロール電圧との関係が予め登録されたルックアップテーブルを参照し、入力されるRF信号の周波数に応じたコントロール電圧を決定する。
【0086】
図8は、実施形態に係る周波数を示す情報と電圧可変ATTのコントロール電圧との対応を示すルックアップテーブルの別の一例を示す図である。図8に示すように、ルックアップテーブルは、入力信号の周波数と、入力信号の基準周波数の入力信号に対するゲイン差と、コントロール電圧との対応を示す。
【0087】
なお、図8のルックアップテーブルに登録される項目としては、少なくともゲイン差と、コントロール電圧との項目が含まれていればよく、周波数の項目は含まれていなくてもよい。
【0088】
別の一例として、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、上記のルックアップテーブルが示すゲイン差とコントロール電圧との対応と同様に、ゲイン差の入力に応じたコントロール電圧を出力するように構成された回路構成を有する。
【0089】
このように、本実施形態に係るRFアンプ50において、FB制御範囲基準可変回路55は、MRIシステム30からの入力信号の周波数から演算式を用いてゲイン及びゲイン差を算出し、ゲイン差に応じたコントロール電圧を決定するように構成されている。この構成であっても、FB制御範囲基準可変回路55は、周波数を示す情報に基づいて入力信号の周波数に応じてFB回路56の制御範囲を可変することができるため、上述の各実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
(第3の実施形態)
なお、上述の各実施形態では、MRIシステム30から周波数を示す情報を取得する第1のRFアンプ50aを例に実施形態に係るRFアンプ50を説明したが、これに限らない。RFアンプ50は、入力信号の周波数を検出可能に構成されていてもよい。
【0091】
図9は、実施形態に係るRFアンプ50の構成の別の一例を示す図である。図9は、RFアンプ50として、第2のRFアンプ50bを例示する。図9では、図2とは異なり、MRIシステム30は図示していない。
【0092】
第2のRFアンプ50bは、周波数検出回路57をさらに有すること以外は、図2の第1のRFアンプ50aと同様である。具体的には、周波数検出回路57は、分配回路51の前段に設けられる。具体的には、周波数検出回路57は、送信回路132の振幅変調部の出力端と、分配回路51の入力端との間に挿入される。周波数検出回路57の検出周波数の出力端は、周波数vsGAIN電圧変換回路551の入力端に電気的に接続される。
【0093】
ここで、第2のRFアンプ50bにおいて実行される増幅処理について説明する。ここでは、図4の第1のRFアンプ50aにおいて実行される増幅処理の流れとの相違点を主として説明する。
【0094】
本実施形態に係る増幅処理のS101の処理では、MRIシステム30から入力信号の周波数を示す情報を取得することに代えて、第2のRFアンプ50bへRF信号が入力される。また、周波数検出回路57は、入力されたRF信号から周波数を検出し、検出された周波数を周波数vsGAIN電圧変換回路551に供給する。周波数vsGAIN電圧変換回路551は、周波数検出回路57からの検出された周波数を、入力信号の周波数を示す情報として取得する。
【0095】
本実施形態に係る増幅処理では、周波数検出モードとして、上記S101の処理と、第1の実施形態に係る増幅処理のS102~S104と同様の処理とが行われる。
【0096】
本実施形態に係る増幅処理では、周波数検出モードの後、通常シーケンス(S105~S107)が実行される。
【0097】
このように、本実施形態に係るRFアンプ50は、入力されたRF信号の周波数を検出する周波数検出回路57をさらに有する。この構成によれば、入力されたRF信号に基づき入力信号の周波数を示す情報が取得可能であるため、当該情報をMRIシステム30から取得する必要がない。このため、MRIシステム30からシーケンス情報を得られない環境であっても、FB制御範囲基準可変回路55は、入力信号の周波数に応じてFB回路56の制御範囲を可変することができるため、上述の各実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
なお、上述の各実施形態に係るRFアンプ50において、周波数vsGAIN電圧変換回路551は、シーケンス制御回路135やコンソール141の処理回路142により実現されても構わない。
【0099】
なお、上述の各実施形態に係るRFアンプ50において、周波数を示す情報から電圧可変ATTのコントロール電圧を決定する構成を例示したが、これに限らない。上述の各実施形態に係るRFアンプ50は、周波数を示す情報から使用する電圧可変ATTのコントロール電圧を切り替える構成とすることもできる。
【0100】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0101】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、周波数の異なる複数の入力信号に対してゲインリニアリティ補償することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
10 MRI装置
132 送信回路
133 受信回路
135 シーケンス制御回路
141 コンソール
142 処理回路
30 MRIシステム
50 RFアンプ
51 分配回路
52 第1の電圧可変ATT
53 増幅回路
54 方向性結合器
55 FB制御範囲基準可変回路
551 周波数vsGAIN電圧変換回路
552 第2の電圧可変ATT
553 第3の電圧可変ATT
56 FB回路
561 第1のLogアンプ
562 第2のLogアンプ
563 アンプ
57 周波数検出回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9