(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095170
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置及びSSW方法
(51)【国際特許分類】
G11B 21/10 20060101AFI20230629BHJP
G11B 5/56 20060101ALI20230629BHJP
G11B 5/596 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G11B21/10 W
G11B5/56 R
G11B5/56 T
G11B5/596
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210904
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆浩
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性を向上可能な磁気ディスク装置及びセルフサーボライト(SSW)方法を提供する。
【解決手段】磁気ディスク装置1は、第1面と第1面と異なる第2面とを有するディスク10と、第1面に対するデータのリード及びライトを行う第1ヘッドと、第2面に対するデータのリード及びライトを行う第2ヘッドと、第1ヘッドと記第2ヘッドとの間のずれに相当するシリンダオフセット量に応じて第1ヘッド及び第2ヘッドの少なくともの一方のスパイラルサーボパターンをライトするスパイラル速度を調整するシステムコントローラ130を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と異なる第2面とを有するディスクと、
前記第1面に対するデータのリード及びライトを行う第1ヘッドと、
前記第2面に対するデータのリード及びライトを行う第2ヘッドと、
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとの間のずれに相当するシリンダオフセット量に応じて前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの少なくともの一方のスパイラルサーボパターンをライトするスパイラル速度を調整する、コントローラと、を備える磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記シリンダオフセット量を測定し、測定した前記シリンダオフセット量を記録領域に記録する、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ディスクを半径方向に区分したゾーン毎に前記シリンダオフセット量を測定し、ゾーン毎に前記シリンダオフセット量に応じて前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの少なくとも一方の前記スパイラル速度を調整する、請求項1又は2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、スパイラルサーボパターンをライトする際の基準となる基準スパイラル速度の前記第1ヘッドで前記第1面に基準となる基準スパイラルサーボパターンをライトし、前記第1ヘッド15を前記基準スパイラルサーボパターンにロックし、前記基準スパイラル速度を調整した調整スパイラル速度の前記第2ヘッドで前記第2面にスパイラルサーボパターンをライトする、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記調整スパイラル速度は、前記基準スパイラル速度よりも0.03%乃至0.06%減少している、請求項4に記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとの間の複数のずれの平均値として前記シリンダオフセット量を算出する、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
複数の面をそれぞれ有する複数のディスクと、
前記複数の面にそれぞれ対向する複数のヘッドと、
等速時の異なる複数のスパイラル速度の前記複数のヘッドで前記複数の面にそれぞれ複数のスパイラルサーボパターンをライトする、コントローラと、磁気ディスク装置。
【請求項8】
第1面と前記第1面と異なる第2面とを有するディスクと、前記第1面に対するデータのリード及びライトを行う第1ヘッドと、前記第2面に対するデータのリード及びライトを行う第2ヘッドと、を備える磁気ディスク装置に適用されるSSW方法であって、
前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとの間のずれに相当するシリンダオフセット量に応じて前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの少なくともの一方のスパイラルサーボパターンをライトするスパイラル速度を調整する、SSW方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置及びSSW方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置は、スパイラルサーボパターンをライトするブランクディスクライティング(BDW)の工程において、全くデータ及びパターンがライトされていないディスクの1つの面(以下、基準面と称する場合もある)にこの基準面に対応するヘッド(以下、基準ヘッドと称する場合もある)により複数のスパイラルサーボパターン(以下、基準スパイラルサーボパターンと称する場合もある)をライトする。磁気ディスク装置1は、基準スパイラルサーボパターンに基づいて、基準面に基準ヘッドにより最終的な製品で使用される複数のサーボパターン(以下、製品サーボパターンと称する場合もある)をライトする。磁気ディスク装置は、セルフサーボライト(SSW)の工程において、基準面に基準ヘッドでライトした基準スパイラルサーボパターンに基づいて基準面と異なる面(以下、他の面と称する場合もある)に基準ヘッドと異なるヘッド(以下、他のヘッドと称する場合もある)により複数のスパイラルサーボパターン(以下、コピースパイラルサーボパターンと称する場合もある)をライト又はコピーする。基準ヘッドと他のヘッドとを同じディスクの半径位置、例えば、シリンダに位置決めする場合、構造的な誤差等に起因して基準ヘッドと他のヘッドとは同じ半径位置、例えば、シリンダに配置されない可能性がある。言い換えると、基準ヘッドと他のヘッドとは、ディスクを挟んで対向せずに、このディスクの半径方向にずれる可能性がある。この基準ヘッドと他のヘッドとのずれ若しくは誤差(以下、シリンダオフセットと称する場合もある)に起因して、基準スパイラルサーボパターンとコピースパイラルサーボパターンとの間にずれが発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0358621号明細書
【特許文献2】米国特許第8743504号明細書
【特許文献3】米国特許第8786978号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、信頼性を向上可能な磁気ディスク装置及びSSW方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る磁気ディスク装置は、第1面と前記第1面と異なる第2面とを有するディスクと、前記第1面に対するデータのリード及びライトを行う第1ヘッドと、前記第2面に対するデータのリード及びライトを行う第2ヘッドと、前記第1ヘッドと前記第2ヘッドとの間のずれに相当するシリンダオフセット量に応じて前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの少なくともの一方のスパイラルサーボパターンをライトするスパイラル速度を調整する、コントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るディスクに対するヘッドの配置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る複数のディスク及び複数のヘッドの構成例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るサーボパターンの一例を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るヘッドアンプICの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、基準ヘッドとスパイラルコピーヘッドとの対応関係の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、基準スパイラルサーボパターンの一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、コピースパイラルサーボパターンの一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、半径位置に対するグレイコード番号の変化の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る基準ヘッドと比較した半径位置に対するシリンダオフセット量の変化の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る所定のヘッドと比較した半径位置に対するシリンダオフセット量の変化の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るSSW処理の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、変形例1に係るSSW処理の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は、一例であって、発明の範囲を限定するものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置1の構成を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、後述するヘッドディスクアセンブリ(HDA)と、ドライバIC20と、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC、又はプリアンプ)30と、揮発性メモリ70と、不揮発性メモリ80と、バッファメモリ(バッファ)90と、1チップの集積回路であるシステムコントローラ130とを備える。また、磁気ディスク装置1は、ホストシステム(以下、単に、ホストと称する)100と接続される。
【0008】
HDAは、磁気ディスク(以下、ディスクと称する)10と、スピンドルモータ(以下、SPMと称する)12と、ヘッド15を搭載しているアーム13と、ボイスコイルモータ(以下、VCMと称する)14とを有する。ディスク10は、SPM12に取り付けられ、SPM12の駆動により回転する。アーム13及びVCM14は、アクチュエータを構成している。アクチュエータは、VCM14の駆動により、アーム13に搭載されているヘッド15をディスク10の所定の位置まで移動制御する。ディスク10及びヘッド15は、それぞれ、複数個設けられている。なお、ディスク10及びヘッド15は、それぞれ、1つのみ設けられていてもよい。
【0009】
ディスク10は、そのデータをライト可能な領域に、ユーザから利用可能なユーザデータ領域10aと、システム管理に必要な情報をライトするシステムエリア10bとが割り当てられている。なお、ディスク10には、ユーザデータ領域10a及びシステムエリア10bとは別の領域として、ホスト100等から転送されたデータ(又はコマンド)をユーザデータ領域10aの所定の領域にライトする前に一時的に保存又は記録するメディアキャッシュ(メディアキャッシュ領域と称する場合もある)が割り当てられていてもよい。以下、ディスク10の内周から外周へ向かう方向、又はディスク10の外周から内周へ向かう方向を半径方向と称する。半径方向において、内周から外周へ向かう方向を外方向(外側)と称し、外周から内周へ向かう方向を内方向(内側)と称する。ディスク10の半径方向に交差、例えば、直交する方向を円周方向と称する。円周方向は、ディスク10の円周に沿った方向に相当する。また、ディスク10の半径方向の所定の位置を半径位置と称し、ディスク10の円周方向の所定の位置を円周位置と称する場合もある。半径位置及び円周位置をまとめて単に位置と称する場合もある。ディスク10は、半径方向の所定の範囲毎に複数の領域(以下、ゾーン、又はゾーン領域と称する場合もある)に区分される。ゾーンには、複数のトラックを含む。トラックは、複数のセクタを含む。なお、“トラック”は、“ディスク10を半径方向に所定の範囲毎に区分した複数の領域の内の1つの領域”、“ディスク10を半径方向に所定の範囲毎に区分した複数の領域の内の1つの領域にライトされたデータ”、“ディスク10の所定の半径位置で円周方向に延出する領域”、“ディスク10の所定の半径位置で円周方向に延出する領域にライトされたデータ”、“ディスク10の所定の半径位置の1周分の領域”、“ディスク10の所定の半径位置の1周分の領域にライトされた1周分のデータ”、“ディスク10の所定の半径位置に位置決めしてライトするヘッド15の経路”、“ディスク10の所定の半径位置に位置決めしたヘッド15でライトしたデータ”、“ディスク10の所定のトラックにライトされたデータ”や、その他の種々の意味で用いる。“セクタ”は、“ディスク10の所定のトラックを円周方向で区分した複数の領域の内の1つの領域”、“ディスク10の所定のトラックを円周方向で区分した複数の領域の内の1つの領域にライトしたデータ”、“ディスク10の所定の半径位置における所定の円周位置の領域”、“ディスク10の所定の半径位置における所定の円周位置の領域にライトされたデータ”、“ディスク10の所定のセクタにライトされたデータ”や、その他の種々の意味で用いる。“トラックの半径方向の幅”を“トラック幅”と称する場合もある。トラック幅の中心位置をトラックセンタと称する場合もある。トラックセンタを単にトラックと称する場合もある。
【0010】
ヘッド15は、ディスク10に対向している。例えば、ディスク10の1つの面には、1つのヘッド15が対向している。ヘッド15は、スライダを本体として、当該スライダに実装されているライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとを備える。ライトヘッド15Wは、ディスク10にデータをライトする。リードヘッド15Rは、ディスク10にライトされたデータをリードする。なお、“ライトヘッド15W”を単に“ヘッド15”と称する場合もあるし、“リードヘッド15R”を単に“ヘッド15”と称する場合もあるし、“ライトヘッド15W及びリードヘッド15R”をまとめて“ヘッド15”と称する場合もある。“ヘッド15の中心部”を“ヘッド15”と称し、“ライトヘッド15Wの中心部”を“ライトヘッド15W”と称し、“リードヘッド15Rの中心部”を“リードヘッド15R”と称する場合もある。“ライトヘッド15Wの中心部”を単に“ヘッド15”と称する場合もあるし、“リードヘッド15Rの中心部”を単に“ヘッド15”と称する場合もある。“ヘッド15の中心部を所定のトラックのトラックセンタに位置決めする”ことを“ヘッド15を所定のトラックに位置決めする”、“ヘッド15を所定のトラックに配置する”、又は“ヘッド15を所定のトラックに位置する”等で表現する場合もある。
【0011】
図2は、本実施形態に係るディスク10に対するヘッド15の配置の一例を示す模式図である。
図2では、ディスク10の最内周IMCと最外周OMCとを示している。
図2に示すように、円周方向において、ディスク10の回転する方向を回転方向と称する。なお、
図2に示した例では、回転方向は、反時計回りで示しているが、逆向き(時計回り)であってもよい。高さ方向Zは、SPM12のスピンドルSPの延長する方向に平行な方向である。言い換えると、高さ方向Zは、複数のディスク10を積み重ねる方向である。また、高さ方向Zは、磁気ディスク装置1の底壁から底壁に対向するカバーに向かう方向に相当する。高さ方向Zにおいて、ディスク10―nからディスク10―mに向かう方向を上側(あるいは、単に上)と称し、ディスク10―mからディスク10―nに向かう方向を下側(あるいは、単に下)と称する場合もある。また、高さ方向Zを示す矢印の先端側の磁気ディスク装置1を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、ディスク10の面に向かって観ることを平面視と称する場合もある。
【0012】
図2に示した例では、SPM12は、スピンドルSPを有している。スピンドルSPは、高さ方向Zに延出している。スピンドルSPは、中心軸SPCを中心に回転し得る。
ディスク10は、複数のディスク10を含む。
図2に示した例では、ディスク10は、ディスク10-m、10-n、…を含む。ここで、m≧0であり、n>m(n≧0)である。なお、ディスク10は、3枚以上のディスクを含んでいてもよいし、1枚のディスクのみを含んでいてもよい。ディスク10は、スピンドルSPに取り付けられている。ディスク10は、面10S(10S(2m)、10S(2m+1)、10S(2n)、10S(2n+1)、…)を有する。面10S(10S(2m)、10S(2m+1)、10S(2n)、10S(2n+1)、…)は、高さ方向Zに対して垂直方向に広がる平面に平行に広がっている。なお、面10S(10S(2m)、10S(2m+1)、10S(2n)、10S(2n+1)、…)は、高さ方向Zに対して垂直方向に広がる平面に対して傾いた平面に平行に広がっていてもよい。ディスク10-mは、表面10S(2m)と表面10S(2m)の反対側の裏面10S(2m+1)とを有する。表面10S(2m)は、高さ方向Zにおいて、上向きの面である。裏面10S(2m+1)は、高さ方向Zにおいて、下向きの面である。裏面10S(2m+1)は、表面10S(2m)の下側に位置している。ディスク10-nは、表面10S(2n)と表面10S(2n)の反対側の裏面10S(2n+1)とを有する。表面10S(2n)は、高さ方向Zにおいて、上向きの面である。裏面10S(2n+1)は、高さ方向Zにおいて、下向きの面である。裏面10S(2n+1)は、表面10S(2n)の下側に位置している。ディスク10―nは、高さ方向Zにおいて、ディスク10―mの下側に設けられている。言い換えると、ディスク10―nは、高さ方向Zにおいて、ディスク10-mの下側に位置している。平面視した場合、ディスク10―m及び10-nは、重なる。表面10S(2m)は、ユーザデータ領域10a(2m)と、システムエリア10b(2m)とを有する。裏面10S(2m+1)は、ユーザデータ領域10a(2m+1)と、システムエリア10b(2m+1)とを有する。表面10S(2n)は、ユーザデータ領域10a(2n)と、システムエリア10b(2n)とを有する。裏面10S(2n+1)は、ユーザデータ領域10a(2n+1)と、システムエリア10b(2n+1)とを有する。
【0013】
ヘッド15は、複数のヘッド15を含む。
図2に示した例では、ヘッド15は、ヘッド15-2mと、ヘッド15-(2m+1)と、ヘッド15-2n、ヘッド15-(2n+1)と、…を含む。なお、ヘッド15は、5つ以上のヘッド15を含んでいてもよいし、3つ以下のヘッド15を含んでいてもよい。
図2に示した例では、複数のヘッド15は、同じアクチュエータに設けられている。なお、複数のヘッド15は、同じアクチュエータに設けられていなくてもよい。ヘッド15は、面10Sに対向している。複数のヘッド15は、それぞれ、複数のディスク10の面10Sに対向している。
図2に示した例では、ヘッド15-2mは、表面10S(2m)に対向している。ヘッド15-2mは、表面10S(2m)にデータをライトし、表面10S(2m)からデータをリードする。ヘッド15-(2m+1)は、裏面10S(2m+1)に対向している。ヘッド15-(2m+1)は、裏面10S(2m+1)にデータをライトし、裏面10S(2m+1)からデータをリードする。ヘッド15-2nは、表面10S(2n)に対向している。ヘッド15-2nは、表面10S(2n)にデータをライトし、表面10S(2n)からデータをリードする。ヘッド15-(2n+1)は、裏面10S(2n+1)に対向している。ヘッド15-(2n+1)は、裏面10S(2n+1)にデータをライトし、裏面10S(2n+1)からデータをリードする。
【0014】
図3は、本実施形態に係る複数のディスク10及び複数のヘッド15の構成例を模式的に示す断面図である。
図3は、
図2に対応している。
【0015】
図3に示した例では、ヘッド15―2mとヘッド15―(2m+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向において、互いに誤差CyOmでずれている。言い換えると、ヘッド15―2mとヘッド15―(2m+1)とは、所定のシリンダに位置決めした場合に誤差CyOmで半径方向にずれている。つまり、ヘッド15-2mとヘッド15―2(m+1)とは、ディスク10―mを挟んで、対向していない。
【0016】
ヘッド15―2mとヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向に置いて、互いにずれている。言い換えると、ヘッド15―2mとヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、所定のシリンダに位置決めした場合に、半径方向にずれている。つまり、ヘッド15―2mとヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、複数のディスク10を間に挟んで、対向していない。
【0017】
また、ヘッド15―(2m+1)とヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向に置いて、互いにずれている。言い換えると、ヘッド15―(2m+1)とヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、所定のシリンダに位置決めした場合に、半径方向にずれている。つまり、ヘッド15-(2m+1)とヘッド15―2n及びヘッド15-(2n+1)とは、複数のディスク10を間に挟んで、対向していない。
【0018】
図3に示した例では、ヘッド15-2nとヘッド15-(2n+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向において、互いに誤差CyOnでずれている。言い換えると、ヘッド15―2nとヘッド15―(2n+1)とは、所定のシリンダに位置決めする場合に誤差CyOmで半径方向にずれている。つまり、ヘッド15-2mとヘッド15―2(m+1)とは、ディスク10―mを挟んで、対向していない。
【0019】
ヘッド15―2nとヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向に置いて、互いにずれている。言い換えると、ヘッド15―2nとヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、所定のシリンダに位置決めした場合に、半径方向にずれている。つまり、ヘッド15―2nとヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、複数のディスク10を間に挟んで、対向していない。
【0020】
また、ヘッド15―(2n+1)とヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、所定の半径位置に位置決めした際に、半径方向に置いて、互いにずれている。言い換えると、ヘッド15―(2n+1)とヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、所定のシリンダに位置決めした場合に、半径方向にずれている。つまり、ヘッド15-(2n+1)とヘッド15―2m及びヘッド15-(2m+1)とは、複数のディスク10を間に挟んで、対向していない。
【0021】
図3に示すように、複数のヘッド15を同じ半径位置、例えば、同じシリンダ(トラック)に位置決めしてライトした複数のデータ、例えば、複数のトラック若しくは複数のセクタの内の2つのデータ、例えば、2つのトラック若しくは2つのセクタの半径方向の相対的なずれ若しくは誤差をシリンダオフセット若しくはシリンダオフセット量と称する場合もある。また、複数のヘッド15を同じ半径位置に位置決めした場合の複数のヘッド15の内の2つのヘッドの間の半径方向の相対的なずれ若しくは誤差をシリンダオフセット若しくはシリンダオフセット量と称する場合もある。
【0022】
図4は、本実施形態に係るサーボパターンの一例を模式的に示す平面図である。
図4には、所定のスキュー角で傾いて位置決めしたヘッド15におけるライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとの半径方向へのずれ量(以下、リード/ライト(R/W)オフセット量と称する場合もある)OFrwを示している。
【0023】
ディスク10の面10Sは、最終的な製品で使用される複数のサーボパターン(以下、製品サーボパターンと称する場合もある)若しくは複数のサーボ領域(以下、製品サーボ領域と称する場合もある)PSVと、複数の製品サーボパターンと異なる複数のスパイラルサーボパターン(複数のコースガイドスパイラル(CGS)サーボパターン、複数のファイナルスパイラル(FS)サーボパターン、複数のファインガイドスパイラル(FGS)サーボパターン、及び複数のファイナルスパイラル(FS)サーボパターン)BSVと、を有している。
【0024】
図4において、複数のスパイラルサーボパターンBSVは、便宜上、ディスク10の面10S上でスパイラル状に延長している。なお、複数のスパイラルサーボパターンBSVは、ディスク10の面10S上で並行に延長しているように記載しているが、実際には並行に延長していなくてもよい。複数のスパイラルサーボパターンBSVは、ディスク10の円周方向に所定の間隔を空けて離散的に配置されている。以下、“所定のトラックにおけるスパイラルサーボパターンBSV”を“スパイラルサーボセクタ”と称する場合もある。なお、“スパイラルサーボパターンBSV”を“スパイラルサーボセクタ”と称する場合もある。“スパイラルサーボセクタ”を“スパイラルサーボパターン”と称する場合もある。“スパイラルサーボセクタ”は、対応する“サーボデータ”を含んでいる。なお、“スパイラルサーボセクタにライトされたスパイラルサーボデータ”を“スパイラルサーボセクタ”又は“スパイラルサーボパターン”と称する場合もある。また、“サーボデータ”を“サーボセクタ”又は“サーボパターン”と称する場合もある。
【0025】
図4において、複数の製品サーボパターンPSVは、便宜上、半径方向に直線状に延長している。なお、複数の製品サーボパターンPSVは、半径方向において内側から外側に直線状に延出しているように記載されているが、曲がっていてもよい。例えば、製品サーボパターンPSVは、ディスク10の面10S上でスパイラル状に延長していてもよい。複数の製品サーボパターンPSVは、ディスク10の半径方向に放射状に延出して、ディスク10の円周方向に所定の間隔を空けて離散的に配置されている。以下、“所定のトラックにおける製品サーボパターンPSV”を“製品サーボセクタ”と称する場合もある。なお、“製品サーボパターンPSV”を“製品サーボセクタ”と称する場合もある。“製品サーボセクタ”を“製品サーボパターン”と称する場合もある。“製品サーボセクタ”は、“サーボデータ”を含んでいる。なお、“製品サーボセクタにライトされた製品サーボデータ”を“製品サーボセクタ”と称する場合もある。また、“製品サーボセクタ以外のユーザデータ領域10aにライトされている製品サーボデータ以外のデータ”を“ユーザデータ”と称する場合もある。
【0026】
サーボセクタ(又はサーボデータ)は、例えば、プリアンブル(Preamble)、サーボマーク(Servo Mark)、グレイコード(Gray Code)、PAD、バーストデータ、及びポストコード(Post Code)を含んでいる。なお、サーボセクタ(又はサーボデータ)は、ポストコードを含まなくてもよい。サーボセクタ(又はサーボデータ)は、プリアンブル、サーボマーク、グレイコード、PAD、バーストデータ、及びポストコードの内の少なくとも1つのデータを含むように構成されていてもよい。また、サーボセクタ(又はサーボデータ)は、プリアンブル、サーボマーク、グレイコード、PAD、バーストデータ、及びポストコード以外のデータで構成されていてもよい。サーボセクタにおいて、プリアンブル、サーボマーク、グレイコード、PAD、バーストデータ、及びポストコードは、これらの順番で、円周方向の前から後に連続して配置されている。プリアンブルは、サーボマーク及びグレイコードなどで構成されるサーボパターンの再生信号に同期するためのプリアンブル情報を含む。サーボマークは、サーボパターンの開始を示すサーボマーク情報を含む。グレイコードは、所定のトラックのアドレス(シリンダアドレス)と、所定のトラックのサーボセクタのアドレスとから構成される。バーストデータは、所定のトラックのトラックセンタに対するヘッド15の半径方向及び/又は円周方向の位置ずれ(位置誤差)を検出するために使用されるデータ(相対位置データ)であり、所定の周期の繰り返しパターンから構成される。PADは、ギャップ及びサーボAGCなどの同期信号のPAD情報を含む。バーストデータは、ディスク10の半径方向に1サーボトラック周期でバーストデータの位相が180°反転するデータパターンでライトされている。サーボトラック(サーボシリンダ)とは、ホスト100等からのコマンドによりライト処理又はリード処理の対象とするトラックに相当する。バーストデータは、例えば、ディスク10におけるヘッド15の半径方向及び/又は円周方向の位置(以下、ヘッド位置と称する場合もある)を取得するために使用される。バーストデータは、例えば、Nバースト(N Burst)及びQバースト(Q Burst)を含む。NバーストとQバーストとは、互いにディスク10の半径方向に位相が90°ずれるデータパターンでライトされている。ポストコードは、サーボデータをディスクにライトをしたときのディスク10の回転に同期したブレ(繰り返しランナウト:RRO)によって生じるディスク10と同心円状に配置されたヘッド15の目標とする経路(以下、目標経路と称する場合もある)、例えば、トラックセンタに対するトラックの歪みに起因する誤差を補正するためのデータ(以下、RRO補正データと称する場合もある)等を含む。以下、説明の便宜上、RROによって生じる目標経路に対するトラックの歪みに起因する誤差を単にRROと称する場合もある。
【0027】
ドライバIC20は、システムコントローラ130(詳細には後述するMPU60)、SPM12、及びVCM14に接続され、システムコントローラ130(詳細には、後述するMPU60)の制御に従って、SPM12及びVCM14の駆動を制御する。
【0028】
ヘッドアンプIC30は、1つのヘッドアンプIC30を含んでいてもよいし、複数のヘッドアンプIC30を含んでいてもよい。ヘッドアンプIC(プリアンプ)30は、図示しないリードアンプ、及びライトドライバを備えている。リードアンプは、ディスク10からリードしたリード信号を増幅して、システムコントローラ130(詳細には、後述するリード/ライト(R/W)チャネル40)に出力する。ライトドライバは、R/Wチャネル40から出力される信号に応じたライト電流をヘッド15に出力する。ヘッドアンプIC30は、ヘッド15等に電気的に接続されている。
【0029】
図5は、本実施形態に係るヘッドアンプIC30の一例を示す模式図である。
図5において、ヘッドアンプIC30は、ヘッドアンプIC301及び302を有している。
図5では、ディスク10は、ディスク10-(m―2)、10-(m-1)、10-m、10-(m+1)、10-(m+2)、10-(n-2)、10-(n-1)、10-n、10-(n+1)、及び10-(n+2)、…を含む。なお、ディスク10は、11枚以上のディスク10を含んでいてもよいし、9枚以下のディスク10を含んでいてもよい。ディスク10-(m-2)は、表面10S(2m-4)と表面10S(2m-4)の反対側の裏面10S(2m-3)とを有する。裏面10S(2m-3)は、表面10S(2m-4)の下側に位置している。ディスク10-(m-1)は、表面10S(2m-2)と表面10S(2m-2)の反対側の裏面10S(2m-1)とを有する。裏面10S(2m-1)は、表面10S(2m-2)の下側に位置している。ディスク10-mは、表面10S(2m)と表面10S(2m)の反対側の裏面10S(2m+1)とを有する。裏面10S(2m+1)は、表面10S(2m)の下側に位置している。ディスク10-(m+1)は、表面10S(2m+2)と表面10S(2m+2)の反対側の裏面10S(2m+3)とを有する。裏面10S(2m+3)は、表面10S(2m+2)の下側に位置している。ディスク10-(m+2)は、表面10S(2m+4)を有する。表面10S(2m+4)は、上向きの面である。ディスク10-(n-2)は、表面10S(2n-4)と表面10S(2n-4)の反対側の裏面10S(2n-3)とを有する。裏面10S(2n-3)は、表面10S(2n-4)の下側に位置している。ディスク10-(n-1)は、表面10S(2n-2)と表面10S(2n-2)の反対側の裏面10S(2n-1)とを有する。裏面10S(2n-1)は、表面10S(2n-2)の下側に位置している。ディスク10-nは、表面10S(2n)と表面10S(2n)の反対側の裏面10S(2n+1)とを有する。裏面10S(2n+1)は、表面10S(2n)の下側に位置している。ディスク10-(n+1)は、表面10S(2n+2)と表面10S(2n+2)の反対側の裏面10S(2n+3)とを有する。裏面10S(2n+3)は、表面10S(2n+2)の下側に位置している。ディスク10-(n+2)は、表面10S(2n+4)を有する。表面10S(2n+4)は、上向きの面である。
【0030】
図5では、ヘッド15は、ヘッド15-(2m-4)、15-(2m-3)、15-(2m-2)、15-(2m-1)、15-(2m)、15-(2m+1)、15-(2m+2)、15-(2m+3)、15-(2m+4)、15-(2n-4)、15-(2n-3)、15-(2n-2)、15-(2n-1)、15-(2n)、15-(2n+1)、15-(2n+2)、15-(2n+3)、及び15-(2n+4)、…を含む。なお、ヘッド15は、11つ以上のヘッド15を含んでいてもよいし、9つ以下のヘッド15を含んでいてもよい。
図5では、複数のヘッド15(15―(2m-4)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n+4))は、同じアクチュエータに設けられている。なお、複数のヘッド15(15―(2m-4)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n+4))は、同じアクチュエータに設けられていなくてもよい。
図5に示した例では、ヘッド15-(2m-4)は、表面10S(2m-4)に対向している。ヘッド15-(2m-4)は、表面10S(2m-4)にデータをライトし、表面10S(2m-4)からデータをリードする。ヘッド15-(2m-3)は、表面10S(2m-3)に対向している。ヘッド15-(2m-3)は、表面10S(2m-3)にデータをライトし、表面10S(2m-3)からデータをリードする。ヘッド15-(2m-2)は、表面10S(2m-2)に対向している。ヘッド15-(2m-2)は、表面10S(2m-2)にデータをライトし、表面10S(2m-2)からデータをリードする。ヘッド15-(2m-1)は、表面10S(2m-1)に対向している。ヘッド15-(2m-1)は、表面10S(2m-1)にデータをライトし、表面10S(2m-1)からデータをリードする。ヘッド15-(2m)は、表面10S(2m)に対向している。ヘッド15-(2m)は、表面10S(2m)にデータをライトし、表面10S(2m)からデータをリードする。ヘッド15-(2m+1)は、表面10S(2m+1)に対向している。ヘッド15-(2m+1)は、表面10S(2m+1)にデータをライトし、表面10S(2m+1)からデータをリードする。ヘッド15-(2m+2)は、表面10S(2m+2)に対向している。ヘッド15-(2m+2)は、表面10S(2m+2)にデータをライトし、表面10S(2m+2)からデータをリードする。ヘッド15-(2m+3)は、表面10S(2m+3)に対向している。ヘッド15-(2m+3)は、表面10S(2m+3)にデータをライトし、表面10S(2m+3)からデータをリードする。ヘッド15-(2m+4)は、表面10S(2m+4)に対向している。ヘッド15-(2m+4)は、表面10S(2m+4)にデータをライトし、表面10S(2m+4)からデータをリードする。ヘッド15-(2n-4)は、表面10S(2n-4)に対向している。ヘッド15-(2n-4)は、表面10S(2n-4)にデータをライトし、表面10S(2n-4)からデータをリードする。ヘッド15-(2n-3)は、表面10S(2n-3)に対向している。ヘッド15-(2n-3)は、表面10S(2n-3)にデータをライトし、表面10S(2n-3)からデータをリードする。ヘッド15-(2n-2)は、表面10S(2n-2)に対向している。ヘッド15-(2n-2)は、表面10S(2n-2)にデータをライトし、表面10S(2n-2)からデータをリードする。ヘッド15-(2n-1)は、表面10S(2n-1)に対向している。ヘッド15-(2n-1)は、表面10S(2n-1)にデータをライトし、表面10S(2n-1)からデータをリードする。ヘッド15-(2n)は、表面10S(2n)に対向している。ヘッド15-(2n)は、表面10S(2n)にデータをライトし、表面10S(2n)からデータをリードする。ヘッド15-(2n+1)は、表面10S(2n+1)に対向している。ヘッド15-(2n+1)は、表面10S(2n+1)にデータをライトし、表面10S(2n+1)からデータをリードする。ヘッド15-(2n+2)は、表面10S(2n+2)に対向している。ヘッド15-(2n+2)は、表面10S(2n+2)にデータをライトし、表面10S(2n+2)からデータをリードする。ヘッド15-(2n+3)は、表面10S(2m+3)に対向している。ヘッド15-(2n+3)は、表面10S(2n+3)にデータをライトし、表面10S(2n+3)からデータをリードする。ヘッド15-(2n+4)は、表面10S(2n+4)に対向している。ヘッド15-(2n+4)は、表面10S(2n+4)にデータをライトし、表面10S(2n+4)からデータをリードする。
【0031】
図5に示した例では、ヘッドアンプIC301は、ヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m+4)に電気的に接続されている。ヘッドアンプIC301は、R/Wチャネル40及びHDC50に電気的に接続されている。
【0032】
図5に示した例では、ヘッドアンプIC302は、ヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n+4)に電気的に接続されている。ヘッドアンプIC302は、R/Wチャネル40及びHDC50に電気的に接続されている。
【0033】
揮発性メモリ70は、電力供給が断たれると保存しているデータが失われる半導体メモリである。揮発性メモリ70は、磁気ディスク装置1の各部での処理に必要なデータ等を格納する。揮発性メモリ70は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。なお、揮発性メモリ70は、後述するシステムコントローラ130に含まれていてもよい。
【0034】
不揮発性メモリ80は、電力供給が断たれても保存しているデータを記録する半導体メモリである。不揮発性メモリ80は、例えば、NOR型またはNAND型のフラッシュROM(Flash Read Only Memory :FROM)である。なお、不揮発性メモリ80は、後述するシステムコントローラ130に含まれていてもよい。
【0035】
バッファメモリ90は、磁気ディスク装置1とホスト100との間で送受信されるデータ等を一時的に記録する半導体メモリである。なお、バッファメモリ90は、揮発性メモリ70と一体に構成されていてもよい。バッファメモリ90は、例えば、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM、FeRAM(Ferroelectric Random Access memory)、又はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等である。なお、バッファメモリ90は、後述するシステムコントローラ130に含まれていてもよい。
【0036】
システムコントローラ(コントローラ)130は、例えば、複数の素子が単一チップに集積されたSystem-on-a-Chip(SoC)と称される大規模集積回路(LSI)を用いて実現される。システムコントローラ130は、リード/ライト(R/W)チャネル40と、ハードディスクコントローラ(HDC)50と、マイクロプロセッサ(MPU)60と、を含む。R/Wチャネル40、HDC50、及びMPU60は、それぞれ、互いに電気的に接続されている。システムコントローラ130は、例えば、ドライバIC20、ヘッドアンプIC60、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、バッファメモリ90、及びホストシステム100等に電気的に接続されている。
【0037】
R/Wチャネル40は、後述するMPU60からの指示に応じて、ディスク10からホスト100に転送されるデータ、例えば、リードデータとホスト100から転送されるデータ、例えば、ライトデータとの信号処理を実行する。R/Wチャネル40は、例えば、ヘッドアンプIC30、HDC50、及びMPU60等に電気的に接続されている。R/Wチャネル40は、ライトデータを変調する回路、又は機能を有している。また、R/Wチャネル40は、リードデータの信号品質を測定する回路若しくは機能及びリードデータをデコードする回路若しくは機能を有している。R/Wチャネル40は、ヘッドアンプIC30等に電気的に接続されている。
【0038】
HDC50は、後述するMPU60からの指示に応じて、ホスト100とR/Wチャネル40との間のデータ転送を制御する。HDC50は、例えば、ヘッドアンプIC30、R/Wチャネル40、MPU60、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に電気的に接続されている。
【0039】
MPU60は、磁気ディスク装置1の各部を制御するメインコントローラである。MPU60は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15の位置決めを行うサーボ制御を実行する。MPU60は、ディスク10へのデータのライト動作を制御すると共に、ホスト100から転送されるデータ、例えば、ライトデータの保存先を選択する。MPU60は、ディスク10からのデータのリード動作を制御すると共に、ディスク10からホスト100に転送されるデータ、例えば、リードデータの処理を制御する。また、MPU60は、データを記録する領域を管理する。MPU60は、磁気ディスク装置1の各部に接続されている。MPU60は、例えば、ドライバIC20、R/Wチャネル40、及びHDC50等に電気的に接続されている。
【0040】
MPU60は、リード/ライト制御部610と、サーボパターン制御部620と、シリンダオフセット量測定部630と、スパイラルコピー制御部640と、位置決め制御部650とを備えている。MPU60は、これら各部、例えば、リード/ライト制御部610、サーボパターン制御部620、シリンダオフセット量測定部630、スパイラルコピー制御部640、及び位置決め制御部650等の処理をファームウェア上で実行する。なお、MPU60は、これら各部、例えば、リード/ライト制御部610、サーボパターン制御部620、シリンダオフセット量測定部630、スパイラルコピー制御部640、及び位置決め制御部650等を回路として備えていてもよい。
【0041】
リード/ライト制御部610は、ホスト100からのコマンド等に従って、データのリード処理及びライト処理を制御する。リード/ライト制御部610は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15をディスク10上の所定の半径位置に配置し、リード処理又はライト処理を実行する。以下、“ライト処理”及び“リード処理”をまとめて“アクセス”又は“アクセス処理”という用語で表現する場合もある。
【0042】
サーボパターン制御部620は、ディスク10にサーボパターンをライトする。サーボパターン制御部620は、ディスク10にスパイラルサーボパターンBSVと、製品サーボパターンPSVとをライトする。
【0043】
サーボパターン制御部620は、ディスク10にスパイラルサーボパターンBSVをライトする。サーボパターン制御部620は、全くデータ及びパターンがライトされていない(以下、ブランク状態と称する場合もある)ディスク10にスパイラルサーボパターンBSVを順番にライトするブランクディスクライティング(BDW)(又はブランクディスクサーボライト)の工程(以下、BDW工程と称する場合もある)において、ディスク10にスパイラルサーボパターンBSVをライトする。サーボパターン制御部620は、BDW工程において、ブランク状態のディスク10ではデータ若しくはパターン等をリードできないためリード処理(又はオントラック)を実行せずに、ブランク状態のディスク10の1周に1回の基準のクロックに相当するディスク10の位置(以下、クロック基準位置と称する場合もある)を開始地点として、VCM14から生じる逆起電圧に基づくディスク10に対するヘッド15の速度情報(以下、逆起速度情報と称する場合もある)に応じてヘッド15を等速制御してディスク10にスパイラルサーボパターンBSVを半径方向の内方向、例えば、最内周IMCから外方向、例えば、最外周OMCに向かってライトする。なお、サーボパターン制御部620は、BDW工程において、ブランク状態のディスク10のクロック基準位置を開始地点として、逆起速度情報に応じてヘッド15を等速制御してディスク10にスパイラルサーボパターンBSVを半径方向の外方向、例えば、最外周OMCから内方向、例えば、最内周IMCに向かってライトしてもよい。サーボパターン制御部620は、ブランク状態のディスク10の開始地点であるクロック基準位置から所定の位置までの範囲において、所定の速度に到達するまでヘッド15を加速させながらスパイラルサーボパターンBSVをライトし、ブランク状態のディスク10の所定の位置から終了地点までの範囲において、所定の速度から所定の速度までヘッド15を減速させながらスパイラルサーボパターンBSVをライトする。以下、開始地点から所定の位置までの範囲においてヘッド15を所定の速度に到達するまで加速している状態を加速状態、加速時、加速制御、又は加速度制御と称し、等速度のヘッド15でライトしている状態を等速状態、等速時、等速制御、又は等速度制御と称し、所定の位置から終了地点までの範囲においてヘッド15を所定の速度に到達するまで減速している状態を減速状態、減速時、又は減速制御と称する場合もある。また、“等速時のスパイラルサーボパターンをライトするヘッド15の速度”を“スパイラル速度”と称する場合もある。
【0044】
サーボパターン制御部620は、BDW工程において、所定のスパイラル速度(以下、基準スパイラル速度と称する場合もある)の複数のヘッド15の内の少なくとも1つのヘッド(以下、基準ヘッドと称する場合もある)15で基準ヘッド15に対応するディスク10の面(以下、基準面と称する場合もある)10Sにスパイラルサーボパターン(以下、基準スパイラルサーボパターンと称する場合もある)BSVをライトする。
【0045】
サーボパターン制御部620は、各ヘッド15でこれら各ヘッド15に対応する各面10Sに対してタッチダウン測定を実行する。タッチダウン測定は、ヘッド15の発熱素子(ヒータ)に電力を印加してヘッドを熱膨張させて、ヘッド15の一部をディスク10に対して突き出すことでディスク10と接触させ、ディスク10との接触を検出したときの印加電力(ヘッド15とディスク10と間の間隔(ヘッド15の浮上量)の制御値)を測定する方法である。サーボパターン制御部620は、例えば、セルフサーボライト(SSW)の工程(以下、SSW工程又はSSW処理と称する場合もある)において、基準スパイラルサーボパターンに基づいて、各ヘッド15でこれら各ヘッド15に対応する各面10Sに対してタッチダウン測定を実行する。言い換えると、サーボパターン制御部620は、例えば、SSW工程において、基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15をロックして、各ヘッド15でこれら各ヘッド15に対応する各面10Sに対してタッチダウン測定を実行する。
【0046】
サーボパターン制御部620は、各ヘッド15で各R/Wオフセット測定を実行し、各ヘッド15に対応する各R/Wオフセット量を測定する。サーボパターン制御部620は、SSW工程において、例えば、基準スパイラルサーボパターンに基づいて、各ヘッド15に対応する各R/Wオフセット測定を実行し、各ヘッド15に対応する各R/Wオフセット量を測定する。言い換えると、サーボパターン制御部620は、SSW工程において、例えば、基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15をロックして、各ヘッド15で各R/Wオフセット測定を実行し、各ヘッド15に対応する各R/Wオフセット量を測定する。
【0047】
サーボパターン制御部620は、ディスク10に製品サーボパターンPSVをライトする。サーボパターン制御部620は、SSW工程において、スパイラルサーボパターンBSVに基づいて製品サーボパターンPSVをライトする。サーボパターン制御部620は、SSW工程において、スパイラルサーボパターンBSV及びR/Wオフセット量に基づいて、R/Wオフセット量を補正しながら、製品サーボパターンPSVを半径方向の内方向、例えば、最内周IMCから外方向、例えば、最外周OMCに向かってライトする。なお、サーボパターン制御部620は、SSW工程において、スパイラルサーボパターンBSV及びR/Wオフセット量に基づいて、R/Wオフセット量を補正しながら、製品サーボパターンPSVを半径方向の外方向、例えば、最外周OMCから内方向、例えば、最内周IMCに向かってライトしてもよい。
【0048】
サーボパターン制御部620は、SSW工程において、複数のヘッド15の内の少なくとも1つの基準ヘッド15でこの基準ヘッド15に対応する基準面10Sに、基準スパイラルサーボパターンBSV及び基準ヘッド15に対応するR/Wオフセット量に基づいて、このR/Wオフセット量を補正しながら、製品サーボパターン(以下、基準製品サーボパターンと称する場合もある)PSVをライトする。
【0049】
シリンダオフセット量測定部630は、シリンダオフセット量を測定する。シリンダオフセット量測定部630は、複数のヘッド15の内の1つのヘッド(以下、シリンダオフセット基準ヘッドと称する場合もある)15でライトするデータ、例えば、トラック若しくはセクタとシリンダオフセット基準ヘッド15と異なるヘッド(以下、シリンダオフセット対象ヘッドと称する場合もある)15でライトするデータ、例えば、トラック若しくはセクタとの間のシリンダオフセット量を測定する。なお、シリンダオフセット量測定部630は、複数のヘッド15の内の1つのヘッド(以下、シリンダオフセット基準ヘッドと称する場合もある)15とシリンダオフセット基準ヘッド15と異なるヘッド(以下、シリンダオフセット対象ヘッドと称する場合もある)15との間のシリンダオフセット量を測定してもよい。シリンダオフセット量測定部630は、測定したシリンダオフセット量をこのシリンダオフセット量に対応するヘッド15、例えば、シリンダオフセット対象ヘッド15に関連付けて所定の記録領域、例えば、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に記録する。
【0050】
例えば、シリンダオフセット量測定部630は、HDI(head Disk Interface) RampCalにより、複数のヘッド15の内の所定のヘッド15を基準として各ヘッド15に対応する各シリンダオフセット量を測定する。シリンダオフセット量測定部630は、複数のヘッド15の内の所定のヘッド15を基準として測定した各シリンダオフセット量をヘッド毎に所定の記録領域、例えば、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に記録する。
【0051】
例えば、シリンダオフセット量測定部630は、HDI(head Disk Interface) RampCalにより、複数のヘッド15の内の所定のヘッド15を基準として各ヘッド15に対応する各シリンダオフセット量をゾーン毎に測定する。シリンダオフセット量測定部630は、複数のヘッド15の内の所定のヘッド15を基準として測定した各シリンダオフセット量をヘッド毎及びゾーン毎に所定の記録領域、例えば、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に記録する。
【0052】
スパイラルコピー制御部640は、基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて、基準ヘッド15と異なる各ヘッド(以下、スパイラルコピーヘッドと称する場合もある)15で基準面10Sと異なる各面(以下、スパイラルコピー面と称する場合もある)10Sにスパイラルサーボパターン(以下、コピースパイラルサーボパターンと称する場合もある)BSVをライトする。言い換えると、スパイラルコピー制御部640は、基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて、各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sに基準スパイラルサーボパターンBSVをコピーする。スパイラルコピー制御部640は、基準ヘッド15でアクセスした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて、スパイラルコピーヘッド15でスパイラルコピー面10SにコピースパイラルサーボパターンBSVをライトする。言い換えると、スパイラルコピー制御部640は、基準ヘッド15に基づいて、スパイラルコピーヘッド15でスパイラルコピー面10SにコピースパイラルサーボパターンBSVをライトする。以下、“基準スパイラルサーボパターンをスパイラルコピー面10Sにコピーする”ことを“スパイラルコピーする”と称する場合もある。
【0053】
スパイラルコピー制御部640は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット量に基づいて、各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sにスパイラルコピーを実行する。
【0054】
例えば、スパイラルコピー制御部640は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット量に応じて各スパイラルコピーヘッド15に対応する各スパイラル速度(以下、コピースパイラル速度と称する場合もある)をそれぞれ調整し、調整した各スパイラル速度(以下、調整コピースパイラル速度と称する場合もある)の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sにそれぞれスパイラルコピーを実行する。例えば、スパイラルコピー制御部640は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット量が小さくなるように、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各コピースパイラル速度を各調整コピースパイラル速度にそれぞれ調整し、調整した各調整コピースパイラル速度の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sにそれぞれスパイラルコピーを実行する。
【0055】
例えば、スパイラルコピー制御部640は、各スパイラルコピーヘッド15に対応するゾーン毎の各シリンダオフセット量に応じて各スパイラルコピーヘッド15に対応するゾーン毎の各コピースパイラル速度をそれぞれ調整し、調整したゾーン毎の各スパイラル速度(以下、調整コピースパイラル速度と称する場合もある)の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sにそれぞれスパイラルコピーを実行する。例えば、スパイラルコピー制御部640は、各スパイラルコピーヘッド15に対応するゾーン毎の各シリンダオフセット量が小さくなるように、各スパイラルコピーヘッド15に対応するゾーン毎の各コピースパイラル速度を各調整コピースパイラル速度にそれぞれ調整し、調整したゾーン毎の各調整コピースパイラル速度の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sにそれぞれスパイラルコピーを実行する。
【0056】
スパイラルコピーヘッド15のスパイラル速度を調整コピースパイラル速度に調整することで、このスパイラルコピーヘッド15に対応するスパイラルコピー面10SにおけるコピースパイラルサーボパターンBSVの傾きを変化させることができる。調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15でスパイラルコピー面10Sにライトしたコピースパイラルサーボパターン(以下、調整コピースパイラルサーボパターンと称する場合もある)に基づいてこのスパイラルコピー面10Sに製品サーボパターン(以下、コピー製品サーボパターンと称する場合もある)PSVをライトすることで、基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいてライトした基準製品サーボパターンPSVとコピー製品サーボパターンPSVとのずれ(シリンダオフセット量)も調整することができる。例えば、コピースパイラル速度を基準スパイラル速度よりも大きい調整コピースパイラル速度に調整することで、コピースパイラルサーボパターンBSVの傾きが基準スパイラルサーボパターンBSVの傾きに対して広がる。例えば、コピースパイラル速度を基準スパイラル速度よりも小さい調整コピースパイラル速度に調整することで、コピースパイラルサーボパターンBSVの傾きが基準スパイラルサーボパターンBSVの傾きに対して狭くなる。
【0057】
位置決め制御部650は、ヘッド15の位置決め制御を実行する。位置決め制御部650は、スパイラルサーボパターンBSV、及び製品サーボパターンPSVに基づいてヘッド15の位置決め制御を実行する。
【0058】
図6は、基準ヘッド15とスパイラルコピーヘッド15との対応関係の一例を示す模式図である。
図6のテーブルTBには、ヘッド番号と、基準面と、スパイラルコピー面とが示されている。
図6のテーブルTBには、ヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m+4)とヘッド15-(2n―4)乃至15-(2n+4)とを示している。テーブルTBは、所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90に保存されていてもよい。
【0059】
図6に示した例では、MPU60は、例えば、テーブルTBにおいてヘッド15-(2m)及びヘッド15-(2n)を基準ヘッドに設定している。MPU60は、ヘッド15―(2m―4)、15―(2m―3)、15―(2m―2)、15―(2m―1)、15―(2m+1)、15―(2m+2)、15―(2m+3)、15―(2m+4)、15―(2n―4)、15―(2n―3)、15―(2n―2)、15―(2n―1)、15―(2n+1)、15―(2n+2)、15―(2n+3)、及び15―(2n+4)をスパイラルコピーヘッドに設定する。
【0060】
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)により基準面10S(2m)に基準スパイラルサーボパターンをライトする。MPU60は、基準ヘッド15-(2n)により基準面10S(2n)に基準スパイラルサーボパターンをライトする。
【0061】
MPU60は、基準ヘッド15-(2n)に基づいて、各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)、15-(2m―3)、15-(2m―2)、15―(2m―1)、15―(2m+1)、15-(2m+2)、15-(2m+3)、及び15-(2m+4)により各スパイラルコピー面10S(2m―4)、10S(2m―3)、10S(2m―2)、10S(2m―1)、10S(2m+1)、10S(2m+2)、10S(2m+3)、及び10S(2m+4)にスパイラルコピーを実行する。MPU60は、基準ヘッド15-(2n)に基づいて、各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)、15-(2m―3)、15-(2m―2)、15―(2m―1)、15―(2m+1)、15-(2m+2)、15-(2m+3)、及び15-(2m+4)により、各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m+4)に対応する各シリンダオフセット量を応じて、各スパイラルコピー面10S(2m―4)、10S(2m―3)、10S(2m―2)、10S(2m―1)、10S(2m+1)、10S(2m+2)、10S(2m+3)、及び10S(2m+4)に1つずつスパイラルコピーを実行する。
【0062】
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)に基づいて、各スパイラルコピーヘッド15-(2n-4)、15-(2n―3)、15-(2n―2)、15―(2n―1)、15―(2n+1)、15-(2n+2)、15-(2n+3)、及び15-(2n+4)により各スパイラルコピー面10S(2n―4)、10S(2n―3)、10S(2n―2)、10S(2n―1)、10S(2n+1)、10S(2n+2)、10S(2n+3)、及び10S(2n+4)にスパイラルコピーを実行する。MPU60は、基準ヘッド15-(2m)に基づいて、各スパイラルコピーヘッド15-(2n-4)、15-(2n―3)、15-(2n―2)、15―(2n―1)、15―(2n+1)、15-(2n+2)、15-(2n+3)、及び15-(2n+4)により、各スパイラルコピーヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n+4)に対応する各シリンダオフセット量を応じて、各スパイラルコピー面10S(2n―4)、10S(2n―3)、10S(2n―2)、10S(2n―1)、10S(2n+1)、10S(2n+2)、10S(2n+3)、及び10S(2n+4)に1つずつスパイラルコピーを実行する。
【0063】
基準ヘッド15に近いヘッド15でスパイラルコピーを実行すると、スパイラルサーボパターンをライトする時にクロストーク影響を受けるために、このスパイラルサーボパターンにノイズが生じ得る。そのため、
図6に示す例ように、MPU60は、基準ヘッド15から所定の距離離れた、例えば、高さ方向Zに所定の距離離れた複数のヘッド15をそれぞれスパイラルコピーヘッド15に設定する。
【0064】
図7は、基準スパイラルサーボパターンSVP1の一例を示す模式図である。
図7において、横軸は、時間を示し、縦軸は、半径方向を示している。
図7の縦軸において、矢印の先端側に向かうに従って外方向に進み、矢印の先端側と反対方向に向かうに従って内方向に進む。
図7の横軸において、時間は、矢印の先端側に進むに従って経過する。
【0065】
図7に示した例では、MPU60は、基準ヘッド15のライトヘッド15Wにより基準スパイラル速度SVL1で基準面10Sに基準スパイラルサーボパターンSVP1をライトする。
【0066】
図8は、コピースパイラルサーボパターンSVP2の一例を示す模式図である。
図8において、横軸は、時間を示し、縦軸は、半径方向を示している。
図8の縦軸において、矢印の先端側に向かうに従って外方向に進み、矢印の先端側と反対方向に向かうに従って内方向に進む。
図8の横軸において、時間は、矢印の先端側に進むに従って経過する。調整コピースパイラル速度SVL2は、基準スパイラル速度SVL1よりも大きい。
【0067】
図8に示した例では、MPU60は、基準スパイラル速度SVL1から調整コピースパイラル速度SVL2に調整して、スパイラルコピーヘッド15のライトヘッド15Wにより調整コピースパイラル速度SVL2でスパイラルコピー面10SにコピースパイラルサーボパターンSVP2をライトする。コピースパイラルサーボパターンSVP2は、基準スパイラルサーボパターンSVP1より所定の時間において外方向に進んでいる。
【0068】
図9は、半径位置に対するグレイコード番号の変化の一例を示す模式図である。
図9において、横軸は、半径位置を示し、縦軸は、グレイコード(Gray Code)番号を示している。
図9の縦軸において、グレイコード番号は、矢印の先端側に向かうに従って大きくなり、矢印の先端側と反対側に向かうに従って小さくなる。
図9の横軸において、半径位置は、矢印の先端側に進むに従って外方向に進み、矢印の先端側と反対方向に従って内方向に進む。
図9には、基準スパイラルサーボパターンBSVに対応する半径位置に対するグレイコード番号の変化(以下、基準スパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号の変化と称する場合もある)ESPと、基準スパイラル速度に相当するコピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15によりライトしたコピースパイラルサーボパターン(以下、比較コピースパイラルサーボパターンと称する場合もある)に対応するグレイコード番号の変化(以下、比較コピースパイラルサーボパターンに対応するグレイコード番号の変化と称する場合もある)CSPと、調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15によりライトした調整コピースパイラルサーボパターンに対応するグレイコード番号の変化(以下、調整コピースパイラルサーボパターンに対応するグレイコード番号の変化と称する場合もある)BSPと、を示している。
【0069】
図9に示すように、基準スパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号の変化ESPと比較コピースパイラルサーボパターンに対応するグレイコード番号の変化CSPとの差分は、外方向に進むに従って大きくなっている。そのため、基準スパイラルサーボパターンBSVに対して比較コピースパイラルサーボパターンは、ずれ得る。従って、平面視した場合、基準スパイラルサーボパターンBSVと比較コピースパイラルサーボパターンとの間のシリンダオフセット量が、大きくなり得る。
【0070】
図9に示すように、基準スパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号の変化ESPと調整コピースパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号BSPとの差分は、半径位置においてほぼ一定である。基準スパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号の変化ESPと調整コピースパイラルサーボパターンBSVに対応するグレイコード番号の変化BSPとは、ほぼ一致している。そのため、基準スパイラルサーボパターンBSVと調整コピースパイラルサーボパターンBSVとは、ほぼ一致している。平面視した場合、基準スパイラルサーボパターンBSVと調整コピースパイラルサーボパターンBSVとは、ほぼ一致している。
【0071】
図10は、本実施形態に係る基準ヘッド15と比較した半径位置に対するシリンダオフセット量の変化の一例を示す模式図である。
図10において、横軸は、半径位置(半径方向)を示し、縦軸は、シリンダオフセット量を示している。
図10の縦軸において、シリンダオフセット量は、正の矢印の先端側に向かうに従って正の値が大きくなり、負の矢印の先端側に向かうに従って負の値が小さくなる。
図10の横軸において、半径位置(半径方向)は、外方向の矢印の先端側に向かうに従って外方向に進み、内方向の矢印の先端側に向かうに従って内方向に進む。
図10には、基準ヘッド15-(2m)及びヘッド15-(2n)に対応する半径位置(半径方向)に対するシリンダオフセット量の変化COLRを示している。以下、“半径位置(半径方向)に対するシリンダオフセット量の変化”を単に“シリンダオフセット量の変化”と称する場合もある。
図10には、基準スパイラル速度に対して0.06%増大させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL1と、基準スパイラル速度に対して0.03%増大させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL2と、基準スパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL3と、基準スパイラル速度に対して0.03%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL4と、基準スパイラル速度に対して0.06%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL5と、基準スパイラル速度に対応して0.09%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL6とを示している。なお、意図しないで構造やシステムに起因して自然に発生し得るスパイラル速度に生じる誤差は、
図10に示すオーダーの1/100のオーダーであるため、自然に発生し得るスパイラル速度に生じる誤差と
図10に示す調整したスパイラル速度の変化量とを判別可能である。
【0072】
図10では、スパイラルコピーヘッド15-(2m―4)及び15-(2m-3)は、基準スパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL3に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2m―2)及び15-(2m-1)は、基準スパイラル速度に対して0.03%増大させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL2に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2m+1)及び15-(2m+2)は、基準スパイラル速度に対して0.03%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL4に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2m+3)及び15-(2m+4)は、基準スパイラル速度に対して0.06%増大させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL1に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2n-4)及び15-(2n-3)は、基準スパイラル速度に対して0.06%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL5に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2n-2)及び15-(2n-1)は、データがない。スパイラルコピーヘッド15-(2n+1)は、基準スパイラル速度に対応して0.09%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL6に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2n+2)は、基準スパイラル速度に対して0.03%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL4に対応する。スパイラルコピーヘッド15-(2n+3)及び15-(2n+4)は、データがない。
【0073】
図10に示した例では、基準スパイラル速度に対して0.03%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL4と、基準スパイラル速度に対して0.06%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対応するシリンダオフセット量の変化COL5とは、基準ヘッド15-(2m)及びヘッド15-(2n)に対応する半径位置(半径方向)に対するシリンダオフセット量の変化COLRに近似している。基準スパイラル速度に対して0.03%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15でライトしたコピースパイラルサーボパターンは、基準スパイラルサーボパターンとほぼ同じである。また、基準スパイラル速度に対して0.06%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15でライトしたコピースパイラルサーボパターンは、基準スパイラルサーボパターンとほぼ同じである。“同じ”、“同一”、“一致”、及び“同等”などの用語は、全く同じという意味はもちろん、実質的に同じであると見做せる程度に異なるという意味を含む。
図10に示した例では、基準スパイラル速度に対して0.03%乃至0.06%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15でライトしたコピースパイラルサーボパターンは、基準スパイラルサーボパターンとほぼ同じである。
図10に示した例では、基準スパイラル速度に対して0.04%乃至0.05%減少させた調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15でライトしたコピースパイラルサーボパターンは、基準スパイラルサーボパターンに最も近似し得る。
【0074】
図11は、本実施形態に係る所定のヘッド15と比較した半径位置に対するシリンダオフセット量の変化の一例を示す模式図である。
図11において、横軸は、半径位置(半径方向)を示し、縦軸は、シリンダオフセット量を示している。
図11の縦軸において、シリンダオフセット量は、正の矢印の先端側に向かうに従って正の値が大きくなり、負の矢印の先端側に向かうに従って負の値が小さくなる。
図11の横軸において、半径位置(半径方向)は、外方向の矢印の先端側に向かうに従って外方向に進み、内方向の矢印の先端側に向かうに従って内方向に進む。
図11には、基準スパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対する各調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15-(2m―4)乃至15-(2n+4)に対応するシリンダオフセット量の変化群COVLを示している。
【0075】
図11に示した例では、基準スパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対する各調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15-(2m―4)乃至15-(2n+4)に対応するシリンダオフセット量の変化群COVLは、ほぼ同じである。そのため、基準スパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15に対する各調整コピースパイラル速度のスパイラルコピーヘッド15-(2m―4)乃至15-(2n+4)に対応するシリンダオフセット量の変化群COVLに関連する複数のスパイラルサーボパターンは、ほぼ一致している。
【0076】
図12は、本実施形態に係るSSW処理の一例を示す模式図である。
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15-(2m)をロックし(B1201)、複数のヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)で全面タッチダウン(TD)測定を実行する(B1202)。MPU60は、複数のヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)でディスク10の全面にR/Wオフセット測定を実行し(B1203)、基準ヘッド15―(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15-(2m)で基準ヘッド15―(2m)に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする(B1204)。
【0077】
MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15-(2n)をロックし(B1205)、複数のヘッド15-(2m―4)乃至15―(2n+4)で全面タッチダウン(TD)測定を実行する(B1206)。MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15-(2n)で基準ヘッド15-(2n)に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする(B1207)。
【0078】
MPU60は、複数のヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)の内の所定のヘッド15を基準として、各ヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)に対応する各シリンダオフセット量を測定する(B1208)。MPU60は、測定した各シリンダオフセット量を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90に保存する(B1209)。
【0079】
MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)で複数のスパイラルコピー面10S(2m―4)乃至10S(2m-1)、10S(2m+1)乃至10S(2m+4)にそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする(B1210、B1211、及びB1212)。
【0080】
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)で複数のスパイラルコピー面10S(2n―4)乃至10S(2n-1)、10S(2n+1)乃至10S(2n+4)にそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする(B1213、B1214、及びB1215)。
【0081】
MPU60は、各コピースパイラルサーボパターンに各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)でトラッキングして、各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)で各スパイラルコピー面10S(2m―4)乃至10S(2m-1)、10S(2m+1)乃至10S(2m+4)、10S(2n―4)乃至10S(2n-1)、10S(2n+1)乃至10S(2n+4)に各製品サーボパターンをライトし(B1216)、処理を終了する。
【0082】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15をロックし、複数のヘッド15で全面タッチダウン測定を実行する。磁気ディスク装置1は、複数のヘッド15でディスクの全面にR/Wオフセット測定を実行し、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15で基準ヘッド15に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする。磁気ディスク装置1は、複数のヘッド15の内の所定のヘッド15を基準として各ヘッド15に対応する各シリンダオフセット量を測定する。磁気ディスク装置1は、測定した各シリンダオフセット量を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90に保存する。磁気ディスク装置1は、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15で複数のスパイラルコピー面10Sにそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする。磁気ディスク装置1は、各コピースパイラルサーボパターンに基づいて各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sに各製品サーボパターンをライトする。磁気ディスク装置1は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット量を最小にするように各スパイラルコピーヘッド15のスパイラル速度を調整する。そのため、磁気ディスク装置1は、パフォーマンスを向上することができる。したがって、磁気ディスク装置1は、信頼性を向上することができる。
【0083】
次に、実施形態の変形例に係る磁気ディスク装置について説明する。変形例において、前述の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(変形例1)
変形例1に係る磁気ディスク装置1は、複数の磁気ディスク装置における複数のヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量を有する点が前述した実施形態の磁気ディスク装置1と異なる。
【0084】
MPU60は、複数の磁気ディスク装置から複数のヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量の平均値(以下、シリンダオフセット平均値と称する場合もある)を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90に記録している。なお、MPU60は、複数の磁気ディスク装置から複数のヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット量から複数のヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット平均値を算出し、算出した複数のシリンダオフセット平均値を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90に記録してもよい。
【0085】
MPU60は、所定の記録領域に記録した複数のスパイラルコピーヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット平均値を読み出す若しくは参照する。MPU60は、読み出した若しくは参照した各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値に基づいて、各調整コピースパイラル速度の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sに各コピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする。
【0086】
例えば、MPU60は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値が小さくなるように調整した各調整コピースパイラル速度の各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sに各コピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする。
【0087】
複数の磁気ディスク装置においてメカバラつきが小さい場合、磁気ディスク装置毎のシリンダオフセット量のバラつきも小さくなると推定される。そのため、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値に基づいて各調整コピースパイラル速度の各スパイラルコピーヘッド15でライトした各コピースパイラルサーボパターンも、基準スパイラルサーボパターンとのずれが小さくなり得る。
【0088】
図13は、変形例1に係るSSW処理の一例を示す模式図である。
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15-(2m)をロックし(B1201)、複数のヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)で全面タッチダウン(TD)測定を実行する(B1202)。MPU60は、複数のヘッド15-(2m-4)乃至15-(2n+4)でディスク10の全面にR/Wオフセット測定を実行し(B1203)、基準ヘッド15―(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15-(2m)で基準ヘッド15―(2m)に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする(B1204)。
【0089】
MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15-(2n)をロックし(B1205)、複数のヘッド15-(2m―4)乃至15―(2n+4)で全面タッチダウン(TD)測定を実行する(B1206)。MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15―(2n)で基準ヘッド15-(2n)に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする(B1207)。
【0090】
MPU60は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90から読み出す(B1301)。
【0091】
MPU60は、基準ヘッド15-(2n)でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット平均値に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)で複数のスパイラルコピー面10S(2m―4)乃至10S(2m-1)、10S(2m+1)乃至10S(2m+4)にそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする(B1302、B1303、及びB1304)。
【0092】
MPU60は、基準ヘッド15-(2m)でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット平均値に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)で複数のスパイラルコピー面10S(2n―4)乃至10S(2n-1)、10S(2n+1)乃至10S(2n+4)にそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする(B1305、B1306、及びB1307)。
【0093】
MPU60は、各コピースパイラルサーボパターンに各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)でトラッキングして、各スパイラルコピーヘッド15-(2m-4)乃至15-(2m―1)、15-(2m+1)乃至15-(2m+4)、15-(2n-4)乃至15-(2n―1)、15-(2n+1)乃至15-(2n+4)で各スパイラルコピー面10S(2m―4)乃至10S(2m-1)、10S(2m+1)乃至10S(2m+4)、10S(2n―4)乃至10S(2n-1)、10S(2n+1)乃至10S(2n+4)に各製品サーボパターンをライトし(B1216)、処理を終了する。
【0094】
変形例1によれば、磁気ディスク装置1は、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンに基準ヘッド15をロックし、複数のヘッド15で全面タッチダウン測定を実行する。磁気ディスク装置1は、複数のヘッド15でディスクの全面にR/Wオフセット測定を実行し、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンBSVに基づいて基準ヘッド15で基準ヘッド15に対応する基準面10Sに製品サーボパターンをライトする。磁気ディスク装置1は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値を所定の記録領域、例えば、ディスク10のシステムエリア10b、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、又はバッファメモリ90から読み出す。磁気ディスク装置1は、基準ヘッド15でライトした基準スパイラルサーボパターンに応じて、複数のスパイラルコピーヘッド15にそれぞれ対応する複数のシリンダオフセット平均値に基づいて複数の調整コピースパイラル速度の複数のスパイラルコピーヘッド15で複数のスパイラルコピー面10Sにそれぞれ複数のコピースパイラルサーボパターンをライト又はコピーする。磁気ディスク装置1は、各コピースパイラルサーボパターンに基づいて各スパイラルコピーヘッド15で各スパイラルコピー面10Sに各製品サーボパターンをライトする。磁気ディスク装置1は、各スパイラルコピーヘッド15に対応する各シリンダオフセット平均値を最小にするように各スパイラルコピーヘッド15のスパイラル速度を調整する。そのため、磁気ディスク装置1は、パフォーマンスを向上することができる。したがって、磁気ディスク装置1は、信頼性を向上することができる。
【0095】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1…磁気ディスク装置、10…磁気ディスク、10a…ユーザデータ領域、10b…システムエリア、12…スピンドルモータ(SPM)、13…アーム、14…ボイスコイルモータ(VCM)、15…ヘッド、15W…ライトヘッド、15R…リードヘッド、20…ドライバIC、30…ヘッドアンプIC、40…リード/ライト(R/W)チャネル、50…ハードディスクコントローラ(HDC)、60…マイクロプロセッサ(MPU)、70…揮発性メモリ、80…不揮発性メモリ、90…バッファメモリ、100…ホストシステム(ホスト)、130…システムコントローラ。