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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095191
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】情報端末、及び、通信システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20230629BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230629BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230629BHJP
   H04W 88/02 20090101ALN20230629BHJP
【FI】
H05B47/19
H04W84/18
H05B47/105
H04W88/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210931
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西保 和磨
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】入江 嵐士郎
(72)【発明者】
【氏名】冨尾 勇太
【テーマコード(参考)】
3K273
5K067
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA29
3K273QA37
3K273RA16
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA47
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA17
3K273UA21
3K273UA22
3K273UA23
5K067AA34
5K067FF23
5K067FF32
(57)【要約】
【課題】メッシュネットワークを構築するときに、情報端末の近くに位置するデバイスをユーザに提示することができる情報端末を提供する。
【解決手段】情報端末30は、ビーコン信号を受信する無線通信部33と、受信されたビーコン信号のうち受信信号強度が閾値以上のビーコン信号に含まれる識別情報に対応するアイコン32cを表示する表示部32と、表示部32に表示されたアイコン32cの選択操作を受け付ける操作受付部31と、選択されたアイコン32cが示す識別情報と、複数の照明器具20のうち当該識別情報を有する照明器具20である対象の照明器具20の設置位置とを対応付けて情報端末30が備える記憶部35に記憶する制御部34とを備える。制御部34は、さらに、対象の照明器具20がメッシュネットワークに参入するための情報を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスをメッシュネットワークへ参入させるための情報処理を行う情報端末であって、
前記複数のデバイスのそれぞれは、当該デバイスがメッシュネットワークへ未参入であるときに当該デバイスの識別情報を含むビーコン信号を送信し、
前記情報端末は、
前記ビーコン信号を受信する無線通信部と、
受信された前記ビーコン信号のうち受信信号強度が閾値以上の前記ビーコン信号に含まれる前記識別情報に対応するアイコンを表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記アイコンの選択操作を受け付ける操作受付部と、
選択された前記アイコンが示す識別情報と、前記複数のデバイスのうち当該識別情報を有するデバイスである対象デバイスの設置位置とを対応付けて前記情報端末が備える記憶部に記憶する制御部とを備え、
前記制御部は、さらに、前記無線通信部を用いて、前記対象デバイスが前記メッシュネットワークに参入するための情報を前記対象デバイスへ送信する
情報端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象デバイスを、前記複数のデバイスのうち前記対象デバイス以外の他のデバイスと異なる状態に遷移させるための制御指令を前記無線通信部に前記対象デバイスへ送信させ、
前記操作受付部は、前記対象デバイスが前記制御指令に基づいて前記他のデバイスと異なる状態に遷移した後、前記対象デバイスの設置位置の指定操作を受け付け、
前記制御部は、選択された前記アイコンが示す識別情報と、指定された前記対象デバイスの設置位置とを対応付けて記憶部に記憶する
請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記複数のデバイスのそれぞれは、状態提示部を備え、
前記制御指令は、前記対象デバイスが備える前記状態提示部に他のデバイスが備える前記状態提示部と異なる態様の提示を行わせるための指令である
請求項2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記状態提示部は、光源であり、
前記制御指令は、前記対象デバイスが備える前記光源を他のデバイスが備える前記光源と異なる態様で発光または消灯させるための指令である
請求項3に記載の情報端末。
【請求項5】
前記操作受付部は、さらに、前記閾値を変更するための操作を受け付ける
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報端末。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報端末と、
前記複数のデバイスとを備える
通信システム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報端末として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムの初期設定等に用いられる情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線メッシュネットワークを用いた、拡張性の高い照明システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-68902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、メッシュネットワークを構築するときに、情報端末の近くに位置するデバイスをユーザに提示することができる情報端末等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報端末は、複数のデバイスをメッシュネットワークへ参入させるための情報処理を行う情報端末であって、前記複数のデバイスのそれぞれは、当該デバイスがメッシュネットワークへ未参入であるときに当該デバイスの識別情報を含むビーコン信号を送信し、前記情報端末は、前記ビーコン信号を受信する無線通信部と、受信された前記ビーコン信号のうち受信信号強度が閾値以上の前記ビーコン信号に含まれる前記識別情報に対応するアイコンを表示する表示部と、前記表示部に表示された前記アイコンの選択操作を受け付ける操作受付部と、選択された前記アイコンが示す識別情報と、前記複数のデバイスのうち当該識別情報を有するデバイスである対象デバイスの設置位置とを対応付けて前記情報端末が備える記憶部に記憶する制御部とを備え、前記制御部は、さらに、前記無線通信部を用いて、前記対象デバイスが前記メッシュネットワークに参入するための情報を前記対象デバイスへ送信する。
【0006】
本発明の一態様に係る通信システムは、前記情報端末と、前記複数のデバイスとを備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、前記情報端末として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報処理方法は、メッシュネットワークを構築するときに、情報端末の近くに位置するデバイスをユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、メッシュネットワークを概念的に示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る第1初期設定動作のシーケンス図である。
図4図4は、初期設定画面の一例を示す図である。
図5図5は、複数のアイコンが表示された初期設定画面の一例を示す図である。
図6図6は、対応情報の一例を示す図である。
図7図7は、受信信号強度に閾値が設けられない場合に情報端末に表示される照明器具のアイコンの数を説明するための図である。
図8図8は、受信信号強度に閾値が設けられる場合に情報端末に表示される照明器具のアイコンの数を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態に係る第2初期設定動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る通信システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。図1に示されるように、通信システム10は、複数の照明器具20と、情報端末30とを備える。
【0013】
通信システム10において、複数の照明器具20のそれぞれは無線通信機能を有し、複数の照明器具20は、メッシュネットワークを構成する。図2は、メッシュネットワークを概念的に示す図である。図2における丸印が1つの照明器具20(言い換えれば、通信ノード)に相当する。メッシュネットワークにおいては、ある通信ノード(第1通信ノードとも記載される)からもう一つの通信ノード(第2通信ノードとも記載される)へ情報を伝送するときには、当該情報はバケツリレー方式で伝送される。
【0014】
具体的には、上記第1通信ノードが第2通信ノードのアドレス情報(宛先情報)を含む情報をブロードキャスト送信すると、これを受信した上記第1の通信ノードと同一のメッシュネットワークに属する他の通信ノードのそれぞれは、受信した情報をさらにブロードキャスト送信する。つまり、他の通信ノードのそれぞれは、情報を中継する。このような情報の中継が同一のメッシュネットワーク内で繰り返されることにより、第1通信ノードが送信した上記の情報は、第1通信ノードと同一のメッシュネットワーク内に属する全ての通信ノードに行き渡る。したがって、第2通信ノードは、第1通信ノードが送信した情報を受信することができる。
【0015】
メッシュネットワークを通じて伝送される情報は、例えば、照明器具20を点灯制御、消灯制御、または、調光制御するための制御情報である。また、後述のようにメッシュネットワークに環境センサが含まれるような場合には、環境センサの計測値(センシング情報)が伝送されるような場合もある。
【0016】
まず、照明器具20について説明する。照明器具20は、室内空間の天井に設置されて、当該室内空間を照らすベースライトなどである。上述のように複数の照明器具20のそれぞれは無線通信機能を有し、複数の照明器具20はメッシュネットワークを構成する。なお、照明器具20の態様は、特に限定されるものではなく、シーリングライト、ダウンライト、または、スポットライト等であってもよい。照明器具20は、具体的には、無線通信部21と、光源22とを備える。
【0017】
無線通信部21は、照明器具20が他の照明器具20、及び、情報端末30と無線通信(より具体的には、電波通信)を行うための無線通信回路である。照明器具20がメッシュネットワークに参入した後には、無線通信部21は、上述のメッシュネットワークを通じた通信を行う。また、照明器具20がメッシュネットワークに参入する前には、無線通信部21は、ビーコン信号(アドバタイズ信号などと呼ばれることもある)を定期的に送信し、ビーコン信号を受信した情報端末30と無線通信を行う。また、無線通信部21は、具体的には、BLE(Blutooth(登録商標) Low Energy)またはWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。
【0018】
光源22は、照明器具20が室内空間を照らすために室内空間へ白色光を照射する。光源22は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子によって実現されるが、半導体レーザ、有機EL(Electro Luminescence)、または、無機EL等の他の発光素子によって実現されてもよい。
【0019】
次に、情報端末30の構成について説明する。情報端末30は、複数の照明器具20をメッシュネットワークに参入させるための初期設定動作を行う情報端末である。情報端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、またはPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末である。また、情報端末30は、通信システム10において用いられる専用のリモートコントローラであってもよい。情報端末30は、初期設定作業を行うユーザによって使用される。ここでのユーザは、例えば、複数の照明器具20の天井への設置作業を行った設置者であるが、設置者以外の他のユーザであってもよい。情報端末30は、具体的には、操作受付部31と、表示部32と、無線通信部33と、制御部34と、記憶部35とを備える。
【0020】
操作受付部31は、ユーザの操作を受け付ける。操作受付部31は、具体的には、タッチパネルなどによって実現される。
【0021】
表示部32は、上記初期設定作業のために必要な画像を表示する。表示部32は、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルによって実現される。
【0022】
無線通信部33は、情報端末30が複数の照明器具20のそれぞれと無線通信(より具体的には、電波通信)を行うための無線通信回路である。無線通信部33は、具体的には、BLEまたはWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。
【0023】
制御部34は、操作受付部31によって受け付けられたユーザの操作に応じて初期設定動作に関する情報処理を行う。制御部34は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。制御部34の機能は、制御部34を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部35に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0024】
記憶部35は、制御部34が実行するコンピュータプログラム等の初期設定動作に関する情報処理に必要な情報が記憶される記憶装置である。記憶部35は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0025】
[第1初期設定動作]
次に、メッシュネットワークを構築するための初期設定動作について説明する。初期設定動作には、照明器具20の設置位置と照明器具20の識別情報とを対応付ける第1初期設定動作と、複数の照明器具20のそれぞれに当該照明器具20をメッシュネットワークに参入させるための情報を記憶する第2初期設定動作(プロビジョニングとも記載される)とが含まれる。
【0026】
まず、第1初期設定動作について説明する。図3は、第1初期設定動作のシーケンス図である。図3の初期設定動作は、例えば、設置者によって複数の照明器具20が天井に設置された後に行われる。
【0027】
まず、情報端末30の操作受付部31は、第1初期設定動作の開始を指示する開始操作をユーザから受け付ける(S11)。
【0028】
制御部34は、操作受付部31によって受け付けられた開始操作に基づき、マップ画像を含む初期設定画面を表示部32に表示する(S12)。図4は、初期設定画面の一例を示す図である。マップ画像32mは、複数の照明器具20が設置されたエリアの上面から見た図であり、図4の例では照明器具の設置位置P1~P6が丸印で示されている。つまり、マップ画像32mは、複数の照明器具20の設置位置を示す画像である。マップ画像は、あらかじめ記憶部35に記憶されている。
【0029】
なお、ステップS12の時点では、複数の照明器具20がどのように配置されているかは既知であるが、どの場所にどの照明器具20が位置しているかは不明である。つまり、ステップS12の時点では、照明器具20の設置位置と照明器具20の識別情報とは対応付けられていない。
【0030】
ここで、複数の照明器具20のそれぞれは、メッシュネットワークに参入する前には、ビーコン信号(アドバタイズ信号などと呼ばれることもある)を定期的に送信している。複数の照明器具20のそれぞれが発するビーコン信号には、当該照明器具20の識別情報(MACアドレスなど)が含まれる。
【0031】
この状況で、操作受付部31は、スキャン範囲の設定操作と、スキャン開始操作とをユーザから受け付ける(S13、S14)。スキャン範囲の設定操作は、例えば、図4の初期設定画面におけるスライダーバー32aへのドラッグ操作(スライド操作)である。スキャン範囲の設定操作は、言い換えれば、後述の受信信号強度の閾値を変更するための操作である。また、スキャン開始操作は、例えば、図4の初期設定画面におけるスキャン開始アイコン32bへのタップ操作である。
【0032】
スキャン開始操作が受け付けられたことを契機に、無線通信部33は、複数の照明器具20のそれぞれからビーコン信号を受信する(S15)。ここでは、説明の便宜上、複数の照明器具20の全ては、無線通信部33と通信可能な範囲に位置するものとする。
【0033】
制御部34は、受信されたビーコン信号それぞれの受信信号強度を計測し、受信されたビーコン信号のうち受信信号強度が閾値以上のビーコン信号を選択する(S16)。ここでの受信信号強度は、一定期間における受信信号強度の最大値であってもよいし、一定期間における受信信号強度の平均値であってもよいし、一定期間における受信信号強度の最小値であってもよい。閾値は、上記ステップS13で受け付けられたスキャン範囲の設定操作によって変更され、スキャン範囲が広く設定されるほど、閾値は低い(小さい)値となる。
【0034】
次に、制御部34は、選択されたビーコン信号の発信元の照明器具20のアイコン32cを表示部32に表示する。言い換えれば、制御部34は、情報端末30を基準とした所定範囲内に位置すると考えられる複数の照明器具20の複数のアイコン32cを表示部32に表示する(S17)。図5は、照明器具20の複数のアイコン32cが表示された初期設定画面の一例を示す図であり、複数のアイコン32cが横一列に並べて表示されている。複数のアイコン32cは、ステップS16において選択されたビーコン信号に含まれる識別情報に対応する(識別情報を示す)アイコンと考えることもできる。
【0035】
次に、操作受付部31は、複数のアイコン32cの選択操作を設置者から受け付ける(S18)。選択操作は、例えば、複数のアイコン32cのいずれかへのタップ操作である。制御部34は、操作受付部31によって受け付けられた選択操作に基づき、無線通信部33に点滅指令を送信させる(S19)。点滅指令は、例えば、選択操作の後に、点滅アイコン32dへのタップ操作が受け付けられたことを契機に送信される。
【0036】
点滅指令においては、選択されたアイコン32cに対応する照明器具20の識別情報が指定されている。点滅指令は、複数の照明器具20のうち当該識別情報を有する照明器具20である対象の照明器具20を選択的に点滅させるための信号である。複数の照明器具20のうち対象の照明器具20は、点滅指令を受信すると、点滅する(S20)。
【0037】
情報端末30を操作しているユーザは、点滅している対象の照明器具20の実際の設置位置を目視で確認し(S21)、点滅している対象の照明器具20のマップ画像32m上での設置位置(例えば、設置位置P1~P6のいずれか)を指定する。操作受付部31は、マップ画像32m内の照明器具20の設置位置の指定操作をユーザから受け付ける(S22)。そうすると、制御部34は、ステップS18で選択されたアイコン32cが示す識別情報と、ステップS22で指定された設置位置とを対応付けて記憶部35に記憶する(S23)。また、制御部34は、対応付けが完了したアイコン32cの表示を解除する(S24)。つまり、ステップS15で表示された複数のアイコン32cの数が1つ減少する。
【0038】
ステップS16~ステップS24の処理は、ステップS17において表示された全てのアイコン32c(識別情報)と、設置位置との対応付けが完了するまで繰り返される。また、ステップS15において全ての照明器具20のビーコン信号を受信できなかった場合には、情報端末30を保持したユーザが場所を移動することにより無線通信部33が通信可能な範囲が変更された後、ステップS13~ステップS22の処理が再度行われる。この結果、記憶部35には、複数の照明器具20の識別情報と、その設置位置との対応関係を示す対応情報が記憶される。図6は、対応情報の一例を示す図である。
【0039】
上述のステップS21で説明したように、照明器具20の実際の設置位置と、マップ画像32m上の位置との照合は、ユーザの目視によって行われる。そうすると、受信信号強度に閾値を設けない場合には、ステップS17において、ユーザから遠く離れた照明器具20のアイコン32cを含む多数のアイコン32cが表示されてしまう。図7は、受信信号強度に閾値が設けられない場合に情報端末30に表示される照明器具20のアイコン32cの数を説明するための図である。
【0040】
ユーザから遠く離れた照明器具20のアイコン32cが選択されると、ユーザから遠く離れた照明器具20が点滅し、ユーザが点滅中の照明器具20の正確な設置位置を把握できず、正確な設置位置を把握するために移動を行う必要がある。つまり、作業の遅延が生じてしまうという課題がある。
【0041】
このような課題に対し、情報端末30は、受信信号強度に閾値を設け、受信信号強度が閾値以上となるビーコン信号の発信元の照明器具20のアイコン32cのみを選択的に表示部32に表示する(上記ステップS16、及び、ステップS17参照)。閾値が高く設定されれば、図8に示されるように、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコン32cだけが表示される。図8は、受信信号強度に閾値が設けられる場合に情報端末30に表示される照明器具20のアイコン32cの数を説明するための図である。
【0042】
このように情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコン32cのみが選択的に表示されれば、ユーザが点滅中の照明器具20の正確な設置位置を把握できないといったことが発生しにくくなる。つまり、作業の効率化が図られる。
【0043】
なお、情報端末30が閾値の変更が可能な構成を有することは必須ではなく、閾値はあらかじめ定められた固定値であってもよい。この場合の閾値は、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコン32cだけが表示されるように、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0044】
[第2初期設定動作]
次に、第2初期設定動作(プロビジョニングとも記載される)について説明する。図9は、第2初期設定動作のシーケンス図である。
【0045】
まず、情報端末30の操作受付部31は、第2初期設定動作の開始を指示する開始操作をユーザから受け付ける(S31)。開始操作には、照明器具20の識別情報の指定操作などが含まれる。制御部34は、開始操作によって指定された識別情報を有する照明器具20とユニキャストで通信を行い、無線通信部33に当該照明器具20へ設定情報を送信させる(S32)。照明器具20は、設定情報を受信し、照明器具20が備える記憶部(図示せず)に記憶する(S33)。
【0046】
設定情報は、照明器具20がメッシュネットワークに参入するための情報である。設定情報には、照明器具20が所属するメッシュネットワークのネットワークID、及び、メッシュネットワーク内での通信に用いられる照明器具20のアドレス情報(ユニキャストアドレス)が含まれる。設定情報には、必要に応じて、メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。照明器具20が他のメッシュワークに属する照明器具20と通信可能な上位ノードである場合には、設定情報には、照明器具20が上位ノードとして機能するために必要な情報が含まれる場合がある。
【0047】
設定情報が記憶部に記憶された照明器具20は、メッシュネットワークに参入することができる。ステップS31~ステップS33の処理は、全ての照明器具20がメッシュネットワークに参入するまで繰り返される。メッシュネットワークに参入した照明器具20は、参入前に行っていたビーコン信号の定期的な送信を停止する。
【0048】
なお、ステップS31~ステップS33の処理は、第1初期設定動作(図4)に含まれてもよい。例えば、第1初期設定動作のステップS23よりも後に、対象の照明器具20に対してステップS31~ステップS33の処理が行われてもよい。
【0049】
[変形例]
上記第1初期設定動作のステップS17においては、受信信号強度が閾値以上のビーコン信号の発信元の照明器具20(以下、第一照明器具とも記載される)のアイコン32cが表示され、受信信号強度が閾値未満のビーコン信号の発信元の照明器具20(以下、第二照明器具とも記載される)のアイコン32cは表示されなかった。しかしながら、第二照明器具のアイコン32cは、第一照明器具のアイコンと異なる態様で表示されてもよい。例えば、第一照明器具のアイコンは、カラー表示され、第二照明器具のアイコンは、ウォッシュアウト表示(グレースケール表示)されてもよい。
【0050】
このように、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコン32cと、情報端末30の遠くに位置する照明器具20のアイコン32cとが区別して表示されれば、ユーザは、目視で位置を確認するのに適した、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコンだけを選択して、識別情報と設置位置との対応付け作業を行うことができる。つまり、ユーザは、識別情報との対応付け作業の効率化を図ることができる。
【0051】
また、第1初期設定動作のステップS17においては、情報端末30から対象の照明器具20へ点滅指令が送信された。ここで、点滅指令は、対象の照明器具20を他の照明器具20と異なる状態に遷移させるための制御指令の一例であり、制御部34は、点滅指令以外の制御指令を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させてもよい。
【0052】
例えば、対象の照明器具20及び他の照明器具20が消灯状態である場合には、制御部34は、対象の照明器具20を点灯状態に遷移させるための点灯指令(制御指令の別の一例)を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させてもよい。対象の照明器具20及び他の照明器具20が点灯状態である場合には、制御部34は、対象の照明器具20を消灯状態に遷移させるための消灯指令(制御指令の別の一例)を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させてもよい。このように、制御指令は、対象の照明器具20が備える光源22を他の照明器具20が備える光源22と異なる態様で発光または消灯させるための指令であればよい。
【0053】
また、上記実施の形態においては、メッシュネットワークは、情報端末30及び複数の照明器具20によって構成されたが、メッシュネットワークは、情報端末30及び複数の他のデバイス(照明器具20ではないデバイス)によって構成されてもよい。また、メッシュネットワークは、情報端末30、及び、複数の照明器具20に加えて、他のデバイスを含んでよい。
【0054】
上記他のデバイスとしては、ユーザが照明器具20を制御するために操作する照明用リモートコントローラ、及び、ACリレーなどが例示される。なお、ACリレーとは、例えば、配線ダクトに取り付けられ、当該配線ダクトへの交流電力の供給をオン及びオフすることにより、当該配線ダクトに取り付けられた照明器具を点灯及び消灯することができる装置である。
【0055】
また、上記他のデバイスは、空気調和機、換気装置、カメラ、人感センサ、または、環境センサなどの照明に直接的に関連しないデバイスであってもよい。なお、環境センサには、温度センサ、湿度センサ、二酸化炭素濃度センサ、及び、PM(Particle Matter)センサなどが含まれる。
【0056】
なお、上記実施の形態では、ユーザが照明器具20の設置位置を目視で確認するための状態提示部として、照明器具20が備える光源22が利用された。しかしながら、メッシュネットワークを構成するデバイスは、照明器具20に限定されないことから、各デバイスが備える状態提示部についても様々な態様が考えられる。
【0057】
例えば、各デバイスは、状態提示部として光源(デバイスが照明器具20ではない場合には、LEDインジケータなど)を備えてもよい。各デバイスは、状態提示部としてスピーカを備え、出音によって状態を提示してもよい。各デバイスは、当該デバイスの専用機能(デバイスが空気調和機であるときには送風機能など)を状態提示部として使用してもよい。なお、状態提示部は、情報端末30から送信される制御指令に基づいて、他のデバイスが備える状態提示部と異なる態様の提示を行えばよい。
【0058】
[効果等]
以上説明したように、情報端末30は、複数の照明器具20をメッシュネットワークへ参入させるための情報処理を行う情報端末である。複数の照明器具20のそれぞれは、当該照明器具20がメッシュネットワークへ未参入であるときに当該照明器具20の識別情報を含むビーコン信号を送信する。情報端末30は、ビーコン信号を受信する無線通信部33と、受信されたビーコン信号のうち受信信号強度が閾値以上のビーコン信号に含まれる識別情報に対応するアイコン32cを表示する表示部32と、表示部32に表示されたアイコン32cの選択操作を受け付ける操作受付部31と、選択されたアイコン32cが示す識別情報と、複数の照明器具20のうち当該識別情報を有する照明器具20である対象の照明器具20の設置位置とを対応付けて情報端末30が備える記憶部35に記憶する制御部34とを備える。制御部34は、さらに、対象の照明器具20がメッシュネットワークに参入するための情報を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させる。照明器具20は、デバイスの一例である。
【0059】
このような情報端末30は、ユーザがメッシュネットワークを構築するための照明器具20の識別情報と設置位置との対応付けを行うときに、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコンをユーザに提示することができる。
【0060】
また、例えば、制御部34は、対象の照明器具20を、複数の照明器具20のうち対象の照明器具20以外の他の照明器具20と異なる状態に遷移させるための制御指令を無線通信部33に対象の照明器具20へ送信させる。操作受付部31は、対象の照明器具20が制御指令に基づいて他の照明器具20と異なる状態に遷移した後、対象の照明器具20の設置位置の指定操作を受け付ける。制御部34は、選択されたアイコン32cが示す識別情報と、指定された対象の照明器具20の設置位置とを対応付けて記憶部35に記憶する。
【0061】
このような情報端末30は、ユーザが対象の照明器具20実物を視認しながら、対象の照明器具20と識別情報と設置位置との対応付けを行うことを支援することができる。
【0062】
また、例えば、複数の照明器具20のそれぞれは、状態提示部を備える。制御指令は、対象の照明器具20が備える状態提示部に他の照明器具20が備える状態提示部と異なる態様の提示を行わせるための指令である。
【0063】
このような情報端末30は、ユーザが対象の照明器具20実物の状態を視認しながら、対象の照明器具20と識別情報と設置位置との対応付けを行うことを支援することができる。
【0064】
また、例えば、状態提示部は、光源22であり、制御指令は、対象の照明器具20が備える光源22を他の照明器具20が備える光源22と異なる態様で発光または消灯させるための指令である。
【0065】
このような情報端末30は、ユーザが対象の照明器具20実物の発光状態を視認しながら、対象の照明器具20と識別情報と設置位置との対応付けを行うことを支援することができる。
【0066】
また、例えば、操作受付部31は、さらに、閾値を変更するための操作を受け付ける。
【0067】
このような情報端末30は、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコンの数を変更することができる。
【0068】
また、通信システム10は、情報端末30と、複数の照明器具20とを備える。
【0069】
このような通信システム10は、ユーザがメッシュネットワークを構築するための照明器具20の識別情報と設置位置との対応付けを行うときに、情報端末30の近くに位置する照明器具20のアイコンをユーザに提示することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、識別情報としてMACアドレスが例示されたが、識別情報は、照明器具を一意に特定できるものであればよく、MACアドレスに限定されない。
【0072】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法は、一例である。装置間の通信方法については特に限定されるものではない。
【0073】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0075】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0076】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の通信システムまたは情報端末として実現されてもよいし、情報端末が実行する情報処理方法として実現されてもよい。本発明は、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録された非一時的な記録媒体として実現されてもよい。このようなプログラムには、汎用の情報端末などのコンピュータを、上記実施の形態の情報端末として機能させるためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0077】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10 通信システム
20 照明器具
21 無線通信部
22 光源
30 情報端末
31 操作受付部
32 表示部
32a スライダーバー
32b スキャン開始アイコン
32c アイコン
32d 点滅アイコン
32m マップ画像
33 無線通信部
34 制御部
35 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9