(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095221
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H05F 3/02 20060101AFI20230629BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20230629BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20230629BHJP
【FI】
H05F3/02 N
H02K11/30
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210981
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太郎
【テーマコード(参考)】
5G067
5H611
【Fターム(参考)】
5G067AA58
5G067DA01
5G067DA02
5H611AA03
5H611BB07
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611SS00
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】静電気による電子基板の破損を抑制しつつ、電子基板を小型化させ、モータの製造コストを低減させる。
【解決手段】基板1を備えるモータであって、軸方向の一端部に当該一端部以外の他部の外径よりも小径かつ同心の棒状の突起部41が形成された段付き構造であるシャフト4と、基板1に設けられ、特定の電子部品14が接続される第1の回路パターン13と、基板1において、静電気を帯電するシャフト4からの最短距離が第1の回路パターン13及び電子部品14の双方よりも近い位置に形成され、突起部41からの静電気を放電する第2の回路パターン11と、備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を備えるモータであって、
軸方向の一端部に当該一端部以外の他部の外径よりも小径かつ同心の棒状の突起部が形成された段付き構造であるシャフトと、
前記基板に設けられ、特定の電子部品が接続される第1の回路パターンと、
前記基板において、静電気を帯電する前記シャフトからの最短距離が前記第1の回路パターン及び前記電子部品の双方よりも近い位置に形成され、前記突起部からの前記静電気を放電する第2の回路パターンと、
を備えることを特徴とする、モータ。
【請求項2】
前記特定の電子部品、又は第1の回路パターンの少なくとも一部は、前記軸方向から見て、前記基板上における前記シャフトの前記他部と重なる領域に位置する
ことを特徴とする、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第2の回路パターンは、スルーホールによって前記基板上に形成される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第2の回路パターンは、前記基板における電源の正極側又は負極側に前記静電気を放電する
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記基板において、前記第2の回路パターンと前記正極側又は前記負極側との間に配置されたコンデンサを備える
ことを特徴とする、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記突起部と前記第1の回路パターン又は前記電子部品との間の最短距離と、前記突起部と前記第2の回路パターンとの間の最短距離との差は、0.3ミリメートルよりも大きい
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記シャフトの前記他部と前記第1の回路パターン又は前記電子部品との間の最短距離と、前記突起部と前記第2の回路パターンとの間の最短距離との差は、0.3ミリメートルよりも大きい
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を備えたモータ(別言すれば、電動機)に関し、特にシャフトに帯電した静電気を放電する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基板(電子基板や制御基板とも呼ばれる)が内蔵或いは付設されたモータでは、シャフトに帯電した静電気をいかにして放電するかが重要である。シャフトの近傍の基板上に信号線があると、シャフトからの静電気の放電により、集積回路(IC)等の静電気に弱い部品において素子破壊を発生させることがあるからである。特に、シャフトに樹脂製のファン等が取り付けられている場合には、シャフトに静電気が帯電しやすい。
【0003】
従来、基板を備えたモータに、放電用の構成を設ける技術が提案されている。例えば、基板を内蔵したブラシレスモータにおいて、導体性の部材で形成された筐体及び蓋を接地し、蓋に設けた突起をシャフトの先端に対向配置して、シャフトに帯電した静電気をシャフト先端から突起に放電させる技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のブラシレスモータでは、シャフト先端をテーパー状にすることで接地効果が向上するとされている。
【0004】
また、基板を内蔵したブラシレスモータにおいて、電子部品が接続される回路よりもシャフトに近い位置に静電気を放電するための回路を配置して静電気を放電させる技術が存在する(例えば、特許文献2参照)。特許文献2のブラシレスモータでは、GNDパターンに接続させたスルーホールを制御基板上に配置し、シャフトをスルーホールに貫通させ、シャフトとスルーホールとの間で静電気を放電させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-325852号公報
【特許文献2】特開2021-89797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、シャフト先端をテーパー状にすることで接地効果を得ようとしているが、例えば直径3mm以上のシャフトにおいてテーパー構造を採用する場合には、テーパー状にした先端が鈍角になり、高い放電特性が得にくくなるおそれがある。また、特許文献2に開示された技術では、基板の貫通孔の大きさがシャフトの外径によって決まる。このため、シャフトの外径を大きくする必要がある場合、例えばモータの高回転化によりシャフトの剛性を高める必要がある場合には、基板の貫通孔も大きくせざるを得ず、基板の大型化を回避できず、ひいてはモータの小型化が難しい。
【0007】
本明細書に開示の技術は、このような課題に鑑み案出されたもので、静電気による基板の破損を抑制しつつ、基板及びモータの小型化を実現し、モータの製造コストを低減させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)ここで開示するモータは、基板を備えるモータであって、軸方向の一端部に当該一端部以外の他部の外径よりも小径かつ同心の棒状の突起部が形成された段付き構造であるシャフトと、前記基板に設けられ、特定の電子部品が接続される第1の回路パターンと、前記基板において、静電気を帯電する前記シャフトからの最短距離が前記第1の回路パターン及び前記電子部品の双方よりも近い位置に形成され、前記突起部からの前記静電気を放電する第2の回路パターンと、を備えたことを特徴としている。
(2)前記特定の電子部品、又は第1の回路パターンの少なくとも一部は、前記軸方向から見て、前記基板上における前記シャフトの前記他部と重なる領域に位置することが好ましい。
【0009】
(3)前記第2の回路パターンは、スルーホールによって前記基板上に形成されることが好ましい。
(4)前記第2の回路パターンは、前記基板における電源の正極側又は負極側に前記静電気を放電することが好ましい。
(5)前記基板において、前記第2の回路パターンと前記正極側又は前記負極側との間に配置されたコンデンサを備えることが好ましい。
【0010】
(6)前記突起部と前記第1の回路パターン又は前記電子部品との間の最短距離と、前記突起部と前記第2の回路パターンとの間の最短距離との差は、0.3ミリメートルよりも大きいことが好ましい。
(7)前記シャフトの前記他部と前記第1の回路パターン又は前記電子部品との間の最短距離と、前記突起部と前記第2の回路パターンとの間の最短距離との差は、0.3ミリメートルよりも大きいことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
開示のモータによれば、静電気による基板の破損を抑制しつつ、基板及びモータを小型化でき、モータの製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図2に示したモータの断面図の部分拡大図である。
【
図4】変形例に係るモータの断面図の部分拡大図(
図3に対応する図)である。
【
図5】
図1に示したモータが備える基板の表面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、実施形態としてのモータについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。以下、図中において、同一の各符号は同様の部分を示しているので、その説明は省略する場合がある。
【0014】
[1.構成]
図1は本実施形態に係るモータ100の分解斜視図であり、
図2は
図1に示したモータ100を軸方向に切断して適宜簡略化した断面図である。
図2の断面図では、便宜上、ハッチングを適宜省略している。本実施形態のモータ100は、例えば事務機器や家庭用電気機器などに使用される小型のブラシレスモータである。なお、モータ100の種類や用途は特に限定されない。例えば、モータ100は、ブラシ付きモータやリニアモータであってもよい。
【0015】
図1及び
図2に示すように、モータ100は、ケーシングとしてエンドベル103,ケース部101及びカバー102を有し、エンドベル103とカバー102とはケース部101を介して接続される。モータ100は、いずれもエンドベル103とカバー102との間に取り付け又は内蔵される、基板1,ステータ3,ロータマグネット6,ロータマグネット6と一体回転するシャフト4,センサマグネット5及びファン7を備える。
図2に示すように、エンドベル103には、シャフト4の一端側(基板1側)を回転自在に支持するボールベアリング8が取り付けられる。また、
図2に示すように、ケース部101には、シャフト4の他端側(カバー102側)を回転自在に支持するボールベアリング9が取り付けられる。ケース部101,カバー102及びエンドベル103は、例えば樹脂製である。
【0016】
シャフト4は、基板1側の一端部(基板1側)の外周に固定された円盤状のセンサマグネット5を備える。また、
図2に示すように、シャフト4の他端部(カバー102側)であってボールベアリング9よりも軸方向外側の先端部付近には、ファン7が取り付けられる。ファン7は、例えば樹脂製であり、モータ100のステータ3やロータマグネット6等の各種部品の冷却のために設けられる。ファン7が作動することで周囲の空気中に浮遊する塵等によって静電気が発生し、この静電気は、金属製のシャフト4へ移動しやすい。
【0017】
基板1は、絶縁性の板材に電子回路が形成された電子基板(制御基板)である。モータ100は、基板1に設けられた第1の回路パターン13及び第2の回路パターン11を備える。第1の回路パターン13は、特定の電子部品14が接続される回路パターンである。第2の回路パターン11は、シャフト4の一端部からの静電気を放電するための放電パターンである。電子部品14は、例えばICや抵抗,トランジスタ,コンデンサである。
【0018】
本実施形態のモータ100では、
図2に示すように、基板1をモータ100に取り付けた状態で、基板1のモータ100の内側を向く面に、回路パターン13(第1の回路パターン)が形成される。回路パターン13上には、センサマグネット5の回転角度を計測するためのホールセンサ12が備えられる。また、基板1において回路パターン13が形成されていない領域に、放電パターン11(第2の回路パターン)が形成される。
【0019】
図3は、
図2中の一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
図3に示すように、シャフト4は、軸方向の一端部(基板1側の端部)に突起部41(別言すれば、段付き部)が形成された段付き構造を持つ。突起部41は、シャフト4の軸方向の一端面から同心に突設された棒形状であり、当該突起部41以外の他部(突起部41を除く部分、以下「本体」ともいう)の外径よりも小径である。突起部41は、放電用の避雷針としての機能を持ち、シャフト4の本体と同様に円柱状であってよい。また、突起部41は、三角柱状や四角柱状を含む多角柱状であってもよいし、中空状であってもよい。突起部41の外周面は軸方向に延在しており、軸方向に交差するテーパー形状にはなっていない。
【0020】
放電パターン11は、シャフト4からの最短距離が回路パターン13及び電子部品14の双方よりも近い位置に形成される。放電パターン11は、基板1のVcc112又はGND111(
図5及び
図6を用いて後述)に接続される。これにより、ファン7において発生してシャフト4に帯電した静電気を、放電パターン11へ放電させることができる。なお、放電パターン11は、モータ100におけるファン7以外の種々の部品において発生してシャフト4に帯電した静電気の放電にも使用されてよい。
【0021】
突起部41と放電パターン11との最短距離をAとし、突起部41と回路パターン13又は電子部品14との最短距離をBとし、シャフト4の本体と回路パターン13又は電子部品14との最短距離をCとするとき、好ましくは、モータ100は以下の条件が成り立つように構成される。
A+0.3<B[mm] かつ A+0.3<C[mm]
【0022】
すなわち、突起部41と回路パターン13又は電子部品14との間の最短距離Bと、突起部41と放電パターン11との間の最短距離Aとの差は、0.3ミリメートルよりも大きくてよい。また、シャフト4の本体と回路パターン13又は電子部品14との間の最短距離Cと、突起部41と放電パターン11との間の最短距離Aとの差は、0.3ミリメートルよりも大きくてよい。
図3では、最短距離Bが突起部41と電子部品14との距離を図示しているが、回路パターン13の方が突起部41に近い場合には、当然、最短距離Bは突起部41と回路パターン13との距離となる。
【0023】
図3に示すように、電子部品14又は回路パターン13の少なくとも一部は、シャフト4の軸方向から見て、基板1上におけるシャフト4の本体と重なる領域Dに位置してよい。つまり、領域D内であっても放電パターン11が形成される領域以外に電子部品14又は回路パターン13を配置してよい。これにより、領域D内の放電パターン11の近傍にも電子部品14又は回路パターン13を配置することができ、基板1を小型化させることができる。なお、電子部品14又は回路パターン13を領域Dの内側と外側とに亘って配置してもよいし、当然ながら、領域Dの外側に配置することも可能である。
【0024】
図4は、変形例に係るモータ100の断面図の部分拡大図であり、
図3に対応する図である。
図4に示すように、本変形例のモータ100では、基板1の第2の回路パターンがスルーホール11aによって形成されている点で異なる。スルーホール11aは、軸方向から見て突起部41と重なる位置(突起部41の軸方向の延長線上)に形成された貫通孔である。スルーホール11aでは、符号E1で示すパターン(ハッチング部を参照)がVcc112又はGND111(
図5及び
図6を用いて後述)に接続されていると共に、符号E1から符号E3へ向かう方向及び符号E2から符号E4へ向かう方向のそれぞれにおいてパターンが形成されている。なお、突起部41はスルーホール11aの内側に入っておらず、スルーホール11aと突起部41とは径方向から見て互いに重ならない。この変形例に係るモータ100であっても、
図2及び
図3に示した放電パターン11と同様に、シャフト4に帯電した静電気をスルーホール11aへ放電させることができる。
【0025】
図5は、
図1に示した基板1の表面(おもて面)1aを例示する図であり、
図6は、
図5の基板1の裏面1bを例示する図である。
図5及び
図6に示すように、基板1は、例えば円盤状であり、表面1a及び裏面1bの略全体に亘って回路パターン13が形成されており、その中心部に放電パターン11が形成される。
【0026】
図5に示すように、放電パターン11よりも表面1aの径方向の外側部分には、3つのホールセンサ12を含む複数の電子部品14が設置される。なお、
図5では、放電パターン11の近傍に位置する一部の電子部品にのみ符号「14」を付し、その他の電子部品への符号の図示は省略している。また、電子部品14は、静電気による破損を防止したい種々の電子部品であってよく、例えばICや抵抗,トランジスタ,コンデンサであってよい。
【0027】
図5及び
図6に示すように、基板1には、Vcc112(別言すれば、電源ライン又は電源の正極)及びGND111(別言すれば、グランドライン又は電源の負極)が接続される。Vcc112又はGND111は、放電パターン11に接続されることによって、シャフト4からの静電気を放電させる。
【0028】
図5に示すように、基板1において、放電パターン11とVcc112又はGND111との間には、1以上(
図5に示す例では3つ)のコンデンサ15が設置されてよい。コンデンサ15及び電子部品14に含まれるコンデンサは、目的に応じて仕様を適宜選定するため、設置される全てを同一形状,同一規格としなくてもよい。
図5に示す例では、コンデンサ15と電子部品14に含まれるコンデンサとでは、形状及び規格が異なっている。シャフト4からの静電気は、放電パターン11を通じ、コンデンサ15によりバイパスされた後に、Vcc112又はGND111から放電されてよい。コンデンサ15は、基板1上に放電される電流をパルス状にして(別言すれば、高周波の信号として)出力する。コンデンサ15は、比較的小さなインピーダンスを有するものであってよい。
【0029】
[2.効果]
(1)上述したモータ100では、シャフト4の一端部に突起部41が設けられるとともに、シャフト4と放電パターン11との最短距離が、回路パターン13及び電子部品14の双方よりも近くなるように各要素4,11,13,14の配置関係が設定されている。このため、段付き構造のシャフト4の突起部41から放電パターン11へ静電気を放電させることにより、静電気による基板1の破損を抑制することができる。また、モータ100の高回転化によりシャフト4の径が大きくなる場合であっても、シャフト4を貫通させるための孔を基板1に形成しなくてよいため、基板1を小型化でき、モータ100の小型化を実現しやすく、また、モータ100の製造コストを低減させることができる。
【0030】
なお、直径3mm以上のシャフトにおいてテーパー構造を採用する場合には、テーパー状にした先端が鈍角になり、高い放電特性が得にくいが、段付き構造のシャフト4によれば、高い放電特性を得ることができる。更に、放電用の避雷針としての機能を持つ突起部41をシャフト4の一端部に設けたため、追加の部品を設置する必要がなく、静電気対策を実現できる。
【0031】
(2)上述したモータ100によれば、特定の電子部品14、又は第1の回路パターン13の少なくとも一部が、軸方向から見て基板1上におけるシャフト4の本体と重なる領域Dに配置されることから、電子部品14又は第1の回路パターン13の高密度実装により、基板1をより小型化でき、モータ100の製造コストをより低減させることができる。
【0032】
(3)また、
図4に示す変形例では、シャフト4に帯電した静電気をスルーホール11aへ放電させることができる。また、ある程度の厚みがある放電パターン11の代わりに、スルーホール11aが形成されることにより、シャフト4の突起部41が基板1に接触することを防ぐことができる。このため、放電パターン11を基板1上に形成する構成と比較して、シャフト4を基板1側により近づけて配置することができ、モータ100の小型化をより実現しやすくすることができる。
【0033】
(4)放電パターン11は、基板1における電源の正極側又は負極側に静電気を放電するため、基板1上の電子部品14を適切に保護できる。
(5)また、基板1において放電パターン11と電源の正極側又は負極側との間にコンデンサ15が備えられる場合、基板1上に放電される電流をパルス状にして(別言すれば、高周波の信号として)比較的小さなインピーダンスを有するコンデンサ15に流すことができる。これにより、電子部品14に静電気が流れ出すことなく、確実にしかも迅速にコンデンサ15を通じて静電気を流すことができ、電子部品14の故障の可能性をより低減できる。
【0034】
(6)また、突起部41と回路パターン13又は電子部品14との間の最短距離Bと、突起部41と放電パターン11との間の最短距離Aとの差は、0.3ミリメートルよりも大きいため、突起部41から回路パターン13及び電子部品14の双方へ放電することがない。これにより、基板1上の電子部品14を適切に、しかも確実に保護できる。
【0035】
(7)また、シャフト4の本体と回路パターン13又は電子部品14との間の最短距離Cと、突起部41と放電パターン11との間の最短距離Aとの差は、0.3ミリメートルよりも大きいため、シャフト4の本体から回路パターン13及び電子部品14の双方へ放電することがない。これにより、基板1上の電子部品14を適切に、しかも確実に保護できる。
【0036】
[3.その他]
開示の技術は、上述したモータ100の構成に限定されない。例えば、
図1及び
図2に示すモータ100は一例であり、エンドベル103やファン7が省略されてもよいし、シャフト4を支持するボールベアリング8,9がボールベアリング以外の軸受であってもよい。また、
図5及び
図6に示す基板1の構成は一例であり、コンデンサ15を省略してもよいし、回路パターン13,放電パターン11の形状が図示するものでなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
100 :モータ
101 :ケース部
102 :カバー
103 :エンドベル
1 :基板
1a :表面
1b :裏面
3 :ステータ
4 :シャフト
41 :突起部
5 :センサマグネット
6 :ロータマグネット
7 :ファン
8,9 :ボールベアリング
11 :放電パターン
11a :スルーホール
111 :GND
112 :Vcc
12 :ホールセンサ
13 :回路パターン
14 :電子部品
15 :コンデンサ