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  • 特開-熱交換器のタンク接続構造 図1
  • 特開-熱交換器のタンク接続構造 図2
  • 特開-熱交換器のタンク接続構造 図3
  • 特開-熱交換器のタンク接続構造 図4
  • 特開-熱交換器のタンク接続構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095230
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】熱交換器のタンク接続構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20230629BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
F28F9/02 301D
F28F3/08 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210998
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】小宅 智樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀之
(57)【要約】
【課題】 バー・アンド・プレート型の熱交換器におけるタンク内に溶接される補強板の溶接の作業性および強度の向上。
【解決手段】 この熱交換器のコア4は、平面が長方形のプレート3を用いて、プレート3、仕切部1、プレート3、バー材2の順で繰り返し積層され、仕切部1はプレート3の、ある両端部に配置され、バー材2は他の両端部に配置されている。コア4においてバー材2が配置されている端面にタンク5が接合される。タンク5内には、タンク5の内壁とコア4の前記端面との間をつなぐ補強板6が配置されている。その補強板6は、コア4を構成するプレート3、仕切部1およびバー材2の積層方向に延在している。前記端面におけるプレート3間の開口部7には、その開口部7を部分的に閉塞する溶接用架橋材8が配置されており、補強板6のコア側の端部6aがバー材2及び溶接用架橋材8に溶接されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面が長方形のプレート(3)を用いて、
プレート(3)、仕切部(1)、プレート(3)、バー材(2)の順で繰り返し積層され、仕切部(1)はプレート(3)の、ある両端部に配置され、バー材(2)は他の両端部に配置されているコア(4)と、
コア(4)においてバー材(2)が配置されている端面に接合されるタンク(5)と、
タンク(5)の内壁とコア(4)の前記端面との間をつなぐ補強板(6)と、
を具備し、
補強板(6)は、コア(4)を構成するプレート(3)、仕切部(1)およびバー材(2)の積層方向に延在している熱交換器のタンク接続構造において、
前記端面におけるプレート(3)間の開口部(7)には、その開口部(7)を部分的に閉塞する溶接用架橋材(8)が配置されており、
補強板(6)のコア側の端部(6a)がバー材(2)及び溶接用架橋材(8)に溶接されている熱交換器のタンク接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器のタンク接続構造において、
溶接用架橋材(8)に隣接するプレート(3)に切欠き(11)が形成されおり、その切欠き(11)に嵌合する突起(12)が前記溶接用架橋材(8)に形成された熱交換器のタンク接続構造。
【請求項3】
請求項1に記載の熱交換器のタンク接続構造において、
溶接用架橋材(8)に隣接するプレート(3)に溶接用架橋材(8)が配置された開口部(7)内に突出する突部(13)が形成され、その突部(13)に前記溶接用架橋材(8)が保持された熱交換器のタンク接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バー・アンド・プレート型のコアを有する熱交換器におけるタンクの耐圧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバー・アンド・プレート型の熱交換器のタンク接続構造として、図5の構造が提案されている。
この従来型の熱交換器は、図5(A)に示す如く、プレート23、第1バー材21、プレート23、第2バー材22の順で繰り返し積層され、第1バー材21はプレート23の、ある両端部に配置され、第2バー材22は他の両端部に配置されているコア24を有する。コア24において第2バー材22が配置されている端面には、タンク25が接合される。
タンク25の内壁には、タンク25の内壁とコア24の端面との間をつなぐ補強板26が配置されている。その補強板26は、コア24を構成する第1バー材21、第2バー材22およびプレート23の積層方向に延在している。
コア24の端面におけるプレート23間には、開口部27が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような熱交換器のタンク接続構造においては、図5(B)に記載の例のように、第2バー材22と開口部27とが交互に配置されており、コア24と補強板26の端部26aの溶接部29は断続的になる。
そのため、補強板26の溶接の作業性が悪くなるとともに、溶接部29の溶接長が短くなるため、溶接強度が不足するおそれがある。
本発明は、上記問題について解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、平面が長方形のプレート3を用いて、
プレート3、仕切部1、プレート3、バー材2の順で繰り返し積層され、仕切部1はプレート3の、ある両端部に配置され、バー材2は他の両端部に配置されているコア4と、
コア4においてバー材2が配置されている端面に接合されるタンク5と、
タンク5の内壁とコア4の前記端面との間をつなぐ補強板6と、
を具備し、
補強板6は、コア4を構成するプレート3、仕切部1およびバー材2の積層方向に延在している熱交換器のタンク接続構造において、
前記端面におけるプレート3間の開口部7には、その開口部7を部分的に閉塞する溶接用架橋材8が配置されており、
補強板6のコア側の端部6aがバー材2及び溶接用架橋材8に溶接されている熱交換器のタンク接続構造である。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器のタンク接続構造において、
溶接用架橋材8に隣接するプレート3に切欠き11が形成されおり、その切欠き11に嵌合する突起12が前記溶接用架橋材8に形成された熱交換器のタンク接続構造である。
【0006】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の熱交換器のタンク接続構造において、
溶接用架橋材8に隣接するプレート3に溶接用架橋材8が配置された開口部7内に突出する突部13が形成され、その突部13に前記溶接用架橋材8が保持された熱交換器のタンク接続構造である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、コア4のバー材2が配置されている端面におけるプレート3間の開口部7に、その開口部7を部分的に閉塞する溶接用架橋材8が配置され、補強板6のコア側の端部6aがバー材2及び溶接用架橋材8に溶接されているものである。
これにより、補強板6をコア4に連続的に溶接部9を形成することができ、溶接の作業性が向上する。それと共に、補強板6の溶接部9の溶接長が長くなり、溶接強度が十分確保される。
【0008】
請求項2に記載の発明のように、溶接用架橋材8に隣接するプレート3に切欠き11が形成されおり、その切欠き11に嵌合する突起12が溶接用架橋材8に形成されている場合には、溶接用架橋材8が確実に位置決めされる。
【0009】
請求項3に記載の発明のように、溶接用架橋材8に隣接するプレート3に溶接用架橋材8が配置された開口部7内に突出する突部13が形成され、その突部13に前記溶接用架橋材8が保持されている場合には、溶接用架橋材8が確実に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の熱交換器のタンク接続構造を示す説明図であり、図1(A)は要部斜視図、図1(B)は図1(A)のB部拡大図。
図2図1(A)のII-II矢視断面図。
図3】同タンク接続構造の第1実施例であり、図3(A)はその要部斜視図、図3(B)は図3(A)のB-B矢視断面図。
図4】本発明の熱交換器のタンク接続構造の第2実施例であり、図4(A)はその要部斜視図、図4(B)は図4(A)のB-B矢視断面図。
図5】従来型の熱交換器のタンク接続構造を示し、図5(A)は要部斜視図であり、図5(B)は図5(A)のB部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の熱交換器のタンク接続構造を示す説明図であり、図1(A)は要部斜視図であり、図1(B)は図1(A)のB部拡大図である。図2は、図1(A)のII-II矢視断面図である。
【0012】
本発明において、仕切部1はバー材等の部材による構成としてもよいし、プレート3の端部を折り畳んで構成してもよい。以降の説明では、この仕切部1を第1バー材1として説明し、バー材2を第2バー材2として説明する。本発明のプレート3は、平面が長方形である。
この例の熱交換器は、プレート3、第1バー材1、プレート3、第2バー材2の順で繰り返し積層され、第1バー材1はプレート3の、ある両端部に配置され、第2バー材2は他の両端部に配置されているコア4が形成されている。
第1バー材1とプレート3で囲まれている部位には第1流路7aが形成され、第2バー材2とプレート3で囲まれている部位には第2流路7bが形成される。
【0013】
第2バー材2の頂部は、図1に示す如く、平坦に形成されており、コア4の端面を構成している。その第2バー材2の頂部に隣接した位置には、第1流路7aの開口部7が位置している。
このコア4の各第1流路7aの開口部7を有する端面には、図1(A)および図2に示す如く、一対のタンク5が接合されている。
図2に示す如く、タンク5および各第1流路7aには第1流体14が流通し、各第2流路7bには第2流体15が流通する。それらの流体14、15間で熱交換が行われる。
【0014】
この例のタンク5は、タンク本体5aと側板5bからなる。
タンク5の内部には、プレート3、第1バー材1および第2バー材2の積層方向に延在する補強板6がコア4の端面に立設され、コア4の端面とタンク5の内壁とをつないでいる。補強板6のコア側の端部6aは、各第2バー材2の長手方向の中間位置を横断している。
第1流路7aの開口部7には、図1(A)に示す如く、その開口部7の第1流路7aの短手方向の幅に整合する溶接用架橋材8が配置されており、その溶接用架橋材8は開口部7の補強板6のコア側の端部6aが横断する位置を部分的に閉塞する。溶接用架橋材8の頂部は、図1(A)(B)に示す如く、平坦に形成されている。各第2バー材2の平坦な頂部と溶接用架橋材8の平坦な頂部は、面一となっていることが望ましい。
補強板6のコア側の端部6aは、各第2バー材2の平坦な頂部と溶接用架橋材8の平坦な頂部に当接しており、それらの当接部位において溶接部9が形成されている。
このような構造によって、補強板6をコア4の端面に連続的に溶接する溶接部9を形成することができ、溶接の作業性が向上する。また、溶接部9の溶接長が長くなり、補強板6の溶接強度が十分確保される。その結果、タンク5の耐圧性が向上する。
なお、補強板6には、補強板6の奥へ第1流体14を通過させるための連通口16が設けられている。
【0015】
図3は、溶接用架橋材8を位置決めする構造の第1実施例であり、図3(A)はその要部斜視図であり、図3(B)は図3(A)のB-B矢視断面図である。
この例では、図3(A)、図3(B)に示す如く、第1流路7aを構成する一対のプレート3の開口部7に、切欠き11が形成されている。また、溶接用架橋材8には、各プレート3の切欠き11に嵌合する突起12が形成されている。
そして、溶接用架橋材8の突起12をプレート3の切欠き11の位置に嵌合し、溶接用架橋材8を開口部7に位置決めする。
開口部7には、溶接用架橋材8の配置位置を除いて、インナフィン10が介装されている。
【0016】
図4は、溶接用架橋材8を位置決めする構造の第2実施例であり、図4(A)はその要部斜視図であり、図4(B)は図4(A)のB-B矢視断面図である。
この例では、第1流路7aを構成する一対のプレート3の開口部7の近傍に、第1流路7a内に突出する突部13が形成されている。そして、図4(A)、図4(B)に示す如く、その突部13に溶接用架橋材8の側面が接することで、溶接用架橋材8が開口部7に位置決めされる。
開口部7には、溶接用架橋材8の配置位置を除いて、インナフィン10が介装されている。
【0017】
溶接用架橋材8を位置決めする構造は、図3図4の実施例に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、バー・アンド・プレート型の熱交換器に広く適用可能であり、特に高い耐圧性能を要求される建設機械用のオイルクーラに好適である。
【符号の説明】
【0019】
1 仕切部(第1バー材)
2 バー材(第2バー材)
3 プレート
4 コア
5 タンク
5a タンク本体
5b 側板
6 補強板
6a 端部
【0020】
7 開口部
7a 第1流路
7b 第2流路
8 溶接用架橋材
9 溶接部
10 インナフィン
11 切欠き
12 突起
13 突部
14 第1流体
15 第2流体
16 連通口
【0021】
21 第1バー材
22 第2バー材
23 プレート
24 コア
25 タンク
26 補強板
26a 端部
27 開口部
29 溶接部
図1
図2
図3
図4
図5