(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095239
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230629BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20230629BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230629BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 600
G01N21/84 E
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211014
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿南 真一
(72)【発明者】
【氏名】村上 忠史
【テーマコード(参考)】
2G051
3K244
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA20
2G051BB02
2G051BB03
2G051BC01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB05
3K244AA07
3K244BA09
3K244BA16
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA14
3K244EA22
3K244ED03
3K244ED12
3K244ED14
3K244ED27
(57)【要約】
【課題】光源からカメラへ直接入射する光の光量を抑制しつつ、高い照明率で対象物に光を照射する。
【解決手段】本実施形態に係る照明装置は、LED60と、LED60から入射された光を出射する第1面11aと、第1面11aと対向し、光を反射および/または屈折させる複数のプリズム70が配置された第2面11bとを有する第1導光板11とを備える。LED60は、第1導光板11に対して、少なくとも2つの方向から光を出射する。各プリズム70は、第1面11aと第2面11bとが対向する第1方向に対して対称となる凹部75を有する。凹部75は、Z方向に対して、互いに対称になるように形成された略平面である第1制御面71および第2制御面72と、第1制御面71および第2制御面72を接続する底面73とを有する。第1制御面71および第2制御面72には、反射防止コーティングが施されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から入射された光を出射する第1面と、前記第1面と対向し、前記光を反射および/または屈折させる複数のプリズムが配置された第2面とを有する導光板と、
前記光源と前記導光板とを収容し、前記第1面および前記第2面の外側に前記光を透過させる透過部を有する筐体とを備え、
前記光源は、前記導光板に対して、少なくとも2つの方向から前記光を出射し、
前記各プリズムは、前記第1面と前記第2面とが対向する第1方向に対して対称となる凹部を有し、
前記凹部は、前記第1方向に対して、互いに対称になるように形成された略平面である第1制御面および第2制御面と、前記第1制御面および前記第2制御面を接続する底面とを有し、
前記第1制御面および第2制御面には、反射防止コーティングが施されている、照明装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記第1方向に対して回転対称である、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源は、前記導光板に対して、4つ以上の方向から前記光を出射する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記底面は、前記第2面とのなす角度が、前記第1制御面とのなす角度よりも小さい曲面である、請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1制御面と前記第2面とのなす角度は、35°以上65°以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記底面の幅は、前記凹部の開口の幅に対して、25%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品(以下、対象物ともいう)の外観検査などのために光を照射する照射装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、導光板の一方の板面に複数の凹部が形成されており、各凹部の表面が滑らかな凹曲面で形成されている。これにより、導光板に入射した光が凹部で拡がるように反射し導光板の他方の板面から外部に射出されて、所定の対象物に照射されるとともに、対象物を、導光板の一方の板面側から導光板を通じて観察できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/045557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、対象物の外観検査を行う場合、例えば、導光板の各辺にLED(光源)が設けられ、導光板の一面側に対象物が配置され、導光板の他面側に対象物を観察するためのカメラなどが配置される。この場合、導光板の他面側にプリズムなどが形成され、LEDから出射した光が、導光板に形成されたプリズムによって、導光板の一面側に反射され、対象物に照射されることとなる。
【0006】
ここで、上記構成では、LEDから出射した一部の光が、プリズムによって、導光板の他面側に反射され、カメラに直接入射してしまうことがある。カメラに直接入射する光の光量が多いと、カメラ画像のコントラスト低下などが発生し、外観検査の精度が低下する。
【0007】
さらに、上記構成では、対象物に凹部によって反射された拡散光が照射されるため、導光板から出射された光の一部しか対象物へ照射できず照明率が低くなる。
【0008】
本開示は、光源からカメラへ直接入射する光の光量を抑制しつつ、高い照明率で対象物に光を照射することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る照明装置は、光源と、前記光源から入射された光を出射する第1面と、前記第1面と対向し、前記光を反射および/または屈折させる複数のプリズムが配置された第2面とを有する導光板と、前記光源と前記導光板とを収容し、前記第1面および前記第2面の外側に前記光を透過させる透過部を有する筐体とを備え、前記光源は、前記導光板に対して、少なくとも2つの方向から前記光を出射し、前記各プリズムは、前記第1面と前記第2面とが対向する第1方向に対して対称となる凹部を有し、前記凹部は、前記第1方向に対して、互いに対称になるように形成された略平面である第1制御面および第2制御面と、前記第1制御面および前記第2制御面を接続する底面とを有し、前記第1制御面および第2制御面には、反射防止コーティングが施されている、照明装置。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、光源からカメラへ直接入射する光の光量を抑制しつつ、高い照明率で対象物に光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る外観検査装置の概略構成図。
【
図3A】第1照明モードで対象物に照明光を照射した場合の照明装置の要部の断面模式図。
【
図3B】第2照明モードで対象物に照明光を照射した場合の照明装置の要部の断面模式図。
【
図3C】第3照明モードで対象物に照明光を照射した場合の照明装置の要部の断面模式図。
【
図4A】第1照明モードで対象物に照明光を照射した場合の対象物の画像の模式図。
【
図4B】第2照明モードで対象物に照明光を照射した場合の対象物の画像の模式図。
【
図4C】第3照明モードで対象物に照明光を照射した場合の対象物の画像の模式図。
【
図6】本実施形態に係る第1導光板における光路変更部の拡大断面図。
【
図7】本実施形態に係る第1面光源の配光部分布を示す図。
【
図8】本実施形態に係る第1面光源の配光部分布を示す図。
【
図9】本実施形態の他の実施形態に係る第1導光板における光路変更部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
(実施形態1)
[外観検査装置の構成]
図1は、本実施形態に係る外観検査装置の概略構成図を示す。
【0014】
なお、以降の説明において、照明装置100に組み込まれた状態の第1面光源10の中心を通り、第1導光板11の第1面11aと直交する方向と平行な方向をZ方向と呼ぶことがある。また、第1導光板11の第1面11aと平行な方向のうちの一の方向をX方向と呼び、第1導光板11の第1面11aと平行であって、かつX方向と直交する方向をY方向と呼ぶことがある。また、Z方向において、カメラ200が配置される側を上または上方あるいは上側と呼ぶことがある。また、Z方向において、対象物600が配置される側を下または下方あるいは下側と呼ぶことがある。また、X方向及びY方向のそれぞれに平行な平面をXY平面と呼ぶことがある。
【0015】
また、照明装置100をZ方向から見た場合を「平面視」と呼ぶことがある。また、照明装置100またはその断面をX方向またはY方向から見た場合を「断面視」と呼ぶことがある。
【0016】
なお、本願明細書において、「直交」や「平行」とは、外観検査装置500に含まれる比較対象同士が、外観検査装置500を構成する各部品の製造公差や組立公差を含んで直交している、または平行であるという意味である。比較対象同士が厳密な意味で直交している、または平行であることまでを意味するものではない。
【0017】
図1に示すように、外観検査装置500は、照明装置100とカメラ(撮像装置)200と画像解析装置300と備えている。また、外観検査装置500は、照明用電源400と照明制御装置410とをさらに備えている。
【0018】
照明装置100は、第1~第3面光源10,20,30を有している。第1~第3面光源10,20,30は、上からこの順で重ね合わさられて配置されている。
【0019】
第1~第3面光源10,20,30は、それぞれ対象物600に向けて照明光を照射する。ただし、第1~第3面光源10,20,30のそれぞれにおいて、対象物600に向けた照明光の照射領域(
図2B参照。以下、第1~第3照射領域13,23,33と呼ぶことがある。)は、平面視で一部のみが重なるように配置されている。照明装置100及び第1~第3面光源10,20,30の構造は、後で詳述する。
【0020】
照明用電源400は、照明制御装置410からの制御信号にしたがって、第1~第3面光源10,20,30のそれぞれに含まれる光源、この場合はLED(光源)60(Light Emitting Diode;
図2A~2C参照)に電力を供給する。所定の電力が供給されたLED60が発光して、照明光が発生する。
【0021】
照明制御装置410は、予め準備されたプログラムまたはシーケンスにしたがって、第1~第3面光源10,20,30のそれぞれに対して、照明光を発生させるタイミングや期間、つまり、照明光がオンする(点灯する)タイミングやオン期間を制御する制御信号を照明用電源400に出力する。また、照明制御装置410は、予め準備されたプログラムまたはシーケンスにしたがって、第1~第3面光源10,20,30のそれぞれに対して、照明光を停止させるタイミングや期間、つまり、照明光のオフする(消灯する)タイミングやオフ期間を制御する制御信号を照明用電源400に出力する。照明制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)を有しており、前述した機能は、CPU上で前述のプログラムまたはシーケンスを実行することで実現される。
【0022】
カメラ200は、照明装置100からの照明光が照射された対象物600を撮像し、その画像を取得する。カメラ200は、レンズと撮像素子を有している(いずれも図示せず)。撮像素子として、公知のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0023】
画像解析装置300は、画像処理部310と記憶部320と表示部330とを少なくとも備えている。画像処理部310は、CPUまたはGPU(Graphics Processing Unit)あるいは、これらの両方を有している(いずれも図示せず)。画像処理部310は、カメラ200で取得された画像を電気信号(以下、画像信号ともいう)として受け取り、画像信号に対して種々の信号処理、例えば、ノイズ除去処理やエッジ強調処理等を行うことが可能に構成されている。これらの信号処理機能は、CPUまたはGPUで予め定められたシーケンス等を実行することで実現される。
【0024】
なお、画像解析装置300は、入力部(図示せず)をさらに備えていてもよい。入力部は、例えば、キーボードやタッチパネル等のデバイスである。入力部から画像処理部310に所定の命令を入力して、画像処理部310に信号処理を実行させるようにしてもよい。
【0025】
記憶部320は、RAM(Random Access Memory)やSSD(Solid State Device)、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイスで構成される。記憶部320は、信号処理前の画像信号や信号処理後の画像信号を保存する。また、記憶部320は、前述のシーケンス等を保存する。記憶部320は、これら以外の情報、例えば、対象物600の外観検査結果等を保存してもよい。
【0026】
表示部330は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスである。表示部330は、画像処理部310で信号処理された後の対象物600の画像を表示する。なお、表示部330は、信号処理前の対象物600の画像を表示してもよい。また、表示部330は、これら以外の情報、例えば、対象物600の外観検査結果等を表示してもよい。なお、表示部330をタッチパネルとして、入力部と兼用させてもよい。
【0027】
[照明装置の構成]
図2Aは、照明装置の要部の断面模式図を示し、
図2Bは、
図2Aの部分拡大図を示し、
図2Cは、第1面光源の平面模式図を示す。
【0028】
図2A,2Bに示すように、第1面光源10は、第1導光板11と複数のLED(光源)60と蓋材50とを少なくとも有している。第2面光源20は、第2導光板21と複数のLED60とを少なくとも有している。第3面光源30は、第3導光板31と複数のLED60とを少なくとも有している。また、第1~第3面光源10,20,30をそれぞれ所定の位置に配置して組み立てるにあたって、第1~第3固定具51~53が用いられる。なお、蓋材50および第1~第3固定具51~53が筐体に相当する。
【0029】
第1~第3導光板11,21,31のそれぞれは、照明光に対して透明な材質、例えば、石英ガラス、アクリル等からなる基板である。また、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれは、平坦面である第2面11b,21b,31bとこれにZ方向で対向する第1面11a,21a,31aとを有している。なお、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、「第1面」とは、照明光が出射される面、すなわち、対象物600が配置される側の面をいい、「第2面」とは、カメラ200が配置される側の面をいう。本実施形態では、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、第1面11a,21a,31aは、第2面11b,21b,31bよりもZ方向で下方に位置している。また、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、第1面11a,21a,31aと第2面11b,21b,31bは、それぞれ、Z方向が法線方向である。
【0030】
平面視で、第2導光板21は、第1導光板11よりも大きく、第3導光板31は、第2導光板21よりも大きい。さらに言うと、平面視で、第1導光板11の外周は、第2導光板21の外周の内側に位置し、第2導光板21の外周は、第3導光板31の外周の内側に位置している。
【0031】
また、第1面光源10と第2面光源20と第3面光源30とが、Z方向に沿ってこの順に、かつそれぞれの中心軸O1~O3が一致するように重ね合わせられて配置されている。
図2Aに示すように、第1面光源10の中心軸O1は、平面視で、第1導光板11の中心を通り、かつZ方向に延びる仮想軸である。同様に、第2及び第3面光源20,30のそれぞれの中心軸O2,O3は、平面視で、第2及び第3導光板21,31のそれぞれの中心を通り、かつZ方向に延びる仮想軸である。中心軸O1は、第1面光源10から出射される照明光の光軸に相当する。
【0032】
また、
図2Bに示すように、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれは、内部に光路変更部12,22,32が設けられている。光路変更部12,22,32は、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれの側面から入射して内部に伝搬された照明光が、それぞれの第1面11a,21a,31aに向かうように光路を変更させる。光路変更部12,22,32は、例えば、以下に示す方法で形成される。ただし、光路変更部12,22,32の形成方法は、特にこれに限定されない。
【0033】
第1~第3導光板11,21,31が、それぞれガラス材料である場合、例えば、第2面11b,21b,31bからレーザ光を照射し、ガラス表面を部分的に溶融・昇華させて凹部を形成する。この凹部表面では照明光に対する角度が異なるため、凹部で反射された光の一部が導光板の外へ取り出される。なお、光路変更部12,22,32の構造は、特にこれに限定されない。前述したように、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれの内部で、照明光が第1面11a,21a,31aに向かうように光路を変更できる構造であればよい。なお、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれの内部における光路変更部12,22,32の配置については後で述べる。
【0034】
なお、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、側面を「第3面」と呼ぶことがある。第3面の法線方向は、第1面11a,21a,31a及び第2面11b,21b,31bのそれぞれの法線方向、この場合は、Z方向と交差している。
【0035】
複数のLED60は、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれの外周に沿って互いに間隔をあけて配置されている。また、
図2B,2Cに示すように、複数のLED60は、LED基板61の表面に実装されている。LED基板61は、表面にLED60への給電用配線(図示せず)が形成されたプリント配線板である。給電用配線は、照明用電源400に電気的に接続されている。
【0036】
また、LED60が実装されたLED基板61は、スペーサ62に保持され、さらに、第1~第3固定具51~53により、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれに取り付け固定される。このことにより、第1~第3導光板11,21,31と各LED基板61との距離及び第1~第3導光板11,21,31に対する各LED基板61の位置が定まる。
【0037】
複数のLED60は、それぞれ公知の白色LEDである。よって、第1~第3面光源10,20,30のそれぞれから出射される照明光は、白色光である。ただし、LED60の発光色は、特にこれに限定されない。対象物600の材質や形状に応じて、所望の外観検査を行う上で適宜変更されうる。例えば、照明光が可視光ではない赤外光であってもよい。
【0038】
第1~第3固定具51~53及び蓋材50は、入射された照明光を所定以上の比率で吸収する材質からなる吸光部材である。例えば、蓋材50は、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムの薄板であり、第1~第3固定具51~53は、表面にアルマイト処理が施されたアルミニウムの成形品または組立品である。第1~第3固定具51~53や蓋材50は、入射された照明光(白色光)の90%以上を吸収する。ただし、照明光の吸収比率は特にこの値に限定されず、外観検査に求められる仕様等に応じて適宜変更されうる。
【0039】
図2Cに示すように、第1面光源10において、蓋材50は、第1導光板11の外周から所定の長さだけ内側に入り込んで、第1導光板11の第2面11bを覆うように設けられている。すなわち、蓋材50には、開口50a(
図2B,2Cにおいて、ドットパターンが付された領域)を有する。この開口50aは、平面視で、四角形であるが、その形状は、
図2Cに示したものに特に限定されない。例えば、円形や楕円形でもよいし、n角形(nは4以上の整数)でもよい。なお、
図2B,2Cにおいて、平面視で、蓋材50に覆われていない部分を第1照射領域13と呼ぶことがある。また、
図2Cに示す例では、第1導光板11は四角形であるが、これも特に限定されず、適宜変更しうる。例えば、円形でもよいし、n角形でもよい。
【0040】
また、
図2Bに示すように、第1固定具51の下方部分は、第1導光板11の第1面11aのうち、外縁部分、つまり、第1導光板11の外周から所定の長さだけ内側に入り込んだ部分を覆っている。また、第1~第3面光源10,20,30が、重ね合わせて配置された状態で、第1固定具51の下方部分は、第2導光板21の第2面21bのうち、外縁部分を覆っている。
【0041】
同様に、第2固定具52の下方部分は、第2導光板21の第1面21aのうち、外縁部分を覆っている。また、第1~第3面光源10,20,30が、重ね合わせて配置された状態で、第2固定具52の下方部分は、第3導光板31の第2面31bのうち、外縁部分を覆っている。つまり、第1及び第2固定具51,52と蓋材50とは、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、第2面11b,21b,31bの外縁部分を覆うように設けられている。
【0042】
また、第3固定具53の下方部分は、第3導光板31の第1面31aのうち、外縁部分を覆っている。具体的には、第3固定具53は、第3面光源30において、第3導光板31の外周から所定の長さだけ内側に入り込んで、第3導光板31の第1面31aを覆うように設けられている。すなわち、第3固定具53の下方部分には、開口53aが形成されている。この開口53aは、平面視で、例えば、四角形であるが、その形状は、特に限定されない。なお、開口50a,53aが透過部に相当する。
【0043】
第2導光板21のうち、平面視で、第1固定具51の下方部分に覆われた部分(
図2Bにおいて、ドットパターンが付された領域)を、第2照射領域23と呼ぶことがある。第3導光板31のうち、平面視で、第2固定具52の下方部分に覆われた部分(
図2Bにおいて、ドットパターンが付された領域)を、第3照射領域33と呼ぶことがある。
【0044】
図示しないが、第2導光板21の第2面21bのうち、第1固定具51で覆われていない部分の外形は、前述の第1照射領域13の外形と略同じであってもよい。ただし、当該部分の外形が、第1照射領域13の外形と異なっていてもよく、例えば、平面視で、n角形でも円形でも楕円形でもよい。同様に、第3導光板31の第2面31bのうち、第2固定具52で覆われていない部分の外形は、第1照射領域13の外形と略同じであっても、異なっていてもよく、例えば、平面視で、n角形でも円形でも楕円形でもよい。
【0045】
図示しないが、第2照射領域23及び第3照射領域33は、いずれも、平面視で環状である。中心軸O1~O3から見て、第2照射領域23は、第1照射領域13の外側に位置し、第3照射領域33は、第2照射領域23の外側に位置する。ただし、第1照射領域13の外縁部分と第2照射領域23の内縁部分とが一部重なっているのが好ましい。同様に、第2照射領域23の外縁部分と第3照射領域33の内縁部分とが一部重なっているのが好ましい。
【0046】
後で述べるように、本実施形態の外観検査装置500は、外観検査項目に応じて、第1~第3面光源10,20,30のいずれから照明光が照射されるのかをコントロールできる。その際、第1~第3面光源10,20,30のすべてから照明光を対象物600に向けて照射する場合がある(例えば、
図4C参照)。この場合、平面視で、第1照射領域13と第2照射領域23との間、また、第2照射領域23と第3照射領域33との間に隙間があると、対象物600の表面で照明光のムラが生じ、所望の画像を取得できない場合がある。一方、前述したように、第1照射領域13と第2照射領域23、また、第2照射領域23と第3照射領域33とで、それぞれ平面視での重なりを生じるようにすると、対象物600の表面での照明光のムラの発生を防止し、所望の画像を取得することが可能となる。
【0047】
また、
図2Bに示すように、第1~第3照射領域13,23,33の内部に、それぞれ光路変更部12,22,32が形成されている。言い換えると、第1~第3照射領域13,23,33は、それぞれ、第1~第3導光板11,21,31において、光路変更部12,22,32が形成された領域である。
【0048】
なお、第1照射領域13は、第1面光源10の中心軸O1を通る位置に配置される。このようにすることで、対象物600に照明光が照射された後の戻り光が、蓋材50や第1~第3固定具51~53に覆われていない第1照射領域13を透過してカメラ200に入射される。よって、カメラ200で対象物600の画像を確実に取得でき、対象物600の表面状態を正しく評価できる。
【0049】
なお、光路変更部12,22,32においてプリズムとして機能する部分は、対象物600からの戻り光に対して、実際には不透明である。よって、第1照射領域13におけるプリズムとして機能する部分は、平面視で、互いに間隔をあけて形成されることが好ましい。また、平面視で、第1照射領域13におけるプリズムとして機能する部分の面積は、第1照射領域13の全体の面積よりも小さい一定の割合に制限することが好ましい。例えば、本実施形態では、プリズムとして機能する部分の面積を、第1照射領域13の全体の面積の20%程度としている。この割合であれば、第1照射領域13の全体に光路変更部12を設けても、カメラ200により対象物600の画像を確実に取得できる。なお、当該割合は、特にこの値に限定されない。当該割合が、5%~40%程度の範囲であれば、外観検査を行うにあたって、実用的な対象物600の画像を取得できる。
【0050】
また、第2照射領域23や第3照射領域33は、それぞれ第2面21b,31bが第1固定具51と第2固定具52に覆われており、対象物600からの戻り光は透過しない構造である。したがって、第2照射領域23及び第3照射領域33のそれぞれにおいて、平面視で、全体の面積に対するプリズムとして機能する部分の面積は、第1照射領域13における前述した割合よりも大きくてもよい。
【0051】
なお、外観検査装置500において、カメラ200は、対象物600にピントが合うように配置されている。つまり、カメラ200に設けられたレンズの焦点が対象物600の表面に位置するように、カメラ200が配置されている。この場合、第1照射領域13に形成された光路変更部12は、対象物600の画像にほとんど映り込まないため、対象物600の画像解析に大きな影響は与えない。
【0052】
また、通常の外観検査において、平面視で、第2照射領域23や第3照射領域33は、対象物600の外側に位置する。それぞれの領域から出射される照明光は、空間的な広がりを有している。このため、第2照射領域23や第3照射領域33と対象物600とのZ方向の距離を適切に設定することで、照明光を対象物600に照射することができる。同様に、対象物600のX方向及びY方向のサイズに対する第2照射領域23や第3照射領域33のX方向及びY方向のサイズを適切に設定することで、照明光を対象物600に照射することができる。
【0053】
一方、照明光が対象物600に確実に照射されるように、プリズムとして機能する部分の形状を制御して形成することもできる。つまり、第1導光板11に形成された光路変更部12により、照明光は、光軸が中心軸O1と略一致するように光路を変更されて、第1導光板11の第1面11aから出射される。一方、照明光は、第2導光板21に形成された光路変更部22により、光路を変更されて、Z方向から傾いて、中心軸O2の延長線上に向かうように、第2導光板21の第1面21aから出射される。同様に、照明光は、第3導光板31に形成された光路変更部32により光路を変更されて、Z方向から傾いて、中心軸O3の延長線上に向かうように、第3導光板31の第1面31aから出射される。なお、中心軸O2,O3に対する照明光の出射方向の角度が、第2面光源20よりも第3面光源30で大きくなるのは言うまでもない。
【0054】
なお、
図2Bに示すように、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれにおいて、第1面11a,21a,31a及び第2面11b,21b,31bのうち、第1~第3固定具51~53及び蓋材50に覆われていない部分には、反射防止コーティング40が設けられている。反射防止コーティング40は、照明光や対象物600によって反射、散乱された照明光の戻り光に対して所定以下の反射率、例えば、4%未満の反射率を有する材料からなる。当該部分に反射防止コーティング40を設けることにより、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれから外部に出射される照明光が、第1~第3導光板11,21,31のそれぞれの第1面11a,21a,31aおよび第2面11b,21b,31bで不要な反射を受けるのを防止できる。このことにより、対象物600に照射される際に光路変更部12のプリズムで出射された照明光が界面で上方へ反射されて、カメラに向かい、撮像を阻害することを防止することができる。また、対象物600で反射または散乱されて、カメラ200に戻ってくる照明光の戻り光が、第1~第3導光板11,21,31でそれぞれの第2面11b,21b,31bで不要な反射を受けるのを防止できる。このことにより、照明光の戻り光が、第1~第3導光板11,21,31をそれぞれ透過してカメラ200に入射される際のロスを低減できる。したがって、対象物600の鮮明な画像を取得でき、対象物600の表面状態を正しく評価できる。
【0055】
以上に説明したように、第1~第3面光源10,20,30においては、LED60から照射された光は、光路変更部12,22,32によって、第1面11a,21a,31aに向かうように光路がそれぞれ変更(反射)され、第3固定具53の開口53aを介して、対象物600に照射される。そして、対象物600に照射された光は、対象物600によって反射され、第3固定具53の開口53aおよび蓋材50の開口50aを介して、カメラ200に入射する。
【0056】
[外観検査装置の動作]
図3A~3Cは、それぞれ第1~第3照明モードで対象物に照明光を照射した場合の照明装置の要部の断面模式図を示す。
図4A~4Cは、それぞれ第1~第3照明モードで対象物に照明光を照射した場合の対象物の画像の模式図を示す。
図5は、画像信号の信号処理過程を示す。
図6は、対象物の表面の物理状態と照明モードの違いによる対象物の画像の明暗状態の一覧を示す。なお、
図3A~3Cにおいて、光路変更部12,22,32と反射防止コーティング40の図示を省略している。
【0057】
なお、
図4A~4Cに示す対象物600は、ベース基板610の上に、2本の金属パターン620が設けられている。また、2本の金属パターン620を跨ぐように、これらの上に白色樹脂からなる四角形の樹脂パターン630が設けられている。また、樹脂パターン630の上には、円形パターン631が存在している。2本の金属パターン620のうち、一方の表面には鉤状の傷621が存在し、他方の表面には輪郭が略楕円形の凸状欠陥623と輪郭が略三角形の汚れ622とが存在している。
【0058】
図1に示す外観検査装置500を用いて対象物600の外観検査を行うにあたって、以下に示す3つの照明モードで対象物600に照明光を照射する。このようにすることで、対象物600の表面の物理状態に応じて、検出したい欠陥等の画像を確実に取得することができる。
【0059】
まず、
図3Aに示すように、第1面光源10のみを動作させて対象物600に照明光を照射する(第1照明モード)。この場合、照明光の光軸は、中心軸O1に略一致する。また、対象物600の表面に対して、照明光の光軸が直交するように照射され、対象物600の表面で反射された戻り光が主としてカメラ200に入射される。その結果、
図6に示すように、表面の物理状態が照明光を反射する性質が強くなっている箇所は明るく映り、それ以外の箇所は暗く映る。例えば、
図4Aに示すように、金属パターン620の輪郭や凸状欠陥623は明瞭に認識できる。また、金属パターン620上の傷621や汚れ622については、暗く見えるが、背景となる金属パターン620が明るく見えるために視認性はかえって良くなる。一方、樹脂パターン630の輪郭や円形パターン631の輪郭は明瞭には視認されない。
【0060】
また、第1照明モードでは、第2面光源20や第3面光源30は動作していない。対象物600の表面で反射された戻り光が、第2照射領域23や第3照射領域33に入射した場合、第1固定具51や第2固定具52に戻り光が吸収される。そのため、第2導光板21や第3導光板31の内部で、戻り光の不要な伝搬が抑制される。
【0061】
次に、
図3Bに示すように、第3面光源30のみを動作させて対象物600に照明光を照射する(第2照明モード)。この場合、対象物600の表面に対して、照明光が斜めから照射される。その結果、対象物600の表面で散乱された散乱光が戻り光として主にカメラ200に入射される。その結果、
図6に示すように、表面の物理状態が照明光を散乱する性質が強くなっている箇所は明るく映り、それ以外の箇所は暗く映る。例えば、
図4Bに示すように、樹脂パターン630の輪郭及び円形パターン631の輪郭は明瞭に認識できる。一方、金属パターン620の輪郭や凸状欠陥623は明瞭には視認されない。また、背景となる金属パターン620が暗く見えるため、金属パターン620上の傷621や汚れ622についての視認性は、
図4Aに示す場合よりも低下する。
【0062】
また、第2照明モードでは、第1面光源10や第2面光源20は動作していない。対象物600の表面で散乱等された戻り光が、第2照射領域23に入射した場合、第1固定具51に戻り光が吸収される。そのため、第2導光板21の内部で、戻り光の不要な伝搬が抑制される。また、第1導光板11において、蓋材50で覆われた部分に戻り光が入射した場合、蓋材50に戻り光が吸収される。そのため、第1導光板11の内部で、戻り光の不要な伝搬が抑制される。
【0063】
さらに、
図3Cに示すように、第1~第3面光源10,20,30をすべて動作させて対象物600に照明光を照射する(第3照明モード)。この場合、照明光には、対象物600の表面に対して、光軸が直交するように照射される成分と斜めから照射される成分とが含まれる。よって、カメラ200に入射される戻り光は、対象物600の表面で反射された反射光と対象物600の表面で散乱された散乱光とが主な成分である。その結果、
図6に示すように、表面の物理状態が照明光を反射するかまたは散乱する性質が強くなっている箇所は明るく映り、それ以外の箇所は暗く映る。例えば、
図4Cに示すように、金属パターン620の輪郭や凸状欠陥623は明瞭に認識できる。同様に、樹脂パターン630の輪郭及び円形パターン631の輪郭は明瞭に認識できる。ただし、背景となる金属パターン620が暗く見えるため、金属パターン620上の傷621や汚れ622についての視認性は、
図4Aに示す場合よりも低下する。
【0064】
なお、カメラ200で取得された対象物600の画像を解析するにあたって、パターンの輪郭や欠陥や汚れ等の視認性を向上させる必要がある。このため、例えば、
図5に示すように、カメラ200の撮像素子から出力される画素信号に対して、画像処理部310で差動検出処理を行う。このようにすることで、画素信号の振幅、言い換えると、信号強度が2倍にできるとともに、オフセット成分、例えば、コモンモードノイズ等を除去できる。
【0065】
[光路変更部の構成]
図6は本実施形態に係る第1導光板における光路変更部の拡大断面図を示す。なお、
図6では、図面左側に設けられたLED60から照射された光を破線で示している。
【0066】
図6に示すように、光路変更部12は、複数のプリズム70を有する。複数のプリズム70は、第1~第3導光板11の第2面11bに形成されている。各プリズム70は、Z軸(第1方向)に対して対称となるような、図面上部に開口74を有する略円錐状(回転対称)の凹部75として形成されている。そして、各プリズム70(凹部75)の表面には、反射防止コーティング(ARコート)が施されている。
【0067】
具体的に、プリズム70(凹部75)は、第1制御面71、第2制御面72および底面73を有する。
【0068】
第1制御面71は、プリズム70における図面左側の面であり、図面左側に配置されたLED60から照射された光を下方に反射させる。第2制御面72は、プリズム70における図面右側の面であり、図面右側に配置されたLED60から照射された光を下方に反射させる。
図6に示すように、第1制御面71および第2制御面72は、X軸に対して、裾野角θをなすような略平面として形成されている。また、第1制御面71および第2制御面72は、Z軸に対して対称となるように形成されている。
【0069】
底面73は、第1制御面71および第2制御面72の間に形成された平面である。
図6に示すように、底面73は、第1制御面71と第2制御面72とを接続する平面として形成されている。
図6に示すように、底面73は、凹部75のX方向中央部に配置されており、その断面がX方向と一致するような直線状となるように形成されている。また、底面73は、第1導光板11の第2面11bとのなす角度が、第1制御面71とのなす角度よりも小さい。この底面73を第1制御面71と第2制御面72との間に形成することにより、第1制御面71と第2制御面72とのX方向の距離を空けることができる。
【0070】
図6では、図面左側に配置されたLED60から照射された光を、矢印で示している。
図6に示すように、第1制御面71と第2制御面72とのX方向の距離を空けることがで、第1制御面71に入射した光が、第2制御面72に入射せず、図面右側に抜けるようになる。すなわち、第1制御面71および第2制御面72の間に底面73を設けることにより、第1制御面71に入射した光が第2制御面72に入射して、カメラ200に直接入射することを抑止することができる。
【0071】
さらに、第1制御面71、第2制御面72および底面73には、反射防止コーティングが施されている。
図6では、第2制御面72に反射防止コーティングが施されていない場合のLED60から照射された光の光路を二点鎖線で示している。
図6に示すように、第2制御面72に反射防止コーティングが施されていない場合、LED60から照射された光の一部がカメラ200に直接入射することなる。これにより、第1制御面71および第2制御面72に入射した光が、カメラ200側に透過することを防止することができるため、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止することができる。
【0072】
図7は本実施形態に係る第1面光源の配光部分布を示す図である。
図7では、第1面光源10において、第1制御面71の上端と第2制御面72の上端とのX方向における間隔(開口74のX方向における幅)をプリズム幅とし、底面73のX方向の幅を底面幅とした場合の、プリズム幅と底面幅と裾野角θとの関係を説明するための図である。
図7では、行方向が裾野角θの設定値を示し、列方向がプリズム幅と底面幅との設定値を示し、それぞれの設定値における第1面光源10の配光曲線を図示している。また、
図7には、LED60が出力する光量を「出力全光束」、第1面光源10が上方20°(Z方向における上方に対して±10°の範囲)に出力する光量を「自明光20°」、第1面光源10が下方に出力した光のうち、下方100mmの位置にある120mm角の領域に入射した「下方120mm」、第1面光源10のS/N比((第1面光源10が下方に出力する光量)/(第1面光源10が上方に出力する光量))を「下方120mm/20°自明光」として示している。なお、
図7では、プリズム70に反射防止コーティング(ARコート)が施されておらず、第1導光板11の一辺の長さを100mm、開口51a,53aの一辺を70mmとし、第1導光板11の厚みを3mmとしている。そして、対象物600が第1導光板11から下方に98.5mmの位置に配置されている。
【0073】
図7における配光分布の各図において、第1面光源10の下方120mmの光量が高ければ、対象物600に対して効果的に光を照射することができる。また、第1面光源10の上方20°の照度が低ければ、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止できる。すなわち、第1面光源10のS/N比が高ければ、対象物600に対して効果的に光を照射しつつ、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止できるといえる。
【0074】
図7の各図を参照すると、裾野角θが35°~65°の範囲で、下方20°の光量が高くなっており、裾野角θが55°となる場合に、下方120mmの光量が最も高くなっている。したがって、プリズム70における裾野角θが35°~65°の範囲に設定すれば、対象物600に対して効果的に光を照射することができる。
【0075】
また、
図7の各図を参照すると、底面幅を大きくするにつれて、第1面光源10のS/N比が高くなる。特に、プリズム幅に対して、底面幅を25%(例えば、プリズム幅=280μm、底面幅=40μm)以上に設定した場合、第1面光源10のS/N比の上昇幅が高くなっている。したがって、底面幅を25%以上に設定すれば、対象物600に対して効果的に光を照射しつつ、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止できる。
【0076】
図8は本実施形態に係る第1面光源の配光部分布を示す図である。
図8では、プリズム70に反射防止コーティングが施されている点において、
図7と異なる。
図8と
図7とを比較すると、
図8の方が第1面光源10のS/N比が高くなっている。したがって、プリズム70に反射防止コーティングを施すことにより、対象物600に対して効果的に光を照射しつつ、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止できる。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態に係る照明装置は、LED60(光源)と、LED60から入射された光を出射する第1面11aと、第1面11aと対向し、光を反射および/または屈折させる複数のプリズム70が配置された第2面11bとを有する第1導光板11と、LED60と第1導光板11とを収容し、第1面11aおよび第2面11bの外側に光を透過させる開口50a,53a(透過部)を有する蓋材50および第1~第3固定具51~53(筐体)とを備える。LED60は、第1導光板11に対して、少なくとも2つの方向から光を出射する。各プリズム70は、第1面11aと第2面11bとが対向するZ方向(第1方向)に対して対称となる凹部75を有する。凹部75は、Z方向に対して、互いに対称になるように形成された略平面である第1制御面71および第2制御面72と、第1制御面71および第2制御面72を接続する底面73とを有する。第1制御面71および第2制御面72には、反射防止コーティング(ARコート)が施されている。
【0078】
この構成によると、第1制御面71および第2制御面72の間に底面73を形成することにより、第1制御面71と第2制御面72とのX方向の距離を空けることができる。これにより、例えば、LED60から第1制御面71に入射した光が、第2制御面72に入射しないようになるため、第1制御面71に入射した光が第2制御面72に入射して、カメラ200に直接入射することを抑止することができる。また、第1制御面71および第2制御面72には、反射防止コーティングが施されている。これにより、第1制御面71および第2制御面72に入射した光が、カメラ200側に透過することを防止することができるため、LED60からカメラ200に直接入射することを抑止することができる。さらに、第1制御面71および第2制御面72に反射防止コーティングを施すことによって、LED60から第1制御面71および第2制御面72に入射した光が、対象物600に対する方向に、より反射しやすくなる。これにより、対象物600に対する照明率を高めることができる。したがって、光源(LED60)からカメラへ直接入射する光の光量を抑制しつつ、高い照明率で対象物に光を照射することができる。
【0079】
また、凹部75は、Z方向に対して回転対称である。また、LED60は、第1導光板11に対して、4つ以上の方向から光を出射する。これにより、対象物600に対して、異方性の少ない光を照射でき、さらに光量を増加させることができる。
【0080】
底面73は、第2面11bとのなす角度が、第1制御面71とのなす角度よりも小さい曲面である。これにより、底面73の角度の急変がなく、製造のムラが発生しにくくなるため、プリズム70をレーザ加工により作成可能となる。
【0081】
(その他の実施形態)
また、上記実施形態では、プリズム70の底面73が、平面状になるように形成されているが、底面73の形状はこれに限られない。例えば、
図9に示すように、底面73が下方に凹むような曲面状に形成されていてもよい。すなわち、本実施形態におけるプリズム70の底面73は、平面や曲面などの略平面で形成されていれば、どのような形状であってもよい。なお、本実施形態では、略平面とは、その断面が略直線状となるような面を指す。
【符号の説明】
【0082】
10 第1面光源
11 第1導光板
11a 第1導光板の第1面
11b 第1導光板の第2面
12 光路変更部
50 蓋材(筐体)
51 第1固定具(筐体)
52 第2固定具(筐体)
53 第3固定具(筐体)
60 LED(光源)
70 プリズム
71 第1制御面
72 第2制御面
73 底面
74 開口
75 凹部
600 対象物