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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095263
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】狭所内情報取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
G01F23/292 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211051
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】518286219
【氏名又は名称】FIG株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595065323
【氏名又は名称】REALIZE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】奈須 健
(72)【発明者】
【氏名】肌野 文昭
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014FB01
2F014GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マンホール等の液位測定などのように、対象物までの距離を超音波を出射させ計測する狭所内情報取得装置を提供する。
【解決手段】狭所内情報取得装置1は、超音波センサ2と超音波センサを収容する送波管3とを有し、送波管は、内部に第1多孔質部41を嵌装させた中空形状の内管4と、この内管4に外挿させた外管5とを有する硬質樹脂製の管体で構成され、第1多孔質部は、中空有底円筒形状に形成され、内管に内挿された構成で、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、内管は、基端部に超音波センサを配置しており、先端部がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部4Bと、テーパ部の先に設けられ、細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒形状の絞り部4Cと、を有し、外管は、内管の絞り部から先の内部に中空略円筒形状を有する第2多孔質部51を設けた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲が閉ざされた狭空間、管内、又は生体内での対象物へ超音波を出射させることで、前記対象物を観察する狭所内情報取得装置であって、
超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、
前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、
前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、
前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、
前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿された、
ことを特徴とする狭所内情報取得装置。
【請求項2】
周囲が閉鎖されているとともに一部が開口した空間内の所定の測定部位までの距離を超音波によって計測する狭所内情報取得装置であって、
超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、
前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、
前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、
前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、
前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿された、
ことを特徴とする狭所内情報取得装置。
【請求項3】
前記超音波センサから出波した直後の超音波を収斂させるために前記超音波の波面形状を成形する波形成形手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の狭所内情報取得装置。
【請求項4】
前記第2多孔質部は、前記中空略円筒又は中空略角筒形状部分の孔径が、前記内管の前記絞り部の孔径と同一寸法若しくは略同一寸法であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の狭所内情報取得装置。
【請求項5】
前記第1多孔質部よりも硬質の樹脂で形成され、先端側がラッパ状に漸次拡開する拡開部を有する拡開管が、前記第1多孔質部の円筒形状内部の基端部側の内周面に内挿され、
前記拡開管の前記拡開部は、前記第1多孔質部の内周面からこの内部に食い込んだ状態で設置されることで、前記拡開部の先端側が食い込んだ前記第1多孔質部の内径は、前記拡開部が内挿された部分以外の前記第1多孔質部の内径よりも拡大された状態に構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の狭所内情報取得装置。
【請求項6】
前記縦孔空間の上部の中央に前記計測装置を吊下する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の狭所内情報取得装置。
【請求項7】
前記超音波センサは、側面部分の周囲が閉鎖されているとともに上部が開口し、下方に向けて延びる縦孔空間を有するマンホール、タンク、又は井戸の底部に溜まっている液体または水の深さを超音波によって計測するものであって、
前記超音波センサから液面又は水面までの距離の計測データと、前記超音波センサから前記液体又は水を溜めた前記底面までの距離の計測データとの差を算出することによって、液体又は水の深さを算出する演算手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の狭所内情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マンホールやタンク或いは井戸などのような周囲が閉ざされた狭い空間内で、液面や水面までの深さなどのような対象物までの距離を、超音波を出射させることで計測することができ、さらには、例えば各種管内や生体内の奥部の形状や様子を観察することも可能にした狭所内情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば汚水処理場などへ流れ込む下水の量を早めに察知するために、これより上流側のマンホール内の上部から下水の液面までの深さ(以下、これを「液位」とよぶことがある。)などを計測しようとするような場合に、例えば超音波センサなどを利用することが試みられていた。
【0003】
しかしながら、超音波センサなどから波出する超音波を利用した液位の計測を行おうとすると、この超音波は波出する出射口から周囲に大きく拡散する特性上、マンホール内のコンクリートなどで形成された内壁面でその多くが反射・散乱することが多い。
【0004】
従って、超音波センサの出射口から波出する超音波のうち、マンホール内直下の下水の流れる方向に向けてダイレクトに進行する超音波の割合は少なく、内壁面で反射・散乱する超音波が大多数であるので、この多数の反射・散乱する超音波に邪魔されて、正確な液位を計測するのが困難であった。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の超音波液位計が提案されている。即ち、この超音波液位計は、液体収容部に収容された液体の液面の上方に、液面に対して直交する方向に向けて超音波を送信するように配設された超音波送受信器と、超音波送受信器からの送受信波信号に基づいて超音波送受信器から液面までの距離を求める信号処理部とをそなえ、超音波送受信器に、上記の送信した超音波の拡散を防止する拡散防止構造を付設したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-9519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成の超音波液位計にあっては、超音波伝導管が長尺な形状である。即ち、これは、この超音液位計を2個設置することで、互いの超音波液位計から出射する超音波どうしが干渉するのを回避させるという意味もあって、超音波伝導管の先端側を液面よりも先まで深く設置させるために、先端側を長く延在させた構成となっている。
【0008】
このため、その分だけ材料費が余分に嵩むとともに、計測対象となる場所での設置が難しい場合も考えられる。例えば、計測対象場所での液面がかなり深い場所にあると、超音波伝導管の先端側が液まで達しないこともあり得る。
【0009】
また、前述の超音波伝導管で囲まれた管内での超音波は、その伝導管の内周面で多数の反射を起こす可能性もあり、この反射音が多重反射を起こすことで、液面を計測することが難しくなることも大いに考えられる。
【0010】
さらに、この特許文献1に記載のような構成の超音波液位計にあっては、例えば液体に対する流体力学、あるいは力学的な現象を考慮すると、超音波伝導管の内径の大きさにもよるが、外気圧と管内の内圧との圧力差の関係から、この超音波伝導管内の液面、つまり計測しようとする液面がこの管外での実際の液面とに多少のズレを生じることもある。このことから、正確な液面のレベルを計測する際には、精度の低下をもたらす虞もある。
【0011】
さらに、このような超音波を利用して生体の狭い管内や内部を観察することが検討されている。例えば不透明な液体で満たされた生体の管内の様子などを観察しようとする場合、例えば光学的な内視鏡などでは不透明な液体で視界を邪魔されて管内の壁面などの様子をクリアに観察することが難しいことも予想される。
【0012】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、マンホールやタンク或いは井戸などのような周囲が閉ざされた狭い空間内での液位のような対象物までの距離を、超音波を出射させることで正確に計測することができるとともに、さらに、下水管などのような各種管内の状況や生体内の奥部の形状や様子を観察することが可能な狭所内情報取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る狭所内情報取得装置は、周囲が閉ざされた狭空間、管内、又は生体内での対象物へ超音波を出射させることで、前記対象物を観察する狭所内情報取得装置であって、
超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿されたことを特徴とするものである。
【0014】
従って、本発明では、例えば光や電波などとは異なり、液体の影響を受け難い超音波の特性を利用し、下水管内などの液体が溜まっているような各種管内の状況や生体内の奥部の形状や様子を観察することが可能となっている。即ち、本発明では、超音波センサから出波する超音波の内の外部へ拡散しようとするものは、送波管の一部を構成する第1多孔質部によって、吸収又は減衰させることができ、装置内の中心部を進行する超音波だけを選別して装置直下の外部へ出波させることができるようになる。
また、本装置の外部から内部へ入り込もうとする不要な超音波は、その大部分が斜入射する超音波であるので、第2多孔質部の先端部でその多く吸収・遮断させることができる。また、万一、第2多孔質部を逸れて中心部である開口部から装置の内部へ侵入しても、第1多孔質部の中央部に設けた閉塞部で吸収させることができるので、測定対象物で反射して戻る超音波の中の、特に、超音波路の中心軸と平行に、かつ、中心軸近傍のみを進行して戻る超音波のみを選択して超音波センサへ入波させることができる。
【0015】
また、本発明に係る狭所内情報取得装置は、周囲が閉鎖されているとともに一部が開口した空間内の所定の測定部位までの距離を超音波によって計測する狭所内情報取得装置であって、超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿されたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明では、前述したように、先端部分は、第2多孔質部で周囲を覆って開口面積を狭めているので、測定対象となる空間が狭くて超音波が反射し易い材料で形成されたマンホールなどにあっては、先端部分から乱反射波が侵入するのを阻止することが可能となっている。この結果、周囲で乱反射する超音波を長尺な装置を用いなくても遮断することができ液面までの距離を、精度高く計測することが可能となる。
【0017】
特に、本発明では、前述したように、第1多孔質部の先端を完全に閉塞させた構造としているので、仮に第2多孔質部の開口した中心部側から乱反射波が侵入して放射状に広がりながら内部へ深く進入しようとしても、第1多孔質部の先端部を閉塞構造とすることで、超音波センサのある中心側の奥部への進行を、この閉塞部分の多孔質部で吸収させることができる。従って、超音波センサのある奥部へ乱反射波が侵入するのを阻止することもできる。その結果、さらに乱反射した超音波が装置内へ侵入するのを阻止できるので、より一層精度の高い距離計測が可能となる。
【0018】
さらに、この構成によれば、測定環境内が高湿度であったり、雨水が跳ねるなどしても、先端側に設けた第2多孔質部は周囲を外管で覆ってあることにより、第2多孔質部に水分などが付着して吸音効果が低減されることを防止することができる。例えば、完全に蓋で閉鎖されたマンホールではなく、例えばグレーチィング構造の蓋などでは大雨などの際には雨水が多く入り込むので、これを防止する効果が高い。
【0019】
また、前述したように、この狭所内情報取得装置によれば、超音波センサから出射される超音波のうち、第1多孔質部の中空部分を進行して閉塞部で吸収されずに透過するものの中で、放射状に散乱するものは内管で反射してもその直後にある第2多孔質部の内面で吸収されるので、液面に向けてほぼ垂直に進行する平行な超音波、換言すれば、周囲で散乱されることがなく直接液面に向かう超音波、のみを放出させることができる。このように、閉鎖された周囲の側壁面などで乱反射される超音波の発生を最小限に抑えることができ、その分、精度の高い液面までの距離の計測が可能となる。
【0020】
また、本発明に係る狭所内情報取得装置は、前記超音波センサから出波した直後の超音波を収斂させるために前記超音波の波面形状を成形する波形成形手段を備えてもよい。
【0021】
従って、本発明によれば、出波する超音波は拡散しようとする傾向があるので、この波形形成手段でその拡散波形が収束・収斂するような波形成形することで、不要となる散乱波の発生を最小限に食い止めることが可能となる。
【0022】
また、本発明に係る狭所内情報取得装置は、前記第2多孔質部は、前記中空略円筒又は中空略角筒形状部分の孔径が、前記内管の前記絞り部の孔径と同一寸法若しくは略同一寸法であってもよい。
【0023】
従って、このような構成とすることで、同様に、不要な拡散波の進入を食い止めることができる。
【0024】
また、本発明に係る狭所内情報取得装置は、前記第1多孔質部よりも硬質の樹脂で形成され、先端側がラッパ状に漸次拡開する拡開部を有する拡開管が、前記第1多孔質部の円筒形状内部の基端部側の内周面に内挿され、
前記拡開管の前記拡開部は、前記第1多孔質部の内周面からこの内部に食い込んだ状態で設置されることで、前記拡開部の先端側が食い込んだ前記第1多孔質部の内径は、前記拡開部が内挿された部分以外の前記第1多孔質部の内径よりも拡大された状態に構成されていてもよい。
【0025】
従って、このような構成とすることで、ある程度の指向性を持たせ測定値を安定させる効果を得ることができる。
【0026】
また、本発明に係る狭所内情報取得装置は、前記縦孔空間の上部の中央に前記計測装置を吊下する手段を備えたものである。
【0027】
このような構成の液面計測装置によれば、本発明の液面計測装置を設置する作業の手間を省くことができる。
【0028】
前記超音波センサは、側面部分の周囲が閉鎖されているとともに上部が開口し、下方に向けて延びる縦孔空間を有するマンホール、タンク、又は井戸の底部に溜まっている液体または水の深さを超音波によって計測するものであって、前記超音波センサから液面又は水面までの距離の計測データと、前記超音波センサから前記液体又は水を溜めた前記底面までの距離の計測データとの差を算出することによって、液体又は水の深さを算出する演算手段を備えたものである。
【0029】
このような構成の狭所内情報取得装置によれば、超音波が水中などのような液体中を進行するのに好適な媒体であることを利用し、溜まっている液体の深さは、例えば以下のようにして算出することが可能である。
例えば、所定温度での空気中及び水中での超音波の伝播速度をそれぞれv及びv´とすると、通常、一般には、超音波の進行する速度は、その進行する媒体の密度に比例することが知られている。
即ち、ある物理空間内について、密度ρ、体積弾性率κ、とすると、その空間内を進行する(超)音波の速度vは、次式、即ち、
v=(κ/ρ)1/2 ・・・(1)
で一義的に表すことができる。ところで、この式などを用いて、空気中の(超)音波の速度と、水(液体)との速度を比較してみると、水中を進行する音速は、空気中を進行する音速の凡そK倍(K:定数、例えば5倍)程度であることから、近似的に、以下の式が成立する。
v´≒Kv ・・・(2)
従って、この計測場所において、液面から底面までの深さをD、液面から貯音波センサまでの距離をHとし、それぞれの場所から反射して戻ってきたときの時間のずれをΔtとすれば、
Δt=T1-T2
=2{(H/v)+(D/v´)}-2(H/v)
=2(D/v´)
ここで、(2)式の関係から、
≒2(D/Kv)
従って、底面から液面までの深さは、次式を演算・実行すれば求値することができる。
D≒(Kv・Δt)/2 ・・・(3)
即ち、液の深さは、超音波速度vと時間差Δtとの積のK倍程度に概ね一致する。このような時間差及び(3)式の演算を演算手段で行うことで、得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、周囲が閉ざされた狭空間、管内、又は生体内での対象物へ超音波を出射させることで、前記対象物を観察する狭所内情報取得装置であって、超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿されたことを特徴とするものである。
【0031】
従って、先端部分は、第2多孔質部で周囲を覆って開口面積を狭めているので、測定対象となる空間が狭くて超音波が反射し易い材料で形成されたマンホールなどにあっては、先端部分から乱反射波が侵入するのを阻止することが可能となっている。この結果、周囲で乱反射する超音波を長尺な装置を用いなくても遮断することができ、精度の高い液面までの距離を計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係るマンホール内の汚水の液位を計測させるための液位計測装置の配置状態を示す模式的な断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る液位計測装置の内部構造を示す断面図である。
図3】(A)は本発明の第1の実施形態に係る液位計測装置の拡開管を示す斜視図、(B)はその断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る液位計測装置の超音波センサからの信号の処理によって液位を算出させるための電気的な構成部分を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る液位計測装置をマンホール内の転落防止柵に取付けたときの状態を上から見た平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る液位計測装置をマンホールの転落防止柵に取付けるための係止具及び吊下具の構成を示す斜視図である。
図7(A)】本発明の第2の実施形態に係る狭所内情報取得装置を示す概略断面図である。
図7(B)】本発明の第2の実施形態に係る狭所内情報取得装置の超音波の波形の状態などを示す要部説明図である。
図8(A)】本発明の第2の実施形態に係る狭所内情報取得装置の第1の態様を示す説明図である。
図8(B)】本発明の第2の実施形態に係る狭所内情報取得装置の第2の態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、周囲が閉ざされた狭空間、管内、又は生体内での対象物へ超音波を出射させることで、前記対象物を観察する狭所内情報取得装置であって、超音波センサと、前記超音波センサを収容する送波管と、を有し、前記送波官は、内部に多孔質の材料で形成した中空略円筒状又は中空略角筒形状の第1多孔質部を内挿させた内管と、この内管に外挿させた外管とを有する、重層構造の管体で構成され、前記内管は、前記超音波センサを配置する拡径部と、先端側がテーパ状に窄んで狭まるテーパ部と、前記テーパ部の先に設けられ、前記テーパ部の先端の細径状態のまま先端に向けて延在するとともに、前記外管の先端よりも基端部寄りの部分で終端する、中空略円筒又は中空略角形状の絞り部と、を有し、前記第1多孔質部は、中空略円筒形状又は中空略角筒形状に形成されるとともに、前記内管の内周面を覆うようにして前記内管のテーパ部まで内挿され、かつ、先端部分は完全に閉ざされた閉塞構造を有し、前記外管は、前記内管の前記絞り部から先の前記内管の外周面との間の、内周面の内部に中空略円筒又は中空略角筒形状を有する第2多孔質部が内挿されたことを特徴とするものである。
【0034】
このような構成により、先端部分は、第2多孔質部で周囲を覆って開口面積を狭めているので、測定対象となる空間が狭くて超音波が反射し易い材料で形成されたマンホールなどにあっては、先端部分から乱反射波が侵入するのを阻止することが可能となっている。この結果、周囲で乱反射する超音波を長尺な装置を用いなくても遮断することができ、精度の高い液面までの距離を計測することが可能となる。
【0035】
また、第1多孔質部の先端を完全に閉塞させた構造としているので、仮に第2多孔質部の開口した中心部側から乱反射波が侵入して放射状に広がりながら内部へ深く進入しようとしても、第1多孔質部の先端部を閉塞構造とすることで、超音波センサのある中心側の奥部への進行を、この閉塞部分の多孔質部で吸収させることができる。従って、超音波センサのある装置の中心側の奥部へ乱反射波が侵入するのを阻止することもできる。その結果、さらに乱反射した超音波が装置内へ侵入するのを阻止できるので、より一層精度の高い距離計測が可能となる。
【0036】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、適宜の図面中に、互いに直交するX,Y,Z方向について右手系の3次元デカルト座標を設定している。特に、Z方向が重力加速度の作用する鉛直下方となるように方向を揃えているが、原点位置は特に指定しておらず任意である。
【0037】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る狭所内情報取得装置の一態様を示すものであり、本実施形態では、液位計測装置1として用いており、マンホール100の蓋200の近くのマンホール100内の上部に設置されている。
【0038】
なお、本発明の狭所内情報取得装置では、図1に示す本実施形態のように、液位計測装置1で計測される液位データについての数値を外部から確認可能とするため、マンホール100の蓋200の一部には、透明な窓200Aを設けるようにしてもよい。
【0039】
詳細は後述するが、本実施形態では、この窓200Aを設けることで、外部から液位(例えば、マンホール100の上部から液面Fまでの距離や、マンホール100の直下の下水管の底面100Aから液面Fまでの液体Sの深さなど)を示す数値について読取及び確認を可能とするため、この窓200Aの直下の液位計測装置1の対応部位に、図2に示すように、液位計測装置1で計測した液位を表示する表示画面4Aを設けてある。
【0040】
[マンホールの構造]
なお、このマンホール100の蓋200は、本実施形態のように、通常一般のマンホールと同一構造のもの(但し、前述のように透明な窓200Aが設置されていてもよい。)、即ち、上方に向けて僅かに凸面(ドーム)状に突出した円盤形状を有するものであってもよいが、グレーチング構造、つまり全面に亘って矩形状の孔が格子状に規則的に形成されているものなどであってもよい。
【0041】
なお、本実施形態のマンホール100は、下部側の下水管につながる部分を除いた上部側の側面部分が円筒形状の縦孔で構成されている。この縦孔部分は、側壁面100Bの全面がコンクリート(或いは鉄板)などによって覆われているとともに天井(以下、「上部開口部100C」とよぶ)が開口された構成のものであって、下部側の下水管に向けて延びる縦孔空間内よりも下部の底面100Aには各所から流れ込んでくる液体S(以下、これを「汚水S」と呼ぶ)が流れた状態、若しくは留まった状態で溜まっている。
【0042】
本実施形態の液位計測装置1では、この汚水Sの液位、つまり下水管の底面100Aからの高さを超音波によって計測するようになっているが、例えば降雨量が少ない渇水期などには、底部に汚水が何も溜まっていない場合もある(但し、例えば図8(A)に示すような汚泥などの残渣700が存在する場合もある)が、このような場合には、汚水Sの液面が存在しない状態であるので、底面100A(又は汚泥の表面)までの凡の距離(深さD)が計測されることもある。
【0043】
[液位計測装置の構成]
本実施形態の液位計測装置1は、図2に示すように、大略構成として、超音波センサ2と、送波管3と、を有しており、詳細は後述するが、図1に示すマンホール100内の上部に設置されている。なお、本実施形態の液面計測装置1には、液面計測装置1の基端部に設けた後述するデバイス室11(図2参照)内において、図4に示すように、超音波センサ2の他にも、電源を構成するバッテリ6、制御部7、表示部8などを備えている。なお、バッテリ6は、超音波センサ2、制御部7、及び表示部8への給電を行うように構成されているが、可能であれば商用電源からの給電方式であってもよい。
【0044】
本実施形態のデバイス室11には、図2に示すように、超音波センサ2などを収めるセンサ室11Aと、バッテリ6を収めるバッテリ室11Bと、後述する制御部7を収める制御室11Cと、を備えている。
【0045】
デバイス室11は、蓋体12によって上から確りと閉ざされており、この蓋体12によって液位計測装置1のハウジングを構成する外管5の、特に基端部である上端部が水密状態で閉鎖されるようになっている。
【0046】
このため、後述する外管5には、この基端部である上端部の外周面に雄ネジが切ってあるとともに、これに被せて外管の上部を閉鎖させる蓋体12には、その内周面に雌ネジが切られた雌ネジ部12Bが形成されており、これらのネジが螺合することで、水密状態が維持されている。なお、このネジの雌雄は逆の構成、つまり、外管側には雌ネジ、蓋体側には雄ネジが、それぞれ形成されている構成としてもよい。また、これらを螺合させるのではなく、例えば磁性体材料及びマグネットとの組み合わせ、その他の適宜手段を取付けることで閉鎖させる構造であってもよい。
【0047】
なお、液位計測装置1の先端部は、超音波センサ2から超音波が出波するために、また、液面で反射した超音波が戻ってくるために、開口された開口部1Aを有しているが、この開口部1Aは重力の作用する鉛直下(Z)方向に向けて配向・配置させており、雨水が上方から降り注いでも、この雨水が開口部1Aから上方奥部に配置される超音波センサ2のところへ入り込むのを防止できるようになっている。
【0048】
上述したように、この蓋体12は、デバイス室11を雨水や湿気などからガードするために、例えばマンホール100の外部から雨水が流れ込んだとしても、しっかりと水密状態を保持できるようにするためのものである。また特に、本実施形態では、前述した表示部8の表示画面8Aに表示される汚水の深さDを表す数値を液位計測装置1の外部から確認できるようにするため、適宜の透明部材を用いて観察窓12Aが形成されている。また、この観察窓12Aを設けることで、後述する表示部8の表示画面に表示される数値を装置外から確認することができるので、バッテリ6が切れているか否かを表示の有無で確認することもできる。
【0049】
なお、本実施形態の観察窓12Aは、防水性及び透明性の高い適宜の材料、例えばPMMA(ポリ・メチル・メタ・アクリレート)などの透明樹脂材料で形成されているが、特にこの材質のものに限定されるものではない。
【0050】
(超音波センサの構成)
超音波センサ2は、前述したように、デバイス室11内に設置されており、後述する送波部21及び受波部22などを備えている。なお、本実施形態では、送波部21及び受波部22を、例えば図4では別体で表示させてあるが、物理的に同一体のものであってもよい。後者の場合には、例えば、制御部7の制御によって所定時間間隔で、送波部及び受波部としての機能を交互に繰り返し動作させる構成のものとすることで、これらを兼用させることが可能である。
【0051】
送波部21は、先端側から超音波を発波させるために図示外の超音波振動子(例えば磁歪型振動子又は電歪型振動子)を設けており、本実施形態では電歪型振動子が用いられている。
この送波部21では、バッテリ6からの給電によって図示外の発振器が高周波電力を生成し、この高周波電力を入力する電歪型振動子が高周波振動することにより、この電歪型振動子表面から超音波を放出・出波するように構成されている。なお、この電歪型振動子としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(通称PZT)など)が可能である。
【0052】
受波部22は、送波部21から出波された超音波が進行する前方、即ちマンホール100内の下方の底部に溜まっている汚水Sの液面F及びマンホール100直下の下水管の底面100Aでそれぞれ反射して戻ってくる超音波を受波して所定の信号を出力するようになっている。即ち、受波部22は、この超音波を受波すると、その受波したときの超音波振動を電気信号に変換させて制御部7の演算手段に出力するようになっている。
【0053】
そして、この超音波センサ2は、液面から、マンホール100の底面100Aまでの汚水Sの溜まっている深さDを所定の演算式で算出するため、制御部7に接続されている。
【0054】
一方、制御部7には、図示外の演算手段が設けられており、この演算手段では、詳細は後述するが、受波部22から出力される電気信号の波形が繰り返すときの周期から、計測対象となる液面まで伝播進行するのに要する時間(Δt)を検出するとともに、この時間と既知の超音波の速度(v)とを掛け合わせることで、前述した演算式(3)などを用いて液面Fから底面100Aまでの深さD、つまり距離(D)を求値させるようになっている。なお、この演算手段で演算して得られた深さ(距離(D))に関する情報を画面に数値で表示させるため、出力が表示部8の入力に接続されている。
【0055】
表示部8は、制御部7の演算手段で算出した液面深さ、つまり距離(D)を図2に示す表示画面8Aに液晶表示させるようになっており、デバイス室11の上面にその表示画面8Aが設置されている。
【0056】
また、前述したように、表示画面8Aに液晶表示される、液面が溜まっている(或いは流れている)汚水Sの深さ、つまり距離(D)を表す数値が、態々蓋体12を取外して中の表示画面8Aを覗き込まなくても超音波センサ2のハウジング外部側から直接確認できるようにするため、その蓋体12には、その表示画面8Aに対応する直上の部分に、強化プラスチックやその他の適宜透明材料などで形成された防水性の高い透明な観察窓12Aが形成されている。
【0057】
(送波管の構造)
図2に示す送波管3は、後述する第1多孔質部41と、この第1多孔質部41を嵌装させた内管4と、この内管4に外挿させた外管5と、これら内管4及び外管5の間の先端部側に挟挿された後述する第2多孔質部51と、第1多孔質部41の基端側に内挿された拡開管9と、を有する重層構造の管体で構成されている。
【0058】
(I)内管の構造
内管4は、塩化ビニルなどの硬質な適宜樹脂を用いて中空略円筒状に形成されたもので構成されており、液位計測装置1の縦方向の全体に亘って設置されている。
【0059】
なお、本実施形態の液位計測装置1では、マンホール100内の直下のストレート形状の下水管に溜まっている(或いは流れている)汚水Sが計測対象であるが、例えばS字管、U字管、L字管などのような、カーブした管などの奥部での液位などを計測するような場合は、特に本実施形態のような硬質の送波管でなく、軟質の送波管などで構成してもよい。
【0060】
本実施形態の内管4は、例えば略中空円筒(又は略略中空角筒)形状であって、図2に示すように、拡径部4Aと、テーパ部4Bと、絞り部4Cと、中間部4Dと、を有している。
【0061】
拡径部4Aは、内管4の上端である基端部分の内部に、超音波センサを含む電子機器を収容・配置するためのデバイス部11を設置する必要上、他の部分の内径よりも内径寸法をやや拡大させた形状となっている。
【0062】
テーパ部4Bは、下端部側が先端部に向けてテーパ状に窄んで狭まり細径となっている。このテーパ部4Bは、超音波センサ2の送波部21から送波される超音波の中で、特に超音波が鉛直下方(Z方向)に進行するときの超音波路の中心に位置する中心軸Aに沿って進行する、後述する中心波以外の拡散波が、この液位計測装置1から外部へ出波するのを阻止するため、超音波の波束の周辺部分を削り取って波径を絞り込むようになっている。
【0063】
また、さらに、このテーパ部4Bは、先端部中央の開口部1Aから内部に斜入射の状態などで入り込み、上方の奥部に向けて戻ってこようとしても、この乱反射波が超音波センサ2に向けて進行するのを、第1多孔質部41との協働作用によって阻止することもできるようになっている。
【0064】
絞り部4Cは、このテーパ部4Bの先端側である下端部から設けられており、細形状(細径)状態のまま先端に向けて延在するものであって、外管5の先端よりも基端部寄りの部分、つまり外管5の先端より上部側で終端する。別言すれば、外管5よりもやや短尺な形状に形成されている。
【0065】
なお、この絞り部4Cも、テーパ部4Bと同様の機能を有するものであり、超音波センサ2の送波部21から送波される超音波の中で、中心波以外の拡散しようとする超音波(拡散波)がテーパ部4Bだけで阻止しきれずに外部へ漏れ出ようとするのを、この絞り部4Cの先に表出する第2多孔質部51との協働作用によって、液位計測装置1から外部へ出波するのを阻止するようになっている。
【0066】
また、この絞り部4Cは、乱反射波が外部から液位計測装置1の中心内部へ進入しようとしても、その後の進行を第1多孔質体41との協働作用によって食い止めて阻止する機能も有している。
【0067】
中間部4Dは、拡径部4A、テーパ部4B、及び絞り部4D以外の部分であって、同一円筒形状を有している。
【0068】
また、内管4には、この内管4の中間部4Dからテーパ部4Bまでに亘って、これらに内挿した状態で第1多孔質部41が設けられている。
【0069】
(第1多孔質部の構成)
この第1多孔質部41は、超音波センサ2から波出され放射状に広がる傾向が強いる超音波の中で、特に鉛直下方な中心軸Aに沿って平行に進行するもの(以下、「中心波」とよぶ)以外のもの(以下、これを「拡散波」とよぶ)を吸収(或いは減衰)させるためのものである。
【0070】
本実施形態の第1多孔質部41では、この拡散波が出波後に、周囲で乱反射して液面や底面100Aまでの距離などを計測する際の障害となることないように、即ち、拡散波の吸音効果を高めることができるようにするためのものである。本実施形態の第1多孔質部41は、例えば吸音素材などの適宜の材料で多孔質形状に形成された柔軟性を有するスポンジなどのような構造のものを用いており、全体が略円筒形状(又は中空略角筒)、別言すれば有底略中空形状に形成されている。
【0071】
また、本実施形態の第1多孔質部41は、内管4の中間部4Dの上端部である基端部側からテーパ部4Bまで、内管4の内面を覆うように設けられている。また、この第1多孔質体41は、内管4のテーパ部4Bに内挿され収容された部分の先端部分が、中心軸Aに対応する部位を含め全て完全に閉ざされた閉塞部41Aを構成している。
【0072】
この閉塞部41Aは、超音波センサ2から波出され放射状に広がる傾向が強い超音波がこの液位計測装置1で生成され、特に、拡散波が液面計測装置1の外部へ向けて進行していくのを可及的に阻止するため、液位計測に必要な中心波もある程度減衰されるのを考慮の上で、この閉塞部41Aを設置してある。このため、下記のような厚さの程度を最適値に設定することが好ましい。
【0073】
即ち、この閉塞部41Aについては、例えば図2に示すように、その厚さLを測定対象とする距離などの各種の状況、条件などに応じて適宜変更調整するようにしてもよい。例えば、計測対象物との距離が長いような場合には、この閉塞部41Aの厚さをL´のような薄手の構造αとすることで、ここを透過する超音波の強度の減衰割合を適宜調整するようにしてもよい。
【0074】
(II)外菅の構造
外管5は、図2に示すように、送波管3の外皮部分を構成するものであって、内管4と同様の材料、例えば塩化ビニルなどの適宜剛性のある硬質樹脂などを用いて、液位計測装置1の全長に亘って円筒形状に形成されている。
【0075】
なお、本実施形態の外管5は、この基端部に蓋体12を螺合して取付るようにするために、雄ネジを切った雄ネジ部5Aが形成されている。この外管5は、液位計測装置1のケーシングを構成するものでもあり、マンホール100の側壁面100Bなどで反射散乱した超音波が外部側の側面部分から内部に直接進入するのを阻止することができるようになっている。
【0076】
なお、この外管5は、内管4についても同様であるが、例えばマンホール100の側壁面100Bなどで反射散乱した超音波が、ケーシング外部側の側面部分から内部に直接進入しようとする際に、その超音波によって外管5が共振現象などを起こすことがないような、比較的剛性のある材料で所要の肉厚形状に形成するのが好ましい。
【0077】
また、この外管5の全長については、短くすると乱反射した超音波が侵入しやすくなることも、この発明者による各種の実験結果から判明しており、これを考慮した適宜の長さに設定することが好ましい。
【0078】
本実施形態の外管5は、内管4の絞り部4Cとの間を含む先端側の内部に、第2多孔質部51が内挿された状態で設けられている。
【0079】
(第2多孔質部の構成)
この第2多孔質部51は、第1多孔質部41と同様の材料で形成されている。即ち、本実施形態でも、吸音素材などの適宜の材料で多孔質形状に形成された柔軟性を有するスポンジなどのような構造のものを用いており、全体が円筒形状、別言すれば両端部がともに開口した中空円筒形状に形成されている。
【0080】
この第2多孔質体51は、先端部分が外管5の先端面に揃えた長さとなるように形成されており、換言すれば、外管5の先端と第2多孔質体51の先端面が一致する状態で設けられているが、多少、長さに違いを設けてあってもよい。
【0081】
このような構成を有する第2多孔質体51は、外側の各所で散乱反射して進行する超音波が、つまり拡散波が、外管5の開口されている先端部分から、その外管5の先端面で囲まれた部分から寧部へ、斜入射状態で多く入り込むのを最小限に抑えるようにする。このため、開口部1Aを必要最小限の大きさに形成しており、拡散波をこの第2多孔質体51の先端面で吸収・阻止することが可能になっている。
【0082】
(III)拡開管の構成
拡開管9は、ある程度の指向性を持たせ測定値を安定させるものであって、ある程度可撓性を有する材料で形成されており、本実施形態では、図3に示すように、挟持部9Aと、中間部9Bと、拡開部9Cとを備えている。
【0083】
挟持部9Aは、超音波センサ2を外側から抱持することが可能になっており、万一、液位計測装置1を落下させるなどして多少の衝撃が作用しても、この挟持部9Aが変位することでその衝撃を吸収することができるようになっている。
【0084】
なお、本実施形態の挟持部9Aは、センサ室11Aを構成するものであるが、超音波センサ2のケーシングとの間に隙間などの空間が形成されているようであれば、衝撃緩衝材などを超音波センサ2のケーシングの回りに適宜周設した状態でセンサ室11Aに確りと固定した状態で収容すれば、より衝撃力吸収作用が高まる。
【0085】
中間部9Bは、全長に亘って同一外径寸法に形成されている。そして、この中間部9Bの外面が、第1多孔質部41の内面に対して、密着状態で当接又は圧接することで、第1多孔質部41の位置を確りと固定保持し、デバイス室11の下部側の区画状態を維持させるようになっている。また、この中間部9Bは、第1多孔質部41の内径寸法を規制することで、超音波センサ2から出波する超音波及び測定対象物で反射して戻ってくる超音波が進行する音波路を一定広さ確保することができるようになっている。
【0086】
拡開部9Cは、図2に示すように、第1多孔質部41の内径を外方へ向けて押し広げることで、超音波センサ2から出波する超音波のうち、多少の拡散波が下方へ進行するのを許容することができるようになっている。このため、本実施形態では、材質自体のばね性を付与することで拡開状態を生成させるため、薄肉形状であって、かつ、外側に向けて内径が拡大するよう、この拡開部9Cに付与させてある。このような構成の拡開部9Cが外側に向けて広がっている形状としてあるのは、音波は発生すると360°の方位で広がる特性があり、まず指向性(方向性)を持たせる為に筒型形状し、同穴径のままでは筒内部で反射波が発生し測定できなくなる為、若干のテーパー(筒内部で反射波が発生しない角度)をつけることで、反射波の発生を低減し送波することが可能となるようにしている。
【0087】
[使用態様]
次に、本実施形態の液位計測装置1の使用態様について、図5及び図6を参照しながら説明する。
本実施形態の液位計測装置1は、図5に示すように、マンホール100の上部開口部100Cの外部側の周縁部分の四隅に固定して設けた転落防止柵300のフレーム310に係止具400を掛け渡し、図6に示すように、この係止具400に固定した吊下具500を介して吊下された状態で設置されている。
【0088】
即ち、本実施形態の吊下具500は、脚部500A及び腕部500Bを有する略逆L字形に形成されており、下方に延びる脚部500Aは、下部が蓋体12の外周面の一部に螺着されている。一方、水平方向に延びる腕部500Bには、透孔510が開口されており、係止具400に形成された長孔410及び透孔510を貫通させる状態でボルト500Cを貫通させてナット500Dで締め付けることで、液位計測装置1を転落防止柵300に取り付けるようになっている。
【0089】
なお、本発明に係る液位計測装置では、マンホール100内の天井部分である上部開口部100Bへの取付け方法としては、特に本実施形態のような転落防止柵300に対して係止具400及び吊下具500を用いた取付け方法に限定されるものではなく、各種の手段や方法が適用可能である。
【0090】
[液位計測装置の作用及び効果]
従って、本実施形態によれば、マンホール100の上部開口部100Bの転落防止柵300に係止具400及び吊下具500で吊下げた液位計測装置1は、超音波センサから放射状に広がって出射される超音波であっても、ほぼ鉛直下方に進行する以外の超音波の大部分は、第1多孔質部41を構成するスポンジなどで効果的に吸収又は減衰させることができる。
【0091】
また、鉛直下方に進行する超音波であるが、換言すれば、第1多孔質部41の中心部である中空部分を進行する超音波であるが、閉塞部41Aで吸収されずに透過するもののなかでその後に放射状に散乱するものは、内管4のテーパ部4Bや絞り部4Cで反射してもその直後にある第2多孔質部51の内面で吸収させることもできる。
【0092】
従って、本実施形態によれば、マンホール100の上部開口部100Cの直下にある下水Sの液面に向けてほぼ平行な状態で垂直(鉛直)に進行する超音波である中心波、換言すれば、周囲で散乱されることがなく直接液面に向かう超音波のみを、液位計測装置1から放出させることができる。このように、本実施形態によれば、閉鎖された周囲の側壁面などで乱反射される超音波、つまり、拡散波の発生を最小限に抑えることができ、その分、液面までの距離の計測を精度高く行うことが可能となる。
【0093】
しかも、本実施形態の液位計測装置1では、内管4の下端である先端より先の部分の中心側を除く周辺部分を、外管5に内挿させてある第2多孔質部51で覆っており、先端部である開口部1Aの開口面積を狭めている。
【0094】
従って、測定対象となる空間が狭く超音波が反射し易い材料で形成されたマンホール100や井戸などにあっては、「中心波」、即ち、超音波センサ2からほぼ垂直下方へ出波されて鉛直下方に向けて進行する超音波のみが、選択的にこの液位計測装置1下端(先端)の開口部1Aを通過できる。
【0095】
また、汚水Sの液面Fで反射する超音波についても、鉛直上方へ戻ってくる超音波のみを先端の開口部1Aを通過させ、それ以外の超音波については、第2多孔質部51の先端面などで吸収させることができる。従って、この開口部1Aを通過してこの内部(奥部)向けて進行する超音波のみを超音波センサ2へ戻すことが可能となっている。
【0096】
別言すれば、液位計測装置1の開口部1Aの周辺の先端部分へ進行する「拡散波」、即ち、後に乱反射波となる中心から逸れて進行する超音波は、第2多孔質部51に進入してそこで減衰吸収される。このため、超音波センサ2へ辿り着くことができず、この乱反射波の超音波センサ2への侵入による計測データの乱れの発生を効果的に阻止することができる。
【0097】
しかも、本実施形態によれば、開口部1Aのある先端部の外周面からの乱反射波を外管5で阻止するだけではなく、上述のように、第2多孔質部51を先端面の開口部1Aの周囲に設けることで、先端側の開口部1Aの外側周囲から乱反射波が侵入するのを阻止することができる。このため、従来のような長尺なケーシングの計測装置を態々用いなくても、周囲で乱反射する超音波が内部に進入するのを有効に遮断・阻止することができ、液面までの距離を精度高く計測することが可能となる。
【0098】
さらに、本実施形態では、第1多孔質部41の先端を閉塞部41Aとして、先端部分を完全に閉塞させた構造としている。このため、仮に第2多孔質部51の中心部側の開口部1Aへ向けて乱反射波が外部から侵入し、放射状に広がりながら内部へ向けて奥深く進入しようとしても、超音波センサ2のある中心側の奥部への進行を、この閉塞部41Aの多孔質部で吸収させることができる。
【0099】
従って、超音波センサ2のある奥部へ乱反射波が侵入するのを阻止することもできる。このように、本実施形態に係る液位計測装置1によれば、乱反射した超音波が液位計測装置1の中心内部へさらに奥深く侵入するのを阻止できるので、乱反射波によるノイズが生成されることがなく、より一層精度の高い距離計測が可能となる。
【0100】
さらに、本実施形態の構成によれば、測定環境内が、高湿度であったり、雨水が跳ねるなどして水分を多く含んだ状態であっても、先端側に設けた第2多孔質部51は外周面側の周囲を塩化ビニル樹脂などの樹脂で形成した外管5で覆ってあることにより、第2多孔質部51に水分などが付着して吸音効果が低減されることを防止することができる。
【0101】
このため、完全に蓋200で閉鎖されたマンホール100内だけではなく、例えばグレーチィング構造の蓋などで閉じられたマンホールなどのように、大雨などの際に雨水が多く上から入り込むような構造のマンホールなどであっても、液位計測装置1内部への雨水の侵入を防止する効果が高いので、このような状況の中でも液位の計測を精度高く行うことが可能になる。
【0102】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る狭所内距離測定装置の第2の実施形態について、図7(A)、(B)及び図8(A)、(B)を参照しながら、基本原理について詳細に説明する。
【0103】
[第1態様]
図7(A)は、本実施形態に係る狭所内情報取得装置1´を示す概略構成図であり、本実施形態の狭所内情報取得装置1´が第1の実施形態の液位計測装置1と異なる点は、超音波センサ2に対して直列的に、かつ、この超音波センサ2から出波する超音波の出波路の中心軸に合わせた球対称な状態で、この超音波センサ2近傍に、波形成形手段である音響レンズ10が設置されている点である。なお、本実施形態の狭所内情報取得装置1´では、本発明の狭所内情報取得装置の一態様である第1実施形態の液位計測装置1と同一部分に同一符号を付して、重複説明を避ける。
【0104】
初めに、図7(B)を参照しながら、本実施形態の狭所内情報取得装置1´の原理から説明する。
本実施形態の狭所内情報取得装置1´では、超音波センサ2で形成され放線状に放出される超音波に対して、音響レンズ10を透過させることで波面を加工・整形することで、進行方向に対して、送波部21から所定距離β(以下、これを「収斂距離β」とよぶことがある)だけ離れた部分で収斂(又は収束)するような波面形状に形成させるように構成されているものである。
【0105】
[音響レンズの構成]
音響レンズ10は、超音波センサ2から出波する超音波である平面波、或いは凸面形状に生成されて拡散する拡散波(球面波)が前方に向けて進行するのを避けるため、別言すれば、進行する前方に向けて次第に窄まっていく、つまり収斂していく凹面形状の球面波を形成させるものである。本実施形態では、光学的な凹レンズと同等の機能を有する、音響学的なレンズで構成されている。
【0106】
このような音響レンズ10では、前述したように、収斂距離Lの前後に、超音波の波束(ビーム)が最小限に絞り込んだ部分(以下、これを「ビームウエスト」、略して「BW」とよぶことがある)を形成することができるようになっている。
【0107】
(作用・効果)
従って、本実施形態の具体的な適用例としては、例えば図8(A)に示す狭所内情報取得装置1´´では、第1の実施形態と同様にマンホール100での適用ではあるが、音響レンズ10の中心から出波する超音波に対して、狭所内情報取得対象(観察対象)となる部位、つまり下水道の底部の深さに対応する収斂距離のところで収斂するように設定されている。
【0108】
即ち、このような構成を有する本実施形態の狭所内情報取得装置1´´では、この適用例の1態様である図8(A)に示すように、不透明な液体で満たされた下水管内に連通するマンホール100において、このマンホール100直下の予め既知の深さを有する底面100A付近にビームウエスト(BW)が一致するような曲率を有するように設計した音響レンズ10´を使用している。音響レンズ10´をこのように構成することで、底面100A付近の様子を確認することが可能となる。
【0109】
[第2態様]
また、本実施形態の狭所内情報取得装置1´´では、適用例の別の態様として、図8(B)に示す音響レンズ10´´では、例えば浴室の洗い場などに設けた配管600の開口部600A近傍の内部のL字部分の底部にほぼ合致させてビームウエスト(BW)が形成されるように、音響レンズ10´´の凹状の透過面での曲率が所定値を有するものを使用するようになっている。
【0110】
(作用・効果)
従って、この使用態様での狭所内情報取得装置1´´によれば、L字部分の角隅部分の汚損や腐食の有無の状況を、風呂水などが溜まっている状況下でもその直上から確認することができる。
【0111】
即ち、L字部分の角付近での配管600の内部がどのような状態であるのか、例えば沈殿物や堆積物などの堆積状況などの様子や配管600内部の腐食の有無などを確認することができる。
【0112】
なお、本実施形態では、この適用例として、例えば、下水管内、ガス管内、燃料管内、延いては原子炉内の2次冷却水管内などを観察対象としているが、特にこの分野に限定されるものではない。なお、本実施形態では、例えば、不透明な液体やガスが充満して先の様子が観察しづらい物理的な各種の管内部に対する観察手段などとして用いているが、同様な効果が得られるのであれば、光学的な内視鏡などでは観察しづらい生体内(例えば、血管内、子宮内、すい臓内など)での形状観察手段としての適用も可能である。
【0113】
また、本発明では、狭所内情報取得装置において、超音波の出波方向を本装置のハウジングの先端面からの出波構造としてあるが、例えば側視型内視鏡のような、側面から超音波を出波させる構造としたり、音響レンズに付加してビームウエストまでの距離、つまり収斂距離βを可変とさせるようなコンバータをさらに付加して、観察対象部位までの距離を随時変更可能とするような構成としてもよい。また、内管及び外管を可撓性を有する材質のもので構成し、屈曲する管内などでの観察を可能とする構成としてもよい。
【0114】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。即ち、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0115】
1 液位計測装置
1A 開口部
11 デバイス室
11A センサ室
11B バッテリ室
11C 制御室
12 蓋体
12A 観察窓
2 超音波センサ
21 送波部
22 受波部
3 送波管
4 内管
4A 拡径部
4B テーパ部
4C 絞り部
4D 中間部
41 第1多孔質部
41A 閉塞部
5 外管
5A 雄ネジ部
51 第2多孔質部
6 バッテリ
7 制御部
8 表示部
8A 表示画面
9 拡開管
9A 挟持部
9B 中間部
9C 拡開部
10、10´、10´´ 収斂レンズ(波形生成手段)
11 デバイス室
11A センサ室
11B バッテリ室
11C 制御室
12 蓋体
12A 観察窓
12B 雌ネジ部
100 マンホール
100A 底面
100B 側壁面
100C 上部開口部
200 蓋
300 転落防止柵
310 フレーム
400 係止具
410 長孔
500 吊下具
510 透孔
600 配管
600A 開口部
700 残渣
A 中心軸
BW ビームウエスト
D 液面から底面までの深さ(距離)
F 液面
L 閉塞部に厚さ
S 汚水(液体)
α 閉塞部の構造
β 収斂距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(A)】
図7(B)】
図8(A)】
図8(B)】