(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095264
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ダクト付き変成器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/04 20060101AFI20230629BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01F27/04 A
H01F30/10 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211052
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】老邑 健太
(72)【発明者】
【氏名】堀 広樹
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059CC03
5E059JK01
5E059JK02
5E059JK03
(57)【要約】
【課題】ダクトの組み立て、及び設置場所へのダクトの搬入が容易なダクト付き変成器を提供する。
【解決手段】本開示に係るダクト付き変成器1は、変成器11と、該変成器11に接続されるケーブル15,16が挿通されるダクト2とを備えるダクト付き変成器1において、前記ダクト2は複数の部材によって構成され、前記複数の部材はネジ留めによって互いに固定されることを特徴とする。ネジ留め作業は簡単なので、不慣れな作業者であってもダクト2を容易に組み立てることができる。また、ネジ留め作業はダクト付き変成器1の設置場所で行なうことができるので、まだ組み立てられていない複数の部材の状態でダクト2を設置場所に運び込んでも特段の問題はない。個々の部材は小型なので、設置場所への搬入は容易である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成器と、
該変成器に接続されるケーブルが挿通されるダクトと
を備えるダクト付き変成器において、
前記ダクトは複数の部材によって構成され、
前記複数の部材はネジ留めによって互いに固定されることを特徴とするダクト付き変成器。
【請求項2】
前記複数の部材夫々は、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金を表面処理した高耐食めっき鋼板で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のダクト付き変成器。
【請求項3】
前記複数の部材の少なくとも一部は、
平板、及び
縁部に一体にリブが設けられており、該リブの突出方向の寸法が50mm以下の平板
であることを特徴とする請求項1又は2に記載のダクト付き変成器。
【請求項4】
前記変成器を収容するタンクを更に備え、
前記ダクトは、
前記タンクの上方に配されるセンターダクトと、
前記タンクの側方に配されるサイドダクトと
を有し、
前記センターダクトは、
互いに対向する各矩形状の前板及び背板と、
前記前板及び前記背板夫々の上縁にわたる矩形状の天板と、
該天板に対向し、前記前板及び前記背板夫々の下縁の2隅にわたる2枚の帯板と
によって構成され、
前記前板、前記背板、及び前記2枚の帯板に囲まれた空間が前記タンクの上面に向くようにして前記タンクに設置され、
前記前板、前記背板、前記天板、及び前記2枚の帯板の一方に囲まれた空間を通して前記サイドダクトに連通することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のダクト付き変成器。
【請求項5】
前記変成器を収容するタンクを更に備え、
前記ダクトは、
前記タンクの上方に配されるセンターダクトと、
前記タンクの側方に配されるサイドダクトと
を有し、
前記センターダクトは前記タンクに設置され、
前記センターダクトの一側面は開放されており、
前記サイドダクトは、
互いに対向する第1前板及び第1背板、並びに前記第1前板及び前記第1背板夫々の縁部にわたる第1側板を一体に有し、該第1側板の外面が前記タンクに向けられるU字状部材と、
前記第1前板の上側に隣り合う第2前板、及び該第2前板の前記センターダクトの側の縁部から前向きに突出する第1蓋板を一体に有するL字状の前側部材と、
前記第1背板の上側に隣り合う第2背板、及び該第2背板の前記センターダクトの側の縁部から後向きに突出する第2蓋板を一体に有するL字状の後側部材と、
前記第2前板及び前記第2背板夫々の上縁にわたる天板と、
前記第1側板及び前記センターダクトの前記一側面に対向し、前記天板と前記第1前板及び前記第2前板と前記第1背板及び前記第2背板とにわたる第2側板と
によって構成され、
前記第1蓋板及び前記第2蓋板が、前記センターダクトの前記一側面を、前後方向の中央部を残して閉鎖することにより、前記センターダクトと前記サイドダクトとが互いに連通することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のダクト付き変成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダクト付き変成器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変圧又は変流を目的として変成器が用いられている。
ダクト付き変成器は変成器とダクトとを備える。変成器は、例えば絶縁油と共にタンクに収容される。ダクトはタンクの上蓋に設置してある。電力の入出力のために変成器に接続されるケーブルは、タンクからダクトを通して外部に引き出される。
この種のダクト付き変成器は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている受配電設備のようなダクト付き変成器の場合、ダクトを構成している天板及び側板等は、溶接によって互いに固定される。溶接作業は熟練を要するので、不慣れな作業者にはダクトを組み立てることができない。ダクト付き変成器の設置場所で溶接作業を行なえない場合は予め組み立てられたダクトを設置場所に搬入しなければならないが、ダクトは大型の部材なので設置場所への搬入が困難なことがある。
【0005】
本開示の目的は、ダクトの組み立て、及び設置場所へのダクトの搬入が容易なダクト付き変成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るダクト付き変成器は、変成器と、該変成器に接続されるケーブルが挿通されるダクトとを備えるダクト付き変成器において、前記ダクトは複数の部材によって構成され、前記複数の部材はネジ留めによって互いに固定されることを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、ダクトを構成する複数の部材が、ネジ留めによって互いに固定される。ネジ留め作業は簡単なので、不慣れな作業者であってもダクトを容易に組み立てることができる。また、ネジ留め作業はダクト付き変成器の設置場所で行なうことができるので、まだ組み立てられていない複数の部材の状態でダクトを設置場所に運び込んでも特段の問題はない。個々の部材は小型なので、設置場所への搬入は容易である。
【0008】
本開示に係るダクト付き変成器は、前記複数の部材夫々は、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金を表面処理した高耐食めっき鋼板で構成されていることを特徴とする。
【0009】
本開示にあっては、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金を表面処理した高耐食めっき鋼板(以下、単に耐食鋼板という)でダクトが構成されているので錆びにくい。
【0010】
本開示に係るダクト付き変成器は、前記複数の部材の少なくとも一部は、平板、及び縁部に一体にリブが設けられており、該リブの突出方向の寸法が50mm以下の平板であることを特徴とする。
【0011】
本開示にあっては、ダクトを構成する複数の部材の少なくとも一部が、平板か平板に近い板材である。故に、まだ組み立てられていない複数の部材の少なくとも一部を互いに重ねて、容易に保管又は運搬することができる。リブは平板の補強部、又は部材同士の固定しろ部として機能する。
【0012】
本開示に係るダクト付き変成器は、前記変成器を収容するタンクを更に備え、前記ダクトは、前記タンクの上方に配されるセンターダクトと、前記タンクの側方に配されるサイドダクトとを有し、前記センターダクトは、互いに対向する各矩形状の前板及び背板と、前記前板及び前記背板夫々の上縁にわたる矩形状の天板と、該天板に対向し、前記前板及び前記背板夫々の下縁の2隅にわたる2枚の帯板とによって構成され、前記前板、前記背板、及び前記2枚の帯板に囲まれた空間が前記タンクの上面に向くようにして前記タンクに設置され、前記前板、前記背板、前記天板、及び前記2枚の帯板の一方に囲まれた空間を通して前記サイドダクトに連通することを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、ダクトがセンターダクトとサイドダクトとを有する。サイドダクトはセンターダクトに連通する。
センターダクトは前板、背板、天板、及び2枚の帯板によって構成される。これらは単純な形状の部材なので、容易に保管又は運搬することができる。
【0014】
本開示に係るダクト付き変成器は、前記変成器を収容するタンクを更に備え、前記ダクトは、前記タンクの上方に配されるセンターダクトと、前記タンクの側方に配されるサイドダクトとを有し、前記センターダクトは前記タンクに設置され、前記センターダクトの一側面は開放されており、前記サイドダクトは、互いに対向する第1前板及び第1背板、並びに前記第1前板及び前記第1背板夫々の縁部にわたる第1側板を一体に有し、該第1側板の外面が前記タンクに向けられるU字状部材と、前記第1前板の上側に隣り合う第2前板、及び該第2前板の前記センターダクトの側の縁部から前向きに突出する第1蓋板を一体に有するL字状の前側部材と、前記第1背板の上側に隣り合う第2背板、及び該第2背板の前記センターダクトの側の縁部から後向きに突出する第2蓋板を一体に有するL字状の後側部材と、前記第2前板及び前記第2背板夫々の上縁にわたる天板と、前記第1側板及び前記センターダクトの前記一側面に対向し、前記天板と前記第1前板及び前記第2前板と前記第1背板及び前記第2背板とにわたる第2側板とによって構成され、前記第1蓋板及び前記第2蓋板が、前記センターダクトの前記一側面を、前後方向の中央部を残して閉鎖することにより、前記センターダクトと前記サイドダクトとが互いに連通することを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、ダクトがセンターダクトとサイドダクトとを有する。サイドダクトはセンターダクトに連通する。
サイドダクトは、第1前板、第2背板、及び第1側板を一体に有するU字状部材と、第2前板及び第1蓋板を一体に有するL字状の前側部材と、第2背板及び第2蓋板を一体に有するL字状の後側部材と、天板と、第2側板とによって構成される。これらは単純な形状の部材なので、容易に保管又は運搬することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示のダクト付き変成器によれば、ダクトの組み立て、及び設置場所へのダクトの搬入が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係るダクト付き変成器の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0019】
図1は実施の形態に係るダクト付き変成器の構成を模式的に示す断面図である。
図中1はダクト付き変成器であり、ダクト付き変成器1は変成器11及びタンク12を備える。変成器11は変圧器であり、鉄心111及びコイル112を備える。
例えば鉄心111は環状をなし、コイル112は鉄心111に巻回されている。図示はしないが、鉄心111には複数のコイル112が巻回されている。一のコイル112は一次側コイルであり、他のコイル112は二次側コイルである。
【0020】
タンク12はタンク本体121及び上蓋122を備える。タンク本体121は上面が開放されている箱体である。タンク本体121には不図示の絶縁油と共に変成器11が収容されている。上蓋122はタンク本体121の上面を閉鎖している。上蓋122の上面には、変成器11に電力を入力するための入力端子13と、変圧された電力を変成器11から出力するための出力端子14とが設けられている。
【0021】
入力端子13の一側には、タンク12の外部に配線されたケーブル15が接続されている。ケーブル15は、後述するダクト2を通ってダクト付き変成器1の外部に引き出され、不図示の電力供給部に接続される。入力端子13の他側には、タンク12の内部に配線された不図示の導線を介して、一次側のコイル112が接続されている。
出力端子14の一側には、タンク12の外部に配線されたケーブル16が接続されている。ケーブル16は、後述するダクト2を通ってダクト付き変成器1の外部に引き出され、不図示の負荷に接続される。出力端子14の他側には、タンク12の内部に配線された不図示の導線を介して、二次側のコイル112が接続されている。
【0022】
ダクト付き変成器1は、変圧比を変更するためのタップ切替器17を備える。タップ切替器17は、上蓋122の上面に配されており、且つ、後述するセンターダクト3に収容されている。タップ切替器17に設けられている複数のタップ端子17a夫々は一次側の所定の巻き数に対応している。作業者がタップ切替器17を操作することによって一次側の巻き数を変更した場合、二次側の電圧が変化する。
【0023】
ダクト付き変成器1は、ケーブル15,16が挿通されるダクト2を備える。ダクト2は耐食鋼板で構成されている。
ダクト2は、センターダクト3及び2つのサイドダクト4を備える。センターダクト3はタンク12の上方に配されている。2つのサイドダクト4の内、一方はセンターダクト3及びタンク12の左側方に配されており、他方はセンターダクト3及びタンク12の右側方に配されている。
【0024】
図2はダクト2の斜視図である。
図2においては図を見やすくするために左側のサイドダクト4の図示が省略されている。
まず、センターダクト3について述べる。
図3はセンターダクト3の模式的な断面図である。
図1~
図3に示すように、センターダクト3は、前板31、背板32、天板33、2枚の帯板34、蓋板35、及び窓部材36を備える。前板31~蓋板35夫々は耐食鋼板で構成されている。
【0025】
前板31及び背板32夫々は一方向に長い矩形状をなし、長手方向を左右に向け、両面を前後に向けて用いられる。前板31及び背板32は前後方向に互いに対向している。
天板33は一方向に長い平面視矩形状をなし、長手方向を前後に向けて用いられる。天板33は一面側が凸状をなすと共に他面側が凹状をなし、凸側の面を上向きにして、前板31及び背板32夫々の上縁部にわたる。
【0026】
帯板34は長手方向を前後に向け、両面を上下に向けて用いられる。2枚の帯板34は夫々が天板33に下側から対向し、一方は前板31及び背板32夫々の左下隅にわたり、他方は前板31及び背板32夫々の右下隅にわたる。帯板34には、ボルト挿通用の貫通孔(以下、挿通孔という)が複数、前後に並設されている。
前板31~帯板34夫々は、例えば所定の形状に打ち抜かれた平坦な耐食鋼板の折り曲げによって形成される。
【0027】
天板33の中央部には、前後に長い矩形状の開口30が設けられている。
蓋板35は一方向に長い平面視矩形状をなし、長手方向を前後に向けて用いられる。蓋板35は一面側が凸状をなすと共に他面側が凹状をなし、凸側の面を上向きにして、開口30を上側から開閉可能に覆う。開口30を覆った蓋板35は不図示のボルト及びナットを用いたネジ留めによって天板33に固定される。このために、蓋板35の周縁部には複数の挿通孔が周方向に並設されている。
以下では、ボルト及びナットを用いたネジ留めを単にネジ留めという。
【0028】
蓋板35は、2つの取っ手37を有する。2つの取っ手37は蓋板35の前縁部及び後縁部から立ち上がっている有孔舌片である。
開口30の周縁部にはパッキン301が設けられていることが望ましい(
図3参照)。パッキン301は天板33の上面に固定され、図示はしないが開口30の全周にわたる。蓋板35の下面と開口30の周縁部との間にパッキン301が介在することにより、開口30は水密に閉鎖される。なお、パッキン301は蓋板35に設けられてもよい。
【0029】
窓部材36は、枠体361と、枠体361の中央の開口を閉鎖する透明な窓板362とを一体的に備える。例えば枠体361は耐食鋼板で構成され、窓板362はガラス板で構成されるので、何れも錆びにくい。窓部材36は、前板31に設けられている窓孔310(後述する
図5参照)を閉鎖している。枠体361は、窓板362が窓孔310を覆うようにして窓孔310の周縁部に固定(例えばネジ留め)されている。
【0030】
次に、サイドダクト4について述べる。
図1及び
図2に示すように、サイドダクト4は一方向に長い矩形状の箱体であり、長手方向を上下に向けて用いられる。サイドダクト4の底面は開放されている。
左側のサイドダクト4の上部の右側面は開放されており、センターダクト3とサイドダクト4とが連通するようにして、センターダクト3の左側面に取り付けられている。ケーブル15はセンターダクト3から左側のサイドダクト4を通ってその底面から引き出されている。同様に、右側のサイドダクト4の上部の左側面は開放されており、センターダクト3の右側面に取り付けられている。ケーブル16はセンターダクト3から右側のサイドダクト4を通ってその底面から引き出されている。
【0031】
天板33は上向き(外向き)の凸状であればよいが、底面が欠落した四角錐状をなしていることが望ましい。開口30は天板33の頂点部分に配される。この場合、センターダクト3の天板33が四角錐台のように見えるので、ダクト付き変成器1の意匠性を向上させることができる。このような天板33は、例えば開口30が設けられた矩形の平坦な耐食鋼板を、四角錐状の金型に押し付けるプレス加工によって容易に形成することができる。プレス加工の際、金型の頂点部分は開口30を貫通する。耐食鋼板の2本の対角線に沿う折り曲げにより、天板33の機械強度を向上させることができる。
【0032】
蓋板35は外向き(開口30閉鎖時上向き)の凸状であればよいが、底面が欠落した四角錐状をなしていることが望ましい。この場合、センターダクト3の開口30を覆う蓋板35が四角錐のように見えるので、ダクト付き変成器1の意匠性を向上させることができる。
【0033】
図4は蓋板35の製造手順の説明図である。
図4Aに示す板材350は、一方向に長い矩形平板351と、矩形平板351の2つの短辺部夫々の中央から面一に延設された矩形状の舌片352とを一体に有する。板材350は、例えば耐食鋼板を打ち抜くことによって形成される。耐食鋼板の打ち抜きの際に各舌片352の中央部に矩形状の貫通孔371を形成することにより、舌片352は有孔舌片となる。
【0034】
蓋板35は、例えば板材350を四角錐状の金型に押し付けるプレス加工によって形成される。矩形平板351の2本の対角線に沿う折り曲げにより、蓋板35の機械強度を向上させることができる。その後、各舌片352を外向きに(蓋板35の凸側に)立ち上げることにより、取っ手37が形成される(
図4B参照)。
【0035】
図1及び
図3に示すように、センターダクト3の左右両側面(前板31、背板32、天板33、及び左側又は右側の帯板34に囲まれた部分)は開放されている。
センターダクト3は、センターダクト3の下面(前板31、背板32、及び2枚の帯板34に囲まれた部分)が上蓋122の上面に向くようにして、タンク12に設置される。このとき、各帯板34がネジ留めによって上蓋122の上面に固定される。入力端子13、出力端子14、及びタップ切替器17は、前板31、背板32、及び2枚の帯板34に囲まれた空間を通してセンターダクト3に収容される。
【0036】
上蓋122には不図示の油面計が設けられており、これもセンターダクト3に収容されている。作業者は窓部材36を通して油面計による計測結果を視認する。
作業者が蓋板35を開けば、開口30を通してタップ切替器17の操作が可能になる。
【0037】
本開示にあっては、センターダクト3の天板33が上向きの凸状なので、天板33に付着した水滴は天板33に沿って容易に流れ落ちる。同様に、開口30を覆う蓋板35が上向きの凸状なので、蓋板35に付着した水滴は蓋板35に沿って容易に流れ落ちる。故に、天板33及び蓋板35の何れにおいても水たまりが生じることを防止することができる。従って、蓋板35を開けた場合に天板33又は蓋板35から開口30を通ってダクト2の内部に水分が浸入することを防止することができる。また、蓋板35を開ける前に天板33及び蓋板35を念入りに拭う必要がないので、作業性を向上させることができる。
【0038】
天板33及び蓋板35夫々における四角錐の4側面夫々の傾斜角度は、大きいほど付着した水滴の水捌けがよくなり、小さいほどセンターダクト3がコンパクトになるので、適宜に設定される。
天板33及び蓋板35夫々は底面が欠落した四角錐状に限定されず、例えば底面が欠落した平凸レンズ状、又は切妻屋根状等でもよい。
【0039】
本開示にあっては、蓋板35の縁部に取っ手37が設けられているので、作業者が取っ手37を持って蓋板35を開閉することができる。貫通孔371は、取っ手37を持つ場合に指を通す孔として用いることができる。取っ手37は、蓋板35の縁部から延出している舌片352を外向きに立ち上げることによって設けられるので、蓋板35に別部材を固定することによって取っ手37を設ける必要がない。故に部品点数を削減することができる。
【0040】
以上のようなセンターダクト3及び2つのサイドダクト4夫々は複数の部材によって構成されており、前記複数の部材はネジ留めによって互いに固定されている。センターダクト3と各サイドダクト4とはネジ留めによって互いに固定されている。
【0041】
図5はセンターダクト3の分解図である。
前板31の上縁にはリブ311が一体に設けられている。リブ311は前板31の全長にわたる。前板31の左縁にはリブ312が一体に設けられている。リブ312は前板31の全幅にわたる。前板31の右縁にも、左縁と同様にリブ312が一体に設けられている。リブ311,312夫々は前板31から前向きに立ち上がっている。
前板31の下縁にはリブ313が一体に設けられている。リブ313は前板31の全長にわたる。リブ313は前板31から後向きに立ち上がっている。リブ313の先端からリブ313の全長にわたるリブ314が上向きに立ち上がっている。
【0042】
リブ311,312,314夫々には複数の挿通孔が夫々の長手方向に並設されている。少なくともリブ314に設けられた挿通孔は左右対称に配されている。
背板32の構成は、窓孔310を除いて前板31の構成と略同様である。背板32と前板31とは前後対称であり、背板32には前板31のリブ311~314に対応するリブ321~324が一体に設けられている。
【0043】
天板33の前縁部には複数の挿通孔が左右に並設されており、これらは前板31のリブ311に設けられた複数の挿通孔に対応する。同様に、天板33の後縁部には背板32のリブ321に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が設けられている。
天板33の前縁及び後縁夫々にはリブ331が一体に設けられている。リブ331は天板33の全幅にわたる。リブ331は天板33から垂れ下がっている。
天板33の左縁及び右縁夫々にはリブ332が一体に設けられている。リブ332は天板33の全長にわたる。リブ332は天板33から上向きに立ち上がっている。
各リブ332には複数の挿通孔が前後対称に並設されている。
【0044】
左側の帯板34の左縁にはリブ341が一体に設けられている。リブ341は帯板34の全長にわたる。リブ341には複数の挿通孔が前後に並設されている。
左側の帯板34の前縁及び後縁夫々にはリブ342が一体に設けられている。リブ341は帯板34の全幅にわたる。前側のリブ342には複数の挿通孔が左右に並設されており、これらは前板31のリブ314の左端部に設けられた複数の挿通孔に対応する。同様に、後側のリブ342には背板32のリブ324の左端部に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が設けられている。
右側の帯板34の構成は、左側の帯板34の構成と左右対称である。
【0045】
リブ311~314,321~324,331,332,341,342夫々の突出方向の寸法は50mm以下である。取っ手37の蓋板35からの突出長さも50mm以下であることが望ましい。
【0046】
作業者は、前板31のリブ314の左右両端部に、左右2つの帯板34夫々の前側のリブ342をネジ留めすると共に、背板32のリブ324の左右両端部に、左右2つの帯板34夫々の後側のリブ342をネジ留めする。作業者は、天板33の前後両縁部を、前板31のリブ311及び背板32のリブ321にネジ留めする。作業者は、窓孔310の周縁部に窓部材36をネジ留めする。作業者は、開口30の周縁部に蓋板35をネジ留めする。以上のようにして、センターダクト3が形成される。作業者は、センターダクト3をタンク12の上蓋122に載置し、左右2つの帯板34夫々を上蓋122にネジ留めすることにより、センターダクト3をタンク12に設置する。
なお、個々の部材のネジ留めの順番は限定されない。
【0047】
図6はサイドダクト4の分解図である。
図6には右側のサイドダクト4が図示されている。2つのサイドダクト4は左右対称の構成なので、以下では右側のサイドダクト4を例示する。
サイドダクト4は、U字状部材5、L字状の前側部材6、及びL字状の後側部材7を備える。
【0048】
U字状部材5は前板51(第1前板)、背板52(第1背板)、及び側板53(第1側板)を一体に有する。前板51、背板52、及び側板53夫々は一方向に長い矩形状をなし、長手方向を上下に向けて用いられる。前板51及び背板52は、夫々両面を前後に向け、前後方向に互いに対向する。側板53は、両面を左右に向け、前板51及び背板52夫々の左縁部にわたる。
前板51の右下隅部及び背板52の右下隅部夫々には挿通孔が設けられている。
【0049】
前板51の上縁及び下縁には、リブ511,512が前板51の全幅にわたって一体に設けられている。前板51の右縁には、リブ513が前板51の下縁部を余して前板51の略全長にわたって一体に設けられている。リブ511~513夫々は前板51から後向きに立ち上がっている。リブ511,513夫々には複数の挿通孔が夫々の長手方向に並設されている。
背板52は前板51と前後対称である。背板52には前板51のリブ511~513に対応するリブ521~523が一体に設けられている。
側板53の下縁には、リブ531が側板53の全幅にわたって一体に設けられている。リブ531は側板53から右向きに立ち上がっている。
【0050】
前側部材6は前板61(第2前板)及び蓋板62(第1蓋板)を一体に有する。前板61及び蓋板62夫々は一方向に長い矩形状をなし、長手方向を上下に向けて用いられる。前板61は両面を前後に向け、蓋板62は両面を左右に向ける。前板61は蓋板62の後縁部から右向きに立ち上がっている。前板61は蓋板62の上縁部を余して蓋板62の略全長にわたる。
【0051】
前板61の上縁及び下縁には、リブ611,612が前板61の全幅にわたって一体に設けられている。前板61の右縁には、リブ613が前板61の全長にわたって一体に設けられている。リブ611~613夫々は前板61から後向きに立ち上がっている。リブ612には前板51のリブ511に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が設けられている。リブ611~613夫々には複数の挿通孔が夫々の長手方向に並設されている。
蓋板62の上縁(及び前縁)には、リブ621が全幅(及び全長)にわたって一体に設けられている。リブ621は蓋板62から左向きに立ち上がっている。
【0052】
後側部材7は前側部材6とは前後対称であり、前板61及び蓋板62に対応する背板71(第2背板)及び蓋板72(第2蓋板)を備える。背板71には前板61のリブ611~613に対応するリブ711~713が一体に設けられている。蓋板72には蓋板62のリブ621に対応するリブ721が一体に設けられている。
【0053】
作業者は前側部材6をU字状部材5に固定する。このとき作業者は、前板51の上側に前板61が面一に隣り合い、蓋板62が前板61の左縁部から前向きに突出するようにして、前板61のリブ612を前板51のリブ511にネジ留めする。また、作業者は後側部材7をU字状部材5に固定する。このとき作業者は、背板52の上側に背板71が面一に隣り合い、蓋板72が背板71の左縁部から後向きに突出するようにして、背板71のリブ712を背板52のリブ521にネジ留めする。
【0054】
以上の結果、蓋板62の下縁部、側板53の上縁部、及び蓋板72の下縁部が前から後ろに向けてこの順に面一に並ぶ。蓋板62の下縁部、側板53の上縁部、及び蓋板72の下縁部には、センターダクト3の右側の帯板34のリブ341に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が前後に並設されている。前板61のリブ613は前板51のリブ513の上側に面一に隣り合い、背板71のリブ713は背板52のリブ523の上側に面一に隣り合う。
前板51,61はサイドダクト4の前側面として機能し、背板52,71はサイドダクト4の後側面として機能する。
【0055】
サイドダクト4は、天板41を備える。
天板41は一方向に長い矩形状をなし、長手方向を前後に向け、両面を上下に向けて用いられる。天板41の前縁部には、前側部材6の前板61のリブ611に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が左右に並設されている。また、天板41の後縁部には、後側部材7の背板71のリブ711に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が左右に並設されている。
【0056】
天板41の前縁及び後縁夫々にはリブ411が天板41の全幅にわたって一体に設けられている。天板41の右縁にはリブ412が一体に設けられている。リブ412は天板41の前後両端部を余して天板41の略全長にわたる。リブ411,412夫々は天板41から垂れ下がっている。リブ412には複数の挿通孔が前後に並設されている。
天板41の左縁にはリブ413が天板41の全長にわたって一体に設けられている。リブ413は天板41から上向きに立ち上がっている。リブ413の上縁にはリブ413の全長にわたるリブ414がリブ413から左向きに立ち上がるようにして一体に設けられている。
【0057】
作業者は天板41を前側部材6及び後側部材7夫々に固定する。このとき作業者は、天板41が前板61及び背板71夫々の上縁にわたるようにして、天板41の前縁部及び後縁部を前板61のリブ611及び背板71のリブ711にネジ留めする。天板41の前側部材6及び後側部材7夫々へのネジ留めに用いられるボルトは、アイボルトであることが望ましい。
【0058】
天板41を前側部材6及び後側部材7夫々に固定することにより、蓋板62の上縁部、リブ413、及び蓋板72の上縁部が前から後ろに向けてこの順に面一に並び、リブ621,414,721が前から後ろに向けてこの順に面一に並ぶ。リブ412はリブ613,713に面一に隣り合う。蓋板62の上縁部、リブ413、及び蓋板72の上縁部には、センターダクト3の天板33の右側のリブ332に設けられた複数の挿通孔に対応する複数の挿通孔が前後に並設されている。
天板41はサイドダクト4の天面として機能する。
【0059】
作業者は、U字状部材5の側板53の外面がタンク12の右面に向けられるようにして、天板41、U字状部材5、前側部材6、及び後側部材7をセンターダクト3に固定する(
図5及び
図6に示す二点鎖線の矢符参照)。
このとき作業者は、蓋板62の下縁部、側板53の上縁部、及び蓋板72の下縁部をセンターダクト3の右側の帯板34のリブ341にネジ留めする。また、蓋板62の上縁部、リブ413、及び蓋板72の上縁部を、センターダクト3の天板33の右側のリブ332にネジ留めする。更に、蓋板62の前縁部及び蓋板72の後縁部をセンターダクト3の前板31の右側のリブ312及び背板32の右側のリブ322にネジ留めする。
【0060】
この結果、蓋板62,72が、センターダクト3の右側面を、前後方向の中央部を残して閉鎖する。センターダクト3の右側面の前後方向の中央部は閉鎖されず、センターダクト3の前板31、背板32、天板33、及び右側の帯板34に囲まれた空間を通して、センターダクト3とサイドダクト4の上部とが互いに連通する。
【0061】
サイドダクト4は、保持台42及び固定補助部材43を備える。
保持台42は、サイドダクト4に内蔵される不図示の部品の保持、又はケーブル16の拘束等に用いられる部材である。保持台42は帯板状をなし、長手方向を前後に向け、両面を左右に向けて用いられる。保持台42の両端部夫々には、側板53にネジ留めされる脚部が設けられている。作業者は、保持台42を側板53の下部の内面に固定する。
【0062】
固定補助部材43は、部材本体431と固定片432とを一体に有する。部材本体431は帯板状をなし、長手方向を前後に向け、両面を左右に向けて用いられる。部材本体431には複数の挿通孔が前後に並設されている。固定片432は両面を前後に向けて部材本体431の前縁から左向きに立ち上がっている。固定片432には挿通孔が設けられている。同様に部材本体431の後縁にも固定片432が設けられている。
作業者は、部材本体431が前板51と背板52との間にわたるようにして、固定補助部材43をU字状部材5に固定する。このとき作業者は、2つの固定片432を前板51及び背板52夫々の右下隅にネジ留めする。この結果、部材本体431はリブ513,523に面一に隣り合う。
【0063】
サイドダクト4は、側板44(第2側板)及び2つの取っ手部材45を備える。
側板44は一方向に長い矩形状をなし、長手方向を上下に向け、両面を左右に向けて用いられる。側板44の周縁部には、天板41のリブ412、前板51のリブ513、背板52のリブ523、及び固定補助部材43の部材本体431に設けられている複数の挿通孔に対応する挿通孔が全周にわたって並設されている。
【0064】
側板44は天板41、前板51、背板52、及び固定補助部材43に囲まれた空間を開閉可能に右側から覆う。このために、作業者は、側板44の全周を天板41のリブ412、前板51のリブ513、背板52のリブ523、及び固定補助部材43の部材本体431にネジ留めする。
側板44はサイドダクト4の右側面、且つ保守点検時にサイドダクト4を開閉するための蓋として機能する。
【0065】
取っ手部材45は、側板44の開閉の際に作業者が握持するための部材である。取っ手部材45は帯板状をなし、長手方向を前後に向け、両面を左右に向けて用いられる。取っ手部材45の両端部夫々には、側板44にネジ留めされる脚部が設けられている。作業者は、2つの取っ手部材45が上下に並ぶようにして、各取っ手部材45を側板44の外面に固定する。
【0066】
以上の結果、サイドダクト4がセンターダクト3に固定されるので、ダクト2が形成される。
なお、個々の部材のネジ留めの順番は限定されない。
前述したアイボルトの頭部に設けられているリングは、例えばセンターダクト3にサイドダクト4を固定する際にサイドダクト4を吊り下げるために用いられる。
リブ411~414,511~513,521~523,531,611~613,621,711~713,721夫々の突出方向の寸法は50mm以下である。
U字状部材5、前側部材6、後側部材7、天板41、保持台42、固定補助部材43、及び2つの取っ手部材45夫々は、例えば所定の形状に打ち抜かれた平坦な耐食鋼板の折り曲げによって形成される。側板44は、例えば平坦な耐食鋼板を矩形状に切断することによって形成される。
【0067】
本開示にあっては、ダクト2を構成する複数の部材が、ネジ留めによって互いに固定される。ネジ留め作業は簡単なので、不慣れな作業者であってもダクト2を容易に組み立てることができる。また、ネジ留め作業はダクト付き変成器1の設置場所で行なうことができるので、まだ組み立てられていない複数の部材の状態でダクト2を設置場所に運び込んでも特段の問題はない。個々の部材は小型であり、しかも単純な形状なので、保管も設置場所への搬入も容易である。更に、ダクト付き変成器1を設置場所から撤去する場合に、ダクト2を個々の部材に分解して搬出することも容易である。
【0068】
本開示にあっては、耐食鋼板でダクト2が構成されているので錆びにくい。
【0069】
本開示にあっては、ダクト2を構成する複数の部材の少なくとも一部が、平板か平板に近い板材である。故に、まだ組み立てられていない複数の部材の少なくとも一部を互いに重ねて、容易に保管又は運搬することができる。リブは平板の補強部、又は部材同士の固定しろ部として機能する。
なお、変成器11は電力用でも計器用でもよい。変成器11は変流器でもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 ダクト付き変成器; 11 変成器; 12 タンク; 15,16 ケーブル; 2 ダクト; 3 センターダクト; 31 前板; 311~314 リブ; 32 背板; 321~324 リブ; 33 天板; 331,332 リブ; 34 帯板; 341,342 リブ; 4 サイドダクト; 41 天板; 411~414 リブ; 44 側板(第2側板); 5 U字状部材; 51 前板(第1前板); 511~513 リブ; 52 背板(第1背板); 521~523 リブ; 53 側板(第1側板); 531 リブ; 6 前側部材; 61 前板(第2前板); 611~613 リブ; 62 蓋板(第1蓋板); 621 リブ; 671 リブ; 7 後側部材; 71 背板(第2背板); 711~713 リブ; 72 蓋板(第2蓋板); 721 リブ