(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095272
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20230629BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20230629BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H02P31/00
H02K11/30
B25J19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211062
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】西 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】久保山 圭多
【テーマコード(参考)】
3C707
5H501
5H611
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707HS27
5H501AA22
5H501BB04
5H501BB08
5H501BB09
5H501GG01
5H501LL36
5H501MM09
5H611AA01
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】 表示器を追加することなく多くの情報を表示できるアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 固定部と、上記固定部に対して移動可能に設置された移動部と、上記移動部を駆動する駆動部と、複数の表示器と、を具備し、上記複数の表示器により表示する動作状態情報が任意に設定され、表示すべき上記動作状態情報を選択し切り替えて上記表示器に表示することで別途表示器を追加することなくあらかじめ実装された表示器のみで多くの情報を表示できるようにするもの。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
上記固定部に対して移動可能に設置された移動部と、
上記移動部を駆動する駆動部と、
複数の表示器と、
を具備し、
上記複数の表示器に示す動作状態情報が任意に設定されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、
上記複数の表示器に示す動作状態情報の組み合わせがあらかじめ設定されていて、
上記動作状態情報の組み合わせが任意に選択されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2記載のアクチュエータにおいて、
上記表示器に任意の点滅パターンが設定されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項2記載のアクチュエータにおいて、
上記表示器の表示色が変更されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載のアクチュエータにおいて、
上記動作状態情報は上記移動部の移動端への到達を示す情報であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載のアクチュエータにおいて、
上記表示器はLEDであることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに係り、特に、表示器を追加することなく多くの情報を表示できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ランプなどの表示器の点滅により情報を表示する従来の機器として、特許文献1に記載された産業用ロボット装置のようなものがあった。
特許文献1に記載された産業用ロボット装置は、アーム回転軸がプログラムによって回動されるものである。上記アーム回転軸の回転域はストッパによって物理的に制限されている。
【0003】
上記プログラムは変更することができ、上記プログラム変更時に上記プログラムによる回動域がストッパによる回動域を超えているか否かが判定される。変更されたプログラムによる回転域が上記ストッパによる回転域を超えている場合は、入力されたプログラムを無効にするとともに警告手段により警告を表示し、プログラムの再入力を促すようになっている。
【0004】
また、その他にも、例えば、機器が正常に動作していることを表示するLEDと通信が正常に行われていることを示すLEDが設置されているアクチュエータも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題があった。
別の種類の情報を表示しようとすると、その情報を表示する表示手段を追加する必要があり、構成が複雑になってしまう。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、表示器を追加することなく多くの情報を表示できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータは、固定部と、上記固定部に対して移動可能に設置された移動部と、上記移動部を駆動する駆動部と、複数の表示器と、を具備し、上記複数の表示器に示す動作状態情報が任意に設定されることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記複数の表示器に示す動作状態情報の組み合わせがあらかじめ設定されていて、上記動作状態情報の組み合わせが任意に選択されることを特徴とするものである。
又、請求項3によるアクチュエータは、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記表示器に任意の点滅パターンが設定されることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアクチュエータは、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記表示器の表示色が変更されることを特徴とするものである。
又、請求項5によるアクチュエータは、請求項1から請求項4の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記動作状態情報は上記移動部の移動端への到達を示す情報であることを特徴とするものである。
又、請求項6によるアクチュエータは、請求項1から請求項5の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記表示器はLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載のアクチュエータによると、固定部と、上記固定部に対して移動可能に設置された移動部と、上記移動部を駆動する駆動部と、複数の表示器と、を具備し、上記複数の表示器に示す動作状態情報が任意に設定されるので、表示器を追加することなく多くの情報を表示できる。
又、請求項2記載のアクチュエータによると、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記複数の表示器に示す動作状態情報の組み合わせがあらかじめ設定されていて、上記動作状態情報の組み合わせが任意に選択されるので、容易に表示器が表示する情報を切り替えできる。
又、請求項3記載のアクチュエータによると、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記表示器に任意の点滅パターンが設定されるので、表示器が表示する情報を更に増やすことができる。
又、請求項4記載のアクチュエータによると、請求項2記載のアクチュエータにおいて、上記表示器の表示色が変更されるので、表示器が表示する情報量を更に増やすことができる。
又、請求項5記載のアクチュエータによると、請求項1から請求項4の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記動作状態情報は上記移動部の移動端への到達を示す情報であるので、表示器を追加することなく上記移動部の移動端への到達を示す情報を表示できる。
又、請求項6記載のアクチュエータによると、請求項1から請求項5の何れかに記載のアクチュエータにおいて、上記表示器はLEDであるので、簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの構成を模式的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、システム状態表示処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、前端後端表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1乃至
図5を参照しながら、本発明の一実施の形態について説明する。
アクチュエータ1には、
図1に示すように、固定部としてのベース3があり、上記ベース3には移動部としてのテーブル5が移動可能に設置されている。また、上記アクチュエータ1にはコントローラケース7がある。上記コントローラケース7は、上記ベース3の後方(
図1中右下側)に設置されている。上記コントローラケース7の後方(
図1中右下側)にはコネクタ9が接続されている。
図2に示すように、上記アクチュエータ1内には駆動部としてのモータ11が内装されている。上記モータ11によって図示しないネジ軸ナット機構により上記テーブル5が前後方向(
図1中左上から右下に向かう方向)に往復動される。
【0012】
また、
図2に示すように、上記コントローラケース7の内部には基板12があり、上記基板12上には上記モータ11を制御するモータ制御回路13、及び、上記モータ制御回路13を制御するCPU15が実装されている。また、上記基板12上には上記CPU15によって制御される表示器としての第1発光素子17と第2発光素子19が実装されている。また、上記基板12上には、上記モータ11の回転数を測定する図示しないエンコーダ回路が実装されている。
また、上記基板12上には、外部の機器と無線通信を行う図示しない無線通信回路が実装される。
また、上記基板12上には、制御電源生成回路20が実装されていて、外部電源からの電力が変換され、上記モータ制御回路13、CPU15、第1発光素子17、第2発光素子19、及び、図示しない無線通信回路に供給される。
【0013】
上記コントローラケース7はコントローラケース本体21とコントローラケース用蓋23から構成されている。
上記コントローラケース本体21には導光用開口部25、27が形成されており、上記コントローラケース用蓋23には導光用開口部29、31が形成されている。上記コントローラケース本体21と上記コントローラケース用蓋23を一体とした際、上記導光用開口部25と上記導光用開口部29が一体となり、上記導光用開口部27と上記導光用開口部31が一体となる。
【0014】
図1に示すように、上記コントローラケース7には、上記基板12上を保持する基板保持部材33が設置されている。上記基板保持部材33は一体成形された透明な樹脂(例えば、ポリカーボネート)製で、上記基板12を係合して保持する保持部材本体と、上記基板保持部材本体の幅方向一方側(
図1中左下側)に設けられた第1導光部35と、上記基板保持部材本体の幅方向他方側(
図1中右上側)に設けられた第2導光部37がある。
【0015】
上記導光部27の一端側(
図1中左上側)は上記コントローラケース本体21の導光用開口部27内に収容される。また、上記コントローラケース本体21と上記コントローラケース用蓋23を一体とした場合には、上記第1導光部35の他端側(
図1中右下側)は上記コントローラケース用蓋23の導光用開口部29内に収容され、上記第2導光部37の他端側(
図1中右下側)は上記コントローラケース用蓋23の導光用開口部31内に収容される。
【0016】
上記第1導光部35には光路が設けられていて、上記第1発光素子17から発せられた光が上記コントローラケース7の外部に導かれる。また、上記第2導光部37にも光路が設けられていて、上記第2発光素子19から発せられた光が上記コントローラケース7の外部に導かれる。
【0017】
上記第1発光素子17により動作状態情報として上記アクチュエータ1が正常に動作しているか否かが表示される。上記第1発光素子17は図示しない緑色のLEDと赤色のLEDから構成されていて、上記図示しない緑色のLEDと赤色のLEDの点灯と消灯の組み合わせにより、消灯、緑色での点灯、赤色での点灯、及び、橙色での点灯を行うことができるようになっている。上記第1発光素子17は、例えば、上記アクチュエータ1が正常に動作している場合は緑色で点灯され、上記アクチュエータ1が正常に動作していない場合は赤色で点灯される。
【0018】
また、上記第2発光素子19により動作状態情報として上記図示しない無線通信回路による無線通信が正常に行われているか否かが表示される。上記第2発光素子19も上記第1発光素子17と同様の構成で、消灯、緑色での点灯、赤色での点灯、及び、橙色での点灯を行うことができるようになっている。上記第2発光素子19は、例えば、上記図示しない無線通信回路による無線通信が正常に行われている場合は緑色で点灯され、上記図示しない無線通信回路による無線通信が正常に行われていない場合は赤色で点灯される。
【0019】
また、上記第1発光素子17により動作状態情報として上記テーブル5が前方側(
図1中左上側)の移動端に到達したことを店頭により表示し、上記第2発光素子179より動作状態情報として上記テーブル5が後方側(
図1中右下側)の移動端に到達したことを点灯により表示するようにすることもできるようになっている。
【0020】
すなわち、上記第1発光素子17により上記アクチュエータ1が正常に動作しているか否かが表示されるとともに上記第2発光素子19により無線通信が正常に行われているか否かが表示されるデフォルトの表示モードと、上記第1発光素子17により上記テーブル5が前方側(
図1中左上側)の移動端に到達したことを表示するとともに上記第2発光素子179より上記テーブル5が後方側(
図1中右下側)の移動端に到達したことを表示する表示モードの2種類の表示モードがある。
そして、上記表示モードの切り替えは図示しないティーチングボックス等の外部の機器から有線または無線で行うことができるようになっている。
【0021】
上記第1発光素子17と上記第2発光素子19による表示処理は、
図3のフローチャートに示すようなものである。
まず、ステップS1において、上記モータ制御回路13及びモータ11による上記アクチュエータ1の制御処理が行われる。
次に、ステップS2に移行し、表示モードによる処理の分岐が行われる。
表示モードがデフォルトであれば、ステップS3に移行し、上記第1発光素子17により上記アクチュエータ1が正常に動作しているか否かを表示するとともに上記第2発光素子19により無線通信が正常に行われているか否かを表示する処理を行う。
表示モードが1であれば、ステップS4に移行し、上記第1発光素子17により上記テーブル5が前方側(
図1中左上側)の移動端に到達したことを表示するとともに上記第2発光素子19より上記テーブル5が後方側(
図1中右下側)の移動端に到達したことを表示する処理を行う。
【0022】
上記ステップS3や上記ステップS4の処理が終了すると、ステップS5に移行する。
上記ステップS5では、上記アクチュエータ1の処理を終了するか否かが判別される。終了する場合は、ステップS6に移行し、上記モータ11の停止等の終了処理が行われた後、処理が終了する。まだ終了しない場合は、上記ステップS1に戻り、処理が繰り返し行われる。
【0023】
上記第1発光素子17により上記アクチュエータ1が正常に動作しているか否かを表示するとともに上記第2発光素子19により無線通信が正常に行われているか否かを表示する処理は、
図4のフローチャートに示すようなものである。
まず、ステップS7において、システムが正常か否かが判別される。
システムが正常であればステップS8に移行し、上記第1発光素子17が緑色で点灯される。
システムが正常でなければステップS9に移行し、上記第1発光素子17が赤色で点灯される。
【0024】
次に、ステップS10に移行し、無線通信が正常に接続されているか否かが判別される。
無線通信が正常であればステップS11に移行し、上記第2発光素子19が緑色で点灯される。
無線通信が正常でなければステップS12に移行し、上記第2発光素子19が赤色で点灯される。
【0025】
上記第1発光素子17により上記テーブル5が前方側(
図1中左上側)の移動端に到達したことを表示するとともに上記第2発光素子179より上記テーブル5が後方側(
図1中右下側)の移動端に到達したことを表示する処理は、
図5のフローチャートに示すようなものである。
まず、ステップS13において、上記テーブル5が前端に到達したか否かが判別される。
上記テーブル5が前端に到達したのであればステップS14に移行し、上記第1発光素子17が緑色で点灯される。
上記テーブル5が前端に到達したのでなければステップS15に移行し、上記第1発光素子17が消灯される。
【0026】
次に、ステップS16に移行し、上記テーブル5が後端に到達したか否かが判別される。
上記テーブル5が後端に到達したのであればステップS17に移行し、上記第2発光素子19が緑色で点灯される。
上記テーブル5が後端に到達したのでなければステップS18に移行し、上記第2発光素子19が消灯される。
【0027】
なお、上記テーブル5の前端と後端の位置は、任意に設定することができるようになっている。
【0028】
次に、この一実施の形態による作用について説明する。
アクチュエータ1はモータ11を回転駆動させることで、図示しないネジ軸ナット機構によりテーブル5を前後方向(
図1中左上から右下に向かう方向)に往復動させる。
【0029】
上記アクチュエータ1の動作中に、第1発光素子17及び第2発光素子19が発光し、上記アクチュエータ1の動作状態情報が表示される。
上記発光素子17から発せられた光は、基板保持部材33の導光部25を通過して、コントローラケース本体21の導光用開口部25とコントローラケース用蓋23の導光用開口部29から外部に導かれる。また、上記発光素子19から発せられた光は、基板保持部材33の導光部27を通過して、コントローラケース本体21の導光用開口部27とコントローラケース用蓋23の導光用開口部31から外部に導かれる。
【0030】
上記第1発光素子17及び第2発光素子19によって表示される動作状態情報の組み合わせとして、上記第1発光素子17により上記アクチュエータ1が正常に動作しているか否かを表示し上記第2発光素子19によって無線通信が正常に行われているか否かを表示する組み合わせ(デフォルトの表示モード)と、上記第1発光素子17により上記テーブル5が前方側(
図1中左上側)の移動端に到達したことを表示し上記第2発光素子19より上記テーブル5が後方側(
図1中右下側)の移動端に到達したことを表示する組み合わせ(表示モード1)がある。
【0031】
上記第1発光素子17及び第2発光素子19によって表示される動作状態情報の組み合わせは、上記アクチュエータ1に接続された外部の機器から切り替えられる。
【0032】
次に、この一実施の形態による効果について説明する。
表示器は第1発光素子17及び第2発光素子19のみで、表示する情報の組み合わせを切り替えるようにしているので、表示器を追加することなく多くの情報を表示できる。
【0033】
なお、本発明は前記一実施の形態に限定されない。
第1発光素子によりテーブルが前方側の移動端に到達したことを表示し第2発光素子より上記テーブルが後方側の移動端に到達したことを表示するモードにおいて、上記第1発光素子や第2発光素子を別の色で点灯させることでエラーを表示する場合も考えられる。
上記第1発光素子や第2発光素子の点滅パターンにより、上記テーブルの位置や速度等、更に多くの情報を表示する場合も考えられる。
アクチュエータの種類には様々なものが考えられ、例えば、ロッドタイプのアクチュエータであることも考えられる。
また、動作状態情報には様々なものが考えられる。
発光器の種類や数も様々な場合が考えられる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、アクチュエータに係り、特に、表示器を追加することなく多くの情報を表示できるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 アクチュエータ
3 ハウジング(固定部)
5 テーブル(移動部)
11 モータ(駆動部)
17 第1発光素子(表示器)
19 第2発光素子(表示器)