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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095276
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】取付治具及び取付工法
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/223 20060101AFI20230629BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
F16L3/223
H02G3/30
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211068
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大竹 務
(72)【発明者】
【氏名】榊原 宏行
(72)【発明者】
【氏名】日向野 明
【テーマコード(参考)】
3H023
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA01
3H023AA04
3H023AB04
3H023AC01
3H023AC33
3H023AD26
3H023AD36
3H023AE12
5G363BA07
5G363DA12
5G363DA13
5G363DA16
5G363DA20
(57)【要約】
【課題】電気配管又は電気ボックスの取付に必要な資材を減らし、また取付の手間の削減を図ることができる取付治具及び取付工法を提供する。
【解決手段】取付治具は、部材を支持する支持面と、前記支持面の反対側に配置され、対象物に取り付けるための粘着部が設けられた取付面とを備える。好ましくは、前記支持面を有する支持板と、前記支持板に対向し、前記取付面を有する取付板と、前記支持板と前記取付板との間に配置されたスペーサとを備え、前記支持板に、前記部材を保持する保持部材を取り付けるためのねじ孔が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材を支持する支持面と、
前記支持面の反対側に配置され、前記部材を対象物に取り付けるための粘着部が設けられた取付面と
を備える取付治具。
【請求項2】
前記支持面を有する支持板と、
前記支持板に対向し、前記取付面を有する取付板と
前記支持板と前記取付板との間に配置されたスペーサと
を備え、
前記支持板に、前記部材を保持する保持部材を取り付けるためのねじ孔が形成されている
請求項1に記載の取付治具。
【請求項3】
前記部材は、第1配管と、前記第1配管とは異なる直径を有する第2配管とを含み、
前記支持面は、前記第1配管又は前記第2配管を支持する第1支持領域を含み、
前記ねじ孔は、
前記第1支持領域の両側であって前記第1配管の直径に対応した位置に形成された第1ねじ孔と、
前記第1支持領域の両側であって前記第2配管の直径に対応した位置に形成された第2ねじ孔と
を含む
請求項2に記載の取付治具。
【請求項4】
前記部材は、第3配管と、第4配管とを含み、
前記支持面は、
前記第3配管を支持する第2支持領域と、
前記第4配管を支持し、前記第2支持領域とは異なる第3支持領域と
を有し、
前記ねじ孔は、
前記第2支持領域の両側に形成された第3ねじ孔と、
前記第3支持領域の両側に形成された第4ねじ孔と
を含む
請求項2に記載の取付治具。
【請求項5】
前記部材は、第1配管と、前記第1配管とは異なる直径を有する第2配管と、第3配管と、第4配管とを含み、
前記支持面又は前記取付面の一方に、前記第1配管又は前記第2配管を支持する第1支持領域が設けられ、
前記支持面又は前記取付面の他方に、
前記第3配管を支持する第2支持領域と、
前記第4配管を支持し、前記第2支持領域とは異なる第3支持領域と
が設けられ、
前記ねじ孔は、
前記第1支持領域の両側であって前記第1配管の直径に対応した位置に形成された第1ねじ孔と、
前記第1支持領域の両側であって前記第2配管の直径に対応した位置に形成された第2ねじ孔と、
前記第2支持領域の両側に形成された第3ねじ孔と、
前記第3支持領域の両側に形成された第4ねじ孔と
を含む
請求項2に記載の取付治具。
【請求項6】
前記支持板及び取付板を連結する連結部を備え、
前記連結部にバンドを挿入するための挿入孔が形成される
請求項2から5のいずれか一つに記載の取付治具。
【請求項7】
前記支持面に前記部材が配置される凹部が形成されている
請求項1から6のいずれか一つに記載の取付治具。
【請求項8】
前記支持面に位置決めのための目印が形成されている
請求項1から7のいずれか一つに記載の取付治具。
【請求項9】
部材を支持する支持面を備える取付治具を対象物に取り付ける取付工法において、
前記取付治具は、前記支持面の反対側に配置され、前記対象物に取り付けるための粘着部が設けられた取付面を備え、
前記粘着部によって前記取付治具を前記対象物に取り付ける工程と、
前記支持面に前記部材を支持させる工程と
を備える取付工法。
【請求項10】
前記粘着部は前記取付面に予め設けられている
請求項9に記載の取付工法。
【請求項11】
前記粘着部は粘着テープであり、
前記粘着テープを前記取付面に取り付ける工程を備える
請求項9に記載の取付工法。
【請求項12】
前記取付治具は、前記支持面を有する支持板と、前記支持板に対向し、前記取付面を有する取付板と、前記支持板と前記取付板との間に配置されたスペーサとを備え、
前記支持板にねじ孔が形成され、
保持部材と前記支持板との間に前記部材を配置させる工程と、
前記保持部材の貫通孔にねじを挿入して、前記ねじ孔に連結させ、前記部材を前記支持面と前記保持部材との間に保持させる工程と
を備える請求項9から11のいずれか一つに記載の取付工法。
【請求項13】
前記取付治具は、前記支持板及び取付板を連結する連結部を備え、
前記連結部の挿入孔にバンドを挿入し、前記対象物に巻き付ける工程を備える
を備える請求項12に記載の取付工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、部材を対象物に取り付ける取付治具及び取付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
部材、例えば電気ボックスを壁に取り付ける取付工法が従来提案されている(例えば特許文献1参照)。ところで電気ボックスの取付は柱にも行うことができる。例えば横長の2本のバー(取付治具)を柱の前後に配置し、2本のバーを長尺のボルトによって連結して、バーを柱に固定し、バーに電気ボックスをねじ止めすることによって、電気ボックスを柱に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-016750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の取付には多数の資材が必要であり、また取付に多くの手間を要する。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、部材の取付に必要な資材を減らし、また取付の手間の削減を図ることができる取付治具及び取付工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る取付治具は、部材を支持する支持面と、前記支持面の反対側に配置され、前記部材を対象物に取り付けるための粘着部が設けられた取付面とを備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る取付工法は、部材を支持する支持面を備える取付治具を対象物に取り付ける取付工法において、前記取付治具は、前記支持面の反対側に配置され、前記対象物に取り付けるための粘着部が設けられた取付面を備え、前記粘着部によって前記取付治具を前記対象物に取り付ける工程と、前記支持面に前記部材を支持させる工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る取付治具及び取付工法にあっては、取付面に粘着部が設けられているので、粘着部を圧着させるだけで取付治具を対象物、例えば柱又は壁に取り付けることができ、部材、例えば電気配管又は電気ボックスの取付に必要な資材を減らし、また取付の手間の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る取付治具の略示正面図である。
図2】取付治具の略示下面図である。
図3】取付治具の略示右側面図である。
図4】取付治具の略示左側面図である。
図5】取付治具及び電気配管の柱への取付工法を説明する説明図である。
図6】サドル、中径の電気配管及び取付治具の略示下面断面図である。
図7】サドル、小径の電気配管及び取付治具の略示下面断面図である。
図8】サドル、大径の電気配管及び取付治具の略示下面断面図である。
図9】変更例1に係る取付治具の略示下面図である。
図10】変更例1に係る取付治具の略示左側面図である。
図11】変更例2に係る取付治具の略示斜視図である。
図12】変更例3に係る取付治具の略示斜視図である。
図13】実施の形態2に係る取付治具の略示正面図である。
図14】取付治具、サドル及び電気配管の略示正面図である。
図15】実施の形態3に係る取付治具の略示斜視図である。
図16】実施の形態4に係る電気ボックス、取付治具及び柱又は壁の略示右側面断面図である。
図17】実施の形態5に係る取付治具の略示正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る取付治具1を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では図中の上下前後左右を使用する。図中の上下前後左右は説明容易化の為に付すものであり、方向は図中の方向に限定されない。図1は、取付治具1の略示正面図、図2は、取付治具1の略示下面図、図3は、取付治具1の略示右側面図、図4は、取付治具1の略示左側面図である。
【0011】
取付治具1は支持板2と、取付板5と、連結部9とを備える。支持板2は、長辺が左右に延び、短辺が上下に延びる矩形をなす。支持板2の正面は支持面2aを構成する。支持板2の後側に、支持板2に対向する取付板5が設けられている。取付板5は、長辺が左右に延び、短辺が上下に延びる矩形をなす。取付板5の上下左右寸法は支持板2と略同じである。取付板5の後面は取付面5aを構成する。
【0012】
支持板2の右端と、取付板5の右端とは連結部9によって連結されている。連結部9は、右側に向けて突出した下面視U形をなし、上下に延びる半筒形をなす。連結部9の左前縁部は支持板2に連結し、左後縁部は取付板5に連結する。
【0013】
支持面2aの左右方向中央部に、上下に延びる溝状の凹部3が形成されている。なお凹部3を形成しなくてもよい。凹部3の右側に、小径の電気配管31に対応した位置に配置された小径用ねじ孔4a、中径の電気配管32に対応した位置に配置された中径用ねじ孔4b及び大径の電気配管33に対応した位置に配置された大径用ねじ孔4cが形成されている。なお中径は小径よりも大きく、大径よりも小さい直径をいう。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは、この順に左から右に一列に並ぶ。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは、上下方向略中央に位置する。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは支持板2を前後に貫通する。各ねじ孔はバーリング加工によって形成される。なおねじ孔は一列に並ぶ必要は無い。また電気配管の直径に応じたねじ孔の種類は二つ又は一つでもよいし、四つ以上でもよい。
【0014】
凹部3の左側に、小径の電気配管31に対応した位置に配置された小径用ねじ孔4a、中径の電気配管32に対応した位置に配置された中径用ねじ孔4b及び大径の電気配管33に対応した位置に配置された大径用ねじ孔4cが形成されている。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは、この順に右から左に一列に並ぶ。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは、上下方向略中央に位置する。小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは支持板2を前後に貫通する。各ねじ孔はバーリング加工によって形成される。なおねじ孔は一列に並ぶ必要は無い。また電気配管の直径に応じたねじ孔の種類は二つ又は一つでもよいし、四つ以上でもよい。支持面2aにおいて、左右の小径用ねじ孔4a、4aの間の領域は第1支持領域21を形成する。
【0015】
支持面2aの左右縁それぞれの中央部に目印10が形成されている。目印10は左右に延びた短い線である。支持面2aの上下縁それぞれの中央部に目印11が形成されている。目印11は三角形である。上側の目印11は、一の頂点が上を向くように配置される。下側の目印11は、一の頂点が下を向くように配置される。なお目印10、11の形状は適宜変更可能であり、菱形又は六角形等他の形状でもよい。
【0016】
取付面5aには粘着層6が形成されている。粘着層6は、例えば取付面5aよりも上下左右寸法が同じか又は若干小さい矩形をなす。粘着層6の後面には剥離紙7が設けてある。取付治具1を使用する場合、剥離紙7が剥がされる。
【0017】
支持板2の左端部と、取付板5の左端部との間に二つのスペーサ8が設けられている。スペーサ8は偏平な円柱100形をなし、上下に間隔を空けて並んでいる。スペーサ8は、例えばスポット溶接によって形成される。連結部9には、後述するステンレスバンド41を挿入する挿入孔9aが形成されている。挿入孔9aは、上下に延びたスリットであり、連結部9を左右方向に貫通する。
【0018】
取付治具1及び電気配管31、32、33の柱100への取付工法を説明する。図5は、取付治具1及び電気配管31、32、33の柱100への取付工法を説明する説明図である。作業者は、柱100の一面に墨出しを行い、左右方向に延びる第1基準線101と、上下方向に延びる第2基準線(図示略)とを柱100に表示する。
【0019】
作業者は、取付治具1から剥離紙7を剥がし、左右の目印10の位置を第1基準線101に整合させ、上下の目印11の位置を第2基準線に整合させて、粘着層6を柱100に圧着させ、取付治具1を柱100に固定させる。作業者は、支持面2aの凹部3に接触するように、上下に延びる小径、中径又は大径の電気配管31、32、33を支持面2aに配置させる。なお粘着層6及び剥離紙7を有さない取付治具1と、両面テープとを用意し、作業者が現場で両面テープの一面側の剥離紙7を剥がして、両面テープを取付面5aに固定し、取付治具1を製造してから、上述の工程を行ってもよい。
【0020】
なお作業者は、取付治具1から剥離紙7を剥がす前に、ステンレスバンド41を挿入孔9a及び二つのスペーサ8、8の間に挿入し、剥離紙7を剥がして粘着層6を柱100に圧着させた後、ステンレスバンド41をバックル(図示略)に通して、柱100に巻き付けてもよい。ステンレスバンド41の巻き付けによって、取付治具1の落下が確実に防止される。
【0021】
中径の電気配管32を支持面2aに配置させる場合について説明する。図6は、サドル52、中径の電気配管32及び取付治具1の略示下面断面図である。作業者は中径の電気配管32を支持面2aに配置させた後、中径の電気配管32の直径に対応したサドル52(保持部材)を支持板2の前側に配置させる。サドル52は、下面視にて前側に突出した略円弧形をなし、中径の電気配管32が嵌合する嵌合部52aと、嵌合部52aの左端から左側に突出した左フランジ部52bと、嵌合部52aの右端から右側に突出した右フランジ部52cとを備える。左フランジ部52bに前後に貫通した貫通孔52dが形成される。右フランジ部52cに前後に貫通した貫通孔52eが形成される。貫通孔52d、52eの位置は、中径用ねじ孔4b、4bの位置に対応する。
【0022】
作業者は、嵌合部52aの内側に電気配管が嵌合し、貫通孔52d、52eの上下左右位置と中径用ねじ孔4b、4bの上下左右位置とが整合するように、サドル52を配置させ、各貫通孔52d、52eにねじ55を挿入し、中径用ねじ孔4bに連結させる。ねじ55の頭部と支持板2との間に左フランジ部52b及び右フランジ部52cが挟持される。即ち、サドル52は電気配管を保持する。
【0023】
小径の電気配管31を支持面2aに配置させる場合について説明する。図7は、サドル51、小径の電気配管31及び取付治具1の略示下面断面図である。小径の電気配管31の直径に対応したサドル51は中径の電気配管32の直径に対応したサドル52と同様な形状を有し、小径の電気配管31が嵌合する嵌合部51a、左フランジ部51b、右フランジ部51c及び貫通孔51d、51eを備える。貫通孔51d、51eの位置は、小径用ねじ孔4a、4aの位置に対応する。
【0024】
作業者は小径の電気配管31を支持面2aに配置させた後、小径の電気配管31の直径に対応したサドル51を支持板2の前側に配置させる。作業者は、嵌合部51aの内側に電気配管が嵌合し、貫通孔51d、51eの上下左右位置と小径用ねじ孔4a、4aの上下左右位置とが整合するように、サドル51を配置させ、各貫通孔51d、51eにねじ55を挿入し、小径用ねじ孔4a、4aに連結させる。
【0025】
大径の電気配管33を支持面2aに配置させる場合について説明する。図8は、サドル53、大径の電気配管33及び取付治具1の略示下面断面図である。大径の電気配管33の直径に対応したサドル53は中径の電気配管32の直径に対応したサドル52と同様な形状を有し、大径の電気配管33が嵌合する嵌合部53a、左フランジ部53b、右フランジ部53c及び貫通孔53d、53eを備える。貫通孔53d、53eの位置は、大径用ねじ孔4c、4cの位置に対応する。
【0026】
作業者は大径の電気配管33を支持面2aに配置させた後、大径の電気配管33の直径に対応したサドル53を支持板2の前側に配置させる。作業者は、嵌合部53aの内側に電気配管が嵌合し、貫通孔53d、53eの上下左右位置と大径用ねじ孔4c、4cの上下左右位置とが整合するように、サドル53を配置させ、各貫通孔53d、53eにねじ55を挿入し、大径用ねじ孔4cに連結させる。なお小径、中径及び大径の電気配管31、32,33は、いずれも第1支持領域21に配置される。
【0027】
実施の形態1に係る取付治具1及び取付工法にあっては、取付面5aに粘着層6が設けられているので、粘着層6を圧着させるだけで取付治具1を柱100に取り付けることができ、電気配管31、32,33の取付に必要な資材を減らし、また取付の手間の削減を図ることができる。
【0028】
またスペーサ8によって支持板2と取付板5との間に隙間が保持されるので、ねじ55をねじ孔に連結させた場合、ねじ55が取付板5に接触しない。そのため、ねじ55によるサドル51、52、53の固定が不十分になることを防止できる。
【0029】
また第1支持領域21の両側に小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cを形成しているので、直径の異なる複数種類の電気配管31、32,33を取り付けることができる。即ち、取付治具1を直径の異なる複数種類の電気配管に対して共用できる。
【0030】
また凹部3を形成しているので、電気配管31、32,33を位置決めしやすい。また目印10、11を形成しているので、取付治具1を柱100又は壁102に位置決めしやすい。また挿入孔9aを形成しているので、ステンレスバンド41を挿入することができる。
【0031】
(変更例1)
図9は、変更例1に係る取付治具1の略示下面図、図10は、変更例1に係る取付治具1の略示左側面図である。変更例1は、スペーサ8a以外の構成は上述の実施の形態1と同様である。変更例1のスペーサ8aは、支持板2の左上端部及び左下端部に連なるブロック状をなす。例えば、支持板2の左上端部及び左下端部それぞれから、左側に突出した部分を予め形成し、突出した部分を後側に折り曲げることによって、スペーサ8aが形成される。
【0032】
(変更例2)
図11は、変更例2に係る取付治具1の略示斜視図である。変更例2は、実施の形態1における連結部9を削除し、左側のスペーサ8と同様なスペーサ8を右側に設けた取付治具1である。
【0033】
(変更例3)
図12は、変更例3に係る取付治具1の略示斜視図である。変更例3は、実施の形態1と異なり、連結部9bを右端部ではなく下縁部に設け、スペーサ8を左側ではなく上側に設けた取付治具1である。取付治具1の左右は開口するので、左右の開口にステンレスバンド41を挿入することができる。そのため変更例3の連結部9bには挿入孔9aが形成されない。
【0034】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る取付治具1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図13は、取付治具1の略示正面図である。
【0035】
支持面2aには、上下に延びる第1凹部3a及び第2凹部3bが形成されている。第1凹部3aは三角形の目印11よりも左側に配置され、第2凹部3bは三角形の目印11よりも右側に配置される。支持板2において、第1凹部3aの左右それぞれに小径用ねじ孔4a1が形成される。第1凹部3aの左右それぞれに中径用ねじ孔4b1が形成される。第1凹部3aの左側にて、小径用ねじ孔4a1及び中径用ねじ孔4b1は左右に並び、小径用ねじ孔4a1は中径用ねじ孔4b1よりも右側に配置される。第1凹部3aの右側にて、小径用ねじ孔4a1及び中径用ねじ孔4b1は左右に並び、小径用ねじ孔4a1は中径用ねじ孔4b1よりも左側に配置される。支持面2aにおける二つの小径用ねじ孔4a1の間の領域は第2支持領域22を構成する。小径用ねじ孔4a1及び中径用ねじ孔4b1は三角形の目印11よりも左側に配置される。
【0036】
支持板2において、第2凹部3bの左右それぞれに小径用ねじ孔4a2が形成される。第2凹部3bの左右それぞれに中径用ねじ孔4b2が形成される。第2凹部3bの左側にて、小径用ねじ孔4a2及び中径用ねじ孔4b2は左右に並び、小径用ねじ孔4a2は中径用ねじ孔4b2よりも右側に配置される。第2凹部3bの右側にて、小径用ねじ孔4a2及び中径用ねじ孔4b2は左右に並び、小径用ねじ孔4a2は中径用ねじ孔4b2よりも左側に配置される。支持面2aにおける二つの小径用ねじ孔4a2の間の領域は第3支持領域23を構成する。小径用ねじ孔4a2及び中径用ねじ孔4b2は三角形の目印11よりも右側に配置される。
【0037】
図14は、取付治具1、サドル51、52及び電気配管の略示正面図である。図14は、第2支持領域22に中径の電気配管32を配置させ、第3支持領域23に小径の電気配管31を配置させた状態を示す。図14に示すように、一つの取付治具1によって二つの電気配管が支持される。なお第2支持領域22及び第3支持領域23のいずれにも、小径の電気配管31を配置させてもよいし、中径の電気配管32を配置させてもよい。なお支持面2aに支持領域を三つ以上設け、三つ以上の電気配管を配置させてもよい。即ち一つの取付治具1に配置される電気配管の数は限定されない。
【0038】
実施の形態2に係る取付治具1にあっては、一つの支持面2aに複数の支持領域を設けているので、一つの取付治具1によって複数の電気配管を支持することができる。また各支持領域の両側に小径用ねじ孔4a1、4a2及び中径用ねじ孔4b1、4b2を形成しているので、支持領域毎に、直径の異なる複数種類の電気配管を取り付けることができる。なお大形用のねじ孔を各支持領域の両側に形成してもよい。即ち電気配管の直径に対応したねじ孔の種類は限定されず、一つでもよいし、四つ以上でもよい。
【0039】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る取付治具1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図15は、取付治具1の略示斜視図である。実施の形態3においては、支持板2及び取付板5の一方に実施の形態1と同様に、小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b、大径用ねじ孔4cが形成される。また支持板2及び取付板5の他方に実施の形態2と同様に、小径用ねじ孔4a1、4a2及び中径用ねじ孔4b1、4b2が形成される。
【0040】
実施の形態3にあっては、一つの電気配管のみを支持する取付治具1を製造する場合、小径用ねじ孔4a1、4a2及び中径用ねじ孔4b1、4b2が形成された板に粘着層6及び剥離紙7を設ける。即ち、小径用ねじ孔4a1、4a2及び中径用ねじ孔4b1、4b2が形成された板を取付板5とし、小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b、大径用ねじ孔4cが形成された板を支持板2とする。
【0041】
また二つの電気配管を支持する取付治具1を製造する場合、小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b、大径用ねじ孔4cが形成された板に粘着層6及び剥離紙7を設ける。即ち、小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b、大径用ねじ孔4cが形成された板を取付板5とし、小径用ねじ孔4a1、4a2及び中径用ねじ孔4b1、4b2が形成された板を支持板2とする。
【0042】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る取付治具1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4に係る構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図16は、電気ボックス80、取付治具1及び柱100又は壁102の略示右側面断面図である。
【0043】
取付治具1はベース板25を備える。ベース板25の一面は支持面25aを構成し、他面は取付面25bを構成する。支持面25aから略直角に二つのスタッドボルト26が突出する。取付面25bには粘着層6及び剥離紙7が設けられている。支持面25aには目印10、11が形成されている。
【0044】
取付治具1には電気ボックス80が取り付けられる。電気ボックス80は、一面が開口した直方体をなす本体81と、本体81の開口を塞ぐ蓋83とを備える。本体81において、開口の反対側の面に二つの貫通孔82が形成されている。二つの貫通孔82の位置は二つのスタッドボルト26の位置に対応する。
【0045】
作業者は、剥離紙7を剥がし、左右の目印10の位置を第1基準線101に整合させ(図5参照)、上下の目印11の位置を第2基準線に整合させて、壁102又は柱100の一面に粘着層6を圧着させ、取付治具1を固定させる。作業者は、貫通孔82にスタッドボルト26を挿入させて、取付治具1に本体81を取り付け、ナット56を本体81の内側からスタッドボルト26に連結させて、ナット56によって本体81を取付治具1に固定する。作業者は蓋83で本体81の開口を塞ぐ。電気ボックス80は支持面25aに支持される。なお取付治具を使用せず、ボックス本体に粘着層6を設けて壁102又は柱100に取り付けてもよい。
【0046】
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る取付治具1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態5に係る構成の内、実施の形態1~4と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図17は、取付治具1の略示正面図である。中径用ねじ孔4bは小径用ねじ孔4a及び大径用ねじ孔4cよりも上側に配置される。即ち、小径用ねじ孔4a、中径用ねじ孔4b及び大径用ねじ孔4cは一列に並ばなくてもよい。なお大径用ねじ孔4c又は小径用ねじ孔4aを削除し、二つのねじ孔を斜めに配置してもよい。斜めに配置することによって、一列に並べる場合に比べてねじ孔間の距離が長くなり、取付治具1を薄くしても強度を確保しやすくなる。目印11は短い線である。凹部3は形成されておらず、菱形の開口3cが支持板2の中央に形成される。
なお取付治具1は電気配管又は電気ボックス以外の部材、例えば通信、空調又は給水設備に使用する部材を壁又は柱に取り付けるために使用してもよい。
【0047】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 取付治具 2 支持板 2a 支持面 4a 小径用ねじ孔 4b 中径用ねじ孔 4c 大径用ねじ孔 5 取付板 5a 取付面 6 粘着層 10、11 目印 8 スペーサ 9 連結部 9a 挿入孔 21 第1支持領域 22 第2支持領域 23 第3支持領域 51、52、53 サドル(保持部材) 51d、52d、53d 貫通孔 51e、52e、53e 貫通孔 100 柱 102 壁
図1
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