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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095386
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】薬剤手撒き装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211239
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】杉本 直哉
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 俊輔
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ10
4C047JJ26
4C047JJ31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤を投入すべき位置を認識しやすい薬剤手撒き装置を提供する。
【解決手段】本発明の薬剤手撒き装置は、薬剤を収容可能な収容部12を複数有する収容体11を備え、各収容部は、上方が開放され、作業者が手作業で上方から薬剤を投入可能に構成される薬剤手撒き装置であって、前記各収容部のうちどの前記収容部に対して前記薬剤を投入すべきかを表示する位置表示部13を備え、位置表示部は、前記収容部の内壁面に投光する投光部を備えるよう構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容可能な収容部を複数有する収容体を備え、各収容部は、上方が開放され、作業者が手作業で上方から薬剤を投入可能に構成される薬剤手撒き装置であって、
前記各収容部のうちどの前記収容部に対して前記薬剤を投入すべきかを表示する位置表示部を備え、
前記位置表示部は、前記収容部の内壁面に投光する投光部を備えるよう構成される薬剤手撒き装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記薬剤が投入される収容領域の側方を画定する側壁を備え、
前記投光部は、前記各収容部の前記側壁の内部に配置される請求項1に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項3】
前記投光部は、光源と、該光源が発した光を透過する光透過部と、を備え、
前記内壁面は、前記側壁の内面である側面と前記収容領域の底を構成する底面とを備え、
前記光透過部は、前記側面のうち一部分を構成する第一面を備え、
前記光源は、前記光透過部の前記第一面とは反対側に配置され、
前記光源が発した光は、前記第一面から前記内壁面に対して投光されるように構成される請求項2に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項4】
前記光透過部は、前記第一面と連なり、前記収容領域をとりまく上端面の一部を構成する第二面を備え、
前記光源が発した光は、前記光透過部を透過して前記第二面から前記収容部の上方にも投光されるように構成される請求項3に記載の薬剤手撒き装置。
【請求項5】
前記収容部の前記内壁面には、凹凸が形成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の薬剤手撒き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を手撒きするための薬剤手撒き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤手撒き装置を備えた装置として、特許文献1に記載の薬剤手動供給装置が知られている。薬剤手動供給装置は、格子状に区画され、作業者が薬剤を手作業により投入する(手撒きする)複数の薬剤収容部が形成された薬剤手動供給部と、薬剤収容部の近傍に配置されたLEDからなる位置表示部と、を備える。
【0003】
上記のような薬剤手動供給装置によれば、作業者は、LEDが発光した位置表示部に対応した位置の薬剤収容部に薬剤を投入することで手撒き作業をすることができるので、効率よく薬剤を薬剤収容部に収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2011/125650号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の薬剤手撒き装置は、位置表示部が薬剤収容部の近傍に配置された構成であるので、LEDが発光した位置表示部に対応した薬剤収容部を直感的に把握できず、作業者が薬剤を投入すべき位置を認識しづらいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、薬剤を投入すべき位置を認識しやすい薬剤手撒き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬剤手撒き装置は、薬剤を収容可能な収容部を複数有する収容体を備え、各収容部は、上方が開放され、作業者が手作業で上方から薬剤を投入可能に構成される薬剤手撒き装置であって、前記各収容部のうちどの前記収容部に対して前記薬剤を投入すべきかを表示する位置表示部を備え、前記位置表示部は、前記収容部の内壁面に投光する投光部を備えるよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、投光部が収容部の内壁面に対して投光するので、収容部の内壁面が投光部からの光によって照らされる。よって、収容部自体が光で照らされるため、薬剤を投入すべき位置を認識しやすい。
【0009】
また、前記収容部は、前記薬剤が投入される収容領域の側方を画定する側壁を備え、前記投光部は、前記各収容部の前記側壁の内部に配置されるよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、投光部が側壁の内部に配置されるので、薬剤を収容領域に投入する際に投光部が邪魔になることを抑制でき、かつ、収容部の内部から内壁面に投光するので、内壁面に確実に投光することができる。
【0011】
また、前記投光部は、光源と、該光源が発した光を透過する光透過部と、を備え、前記内壁面は、前記側壁の内面である側面と底面とを備え、前記光透過部は、前記側面のうち一部分を構成する第一面を備え、前記光源は、前記光透過部の前記第一面とは反対側に配置され、前記光源が発した光は、前記第一面から前記内壁面に対して投光されるように構成することもできる。
【0012】
また、かかる構成によれば、光源が光透過部の第一面とは反対側に配置されるので、投入される薬剤などによって、光源が損傷することを抑制できる。
【0013】
また、前記光透過部は、前記第一面と連なり、前記収容領域をとりまく上端面の一部を構成する第二面を備え、前記光源が発した光は、前記光透過部を透過して前記第二面から前記収容部の上方にも投光されるように構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、光源が発した光が収容部の上方にも投光されるので、作業者が薬剤を投入すべき位置をさらに認識しやすくなる。
【0015】
また、前記収容部の前記内壁面には、凹凸が形成されるように構成することもできる。
【0016】
かかる構成によれば、内壁面に投光された際に、凹凸によって、光が当たる部分と影になる部分とが形成されるので、内壁面に投光されていることを認識しやすくなる。よって、薬剤を投入すべき位置を認識しやすい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、薬剤を投入すべき位置を認識しやすい薬剤手撒き装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤手撒き装置を備える薬剤分包装置の斜視図である。
図2】同薬剤手撒き装置の収容体を示す平面図である。
図3図2に示すIII-III拡大図である。
図4図2に示すIV-IV断面図である。
図5】同薬剤手撒き装置の位置表示部の動作状態を示す図である。
図6】同薬剤手撒き装置の除電部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る薬剤手撒き装置3について図1乃至図6を参照して説明する。上下左右及び奥行方向は、設置時の方向を基準に説明する。具体的に、奥行方向は、筐体5の正面に直交する方向を指し、正面側を手前側、背面側を奥側として説明する。
【0020】
本実施形態の薬剤手撒き装置3は、薬剤を分包する薬剤分包装置1の一部として構成される。まず、薬剤分包装置1について図1を参照して説明する。
【0021】
薬剤分包装置1は、薬剤を一服用分毎に分包紙などの包装体で包装する装置である。具体的に、薬剤分包装置1は、薬剤が収容されるカセット(図示しない)を複数有し、カセットに収容された薬剤を供給可能な自動供給装置2と、手撒きされた薬剤を供給する薬剤手撒き装置3と、自動供給装置2及び薬剤手撒き装置3から供給された薬剤を包装体に包装する包装部4と、自動供給装置2、薬剤手撒き装置3、及び包装部4を収容する箱型の筐体5と、を備える。また、薬剤分包装置1は、分包する薬剤の情報に関する処方情報を入力可能な入力部6と、薬剤分包装置1全体を制御する制御部と、を備える。本実施形態で、カセットに収容される薬剤及び薬剤手撒き装置3に投入される薬剤は、いずれも錠剤又はカプセル剤である。
【0022】
自動供給装置2には、複数種類の薬剤が収容される。具体的に、自動供給装置2には、複数種類の薬剤がカセットごとに分けて収容される。また、自動供給装置2は、制御部からの指示に応じて収容した薬剤を包装部4に供給する。なお、自動供給装置2は、供給する量が多い薬剤を複数のカセットに収容することもできる。
【0023】
包装部4は、自動供給装置2及び薬剤手撒き装置3から供給された薬剤を包装体に一服用分毎に包装する部位である。また、包装部4は、自動供給装置2及び薬剤手撒き装置3よりも下方に配置された部位である。本実施形態で、自動供給装置2及び薬剤手撒き装置3から供給される薬剤は、筐体5内に設けられる薬剤供給経路(図示しない)を重力に従って移動し、包装部4に供給される。
【0024】
薬剤手撒き装置3は、手撒きにより薬剤を投入可能であり、投入された薬剤を包装部4に供給する。本実施形態の薬剤手撒き装置3が薬剤を供給する対象の機器は、薬剤分包装置1の包装部4である。具体的に、薬剤手撒き装置3は、手撒きされた薬剤を収容可能な収容部12を複数有する収容体11と、薬剤を投入すべき収容部12を表示する位置表示部13と、収容体11に収容された薬剤を包装部4に供給する前に除電する除電部14と、収容体11、位置表示部13、及び包装部4を収容する筐体5と、を備える。本実施形態の筐体5は、薬剤分包装置1の筐体5として構成されている。筐体5の内部には、収容体11を格納可能な格納空間S1が形成される(図6参照)。また、薬剤手撒き装置3は、手撒きされる薬剤の情報に関する処方情報を入力可能な入力部6と、薬剤手撒き装置3全体を制御する制御部と、を備える。本実施形態の入力部6及び制御部は、薬剤分包装置1の入力部6及び制御部と一体で構成されている。
【0025】
収容体11は、薬剤を収容可能な窪みである収容領域を画定する収容部12が複数設けられた、縦寸法、横寸法、及び奥行寸法に比べて厚みが小さい板状体である。また、収容体11には、収容部12が水平方向に並んで複数設けられている。本実施形態の収容体11には、奥行方向に並んで配置された一列の収容部12が複数列配置されている。さらに、本実施形態の収容体11には、6個の収容部12が奥行方向に並んで設けられている。収容体11は、厚み方向が上下方向と一致するように設けられた板状体である。本実施形態の収容部12は、長手方向が左右方向に、短手方向が奥行方向に一致するように設けられた板状体である。
【0026】
本実施形態の収容体11は、筐体5の格納空間S1に収納された格納位置P1と、筐体5から外部に突出した突出位置P2との間で移動可能に構成される(図6参照)。具体的に、収容体11は、格納位置P1から略水平に手前側にスライドして突出位置P2に移動する。なお、本実施形態で、収容体11の格納位置P1及び突出位置P2の間の移動は、自動で行われるが、このような構成に限らず、手動で収容体11を移動するように構成することもできる。
【0027】
図2乃至図4に示すように、収容部12は、上方が開放された、作業者が手作業で上方から薬剤を投入可能な箱形の部位である。また、収容部12は、薬剤を収容可能な収容領域S2を画定する内壁面15を有する。具体的に、収容部12は、収容領域S2の底を形成する底面16aを有する底部16と、収容領域S2の側方を画定する側面17aを有する側壁17と、を備える。また、側壁17は、隣接して配置される収容部12の収容領域S2同士を隔てる隔壁として構成される。
【0028】
底部16は、開閉可能に構成された底板である。具体的に、底部16は、薬剤が収容領域S2に投入される際には閉じた状態であり、収容領域S2の薬剤を包装部4に供給する際には、開いた状態となる。即ち、底部16は、開閉することで、投入された薬剤を収容領域S2内で保持する状態と、投入された薬剤を包装部4に供給する状態と、を切替え可能である。本実施形態の底部16は、格納状態で開くことで、収容領域S2内の薬剤を自由落下させ、下方に位置する包装部4に供給する。また、本実施形態の底部16は、電気的に接地された導電体で構成される。
【0029】
側壁17は、底面16aの外縁部分から上方に立設する壁体である。また、側壁17は、収容領域S2の下端側が狭く、上端側が広くなるようなテーパ状に構成されている。さらに、側壁17には、内面に凹凸18が形成されている。本実施形態の側壁17の内面には、凹凸18として、上下方向に沿って延びる溝が複数本形成されている。本実施形態の側壁17には、少なくとも奥側の面に上下方向に沿って延びる凹凸18(溝)が複数本形成されている。本実施形態の凹凸18は、側壁17の4面それぞれに形成されている。また、側壁17は、内部に位置表示部13を格納可能な程度の空間を有する中空の壁体である。即ち、側壁17は、隣り合う収容領域S2の間に位置表示部13を配置可能なように構成されている。さらに、凹凸18は、錠剤が側壁17に密着することを抑制するための溝と兼用されている。
【0030】
収容部12の、収容領域S2をとりまく上端面には、各収容部12を識別するための識別標示19が設けられる。識別標示19は、収容領域S2に隣接した位置に配置される標示である。本実施形態の識別標示19は、各収容部12の収容領域S2の左側に記載される数字である。また、識別標示19として記載される数字は、対応する収容部12に投入された薬剤が何包目に包装されるかを示す数字である。即ち、例えば、左側に「5」の識別標示19がある収容部12の収容領域S2に投入された薬剤は、5包目に包装される。本実施形態の識別標示19は、収容部12の上端面に印字されている。さらに、識別標示19は、収容体11の手前側から見たときに、認識可能なように記載されている。即ち、本実施形態の識別標示19としての数字の向きは、手前側が下、奥側が上として認識されるように記載されている。なお、識別標示19は、後述する光透過部23の上面(第二面27)に設けることもできる。
【0031】
図4に示すように、側壁17の内部の空間には、位置表示部13が配置される。位置表示部13は、収容部12の内壁面15に投光可能に構成される部位である。本実施形態の位置表示部13は、光源20を有し、収容部12の内壁面15に投光する投光部21と、光源20を静電気から保護するための絶縁シート部22と、を備える。本実施形態の光源20はLEDである。本実施形態の位置表示部13は、各収容部12の左側に配置される。また、本実施形態の位置表示部13は、上下方向で収容部12の上半分の範囲に設けられる。
【0032】
投光部21は、内壁面15を照らす部位である。具体的に、投光部21は、内壁面15を照らす光を発する光源20と、光源20が発した光を透過する光透過部23と、を備える。本実施形態の光源20は、発光する発光本体部24と、発光本体部24を発光させるための回路を有する基板部25と、を備える。本実施形態で投光部21は、奥行方向に並んだ一列の収容部12に対して、1つの基板部25を備え、該基板部25上に複数の発光本体部24が奥行方向に離間して配置されるように構成されている。
【0033】
光源20は、内壁面15に向かって光を発する部位である。また、光源20は、内壁面15のうち、少なくとも奥側の面に光を発するように設けられる。本実施形態で、光源20は、内壁面15のうち、投光部が設けられる面を除いた3面に光を発する。なお、内壁面15のうち、光源20が設けられる面は、他の面からの反射により間接的に照らされる。さらに、光源20は、内壁面15のうち、奥側の面に対して、側方から光を発するように設けられる。本実施形態で光源20は、内壁面15のうち、奥側の面の左側から光を発する。即ち、内壁面15のうち、奥側の面には、側方(左側)から光が照射される。なお、内壁面15のうち、奥側の面とは、作業者が収容部12に薬剤を手撒きする際に、薬剤分包装置の手前側に立った作業者から最も遠くに位置する面を指す。本実施形態で内壁面15のうち奥側の面とは、内壁面15のうち、突出位置P2のときに、筐体5に最も近い面である。また、本実施形態の光源20は、有色の光及び白色光を収容部12の内壁面15に投光可能に構成される。さらに、光源20は、奥行方向に並ぶ収容部12の数以上の種類の有色の光と白色光とを内壁面15に投光可能である。本実施形態で、光源20は、上下方向で収容部12の上半分の範囲に設けられる。
【0034】
光透過部23は、光を透過する板状の部位である。また、光透過部23は、透過する光が散乱するように構成された板状体である。本実施形態の光透過部23は、乳白色の板状体である。また、光透過部23は、側壁17の一部分を構成するように設けられる。具体的に、側壁17には、側壁17の内部と外部が連通するように切欠きが形成され、光透過部23は、側壁17に形成された切欠きに嵌め込まれた板状体である。
【0035】
光透過部23は、側面17aのうち一部分を構成する第一面26と、第一面26と連なり、収容領域S2をとりまく上端面の一部を構成する第二面27と、光源20に対向する光源対向面28と、を備える。また、第一面26は、光源対向面28と反対側の面である。さらに、第一面26は、側壁17の内面といわゆる略面一となるように設けられた面であり、第二面27は、収容部12の上端面といわゆる略面一となるように設けられた面である。また、光透過部23は、光源20が発した光が光源対向面28照射されたときに、透過した光が第一面26から内壁面15に対して投光され、かつ、第二面27から上方に向かって投光されるように構成されている。本実施形態の光透過部23は、光源対向面28に照射された光を散乱させて、光の一部を第二面27から上方に向かって投光するように構成されている。本実施形態で、一の収容部12に対応した第二面27及び識別標示19は、隣接して設けられる。
【0036】
絶縁シート部22は、光を透過可能な絶縁体で構成されるシート状の部位である。また、絶縁シート部22は、光透過部23と光源20の間に配置されるシート状の部位である。本実施形態の絶縁シート部22は、透明のシートである。本実施形態の、絶縁シート部22は、収容領域S2の内部と光源20の間を絶縁する。本実施形態の光透過部23は、側壁17に形成された切欠きに嵌め込まれているので、側壁17と光透過部23の間に隙間が形成される場合がある。しかしながら、本実施形態では絶縁シートによって、収容領域S2の内部と光源20が絶縁されるので、側壁17と光透過部23の間の隙間を介して収容領域S2の内部の物体(例えば作業者の手)から光源20に静電気が放電されることを抑制できる。よって、静電気により光源20が破損することを抑制できる。
【0037】
図4及び図5に示すように、投光部21は、収容部12の内壁面15及び収容部12の上端面から上方に向かって投光する。また、光源20が発した光は、光透過部23を透過して、第一面26から内壁面15に投光される。よって、投光部21によって、収容部12自体が照らされる。投光部21は、内壁面15のうち、奥側の面に近い位置に設けられるので、奥側の面が確実に照らされる。ここで、内壁面15には、上下方向に延びる凹凸18(溝)が形成されるので、内壁面15に投光された際に、奥側の面において上下方向に延びる影が形成される。よって、投光部21によって照らされた内壁面15に縦縞状の影ができるため、内壁面15が照らされた収容部12への薬剤の投入を促すことができる。さらに、光源20が発した光は光透過部23を透過して、第二面27から上方に向かって投光される。
【0038】
図6に示すように、除電部14は、筐体5の内部に設けられ、収容部12に収容された薬剤を除電可能に構成される。本実施形態では、除電部14は、収容体11自体の除電よりも、収容体11(各収容部12)に収容された薬剤を除電するために除電部14が設けられている。また、除電部14は、イオンIを発生させて収容部12に収容された薬剤を除電する。即ち、除電部14は、収容部12に収容された薬剤に対して非接触で除電できるように構成されている。具体的に、除電部14は、イオンIを薬剤の表面に当て、薬剤の表面を除電する。即ち、本実施形態の除電部14は、いわゆるイオナイザである。さらに、本実施形態の除電部14は、空気中に放電することで、空気中の分子等に電荷を与え、空気をイオン化するように構成されている。具体的に、除電部14は、棒状の基部29と、基部29の延伸方向に離間して複数配置される放電部30と、を備える。本実施形態で、基部29は、延伸方向が収容体11の長手方向と一致し、下面が収容体11の上面と対向するように配置される。また、放電部30は、基部29の下方に配置されている。さらに、本実施形態の除電部14は、発生させたイオンIを無風で薬剤に供給可能な無風イオナイザとして構成される。
【0039】
基部29は、収容体11の上面と略平行に延びるように筐体5の内部に設けられた棒状体である。また、基部29は、収容体11の長手方向と略平行な直線方向に延びる棒状体である。即ち、基部29は、基部29に配置された各放電部30と収容体11の上面との距離が等しくなるように設けられている。本実施形態の基部29は、筐体5の内部に固定されている。また、本実施形態の基部29は、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する際に、全ての収容部12の内部に収容される薬剤を除電可能に設けられている。具体的に、基部29は、収容体11の収容部12が設けられる領域の長手方向(左右方向)長さよりも長く構成され、かつ、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する際に、収容体11の短手方向に並んだすべての収容部12の内部に収容される薬剤にイオンIを供給可能な位置に配置される。本実施形態で、除電部14(基部29)は、格納位置P1である収容体11の各収容部12よりも手前側の上方に位置している。そのため、全ての収容部12に収容される薬剤を除電可能である。
【0040】
放電部30は、高電圧を印加して、空気中に放電可能な部位である。本実施形態の放電部30は、内部に針状の端子を有し、端子に高電圧を印加することで、端子から空気中に放電する。また、本実施形態の放電部30は、端子に印加される電圧は、所定周期で正負が入れ替わるように構成されている。本実施形態で、放電部30が端子に印加する電圧の正負の入れ替わり周期は、収容体11の突出位置P2から格納位置P1への移動時において、一の収容部12が除電部14の下方を通過するのに要する時間よりも短く構成される。即ち、放電部30は、収容体11の突出位置P2から格納位置P1への移動時において、一の収容部12が除電部14の下方を通過する間に正負両方のイオンIを発生させるように構成されている。本実施形態の放電部30は、端子にパルス電流を印加する。即ち、本実施形態の除電部14は、パルス交流方式のイオナイザとして構成される。
【0041】
入力部6は、分包する薬剤の情報を入力可能な部位である。具体的に、入力部6には、各収容部12にどの薬剤が収容されるべきかを判別可能な情報を入力可能である。本実施形態の入力部6には、処方情報が入力される。処方情報には、各包装体にどの薬剤を包装すべきかの情報が含まれる。入力部6は例えばタッチパネルで構成される。また、タッチパネルは、外部端末(コントローラ等)との通信によって情報を入力可能に構成することもできる。
【0042】
また、本実施形態の入力部6には、薬剤手撒き装置3を操作するための情報を入力可能である、具体的に、入力部6には、後述するように、投入すべき薬剤を収容部12に投入した後に、投入が完了した旨の情報を入力可能である。
【0043】
制御部は、薬剤分包装置1全体を制御する。また、制御部は、入力部6に入力された情報に基づいて薬剤分包装置1全体を制御する。具体的に、制御部は、入力部6に入力された処方情報に基づいて、自動供給装置2を制御して、包装する薬剤を包装部4に供給する。また、包装すべき薬剤が自動供給装置2に収容されていない場合などには、薬剤を手撒きする必要があると判断して、薬剤手撒き装置3を制御する。
【0044】
次に、薬剤手撒き装置3の動作について説明する。
【0045】
薬剤を手撒きする必要がある場合に、制御部は、収容体11を突出位置P2に移動させる。本実施形態で制御部は、入力部6に入力された処方情報に基づいて手撒きの必要の有無を判断し、手撒きが必要であると判断した場合に、収容体11を突出位置P2に移動させる。
【0046】
次に制御部は、処方情報に基づいて、手撒きされる薬剤を投入すべき収容部12を割り出す。具体的に、制御部は、手撒きされる薬剤が包装されるべき包装体に対応した収容部12を、手撒きされる薬剤を投入すべき収容部12であると判断する。
【0047】
手撒きにより薬剤を投入されるべき収容部12が割り出されると、制御部は、位置表示部13を制御し、投光部21が、薬剤を投入すべき収容部12の内壁面15に投光するように制御する。本実施形態で、位置表示部13は、薬剤を投入すべき収容部12の内壁面15のみに投光する。また、本実施形態の投光部21は、薬剤を投入すべき収容部12の内壁面15に有色の光を投光する。そして、作業者は、位置表示部13に示された収容部12に薬剤を投入する。
【0048】
作業者は、薬剤を収容部12に投入する際に、PTPシートに包まれている薬剤を直接収容部12に投入したり、薬剤をPTPシートから別の容器に一旦移し、容器に収容された薬剤を収容部12に投入したりする。ここで、収容部12に投入される薬剤は、PTPシートとの摩擦や、容器内での他の薬剤との摩擦等により、帯電している場合がある。
【0049】
手撒きすべき薬剤が複数種類ある場合には、一種類目の薬剤の投入が完了した後に、前記一種類目の薬剤の投入が完了した旨の情報を入力部6に入力する。制御部は、一種類目の薬剤の投入が完了した旨の情報を受けると、位置表示部13を制御して、投光部21が、二種類目の薬剤を投入すべき収容部12に投光するように制御する。以下、全ての種類の手撒きすべき薬剤の収容部12への投入が完了するまで、上記制御を繰り返し行う。
【0050】
手撒きすべき薬剤をすべて投入し終えると、作業者は、収容部12に収容されている薬剤が適正であるかどうかの確認作業を行う。ここで、投光部21は、作業者が収容部12に投入された薬剤の確認をする際には、1種類以上の薬剤が投入されるべき収容部12に白色光を投光する。本実施形態では、全ての種類の手撒きすべき薬剤の収容部12への投入が完了した際に、制御部が位置表示部13を制御し、投光部21が1種類以上の薬剤が投入されるべき収容部12に白色光を投光するように制御する。
【0051】
作業者の確認作業が完了すると、収容体11は突出位置P2から格納位置P1に移動する。本実施形態では、入力部6に確認作業が完了した旨の情報が入力されると、制御部が収容体11を突出位置P2から格納位置P1に移動するように制御する。
【0052】
除電部14は、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する際に動作し、収容部12に収容された薬剤を除電する。本実施形態で、除電部14は、収容体11の移動開始とともに動作を開始する。詳しくは、収容体11を移動させるための、入力部6などに入力される指示と共に動作を開始する。具体的に、除電部14は、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する際に、放電部30に電圧を印加し、イオンIを発生させる。また、除電部14は、少なくとも、収容部12が除電部14の下方を通過する際に、イオンIを発生させるように構成される。さらに、除電部14は、収容体11が格納位置P1まで移動すると動作を停止する。即ち、除電部14は、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動している間にのみ動作する。
【0053】
収容体11は、突出位置P2から格納位置P1に移動する際に、除電部14の下面と収容部12の上端面との距離が略一定となるように移動する。本実施形態では、除電部14の下面が水平方向に延び、収容体11の上面が水平に延び、かつ、移動時に水平方向に移動するので、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する際に、除電部14の下面と収容部12の上端面との距離が略一定となる。
【0054】
収容体11は、格納位置P1に移動すると、順次、収容部12に収容された薬剤を包装部4に供給する。具体的に、収容体11は、制御部により各収容体11の底部16を開くよう制御される。底部16が開いた収容部12に収容された薬剤は、落下し、薬剤供給経路を介して包装部4に供給される。
【0055】
以上のような構成の薬剤手撒き装置によれば、投光部21が収容部12の内壁面15に対して投光するので、収容部12の内壁面15が投光部21からの光によって照らされる。よって、収容部12自体(凹みそのもの)が光で照らされるため、例えば、収容部12の周囲を照らす場合と比べて薬剤を投入すべき位置を認識しやすい。
【0056】
また、光透過部23は、光源20が発した光を散乱させるように構成されるので、光源20が発した光が散乱するため、内壁面15が全体的に照らされる。よって、薬剤を投入すべき収容部12を認識しやすくなる。しかも、光源20が発した光が散乱するので、光透過部23が透明として構成される場合に比べて、作業者に光を眩しく感じさせづらくなる。
【0057】
さらに、光源20は、上下方向で収容部12の中央より上方の位置に配置されるので、収容部12に薬剤が投入された後に、薬剤によって光がさえぎられることを抑制できる。また、第一面26が、側面17aの上部に設けられるので、収容部12に収容された薬剤により、第一面26が隠されにくいので、確実に内壁面15に投光することができる。
【0058】
また、収容部12の上端面には、各収容部12を識別するための識別標示19が設けられ、第二面27は、識別標示19に隣接して配置されるので、識別標示19と光の両方で薬剤を投入すべき収容部12を識別できる。
【0059】
さらに、各収容部12に対応した識別標示19と第二面27は隣接して配置されるので、薬剤を投入すべき収容部12を示す識別標示19を直感的に認識できる。
【0060】
また、第一面26は、側壁17の内面と略面一となるように設けられるので、薬剤を収容部12に投入する際に光透過部23が邪魔になりづらく、かつ、収容領域S2で薬剤を収容可能な量が少なくなることを抑制できる。
【0061】
さらに、収容部12は、収容体11の前後方向で所定個数並ぶように配置され、投光部21は、少なくとも所定個数分の色の有色の光、及び、白色光を投光可能に構成されるので、少なくとも前後方向に並んだ収容部12のそれぞれに異なる色の光を投光可能であるため、前後方向に並ぶ収容部12に異なる表示をすることが可能である。しかも、例えば薬剤が収容部12に投入された後に白色光を収容部12に投光できるので、収容部12に投入された薬剤が投入すべき薬剤であったかを確認する際に、薬剤の色を認識しやすい。
【0062】
また、除電部14によって収容部12に収容された薬剤を除電できるので、薬剤が、静電気により機器(例えば包装部4)の内部に詰まったり、機器の内部に形成された経路(例えば薬剤供給経路)内を適切に移動しなかったりすることを抑制できる。よって、薬剤を供給する対象の機器で不具合を生じることを抑制できる。
【0063】
さらに、除電部14は、収容部12に収容された薬剤に対して非接触で除電できるように構成されているため、薬剤等が除電部14に付着することに起因する異物の混入を抑制できる。
【0064】
また、除電部14は、放電によりイオンIを発生させる放電部30を複数備え、各放電部30は、正イオンIと負イオンIを交互に発生させるように構成され、かつ、一の収容部12が除電部14の下方を通過する間に正負両方のイオンIを発生させるように構成されている。よって、収容部12に収容された薬剤が、正に帯電している場合であっても負に帯電している場合であっても、確実に薬剤を除電できる。
【0065】
さらに、除電部14は無風イオナイザとして構成されるので、収容部12に収容された薬剤を除電しつつも、薬剤が風により飛ばされることを抑制できる。
【0066】
また、収容部12の底部16は、電気的に接地されており、除電部14は、収容部12に収容された薬剤の表面に、収容部12の上方からイオンIを当てるように構成される。よって、薬剤の表面のうち、底面16aに接していない部分については、イオンIで除電でき、底面16aに接している部分については接地により底面16aを介して除電されるため、薬剤を確実に除電できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0068】
例えば、薬剤手撒き装置3は、錠剤を分包可能な薬剤分包装置1の一部として構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、錠剤及び散剤の両方を分包可能な薬剤分包装置1と一体として構成することもできるし、薬剤分包装置1以外の機器に薬剤を供給する薬剤払出機として構成することもできる。
【0069】
また、投光部21は収容体11の内部に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば投光部21を収容体11の上方に設け、上方から内壁面15に対して投光するように構成することもできる。
【0070】
さらに、投光部21は、内壁面15に単色の光を当てて照らすように構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、数字や文字などの記号を表示するように構成することもできるし、内壁面15を点滅するように照らしたり、短周期で色を変えて照らしたりすることもできる。
【0071】
また、投光部21は、薬剤を投入すべき収容部12に対して投光する場合について説明したが、このような場合に限らず、薬剤を投入すべきでない収容部12に対してのみ投光するように構成することもできる。また、例えば、薬剤を投入すべき収容部12を青色、投入すべきでない収容部12を赤色で照らすように、薬剤を投入すべき収容部12と投入すべきでない収容部12に異なる色で投光して、薬剤を投入すべき収容部12を識別可能に構成することもできる。さらに、投光部21は、投入される薬剤の表面の色彩に応じて投光色を変えるように構成することもできる。また、投光部21は、入力された処方情報に基づいて、服用時期(例えば、朝、昼、夕)に応じて投光色を変えることもできる。
【0072】
さらに、光透過部23は乳白色である場合について説明したが、このような構成に限らず、光源20が発した光を散乱可能な種々の構成を採用できる。また、光透過部23を無色透明のような、光源20が発した光を散乱させない構成として構成することもできる。
【0073】
また、光透過部23と収容体11が別々に設けられる場合について説明したが、このような場合に限らず、収容体11自体に光を透過、散乱させる機能を持たせることもできる。
【0074】
さらに、凹凸18は、上下方向に延びる溝である場合について説明したが、このような構成に限らず、種々の形状で構成することができる。例えば、凹凸18を矢印状に構成する場合には、投光により矢印状の影を形成できるため、薬剤の投入を促すことができる。
【0075】
また、除電部14は、各放電部30が極性を入れ替えながら電圧を繰り返し印加することで正イオンI及び負イオンIを発生させるように構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、各放電部30が正イオンI又は負イオンIのいずれか一方のみを発生させるように構成することもできるし、自己放電型の除電ブラシが薬剤に接触することで除電するように構成することもできる。
【0076】
さらに、除電部14は、筐体5に固定され、収容体11が移動する間にイオンIを発生されるように構成される場合について説明したが、このような場合に限らず、除電部14が移動しながらイオンIを発生させて、各収容部12に収容される薬剤を除電するように構成することもできる。
【0077】
また、収容体11は、水平方向にのみ移動する場合について説明したが、このような構成に限らず、水平方向及び上下方向に移動可能なように構成することもできる。例えば、突出位置P2の収容体11の高さを変えることができるように構成することもできる。さらに、収容体11は、収容部12の内部空間にイオンIの出口(放電部30)が入り込むように移動することもできる。
【0078】
さらに、除電部14は、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動するのに同期して動作する場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動した後に動作するように構成することもできるし、収容体11が突出位置P2から格納位置P1に移動する場合の一部においてのみ動作するように構成することもできる。
【0079】
また、除電部14は、収容体11の上方に配置される場合について説明したが、このような場合に限らず、除電部14を収容体11の側方に設けることもできるし、例えば、除電部14を収容体11に内蔵し、各収容部12の側壁17から収容領域S2内にイオンIを供給可能に構成することもできる。さらに、除電部14は、全ての収容部12を覆うような板状として構成したり、櫛状のイオン出口を備えるように構成したりすることもできる
【符号の説明】
【0080】
1…薬剤分包装置、2…自動供給装置、3…薬剤手撒き装置、4…包装部、5…筐体、6…入力部、11…収容体、12…収容部、13…位置表示部、14…除電部、15…内壁面、16…底部、16a…底面、17…側壁、17a…側面、18…凹凸、19…識別標示、20…光源、21…投光部、22…絶縁シート部、23…光透過部、24…発光本体部、25…基板部、26…第一面、27…第二面、28…光源対向面、29…基部、30…放電部、S1…格納空間、S2…収容領域、P1…格納位置、P2…突出位置、I…イオン
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図5
図6