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特開2023-9542車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法
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  • 特開-車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法 図1
  • 特開-車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法 図2
  • 特開-車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法 図3
  • 特開-車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法 図4
  • 特開-車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009542
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230113BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230113BHJP
【FI】
G08G1/09 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112919
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 央
(72)【発明者】
【氏名】小林 元
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181BB20
5H181EE02
5H181JJ03
5H181JJ27
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】道路の設備の故障の予測結果に基づいて車両誘導のための情報を作成する。
【解決手段】実施形態の車両誘導情報作成システムは、分岐を有する道路に設置された情報板ごとに設定され、前記道路を分割したブロックごとに、交通情報の表示に関する優先度として使用されるパラメータであるOD優先度を記憶する記憶部と、前記道路に設けられた設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を取得する取得部と、前記設備故障予測情報における前記設備が存在する前記ブロックに対して前記OD優先度が設定されている場合に、前記設備が存在する前記ブロックから前記道路の上流側の最初の分岐部分までのすべての前記ブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する作成部と、前記OD優先度変更情報を、前記情報板による交通情報の表示を行う交通管制システムに送信する送信制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐を有する道路に設置された情報板ごとに設定され、前記道路を分割したブロックごとに、交通情報の表示に関する優先度として使用されるパラメータであるOD(Origin-Destination)優先度を記憶する記憶部と、
前記道路に設けられた設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を取得する取得部と、
前記設備故障予測情報における前記設備が存在する前記ブロックに対して前記OD優先度が設定されている場合に、前記設備が存在する前記ブロックから前記道路の上流側の最初の分岐部分までのすべての前記ブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する作成部と、
前記OD優先度変更情報を、前記情報板による交通情報の表示を行う交通管制システムに送信する送信制御部と、を備える車両誘導情報作成システム。
【請求項2】
前記作成部は、
前記OD優先度変更情報を作成する場合に、前記故障予測時期が近いほど、該当する前記ブロックの前記OD優先度をより低くなるように変更する、請求項1に記載の車両誘導情報作成システム。
【請求項3】
前記作成部は、ユーザによって設定可能なパラメータである最大対応日数に基づいて、前記故障予測時期が現在よりも前記最大対応日数だけ後の日以前である場合に、前記OD優先度変更情報を作成する、請求項1に記載の車両誘導情報作成システム。
【請求項4】
分岐を有する道路に設置された情報板ごとに設定され、前記道路を分割したブロックごとに、交通情報の表示に関する優先度として使用されるパラメータであるOD優先度を用いる車両誘導情報作成方法であって、
前記道路に設けられた設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を取得する取得ステップと、
前記設備故障予測情報における前記設備が存在する前記ブロックに対して前記OD優先度が設定されている場合に、前記設備が存在する前記ブロックから前記道路の上流側の最初の分岐部分までのすべての前記ブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する作成ステップと、
前記OD優先度変更情報を、前記情報板による交通情報の表示を行う交通管制システムに送信する送信制御ステップと、を備える車両誘導情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等の道路に関して、例えば、道路上に設置されている車両感知器から収集した交通量、車両速度、車両占有率の情報や、交通管制センタで道路の監視を行っている監視員が手動で登録した事故、工事、地震、トンネル火災の情報などに基づいて、ドライバーに対して意思決定を促す情報提供を行い、間接的な車両誘導が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-156779号公報
【特許文献2】特開2006-243786号公報
【特許文献3】特開2017-138217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、道路の設備(車両感知器、情報板、道路照明装置など)の故障を予測できるのであれば、様々な観点から、その故障予測個所をなるべく通らないように車両誘導するのが好ましいが、そのような車両誘導をする従来技術はない。
【0005】
そこで、本実施形態の課題は、道路の設備の故障の予測結果に基づいて車両誘導のための情報を作成できる車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の車両誘導情報作成システムは、分岐を有する道路に設置された情報板ごとに設定され、前記道路を分割したブロックごとに、交通情報の表示に関する優先度として使用されるパラメータであるOD優先度を記憶する記憶部と、前記道路に設けられた設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を取得する取得部と、前記設備故障予測情報における前記設備が存在する前記ブロックに対して前記OD優先度が設定されている場合に、前記設備が存在する前記ブロックから前記道路の上流側の最初の分岐部分までのすべての前記ブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する作成部と、前記OD優先度変更情報を、前記情報板による交通情報の表示を行う交通管制システムに送信する送信制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の道路管制システムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態における路線図とOD優先度(変更前)の例を示す図である。
図3図3は、実施形態における設備故障予測情報の例を示す図である。
図4図4は、実施形態における路線図とOD優先度(変更後)の例を示す図である。
図5図5は、実施形態の車両誘導情報作成システムによる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態の車両誘導情報作成システム、および、車両誘導情報作成方法について説明する。なお、本実施形態では、道路として高速道路の場合を例にとって説明する。
【0009】
まず、図1を参照して、実施形態の道路管制システムSの全体構成について説明する。
図1は、実施形態の道路管制システムSの全体構成図である。道路管制システムSは、設備故障予測システム1と、車両誘導情報作成システム2と、交通管制システム3と、情報板4と、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)5と、を備える。
【0010】
なお、各システム1~3について、説明の便宜上、それらが別々の1台のコンピュータ装置であるものとして説明するが、これに限定されない。例えば、各システム1~3のうちの1つ以上が、複数のコンピュータ装置によって実現されてもよい。あるいは、各システム1~3のうちの2つが、1つのコンピュータ装置によって実現されてもよい。
【0011】
また、設備故障予測システム1と交通管制システム3については、説明を簡潔にするために、処理部、記憶部、入力部、表示部、通信部等についての図示や説明を省略する。
【0012】
設備故障予測システム1は、道路の設備(付帯設備)の故障を予測する。設備としては、例えば、道路を走行する車両を感知する車両感知器や、車両と通信する路側機や、走行車両に対して情報を表示する情報板や、道路照明装置や、トンネル内の換気設備などが挙げられる。
【0013】
設備故障予測システム1は、例えば、機械学習によって作成した設備故障予測モデルに基づいて、設備が故障する時期を予測し、設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を作成し、車両誘導情報作成システム2に送信する。
【0014】
車両誘導情報作成システム2は、処理部21と、記憶部22と、入力部23と、表示部24と、通信部25と、を備える。
【0015】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部22は、各種プログラム、各種データを記憶する。記憶部22は、例えば、次の2つの情報を記憶する。
(1)分岐を有する道路の情報である道路情報
(2)道路に設置された情報板ごとに設定され、道路を分割したブロックごとに、交通情報の表示に関する優先度として使用されるパラメータであるOD(Origin-Destination)優先度
【0016】
なお、高速道路等の道路では、渋滞や事故などのイベント情報(交通情報)をドライバーに伝える必要性が高い。また、道路に設置された情報板は、物理的限界によって、一度に表示できる情報量に限界がある。このため、従来から、OD優先度に基づいて、多くのドライバーが向かう経路に関するイベント情報を優先的に情報板に表示している。
【0017】
また、以下では、OD優先度を表す「#N」の「N」の数字が小さいほど、OD優先度が高いことを示す。つまり、例えば、OD優先度「#1」のブロックに関するイベント情報と、OD優先度の「#2」のブロックに関するイベント情報があれば、前者が優先的に表示板に表示される。
【0018】
ここで、図2を参照して、実施形態における路線図とOD優先度(変更前)の例について説明する。
図2は、実施形態における路線図とOD優先度(変更前)の例を示す図である。路線図において、路線Aと路線Bが示されている。
【0019】
路線Aについて、図2の右方向が進行方向の車線を対象とする。この車線において、上流側に情報板IBが設置され、B-JCT(ジャンクション)付近にトラカンTC(トラフィックカウンタ:車両感知器)が設置されている。
【0020】
この車線について、上流側のブロックにOD優先度「#1」が設定されている。また、分岐部分BPから下流側のブロックについて、本線の2つのブロックにはOD優先度「#2」が設定され、左側へ分岐した後の2つのブロックにはOD優先度「#11」が設定されている。
【0021】
また、OD優先度「#11」のブロックの終わりのA-JCTの先(下流側)の各ブロックには、図示のように、OD優先度「#12」、「#13」、「#20」、「#41」が設定されている。
【0022】
また、OD優先度「#2」のブロックの先(下流側)の各ブロックには、図示のように、OD優先度「#18」、「#19」が設定されている。
【0023】
また、道路照明装置RLは、路線BにおけるOD優先度「#41」の複数のブロックのうちの1つに設置されている。
【0024】
ここで、図3を参照して、実施形態における設備故障予測情報の例について説明する。
図3は、実施形態における設備故障予測情報の例を示す図である。
【0025】
変数「s」は、設備故障予測システム1から受信した設備故障予測情報における各行の情報の識別番号(以下、識別番号「s」ともいう。)を示す。この識別番号「s」ごとの情報として、設備、設置路線、設置kp(キロポスト)、故障情報(「〇」が故障予測ありで、「×」が故障予測なし)、故障予測時期「r」(「r」日後が故障予測日)が格納されている。具体的には、以下の通りである。
【0026】
識別番号「1」について、路線Aの2.5kp地点に設置されたトラカンTC(図2)が4日後に故障すると予測されていることを示す。
【0027】
識別番号「2」について、路線Aの4kp地点に設置されたジェットファン(図2に不図示)には故障が予測されていないことを示す。
【0028】
識別番号「3」について、路線Bの3.5kp地点に設置された情報板(図2に不図示)には故障が予測されていないことを示す。
【0029】
識別番号「4」について、路線Bの6kp地点に設置された道路照明装置RL(図2)が20日後に故障すると予測されていることを示す。
【0030】
図1に戻って、車両誘導情報作成システム2の処理部21は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。
ROMは、各種プログラムや各種データを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
MPUは、車両誘導情報作成システム2の動作を統括的に制御する。また、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部22等に格納されたプログラムを実行する。処理部21は、機能部として、取得部211と、作成部212と、制御部213と、を備える。
【0031】
取得部211は、設備故障予測システム1や交通管制システム3から各種情報を取得する。取得部211は、例えば、設備故障予測システム1から、道路に設けられた設備の設置場所と故障予測時期を含む設備故障予測情報を取得する。
【0032】
作成部212は、設備故障予測情報における設備が存在するブロックに対してOD優先度が設定されている場合に、設備が存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分までのすべてのブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する。
【0033】
また、作成部212は、OD優先度変更情報を作成する場合に、例えば、故障予測時期が近いほど、該当するブロックのOD優先度をより低くなるように変更する。
【0034】
また、作成部212は、例えば、ユーザによって設定可能なパラメータである最大対応日数(変数「p」。以下、最大対応日数「p」ともいう。)に基づいて、故障予測時期が現在よりも最大対応日数「p」だけ後の日以前である場合に、OD優先度変更情報を作成する。
【0035】
作成部212の処理の具体例について、図2図3図4を併せて参照して説明する。
図4は、実施形態における路線図とOD優先度(変更後)の例を示す図である。
【0036】
作成部212は、情報板IB(図2図4)について、情報提供範囲内に故障が予測された設備があるか否かを判定する。具体的には、情報板IBについて、OD優先度が設定されているブロックは情報提供範囲内であり、OD優先度が設定されていないブロックは情報提供範囲外であると判定する。
【0037】
また、作成部212は、情報提供範囲内に故障が予測された設備があった場合、故障予測時期「r」(日後)が最大対応日数「p」以下か否かを判定する。
【0038】
また、作成部212は、故障予測時期「r」(日後)が最大対応日数「p」以下であった場合、その設備が存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分までのすべてのブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報を作成する。具体的には、OD優先度を、デフォルトのOD優先度に、最小OD優先度加算値「q」と「p-r」を加算した値に変更する。
【0039】
例えば、最大対応日数「p」=10で、最小OD優先度加算値「q」=5のとき、変更後のOD優先度は以下の通りとなる。
【0040】
故障予測時期「r」(日後)=10の場合…デフォルトのOD優先度+5
故障予測時期「r」(日後)= 9の場合…デフォルトのOD優先度+6
故障予測時期「r」(日後)= 8の場合…デフォルトのOD優先度+7

故障予測時期「r」(日後)= 2の場合…デフォルトのOD優先度+13
故障予測時期「r」(日後)= 1の場合…デフォルトのOD優先度+14
故障予測時期「r」(日後)= 0の場合…デフォルトのOD優先度+15
【0041】
したがって、例えば、図3のトラカン(図2のトラカンTC)について、故障予測時期「r=4」(日後)なので、図4に示すように、トラカンTCが存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分BPまでのすべてのブロックのOD優先度を、デフォルトのOD優先度「#2」に、最小OD優先度加算値「q=5」と「p(=10)-r(=4)=6」を加算した値「#13」に変更する。
【0042】
図1に戻って、制御部213は、各種制御を実行する。例えば、制御部213(送信制御部)は、作成部212によって作成されたOD優先度変更情報を、情報板4による交通情報の表示を行う交通管制システム3に送信する。
【0043】
入力部23は、車両誘導情報作成システム2に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0044】
表示部24は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等である。
【0045】
通信部25は、設備故障予測システム1や交通管制システム3と通信を行うための通信インターフェースである。
【0046】
交通管制システム3は、道路を走行する車両の状況を監視することで、交通流を制御するシステムである。交通管制システム3は、車両誘導情報作成システム2から受信したOD優先度変更情報に基づいて、情報板4に車両誘導情報を表示させたり、VICS5に対して車両誘導情報を送信したりする。
【0047】
以下、本実施形態の動作を発明する。
図5は、実施形態の車両誘導情報作成システム2による処理を示すフローチャートである。上述の通り、各変数について、最大対応日数「p」=10、最小OD優先度加算値「q」=5とする。
【0048】
まず、ステップS1において、取得部211は、設備故障予測システム1から、設備故障予測情報(図3)を取得する。
【0049】
次に、ステップS2~S6において、処理部21は、設備故障予測情報(図3)における識別番号「s」に対応する情報ごとに、くり返し処理を行う。
【0050】
ステップS3において、作成部212は、対象の情報板IB(図2図4)の情報提供範囲内に故障予測された設備があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS4に進み、Noの場合はステップS6に進む。
【0051】
ステップS4において、作成部212は、故障予測時期「r」(日後)までの日数が最大対応日数「p=10」以下か否かを判定し、Yesの場合はステップS5に進み、Noの場合はステップS6に進む。
【0052】
ステップS5において、作成部212は、OD優先度を変更したOD優先度変更情報を作成する。
【0053】
ここで、ステップS3~S5の処理について、図3の設備故障予測情報の識別番号「s」に対応する情報ごとに説明する。
識別番号「1」の情報の場合、ステップS3において、図2の通りトラカンTCが存在するブロックにはOD優先度が設定されているのでYesとなる。また、ステップS4において、故障予測時期「r=4」(日後)が最大対応日数「p=10」以下なのでYesとなる。したがって、ステップS5において、図4に示すように、トラカンTCが存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分BPまでのすべてのブロックのOD優先度を、デフォルトのOD優先度「#2」に、最小OD優先度加算値「q=5」と「p(=10)-r(=4)=6」を加算した値「#13」に変更する。
【0054】
次に、識別番号「2」の情報の場合、設備(ジェットファン)は故障していないため、ステップS3でNoとなる。
【0055】
次に、識別番号「3」の情報の場合、設備(情報板)は故障していないため、ステップS3でNoとなる。
【0056】
次に、識別番号「4」の情報の場合、ステップS3において、図2の通り道路照明装置RLが存在するブロックにはOD優先度が設定されているのでYesとなる。また、ステップS4において、故障予測時期「r=20」(日後)が最大対応日数「p=10」以下ではないのでNoとなる。
【0057】
ステップS2~S6の後、ステップS7において、制御部213は、ステップS5で作成されたOD優先度変更情報を、交通管制システム3に送信する。これを受けて、交通管制システム3は、車両誘導情報作成システム2から受信したOD優先度変更情報に基づいて、情報板4に車両誘導情報を表示させたり、VICS5に対して車両誘導情報を送信したりする。
【0058】
このように、本実施形態の車両誘導情報作成システム2によれば、道路の設備の故障の予測結果(設備故障予測情報)に基づいて、故障予測された設備が存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分までのすべてのブロックのOD優先度を低くなるように変更したOD優先度変更情報(車両誘導のための情報)を作成できる。
【0059】
これにより、故障予測された設備が存在するブロックから道路の上流側の最初の分岐部分までのすべてのブロックのイベント情報がドライバーに提供されにくくなるので、間接的に、故障予測された設備が存在するブロックを通らないように車両誘導することができる。
【0060】
また、ドライバーは、設備の故障による不利益を被る可能性が低くなるというメリットを享受できる。設備の故障による不利益とは、例えば、情報板の故障により渋滞情報を見ることができないことや、道路照明装置の故障により道路が暗くて運転しにくいことなどである。
【0061】
また、道路事業者は、故障予測された設備が設置された地点を通過する車両が減り、設備故障に関するドライバーからの問い合わせを低減できる。
【0062】
また、最大対応日数「p」をユーザによって設定可能としたことで、ユーザは、上述のOD優先度変更の対象期間を諸事情に合わせて変更できる。
【0063】
なお、本実施形態の車両誘導情報作成システム2で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。当該プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0064】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0065】
当該プログラムは、上述した車両誘導情報作成システム2の処理部21における各機能部を含むモジュール構成となっている。つまり、CPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより、各機能部が主記憶装置上にロードされる。
【0066】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0067】
例えば、対象の道路は、高速道路に限定されず、一般道路等の他の道路であってもよい。
【0068】
また、変更後のOD優先度の算出式は、上述のものに限定されず、他の算出式であってもよい。
【0069】
また、上述のような間接的な車両誘導に加えて、故障予測された設備が存在するブロックを通らないようにドライバーに指示する直接的な車両誘導を併用してもよい。そうすれば、さらに効果的であると考えられる。
【符号の説明】
【0070】
1…設備故障予測システム、2…車両誘導情報作成システム、3…交通管制システム、4…情報板、5…VICS、21…処理部、22…記憶部、23…入力部、24…表示部、25…通信部、S…道路管制システム
図1
図2
図3
図4
図5