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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095448
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積層装置および積層方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/32 20060101AFI20230629BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211344
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆幸
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD08
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH36
4F204AJ03
4F204AM28
4F204AR02
4F204AR06
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB11
4F204FB22
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ01
4F204FQ38
(57)【要約】
【課題】 積層装置にて基材層と樹脂層を含む積層物を加圧した際に、積層物の端部付近の樹脂の積層物側面からの流動を抑制することのできる積層装置および積層方法を提供する。
【解決手段】 対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置3において、少なくとも一方の盤には、加圧面328c等を構成する弾性シート211、328が備えられ、前記弾性シート211は周辺部211b,328bの硬度が中央部211a,328aの硬度よりも低くなっている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置において、
少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、前記弾性シートは周辺部の硬度が中央部の硬度よりも低い、積層装置。
【請求項2】
プレス装置の対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置において、
少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、加圧時に前記弾性シートのうち少なくとも前記積層物の外周端部に対向する部分に押圧力を伝達するための物理的特性が前記積層物の中央部に対向する部分に押圧力を伝達するための物理的特性よりも小さい、積層装置。
【請求項3】
対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置において、
少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、前記弾性シートのうち少なくとも前記積層物の外周部に対向する部分の弾性率が前記積層物の中央部に対向する部分の弾性率よりも小さい、積層装置。
【請求項4】
プレス装置の対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置において、
少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、前記弾性シートのうち少なくとも前記積層物の外周部に対向する部分の熱伝導特性が前記積層物の中央部に対向する部分の熱伝導特性よりも小さい、積層装置。
【請求項5】
対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層方法において、
少なくとも一方の盤には加圧面を構成する弾性シートが備えられ、
前記弾性シートの弾性率の小さい部分で前記積層物の外周端部を含む部分を押圧し、前記弾性シートの弾性率の大きい部分で前記積層物の中央部分を押圧する積層方法。
【請求項6】
前記積層物はビルドアップ基板であることを特徴とする請求項5に記載の積層方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置の対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層装置および積層方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対向する盤の間で基材層と樹脂層を含む積層物を所定の温度で加圧する積層成形装置については、特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1は、弾性材からなる支持部材の下面に半円筒形状または中央部分の厚みが周縁部より大なる半球形状をその凸状部が下向きになるように取付けた上圧力板と、該上圧力板に比較して硬さのある材料からなる平面状の昇降可能な下圧力板とを設け、下圧力板を上昇して基板上に圧着して積層体を形成することが記載されている。
【0003】
また特許文献2は、相対向する一対の加熱手段付き熱盤が設置され、これら両熱盤の少なくとも一方が他方に対し進退可能である真空プレス装置を備え、この真空プレス装置により、表裏両面の少なくとも一方に凹凸を有する基材の上記凹凸面にフィルム状樹脂材を積層して積層体を形成する積層装置であって、上記フィルム状樹脂材に相対向する熱盤の、上記フィルム状樹脂材側の面に、フィルム状樹脂材を加圧する弾性プレス板を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-244467号公報
【特許文献2】特開2008-12918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1については、基板中央部から基板周縁部へ薄膜や弾性材と基板の圧着を広げていくので、気泡を防止する効果はあるものの中央部の樹脂が積層体の側面から外部に向けて流動しやすいものであった。一方特許文献2はそういった問題は少ないものの本明細書とともに添付した図面の[図7]のように基材層と樹脂層を含む積層物を弾性シートにより加圧した際に積層物の端部付近に応力が集中して端部付近の樹脂が外部に向けて流動してしまうという問題が依然としてあった。
【0006】
そこで本発明では、前記の問題を抑制し、基材層と樹脂層を含む積層物を弾性シートまたは弾性膜体で加圧した際に、積層物の端部付近の樹脂の積層物側面からの流動を抑制することのできる積層装置および積層方法を提供することを目的とする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の積層装置は、少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、前記弾性シートは周辺部の硬度が中央部の硬度よりも低い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも一方の盤には、加圧面を構成する弾性シートが備えられ、前記弾性シートは周辺部の硬度が中央部の硬度よりも低いので、積層成形時に積層物の端部付近の樹脂の積層物側面からの流動を抑制することができる。また本発明の積層方法も同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の積層装置の概略説明図である。
図2】第1の実施形態の積層装置の真空積層装置の加圧時の要部の拡大断面図である。
図3】第1の実施形態の積層装置のプレス装置の加圧時の要部の拡大断面図である。
図4】第1の実施形態の積層装置のプレス装置の弾性シートと積層物の関係を示す平面図である。
図5】積層措置に用いられる弾性シートを複数例示した側面図である。
図6】積層装置に用いられる弾性シートを複数例示した平面図である。
図7】従来技術の問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<積層成形システムと積層装置の構造の説明>
本発明の第1の実施形態の積層成形システム1について、真空積層装置2とプレス装置3を断面表示した図1を参照して説明する。積層成形システム1は、真空積層装置2の後工程にプレス装置3が配置され、搬送装置によって送られるキャリアフィルムF1,F2により前記真空積層装置2から搬送された凹凸部を備えた基材層である基板A1と樹脂層であるである樹脂フィルムA2が積層された積層物である中間積層物A4が前記プレス装置3により加圧成形されるものである。
【0011】
基材層である基板A1と樹脂装置である樹脂フィルムA2の移送装置とテンション装置を兼ねる搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置4は、下側の巻出ロール411および従動ロール412を備えている。前記巻出ロール411から巻き出された下キャリアフィルムF1は従動ロール412の部分で水平状態に向きが変更される。下キャリアフィルムF1が水平状態となった部分に、前工程から重ねられて送られてくる基材層である基板A1と樹脂層である樹脂フィルムA2を載置する載置ステージ部413が設けられている。また搬送装置10を構成するキャリアフィルム巻出装置4は、上側の巻出ロール414および従動ロール415を備えており、前記巻出ロール414から巻き出された上キャリアフィルムF2は従動ロール415の部分で基板A1と樹脂フィルムA2からなる積層物A3の上に重ねられる。これらキャリアフィルムF1,F2に挟まれて基板A1と積層フィルムA2が移送され、積層装置である真空積層装置2やプレス装置3においてキャリアフィルムF1,F2を介して積層成形が行われることにより、積層フィルムA2が溶融して装置部分に付着することを防止したり、特にプレス装置3においては中間積層物A4を加圧する際に一定の緩衝作用が付与されるという利点もある。また積層成形品A5の種類によってはプレス装置3から取り出された積層成形品A5の温度が低下した後に、キャリアフィルムF1,F2と積層成形品A5の間を剥離するので良好な状態での剥離または離型を行うことができる。
【0012】
搬送装置10を構成するキャリアフィルム巻出装置4の後工程に配置される真空積層装置2は、真空状態(減圧状態)のチャンバC内において弾性膜体であるダイアフラム211等の加圧体により基板A1と樹脂フィルムA2からなる積層物A3を加圧し、1次成形品である中間積層物A4を積層成形するものである。真空積層装置2は、固定的に設けられた上盤212に対して下盤213が昇降機構214により昇降可能に設けられ、下盤213が上昇して上盤212と当接した際に内部にチャンバCが形成可能となっている。チャンバCは図示しない真空ポンプに接続され、減圧可能となっている。また上盤212の中央の下面には熱板215が取付けられ、熱板215の表面には図示しない耐熱性のゴム膜等の弾性シート216が金属プレート218に貼着される形で取り付けられているか、または直接取り付けられている。
【0013】
一方下盤213の中央の上面にも熱板217が取付けられている。また下盤213の前記熱板217の周囲の部分には弾性シートであるシリコーンゴムまたはフッ素ゴム等の耐熱性ゴム膜からなるダイアフラム211が熱板217の上面を覆うように取付けられている。そして図示しないコンプレッサにより加圧空気がダイアフラム211の裏面側に送られることによりダイアフラム211はチャンバC内で膨出して熱板217との間で基板A1と樹脂フィルムA2を加圧する。なお真空積層装置2の弾性シートであるダイアフラム211は上盤に取付けられたものでもよい。
【0014】
本実施形態の真空積層装置2の加圧手段の一部を構成する弾性シートであるダイアフラム211は、図2に示されるように周辺部211bの硬度が中央部211aの硬度よりも低く(小さく)なっている。ここでは図5の(b)にようにダイアフラム211の全面積に対応するゴム材料Eaの中央部に凹部が設けられ、凹部に硬度の高いゴム材料Ebが貼着されている。これは前記弾性シートであるダイアフラム211のうちのうち少なくとも前記積層物A3の外周部A3bに対向する部分の弾性作用が前記積層物A3の中央部A3aに対向する部分の弾性率よりも小さくする目的のためである。前記を実現するための弾性シートであるダイアフラム211は、ゴム材料Ea,Ebを周辺部211bと中央部211aで変えてもよく、同一の素材であっても配合比率や気泡率を調整して硬度や弾性率のみが異なる種類の弾性体としたものでもよい。
【0015】
また上記した上盤側の弾性シート216についても、弾性シートであるダイアフラム211と同様に、周辺部216bの硬度が中央部216aの硬度よりも低くなっている。ここでは弾性シート216の周辺部216bには硬度が低い(弾性率が小さい)ゴム材料Ebが用いられ、中央部216aには硬度が相対的に高い(弾性率が相対的に小さい)ゴム材料Eaが用いられている。なおダイアフラム211と弾性シート216のいずれか一方は全面同じゴム材料であってもよい。
【0016】
前記真空積層装置2の後工程に直列方向に配設されるプレス装置3は、真空積層装置2で加圧成形され凹凸部を備えた基材層である基板A1と樹脂層である樹脂フィルムA2とからなり樹脂フィルムA2の側に凹凸が残った状態の中間積層物A4を更に加圧してより一層平坦な積層成形品A5に加圧成形するものである。プレス装置3は、下方に設けられた略矩形のベース盤311と、前記ベース盤311の上方に位置する略矩形の固定盤である上盤312の四隅近傍の間にそれぞれ立設されたタイバ313を備えている。そしてプレス装置3は、略矩形の可動盤である下盤314がベース盤311と上盤312との間で昇降移動可能となっている。上盤312と下盤314の間には両方の盤の間の距離を検出するための位置センサ340が取り付けられている。また位置センサ340は、上盤側の加圧部材322と下盤側の加圧部材321の間に取り付けられ、加圧部材321,322の間の距離を検出するものでもよい。なお本発明において位置センサ340は必須のものではない。
【0017】
またベース盤311には加圧手段であって油圧により作動する1基の加圧シリンダ315が設けられ、加圧シリンダ315のラム316が下盤314の背面に固定されている。加圧シリンダは単動のものでも複動のものでもよいが、加圧シリンダ315の図示しない加圧油室には図示しないポンプから作動油を供給する管路が接続され、管路には作動油の油圧を測定するための油圧センサが設けられている。ポンプはこれに限定されるものではないが、サーボモータにより回転数を制御することのできるポンプが用いられている。また前記管路に流量を制御するためのサーボバルブを設けてもよい。加圧手段は2基以上あるものを除外しないが、いずれにしても下盤314を介して加圧面328cの各部分に対して制御的に異なる加圧力を付与するものではない。
【0018】
なお第1の実施形態のプレス装置3の加圧手段は、サーボモータ等の電動モータによりボールねじを回転させて直接下盤等を移動させるものや、サーボモータ等の電動モータによりトグル装置を介して下盤等を移動させるものなど他の方式のものでもよい。更にプレス装置3は、下盤に対して上盤が下降するものなどでもよい。更にまた第1の実施形態のプレス装置3は、真空状態とすることが可能なチャンバを備えていないが、真空状態にすることが可能なチャンバを備え、真空チャンバ内で加圧を行うものでもよい。
【0019】
上下の加圧部材321,322の構造は略同じなので、下盤314の加圧部材321について図3を参照して説明する。加圧部材321は、下盤314と加圧ブロック体323の間に断熱材329を備えている。従ってプレス装置3の加圧ブロック体323は、断熱材329を介して下盤314に図示しないボルト等により取り付けられている。加圧ブロック体323は、所定の厚みを備えたブロック体であり、内部に加熱手段であるカートリッジヒータ325が備えられている。なお加圧部材321の加熱手段は、カートリッジヒータ325の他、加圧ブロック体323の表面などにラバーヒータなどを備えたものでもよい。
【0020】
加圧ブロック体323の表面には、加圧ブロック体323の表面積と同じ表面積の緩衝材326が配置されている。緩衝材326は、耐熱性のゴム、樹脂フィルム、紙、繊維や、それらの混合体や積層材からなる。緩衝材326の厚みは、これに限定されるものではないが一例として0.05mmないし5.0mmである。また緩衝材326は、周辺部の硬度が中央部の硬度よりも高いものを用いてもよい。
【0021】
緩衝材326の表面には、緩衝材326の表面積と同じ表面積の弾性シート328が貼着された硬質材からなるプレートである金属プレート327が配置されている。本実施形態では、硬質材からなるプレートの材質はステンレスが用いられるが、鉄、アルミニュームなどの他の金属や、樹脂、セラミックス、木質など限定されない。金属プレート327の厚みは、これに限定されるものではないが、一例として0.3mmないし5.0mmである。
【0022】
<プレス装置の弾性シートの説明>
次に金属プレート327に貼着され、加圧面328cを構成する弾性シート328について説明する。図3および図4に示されるように、弾性シート328は、弾性シート328の周辺部328bの硬度が中央部328aの硬度よりも低くなっている。そして前記弾性シート328のうち少なくとも前記中間積層物A4の外周部A4bに対向する部分の弾性率が前記中間積層物A4の中央部A4aに対向する部分の弾性率よりも小さくなっている。前記を実現するための弾性シート328は、弾性シート328の素材を周辺部と中央部で変えてもよく、同一の素材であっても配合比率や気泡率を調整して硬度のみが異なる種類の弾性シートとしたものでもよい。なお本発明において弾性シート328は、金属プレートを省略して加圧ブロック体に直接取り付けてもよく、加圧ブロック体323に取り付けた緩衝材326の表面に弾性シート328を取り付けてもよい。また加圧ブロック体323に弾性シート328を貼付けた金属プレート327を直接取り付け、緩衝材326を省略してもよい。
【0023】
また図4に示されるように弾性シート328の硬度が低いゴム材料Ebと硬度の高いゴム部材Eaの境界Xは、中間積層物A4の成形位置の外周端部A8に対して内側方向Yに30mm、外周端部A8に対して外側方向Zに10mmの間に設けることが望ましい。従って前記境界は中間積層物A4の加圧面328cに形成されてもよく、加圧面328cではない部分に形成されてもよい。前記の境界Xは中間積層物A4を含む積層物の種類や大きさによっても相違する。
【0024】
弾性シート328の素材は、耐熱性のあるエラストマ(ゴム)であり、繊維など他の素材が含有しているものでもよい。弾性シート328の素材は、一例としてはシリコーンゴム、フッ素ゴムが望ましい。弾性シート328の耐熱性については耐熱温度150℃以上のものが好ましく、更には耐熱温度180℃以上のものが好ましく、特には耐熱温度230℃以上のものが特に好ましい。弾性シート328の周辺部328bと中央部328aは上記したように同じ素材でも硬度の異なる2種類、または2種類以上の耐熱性のあるエラストマ(ゴム)としてもよい。
【0025】
弾性シート328の硬度については、周辺部328bの硬度は、これに限定されるものではないが一例としてショアA硬度が10°~85°、特に好ましくは15°~40°である。また弾性シート328の中央部328aの硬度は、これに限定されるものではないが一例としてショアA硬度が15°~90°、特に好ましくは20°~60°である。いずれにしても相対的に弾性シート328の中央部328aの硬度を高くし、周辺部328bの硬度を低くすることが好ましい。
【0026】
弾性シート328の厚みについては、これに限定されるものではないが、一例として0.2mm~6.0mm、特に好ましくは0.5mm~3.0mmである。本実施形態では周辺部328bと中央部328aの厚みは同じであるが、例えば周辺部328bの厚みを中央部328aの厚みよりも0.01mm~1.0mm薄くしてもよい。ただし弾性シート328の周辺部328bの硬度が中央部328aの硬度と一定以上異なる場合は、周辺部328bの厚みを中央部328aの厚みよりも厚くすることも考えられる。いずれにしても、加圧時に前記弾性シート328のうち少なくとも中間積層物A4等の積層物の外周端部A8に対向する部分に押圧力を伝達するための物理的特性が、前記積層物の中央部A9に対向する部分に押圧力を伝達するための物理的特性よりも小さくて、外周端部A8に押圧力の伝達される比率が小さく、加圧時の中間積層物A4等の側面A11からの溶融樹脂の流出(染み出し)が抑制されることが望ましい。
【0027】
弾性シート328の加圧面328cである表面は、ここでは微細な布目形状となっている。しかし加圧面328cは離型を良好にするために布目形状以外にエンボス状の凹凸が形成されたり、梨地状に面粗度を持たせたものでもよい。更には弾性シート328の加圧面328cは、完全にフラットなものもでもよい。
【0028】
本実施形態では弾性シート328は、周辺部328bを構成する硬度の低いゴム材料Ebと、周辺部328bの内側に設けられる中央部328aを構成する硬度の高いゴム材料Eaがそれぞれ金属プレート327に貼着されている。金属プレート327または加圧ブロック体323への弾性シート328の貼着の仕方は、焼付けにより接着されるものの他、接着剤により接着されるものでもよい。またボルトや真空吸引により金属プレート327や加圧ブロック体323へ弾性シート328を貼着するものでもよい。なお図3において加圧部材321を構成する加圧ブロック体323、緩衝材326、金属プレート327、および弾性シート328等は、水平方向の長さに対する厚み方向の長さが、実際よりも大きくデフォルメして描画されている。
【0029】
なお本発明では、真空積層装置2のダイアフラム211である弾性シートとプレス装置3の弾性加圧薄板である弾性シート328の少なくとも一方の装置の弾性シート328の周辺部328bの硬度(または弾性率)が中央部328aの硬度(または弾性率)よりも低くなっていればよい。即ち真空積層装置2の弾性シート328は均一な硬度(弾性率)であって、プレス装置3の弾性シート328の周辺部328bの硬度(弾性率)が中央部328aの硬度(弾性率)よりも小さくなっていてもよい。またはプレス装置3の弾性シート328は均一な硬度(弾性率)であって、真空積層装置2の弾性シート328の周辺部328bの硬度(弾性率)が中央部328aの硬度(弾性率)よりも低くなっていてもよい。
【0030】
<積層成形システムの構造の説明の続き>
第1の実施形態のプレス装置3においては、上盤312も下盤314と同じ辺の大きさ、同じ面積で同じ構造の加圧部材322を備える。即ち上盤312もまた加圧ブロック体324、緩衝材326、金属プレート327、図3と同様の構成の弾性シート328等を備えている。
【0031】
ただし本発明では、下盤314と上盤312の少なくとも一方の盤に加圧面328cを構成する弾性シート328が備えられ、前記弾性シート328は周辺部328bの硬度が中央部328aの硬度よりも低い状態となっていればよい。例えば基板A1の片面にしか樹脂フィルムA2を積層しない場合、樹脂フィルムA2と対向する側の盤のみの弾性シート328を周辺部328bの硬度が中央部328aの硬度よりも低い状態としておけば目的を達成できる場合もあり得る。
【0032】
プレス装置3の後工程には積層成形品A5の移送装置とテンション装置を兼ねた搬送装置10を構成するキャリアフィルム巻取装置5が設けられている。キャリアフィルム巻取装置5は、下側の巻取ロール511および従動ロール512を備えており、前記巻取ロール511により下キャリアフィルムF1が巻き取られる。またキャリアフィルム巻取装置5は、上側の巻取ロール513および従動ロール514を備えており、前記従動ロール514の部分で積層成形品A5から上キャリアフィルムF2が剥離され、上キャリアフィルムF2は前記上側の巻取ロール513に巻取られる。そして下キャリアフィルムF1のみが水平状態で送られる部分に積層成形品A5の取出ステージ515が設けられている。
【0033】
上下キャリアフィルムF1,F2の送り量のコントロールは、巻取ロール511,513の巻き取られたフィルムの直径を測定により検出するとともに、サーボモータにより巻き取りロール511,513の回転数(回転角度)を制御することにより行ってもよい。また従動ロール512にロータリエンコーダ等の回転数検出装置を設けてもよい。更にはキャリアフィルムF1,F2の移送装置としては、キャリアフィルムF1,F2の両側を把持して後工程に向けて引っ張る移載装置を設けてもよい。
【0034】
次に積層成形システム1の制御装置6について説明する。制御装置6は真空積層装置2、プレス装置3、キャリアフィルム巻出装置4、キャリアフィルム巻取装置5と接続されている。とりわけプレス装置3との関連では、制御装置6は、加熱手段の温度制御、加圧力の制御を行う。
【0035】
<積層方法の説明>
次に第1の実施形態の積層成形システム1を用いた、基材層である基板A1と樹脂層である樹脂フィルムA2の積層方法について説明する。連続成形時の積層成形システム1では、積層装置であるダイアフラム式の真空積層装置2と同じく積層装置であるプレス装置3においてシーケンス制御により同時にバッチ処理的に加圧成形が行われる。しかしここでは1成形サイクル分の被積層材である基板A1と樹脂フィルムA2(積層フィルム)の成形順序に沿って説明する。
【0036】
搬送装置10の載置ステージ部413に載置される基板A1は、基板表面に接着された銅箔部分の凸部A1bと銅箔が無い部分の凹部A1cからなる凹凸部A1aを有するビルドアップ用の回路基板である。銅箔の厚み(基板部分に対する高さ)はこれに限定されないが数umから数十um程度であって殆どの場合0.1mm以下である。前記基板A1の上下にそれぞれ樹脂フィルムA2が重ねられてビルドアップ成形用の積層物A3が構成される。なお図1では積層物A3は1個が記載されているが同時に複数個数の積層物A3を積層成形するものでもよい。
【0037】
第1の実施形態における樹脂フィルムA2は絶縁フィルムであって、元の保存状態から両面に積層されているPETフィルムが剥離されて使用される。樹脂フィルムA2の樹脂材料はエポキシ等の熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を主成分とするものである。また前記熱硬化性樹脂以外の材料としては、熱可塑性樹脂や、粗度調整、難燃性付与、低膨張性付与、流動性付与、成膜性付与、低誘電正接化(絶縁性付与)、含水率低下等の目的で各種の材料、添加剤が含有されている。なお積層されるフィルムは、絶縁フィルムの他、感光性フィルムなどでもよい。また積層されるフィルムの成分は、熱可塑性樹脂のみ、熱硬化性樹脂のみでもよく限定されない。
【0038】
そして載置ステージ部413に載置された前記積層物A3は、巻取ロール511,513の回転駆動ともに上下キャリアフィルムF1,F2とともに送られ、開放状態の真空積層装置2のチャンバC内に送られ位置決めされる。この際に図3に示されるように真空積層装置2のダイアフラム211の周辺部211bの硬度の低い部分が、キャリアフィルムF,F2に挟まれた基板A1と樹脂フィルムA2からなる積層物A3の外縁に対向するように停止されることが必要である。そのためにサーボモータ等により上下キャリアフィルムF1,F2による中間積層物A4の送り量の制御とプレス装置3のプレス位置への停止制御を正確に行う必要がある。また必要に応じて積層物A3がプレス位置に停止しているかを監視するカメラ等の監視装置を取り付けてもよい。
【0039】
次に真空積層装置2はチャンバCが閉鎖され図示しない真空ポンプによりチャンバC内が真空状態とされる。そしてチャンバC内が真空状態となるとダイアフラム211の裏面側に加圧空気を送り込んでダイアフラム211をチャンバC内に膨出させ、基板A1と樹脂フィルムA2からなる積層物A3を上盤212側の熱板215の弾性シート216との間で加圧する。
【0040】
この際にダイアフラム211は周辺部211bの硬度が低いことから主にその部分が伸びて膨出し、中央部211aが先に基板A1等に当接するものの周辺部211bもさほど遅れることなく当接する。ダイアフラム211による基板A1等に加えられる加圧力(面圧)は一例として0.01MPaないし2.5MPaであり、特に好ましくは0.3MPaないし1.0MPaである。そして基板A1の凹部A1cに積層フィルムA2が埋め込まれる形で基板A1と樹脂フィルムA2の接着が行われ、1次成形品である中間積層物A4が積層成形される。
【0041】
また前記したようにダイアフラム211は、図2に示されるように周辺部211bの硬度が中央部211aの硬度よりも低くなっている。そのため基板A1と樹脂フィルムA2を加圧して積層する際に中央部211aと比較して、基板A1と樹脂フィルムA2の端部A6と端部近傍への押圧力の伝達がやや弱められる。またダイアフラム211の周辺部211bの硬度が低くて追従性がよいことから、基板A1と樹脂フィルムA2の端部A6の側面A7に当接して側面A7から押圧する力が相対的に大きくなる。このため本実施形態の真空積層装置2では、加圧時に樹脂層が側面A7から外部に流動してしまうという問題が抑制できる。
【0042】
しかし真空積層装置2により積層成形された中間積層物A4の樹脂フィルムA2の表面はまだ基板A1の凹凸部A1aの形状に倣って凹凸が残った状態である。またこの際、使用される樹脂フィルムA2が無機材料の含有率が高い場合には溶融または軟化した樹脂の流動性が低いのでより一層凹凸が残りやすい。
【0043】
真空積層装置2において凹凸部A1aを備えた基板A1と樹脂フィルムA2からなり、両者が貼着された中間積層物A4が積層成形されるとチャンバCが開放される。そして搬送装置10であるキャリアフィルム巻出装置4とキャリアフィルム巻取装置5による次のキャリアフィルムF1,F2の送りにより、前記中間積層物A4はプレス装置3の上盤312と下盤314の間に搬送され、所定の加圧位置に停止される。この際も真空積層装置2への積層物A3の搬入時と同じピッチだけサーボモータ等により上下キャリアフィルムF1,F2の正確な送り制御が行われる。また中間積層物A4がプレス位置に停止しているかを監視するカメラ等の監視装置をプレス装置3の側に取り付けてもよい。
【0044】
そして中間積層物A4の更なる平滑化を行うためのプレス装置3の所定の位置に前記中間積層物A4が停止されると次に、プレス装置3の加圧シリンダ315が作動され加圧工程が開始される。加圧工程では、下盤314および加圧部材321の加圧ブロック体323等が上昇されて加圧ブロック体323に取り付けられた弾性シート328が下キャリアフィルムF1を介して中間積層物A4に当接すると更に押し上げ、中間積層物A4の上面が上キャリアフィルムF2を介して上盤側の弾性シート328に当接され、その後に加圧制御が開始される。
【0045】
本実施形態ではプレス装置3の加圧制御は、圧力制御により制御され、中間積層物A4に対して一例として0.01MPaないし2.5MPa、更に好ましくは0.5MPaないし1.5MPaの面圧が加えられる。ただし圧力制御は圧力を途中で変更するものでもよい。またプレス装置3の加圧工程のうち前半は圧力制御を行い、後半は位置制御(または速度制御)を行うものでもよい。更には最初から最後まで位置制御(または速度制御)を行うものを除外するものではない。
【0046】
プレス装置3による加圧工程時、従来の弾性シート328の全面が同じ硬度の場合は、図7に示されるように、基材層と樹脂層を含む中間積層物A4を加圧した際に中間積層物A4の外周端部A8に応力が集中して端部付近の樹脂が中間積層物A4の側面A7から外部に向けて流動してしまうという問題があった。しかし本発明では、図3にも示されるように、硬質材からなるプレートである金属プレート327の表面に弾性シート328が備えられ、弾性シート328は周辺部328bの硬度が中央部328aの硬度よりも低く(中央部328aの硬度が周辺部328bの硬度よりも高く)なっている。そのため中間積層物A4を加圧した際に、弾性シート328の弾性率の小さい周辺部328bで中間積層物A4の外周端部A8を含む部分が押圧され、弾性シート328材の弾性率の大きい中央部328aで中間積層物A4の中央部A9が押圧される。換言すれば弾性シート328は周辺部328bの押圧力を中間積層物A4に伝達するための物理的性質が中央部328aの押圧力を中間積層物A4に伝達するための物理的性質よりも大きくなっている。
【0047】
その結果、中間積層物A4の周辺部A10に対向する部分の弾性シート328の圧縮圧が、中間積層物A4の中央部A9に対向する部分の弾性シートの圧縮圧よりも小さくなり、金属プレートは図7にように撓んで中間積層物A4の端部付近に応力が集中することが無くなる。即ち金属プレートは略平坦な状態を保つので、中間積層物A4の外周端部A8付近の樹脂の積層物の側面A11からの流動を抑制することができる。
【0048】
そして所定のプレス工程の時間が終了するとプレス装置3は型開きされ、上キャリアフィルムと下キャリアフィルムの送りにより積層成形品A5が取り出しステージに送られる。
そして取り出しステージにおいて積層成形品A5の取り出しが行われる。
【0049】
<他の実施形態の説明>
次に他の実施形態の積層成形システム1の積層装置について説明する。本発明の積層成形装置は、図1に示されるダイアフラム211を備えた真空積層装置2が単独で設けられたものでもよい。更には第1の実施形態の積層成形システム1のプレス装置3の後工程に1台ないしは複数台のプレス装置が配設されたものでもよい。その場合、後工程に設けられるプレス装置は、加圧面に本発明のような弾性シート328を備えたものでもよい。または後工程に設けられるプレス装置は、加圧ブロック体と加圧面である金属板状部材の間に緩衝材が設けられたものでもよい。
【0050】
または積層成形システム1は、図1に示されるダイアフラム211を備えた真空積層装置2が配置されておらず、プレス装置3が最初の第1加圧工程の加圧装置となるものでもよい。その場合、プレス装置3は真空チャンバを備えていて真空積層装置を構成する。そのプレス装置3からなる真空積層装置はそれ単独の積層装置でも積層成形システムのラインを構成する。また積層成形システム1は、本発明のプレス装置3(真空チャンバの有無は問わない)の後工程に、プレス装置3と同じプレス装置や、加圧ブロック体の表面に緩衝材を介して加圧面を構成する金属薄板プレートを備えたプレス装置を1台ないし複数台設けたものでもよい。
【0051】
<弾性シートの組み合わせや形状のバリエーションの説明>
次に図5により本発明の弾性シート328の周辺部328bと中央部328aの硬度を異ならせるバリエーションについて説明する。弾性シートは図5(a)に示されるように弾性シート328は、2種類のゴム材料EaとEbからなり、周辺部328bと中央部328aで重なりなく構成されるものでもよい。また図5(b)のように弾性シート328は、2種類のゴム材料EaとEbからなり、全面に設けられた硬度の低いゴム材料Ebの中央部328aの凹部Eb1に相対的に硬度の高いゴム材料Eaが配置されたものでもよい。または図5(c)のように、弾性シート328は2種類のゴム材料EaとEbからなり、両面側の硬度の低いゴム材料Ebの間の中央部328aに硬度の高いゴム材料Eaが挟まれたものでもよい。その場合両面側の硬度の低いゴム材料Ebの間の周辺部328bには、前記両面側のゴム材料Ebと同じ種類の硬度の低いゴム材料Ebが配置される。更には図5(d)のように片面側の全面をカバーする硬度の低いゴム材料Ebに対して、前記ゴム材料Ebよりも硬度の高いゴム材料Eaを中央部328aに配置し、周辺部には前記全面をカバーするゴム材料Ebと同じゴム材料Ebを配置してもよい。
【0052】
更に弾性シート328は、3種類以上のゴム材料等の弾性体からなるものでもよい。一例としては図5(e)のように両表面側のゴム材料EbとEcの硬度が異なり、その間に挟まれるゴム材料については、周辺部328bがいずれか一方の表面と同じゴム材料EbまたはEcであり、中央部は両表面のゴム材料EbまたはEcとは異なり、周辺部のゴム材料EbまたはEcよりも硬度の高いものとしてもよい。また図5(f)のように両表面側のゴム材料を同じゴム材料Ecとし、その間に挟まれるゴム材料は周辺部のゴム材料Ebと中央部のゴム材料Eaをそれぞれ両表面のゴム材料Ecとは別にし、周辺部のゴム材料Ebは中央部のゴム材料Eaよりも硬度が低いものとしてもよい
【0053】
これら図5(a)ないし(f)の弾性シート328は、図において弾性シート328の上側が中間積層物A4等の積層物に当接される加圧面328cとなる(図において弾性シート328の下側が金属プレート327に当接される)ものでもよく、図において弾性シート328の上側が金属プレート327に当接され(弾性シート328の下側が積層物に当接される加圧面328cとなるものでもよい。加圧面328cの側の弾性シート328の硬度を全面均一にして、金属プレート327に当接するなど加圧面328cとは反対側の裏面側や中間の弾性シート328の硬度を周辺部328bよりも中央部328aのほうが硬度を高くすることにより、中間積層物A4等の積層物の表面に明確な硬度差に伴う形状変化が現れなくなる場合もある。また弾性シート328のゴム材料Ea,Eb,Ec等は、耐熱性の接着剤で接着されることが望ましい。または弾性シート328のゴム材料Ea,Eb,Ec等は、熱融着やボルトで係合されるものでもよい。
【0054】
また弾性シート328は、1枚の素材で中央部328aのほうが周辺部328bよりも徐々に硬度が高くなるように処理されたものでもよい。または弾性シート328は、中央部328aのゴム材料Eaと周辺部328bのゴム材料Ebが加圧面328cに対して垂直方向ではなく、傾斜方向の面で接合されたものでもよい。その場合、弾性シート328は、中央部328aのほうが周辺部328bよりも徐々に硬度が高くなる。
【0055】
また弾性シート328の周辺部と中央部を平面視した配置関係は、積層物の形状や数に応じて図6に示されるように変更可能である。即ち弾性シート328のうち硬度の高い中央部328aの形状は、矩形(正方形と長方形を含む)に限定されず、円形、楕円形、菱形、四隅が面取りされた形状などでもよい。また積層物の個数に応じて、弾性シート328の硬度の高い部分が複数設けられたものでもよい。従って本発明における「弾性シートのうち少なくとも前記積層物の外周部に対向する部分の弾性率が前記積層物の中央部に対向する部分の弾性率よりも小さい」とは、積層物の数に応じて弾性シート328に、他の部分よりも硬度が高い部分(弾性率の大きい部分)が2つ以上備えられているものを含む。なお図6では、硬度の高い中央部328aはハッチング入りで示し境界Xは実線で記載しているが、表面側の加圧面328cの全体が1枚の均一な弾性シートであり、中心側や裏面側の中央部328aの硬度が高いものも含まれる。
【0056】
上記の弾性シート328の説明は、主に周辺部328bと中央部328aの硬度の差など物理的性質の差を利用して積層物からの樹脂流動を抑制するものである。しかし弾性シート328の熱的影響の差を利用して積層物からの樹脂流動を抑制するものでもよい。具体的には弾性シート328のうち少なくとも中間積層物A4等の積層物の外周端部A8に対向する部分の熱伝導特性の一種である熱伝導率が前記積層物の中央部A9に対向する部分の熱伝導特性の一種である熱伝導率よりも小さくする。そのようにすることにより弾性シート328の加圧面328cは、中央部328aは温度が高い状態となり、周辺部328bは温度の低い状態となる。その結果、周辺部の弾性シート328の加圧面328cに当接される中間積層物A4の外周端部A8付近の樹脂流動は抑制される。なお弾性シート328は、周辺部328bと中央部328aで同じ熱伝導率の緩衝材料を使用し、気孔率の差や他に混合される物質の差により熱伝導特性に差が生じるようにしてもよい。
【0057】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した第1の実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものや明細書の各記載を掛け合わせたものについても、適用されることは言うまでもないことである。積層成形システム1で積層成形される積層成形品A5は、ビルドアップ基板の他、他の回路基板、半導体ウエハなどでもよく限定されない。また基材層は基板に限定されない。
【符号の説明】
【0058】
1 積層成形システム
2 真空積層装置
3 プレス装置
212,312 上盤
213,314 下盤
321,322 加圧部材
323,324 加圧ブロック体
326 緩衝材
327 金属プレート
328 弾性シート
328a 中央部
328b 周辺部
328c 加圧面
Ea,Eb,Ec ゴム材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7