(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095458
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20230629BHJP
B65D 5/468 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B65D5/42 Z
B65D5/468 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211366
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】米丸 武
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060BC04
3E060CA01
3E060CA12
3E060CA23
3E060DA12
3E060DA30
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】意図しない位置での座屈の発生を抑えることができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、側板3を構成する板部3a,3bと天板用フラップ4a,4bとが接続される境界線上の第1罫線L1と、第1罫線L1の下方に並列して設けられた第2罫線L2を備えている。第2罫線L2は、包装箱1の全周に亘って設けられ、第2罫線L2上に複数の切目線Cを有している。板部3bには、第1罫線L1に隣接した手穴部6が設けられ、第2罫線L2上の切目線Cは、手穴部6を構成する上側切目線6d,6eと垂直方向で重なる位置とはずらして配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板から上方に立設された側板と、前記側板が形成する空間を上方で閉じるフラップ部からなる天板とで構成される包装箱であって、
前記側板と前記フラップ部とが接続される境界線上に形成された第1折目線と、
前記側板の前記第1折目線の下方に、前記第1折目線と並列して設けられた第2折目線と、
を備え、
前記第2折目線は、前記包装箱の全周に亘って設けられ、前記第2折目線上に複数の切目線を有し、
前記側板には、前記第1折目線に隣接した手穴部が設けられ、
前記手穴部は、前記包装箱の水平方向に沿って延びる下側切目線と、前記下側切目線の両端からそれぞれ上方に延びる一対の縦切目線と、前記縦切目線の各上端から前記水平方向に沿って延びる一対の上側切目線と、前記一対の上側切目線を結ぶ折目線とで構成され、
前記第2折目線上の切目線は、前記上側切目線と垂直方向で重なる位置とはずらして配置されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
2つの前記手穴部を前記水平方向に並べ、一方の前記縦切目線を共通縦切目線にして合体させた合体手穴部を備えていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水ボトル等を収容する包装箱に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装箱は、上方から荷重がかけられたとき、胴体部に撓みが生じることがあったため、包装箱自体の破損、またその内容物の破損を防止するための工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1の段ボール箱は、各側面板と各天フラップとの間の各折線の高さ方向の近傍であって、折線から5~50ミリメートルの位置に裏ライナを一定間隔毎にカットしたカットラインを設けている。
【0004】
胴部が長期荷重に耐えられず、各側面板が胴撓みする状況となった場合、各側面板はカットラインのところで座屈して、荷重が直接内容品である容器にかかるようになる。このため、全体の圧縮荷重を内容物と箱で分担して受ける状態となって、各側面板の胴撓みを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、垂直方向に僅かに変形可能な飲料水用の容器が使用されている。このような容器が箱に収容された場合、折り目(カットライン)のみを有する箱では、上方から荷重がかけられたとき、折り目に沿わない意図しない位置で座屈が生じることがあった。
【0007】
折り目を設ける代わりに、箱に切れ目を入れておくことも考えられる。しかしながら、切れ目を設けても、やはり意図しない位置で座屈が生じる問題を解決することは難しかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、意図しない位置での座屈の発生を抑えることができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この種の包装箱においては、側板の上端部付近に手穴部を設けることが多い。そのため、包装箱に折り目や切れ目を追加した場合であっても、上方から荷重がかけられたとき、折り目や切れ目ではなく、手穴部周辺で意図しない座屈が生じることがある。
【0010】
そこで、発明者は、本事象について鋭意検討した結果、意図しない座屈が手穴部を構成する切れ目のうち、天板に隣接する切れ目で起こることを発見し、本発明をするに至った。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、底板と、前記底板から上方に立設された側板と、前記側板が形成する空間を上方で閉じるフラップ部からなる天板とで構成される包装箱であって、
前記側板と前記フラップ部とが接続される境界線上に形成された第1折目線と、前記側板の前記第1折目線の下方に、前記第1折目線と並列して設けられた第2折目線と、を備え、
前記第2折目線は、前記包装箱の全周に亘って設けられ、前記第2折目線上に複数の切目線を有し、
前記側板には、前記第1折目線に隣接した手穴部が設けられ、前記手穴部は、前記包装箱の水平方向に沿って延びる下側切目線と、前記下側切目線の両端からそれぞれ上方に延びる一対の縦切目線と、前記縦切目線の各上端から前記水平方向に沿って延びる一対の上側切目線と、前記一対の上側切目線を結ぶ折目線とで構成され、前記第2折目線上の切目線は、前記上側切目線と垂直方向で重なる位置とはずらして配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の包装箱において、フラップ部は第1折目線で側板と接続され、この部分で折り曲げられて天板となる。また、第1折目線の下方に、第1折目線と並列した第2折目線が、包装箱の全周に亘って設けられている。ここで、第2折目線は複数の切目線を有して、折り曲げ易くなっているため、包装箱の上方から荷重がかけられた場合、第2折目線で確実に屈曲する。
【0013】
手穴部は、前記下側切目線、前記縦切目線、前記上側切目線及び前記折目線で構成され、使用者が包装箱の外側から手穴部を押圧すると、前記折目線で折れ曲がり、使用者の手が入る穴となる。ここでの「水平方向に沿って延びる」、「上方に延びる」とは、傾斜しながら延びる線を含む。
【0014】
また、第2折目線上の切目線は、前記上側切目線と垂直方向で重なる位置とはずらした位置、すなわち垂直方向で重ならない位置となっている。そのため、上方から荷重がかけられたとき、意図せず上側切目線で折れ曲がることを防止し、確実に第2折目線で屈曲させて胴膨れを吸収できる。これにより、包装箱が意図しない位置で座屈して、胴膨れによって美観を損ねることを防止することができる。
【0015】
本発明の包装箱において、2つの前記手穴部を前記水平方向に並べ、一方の前記縦切目線を共通縦切目線にして合体させた合体手穴部を備えていることが好ましい。
【0016】
本発明において、包装箱は、2つの前記手穴部をそれぞれ開口させることで大きな合体手穴部を開口させることができる。さらに、第2折目線上の切目線は、各上側切目線と垂直方向で重なる位置とはずらした位置にあるため、上方から荷重がかけられたとき、意図せず上側切目線で折れ曲がることを防止し、確実に第2折目線で屈曲させて胴膨れを吸収できる。これにより、合体手穴部を設けた場合であっても、包装箱が意図しない位置で座屈して、胴膨れによって美観を損ねることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装箱の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装箱の展開図である。
【
図4】実験例1~実験例9(9種類)の態様を説明する図である。
【
図5】実験例1の圧縮試験の結果を説明する図である。
【
図6】実験例2~9(8種類)の圧縮試験の結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る包装箱について説明する。なお、本実施形態においては重力の作用方向を下方とし、その反対方向を上方とする。また、包装箱をその底板を下にして置いたときの上下方向が垂直方向であり、左右方向が水平方向である。
【0019】
図1は、本実施形態の包装箱1の斜視図を示している。
【0020】
包装箱1は、主に飲料水ボトルを収容する段ボール、厚紙等で作られた直方体の箱であり、底板2と、底板2から上方に立設された側板3と、側板3が形成する空間を上方側で閉じる天板4とで構成されている。
【0021】
側板3は、切欠片5が設けられた面(板部3a)と、手穴部6が設けられ、板部3aよりも水平方向の幅が狭い面(板部3b)とで構成されている。板部3aと板部3bは交互に接続されているため、2つの切欠片5は互いに対向する位置に配置され、2つの手穴部6も互いに対向する位置に配置される。
【0022】
【0023】
底板2は、底板用フラップ2a及び底板用フラップ2bで構成されている。底板用フラップ2a,2bは、それぞれ板部3a,3bに折目線を介して接続されている。
【0024】
天板4は、天板用フラップ4a及び天板用フラップ4b(本発明の「フラップ部」)で構成されている。天板用フラップ4a,4bは、それぞれ板部3a,3bに折目線を介して接続されている。当該折目線は、展開図における第1罫線L1(本発明の「第1折目線」)と一致する。
【0025】
側板3には、第1罫線L1と並列して第2罫線L2(本発明の「第2折目線」)が設けられている。また、第2罫線L2には、包装箱1の全周に亘って複数の切目線Cが設けられている。詳細は後述するが、包装箱1は、上方から荷重がかけられたとき、上述の切目線Cの効果により第2罫線L2で屈曲させることができる。
【0026】
側板3は、図中の罫線M1~M4が折目線となる。罫線M1を有する板部3aには糊代部3cが接続されているため、糊代部3cと板部3bの端部(罫線M4と反対側)を貼り合わせることで、側板3は上面視したとき矩形状となる。
【0027】
板部3aには、切欠片5が設けられている。切欠片5上の位置に包装箱1の全周に亘る破断補助線を形成すれば、切欠片5及び破断補助線は、周方向に破断した包装箱1の下部をトレイ状に残して利用することができる。また、板部3bには手穴部6が設けられているが、その構造については詳細を後述する。
【0028】
図3は、
図2の包装箱1の領域Rの拡大図をしている。
【0029】
図示するように、手穴部6は、2つの穴部6A及び穴部6Bを包装箱1の水平方向に並べた形状である。穴部6A,6Bは、それぞれ切目線6a~6e及び折目線6fで構成されている。
【0030】
下側切目線6aは、包装箱1の水平方向に沿って延びる下辺である。また、縦切目線6bは下側切目線6aの両端からそれぞれ上方に延びる一対の縦線であり、縦切目線6cは下側切目線6aの中心から上方に延びる縦線である。
【0031】
さらに、上側切目線6dはそれぞれ縦切目線6bの上端から斜め上方に延びる一対の上辺であり、上側切目線6eは斜め下方(両方向)に延びる上辺である。上側切目線6dと上側切目線6eを結ぶ直線は折目線6fであり、使用者が包装箱1の外側から穴部6A,6Bを押圧すると折目線6fで折れ曲がり、切目線6cで分割されて使用者の手が入るようになる。なお、縦切目線6cは穴部6A,6Bに共通の縦線であり(本発明の「共通縦切目線」)、上側切目線6eは上方に凸の一曲線である。
【0032】
手穴部6の上方には、第1罫線L1及び第2罫線L2が存在する。第1罫線L1は、板部3bと天板用フラップ4bとが接続される境界線上に形成された折目線である。第2罫線L2は第1罫線L1と並列して設けられているが、両罫線の間隔は5~15mm程度である。
【0033】
また、第2罫線L2は、一定間隔で配置された複数の切目線C1~C4(10mm)を有している。包装箱1の上方から荷重がかけられ、例えば収容された飲料水ボトルが変形した場合、包装箱1は、第2罫線L2が新たな折目線となって屈曲する。これにより、包装箱1が意図しない位置で座屈して、胴膨れによって美観を損ねることを防止することができる。
【0034】
このような屈曲が生じる要因として、手穴部6を構成する切目線6b~6eの部分を、切目線C1~C4と垂直方向で重ならないようにずらして配置していることが挙げられる。具体的には、切目線C1と切目線C2の間の領域に穴部6Aの上側切目線6dを配置し、切目線C3と切目線C4の間の領域に穴部6Bの上側切目線6dを配置する。また、切目線C2と切目線C3の間の領域に上側切目線6eを配置する。第2罫線L2の切目線C1~C4と、手穴部6の切目線6d,6eをこのような位置関係とすることで、包装箱1の強度を格段に向上させることができる。
【0035】
次に、
図4~
図6を参照して、実際に圧縮試験を行った実験例1~実験例9(9種類)について説明する。各実験例において、それぞれ包装箱の最大強度、座屈(屈曲)の様子等を確認した。
【0036】
図4は、実験例1~実験例9の態様を示している。なお、図中の帯体は、切目線Cの位置が分かり易くなるように付加している。
【0037】
「実験例1」は、
図3で説明したものと同じ態様であるが、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在し、第2罫線L2が複数の切目線Cを有している。また、複数の切目線Cが等間隔に配置され、手穴部6の水平方向中心及び両端部は、どの切目線Cとも垂直方向で重ならないように配置されている。「実験例1」は、本発明の一実施形態である。
【0038】
「実験例2」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在するが、第2罫線L2が切目線Cを有していない。手穴部6の形態は、「実験例1」と同じである。「実験例2」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0039】
「実験例3」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在するが、第2罫線L2が切目線Cを有していない。手穴部7は、「実験例1」の手穴部6とは異なり、包装箱1の水平方向に長い略楕円形状を有している。
【0040】
手穴部7は、包装箱1の水平方向に沿って延びる下側切目線と、下側切目線の両端からそれぞれ上方に延びる一対の縦切目線と、当該縦切目線の各上端から水平方向に沿って延びる一対の上側切目線と、当該一対の上側切目線を結ぶ折目線とで構成されている。使用者が包装箱1の外側から手穴部7を押圧すると当該折目線で折れ曲がるため、手穴部として機能する。「実験例3」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0041】
「実験例4」は、側板3に第1罫線L1が存在する。第2罫線L2は存在しないが、「実験例1」と同じ位置に、等間隔で配置された複数の切目線Cを有している。手穴部6の形態は、「実験例1」と同じである。「実験例4」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0042】
「実験例5」は、側板3に第1罫線L1が存在する。第2罫線L2は存在しないが、「実験例1」と同じ位置に、等間隔で配置された複数の切目線Cを有している。手穴部7の形態は、「実験例3」と同じである。「実験例5」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0043】
「実験例6」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在し、第2罫線L2が複数の切目線Cを有している。また、切目線Cが等間隔で配置され、手穴部7の水平方向中心及び両端部は、どの切目線Cとも垂直方向で重ならないように配置されている。「実験例6」は、本発明の一実施形態である。
【0044】
「実験例7」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2存在し、第2罫線L2が複数の切目線Cを有している。ここでは、手穴部6の水平方向中心及び両端部は、切目線Cの1つと垂直方向で重なる位置、すなわち同一直線上に配置されている。また、手穴部6の両端部も、他の切目線Cと垂直方向で重なる位置に配置されている。「実験例7」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0045】
「実験例8」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在し、第2罫線L2が複数の切目線Cを有している。手穴部7の水平方向中心は、どの切目線Cとも垂直方向で重ならないが、両端部については、切目線Cと垂直方向で重なる位置、すなわち同一直線上に配置されている。「実験例8」は、「実験例1」と効果を比較するための比較例である。
【0046】
最後に、「実験例9」は、側板3に第1罫線L1及び第2罫線L2が存在し、第2罫線L2が複数の切目線Cを有している。ここでは、手穴部6全体がどの切目線Cとも垂直方向で重ならないように配置されている。具体的には、「実験例1」の中央の2か所の切目線Cを取り除いた態様である。「実験例9」は、本発明の一実施形態である。
【0047】
図5は、「実験例1」の圧縮試験の結果を示している。圧縮試験では、包装箱1が座屈(屈曲)するまで、包装箱1を上方から圧縮し、その強度を測定した。
【0048】
「実験例1」の包装箱1の最大強度は509[Kgf]となり、二重罫線(第1罫線L1及び第2罫線L2)の効果は極めて良好であった。これは、第2罫線L2上の複数の切目線Cと手穴部6の上側切目線6d,6eとが同一直線上とならないように配置したことで、荷重が分散されたためと考えられる。また、図中の「試験時の様子」に示すように、包装箱1は第2罫線L2において屈曲し、胴膨れがほとんどなく、包装箱としての美観が保たれた。
【0049】
次に、
図6に、実験例2~9(8種類)の圧縮試験の結果を示す。なお、圧縮試験の方法は、「実験例1」の場合と同じである。
【0050】
「実験例2」、「実験例3」は、何れも第2罫線L2が切目線Cを有していない態様である。この場合、最大強度がそれぞれ330[Kgf]、265[Kgf]と、「実験例1」と比較して強度の低下が見られた。実際、第2罫線L2の一部分が座屈したが、切目線Cを設けないと二重罫線の効果が発揮され難いことが分かった。
【0051】
「実験例4」、「実験例5」は、何れも第2罫線L2がなく、複数の切目線Cのみ存在する態様である。この場合、最大強度がそれぞれ395[Kgf]、279[Kgf]と、やはり「実験例1」と比較して強度の低下が見られた。これらの場合でも、第1罫線L1の下方で座屈が発生したが、その効果は低かった。
【0052】
「実験例6」は、手穴部7を採用している点でのみ「実験例1」と異なるが、最大強度が451[Kgf]と、9種類の実験例の中で2番目に高い強度が得られた。この結果により、手穴部の形状には関係なく、二重罫線の効果が発揮されることが分かった。
【0053】
「実験例7」、「実験例8」は、何れも第2罫線L2が複数の切目線Cを有し、手穴部6、手穴部7の切目線と当該切目線Cとを同一直線上に配置した態様である。この場合、最大強度がそれぞれ255[Kgf]、233[Kgf]と、「実験例1」と比較して約50%の強度しか得られなかった。
【0054】
この場合、早い段階での座屈が発生したが、荷重がうまく分散されず、手穴部6又は手穴部7の部分で歪みを吸収してしまうことが強度低下の原因と考えられる。この結果により、手穴部6又は手穴部7の切目線と、第2罫線L2の切目線Cとを同一直線上に配置すると、二重罫線の効果が著しく低下することが分かった。
【0055】
最後に、「実験例9」は、「実験例1」の第2罫線L2から一部の切目線Cを取り除いた態様である。この場合、最大強度が411[Kgf]と、9種類の実験例の中で3番目に高い強度が得られた。この結果により、切目線Cを手穴部6又は手穴部7の切目線を避けて配置すると、二重罫線の効果が向上することが分かった。以上により、特に「実験例1」の包装箱1は、二重罫線の効果が最も高く、包装箱1の上方から荷重がかけられたとき、確実に第2罫線L2において屈曲を発生させることができることが分かった。
【0056】
本発明は上記実施形態及び変更形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。手穴部の形状は上述の手穴部6,7に限られるものではなく、円形や多角形等であってもよい。第2罫線L2上の切目線Cの長さは適宜、変更可能であるが、その間隔は等間隔とした方が第2罫線L2において屈曲が発生し易くなる。
【0057】
本発明の包装箱は、上下方向の圧縮荷重を吸収するため、上下方向に僅かに弾性変形可能な飲料水ボトルを収容するのに好適である。
【符号の説明】
【0058】
1…包装箱、2…底板、2a,2b…底板用フラップ、3…側板、3a,3b…板部、3c…糊代部、4…天板、4a,4b…天板用フラップ、5…切欠片、6,7…手穴部、6A,6B…穴部、6a~6e…切目線、6f…折目線、C,C1~C4…切目線、L1…第1罫線、L2…第2罫線、M1~M4…罫線。