(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095462
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】機能門柱
(51)【国際特許分類】
E06B 11/02 20060101AFI20230629BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20230629BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
E06B11/02 Q
E06B7/28 Z
E06B7/28 B
E06B7/28 C
A47G29/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211376
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593113569
【氏名又は名称】株式会社ユニソン
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】野村 啓幸
(72)【発明者】
【氏名】佐郷 里美
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 直人
(72)【発明者】
【氏名】平松 里佳子
【テーマコード(参考)】
2E038
3K100
【Fターム(参考)】
2E038DH04
2E038DK06
2E038DK07
2E038DK08
3K100CA22
3K100CA41
3K100CB05
3K100CC03
3K100CD01
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】電気機器と物品収納部を備えた構造でありながら、通行路側からの意匠性を高めることができる機能門柱を提供する。
【解決手段】機能門柱は、門柱本体11と、開閉扉と、正面パネル12と、を備える。門柱本体11は、内部が、電気機器収納空間19と任意数の物品収納空間20,21,22とに仕切板18a,18b,18c,18dによって上下に仕切られる。アプローチ通路に臨む門柱本体11の側面には物品取り出し口が設けられる。物品取り出し口は、開閉扉によって開閉可能に閉じられる。正面パネル12は、門柱本体11の通行路に臨む側面に取り付けられる。正面パネル12には、門柱本体11との間に配線空間29を形成する配線配置凹部28が設けられる。配線配置凹部28には、門柱本体11の底部から電気機器収納空間19に引き回される配線36a,36bが配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が、電気機器収納空間と任意数の物品収納空間とに仕切板によって上下に仕切られるとともに、通行路と建物の玄関をつなぐアプローチ通路に臨む一の側面に前記物品収納空間の物品取り出し口が配置された長方体状の門柱本体と、
前記門柱本体の前記一の側面に取り付けられ、前記物品取り出し口を開閉可能に閉じる開閉扉と、
前記門柱本体の前記通行路に臨む他の側面に取り付けられ、前記通行路に向く面に表札が配置される正面パネルと、を備え、
前記正面パネルには、前記門柱本体の前記他の側面との間に配線空間を形成する配線配置凹部が設けられ、前記配線配置凹部には、前記門柱本体の底部から前記電気機器収納空間に引き回される配線が配置されていることを特徴とする機能門柱。
【請求項2】
前記門柱本体の底部側には、当該底部を補強する補強フレームが配置され、
前記補強フレームは、前記門柱本体の前記他の側面と直交する方向に延び、
前記門柱本体の前記他の側面の底部側には、前記配線が挿通される貫通孔が前記補強フレームの設置位置からずれるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機能門柱。
【請求項3】
前記配線は、前記門柱本体の底部に引き入れられた建物側の接続配線に接続される第1接続端子と、前記電気機器収納空間内の電気機器に接続される第2接続端子とを有するとともに、前記門柱本体の前記他の側面に取り付けられる配線ユニットによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の機能門柱。
【請求項4】
前記正面パネルの側縁部には、前記物品取り出し口を閉じた前記開閉扉よりも前記アプローチ通路の側に突出する張り出し部が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の機能門柱。
【請求項5】
前記開閉扉の施錠部は、前記門柱本体のうちの、前記玄関に臨む側の側面に配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の機能門柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン等の電気機器と物品収納部を備えた機能門柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
敷地内の通行路に面した位置に配置される門柱として、表札の他にインターホンや照明等の電気機器や、郵便受け等の物品収納部を備えた機能門柱が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の機能門柱は、照明等の電気機器と郵便受け等の物品収納部が表札とともに、通行路に面する門柱本体の正面側に集約して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の機能門柱は、電気機器と物品収納部が表札とともに門柱本体の正面側に配置されているため、通行路側から多くの機能部がそのまま見え、通行路側からの見栄えが低下し易い。特に、門柱本体に郵便受けとともに宅配ボックス等の物品収納部を多段に配置しようとすると、通行路側からの見栄えがさらに低下することが懸念される。
【0006】
そこで本発明は、電気機器と物品収納部を備えた構造でありながら、通行路側からの意匠性を高めることができる機能門柱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る機能門柱は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る機能門柱は、内部が、電気機器収納空間と任意数の物品収納空間とに仕切板によって上下に仕切られるとともに、通行路と建物の玄関をつなぐアプローチ通路に臨む一の側面に前記物品収納空間の物品取り出し口が配置された長方体状の門柱本体と、前記門柱本体の前記一の側面に取り付けられ、前記物品取り出し口を開閉可能に閉じる開閉扉と、前記門柱本体の前記通行路に臨む他の側面に取り付けられ、前記通行路に向く面に表札が配置される正面パネルと、を備え、前記正面パネルには、前記門柱本体の前記他の側面との間に配線空間を形成する配線配置凹部が設けられ、前記配線配置凹部には、前記門柱本体の底部から前記電気機器収納空間に引き回される配線が配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、インターホンや照明等の電気機器と、郵便受けや宅配ボックス等の物品収納部を備えた多機能の機能門柱でありながら、通行路に臨む側の面には正面パネルのみが向くことになる。このため、通行路側からの意匠性を高めつつ、アプローチ通路側から多くの機能を利用することが可能になる。
また、建物側につながる電気配線や信号配線等の配線を、物品収納空間内を通すことなく、門柱本体の通行路側の他の側面と正面パネルの配線配置凹部の間に形成される配線空間を通して電気機器収納空間に引き回すことができる。このため、配線によって門柱本体内の物品収納空間を圧迫することなく、配線を電気機器に容易に接続することができ、しかも、配線が外部の雨や埃に晒されるのを正面パネルの配線配置凹部によって防ぐことができる。
【0009】
前記門柱本体の底部側には、当該底部を補強する補強フレームが配置され、前記補強フレームは、前記門柱本体の前記他の側面と直交する方向に延び、前記門柱本体の前記他の側面の底部側には、前記配線が挿通される貫通孔が前記補強フレームの設置位置からずれるように形成されるようにしても良い。
【0010】
この場合、門柱本体の底部が、門柱本体の正面パネル側の側面と直交する方向に延びる補強フレームによって補強される。これにより、門柱本体の底部の断面変形が補強フレームによって抑制される。ここで、補強フレームは、門柱本体の正面パネル側の側面と直交する方向に延びていることから、門柱本体の底部から引き出される配線は、補強フレームを跨ぐことなく、貫通孔を通して配線空間側に引き出すことができる。したがって、本構成を採用した場合には、配線が補強フレームと干渉するのを回避することができ、しかも、配線自体も短くすることができる。
【0011】
前記配線は、前記門柱本体の底部に引き入れられた建物側の接続配線に接続される第1接続端子と、前記電気機器収納空間内の電気機器に接続される第2接続端子とを有するとともに、前記門柱本体の前記他の側面に取り付けられる配線ユニットによって構成されるようにしても良い。
【0012】
この場合、配線ユニットを、門柱本体の正面パネル側の側面(他の側面)に予め取り付けておき、第1接続端子を建物側の接続配線に接続し、第2接続端子を電気機器に接続することにより、機能門柱の設置現場において、建物側の接続配線を電気機器に容易に接続することが可能になる。
【0013】
前記正面パネルの側縁部には、前記物品取り出し口を閉じた前記開閉扉よりも前記アプローチ通路の側に突出する張り出し部が設けられるようにしても良い。
【0014】
この場合、正面パネルの側縁部に張り出し部が設けられているため、開閉扉が物品取り出し口を閉じた状態では、開閉扉の端部が正面パネルの張り出し部に隠れて通行路側から見えなくなり、通行路からの外観がより良好となる。
【0015】
前記開閉扉の施錠部は、前記門柱本体のうちの、前記玄関に臨む側の側面に配置されるようにしても良い。
【0016】
この場合、開閉扉の施錠部が通行路側から見え難く防犯上有利になるとともに、玄関からアプローチ通路を通って機能門柱に向かう住人が施錠部に容易にアクセスすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る機能門柱は、インターホンや照明等の電気機器と、郵便受けや宅配ボックス等の物品収納部を備えた多機能の機能門柱でありながら、通行路側には開閉扉等の無い正面パネルが配置されるため、通行路側からの意匠性を高めることができる。
また、本発明に係る機能門柱は、配線が配置される配線配置凹部が正面パネルに設けられているため、配線によって門柱本体内の物品収納空間を圧迫することなく、配線を電気機器に容易に接続することができ、しかも、配線が外部の雨や埃に晒されるのを正面パネルの配線配置凹部によって防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の機能門柱の設置例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態の機能門柱を通行路側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の機能門柱を建物側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態の機能門柱の開閉扉を開いた状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態の機能門柱の分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態の機能門柱の正面パネルを裏面側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態の機能門柱の
図2のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の機能門柱の
図5のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態の機能門柱の
図2のIX矢視図である。
【
図10】本実施形態の他の実施形態の機能門柱で使用する配線ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の材質や形状、相対的な配置等は、特に特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。
【0020】
図1は、建物1が建つ敷地内に本実施形態の機能門柱10が設置された状態を示す斜視図である。
機能門柱10は、上下方向に長尺に延びる略長方体状に形成されている。機能門柱10は、敷地外の通行路2(例えば、道路や歩行路)と、通行路2と建物1の玄関3をつなぐアプローチ通路4とに臨んで設置されている。具体的には、機能門柱10の四つの側面のうちの一の側面は、アプローチ通路4に臨んで配置され、他の側面の一つは、通行路2に臨んで設置されている。本実施形態では、通行路2とアプローチ通路4は相互に直交して延びている。以下では、機能門柱10の四つの側面のうちの、通行路2に臨む側面を「正面」と称し、アプローチ通路4に臨む側面を「アプローチ側の側面」と称することがある。
【0021】
図2は、機能門柱10を通行路2側から見た斜視図であり、
図3は、機能門柱10を建物1側から見た斜視図である。
機能門柱10は、縦長の長方体状の門柱本体11と、門柱本体11の正面に取り付けられる所定厚みの正面パネル12と、を備えている。門柱本体11には、建物1内の人と通話をするためのインターホン13(電気機器)と、郵便や新聞等が投函される一つの郵便受け14(物品収納部)と、宅配の荷物等が収納される二つの宅配ボックス15,16(物品収納部)が設けられている。郵便受け14と各宅配ボックス15,16は、夫々開閉可能な開閉扉14a,15a,16aを備えている。各開閉扉14a,15a,16aは、門柱本体11のアプローチ側の側面に取り付けられている。
【0022】
インターホン13は、門柱本体11のアプローチ側の側面の上部に設置され、郵便受け14は、インターホン13の設置部の下方に配置されている。一方の宅配ボックス15は、郵便受け14の下方に配置され、他方の宅配ボックス16は、一方の宅配ボックス15の下方に配置されている。
なお、本実施形態では、門柱本体11のアプローチ側の側面の上部にインターホン13のみが設置されているが、門柱本体11のアプローチ側の側面の上部には、さらに照明等の他の電気機器を併せて設置しても良い。また、インターホン13に代えて照明等の他の電気機器を設置しても良い。また、本実施形態では、物品収納部の一例として、門柱本体11に一つの郵便受け14と二つの宅配ボックス15,16が設けられているが、物品収納部の形態や個数はこれらに限定されない。
【0023】
正面パネル12は、門柱本体11の正面の形状にほぼ沿う長方形状の正面視形状とされている。正面パネル12は、門柱本体11の正面に重ねられ、その状態でねじ止め等によって門柱本体に固定されている。正面パネル12の通行路2に臨む側の面(以下、「外面」と称する。)の上部には、表札17が取付可能とされている。なお、表札17は、正面パネル12の外面に一体に形成するようにしても良い。
【0024】
図4は、郵便受け14と宅配ボックス15,16の各開閉扉14a,15a,16aが開かれた機能門柱10を示す斜視図である。また、
図5は、機能門柱10の分解斜視図である。
門柱本体11は、金属製の複数のユニットパネルが組み付けられることにより、中空な箱状に形成されている。門柱本体11の内部は、複数の仕切板18a,18b,18c,18dによって上下に複数段に仕切られている。複数の仕切板18a,18b,18c,18dは、門柱本体11の内部を電気機器収納空間19と三つの物品収納空間20,21,22とに隔成している。電気機器収納空間19には、本実施形態の電気機器であるインターホン13の配線を含む裏面側の一部が収納される。なお、図中の符号23は、門柱本体11のアプローチ側の側面の上部に形成されたインターホン13の配線引き入れ口である。
また、上段の物品収納空間20は、郵便受け14(郵便物等の収納部)を構成し、中段と下段の各物品収納空間21,22は、宅配ボックス15,16(物品の収納部)を構成している。
【0025】
門柱本体11のアプローチ側の側面には、郵便受け14の物品取り出し口24と、宅配ボックス15,16の物品取り出し口25,26が形成されている。各物品取り出し口24,25,26は、略矩形状に形成されている。各物品取り出し口24,25,26の正面側寄りの側縁部には、対応する開閉扉14a,15a,16aが蝶番27(
図5)によって回動可能に取り付けられている。本実施形態の場合、郵便受け14と宅配ボックス15,16の開閉扉14a,15a,16aは、すべて正面側を回動支点として横開きに開閉可能とされている。ただし、各開閉扉14a,15a,16aは、上下方向に回動する構造であっても良い。
なお、図中の符号14bは、郵便受け14用の開閉扉に設けられた郵便物等の投函口である。
【0026】
図6は、正面パネル12を裏面側から見た斜視図であり、
図7は、機能門柱10の
図2のVII-VII線に沿う断面図である。
正面パネル12は、金属プレートを適宜折り曲げて形成されるパネルユニットによって構成されている。正面パネル12は、前後方向(門柱本体11の正面に重ねられる方向)に所定の厚みを持つ矩形板状の構造体とされている。正面パネル12の裏面側には、上下方向に延出する配線配置凹部28が形成されている。配線配置凹部28は、門柱本体11の正面に重ねられる裏面側の側縁部12sに対し、門柱本体11から離間する方向に凹状に窪んでいる。正面パネル12の配線配置凹部28は、正面パネル12が門柱本体11に取り付けられたときに、門柱本体11の正面とともに上下方向に延びる配線空間29を形成する。
なお、
図6中の符号30は、正面パネル12の配線配置凹部28内に、上下方向に沿うように取り付けられた補強プレートである。補強プレート30には、正面パネル12を門柱本体11の正面にねじ止めするためのねじ孔31や図示しないウェルドナット等が設けられている。
【0027】
図5,
図7に示すように、門柱本体11の正面側の側壁11sのうちの下端部の近傍には、配線挿通用の第1貫通孔32(貫通孔)が形成されている。第1貫通孔32は、門柱本体11の内部の最下端の仕切板18dの下方に確保された底部空間33と配線空間29とを連通させている。また、門柱本体11の正面側の側壁11sのうちの上端部領域には、配線挿通用の第2貫通孔34が形成されている。第2貫通孔34は、配線空間29と門柱本体11の電気機器収納空間19とを連通させている。
【0028】
図8は、機能門柱10の
図5のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図7,
図8に示すように、門柱本体11の下方の底部空間33には、建物側の接続配線35a,35bが引き込まれている。二種類の接続配線35a,35bは電気配線と信号配線である。なお、機能門柱10で使用する電気機器が信号配線を必要としない電気機器のみの場合には、接続配線は電気配線のみで良い。
門柱本体11の底部空間33内では、各接続配線35a,35bをインターホン13(電気機器)に接続するための配線36a,36bの一端側が接続されている。各配線36a,36bの一端側は配線空間29から第1貫通孔32を通して底部空間33内に引き入れられる。また、各配線36a,36bの他端側は配線空間29から第2貫通孔34を通して電気機器収納空間19内に引き入れられて、インターホン13に接続される。一対の配線36a,36bは、門柱本体11と正面パネル12の間の配線空間29において上下方向に延び、正面パネル12の配線配置凹部28によって外側を覆われている。配線空間29(配線配置凹部28)に配置される配線36a,36bは、門柱本体11の底部から電気機器収納空間19に向けて引き回れる。
【0029】
以下、門柱本体11に関して、通行路2と平行な方向を「前後方向」と称し、アプローチ通路4と平行な方向を「左右方向」と称する。
門柱本体11の底部には、
図5,
図8に示すように、左右方向の各端部に前後方向に沿って延びる矩形板状の底部補強プレート37が取り付けられている。一対の底部補強プレート37は左右方向に相互に離間して配置されている。
また、門柱本体11の底部には、左右方向に延びる(門柱本体11の他の側面と直交する方向に延びる)一対の補強フレーム38が配置されている。各補強フレーム38は、上方側に開口する略コ字状の断面形状に形成されている。一対の補強フレーム38は、前後方向に相互に離間して配置され、左右方向の各端部が左右の各底部補強プレート37の上面に接合されている。本実施形態では、門柱本体11の底部は、各一対の底部補強プレート37と補強フレーム38によって補強されている。
【0030】
門柱本体11の底部空間33内で建物1側の接続配線35a,35bに接続された配線36a,36bは、一対の補強フレーム38の間の空間を通して前方に延び、門柱本体11の側壁11sに形成された第1貫通孔32から側壁11sの正面側に引き出される。第1貫通孔32は、前後の補強フレーム38の設置位置からずれた位置に形成されている。
【0031】
また、各底部補強プレート37と補強フレーム38の交差部分には、上下方向に貫通する設置孔39が形成されている。各設置孔39には、門柱本体11を設置ベース面上に締結固定するための図示しない設置ボルトが挿通される。
なお、機能門柱10を予め形成されている設置ベース面上に固定する場合には、上記のように各設置孔39に設置ボルトを挿通させて直接固定作業を行うことができる。しかし、設置面が土壌面の場合には、同じ設置孔39を利用して門柱本体11の底部に根巻用の柱脚をボルト締結し、柱脚に根巻コンクリートを固定して設置面上に固定することも可能である。
【0032】
図9は、機能門柱10の
図2のIX矢視図である。
同図に示すように、正面パネル12の一方の側縁部(アプローチ通路4に臨む側の側縁部)には、門柱本体11の各物品取り出し口24,25,26を閉じた開閉扉14a,15a,16aよりもアプローチ通路4の側に突出する張り出し部40が設けられている。この張り出し部40は、各開閉扉14a,15a,16aよりも外側に突出することにより、各開閉扉14a,15a,16aの蝶番27側の端面や蝶番27自体を通行路2側から覆い隠すことができる。
なお、張り出し部40となる正面パネル12の側縁部と逆側の側縁部は、門柱本体11の端面とほぼ面一となっている。正面パネル12は、門柱本体11の側壁11sに対してアプローチ通路4の側にずらして固定されることにより、アプローチ通路4の側に張り出し部40が形成される。
【0033】
ところで、機能門柱10は、通行路2側からアプローチ通路4を挟んで左側に配置する場合(
図1に示す場合)と、右側に配置する場合が考えられる。
図1に示す例では、アプローチ通路4を挟んで機能門柱10が左側に配置されるため、機能門柱10の開閉扉14a,15a,16aは正面パネル12の右側に配置されている。これに対し、アプローチ通路4を挟んで機能門柱10を右側に配置する場合には、開閉扉14a,15a,16aが正面パネル12の左側に配置される機能門柱10を用いる必要がある。つまり、機能門柱10は、開閉扉14a,15a,16aの開く側(物品取り出し口24,25,26の開口する向き)の異なる二種類のものを作り分ける必要がある。
この場合、門柱本体11の正面側の側壁11sに形成する正面パネル取付用の固定孔の位置を開閉扉14a,15a,16aの開く側に応じて変更すれば、同じ正面パネル12を異なる仕様の機能門柱10で共用することができる。例えば、正面パネル12の向かって左側に開閉扉14a,15a,16aがある仕様では、門柱本体11の正面側の側壁11sに形成する固定孔を左側にずらして形成すれば良い。
【0034】
また、郵便受け14と宅配ボックス15,16の各開閉扉14a,15a,16aを、閉状態で施錠するための施錠部41,42,43は、門柱本体11の玄関3に臨む側(正面パネル12の配置される側と逆側)の側面に配置されている。なお、施錠部41,42,43の構造は、各開閉扉14a,15a,16aを閉じ状態でロックできるものであれば、機械鍵式やダイヤルロック式、電子キー式等の種々のものを採用することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態の機能門柱10は、門柱本体11の内部が仕切板18a,18b,18c,18dによって電気機器収納空間19と複数の物品収納空間20,21,22とに仕切られ、物品収納空間20,21,22を開閉可能に閉じる開閉扉14a,15a,16aが門柱本体11のアプローチ通路4に臨む側の側面に配置され、門柱本体11の通行路2に臨む側の面(正面)に正面パネル12が取り付けられている。このため、本実施形態の機能門柱10は、インターホン13(電気機器)と郵便受け14と二つの宅配ボックス15,16を備えた多機能の機能門柱でありながら、通行路2に臨む側の面には正面パネル12のみが向くことになる。
したがって、本実施形態の機能門柱10を採用した場合には、通行路2側からの意匠性を高めつつ、アプローチ通路4側から多くの機能を利用することが可能になる。
【0036】
また、本実施形態の機能門柱10は、正面パネル12に配線配置凹部28が設けられ、正面パネル12が門柱本体11に取り付けられた状態で配線配置凹部28が門柱本体11の側壁11sとともに配線空間29を形成している。そして、配線配置凹部28には、門柱本体11の底部から電気機器収納空間19に引き回される配線36a,36bが配置されている。このため、接続配線35a,35bを介して建物1側につながる電気配線や信号配線等の配線36a,36bを、物品収納空間20,21,22内を通すことなく、門柱本体11の側壁11sの外側の配線空間29を通して電気機器収納空間19に引き回すことができる。
したがって、本実施形態の機能門柱10を採用した場合には、配線36a,36bによって門柱本体11内の物品収納空間20,21,22を圧迫することなく、配線36a,36bをインターホン13(電気機器)に容易に接続することができ、しかも、配線36a,36bが外部の雨や埃に晒されるのを正面パネル12の配線配置凹部28によって防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態の機能門柱10は、門柱本体11の底部に、左右方向に延びる一対の補強フレーム38が配置され、門柱本体11の正面側の側壁11sの下端近傍に、配線36a,36bを引き出すための第1貫通孔32(貫通孔)が一対の補強フレーム38の設置位置からずれるように形成されている。このため、門柱本体11の底部を、左右方向に延びるコ字状断面の補強フレーム38によって強固に補強し、門柱本体11の底部の断面変形を抑制することができる。また、門柱本体11の底部から引き出される配線36a,36bは、補強フレーム38を跨ぐことなく、第1貫通孔32を通して配線空間29側に引き出すことができる。
したがって、本実施形態の機能門柱10を採用した場合には、配線36a,36bが補強フレーム38と干渉するのを回避することができ、しかも、配線36a,36b自体も短くすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態の機能門柱10は、正面パネル12の側縁部に、物品取り出し口24,25,26を閉じた各開閉扉14a,15a,16aよりもアプローチ通路4の側に突出する張り出し部40が設けられている。このため、開閉扉14a,15a,16aが物品取り出し口24,25,26を閉じた状態では、開閉扉14a,15a,16aの端部や蝶番27が正面パネル12の張り出し部40に隠れて通行路2側から見えなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、通行路2からの外観がより良好となる。
【0039】
また、本実施形態の機能門柱10は、郵便受け14や宅配ボックス15,16の開閉扉14a,15a,16aの施錠部41,42,43が、門柱本体11のうちの玄関3に臨む側の側面(正面側と逆側の側面)に配置されている。このため、各開閉扉14a,15a,16aの施錠部41,42,43が通行路2側から見え難くなり、防犯上有利になる。さらに、施錠部41,42,43が玄関3側に向いて配置されることから、玄関3からアプローチ通路4を通って機能門柱10に向かう住人が、施錠部41,42,43に容易にアクセスすることができ、住人による利便性がより高まる。
【0040】
<他の実施形態>
図10は、正面パネルと門柱本体の間の配線空間に配置される配線の他の形態を示す斜視図である。
本実施形態の配線は、門柱本体の正面(正面パネルの配線配置凹部と対向する面)に取り付けられる配線ユニット50によって構成されている。この配線ユニット50は、長尺に延びる配線本体51と、配線本体51の一端部に設けられ建物側の接続配線に接続される第1接続端子52、配線本体51の他端部に設けられインターホン等の電気機器に接続される第2接続端子53と、を備えている。そして、配線本体51の両端部を除く中央領域は樹脂ブロック54に保持されている。樹脂ブロック54は、ねじ止めや接着等によって門柱本体の正面に固定可能とされている。
【0041】
本実施形態の機能門柱は、以下のようにして建物側の接続配線と電気機器収納部内の電気器機器とを接続することができる。
配線ユニット50は、門柱本体の正面(他の側面)の所定位置にねじ止や接着によって予め取り付けておく。作業者は、この状態で配線本体51の一端側を第1貫通孔を通して門柱本体の底部側に差し入れ、門柱本体の底部において、配線本体51の一端側の第1接続端子52を建物側の接続配線の端子に接続する。また、作業者は、配線本体51の他端側を第2貫通孔を通して門柱本体の電気機器収納空間に差し入れ、電気機器収納空間において、配線本体の他端側の第2接続端子53を電気機器の端子に接続する。
【0042】
したがって、上記の配線ユニット50を採用した本実施形態の機能門柱は、機能門柱の設置現場において、建物側の接続配線を電気機器に容易に接続することができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…建物
2…通行路
3…玄関
4…アプローチ通路
10…機能門柱
11…門柱本体
12…正面パネル
13…インターホン13(電気機器)
14…郵便受け(物品収納部)
14a…開閉扉
15,16…宅配ボックス(物品収納部)
15a,16a…開閉扉
17…表札
18a,18b,18c,18d…仕切板
19…電気機器収納空間
20,21,22…物品収納空間
24,25,26…物品取り出し口
28…配線配置凹部
29…配線空間
32…第1貫通孔(貫通孔)
35a,35b…接続配線
36a,36b…配線
38…補強フレーム
40…張り出し部
41,42,43…施錠部
50…配線ユニット
51…配線本体
52…第1接続端子
53…第2接続端子
54…樹脂ブロック