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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095463
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/008 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
F21V21/008
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211377
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰久
(72)【発明者】
【氏名】大塚 宏樹
(57)【要約】
【課題】仮設においても落下防止ワイヤを用いた落下防止対策を適切に行うこと。
【解決手段】設置場所Gに立設された鉛直方向Daに延びるポール30に固定されるクランプ40に固定して設置される照明器具において、器具本体2と、前記器具本体2を支持するアーム4と、前記器具本体2に結合された落下防止ワイヤ6と、を備え、前記アーム4は、前記クランプ40に締結具を用いて固定され、前記落下防止ワイヤ6の少なくとも一部が前記クランプ40に係合し、前記器具本体2と前記クランプ40とが前記落下防止ワイヤ6によって連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置場所に立設された鉛直方向に延びるポールに固定されるクランプに固定して設置される照明器具において、
器具本体と、前記器具本体を支持するアームと、前記器具本体に結合された落下防止ワイヤと、を備え、
前記アームは、前記クランプに締結具を用いて固定され、
前記落下防止ワイヤの少なくとも一部が前記クランプに係合し、前記器具本体と前記クランプとが前記落下防止ワイヤによって連結されている、
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記クランプは、前記落下防止ワイヤのワイヤ径よりも大きな隙間を前記ポールとの間に有する軸状部材を備え、
前記落下防止ワイヤの端部に設けられたループ状部分が前記軸状部材に通されて前記落下防止ワイヤが前記クランプに係合している
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記クランプは、前記落下防止ワイヤのワイヤ径よりも大きな隙間を前記ポールとの間に有し、前記隙間が開放可能に構成されており、
前記落下防止ワイヤの端部には前記隙間を閉じた状態において前記隙間に係止される寸法形状の係止片を有し、
前記係止片によって前記落下防止ワイヤが前記クランプに係合している
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
前記軸状部材は、表面にネジ山が形成されたネジ棒である、
ことを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や工事現場等の作業現場においては、屋外の作業空間の明るさを確保するために投光器が仮設される。かかる投光器は、作業現場の工期が終了したときに回収され、再度、別の作業現場に仮設されて使用される。このように、仮設の投光器は、設置場所を変えて繰り返し使用されることから、撤去が容易になるように簡易的に設置した状態で使用されている。
一方、高所に設けられる照明器具は、一般に、落下防止ワイヤを用いた落下対策が施される(例えば特許文献1参照)。落下防止対策は、通常、照明器具の脱落時の衝撃に十分に耐え得る強度のアンカーボルトを照明器具の周囲に設置し、当該アンカーボルトと照明器具とを落下防止ワイヤで連結することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-135177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、投光器の仮設においては、アンカーボルトを設置可能な構造物が投光器の周囲に存在しない場合が多々あり、このような場合、作業現場の作業員などが投光器を仮設する際に、落下防止ワイヤを用いた落下防止対策を適切に行わないことがある。
【0005】
本発明は、仮設においても落下防止ワイヤを用いた落下防止対策を適切に行うことができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、設置場所に立設された鉛直方向に延びるポールに固定されるクランプに固定して設置される照明器具において、器具本体と、前記器具本体を支持するアームと、前記器具本体に結合された落下防止ワイヤと、を備え、前記アームは、前記クランプに締結具を用いて固定され、前記落下防止ワイヤの少なくとも一部が前記クランプに係合し、前記器具本体と前記クランプとが前記落下防止ワイヤによって連結されている、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様は、上記照明器具において、前記クランプは、前記落下防止ワイヤのワイヤ径よりも大きな隙間を前記ポールとの間に有する軸状部材を備え、前記落下防止ワイヤの端部に設けられたループ状部分が前記軸状部材に通されて前記落下防止ワイヤが前記クランプに係合していることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様は、前記クランプは、前記落下防止ワイヤのワイヤ径よりも大きな隙間を前記ポールとの間に有し、前記隙間が開放可能に構成されており、前記落下防止ワイヤの端部には前記隙間を閉じた状態において前記隙間に係止される寸法形状の係止片を有し、前記係止片によって前記落下防止ワイヤが前記クランプに係合していることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様は、前記軸状部材は、表面にネジ山が形成されたネジ棒である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、仮設においても落下防止ワイヤを用いた落下防止対策を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る投光器の仮設の態様を示す図である。
図2】投光器を背面側から視た斜視図である。
図3】クランプの構成を示す図である。
図4】クランプへの投光器の締結状態を示す図である。
図5】ネジ棒と落下防止ワイヤとの接触点の変化の説明図である。
図6】落下防止ワイヤの第2ループ状部分の変形例を示す図である。
図7】落下防止ワイヤとクランプとの係合態様の他の態様を示す図である。
図8】落下防止ワイヤの第2ループ状部分とクランプとの係合態様の他の態様を示す図である。
図9】端部に係止片を有する落下防止ワイヤとクランプとの係合態様を示す図である。
図10】係止片の他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、照明器具の一例として投光器を例示する。
【0013】
図1は本実施形態に係る投光器1の仮設の態様を示す図であり、図2は投光器1を背面側から視た斜視図である。なお、図2では、落下防止ワイヤ6の図示を省略している。
これらの図に示すように、投光器1は、器具本体2と、当該器具本体2を回動自在に支持するアーム4と、器具本体2に結合された落下防止ワイヤ6と、を備えている。
【0014】
器具本体2は、照明光を放射する光源と、当該照明光の配光を制御する配光制御部材と、を収めた筐体10を備え、筐体10の正面には照射開口が開口し、当該照射開口から照明光が出射される。本実施形態の投光器1は、光源が発光素子の一例であるLEDであり、配光制御部材は反射鏡やレンズなどを備え、また、筐体10に放熱性が高いアルミダイカスト品が用いられている。さらに、筐体10の背面には、図2に示すように、光源に点灯電力を供給する電源回路を内蔵した電源ユニット12が取り付けられてらており、筐体10及び電源ユニット12には、それぞれ放熱フィン14、15が形成されることで、それぞれの放熱性が高められている。
【0015】
アーム4は、平面視略コの字状の金属製の部材である。すなわち、アーム4は、図2に示すように、器具本体2の背面側から後方に延びる一対の長板状の後方延在部20と、これら後方延在部20の間に亘って器具本体2の背面と対向するように延び、それらを連結する長板状の連結部22と、を含み、一対の後方延在部20のそれぞれの先端部20Aが器具本体2にボルト26で回動自在に締結されることで、当該器具本体2がアーム4に回動自在に支持される。このアーム4の連結部22には、長手方向及び幅方向の略中央に、後述する締結用ボルト48(図3)を受けるボルト孔28が設けられている。
【0016】
落下防止ワイヤ6は、投光器1が脱落した際の器具本体2の落下を防止する落下対策のための強固な線材であり、線材表面が例えばナイロン(登録商標)等の合成繊維で被覆されている。本実施形態の落下防止ワイヤ6は、図1に示すように、両方の端部に円環状の第1ループ状部分7A及び第2ループ状部分7Bを有し、これら第1ループ状部分7A及び第2ループ状部分7Bを用いて、投光器1の器具本体2が、投光器1の外部の部材に連結される。
【0017】
次いで、かかる投光器1の仮設について説明する。なお、仮設とは、所定期間の間だけ一時的に投光器1を作業現場などの適宜の設置場所Gに設置することを言う。
本実施形態において、投光器1の仮設には、図1に示すように、ポール30とクランプ40とが用いられる。
ポール30は、作業現場において、地面等の設置場所Gに立設され、鉛直方向Daに延びる単管パイプと称される柱状部材であり、作業期間の終了後に撤去される。
クランプ40は、ポール30に固定される、単管クランプと称される部材であり、当該クランプ40に投光器1が固定される。
【0018】
図3は、クランプ40の構成を示す図である。
クランプ40は、固定ブロック41と、開閉片44と、ネジ棒46及びナット47と、締結用ボルト48及び締結用ナット49と、を備えている。
固定ブロック41は、平面視略Lの字状の部材であり、ポール30が収まる凹部42を内面側に備えている。開閉片44は、固定ブロック41の一端41Aに回動自在に軸支され、固定ブロック41の凹部42に収まったポール30の外側に被せて当該ポール30を押さえる部材であり、ポール30との接触面45が当該ポール30の周面形状に合わせて円弧状に形成されている。ネジ棒46は、固定ブロック41の他端41Bに回動自在に軸支され、固定ブロック41と開閉片44とを固定する軸状部材である。すなわち、開閉片44の開放端である先端にはU字溝44A1(図1)が形成された係止部44Aが設けられており、閉じたネジ棒46がU字溝44A1に入り込み係止される。ネジ棒46が閉じた状態において、ネジ棒46とポール30との間には、落下防止ワイヤ6のワイヤ径よりも大きな隙間δが設けられ、この隙間δはネジ棒46を開くことで開放される。ナット47は、回転によって締め上げられることで開閉片44に締結され、かつ、当該開閉片44をポール30に強固に押し付ける部材であり、当該ナット47の締め上げによってクランプ40が強固にポール30に固定される。
【0019】
締結用ボルト48及び締結用ナット49は、投光器1をクランプ40に固定するための締結具である。締結用ボルト48は、固定ブロック41に内側(凹部42の側)から挿通され、ネジ山が刻設された軸部48Aをクランプ40から外側に突出させて設けられる。クランプ40をポール30に固定した状態において、締結用ボルト48の軸部48Aとポール30のそれぞれの長手方向は概ね直交し、軸部48Aは略水平方向に延びている。
なお、締結用ボルト48の数は1本に限らず、2本以上の締結用ボルト48が固定ブロック41の内側から外側に延び、これらの締結用ボルト48に投光器1が固定されてもよい。
【0020】
次いで、投光器1を仮設する際の作業手順について説明する。
図4に示すように、先ずは投光器1のアーム4にクランプ40を取り付ける。すなわち、アーム4のボルト孔28(図2)に締結用ボルト48の軸部48Aを挿入した後、締結用ナット49を軸部48Aの先端から回転によって締め上げることで、締結用ボルト48及び締結用ナット49によって投光器1のアーム4をクランプ40に固定する。
【0021】
次に、投光器1の器具本体2へ落下防止ワイヤ6を結合する。
すなわち、落下防止ワイヤ6の第1ループ状部分7Aを器具本体2に形成された適宜の通し孔(図示せず)に通した後、当該第1ループ状部分7Aに、第2ループ状部分7Bの側から落下防止ワイヤ6を通すことで、図1に示すように、落下防止ワイヤ6の第1ループ状部分7Aの側の端部を器具本体2へ巻き付けることで、器具本体2へ落下防止ワイヤ6を結合する。
【0022】
次いで、前掲図1に示すように、ポール30の所望の設置高さの位置(図示例ではポール30の上端30Aの近傍)にクランプ40を固定する。本実施形態では、かかるクランプ40の固定の際に、クランプ40へ落下防止ワイヤ6を係合させることで、投光器1の器具本体2とクランプ40とを落下防止ワイヤ6によって連結する連結作業も行う。
【0023】
すなわち、クランプ40の開閉片44を開いた状態で固定ブロック41の凹部42をポール30の周面に宛がい、そして開閉片44を閉じる。次いで、図1に示すように、ネジ棒46に落下防止ワイヤ6の第2ループ状部分Bを通すことで、当該ネジ棒46に落下防止ワイヤ6の第2ループ状部分7Bの側を係合させ、その状態でネジ棒46を閉じることで、第2ループ状部分7Bがネジ棒46から抜け落ち不能にし、これにより、クランプ40と器具本体2とが落下防止ワイヤ6によって連結された状態となる。この連結状態において、余分な張力が加わらないように落下防止ワイヤ6は多少の遊び(たるみ)が得られる長さに予め調整されている。
【0024】
そして、ネジ棒46のナット47を回転によって締め上げることで、投光器1を締結したクランプ40をポール30に強固に固定する。
その後、器具本体2をアーム4に対して回動させて、照明光の照射方向を所望の方向に合わせることで、投光器1の仮設が完了する。
【0025】
なお、かかる作業手順において、器具本体2への落下防止ワイヤ6の結合は、上述のタイミングに限らず、クランプ40をポール30に固定した後などの任意のタイミングに行うことができる。
また、かかる作業手順は、取扱説明書に記載して投光器1に添付して頒布することで、作業者に周知し、当該作業手順を確実に行わせることができる。
【0026】
ここで、投光器1の仮設状態において、器具本体2は、ポール30のクランプ40に、アーム4を介して固定されており、なおかつ、アーム4(後方延在部20)は略水平方向Dbに平行に延びるため、器具本体2はポール30(クランプ40)から比較的離れた位置で支持されている。このため、地震や工事などに起因した鉛直方向Daや水平方向Dbの震動がポール30に発生した場合、比較的強い振動が器具本体2に発生し易くなる。また、光源がLEDである場合、光源の発熱や放熱を考慮して筐体10が設計されるものの、かかる筐体10は、光源がHIDランプである場合に比べ、重量が数kgから数十kgになる場合もあり、器具本体2に生じる振動もより強くなる。
【0027】
そして、器具本体2に異常な振動が加わった場合、クランプ40とアーム4とを締結する締結用ボルト48、及び、アーム4と器具本体2とを結合するボルト26が破損し、器具本体2が脱落する可能性がある。
【0028】
これに対し、図1に示す投光器1の仮設態様によれば、器具本体2が落下防止ワイヤ6によってクランプ40と連結されているため、仮に、締結用ボルト48やボルト26が破損し、器具本体2がアーム4ごと、或は、アーム4から脱落したとしても、落下防止ワイヤ6によってクランプ40に吊下がり、地面への落下が防止される。
【0029】
特に、締結用ボルト48及びボルト26が破損する状況でも、クランプ40が破損する可能性は少ないと推測されるため、器具本体2の落下をより確実に防止することができる。
【0030】
また、本実施形態の落下防止ワイヤ6は、ワイヤ径よりも大きな隙間δをポール30との間に有するネジ棒46に第2ループ状部分7Bを通すことでクランプ40に連結される構成であるため、落下防止ワイヤ6の端部(第2ループ状部分7B)が、ネジ棒46とポール30とに挟まれて押圧されることがない。これにより、落下防止ワイヤ6の表面の被覆が剥がれるなどの押圧による損傷を受けるといった事がなく、落下防止ワイヤ6の劣化が抑えられる。
【0031】
また、本実施形態の落下防止ワイヤ6は、第2ループ状部分7Bをクランプ40のネジ棒46に通すことで当該ネジ棒46と係合し、また、当該ネジ棒46とポール30の間には、落下防止ワイヤ6のワイヤ径よりも大きな隙間δ(図3)が設けられているため、第2ループ状部分7Bがネジ棒46の長手方向に風や振動によって移動自在になっている。これにより、第2ループ状部分7Bとネジ棒46の接触点が随時に変化するため、第2ループ状部分7Bとネジ棒46の異種金属同士が接触している場合でも、両者の間に生じる電蝕が抑制される。特に、ネジ棒46の表面46Aには、図5に示すように、ネジ山が形成されているため、接触点ごとに第2ループ状部分7Bが接触する箇所のネジ棒46の凹凸も異なるようになる。すなわち、図5に示すように、第2ループ状部分7Bの表面においても、ネジ棒46の表面46Aのネジ山の凹凸が接触する位置Pが変わり、電蝕の進行がより抑えられることとなる。
【0032】
なお、本実施形態の落下防止ワイヤ6の第2ループ状部分7Bは、落下防止ワイヤ6の端部をループ状に屈曲させて構成しているが、落下防止ワイヤ6の端部にループ形状の別部材を設けることで第2ループ状部分7Bを構成してもよい。ループ形状の部材としては、例えば図6(A)に示すように、弾性力によって開放可能部7B1が閉じられる金属製の環状フックであってもよく、図6(B)に示すように、円環状の金属金具でもよい。第2ループ状部分7Bを構成する別部材として耐蝕性が高い部材を用いることで、ネジ棒46との間の電蝕を更に抑制することができる。
【0033】
また、図6(A)のように、第2ループ状部分7Bが環状フックである場合、他端側の第1ループ状部分7Aを当該環状フックに係止して落下防止ワイヤ6を1つの円環状とし、当該円環状の落下防止ワイヤ6によって器具本体2とクランプ40とを連結してもよい。具体的には、落下防止ワイヤ6を器具本体2内の適宜の通し孔(図示せず)を通し、また、当該落下防止ワイヤ6をクランプ40のネジ棒46とポール30との間の隙間δを通し、第1ループ状部分7Aを第2ループ状部分7Bの環状フックに係止する。落下防止ワイヤ6を円環状の状態で使用することで、直線状の状態で使用する場合に比べ、器具本体2が脱落した際の落下距離を短くでき、器具本体2の脱落によってクランプ40が落下防止ワイヤ6を通じて受ける衝撃を抑えることができる。落下防止ワイヤ6を円環状の状態で使用する場合、図7に示すように、落下防止ワイヤ6の両端を器具本体2に固定しつつ、落下防止ワイヤ6の両端の間の部分(図示例では中央部分)をポール30とネジ棒46の隙間δに通すことで、落下防止ワイヤ6がクランプ40に係止する構成としてもよい。
【0034】
また、本実施形態の落下防止ワイヤ6は、第2ループ状部分7Bをネジ棒46に通すことでクランプ40に結合されるが、ネジ棒46以外の部材を用いてクランプ40に落下防止ワイヤ6が係合する構成でもよい。
例えば、図8(A)に示すように、第2ループ状部分7Bをクランプ40のナット47に係合させてもよい。具体的には、クランプ40のネジ棒46には一対のナット47が設けられ、これらのナット47で第2ループ状部分7Bを挟み込むことで、ネジ棒46から第2ループ状部分7Bが抜け落ちないようにする。
また、図8(B)に示すように、第2ループ状部分7Bにポール30の先端部30Aを通し、第2ループ状部分7Bをクランプ40に上側から引掛けることで、落下防止ワイヤ6をクランプ40に係合させてもよい。さらに落下防止ワイヤ6をクランプ40とポール30との隙間δに通しておくことで、落下防止ワイヤ6が強風で揺れてもポール30の先端部30Aから外れることが無い。
【0035】
また、本実施形態の落下防止ワイヤ6の端部に第2ループ状部分7Bを設ける構成に限らず、図9(A)及び図9(B)に示すように、クランプ40のネジ棒46とポール30の隙間δ(図3)に引っ掛かって係止される係止片7Cを設けてもよい。係止片7Cの形状は、隙間δに引っ掛かる形状であれば任意であり、図9(A)のように鍵型でもよいし、図9(B)のように球状でもよい。また、係止片7Cの形状は図10(A)に示すようにリング状でもよいし、図10(B)に示すように円盤状(板状)でもよい。
【0036】
上述した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0037】
本実施形態の投光器1によれば、落下防止ワイヤ6がクランプ40に係合し、器具本体2とクランプ40とが落下防止ワイヤ6によって連結されている。
これにより、投光器1の周囲にアンカーボルト等を設置せずとも、仮設に用いられるクランプ40を用いて器具本体2の落下防止対策を適切に図ることができる。
特に、落下防止ワイヤ6は、その一部(本実施形態では第2ループ状部分7B)をクランプ40とポール30との間の隙間δに入り込むことでクランプ40と係止しており、クランプ40の取付作業時に落下防止ワイヤ6を簡単に手間無くクランプ40に係止させることができる。
【0038】
本実施形態の投光器1によれば、クランプ40は、落下防止ワイヤ6のワイヤ径よりも大きな隙間δをポール30との間に有する棒状部材であるネジ棒46を備えている。そして、落下防止ワイヤ6の端部に設けられた第2ループ状部分7Bがネジ棒46に通されて落下防止ワイヤ6がクランプ40に係合している。
これにより、落下防止ワイヤ6の端部(第2ループ状部分7B)が、ネジ棒46とポール30とに挟まれて押圧による損傷を受けるといった事がなく、落下防止ワイヤ6の劣化が抑えられる。
また、第2ループ状部分7Bがネジ棒46の長手方向に風や振動によって移動自在になるため、第2ループ状部分7Bとネジ棒46の接触点が随時に変化し、電蝕の進行が抑えられる。
【0039】
本実施形態の投光器1によれば、落下防止ワイヤ6の第2ループ状部分7Bが接触するネジ棒46の表面にはネジ山が形成されている。これにより、第2ループ状部分7Bがネジ棒46を移動したときに、当該第2ループ状部分7Bの表面においてもネジ棒46の表面46Aのネジ山の凹凸が接触する位置Pが変わり、電蝕の進行がより抑えられることとなる。
【0040】
本実施形態の投光器1によれば、クランプ40は、落下防止ワイヤ6のワイヤ径よりも大きな隙間δをポール30との間に有し、落下防止ワイヤ6の端部には、隙間δを閉じた状態において当該隙間δに係止片7Cが係止されることで落下防止ワイヤ6がクランプ40に係合している。
これにより、隙間δに落下防止ワイヤ6を通すだけで当該落下防止ワイヤ6を取り付けることができ、作業現場で落下防止ワイヤ6の取付が行われないリスクを低減できる。
【0041】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、照明器具の一例として投光器1を例示したが、本発明が適用される照明器具は、これに限定されるものではなく任意である。
【0043】
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0044】
1 投光器
2 器具本体
4 アーム
6 落下防止ワイヤ
7A 第1ループ状部分
7B 第2ループ状部分
7C 係止片
28 ボルト孔
30 ポール
40 クランプ
46 ネジ棒
48 締結用ボルト
49 締結用ナット
Da 鉛直方向
Db 水平方向
G 設置場所
δ 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10