(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095502
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】除湿装置及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20230629BHJP
D06F 58/24 20060101ALI20230629BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20230629BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
D06F58/38
D06F58/24
B03C3/40 A
B01D53/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211439
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】乾 浩章
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
4D052
4D054
【Fターム(参考)】
3B166AA02
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4D054BC31
(57)【要約】
【課題】乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる除湿装置、及び、これを含む乾燥機を提供する。
【解決手段】除湿装置60は、洗濯物Lを収容する収容槽5と、収容槽5から空気を流出させる循環路20と、噴射口28Aから循環路20内に除湿用のミストMを噴射するノズル28と、ノズル28でのミストMの噴射を制御する制御部55とを含む。制御部55は、収容槽5内の洗濯物Lの乾燥状態に応じて、ミストMの噴射条件を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容する収容槽と、
前記収容槽から空気を流出させるダクトと、
噴射口を有し、前記噴射口から前記ダクト内に除湿用のミストを噴射するノズルと、
前記ノズルでのミストの噴射を制御する制御部であって、前記収容槽内の乾燥対象物の乾燥状態に応じて、ミストの噴射条件を調整する制御部とを含む、除湿装置。
【請求項2】
前記収容槽内の乾燥対象物からの水分の蒸発量が増加し始める初期におけるミストの噴射量が、前記初期の後に前記蒸発量が最大になる中期におけるミストの噴射量よりも少なくなり、前記中期の後に前記蒸発量が減少する後期におけるミストの噴射量が、前記中期におけるミストの噴射量よりも少なくなるように、前記制御部は、前記噴射条件を調整する、請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記ノズルを少なくとも一対含み、
一対の前記ノズルは、互いの前記噴射口が対向するように配置される、請求項1又は2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記ダクト内において、空気の流れ方向における前記ノズルの下流側に配置され、前記ダクト内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された水分を捕集する捕集部とをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記ダクトは、前記収容槽から空気を流出させてから前記収容槽に流入させることによって循環させる循環路であり、
請求項1~4のいずれか一項に記載の除湿装置と、
空気を前記収容槽と前記ダクトとの間で循環するように流す送風部と、
前記ダクトから前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部とを含む、乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿装置、及び、これを含む乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドラム式洗濯乾燥機は、洗濯物を収容するドラムと、乾燥運転時に温風を発生するヒータと、ヒータからの温風をドラム内に送風する送風機と、温風を浴びた洗濯物から蒸発した水分を含んでドラムの外に排出された空気を水噴霧ノズルによって除湿する熱交換器とを含む。熱交換器は、水噴霧ノズルから噴射するミストを高温多湿の空気と熱交換させることによって、この空気を冷却して除湿する。除湿された空気は、ヒータによって加熱されて温風となり、ドラム内に送風されて洗濯物の乾燥に再び用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯物のような乾燥対象物からの水分の蒸発量は、乾燥対象物の乾燥が進むにつれて増加するので、乾燥運転の初期の蒸発量は、その後の期間における蒸発量よりも少ない。特許文献1のような水冷式の熱交換器を用いて空気を除湿する場合において、水噴霧ノズルからのミストの噴射量が乾燥運転中において常に一定であると、乾燥運転の初期では、ミストの噴射量が乾燥対象物からの水分の蒸発量と釣り合わない位に多いので、空気が、除湿される際に必要以上に冷却される。この空気を加熱して乾燥対象物の乾燥に再び用いる場合には、空気の加熱に時間がかかるし、この空気によってドラム内の温度が下がるので、ドラム内の乾燥対象物を効率的に乾燥させることが困難になり、乾燥運転が長くなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる除湿装置、及び、これを含む乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥対象物を収容する収容槽と、前記収容槽から空気を流出させるダクトと、噴射口を有し、前記噴射口から前記ダクト内に除湿用のミストを噴射するノズルと、前記ノズルでのミストの噴射を制御する制御部であって、前記収容槽内の乾燥対象物の乾燥状態に応じて、ミストの噴射条件を調整する制御部とを含む、除湿装置である。
【0007】
また、本発明は、前記収容槽内の乾燥対象物からの水分の蒸発量が増加し始める初期におけるミストの噴射量が、前記初期の後に前記蒸発量が最大になる中期におけるミストの噴射量よりも少なくなり、前記中期の後に前記蒸発量が減少する後期におけるミストの噴射量が、前記中期におけるミストの噴射量よりも少なくなるように、前記制御部が、前記噴射条件を調整することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記除湿装置が、前記ノズルを少なくとも一対含み、一対の前記ノズルが、互いの前記噴射口が対向するように配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記除湿装置が、前記ダクト内において、空気の流れ方向における前記ノズルの下流側に配置され、前記ダクト内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された水分を捕集する捕集部とをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記ダクトが、前記収容槽から空気を流出させてから前記収容槽に流入させることによって循環させる循環路であり、前記除湿装置と、空気を前記収容槽と前記ダクトとの間で循環するように流す送風部と、前記ダクトから前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部とを含む、乾燥機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、除湿装置は、乾燥対象物を収容する収容槽からダクトに流出した空気を、ノズルの噴射口からダクト内に噴射した除湿用のミストとの熱交換によって冷却して除湿する。除湿装置においてノズルでのミストの噴射を制御する制御部は、収容槽内の乾燥対象物の乾燥状態に応じて、ミストの噴射条件を調整する。この場合、乾燥運転中において、ノズルからのミストの噴射量が常に一定ではなく、乾燥対象物の現状の乾燥状態、つまり、乾燥対象物からの現状の水分の蒸発量に適するように噴射量などが調整されたミストが適時にダクト内に噴射される。これにより、例えば、乾燥運転において乾燥対象物からの水分の蒸発量が少ない初期においてダクト内の空気がミストによって必要以上に冷却されることを防止できるので、この空気を収容槽に戻して乾燥対象物の乾燥に再び用いる場合には、この空気は、短時間で加熱できるし、収容槽内の温度を下げにくい。そのため、除湿装置が除湿する空気によって収容槽内の乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる。
【0012】
また、本発明によれば、収容槽内の乾燥対象物からの水分の蒸発量が増加し始める初期におけるミストの噴射量が、初期の後に蒸発量が最大になる中期におけるミストの噴射量よりも少なくなり、中期の後に蒸発量が減少する後期におけるミストの噴射量が、中期におけるミストの噴射量よりも少なくなるように、制御部は、噴射条件を調整する。これにより、乾燥運転の初期、中期及び後期のそれぞれでは、それぞれのタイミングにおける乾燥対象物の乾燥状態に応じた適切な噴射条件によるミストが適時にダクト内に噴射される。そのため、初期においてはダクト内の空気が必要以上に冷却されることを防止できるし、中期以降においてはダクト内の空気を十分に除湿できる。このように、除湿装置は、初期、中期及び後期の全てにわたってダクト内の空気の温度及び湿度を常に適切な状態にするので、この空気を収容槽に戻して乾燥対象物の乾燥に再び用いれば、収容槽内の乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、除湿装置では、一対のノズルが、互いの噴射口が対向するように配置されるので、これらの噴射口の一方又は両方からミストを噴射することによって、前述した噴射条件であるミストの噴射量及び大きさを容易に調整できる。
【0014】
また、本発明によれば、除湿装置のダクト内では、帯電部が、ノズルから噴射されたミストによって除湿された空気に残る水分を帯電させ、捕集部が、帯電された水分を捕集するので、除湿装置は、ダクト内の空気を一層効率的に除湿することができる。
【0015】
また、本発明によれば、以上のような除湿装置を含んで収容槽とダクトとの間で空気を循環させる乾燥機では、前述したように、除湿装置によって除湿された空気を収容槽に戻して乾燥対象物の乾燥に再び用いる際に、この空気は、加熱部によって短時間で加熱できるし、収容槽内の温度を下げにくい。そのため、除湿装置によって除湿された空気によって収容槽内の乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】乾燥機の除湿装置を構成する帯電部の平面図である。
【
図9】乾燥機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】乾燥機の乾燥運転を示すタイムチャートである。
【
図11】乾燥運転中における乾燥対象物の湿度及び温度の経時変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の乾燥機の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。
【0018】
左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左方X1といい、
図1の紙面における手前側を右方X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前方Y1といい、
図1における右側を後方Y2という。上下方向Zのうち、上側を上方Z1といい、下側を下方Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。横方向は、水平方向Hであってもよいし、水平方向Hに対して若干傾斜した略水平方向であってもよい。
【0019】
洗濯乾燥機1として、本実施形態ではドラム式の洗濯乾燥機を主な対象とするが、洗濯乾燥機1は、縦型の洗濯乾燥機であってもよい。また、本発明は、洗濯機能が省略されて乾燥運転だけを実行する乾燥機も対象とする。また、洗濯乾燥機1の乾燥対象物は、本実施形態では衣類などの洗濯物Lであるが、靴や食器などであってもよい。乾燥対象物が食器である乾燥機の一例は、食器洗い乾燥機である。
【0020】
洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置された水槽3及び回転槽4を含み、洗濯物Lを収容する収容槽5と、水槽3に接続された給水路6及び排水路7と、回転槽4を回転させるモータ8と、洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とを含む。
【0021】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0022】
水槽3は、筐体2の底壁2Cから上方Z1へ延びるダンパ11によって支えられ、ばね(図示せず)によって吊り下げられる。これにより、水槽3を含む収容槽5の全体が、弾性支持される。水槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。
【0023】
背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Eと、第1部3Eの内周縁から前方Y1へ突出した円筒状の第2部3Fと、第2部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Gとを有する。第3部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。
【0024】
回転槽4は、軸線Jと一致した中心軸線を有する円筒体であって、水槽3よりも一回り小さい。回転槽4は、本実施形態では中心軸線が水平方向Hに沿うように水槽3内において水平に配置されるが、中心軸線が水平方向Hに対して傾斜するように斜めに配置されてもよい。回転槽4は、水槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁4Bと、円周壁4Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁4Cとを有する。円周壁4A及び背面壁4Bには、複数の貫通穴4Dが形成される。
【0025】
回転槽4の背面壁4Bの中心には、軸線Jに沿って後方Y2へ延びる支持軸12が設けられる。支持軸12の後端部は、水槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後方Y2に配置される。
【0026】
環状壁4Cの内側には、円周壁4Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口4Eが形成される。出入口4Eは、水槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。出入口3H及び出入口4Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口4Eを介して、回転槽4内に洗濯物Lを出し入れする。扉10には、扉10が開口2B、出入口3H及び出入口4Eを閉じたときに水槽3の正面壁3Cの第3部3Gに密着するパッキン13が設けられる。
【0027】
給水路6は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、筐体2内において水槽3の正面壁3Cの第2部3Fにおける例えば上部に接続された他端とを有し、当該他端には、水槽3内に上方Z1から臨んだ給水口6Aが設けられる。給水時には、蛇口からの水道水が給水路6を通って給水口6Aから水槽3内に供給される。水槽3内には、水道水、又は、水道水に洗剤が溶けた洗剤水が溜められる。以下では、水道水及び洗剤水を「水」と略称することがある。水槽3内の水は、回転槽4の貫通穴4Dを介して、水槽3と回転槽4との間で行き来する。そのため、水槽3内の水位と回転槽4内の水位とは、一致する。
【0028】
洗濯乾燥機1は、水槽3内の水位を検出する水位検出部14と、給水路6の途中に設けられた開閉可能な給水弁15を含む。水位検出部14として、様々な水位センサを採用できる。本実施形態における水位検出部14は、ダイヤフラム(図示せず)を内蔵する圧電式センサであって、ホース16を介して水槽3に接続される。水位検出部14は、水槽3内での水位の変化に伴って変動するホース16内の圧力をダイヤフラムによって測定することによって、水槽3内の水位を検出する。
【0029】
開状態の給水弁15は、給水路6を開くことにより、水槽3つまり収容槽5への給水を許容する。閉状態の給水弁15は、給水路6を閉じることにより、収容槽5への給水を停止する。
【0030】
排水路7は、水槽3の下端部、例えば円周壁3Aの下端部に接続される。水槽3内の水は、排水路7から筐体2の外、つまり機外に排出される。洗濯乾燥機1は、排水路7の途中に設けられた開閉可能な排水弁17を含む。開状態の排水弁17は、排水路7を開くことにより、水槽3の排水を許容する。閉状態の排水弁17は、排水路7を閉じることにより、排水を停止する。
【0031】
モータ8は、筐体2内において、水槽3の背面壁3Bの後方Y2に配置される。モータ8の一例として、DD(ダイレクトドライブ)モータを採用できる。モータ8は、回転槽4に設けられた支持軸12に連結される。モータ8が発生したトルクは、支持軸12に伝達され、回転槽4が、支持軸12を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸12と間には、モータ8のトルクを支持軸12に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0032】
乾燥ユニット9は、水槽3内の空気を循環させるための循環路20及び送風部21と、循環する空気を加熱する加熱部22と、循環路20内を流れる空気を除湿する除湿デバイス23とを含む。
【0033】
循環路20は、筐体2内において、例えば水槽3の上方Z1に配置されたダクトである。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下方Z2へ延びた後に前方Y1へ折れ曲がった後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下方Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、流出口20Dが形成される。流出口20Dは、水槽3の背面壁3Bの下部に接続され、水槽3内に後方Y2から連通する。前部分20Cの下端には、流入口20Eが形成される。流入口20Eは、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fの上端部に接続され、水槽3内に上方Z1から連通する。
【0034】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20の途中部分20A内に配置された回転羽根21Aと、回転羽根21Aを回転させるモータ(図示せず)とを含む。回転羽根21Aが回転すると、収容槽5内の空気、つまり水槽3内及び回転槽4内の空気が、太い破線矢印で示すように、流出口20Dから循環路20内に流出した後に、流入口20Eから水槽3内に流入する。これにより、空気は、収容槽5と循環路20との間で循環するように流れる。この場合の循環路20は、外気つまり洗濯乾燥機1の外部の空気を取り込まなくても成立する完全内部循環経路であってもよい。
【0035】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器又は一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、放熱部22Aを有する。放熱部22Aは、本実施形態では循環路20内において送風部21の回転羽根21Aよりも流入口20Eに近い下流側に配置されるが、回転羽根21Aよりも流入口20Eから遠い上流側に配置されてもよい。
【0036】
加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になってから収容槽5に流入する。このように、加熱部22は、循環路20から収容槽5に流入する空気を加熱する。
【0037】
除湿デバイス23は、ミストを循環路20内に供給するミスト供給部24と、循環路20内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部25と、帯電部25によって帯電された水分を捕集する捕集部26とを含む。
【0038】
ミスト供給部24は、複数存在し、本実施形態では一対存在する。一対のミスト供給部24のうち、一方を第1ミスト供給部24Aといい、他方を第2ミスト供給部24Bという。第1ミスト供給部24A及び第2ミスト供給部24Bのそれぞれは、給水路6において給水弁15よりも蛇口に近い上流部から分岐した流水路27と、流水路27の先端部に取り付けられたノズル28と、流水路27の途中に設けられた流水弁29とを含む。
【0039】
ノズル28は、循環路20の後部分21Bに配置される。ノズル28は、ミストの噴射口28Aを有する。流水弁29は、例えば電磁弁である。開状態の流水弁29は、流水路27を開いた状態にあり、この状態では、蛇口からの水道水が、流水路27を流れ、ノズル28の噴射口28Aから、除湿用のミストMとなって循環路20内に噴射される。閉状態の流水弁29は、流水路27を閉じた状態にあり、循環路20内へのミストMの噴射を停止する。第1ミスト供給部24Aのノズル28及び第2ミスト供給部24Bのノズル28、つまり、一対のノズル28は、互いの噴射口28Aが循環路20における空気の流れ方向(
図1の太い破線矢印)において対向するように配置される。
【0040】
帯電部25及び捕集部26は、循環路20内において第1ミスト供給部24A及び第2ミスト供給部24Bのノズル28よりも流入口20Eに近い領域に配置される。この領域は、循環路20内において空気の流れ方向におけるノズル28の下流側の領域である。循環路20内では、帯電部25及び捕集部26よりも下流側に送風部21及び加熱部22が配置される。
【0041】
図2は、帯電部25の平面図である。帯電部25は、中空のケース30と、ケース30内に配置された複数の第1電極31と、隣り合う第1電極31の間に配置された第2電極32とを含む。
【0042】
ケース30の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁30Aによって構成された直方体である。これらの縦壁30Aによって囲まれた空間が、ケース30の内部空間30Bである。ケース30には、4つの縦壁30Aの下端によって縁取られた矩形状の入口30Cと、4つの縦壁30Aの上端によって縁取られた矩形状の出口30Dとが形成される(
図3も参照)。
【0043】
内部空間30Bは、入口30Cから下方Z2へ開放され、出口30Dから上方Z1へ開放される。ケース30は、循環路20における一部、詳しくは後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。ケース30の内部空間30B、入口30C及び出口30Dは、循環路20の内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。
【0044】
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。循環路20内を流れる空気は、本実施形態では、ケース30内において入口30Cから出口30Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。4つの縦壁30Aにおいて、一対の縦壁30AAは、残り一対の縦壁30ABと直交して配置される。一対の縦壁30AAにおける一方の下端部には、貫通穴30Eと、貫通穴30Eの下端から内部空間30Bに突出したスロープ30Fと、ケース30の外から貫通穴30Eを覆うガイドボックス30Gとを含む。
【0045】
貫通穴30E、スロープ30F及びガイドボックス30Gは、一対の縦壁30ABの対向方向Pにおいて長手である。貫通穴30E及びスロープ30Fは、内部空間30Bにおいて対向方向Pの全域にわたって設けられる。スロープ30Fは、貫通穴30Eから斜め上側へ傾斜して配置され、スロープ30Fの上面30Hも傾斜する。上面30Hにおいて貫通穴30Eから最も離れた上端部には、上方Z1へ突出した突出部30Iが設けられる。
【0046】
ガイドボックス30Gの内部空間30Jは、貫通穴30Eに連通した状態にある。
図4は、
図2のB-B矢視断面図である。ガイドボックス30Gにおいて内部空間30Jを下方Z2から区画する底面30Kは、貫通穴30Eを介してスロープ30Fの上面30Hの下端に接続される。底面30Kは、例えば対向方向Pにおける一方へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排出口30Lが形成される。ガイドボックス30Gの下面には、排出口30Lを取り囲んだ状態で下方Z2へ突出した円筒状の連結部30Mが設けられる。
【0047】
第1電極31は、対向方向Pに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、一例として、5枚の第1電極31が、ケース30の内部空間30Bにおいて、対向方向Pに等間隔を隔てて並んで配置される(
図2参照)。
【0048】
各第1電極31は、その上端部において一段幅広くなった幅広部31Aがケース30の出口30Dにおける段部30Nに係合することによって、内部空間30Bにて位置決めされる(
図3参照)。各第1電極31においてケース30の入口30C側の下端縁31Bは、縦壁30AAの貫通穴30Eへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する。各第1電極31の下端縁31Bにおいて貫通穴30E側の下端部は、スロープ30Fの真上に配置され、貫通穴30Eと上下方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0049】
第2電極32は、ワイヤーによって構成された放電電極であり、例えばタングステンによって形成されることにより、導電性を有し、第1電極31とは反対の極性を有する。第2電極32は、隣り合う第1電極31の間に1本ずつ配置され、一対の縦壁30AAの間に架設される(
図2及び
図3参照)。第2電極32は、第1電極31と非接触の状態で、第1電極31の下端縁31Bよりも上方Z1の位置で下端縁31Bと平行になるように直線状に傾斜する(
図3参照)。
【0050】
本実施形態では、第1電極31の極性がグラウンド側の負極であり、第2電極32の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から帯電部25に電圧が印加されると、第1電極31と第2電極32との間に数kV~数十kVの高電圧が印加されることによって、第2電極32が放電する。すると、第2電極32の周囲の空気がプラズマ状態になり、この空気中の分子が陽イオン化して第1電極31へ移動する。これにより、第1電極31と第2電極32との間に数10μAの電流が流れる。
【0051】
そして、第1電極31と第2電極32の間を流れる空気に含まれる水分は、陽イオンや電子に衝突することによって正極に帯電される。正極に帯電された水分は、負極の第1電極31に引き寄せられて、第1電極31に捕集される。これにより、第1電極31と第2電極32の間の空気が除湿される。
【0052】
第1電極31に捕集された水分は、第1電極31の表面で水滴となり、自重によって第1電極31の下端縁31Bの傾斜に沿って流れ(
図3の矢印Q1を参照)、スロープ30Fの上面30H上に落下する。上面30H上に落下した水分は、上面30Hの傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス30Gの内部空間30Jに流入し(
図3の矢印Q2を参照)、ガイドボックス30Gの底面30Kの傾斜に沿って流れ落ちて排出口30Lから連結部30M内に流入する(
図4の矢印Q3を参照)。
【0053】
このように、本実施形態では、第1電極31が、帯電された水分とは反対の極性を有して当該水分を捕集する。なお、第1電極31の極性が正極であって第2電極の極性が負極である逆の構成もあり得るが、この構成でも、第2電極32が放電して、第1電極31が集水する。
【0054】
なお、本実施形態では、ケース30内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース30の入口30C及び出口30Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース30内で空気が左右方向Xなどの横方向に流れてもよく、その場合には、入口30C及び出口30Dが横方向に並ぶようにケース30の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第1電極31及び第2電極32は、入口30Cから出口30Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。
【0055】
図5は、捕集部26の平面図である。捕集部26は、循環路20での空気の流れ方向において帯電部25の下流側に配置され、本実施形態では、帯電部25の上方Z1に隣接配置される。捕集部26は、中空のケース40と、ケース40内に配置された複数の第3電極43と、隣り合う第3電極43の間に配置された第4電極44とを含む。
【0056】
ケース40の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁40Aによって構成された直方体である。これらの縦壁40Aによって囲まれた空間が、ケース40の内部空間40Bである。ケース40には、4つの縦壁40Aの下端によって縁取られた矩形状の入口40Cと、4つの縦壁40Aの上端によって縁取られた矩形状の出口40Dとが形成される(
図6も参照)。内部空間40Bは、入口40Cから下方Z2へ開放され、出口40Dから上方Z1へ開放される。
【0057】
ケース40は、循環路20の後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。ケース40の内部空間40B、入口40C及び出口40Dは、循環路20の内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。ケース40の入口40Cは、帯電部25のケース30の出口30D(
図3参照)に上方Z1から連通する。
【0058】
図6は、
図5のC-C矢視断面図である。循環路20を流れて帯電部25のケース30内を通過した空気は、本実施形態では、ケース40内において入口40Cから出口40Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。4つの縦壁40Aにおいて、一対の縦壁40AAは、残り一対の縦壁40ABと直交して配置される。一対の縦壁40AAにおける一方の下端部には、貫通穴40Eと、貫通穴40Eの下端から内部空間40Bに突出したスロープ40Fと、ケース40の外から貫通穴40Eを覆うガイドボックス40Gとを含む。
【0059】
貫通穴40E、スロープ40F及びガイドボックス40Gは、一対の縦壁40ABの対向方向Rにおいて長手である。貫通穴40E及びスロープ40Fは、内部空間40Bにおいて対向方向Rの全域にわたって設けられる。スロープ40Fは、貫通穴40Eから斜め上側へ傾斜して配置され、スロープ40Fの上面40Hも傾斜する。上面40Hにおいて貫通穴40Eから最も離れた上端部には、上方Z1へ突出した突出部40Iが設けられる。
【0060】
ガイドボックス40Gの内部空間40Jは、貫通穴40Eに連通した状態にある。
図7は、
図5のD-D矢視断面図である。ガイドボックス40Gにおいて内部空間40Jを下方Z2から区画する底面40Kは、貫通穴40Eを介してスロープ40Fの上面40Hの下端に接続される。底面40Kは、例えば対向方向Rにおける一方へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排出口40Lが形成される。ガイドボックス40Gの下面には、排出口40Lを取り囲んだ状態で下方Z2へ突出した円筒状の連結部40Mが設けられる。
【0061】
第3電極43は、対向方向Rに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、7枚の第3電極43が、ケース40の内部空間40Bにおいて、対向方向Rに等間隔を隔てて並んで配置される(
図5参照)。各第3電極43は、その上端部から突出した突出部43Aがケース40の出口40Dにおける段部40Nに係合することによって、内部空間40Bにて位置決めされる。なお、対向方向Rに延びる連結軸45が各第3電極43の突出部43Aを串刺しすることによって、全ての第3電極43が一体化されてもよい(
図6参照)。
【0062】
各第3電極43においてケース40の入口40C側の下端縁43Bは、縦壁40AAの貫通穴40Eへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する。各第3電極43の下端縁43Bにおいて貫通穴40E側の下端部は、スロープ40Fの真上に配置され、貫通穴40Eと上下方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0063】
図8は、
図6から第4電極44を抜き出した図である。各第4電極44は、一対の縦壁40AAの対向方向S(
図6参照)に長手の本体44Aと、本体44Aの大部分を被覆した絶縁体44Bとを有する絶縁電極である。本体44Aは、例えば銅によって形成されることにより、導電性を有する。本体44Aは、第3電極43とは反対の極性を有する。絶縁体44Bは、一対の縦壁40AAの対向方向Rにおいて薄く、対向方向Sに長い長方形の板状である。
【0064】
第4電極44は、隣り合う第3電極43の間に1つずつ配置され、第3電極43と非接触の状態で、一対の縦壁40AAの間に架設される(
図5及び
図6参照)。各第4電極44の大部分は、対向方向Rから見て、各第3電極43と重なって配置される(
図6参照)。本体44Aにおいて絶縁体44Bからはみ出した根元部44AAと、絶縁体44Bにおいて根元部44AA側の部分とは、ケース40の外に配置される。
【0065】
本実施形態では、第3電極43の極性がグラウンド側の負極であり、第4電極44の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から捕集部26に電圧が印加されると、第3電極43と第4電極44との間に数kV~数十kVの高電圧が印加される。ただし、第4電極44の表面が絶縁体44Bによって構成されるので、第3電極43と第4電極44との間に電流は流れない。そのため、第3電極43と第4電極44との間のリークなどによるスパークや電圧変動が防止される。
【0066】
一方、第3電極43と第4電極44との間に電界が発生するので、帯電部25によって正極に帯電された状態で捕集部26のケース40内に流入した水分が、本実施形態では負極の第3電極43によって捕集される。これにより、捕集部26は、帯電された水分を効果的に捕集することができる。そのため、帯電部25で除湿された空気が、さらに除湿される。
【0067】
第3電極43に捕集された水分は、第3電極43の表面で水滴となり、自重によって第3電極43の下端縁43Bの傾斜に沿って流れ(
図6の矢印T1を参照)、スロープ40Fの上面40H上に落下する。上面40H上に落下した水分は、上面40Hの傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス40Gの内部空間40Jに流入し(
図6の矢印T2を参照)、ガイドボックス40Gの底面40Kの傾斜に沿って流れ落ちて排出口40Lから連結部40M内に流入する(
図7の矢印T3を参照)。
【0068】
なお、第3電極43の極性が正極であって第4電極44の極性が負極である逆の構成もあり得る。また、本実施形態では、ケース40内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース40の入口40C及び出口40Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース40内で空気が横方向に流れてもよく、その場合には、入口40C及び出口40Dが横方向に並ぶようにケース40の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第3電極43及び第4電極44は、入口40Cから出口40Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。
【0069】
除湿デバイス23は、帯電部25及び捕集部26から下方Z2へ延びて水槽3に接続される排出路46をさらに含む(
図1参照)。排出路46の一端部46Aは、分岐して帯電部25の連結部30M及び捕集部26の連結部40Mのそれぞれに接続される(
図4及び
図7参照)。排出路46において一端部46Aとは反対の他端部46Bは、
図1では水槽3の背面壁3Bに接続される。帯電部25において連結部30M内に流入した水分や、捕集部26において連結部40M内に流入した水分は、排出路46を流れて水槽3内に流入した後に、排水路7から機外に排出される。なお、排出路46の他端部46Bは、排水路7に直接接続されてもよい。
【0070】
洗濯乾燥機1は、収容槽5と循環路20との間で循環する空気の湿度を検出する湿度検出部50と、この空気の温度を検出する温度検出部51とを含む。
【0071】
湿度検出部50として、公知の湿度センサを採用できる。湿度検出部50は、循環路20内において流出口20Dとノズル28との間に配置された第1湿度検出部50Aと、循環路20内において送風部21と捕集部26との間に配置された第2湿度検出部50Bと、収容槽5内に配置された第3湿度検出部50Cとを含む。
【0072】
温度検出部51として、サーミスタなどの公知の温度センサを採用できる。温度検出部51は、循環路20内において流出口20Dとノズル28との間に配置された第1温度検出部51Aと、循環路20内において送風部21と捕集部26との間に配置された第2温度検出部51Bと、収容槽5内に配置された第3温度検出部51Cとを含む。なお、近い位置に配置された湿度検出部50及び温度検出部51は、1つの湿度温度検出部として一体化されてもよい。
【0073】
図9は、洗濯乾燥機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯乾燥機1は、制御部55をさらに含む。制御部55は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(
図1参照)。モータ8、水位検出部14、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、ミスト供給部24、帯電部25、捕集部26、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれは、制御部55に対して電気的に接続される。水位検出部14、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれの検出値は、リアルタイムで制御部55に入力される。
【0074】
図1を参照して、洗濯乾燥機1において、収容槽5、循環路20、除湿デバイス23及び制御部55のまとまりは、除湿装置60を構成する。
【0075】
制御部55は、モータ8、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、ミスト供給部24、帯電部25及び捕集部26のそれぞれの動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、序盤の洗い工程と、洗い工程後に1回又は複数回実行されるすすぎ工程と、少なくとも最後のすすぎ工程後に実行される脱水工程と、終盤の乾燥工程とを含む。これらの工程のそれぞれは、独立した運転であってもよく、その場合、例えば、洗い工程は洗い運転であり、乾燥工程は、乾燥運転である。
【0076】
制御部55は、洗い工程では、まず、モータ8を作動させて回転槽4を正回転させたり逆回転させたりし、その際のモータ8の電流値に基いて、回転槽4内において乾燥状態にある洗濯物Lの質量を判定する。制御部55は、判定した洗濯物Lの質量に基いて、必要な洗剤量と、洗い工程での水槽3内の目標水位とを決定する。制御部55は、決定した洗剤量の情報を、筐体2の前面2Aなどに設けられた表示操作部(図示せず)に表示する。
【0077】
そして、制御部55は、排水弁17を閉じた状態で給水弁15を開くことによって給水処理を実行する。これにより、給水路6からの水道水が、給水口6Aから水槽3内に流入して溜まるので、水槽3内の水位が上昇する。水槽3内の水位が目標水位まで上昇したことが水位検出部14によって検出されると、制御部55は、給水弁15を閉じることによって給水処理を終了する。給水処理の前後に、洗剤が、使用者によって回転槽4内に手動投入されたり、自動投入されたりする。これにより、洗剤が水道水に溶けることによって生成された洗剤水が、回転槽4内に溜まる。
【0078】
制御部55は、給水処理後の洗い処理として、モータ8によって回転槽4を回転させる。これにより、回転槽4内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、回転槽4に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水弁17を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0079】
制御部55は、すすぎ工程では、排水弁17を閉じた状態で、少なくとも給水弁15を所定時間開いて水槽3に水道水を溜めてから、モータ8によって回転槽4を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが回転槽4内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水すると、すすぎ工程が終了する。
【0080】
制御部55は、脱水工程では、排水弁17を開いた状態で、回転槽4を脱水回転させる。回転槽4の脱水回転により生じた遠心力によって、回転槽4内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路7から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。最後の脱水工程の後に、制御部55は、回転槽4を正回転及び逆回転をクイックに繰り返すことによって、回転槽4内の洗濯物Lを回転槽4の円周壁4Aから剥がしたりほぐしたりする。これにより、その後の乾燥工程において、洗濯物Lに皺が発生することを防止できる。
【0081】
制御部55は、少なくとも送風部21、加熱部22及び除湿デバイス23を制御することによって、乾燥工程、つまり乾燥運転を実行する。乾燥運転では、送風部21及び加熱部22が作動することによって、熱風が発生して収容槽5と循環路20との間で循環し、回転槽4内の洗濯物Lに浴びせられる。これにより、洗濯物L内の水分と熱風との熱交換によって、この水分が蒸発して水蒸気となるので、洗濯物Lの乾燥が促進される。
【0082】
収容槽5内の洗濯物Lから発生した水蒸気は、循環する空気に乗って流出口20Dから循環路20に流出する。この際、制御部55は、ミスト供給部24の流水弁29を開くことによって、ノズル28の噴射口28Aから循環路20内にミストMを噴射する。これにより、循環路20内を流れる水蒸気は、ミストMとの熱交換によって冷却されて除湿される。除湿後の加熱部22によって加熱されて熱風となり、流入口20Eから収容槽5内に流入して洗濯物Lの乾燥に再び用いられる。
【0083】
ミスト供給部24は、水道水の圧力だけでミストMを発生させてもよいし、超音波振動子(図示せず)を利用してミストMを発生させてもよい。また、制御部55は、流水弁29の開度を調整することによって、噴射口28Aから噴射されるミストMの噴射量や勢いを調整することができる。
【0084】
第1ミスト供給部24A及び第2ミスト供給部24Bにおける一対のノズル28は、前述したように互いの噴射口28Aが対向するように配置される。制御部55は、共通のノズル28におけるこれらの噴射口28Aの一方又は両方からミストMを噴射することによって、ミストMの噴射条件であるミストMの噴射量及び大きさを容易に調整できる。例えば、一対の噴射口28Aの両方からミストMを噴射すれば、これらのミストMがぶつかり合うことによって、粒径の大きなミストMを高密度に発生させることができる。このように、制御部55は、ノズル28でのミストMの噴射を制御する。
【0085】
さらに、ミスト供給部24は、流水路27を流れる水道水を加圧するポンプ(図示せず)も含んでもよい。制御部55は、このポンプを制御することによって、噴射口28Aから噴射されるミストMの噴射量や勢いを、一層広範囲で調整することができる。
【0086】
図10は、乾燥運転を示すタイムチャートである。
図10のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示す。一方、縦軸は、乾燥運転中における収容槽5内の洗濯物Lからの水分の蒸発量と、ミスト供給部24のノズル28から噴射されるミストMの噴射量とを示す。経過時間の単位の一例は、[min]であり、蒸発量及び噴射量のそれぞれの単位の一例は、[g/min]である。
【0087】
乾燥運転の所要時間を例えば120分とした場合において、乾燥運転の開始から30分以内の初期では、収容槽5内に供給される熱風が持つ熱エネルギは、主に洗濯物L中の水分の温度上昇に費やされるので、蒸発量は、増加を始めるものの少ない。乾燥運転が始まると、蒸発量は、
図10において太い実線で示すように徐々に増加し、乾燥運転開始時の30分から60分の間の中期において最大となり、その後は、乾燥運転の後期にかけて徐々に減少する。中期では、収容槽5内の温度がほぼ一定の基準温度になり、後期では、収容槽5内の温度が基準温度から少し上昇する。基準温度の一例は、40度以上45度以下である。
【0088】
蒸発量は、収容槽5内の洗濯物Lの乾燥状態を表わす指標である。制御部55は、蒸発量に応じて、ノズル28でのミストMの噴射条件、特に噴射量を調整する。制御部55は、
図10において太い1点鎖線で示すように、乾燥運転中において、初期と中期と後期とで噴射量を変更する。
【0089】
具体的には、蒸発量が増加し始める初期におけるミストMの噴射量が、初期の後に蒸発量が最大になる中期におけるミストMの噴射量よりも少なくなり、中期の後に蒸発量が減少し続ける後期におけるミストMの噴射量が、中期におけるミストMの噴射量よりも少なく、かつ、初期におけるミストMの噴射量と同等以上となるように、制御部55は、噴射条件を調整する。つまり、初期における噴射量が最小値であり、中期における噴射量が最大値である。初期における噴射量は、零であってもよいし、零よりも多くてもよい。
【0090】
図10において太い1点鎖線で示す場合には、制御部55は、乾燥運転において、初期から中期に切り替わるタイミングと、中期から後期に切り替わるタイミングとでミストMの噴射量を2回だけ変更する。この場合、制御部55は、乾燥運転開始からの経過時間に基づいて噴射量を変更してもよい。一方、制御部55は、乾燥運転中において、噴射量が実際の蒸発量の推移にきめ細かく追従するように、太い2点鎖線で示すように、より頻繁、つまり多段階で噴射量を変更してもよい。そのため、初期、中期及び後期のそれぞれの期間内でも、噴射量が複数回変更される。この場合、制御部55は、蒸発量と連動する値、例えば、収容槽5内の湿度や温度の推移に基づいて噴射量を変更する。収容槽5内の湿度は、第3湿度検出部50Cの検出値であり、収容槽5内の温度は、第3温度検出部51Cの検出値である(
図1参照)。
【0091】
図11は、乾燥運転を示すタイムチャートである。
図11のタイムチャートでは、横軸が経過時間を示す。一方、縦軸は、第1湿度検出部50Aの検出値、及び、第1温度検出部51Aの検出値を示す。第1湿度検出部50Aの検出値は、収容槽5内の洗濯物Lから発生して循環路20に流入した直後の水蒸気の湿度である。第1温度検出部51Aの検出値は、循環路20の流出口20D付近の温度、言い換えれば、収容槽5内の温度である。そのため、第1温度検出部51Aの検出値の代りに、第3温度検出部51Cの検出値を用いてもよい。経過時間の単位は「min」であり、湿度の単位は「%」であり、温度の単位は「度」である。湿度は、相対湿度である。乾燥運転の開始時に100%であった湿度が、30%以上50%以下の基準湿度まで低下すると、洗濯物Lは乾燥状態にある。
【0092】
本実施形態とは異なり、ミストMの噴射量が乾燥運転中において常に一定である場合には、乾燥運転の初期では、噴射量が洗濯物Lからの水分の蒸発量と釣り合わない位に多いので、循環路20内の空気は、ミストMによって除湿される際に必要以上に冷却される。この場合、収容槽5内の温度は、太い破線で示すように緩やかに上昇することから、中期の終盤でやっと基準温度まで上達する。これでは、湿度が、太い実線で示すように緩やかに下降するので、洗濯物Lが乾燥状態になるまでに時間がかかる。
【0093】
一方、本実施形態では、前述したように、乾燥運転中におけるミストMの噴射条件が、洗濯物Lの乾燥状態に応じて調整される。そのため、ミストの噴射量が、常に一定ではなく、洗濯物Lの現状の乾燥状態、つまり、洗濯物Lからの現状の水分の蒸発量に適するように噴射量が調整されたミストMが適時に循環路20内に噴射される。具体的には、噴射量は、前述したように、初期では少なく、中期では初期より多く、後期では中期よりも少なくなるように調整される(
図10の1点鎖線及び2点鎖線を参照)。
【0094】
これにより、乾燥運転の初期、中期及び後期のそれぞれでは、それぞれのタイミングにおける洗濯物Lの乾燥状態に応じた適切な噴射条件によるミストMが適時に循環路20内に噴射される。そのため、例えば、乾燥運転において洗濯物Lからの水分の蒸発量が少ない初期において循環路20内の空気がミストMによって必要以上に冷却されることを防止できるので、この空気を収容槽5に戻して洗濯物Lの乾燥に再び用いる場合には、この空気は、短時間で加熱できるし、収容槽5内の温度を下げにくい。また、中期以降においては循環路20内の空気を十分に除湿できる。
【0095】
このように、除湿装置60は、初期、中期及び後期の全てにわたって循環路20内の空気の温度及び湿度を常に適切な状態にする。そのため、除湿装置60が除湿した空気を収容槽5に戻して洗濯物Lの乾燥に再び用いることによって、収容槽5内の洗濯物Lを効率的に短時間で乾燥させることができる。そのため、収容槽5内の温度は、太い1点鎖線で示すように初期の中盤までに基準温度まで速やかに上昇することから、湿度は、太い2点鎖線で示すように、基準湿度まで比較的速やかに下降するので、洗濯物Lが乾燥状態になるまでの時間が短くなる。
【0096】
乾燥運転中において、ミストMの噴射量だけでなく、ミストMの大きさも、初期、中期及び後期のそれぞれにおいて調整してもよい。例えば、ミストMの大きさを、初期及び後期では、中期よりも小さくしてもよい。なお、熱風が洗濯物Lの隅々に行き渡るように、制御部55は、乾燥運転中において、モータ8を作動させて回転槽4を回転させることによって洗濯物Lを撹拌してもよい。
【0097】
また、乾燥運転では、制御部55の制御によって除湿デバイス23の帯電部25及び捕集部26に電圧が印加される。これによって、洗濯物Lから蒸発した水分を乗せて循環路20内を流れる空気が、前述したように、帯電部25のケース30の内部空間30B及び捕集部26のケース40の内部空間40Bを通過する際に除湿される。このように、循環路20内では、帯電部25が、ノズル28から噴射されたミストMによって除湿された空気に残る水分を帯電させ、捕集部26が、帯電された水分を捕集するので、除湿装置60は、循環路20内の空気を一層効率的に除湿することができる。
【0098】
制御部55は、乾燥運転の後期の最後において、加熱部22を停止させて、クールダウン処理を実行する。制御部55は、クールダウン処理では、加熱部22を停止させた状態で送風部21を引き続き作動させる。これにより、冷風が循環することによって収容槽5内の洗濯物Lや扉10が冷却される。その後、使用者は、扉10を開いて、収容槽5内から洗濯物Lを取り出すことができる。
【0099】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0100】
例えば、本実施形態では、ノズル28が一対に設けられるが、1つのノズル28でミストの噴射量及び大きさを調整できるのであれば、ノズル28が1つだけで存在してもよい。つまり、ミスト供給部24が1つだけ設けられてもよい。
【0101】
また、
図1を参照して、乾燥ユニット9は、循環路20から分岐して洗濯乾燥機1の機外に連通した排気路20Fをさらに含んでもよい。排気路20Fにおいて機外に連通する部分は、筐体2に形成された排気口20Gである。
【0102】
循環路20も、洗濯乾燥機1の機外に連通してもよい。この場合、循環路20において機外に連通する部分は、筐体2に形成された吸気口20Hであり、流入口20Eと吸気口20Hとの間の領域に送風部21及び加熱部22が配置される。循環路20は、排気路20Fに接続された部分から流入口20Eと吸気口20Hとの間の領域まで延びる接続路20Iを有する。
【0103】
排気路20Fには、排気口20Gを開閉する排気弁71が設けられ、循環路20には、吸気口20Hを開閉する吸気弁72が設けられる。排気弁71及び吸気弁72は、調整弁であり、それぞれの開閉は、制御部55によって制御される(
図9参照)。特に、制御部55は、排気弁71及び吸気弁72のそれぞれの開度を調整することができる。
【0104】
排気弁71及び吸気弁72のそれぞれは、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって排気弁71を開くと、排気口20Gが開放されるので、排気路20F内の空気が機外に排出される。制御部55が開度を増大させることによって吸気弁72を開くと、吸気口20Hが開放されるので、外気が循環路20内に流入することができる。吸気口20Hには、外気に含まれる異物を捕獲するフィルタ(図示せず)が設けられてもよい。
【0105】
接続路20Iには、切替部73が設けられる。切替部73は、開閉可能な調整弁などによって構成される。制御部55は、切替部73の開度を調整することによって、切替部73を開閉する(
図9参照)。切替部73は、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって切替部73を開くと、循環路20が開通するので、この状態で送風部21が作動すると、循環路20内の空気は、前述したように循環する。一方、切替部73が閉じると、循環路20が接続路20Iにおいて遮断されるので、循環路20内の空気は、排気路20Fに流れて機外に排出される。このように、切替部73は、制御部55の制御によって循環路20内の空気を排気路20Fに流したり接続路20Iに流したりする。
【0106】
なお、循環路20では、接続路20Iが省略されてもよい。この場合に送風部21が作動すると、外気が吸気口20Hから循環路20に流入して加熱部22によって加熱されて熱風となり、熱風は、流入口20Eから収容槽5内の洗濯物Lに浴びせられた後に、流出口20Dから循環路20に流出して排気路20F経由で排気口20Gから機外に排出されるので、乾燥運転中の空気は、循環せずに、常に一方向に流れる。
【符号の説明】
【0107】
1 洗濯乾燥機
5 収容槽
20 循環路
21 送風部
22 加熱部
25 帯電部
26 捕集部
28 ノズル
28A 噴射口
55 制御部
60 除湿装置
L 洗濯物
M ミスト