(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095503
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】除湿装置及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/24 20060101AFI20230629BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20230629BHJP
B03C 3/41 20060101ALI20230629BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
D06F58/24
B03C3/40 A
B03C3/41 H
B01D53/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211440
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】乾 浩章
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
【テーマコード(参考)】
3B166
4D052
4D054
【Fターム(参考)】
3B166AB22
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB33
3B166AE02
3B166AE07
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3B166DC45
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3B166EA03
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3B166EA21
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3B166JM02
4D052AA10
4D052EA00
4D054AA11
4D054BA01
4D054BB26
4D054BC31
4D054EA11
4D054EA24
(57)【要約】
【課題】放電電極の放電によって水分を帯電させて捕集する構成において、結露による除湿性能の低下を抑制できる除湿装置、及び、これを含む乾燥機を提供する。
【解決手段】除湿装置60は、洗濯物を収容する収容槽と、収容槽から空気を流出させる循環路20と、循環路20内に配置された第1電極31及び第2電極32とを含む。第1電極31は、第2電極32に対して隙間Vを隔てて対向する。第1電極31は、循環路20内において第2電極32の放電によって帯電された水分を捕集する。循環路20の一部であるケース30には、循環路20の内部空間を外気に連通させる開口30Eが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象物を収容する収容槽と、
前記収容槽から空気を流出させるダクトと、
前記ダクト内に配置されて放電する放電電極と、
前記ダクト内において前記放電電極に対して隙間を隔てて対向する対向電極であって、前記ダクト内において前記放電電極の放電によって帯電された水分を捕集する対向電極とを含み、
前記ダクトには、前記ダクトの内部空間を外気に連通させる開口が設けられる、除湿装置。
【請求項2】
前記除湿装置は、前記放電電極を支持する支持部をさらに含み、
前記支持部の一部は、前記開口から前記ダクト外に露出される、請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記支持部において前記開口内に配置された部分と、前記ダクトにおける前記開口の縁との間には、隙間が設けられる、請求項2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記開口は、外気を前記ダクト内に導入する導入口と、前記ダクト内の空気を前記ダクト外に排出する排出口とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記ダクトは、前記収容槽から空気を流出させてから前記収容槽に流入させることによって循環させる循環路であり、
請求項1~4のいずれか一項に記載の除湿装置と、
空気を前記収容槽と前記ダクトとの間で循環するように流す送風部と、
前記ダクトから前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部とを含む、乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿装置、及び、これを含む乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の空気処理装置は、キャビネットと、キャビネットの奥側に設けられた吸い込みフードとを含む。吸い込みフードには、吸い込み口が設けられる。キャビネットには、吸い込み口に連通した風路と、風路内に配置された送風機、フィルタ及び集塵手段と、風路に連通した吹き出し口とが設けられる。送風機が作動すると、空気処理装置の周辺の空気が吸い込み口から風路内に吸い込まれて、フィルタ及び集塵手段を通過する。
【0003】
フィルタは、フィルタを通過する空気から油煙や水蒸気や臭気を除去する。集塵手段は、隙間を隔てて対向配置された放電電極及び対向電極を含む。フィルタで除去できない小さな油煙や水蒸気は、放電電極及び対向電極との間で生じる放電によって帯電されて捕集される。風路内に流入した空気は、このようにフィルタ及び集塵手段を通過することによって清浄化された後に、吹き出し口から空気処理装置の外に吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の集塵手段を用いて除湿する場合において、風路の内外の温度差によって風路内で結露が発生することが想定される。結露による水滴によって放電電極と対向電極との間の隙間が小さくなると、放電電極と対向電極との間で放電しにくくなるので、除湿性能が低下する。
【0006】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、放電電極の放電によって水分を帯電させて捕集する構成において、結露による除湿性能の低下を抑制できる除湿装置、及び、これを含む乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、乾燥対象物を収容する収容槽と、前記収容槽から空気を流出させるダクトと、前記ダクト内に配置されて放電する放電電極と、前記ダクト内において前記放電電極に対して隙間を隔てて対向する対向電極であって、前記ダクト内において前記放電電極の放電によって帯電された水分を捕集する対向電極とを含む除湿装置であって、前記ダクトには、前記ダクトの内部空間を外気に連通させる開口が設けられる、除湿装置である。
【0008】
また、本発明は、前記除湿装置が、前記放電電極を支持する支持部をさらに含み、前記支持部の一部が、前記開口から前記ダクト外に露出されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記支持部において前記開口内に配置された部分と、前記ダクトにおける前記開口の縁との間には、隙間が設けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記開口が、外気を前記ダクト内に導入する導入口と、前記ダクト内の空気を前記ダクト外に排出する排出口とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記ダクトが、前記収容槽から空気を流出させてから前記収容槽に流入させることによって循環させる循環路であり、前記除湿装置と、空気を前記収容槽と前記ダクトとの間で循環するように流す送風部と、前記ダクトから前記収容槽に流入する空気を加熱する加熱部とを含む、乾燥機である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、除湿装置は、乾燥対象物を収容する収容槽からダクトに流出した空気に含まれる水分を放電電極の放電によって帯電させて対向電極にて捕集することによって、この空気を除湿する。ダクトには、ダクトの内部空間を外気に連通させる開口が設けられる。これにより、外気が開口を通ってダクトの内部に出入りすることによってダクトの内外の温度差が小さくなるので、ダクト内の結露を防止できる。そのため、結露による除湿装置の除湿性能の低下を抑制できる。
【0013】
また、本発明によれば、除湿装置では、放電電極を支持する支持部の一部が開口からダクト外に露出される。これにより、ダクト内の放電電極の温度とダクト外の外気の温度との差が小さくなるので、放電電極の結露を防止できる。そのため、結露による水滴によって放電電極と対向電極との間の隙間が小さくなることを防止して、この隙間を所定以上の大きさに維持できるので、放電電極の放電を安定させることができる。したがって、結露による除湿装置の除湿性能の低下を一層抑制できる。
【0014】
また、本発明によれば、支持部において開口内に配置された部分と、ダクトにおける開口の縁との間には、隙間が設けられる。これにより、支持部において開口内に配置された部分が、周囲の隙間を流れる外気に晒されることによって支持部及び放電電極と外気との温度差が小さくなるので、支持部及び放電電極の結露を防止できる。また、この隙間によって、支持部とダクトとが分離及び絶縁されるので、ダクトに付着した水分が支持部に移ることを防止できるし、支持部とダクトとの間での短絡も防止できる。
【0015】
また、本発明によれば、開口は、外気をダクト内に導入する導入口と、ダクト内の空気をダクト外に排出する排出口とを含む。これにより、外気が導入口からダクト内に導入されてダクト内の空気が排出口からダクト外に排出されることによってダクトの内外の温度差が小さくなるので、ダクト内の結露を防止できる。そのため、結露による除湿装置の除湿性能の低下を抑制できる。
【0016】
また、本発明によれば、以上のような除湿装置を含んで収容槽とダクトとの間で空気を循環させる乾燥機では、前述したように、結露による除湿装置の除湿性能の低下を抑制できる。これにより、除湿装置によって除湿された空気を加熱部によって加熱してから収容槽に戻して乾燥対象物の乾燥に再び用いる際に、この空気によって収容槽内の乾燥対象物を効率的に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】乾燥機の除湿装置を構成する帯電部の側面図である。
【
図11】乾燥機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】変形例に係る帯電部及び捕集部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の乾燥機の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。
【0019】
左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左方X1といい、
図1の紙面における手前側を右方X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前方Y1といい、
図1における右側を後方Y2という。上下方向Zのうち、上側を上方Z1といい、下側を下方Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。横方向は、水平方向Hであってもよいし、水平方向Hに対して若干傾斜した略水平方向であってもよい。
【0020】
洗濯乾燥機1として、本実施形態ではドラム式の洗濯乾燥機を主な対象とするが、洗濯乾燥機1は、縦型の洗濯乾燥機であってもよい。また、本発明は、洗濯機能が省略されて乾燥運転だけを実行する乾燥機も対象とする。また、洗濯乾燥機1の乾燥対象物は、本実施形態では衣類などの洗濯物Lであるが、靴や食器などであってもよい。乾燥対象物が食器である乾燥機の一例は、食器洗い乾燥機である。
【0021】
洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置されて水槽3及び回転槽4を含み、洗濯物Lを収容する収容槽5と、水槽3に接続された給水路6及び排水路7と、回転槽4を回転させるモータ8と、洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とを含む。
【0022】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0023】
水槽3は、筐体2の底壁2Cから上方Z1へ延びるダンパ11によって支えられ、ばね(図示せず)によって吊り下げられる。これにより、水槽3を含む収容槽5の全体が、弾性支持される。水槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。
【0024】
背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Eと、第1部3Eの内周縁から前方Y1へ突出した円筒状の第2部3Fと、第2部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Gとを有する。第3部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。
【0025】
回転槽4は、軸線Jと一致した中心軸線を有する円筒体であって、水槽3よりも一回り小さい。回転槽4は、本実施形態では中心軸線が水平方向Hに沿うように水槽3内において水平に配置されるが、中心軸線が水平方向Hに対して傾斜するように斜めに配置されてもよい。回転槽4は、水槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁4Bと、円周壁4Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁4Cとを有する。円周壁4A及び背面壁4Bには、複数の貫通穴4Dが形成される。
【0026】
回転槽4の背面壁4Bの中心には、軸線Jに沿って後方Y2へ延びる支持軸12が設けられる。支持軸12の後端部は、水槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後方Y2に配置される。
【0027】
環状壁4Cの内側には、円周壁4Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口4Eが形成される。出入口4Eは、水槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。出入口3H及び出入口4Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口4Eを介して、回転槽4内に洗濯物Lを出し入れする。扉10には、扉10が開口2B、出入口3H及び出入口4Eを閉じたときに水槽3の正面壁3Cの第3部3Gに密着するパッキン13が設けられる。
【0028】
給水路6は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、筐体2内において水槽3の正面壁3Cの第2部3Fにおける例えば上部に接続された他端とを有し、当該他端には、水槽3内に上方Z1から臨んだ給水口6Aが設けられる。給水時には、蛇口からの水道水が給水路6を通って給水口6Aから水槽3内に供給される。水槽3内には、水道水、又は、水道水に洗剤が溶けた洗剤水が溜められる。以下では、水道水及び洗剤水を「水」と略称することがある。水槽3内の水は、回転槽4の貫通穴4Dを介して、水槽3と回転槽4との間で行き来する。そのため、水槽3内の水位と回転槽4内の水位とは、一致する。
【0029】
洗濯乾燥機1は、水槽3内の水位を検出する水位検出部14と、給水路6の途中に設けられた開閉可能な給水弁15を含む。水位検出部14として、様々な水位センサを採用できる。本実施形態における水位検出部14は、ダイヤフラム(図示せず)を内蔵する圧電式センサであって、ホース16を介して水槽3に接続される。水位検出部14は、水槽3内での水位の変化に伴って変動するホース16内の圧力をダイヤフラムによって測定することによって、水槽3内の水位を検出する。
【0030】
開状態の給水弁15は、給水路6を開くことにより、水槽3つまり収容槽5への給水を許容する。閉状態の給水弁15は、給水路6を閉じることにより、収容槽5への給水を停止する。
【0031】
排水路7は、水槽3の下端部、例えば円周壁3Aの下端部に接続される。水槽3内の水は、排水路7から筐体2の外、つまり機外に排出される。洗濯乾燥機1は、排水路7の途中に設けられた開閉可能な排水弁17を含む。開状態の排水弁17は、排水路7を開くことにより、水槽3の排水を許容する。閉状態の排水弁17は、排水路7を閉じることにより、排水を停止する。
【0032】
モータ8は、筐体2内において、水槽3の背面壁3Bの後方Y2に配置される。モータ8の一例として、DD(ダイレクトドライブ)モータを採用できる。モータ8は、回転槽4に設けられた支持軸12に連結される。モータ8が発生したトルクは、支持軸12に伝達され、回転槽4が、支持軸12を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸12と間には、モータ8のトルクを支持軸12に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0033】
乾燥ユニット9は、水槽3内の空気を循環させるための循環路20及び送風部21と、循環する空気を加熱する加熱部22と、循環路20内を流れる空気を除湿する除湿デバイス23とを含む。
【0034】
循環路20は、筐体2内において、例えば水槽3の上方Z1に配置されたダクトである。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下方Z2へ延びた後に前方Y1へ折れ曲がった後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下方Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、流出口20Dが形成される。流出口20Dは、水槽3の背面壁3Bの下部に接続され、水槽3内に後方Y2から連通する。前部分20Cの下端には、流入口20Eが形成される。流入口20Eは、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fの上端部に接続され、水槽3内に上方Z1から連通する。
【0035】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20の途中部分20A内に配置された回転羽根21Aと、回転羽根21Aを回転させるモータ(図示せず)とを含む。回転羽根21Aが回転すると、収容槽5内の空気、つまり水槽3内及び回転槽4内の空気が、太い破線矢印で示すように、流出口20Dを通って収容槽5から循環路20内に流出した後に、流入口20Eを通って収容槽5内に流入する。これにより、空気は、収容槽5と循環路20との間で循環するように流れる。この場合の循環路20は、外気つまり洗濯乾燥機1の外部の空気を取り込まなくても成立する完全内部循環経路であってもよい。
【0036】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器又は一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、放熱部22Aを有する。放熱部22Aは、本実施形態では循環路20内において送風部21の回転羽根21Aよりも流入口20Eに近い下流側に配置されるが、回転羽根21Aよりも流入口20Eから遠い上流側に配置されてもよい。
【0037】
加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になってから収容槽5に流入する。このように、加熱部22は、循環路20から収容槽5に流入する空気を加熱する。
【0038】
除湿デバイス23は、循環路20内を流れる空気に含まれる水分を帯電させる帯電部24と、帯電部24によって帯電された水分を捕集する捕集部25とを含む。帯電部24及び捕集部25は、循環路20内において、空気の流れ方向における送風部21及び加熱部22よりも上流側の領域に配置される。以下では、前述した左右方向X、前後方向Y及び上下方向Zに基づいて帯電部24及び捕集部25のそれぞれの向きを特定することがある。ただし、帯電部24及び捕集部25のそれぞれの向きは、任意に変更可能であり、例えば、帯電部24及び捕集部25のそれぞれについて、左右方向Xの向きを前後方向Yの向きとみなしてもよいし、前後方向Yの向きを左右方向Xの向きとみなしてもよい。
【0039】
図2は、帯電部24の右側面図であり、
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。帯電部24は、樹脂製で中空のケース30と、ケース30内に配置された複数の第1電極31と、ケース30内において隣り合う第1電極31の間に配置された第2電極32とを含む。
【0040】
ケース30の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁30Aによって構成された直方体であり、これらの縦壁30Aによって囲まれた空間が、ケース30の内部空間30Bである。ケース30には、4つの縦壁30Aの下端によって縁取られた矩形状の入口30Cと、4つの縦壁30Aの上端によって縁取られた矩形状の出口30Dとが形成される。ケース30の上端部は、一段太く構成され、これにより、出口30Dは、内部空間30Bよりも左右方向X及び前後方向Yにおいて大きい。
【0041】
内部空間30Bは、入口30Cから下方Z2へ開放され、出口30Dから上方Z1へ開放される。ケース30は、循環路20、詳しくは後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。そのため、ケース30の内部空間30B、入口30C及び出口30Dは、循環路20の内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。循環路20内を流れる空気は、本実施形態では、ケース30内において入口30Cから出口30Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。
【0042】
4つの縦壁30Aのうち、左方X1の縦壁30Aを左縦壁30AAといい、右方X2の縦壁30Aを右縦壁30ABといい、前方Y1の縦壁30Aを前縦壁30ACといい、後方Y2の縦壁30Aを後縦壁30ADという(
図4も参照)。左縦壁30AA及び右縦壁30ABは、左右方向Xにおいて互いに対向して配置され、左右対称又は略左右対称に構成される。前縦壁30AC及び後縦壁30ADは、前後方向Yにおいて互いに対向して配置される。左縦壁30AA及び右縦壁30ABは、前縦壁30AC及び後縦壁30ADと直交して配置される。
【0043】
左縦壁30AA及び右縦壁30ABのそれぞれにおいて前後方向Yにおける中央には、これらの縦壁30Aを左右方向Xに貫通した貫通穴である開口30Eが設けられる。開口30Eは、左縦壁30AA及び右縦壁30ABのそれぞれの上端部に1つずつ設けられた導入口30EAと、左縦壁30AA及び右縦壁30ABのそれぞれの下端部に1つずつ設けられた排出口30EBとを含む。左縦壁30AAでは、導入口30EAは、出口30Dから連続した状態で左縦壁30AAの上端部を下方Z2へ切り欠いたU字状の切欠きであり、排出口30EBは、入口30Cから連続した状態で左縦壁30AAの下端部を上方Z1へ切り欠いた逆U字状の切欠きである。右縦壁30ABの導入口30EA及び排出口30EBも同様に構成される(
図4参照)。
【0044】
これらの開口30Eは、ケース30の内部空間30Bを外気、つまり循環路20の外部の空気に連通させる。特に、導入口30EAは、外気をケース30内、つまり循環路20内に導入し(
図3の1点鎖線の矢印を参照)、排出口30EBは、ケース30内の空気を、ケース30外、つまり循環路20外に排出する(
図3の2点鎖線の矢印を参照)。外気は、ケース30内を流れる空気よりも低温である。また、洗濯乾燥機1の筐体2には、前述した開口2B(
図1参照)以外に、筐体2の内外を連通させる通気口(図示せず)が設けられるので、洗濯乾燥機1の外部の外気は、この通気口を通って筐体2内に流入することにより、循環路20の周辺にも存在する。
【0045】
左縦壁30AAの左面において上下方向Zにおける略中央部には、左方X1へ突出した突出部30Fが設けられる。右縦壁30ABの右面において上下方向Zにおける略中央部には、右方X2へ突出した突出部30Gが設けられる。突出部30F及び突出部30Gのそれぞれは、左右方向Xに延びる円柱状に構成され、単数又は複数設けられる。本実施形態では、突出部30F及び突出部30Gのそれぞれは、上下方向Zに並んで2つずつ設けられる。
【0046】
後縦壁30ADの後面の下端部には、左右方向Xに延びる中空のガイドボックス30Hが設けられる(
図5も参照)。ガイドボックス30Hの内部空間は、ケース30の内部空間30Bに後方Y2から連通した状態にある。ガイドボックス30Hにおいて内部空間を下方Z2から区画する底面30Iは、左方X1へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排水口30Jが形成される(
図6参照)。ガイドボックス30Hの下面には、排水口30Jを取り囲んだ状態で下方Z2へ突出した円筒状の連結部30Kが設けられる(
図6参照)。
【0047】
第1電極31は、左右方向Xに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、一例として、4枚の第1電極31が、ケース30の内部空間30Bにおいて、左右方向Xに等間隔を隔てて並んで配置される。
【0048】
帯電部24は、これらの第1電極31を保持する金属製のホルダ33を含む。ホルダ33は、左縦壁30AAの導入口30EAにおけるU字状の縁30Lの下端と、右縦壁30ABの導入口30EAにおけるU字状の縁30Mの下端との間に架設される。ホルダ33の左端部は、上方Z1に延びてから左方X1へ折れ曲がるL字状に形成され、縁30Lの下端に係合した状態にある。ホルダ33の右端部は、上方Z1に延びてから右方X2へ折れ曲がるL字状に形成され、縁30Mの下端に係合した状態にある。これにより、ホルダ33がケース30に対して位置決めされる。各第1電極31の上端は、ホルダ33に連結される。
【0049】
各第1電極31においてケース30の入口30C側の下端縁31Aは、ガイドボックス30Hへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する(
図2参照)。ケース30内には、ガイドボックス30Hの底面30Iから前上側へ傾斜して延びるスロープ30Nが設けられ、各第1電極31の下端縁31Aにおいて後方Y2の下端部は、スロープ30Nの真上に配置される(
図2参照)。
【0050】
第2電極32は、ワイヤーによって構成された放電電極であり、例えばタングステンによって形成されることにより、導電性を有し、第1電極31とは反対の極性を有する。第2電極32は、隣り合う第1電極31の間に1本ずつ配置される。各第1電極31は、隣の第2電極32に対して、例えば10mm程度の隙間Vを隔てて対向した状態にある。
【0051】
帯電部24は、これらの第2電極32を支持する金属製の支持部34を含む。支持部34は、上下一対存在する。一対の支持部34は、上方Z1の上支持部35と、下方Z2の下支持部36とを含む。
【0052】
上支持部35は、ケース30の内部空間30Bの上端部に配置された枠状の本体部35Aと、上支持部35の一部として本体部35Aから左右方向Xの両側へ延び出た左右一対の延設部35Bとを含む。それぞれの延設部35Bは、本体部35Aに接続されてケース30内で左右方向Xに水平に延びる内側部分35BAと、ケース30外に配置されて左右方向Xに水平に延びる外側部分35BBと、外側部分35BBから斜め下側へ傾斜して延びて内側部分35BAに接続された傾斜部分35BCとを含む。
【0053】
左方X1の延設部35Bでは、傾斜部分35BCが、ケース30の左縦壁30AAの導入口30EA内に配置され、外側部分35BBが、導入口30EAから左方X1へはみ出すことによってケース30外に露出される。傾斜部分35BCと、導入口30EAの縁30Lとの間には、隙間が設けられるので、傾斜部分35BCを含む延設部35Bの全体は、縁30Lに対して非接触である(
図4も参照)。外側部分35BBの左端部は、折り曲げられて下方Z2へ延びてもよい(
図12参照)。
【0054】
右方X2の延設部35Bでは、傾斜部分35BCが、ケース30の右縦壁30ABの導入口30EA内に配置され、外側部分35BBが、導入口30EAから右方X2へはみ出すことによってケース30外に露出される。傾斜部分35BCと、導入口30EAの縁30Mとの間には、隙間が設けられるので、傾斜部分35BCを含む延設部35Bの全体は、縁30Mに対して非接触である(
図4も参照)。外側部分35BBの右端部は、折り曲げられて下方Z2へ延びてもよい(
図12参照)。
【0055】
下支持部36は、ケース30の内部空間30Bの下端部に配置された枠状の本体部36Aと、上支持部35の一部として本体部36Aから左右方向Xの両側へ延び出た左右一対の延設部36Bとを含む。それぞれの延設部36Bは、本体部36Aに接続されてケース30内で左右方向Xに水平に延びる内側部分36BAと、ケース30外に配置されて左右方向Xに水平に延びる外側部分36BBと、外側部分36BBから斜め下側へ傾斜して延びて内側部分36BAに接続された傾斜部分36BCとを含む。
【0056】
左方X1の延設部36Bでは、傾斜部分36BCが、ケース30の左縦壁30AAの排出口30EB内に配置され、外側部分36BBが、排出口30EBから左方X1へはみ出すことによってケース30外に露出される。傾斜部分36BCと、左縦壁30AAの排出口30EBにおける逆U字状の縁30Pとの間には、隙間が設けられるので、傾斜部分36BCを含む延設部36Bの全体は、縁30Pに対して非接触である。
【0057】
右方X2の延設部36Bでは、傾斜部分36BCが、ケース30の右縦壁30ABの排出口30EB内に配置され、外側部分36BBが、排出口30EBから右方X2へはみ出すことによってケース30外に露出される。傾斜部分36BCと、左縦壁30AAの排出口30EBにおける逆U字状の縁30Qとの間には、隙間が設けられるので、傾斜部分36BCを含む延設部36Bの全体は、縁30Qに対して非接触である(
図4も参照)。
【0058】
帯電部24は、上支持部35及び下支持部36において左右方向Xで同じ側に位置する外側部分35BB及び外側部分36BB同士を連結する金属製の連結部37を含んでもよい。連結部37は、上下方向Zに細長いレール状であり、左右一対存在する。
【0059】
左方X1の連結部37は、上支持部35における左方X1の外側部分35BBと、下支持部36における左方X1の外側部分36BBとの間に架設される。左方X1の連結部37は、ケース30の左縦壁30AAの突出部30Fに左方X1から接触することによって左右方向Xにおいて位置決めされる。右方X2の連結部37は、上支持部35における右方X2の外側部分35BBと、下支持部36における右方X2の外側部分36BBとの間に架設される。右方X2の連結部37は、ケース30の右縦壁30ABの突出部30Gに右方X2から接触することによって左右方向Xにおいて位置決めされる。
【0060】
それぞれの第2電極32は、ケース30の内部空間30Aに配置されて、上支持部35の本体部35Aと下支持部36の本体部36Aとの間に架設される。それぞれの第2電極32は、上下方向Zに沿って垂直に延びてもよいし、下方Z2へ向かうにつれて前方Y1又は後方Y2にずれるように上下方向Zに対して傾斜してもよい。本体部35Aには、上方Z1へ突出する板状の突出部35AAが、左右方向Xに並んで設けられてもよい。本体部36Aには、下方Z2へ突出する板状の突出部36AAが、左右方向Xに並んで設けられてもよい。
【0061】
本実施形態では、第1電極31の極性がグラウンド側の負極であり、第2電極32の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から帯電部24に電圧が印加されると、第1電極31と第2電極32との間に数kV~数十kVの高電圧が印加されることによって、第2電極32が放電する。すると、第2電極32の周囲の空気がプラズマ状態になり、この空気中の分子が陽イオン化して第1電極31へ移動する。これにより、第1電極31と第2電極32との間に数10μAの電流が流れる。
【0062】
ケース30の内部空間30Bにおいて第1電極31と第2電極32の間を流れる空気に含まれる水分は、第2電極32の放電により、陽イオンや電子に衝突することによって正極に帯電される。正極に帯電された水分は、負極の第1電極31に引き寄せられて、第1電極31に捕集される。これにより、第1電極31と第2電極32の間の空気が除湿される。
【0063】
第1電極31に捕集された水分は、第1電極31の表面で水滴となり、自重によって第1電極31の下端縁31Aの傾斜に沿って流れ(
図2の矢印Q1を参照)、スロープ30Nの上面に落下する。スロープ30N上に落下した水分は、スロープ30Nの上面の傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス30Hの内部空間に流入し(
図2の矢印Q2を参照)、ガイドボックス30Hの底面30Iの傾斜に沿って流れ落ちて排水口30Jから連結部30K内に流入する(
図6の矢印Q3を参照)。
【0064】
このように、本実施形態では、第1電極31が、帯電された水分とは反対の極性を有して当該水分を捕集する。なお、第1電極31の極性が正極であって第2電極の極性が負極である逆の構成もあり得るが、この構成でも、第2電極32が放電して、第1電極31が集水する。
【0065】
なお、本実施形態では、ケース30内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース30の入口30C及び出口30Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース30内で空気が左右方向Xなどの横方向に流れてもよく、その場合には、入口30C及び出口30Dが横方向に並ぶようにケース30の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第1電極31及び第2電極32は、入口30Cから出口30Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。
【0066】
図7は、捕集部25の平面図である。捕集部25は、循環路20での空気の流れ方向において帯電部24の下流側に配置され、本実施形態では、帯電部24の上方Z1に隣接配置される(
図1参照)。捕集部25は、樹脂製で中空のケース40と、ケース40内に配置された複数の第3電極43と、隣り合う第3電極43の間に配置された第4電極44とを含む。
【0067】
ケース40の一例は、上下方向Zに延びる4つの縦壁40Aによって構成された直方体である。これらの縦壁40Aによって囲まれた空間が、ケース40の内部空間40Bである。ケース40には、4つの縦壁40Aの下端によって縁取られた矩形状の入口40Cと、4つの縦壁40Aの上端によって縁取られた矩形状の出口40Dとが形成される(
図8も参照)。内部空間40Bは、入口40Cから下方Z2へ開放され、出口40Dから上方Z1へ開放される。
【0068】
ケース40は、循環路20の後部分20Bにおいて上下方向Zに延びる部分の一部を構成する(
図1参照)。ケース40の内部空間40B、入口40C及び出口40Dは、循環路20の内部空間において上下方向Zに延びる領域の一部を構成する。ケース30がケース40に連結されることにより、ケース40の入口40Cは、帯電部24のケース30の出口30D(
図3参照)に上方Z1から連通する。ケース30とケース40とは、一体形成されてもよい。
【0069】
図8は、
図7のB-B矢視断面図である。循環路20を流れて帯電部24のケース30内を通過した空気は、本実施形態では、ケース40内において入口40Cから出口40Dへ向かって上昇する(太い破線矢印を参照)。4つの縦壁40Aにおいて、一対の縦壁40AAは、残り一対の縦壁40ABと直交して配置される。一対の縦壁40AAにおける一方の下端部には、貫通穴40Eと、貫通穴40Eの下端から内部空間40Bに突出したスロープ40Fと、ケース40の外から貫通穴40Eを覆うガイドボックス40Gとを含む。
【0070】
貫通穴40E、スロープ40F及びガイドボックス40Gは、一対の縦壁40ABの対向方向Rにおいて長手である。対向方向Rは、左右方向Xであってもよいし、前後方向Yであってもよい。貫通穴40E及びスロープ40Fは、内部空間40Bにおいて対向方向Rの全域にわたって設けられる。スロープ40Fは、貫通穴40Eから斜め上側へ傾斜して配置され、スロープ40Fの上面40Hも傾斜する。上面40Hにおいて貫通穴40Eから最も離れた上端部には、上方Z1へ突出した突出部40Iが設けられる。
【0071】
ガイドボックス40Gの内部空間40Jは、貫通穴40Eに連通した状態にある。
図9は、
図7のC-C矢視断面図である。ガイドボックス40Gにおいて内部空間40Jを下方Z2から区画する底面40Kは、貫通穴40Eを介してスロープ40Fの上面40Hの下端に接続される。底面40Kは、例えば対向方向Rにおける一方へ向かうにつれて次第に下降する傾斜面であり、その下端には、排水口40Lが形成される。ガイドボックス40Gの下面には、排水口40Lを取り囲んだ状態で下方Z2へ突出した円筒状の連結部40Mが設けられる。
【0072】
第3電極43は、対向方向Rに薄い板状の対向電極であり、例えばステンレス又はアルミニウムによって形成されることにより、導電性を有する。本実施形態では、7枚の第3電極43が、ケース40の内部空間40Bにおいて、対向方向Rに等間隔を隔てて並んで配置される(
図7参照)。各第3電極43は、その上端部から突出した突出部43Aがケース40の出口40Dにおける段部40Nに係合することによって、内部空間40Bにて位置決めされる。なお、対向方向Rに延びる連結軸45が各第3電極43の突出部43Aを串刺しすることによって、全ての第3電極43が一体化されてもよい(
図8参照)。
【0073】
各第3電極43においてケース40の入口40C側の下端縁43Bは、縦壁40AAの貫通穴40Eへ向かって次第に下降するように直線状に傾斜する。各第3電極43の下端縁43Bにおいて貫通穴40E側の下端部は、スロープ40Fの真上に配置され、貫通穴40Eと上下方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0074】
図10は、
図8から第4電極44を抜き出した図である。各第4電極44は、一対の縦壁40AAの対向方向S(
図8参照)に長手の本体44Aと、本体44Aの大部分を被覆した絶縁体44Bとを有する絶縁電極である。対向方向Sは、前述した対向方向Rに直交する方向である。本体44Aは、例えば銅によって形成されることにより、導電性を有する。本体44Aは、第3電極43とは反対の極性を有する。絶縁体44Bは、一対の縦壁40AAの対向方向Rにおいて薄く、対向方向Sに長い長方形の板状である。
【0075】
第4電極44は、隣り合う第3電極43の間に1つずつ配置され、第3電極43と非接触の状態で、一対の縦壁40AAの間に架設される(
図7及び
図8参照)。各第4電極44の大部分は、対向方向Rから見て、各第3電極43と重なって配置される(
図8参照)。本体44Aにおいて絶縁体44Bからはみ出した根元部44AAと、絶縁体44Bにおいて根元部44AA側の部分とは、ケース40の外に配置される。
【0076】
本実施形態では、第3電極43の極性がグラウンド側の負極であり、第4電極44の極性が正極である。洗濯乾燥機1に設けられた電源(図示せず)から捕集部25に電圧が印加されると、第3電極43と第4電極44との間に数kV~数十kVの高電圧が印加される。ただし、第4電極44の表面が絶縁体44Bによって構成されるので、第3電極43と第4電極44との間に電流は流れない。そのため、第3電極43と第4電極44との間のリークなどによるスパークや電圧変動が防止される。
【0077】
一方、第3電極43と第4電極44との間に電界が発生するので、帯電部24によって正極に帯電された状態で捕集部25のケース40内に流入した水分が、本実施形態では負極の第3電極43によって捕集される。これにより、捕集部25は、帯電された水分を効果的に捕集することができる。そのため、帯電部24で除湿された空気が、さらに除湿される。
【0078】
第3電極43に捕集された水分は、第3電極43の表面で水滴となり、自重によって第3電極43の下端縁43Bの傾斜に沿って流れ(
図8の矢印T1を参照)、スロープ40Fの上面40H上に落下する。上面40H上に落下した水分は、上面40Hの傾斜に沿って流れ落ちてガイドボックス40Gの内部空間40Jに流入し(
図8の矢印T2を参照)、ガイドボックス40Gの底面40Kの傾斜に沿って流れ落ちて排水口40Lから連結部40M内に流入する(
図9の矢印T3を参照)。
【0079】
なお、第3電極43の極性が正極であって第4電極44の極性が負極である逆の構成もあり得る。また、本実施形態では、ケース40内で空気が上昇するように流れるのに応じて、ケース40の入口40C及び出口40Dが上下方向Zに並んで配置されるが、ケース40内で空気が横方向に流れてもよく、その場合には、入口40C及び出口40Dが横方向に並ぶようにケース40の姿勢が変更されてもよい。いずれにせよ、第3電極43及び第4電極44は、入口40Cから出口40Dに流れる空気の抵抗とならないにように、この空気の流れに沿って配置される。また、帯電部24によって十分な除湿性能を確保できる場合には、捕集部25は、省略されてもよい。
【0080】
図1を参照して、除湿デバイス23は、帯電部24及び捕集部25から下方Z2へ延びて排水路7に接続される排出路46をさらに含む。排出路46の一端部46Aは、分岐して帯電部24の連結部30K及び捕集部25の連結部40Mのそれぞれに接続される(
図6及び
図9参照)。
【0081】
排出路46において一端部46Aとは反対の他端部46Bは、
図1では排水路7に直接接続される。帯電部24において連結部30K内に流入した水分や、捕集部25において連結部40M内に流入した水分は、排出路46を流れた後に、排水路7から機外に排出される。他端部46Bは、水槽3の背面壁3Bに接続されてもよく、その場合、連結部40M内に流入した水分は、排出路46を流れて水槽3内に流入した後に、排水路7から機外に排出される。
【0082】
洗濯乾燥機1は、収容槽5と循環路20との間で循環する空気の湿度を検出する湿度検出部50と、この空気の温度を検出する温度検出部51とを含む。
【0083】
湿度検出部50として、公知の湿度センサを採用できる。湿度検出部50は、循環路20内において流出口20Dの近傍に配置された第1湿度検出部50Aと、循環路20内において送風部21と捕集部25との間に配置された第2湿度検出部50Bとを含む。
【0084】
温度検出部51として、サーミスタなどの公知の温度センサを採用できる。温度検出部51は、循環路20内において流出口20Dの近傍に配置された第1温度検出部51Aと、循環路20内において送風部21と捕集部25との間に配置された第2温度検出部51Bとを含む。なお、近い位置に配置された湿度検出部50及び温度検出部51は、1つの湿度温度検出部として一体化されてもよい。
【0085】
洗濯乾燥機1は、制御部55をさらに含む。制御部55は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される。モータ8、水位検出部14、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、帯電部24、捕集部25、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれは、制御部55に対して電気的に接続される(
図11参照)。水位検出部14、湿度検出部50及び温度検出部51のそれぞれの検出値は、リアルタイムで制御部55に入力される。洗濯乾燥機1において、収容槽5、循環路20及び除湿デバイス23のまとまりは、除湿装置60を構成する。除湿装置60は、制御部55も含んでもよい。
【0086】
制御部55は、モータ8、給水弁15、排水弁17、送風部21、加熱部22、帯電部24及び捕集部25のそれぞれの動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、序盤の洗い工程と、洗い工程後に1回又は複数回実行されるすすぎ工程と、少なくとも最後のすすぎ工程後に実行される脱水工程と、終盤の乾燥工程とを含む。これらの工程のそれぞれは、独立した運転であってもよく、その場合、例えば、洗い工程は洗い運転であり、乾燥工程は、乾燥運転である。
【0087】
制御部55は、洗い工程では、まず、モータ8を作動させて回転槽4を正回転させたり逆回転させたりし、その際のモータ8の電流値に基づいて、回転槽4内において乾燥状態にある洗濯物Lの質量を判定する。制御部55は、判定した洗濯物Lの質量に基づいて、必要な洗剤量と、洗い工程での水槽3内の目標水位とを決定する。制御部55は、決定した洗剤量の情報を、筐体2の前面2Aなどに設けられた表示操作部(図示せず)に表示する。
【0088】
そして、制御部55は、排水弁17を閉じた状態で給水弁15を開くことによって給水処理を実行する。これにより、給水路6からの水道水が、給水口6Aから水槽3内に流入して溜まるので、水槽3内の水位が上昇する。水槽3内の水位が目標水位まで上昇したことが水位検出部14によって検出されると、制御部55は、給水弁15を閉じることによって給水処理を終了する。給水処理の前後に、洗剤が、使用者によって回転槽4内に手動投入されたり、自動投入されたりする。これにより、洗剤が水道水に溶けることによって生成された洗剤水が、回転槽4内に溜まる。
【0089】
制御部55は、給水処理後の洗い処理として、モータ8によって回転槽4を回転させる。これにより、回転槽4内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、回転槽4に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水弁17を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0090】
制御部55は、すすぎ工程では、排水弁17を閉じた状態で、少なくとも給水弁15を所定時間開いて水槽3に水道水を溜めてから、モータ8によって回転槽4を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが回転槽4内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部55が排水すると、すすぎ工程が終了する。
【0091】
制御部55は、脱水工程では、排水弁17を開いた状態で、回転槽4を脱水回転させる。回転槽4の脱水回転により生じた遠心力によって、回転槽4内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路7から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。最後の脱水工程の後に、制御部55は、回転槽4を正回転及び逆回転をクイックに繰り返すことによって、回転槽4内の洗濯物Lを回転槽4の円周壁4Aから剥がしたりほぐしたりする。これにより、その後の乾燥工程において、洗濯物Lに皺が発生することを防止できる。
【0092】
制御部55は、少なくとも送風部21、加熱部22及び除湿デバイス23を制御することによって、乾燥工程、つまり乾燥運転を実行する。乾燥運転では、送風部21及び加熱部22が作動することによって、熱風が発生して収容槽5と循環路20との間で循環し、回転槽4内の洗濯物Lに浴びせられる。これにより、洗濯物L内の水分と熱風との熱交換によって、この水分が蒸発して水蒸気となるので、洗濯物Lの乾燥が促進される。
【0093】
収容槽5内の洗濯物Lから発生した水蒸気は、循環する空気に乗って流出口20Dから循環路20に流出する。乾燥運転では、制御部55の制御によって除湿デバイス23の帯電部24及び捕集部25に電圧が印加される。これによって、洗濯物Lから蒸発した水分を乗せて循環路20内を流れる空気が、前述したように、帯電部24のケース30の内部空間30B及び捕集部25のケース40の内部空間40Bを通過する際に除湿される。除湿後の加熱部22によって加熱されて熱風となり、流入口20Eから収容槽5内に流入して洗濯物Lの乾燥に再び用いられる。
【0094】
図3を参照して、前述したように、循環路20の一部である帯電部24のケース30には、循環路20の内部空間を外気に連通させる開口30Eが設けられる。これにより、外気が開口30Eを通って循環路20の内部に出入りすることによって(
図3の1点鎖線及び2点鎖線の矢印を参照)、循環路20の内外の温度差が小さくなるので、循環路20内の結露を防止できる。そのため、結露による除湿装置60の除湿性能の低下を抑制できる。
【0095】
また、第2電極32を支持する支持部34の一部、つまり延設部35Bの外側部分35BB及び延設部36Bの外側部分36BBが、開口30Eから循環路20外に露出される。これにより、循環路20内の第2電極32の温度と循環路20外の温度との差が小さくなるので、第2電極32の結露を防止できる。そのため、結露による水滴によって第1電極31と第2電極32との間の隙間Vが小さくなることを防止して、この隙間Vを所定以上の大きさに維持できるので、第2電極32の放電を安定させることができる。したがって、結露による除湿装置60の除湿性能の低下を一層抑制できる。なお、水分を捕集する機能を有する第1電極31については、特段の結露対策は不要である。
【0096】
また、支持部34において開口30E内に配置された部分である延設部35Bの傾斜部分35BC及び延設部36Bの傾斜部分36BCのそれぞれと、循環路20における開口30Eの縁30L、30M、30P及び30Qのいずれかとの間には、隙間が設けられる(
図4も参照)。これにより、支持部34において開口30E内に配置された傾斜部分35BC及び傾斜部分36BCが、周囲の隙間を流れる外気に晒されることによって支持部34及び第2電極32と外気との温度差が小さくなるので、支持部34及び第2電極32の結露を防止できる。また、この隙間によって、支持部34と循環路20とが分離及び絶縁されるので、循環路20に付着した水分が支持部34に移ることを防止できるし、第2電極32側の支持部34と、第1電極31側の循環路20との間での短絡も防止できる。
【0097】
さらに、傾斜部分35BC及び傾斜部分36BCのそれぞれの上面部では、水滴が付着しても、この水滴を、当該上面部上に留めたりケース30外に逃がしたりすることなく、当該上面部の傾斜に沿ってケース30内に流れ落とすことができる。傾斜部分35BC及び傾斜部分36BCのそれぞれの表面部、特に少なくとも上面部は、水滴の滞留を防止するために、吸湿機能又は撥水機能を有するコーティング層によって被覆されてもよい。
【0098】
また、開口30Eは、外気を循環路20内に導入する導入口30EAと、循環路20内の空気を循環路20外に排出する排出口30EBとを含む。これにより、外気が導入口30EAから循環路20内に導入されて(
図3の1点鎖線の矢印を参照)、循環路20内の空気が排出口30EBから循環路20外に排出されることによって(
図3の2点鎖線の矢印を参照)、循環路20の内外の温度差が小さくなるので、循環路20内の結露を防止できる。そのため、結露による除湿装置60の除湿性能の低下を抑制できる。
【0099】
以上のような除湿装置60を含んで収容槽5と循環路20との間で空気を循環させる洗濯乾燥機1では、前述したように、結露による除湿装置60の除湿性能の低下を抑制できる。これにより、除湿装置60によって除湿された空気を加熱部22によって加熱してから収容槽5に戻して洗濯物Lの乾燥に再び用いる際に、この空気によって収容槽5内の洗濯物Lを効率的に乾燥させることができる。
【0100】
そして、制御部55は、乾燥運転の後期の最後において、加熱部22を停止させて、クールダウン処理を実行する。制御部55は、クールダウン処理では、加熱部22を停止させた状態で送風部21を引き続き作動させる。これにより、冷風が循環することによって収容槽5内の洗濯物Lや扉10が冷却される。その後、使用者は、扉10を開いて、収容槽5内から洗濯物Lを取り出すことができる。
【0101】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0102】
図12は、変形例に係る帯電部24及び捕集部25の断面図である。
図12において、今まで説明した部分と同一の部分には同一符号を付して、当該部分についての説明は省略する。また、
図12では、捕集部25内の第3電極43及び第4電極44の図示が省略される。
【0103】
前述した実施形態では、帯電部24におけるそれぞれの第2電極32では、上端部及び下端部の両方が支持部34によって支持される(
図3参照)。一方、
図12に示す変形例のように、それぞれの第2電極32では、上端部だけが支持部34つまり上支持部35によって支持されてもよい。これに応じて、帯電部24のケース30の下端部の開口30Eと、前述した下支持部36(
図3参照)とが省略され、ケース40の縦壁40Aに開口40Pが設けられる。
【0104】
この場合、開口40Pが、前述した導入口30EAとして機能して、ケース30の上端部の開口30Eが、排出口30EBとして機能する。そのため、外気が開口40Pからケース40内、つまり循環路20内に導入されて(
図12の1点鎖線の矢印を参照)、ケース30内、つまり循環路20内の空気が排出口30EBから循環路20外に排出される(
図12の2点鎖線の矢印を参照)。これにより、変形例でも循環路20の内外の温度差が小さくなるので、循環路20内の結露を防止できる。
【0105】
また、
図1を参照して、乾燥ユニット9は、循環路20から分岐して洗濯乾燥機1の機外に連通した排気路20Fをさらに含んでもよい。排気路20Fにおいて機外に連通する部分は、筐体2に形成された排気口20Gである。
【0106】
循環路20も、洗濯乾燥機1の機外に連通してもよい。この場合、循環路20において機外に連通する部分は、筐体2に形成された吸気口20Hであり、流入口20Eと吸気口20Hとの間の領域に送風部21及び加熱部22が配置される。循環路20は、排気路20Fに接続された部分から流入口20Eと吸気口20Hとの間の領域まで延びる接続路20Iを有する。
【0107】
排気路20Fには、排気口20Gを開閉する排気弁61が設けられ、循環路20には、吸気口20Hを開閉する吸気弁62が設けられる。排気弁61及び吸気弁62は、調整弁であり、それぞれの開閉は、制御部55によって制御される。特に、制御部55は、排気弁61及び吸気弁62のそれぞれの開度を調整することができる。
【0108】
排気弁61及び吸気弁62のそれぞれは、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって排気弁61を開くと、排気口20Gが開放されるので、排気路20F内の空気が機外に排出される。制御部55が開度を増大させることによって吸気弁62を開くと、吸気口20Hが開放されるので、外気が循環路20内に流入することができる。吸気口20Hには、外気に含まれる異物を捕獲するフィルタ(図示せず)が設けられてもよい。
【0109】
接続路20Iには、切替部63が設けられる。切替部63は、開閉可能な調整弁などによって構成される。制御部55は、切替部63の開度を調整することによって、切替部63を開閉する。切替部63は、開度が零のときに閉じた状態にある。制御部55が開度を増大させることによって切替部63を開くと、循環路20が開通するので、この状態で送風部21が作動すると、循環路20内の空気は、前述したように循環する。一方、切替部63が閉じると、循環路20が接続路20Iにおいて遮断されるので、循環路20内の空気は、排気路20Fに流れて機外に排出される。このように、切替部63は、制御部55の制御によって循環路20内の空気を排気路20Fに流したり接続路20Iに流したりする。
【0110】
なお、循環路20では、接続路20Iが省略されてもよい。この場合に送風部21が作動すると、外気が吸気口20Hから循環路20に流入して加熱部22によって加熱されて熱風となり、熱風は、流入口20Eから収容槽5内の洗濯物Lに浴びせられた後に、流出口20Dから循環路20に流出して排気路20F経由で排気口20Gから機外に排出されるので、乾燥運転中の空気は、循環せずに、常に一方向に流れる。
【0111】
また、除湿装置60は、洗濯乾燥機1以外にも、前述した食器洗い乾燥機や、電気ポットや、炊飯器や、冷蔵庫や、冷凍庫にも適用できる。
【符号の説明】
【0112】
1 洗濯乾燥機
5 収容槽
20 循環路
21 送風部
22 加熱部
30 ケース
30B 内部空間
30E 開口
30EA 導入口
30EB 排出口
30L 縁
30M 縁
30P 縁
30Q 縁
31 第1電極
32 第2電極
34 支持部
35BB 外側部分
35BC 傾斜部分
36BB 外側部分
36BC 傾斜部分
40 ケース
40P 開口
60 除湿装置
L 洗濯物
V 隙間