(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095523
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
B65D47/08 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211467
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】島田 知
(72)【発明者】
【氏名】高山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】飛内 翔
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084FC07
3E084GB06
3E084HB01
3E084HC03
3E084HD03
3E084LA03
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】折り曲げ工程にて係止片56が被係止片40に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲することが防止される、新規の合成樹脂製容器蓋を提供すること。
【解決手段】破断可能橋絡部74がスカート壁48の下面と係止片56の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジ74aを含むように構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体、及びヒンジ手段を介して該蓋本体に接続され、該蓋本体の上面を覆う閉位置と該蓋本体の上面を露呈させる開位置との間を旋回自在な上蓋を具備し、
該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を夫々含み、
該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に、該装着壁には被係止片が配設されており、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると該係止片が該被係止片に弾性的に係止せしめられ、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される合成樹脂製容器蓋において、
該破断可能橋絡部は該スカート壁の下面と該係止片の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジを含む、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該装着壁の外周面には、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられた際に該内接ブリッジと干渉することを回避するための逃げ凹部が形成されている、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該係止片の下端部には、径方向に延在する係止上面と、該係止上面の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面とを備えた突部が設けられている、請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
該係止片は径方向外側に延出するフランジ部を備えており、該フランジ部の径方向外側端は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する、請求項1乃至3のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項5】
該係止片の内側面は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する、請求項1乃至4のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
該被係止片は該装着壁の外周面から径方向外側に離隔して該外周面に沿って周方向に延在する帯状主部を備え、該帯状主部の上面の少なくとも内周縁部分には、径方向内側に向かって下方に傾斜する案内面が設けられている、請求項1乃至5のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項7】
該帯状主部には径方向に延在する被係止下面が形成されており、該被係止下面は該案内面の下方であって且つ該帯状主部の上下方向中間部に設けられている、請求項6に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項8】
該破断可能橋絡部は該スカート壁の外周面の下端部と該係止片の上面とを局所的に接続する少なくとも1個の外接ブリッジを含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項9】
該内接ブリッジは該係止片の周方向両端部に配置されていると共に、該外接ブリッジは該係止片の周方向中央に1つ配置されている、請求項8に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項10】
該係止片及び該被係止片は夫々、平面視において、該ヒンジ手段の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に設けられている、請求項1乃至9のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項11】
該閉塞壁には無端薄肉破断可能ラインによって除去領域が規定され、該除去領域の上面には、上方に延出する連結柱が配設されており、該連結柱の上端には引張リングが連結されている、請求項1乃至10のいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋本体、及びヒンジ手段を介して蓋本体に接続され、蓋本体を覆う閉位置と蓋本体を露呈させる開位置との間を旋回自在な上蓋を具備する容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、蓋本体、及びヒンジ手段を介して蓋本体に接続され、蓋本体の上面を覆う閉位置と蓋本体の上面を露呈させる開位置との間を旋回自在な上蓋を具備する容器蓋の一例が示されている。該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を夫々含んでいる。該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に、該装着壁には被係止片が配設されている。かような容器蓋は、上蓋が開位置にある状態で成形され、上蓋が開位置から閉位置に旋回せしめられる折り曲げ工程を経て完成する。かかる折り曲げ工程では所要押圧力で上蓋を蓋本体に押圧して係止片を被係止片に弾性的に係止させる。そして、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される。該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離されることで、蓋本体に対して上蓋が開封されたことが明示される。なお、上記破断可能橋絡部は、特許文献1に示された容器蓋にあってはスカート壁の下面と係止片の上面とを、特許文献2に示された容器蓋にあってはスカート壁の外側面の下端部と係止片の内側面の上端部とを夫々接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4916234号公報
【特許文献2】特開2013-237463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に示された容器蓋は以下のとおりの問題を有する。即ち、上記折り曲げ工程では所要押圧力で上蓋を蓋本体に押圧することから、上記押圧力が上蓋に作用せしめられた際に係止片が被係止片に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲せしめられる場合がある。係止片が被係止片に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲せしめられると上記折り曲げ工程を完遂することはできず、歩留まりが生じる。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、折り曲げ工程にて係止片が被係止片に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲することが防止される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、破断可能橋絡部がスカート壁の下面と係止片の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジを含むように構成することで、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋として、蓋本体、及びヒンジ手段を介して該蓋本体に接続され、該蓋本体の上面を覆う閉位置と該蓋本体の上面を露呈させる開位置との間を旋回自在な上蓋を具備し、
該蓋本体は閉塞壁及び該閉塞壁の周縁から垂下する筒状装着壁を、該上蓋は天面壁及び該天面壁の周縁から垂下するスカート壁を夫々含み、
該スカート壁には破断可能橋絡部を介して下方に延びる係止片が配設されていると共に、該装着壁には被係止片が配設されており、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられると該係止片が該被係止片に弾性的に係止せしめられ、該上蓋が該閉位置から該開位置に旋回せしめられる際には該破断可能橋絡部が破断されて該係止片が該スカート壁から分離される合成樹脂製容器蓋において、
該破断可能橋絡部は該スカート壁の下面と該係止片の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジを含む、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0008】
好ましくは、該装着壁の外周面には、該上蓋が該閉位置に旋回せしめられた際に該内接ブリッジと干渉することを回避するための逃げ凹部が形成されている。該係止片の下端部には、径方向に延在する係止上面と、該係止上面の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面とを備えた突部が設けられているのが好ましい。好適には、該係止片は径方向外側に延出するフランジ部を備えており、該フランジ部の径方向外側端は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する。好ましくは、該係止片の内側面は該スカート壁の外周面よりも径方向外側に位置する。該被係止片は該装着壁の外周面から径方向外側に離隔して該外周面に沿って周方向に延在する帯状主部を備え、該帯状主部の上面の少なくとも内周縁部分には、径方向内側に向かって下方に傾斜する案内面が設けられているのが好適である。この場合には、該帯状主部には径方向に延在する被係止下面が形成されており、該被係止下面は該案内面の下方であって且つ該帯状主部の上下方向中間部に設けられているのがよい。該破断可能橋絡部は該スカート壁の外周面の下端部と該係止片の上面とを局所的に接続する少なくとも1個の外接ブリッジを含むのが好ましい。この場合には、該内接ブリッジは該係止片の周方向両端部に配置されていると共に、該外接ブリッジは該係止片の周方向中央に1つ配置されているのがよい。好適には、該係止片及び該被係止片は夫々、平面視において、該ヒンジ手段の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に設けられている。該閉塞壁には無端薄肉破断可能ラインによって除去領域が規定され、該除去領域の上面には、上方に延出する連結柱が配設されており、該連結柱の上端には引張リングが連結されているのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、破断可能橋絡部はスカート壁の下面と係止片の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジを含んでおり、係止片は内接ブリッジによって径方向内側から支持されている。それ故に、折り曲げ工程にて上蓋が所要押圧力によって押圧せしめられた際に、係止片が被係止片に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲せしめられることは防止され、歩留まりが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の上蓋が開位置にある状態での平面図。
【
図2】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態での底面図。
【
図3】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態での正面図。
【
図5】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態で、上蓋を省略して示す左側面図。
【
図6】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態で、蓋本体を省略して示す右側面図。
【
図7】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態で、係止片の縦断面を拡大して示す図。
【
図8】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態で、内接ブリッジを拡大して示す斜視図。
【
図9】
図1に示す容器蓋の上蓋が開位置にある状態で、外接ブリッジを拡大して示す斜視図。
【
図10】
図1に示す容器蓋の上蓋が閉位置にある状態での正面図。
【
図11】
図1に示す容器蓋の上蓋が閉位置にある状態での左側面図。
【
図13】
図1に示す容器蓋の上蓋が閉位置から開位置に旋回せしめられた状態での正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。ここで、本明細書における上下方向は、特段の指定がない限り、上蓋が後述する閉位置にある状態を基準とする。従って、上蓋が後述する開位置にある状態にあっては、上下方向は反転する。
【0012】
図1乃至
図4を参照して説明すると、全体を番号2で示す合成樹脂製容器蓋は、蓋本体4及び上蓋6を具備しており、蓋本体4と上蓋6とはヒンジ手段8を介して接続されている。
【0013】
図4と共に
図1乃至
図3を参照して説明すると、蓋本体4は平面視において円形の閉塞壁10及びこの閉塞壁10の周縁から垂下する円筒形状の装着壁12を含んでいる。閉塞壁10は下方に凹んだすり鉢状の中央部14とこの中央部14を囲繞する略円環形状の外周部16とに区画される。中央部14は閉塞壁10の中心に対してヒンジ手段8とは直径方向の反対側に幾分変位して位置する。閉塞壁10の中央部14には無端薄肉破断可能ライン18によって除去領域20が規定されている。無端薄肉破断可能ライン18は閉塞壁10の厚さを局部的に低減せしめることによって形成される所謂スコアから構成される。除去領域20の上面には、上方に延出する連結柱22が配設されており、連結柱22の上端には引張リング24が連結されている。中央部14と外周部16との境界部分には閉塞壁10の上面から上方に延びる円筒形状の注出案内壁26が形成されている。注出案内壁26の延出端部つまり上端部は径方向外側に湾曲せしめられたリップ形状となっている。外周部16の上面、さらに詳しくは閉塞壁10の上面の外周縁部には、上方に向かって径方向外側に延びる筒状の係合壁28が設けられており、係合壁28の外周面の上端部には径方向外側に突出する係合突条30が形成されている。外周部16の下面には、下方に垂下する略円筒形状のシール壁32が形成されている。
【0014】
装着壁12の内周面下端部には係止手段34が配設されている。図示の実施形態においては、
図2に示すとおり、係止手段34は周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個(図示の実施形態においては6個)の弧状突条から構成されている。所望ならば、係止手段を周方向に連続して延びる環状突条から構成することもできる。
図4と共に
図1及び
図5を参照することによって理解されるとおり、装着壁12の外周面においてヒンジ手段8とは直径方向反対側には、装着壁12の上部において円弧状に延びる切欠36が形成されており、かかる切欠36の下方には円弧状に延びる浅い凹部38も形成されている。装着壁12の外周面の所要部位には更に被係止片40も配設されている。被係止片40については後述する。
図1に示すとおり、装着壁12には、上面が開放された有底環状溝42及び軸線方向スリット44を含む公知の分別機構が設けられており(
図3及び
図4も参照されたい)、容器蓋2が後述する容器の口頸部に装着されて使用された後に所要操作をすることで容器蓋2を口頸部から分離して廃棄することが可能となる。かような分別機構の詳細については、例えば本願に先立って本願の出願人によって出願されて既に特許された特許第6326472号公報を参照されたい。装着壁12の下面の外周縁部には周方向に連続して下方に垂下する円筒形状の薄肉壁45が付設されている。
【0015】
図4と共に
図1乃至
図3を参照して説明を続けると、上蓋6は円形の天面壁46及びこの天面壁46の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁48を含んでおり、スカート壁48の外周面下端部が蓋本体4の装着壁12の外周面上端部にヒンジ手段8を介して連結されていて、上蓋6は蓋本体4の閉塞壁10の上面を覆う閉位置と蓋本体4の閉塞壁10の上面を露呈せしめる開位置との間を旋回自在である。天面壁46の下面には下方に垂下する内側円筒壁50及び外側円筒壁52も形成されており、内側円筒壁50及び外側円筒壁52の間には2条の環状浅溝54が形成されている。
図3に示すとおり、スカート壁48の外周面下端部の所要部位には下方に延びる係止片56が配設されている。係止片56については被係止片40と共に後述する。
図4と共に
図1及び
図6を参照することによって理解されるとおり、スカート壁48の外周面下端部におけるヒンジ手段8とは直径方向の反対側の部位には、径方向外側に突出する鍔部58が配設されており、上蓋6を旋回開閉動する際に鍔部58に指を掛けることができる。スカート壁48の下面における直径方向に見て上記ヒンジ手段8とは反対側の部位には、下方に突出する薄肉弧状突出片60が形成されている。スカート壁48の内周面下端には環状被係合突条62が配設されている。スカート壁48の内周面には更に上記環状被係合突条62よりも上方に環状当接突条64も配設されている。
【0016】
続いて、蓋本体4に配設された被係止片40及び上蓋6に配設された係止片56について説明する。図示の実施形態においては、係止片56及び被係止片40は夫々、平面視(つまり
図1)において、ヒンジ手段8の周方向中央角度位置を通過する直径に対して垂直な直径方向の両側に1つずつ設けられている。
図1、
図3及び
図5を参照することによって理解されるとおり、被係止片40は装着壁12の外周面から径方向外側に離隔して装着壁12の外周面に沿って周方向に実質上水平に延在する帯状主部66と、帯状主部66の周方向両端において帯状主部66の内周面と装着壁12の外周面とを接続する一対の接続部68とを有し、平面視において径方向内側を向くコの字形状となっている。
図1と共に
図12を参照して説明すると、帯状主部66の上面の少なくとも内周縁部分には、径方向内側に向かって下方に傾斜する案内面70が設けられている。図示の実施形態においては、コの字形状である被係止片40の上面全体の内周縁部分が内側に向かって下方に傾斜せしめられている。帯状主部66には径方向に延在する被係止下面72が形成されており、被係止下面72は案内面70の下方であって且つ帯状主部66の上下方向中間部に設けられている。
【0017】
一方、
図1、
図3及び
図6を参照することによって理解されるとおり、係止片56は破断可能橋絡部74を介してスカート壁48に配設され、係止片56の下端は、スカート壁48の下端よりも下方に位置する。
図7も参照して説明すると、図示の実施形態においては、係止片56の内側面はスカート壁48の外周面よりも径方向外側に位置し、係止片56の上端部には径方向外側に延出するフランジ部76が設けられている。従って、フランジ部76の径方向外側端はスカート壁48の外周面よりも径方向外側に位置する。所望ならば、スカート壁48の外周面の所要部位に上下方向に貫通する溝を設けてかかる溝内に係止片56が配置されるようにすれば、フランジ部76の径方向外側端をスカート壁48の外周面よりも径方向内側に位置させることもできる。係止片56の下端部には突部78が設けられており、この突部78は径方向に実質上水平に延在する係止上面80と、この係止上面80の径方向外側端から下方に向かって径方向内側に傾斜して延出する傾斜下面82とを備えている。係止片56の下端部、少なくとも突部78の周方向幅は下方に向かって漸次低減している。
【0018】
図3、
図4、
図6乃至
図9を参照して説明すると、本発明の容器蓋にあっては、破断可能橋絡部74はスカート壁48の下面と係止片56の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジ74aを含むことが重要である。図示の実施形態においては、内接ブリッジ74aは係止片56の周方向両側端部に1つずつ配置されている。内接ブリッジ74aの存在に起因して、装着壁12の外周面には、
図3及び
図12に示すとおり、上蓋6が閉位置に旋回せしめられた際に内接ブリッジ74aと干渉することを回避するための逃げ凹部84が形成されている。逃げ凹部84は、装着壁12の外周面の上端部における、被係止片40が存在する周方向角度領域を含む所要角度領域において装着壁12の外径を局所的に低減せしめることで形成され、逃げ凹部84の上方は開放されている。図示の実施形態においては、破断可能橋絡部74はスカート壁48の下端部の外周面と係止片56の上面とを局所的に接続する少なくとも1個の外接ブリッジ74bをも含んでいる。外接ブリッジ74bは係止片56の周方向中央に1つ配置されている。
【0019】
上述した容器蓋2は、上蓋6が蓋本体4に対して開位置にある状態で成形機によって成形され、成形された容器蓋2は成形機から取り出された後に、所要折り曲げ機により上蓋6が開位置から閉位置に旋回せしめられる折り曲げ工程を経て完成する。折り曲げ工程の最終段階においては、上蓋6に形成された係止片56の突部78が蓋本体6に形成された被係止片40の帯状主部66を弾性的に乗り越え、かくして係止片56は被係止片40に弾性的に係止せしめられる。折り曲げ工程の詳細については、本願の出願人が本願に先立って出願した特願2021-175414の明細書の記載を参照されたい。
【0020】
ここで、上記折り曲げ工程の最終段階においては、折り曲げ機による所要押圧力で上蓋6を蓋本体4に押圧することから、上記押圧力が上蓋6に作用せしめられた際に係止片56が被係止片40に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲せしめられて歩留まりを生じてしまう虞がある。図示の実施形態のように、装着壁12の上面に有底環状溝42が形成されている場合には、係止片56が径方向内側に屈曲せしめられて有底環状溝42へ案内される虞もある。然しながら、本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、破断可能橋絡部74はスカート壁48の下面と係止片56の内側面とを局所的に接続する少なくとも1個の内接ブリッジ74aを含んでおり、係止片56は内接ブリッジ74aによって径方向内側から支持されているため、折り曲げ工程にて上蓋6が所要押圧力によって押圧せしめられた際に、係止片56が被係止片40に弾性的に係止することなく径方向内側に屈曲せしめられることは防止され、歩留まりは低減する。図示の実施形態においては、破断可能橋絡部74は外接ブリッジ74bも備えており、係止片56は外接ブリッジ74bによって径方向外側からも支持されているため、折り曲げ工程にて上蓋6が所要押圧力によって押圧せしめられた際に係止片56が被係止片40に弾性的に係止することなく径方向外側に屈曲せしめられることも防止される。図示の実施形態においては更に、被係止片40の帯状主部66の上面の少なくとも内周縁部分には、径方向内側に向かって下方に傾斜する案内面70が設けられているため、これによっても係止片56が径方向外側に屈曲せしめられることは防止される。
【0021】
上蓋6が閉位置に旋回せしめられると、
図12に示すとおり、上蓋6の環状被係合突条62が蓋本体4の係合突条30の外周面乃至下面に係合され、上蓋6の環状当接突条64が蓋本体4の係合壁28の上面に当接され、上蓋6の内側円筒壁50の外周面が蓋本体4の注出案内壁26の内周面に密接せしめられると共に、
図11に示すとおり、上蓋6の薄肉弧状突出片60が蓋本体4の切欠36に位置せしめられる。
【0022】
図10乃至
図13には、本発明に従って構成された容器蓋2と共にかかる容器蓋2が適用される容器の口頸部も二点鎖線で図示されている。適宜の合成樹脂又はガラスから形成することができる容器の口頸部100は上面が開放された円筒形状であり、その外周面上端部には被係止突条102が形成されている。口頸部100の外周面には、更に、被係止突条102の下方に位置するサポートリング104(このサポートリング104は容器を搬送する際に利用される)も形成されている。
【0023】
容器内に内容物を収容した後に口頸部100に容器蓋2を装着して口頸部100を密封する際には、容器蓋2さらに詳しくは蓋本体4に対して上蓋6が閉位置にせしめられた状態の容器蓋2を口頸部100に被嵌して下方に強制し、蓋本体4の装着壁12を弾性的に変形せしめて装着壁12の内周面に形成されている係止手段34を口頸部100の被係止突条102の下方に係止せしめる。
【0024】
容器の内容物を消費する際には、上蓋6の鍔部58の下面に指をかけ、鍔部58にヒンジ手段8を旋回中心とした上向きの力を加えて、上蓋6を閉位置から開位置へ旋回つまり旋回開動させる。
図12を参照して説明すると、かかる旋回開動の初期段階にあっては、上蓋6に設けられた係止片56と蓋本体4に設けられた被係止片40とが係止、更に詳しくは係止片56に設けられた突部78の係止上面80と被係止片40に設けられた帯状主部66の被係止下面72とが係止することで、上記上向きの力は係止片56とスカート壁48とを接続する破断可能橋絡部74(内接ブリッジ74a及び外接ブリッジ74b)に上下方向の引張力を作用せしめてこれを破断する。破断可能橋絡部74が破断して係止片56が上蓋6から分離せしめられることで、蓋本体4に対して上蓋6が開封されたことが明示されるため、容器蓋2の所謂タンパーエビデント特性は確保される。破断可能橋絡部74が破断せしめられた後にあっては、フランジ部76の下面が被係止片40の帯状主部66の上面に係止せしめられて、係止片56が被係止片40に対して下方へ移動することは規制される。また、係止片56が被係止片40に対して上方へ移動することは、破断可能橋絡部74が破断して係止片40が上蓋6から分離せしめられた後であっても、係止片56の係止上面80が被係止片40(帯状主部66)の被係止下面72と係止することで規制される。また、係止片56が被係止片40に対して周方向へ移動することは、係止片56の周方向側面が被係止片40の接続部68の内面と係止することで規制される。それ故に、図示の実施形態の容器蓋にあっては、破断可能橋絡部74が破断して係止片56が上蓋6から分離せしめられたとしても、係止片56は被係止片40つまり容器蓋2から分離することはなくこれに継続して保持されるため、係止片56それ自身が廃棄物となることはない。
【0025】
破断可能橋絡部74が破断せしめられた後にあっては、上蓋6が閉位置から開位置へ旋回開動せしめられ、蓋本体4の閉塞壁10の上面が露呈せしめられる。その後に、蓋本体4の引張リング24に指を掛けて上方に強制し、無端薄肉破断可能ライン18を破断して閉塞壁10から除去領域20を除去し、かくして排出開口を生成する。しかる後においては、容器を適宜に傾動することによって、容器の内容物が排出開口を通して排出される。内容物の排出を終了した後においては、上蓋6は閉位置に向かって旋回閉回動せしめられて蓋本体4に再装着される。
【0026】
以上添付した図面を参照して本発明の合成樹脂製容器蓋について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲内において種々の変形例が考えられる。例えば、図示の実施形態においては、引張リング24によって無端薄肉破断可能ライン18を破断せしめて閉塞壁10に排出開口を生成したが、閉塞壁に排出開口を生成する方法は引張リングによらず適宜の方法であってよい。例えば本願に先立って本出願人が出願した特願2021-137189号に示されているとおり、蓋本体の閉塞壁と上蓋の天面壁とを適宜の接続手段によって接続し、上蓋が閉位置から旋回開動すると同時に無端薄肉破断可能ラインが破断されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0027】
2:容器蓋
4:蓋本体
6:上蓋
8:ヒンジ手段
10:閉塞壁
12:装着壁
40:被係止片
46:天面壁
48:スカート壁
56:係止片
74:破断可能橋絡部
74a:内接ブリッジ
74b:外接ブリッジ
84:逃げ凹部