(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095526
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】樹脂パレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/24 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
B65D19/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211476
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】隅田 晃雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
(72)【発明者】
【氏名】廣野 晴保
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA01
3E063EE01
3E063FF07
3E063FF20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】結束部材を挿通路に簡単に挿通させて、結束部材を用いた物品又は容器の載置部への固定作業の作業性を高めること。
【解決手段】脚部(26)に、物品又は物品を収容した容器を載置部(12)に対して固定する際に用いる結束部材を挿通させるための挿通路(36)が横方向に沿って貫通して形成されている。挿通路(36)の開口部の下縁に、結束部材の下方向の移動を規制する下方規制部が脚部(26)の内方向に向かって突出して形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品又は物品を収容した容器を載置するための矩形状の載置部と、
前記載置部の下側に横方向に間隔を置いて設けられ、筒形状に形成された複数の脚部と、を備え、
少なくともいずれかの前記脚部に、物品又物品を収容した容器を前記載置部に対して固定する際に用いる結束部材を挿通させるための挿通路が横方向に沿って貫通して形成され、前記挿通路の開口部の下縁に、前記結束部材の下方向の移動を規制する下方規制部が前記脚部の内方向に向かって突出して形成されていることを特徴とする樹脂パレット。
【請求項2】
前記挿通路の中間部の上側に、前記結束部材の上方向の移動を規制する上方規制部が形成され、前記下方規制部及び前記上方規制部は、底面視したときに重ならないように配置され、前記下方規制部の上側の空間及び前記上方規制部の下側の空間は、それぞれ開放されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂パレット。
【請求項3】
前記載置部は、矩形枠状の外壁板部と、前記外壁板部の内側の上部に設けられた上面側板部と、前記外壁板部の内側の下部に設けられた下面側板部と、前記外壁板部の内側に設けられかつ前記上面側板部と前記下面側板部を連結する連結板部と、を有し、
前記挿通路は、各脚部の根元に形成され、各挿通路同士は、横方向に対向しており、複数の前記挿通路間に前記下面側板部が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂パレット。
【請求項4】
前記載置部は、前記上面側板部の下面に設けられた複数の第1補強リブと、前記下面側板部の上面に設けられた複数の第2補強リブと、を有し、前記上方規制部は、いずれかの前記第2補強リブに連結することを特徴とする請求項3に記載の樹脂パレット。
【請求項5】
前記挿通路の開口部の上縁、前記挿通路の開口部の下縁、前記挿通路の中間部の上側、又は前記挿通路の中間部の下側の少なくともいずれかに、前記挿通路の横方向の中心に近づくに従って前記挿通路の上下幅の中心に近づくように横方向に対して傾斜した傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂パレット。
【請求項6】
前記挿通路の縦方向の両側に、前記結束部材の側方の移動を規制する側方規制部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂パレット。
【請求項7】
複数の前記挿通路間に上方向に窪んだ凹溝が形成され、前記凹溝の底部が前記下面側板部によって構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品又は物品を収容した容器を載置する樹脂パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の運搬等に用いられる樹脂パレットとして特許文献1に示すものがある。特許文献1に記載の樹脂パレット(特許文献1では台座と称されている)は、物品を載置するための矩形状の載置部(特許文献1では、台板と称されている)と、載置部の下側に横方向に間隔を置いて設けられた2つの角パイプ状の脚部とを備えている。各脚部には、物品を載置部に対して固定する際に用いる結束部材を挿通させるための挿通路が横方向に沿って貫通して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、物品を載置部に対して固定する際に、結束部材が脚部の内部の空間であっても、脚部の挿通路から外れた領域に誤進入することがある。すると、結束部材を脚部の挿通路に簡単に挿通させることができず、物品の載置部への固定作業の作業性が低下するという問題がある。なお、前述の問題は、物品を収容した容器を載置部に対して固定する場合にも、同様に生じる。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、結束部材を挿通路に簡単に挿通させて、結束部材を用いた物品又は容器の載置部への固定作業の作業性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る樹脂パレットは、物品又は物品を収容した容器を載置するための矩形状の載置部と、前記載置部の下側に横方向に間隔を置いて設けられ、筒形状に形成された複数の脚部と、を備え、少なくともいずれかの前記脚部に、物品又は物品を収容した容器を前記載置部に対して固定する際に用いる結束部材を挿通させるための挿通路が横方向に沿って貫通して形成され、前記挿通路の開口部の下縁に、前記結束部材の下方向の移動を規制する下方規制部が前記脚部の内方向に向かって突出して形成されている。
【0007】
前記の構成によれば、前記挿通路の開口部の下縁に前記下方規制部が前記脚部の内方向に向かって突出して形成されている。そのため、前記結束部材が前記挿通路から下側に外れた領域に誤進入し難くなる。これにより、前記結束部材を前記挿通路に簡単に挿通させることができ、前記結束部材を用いた物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性を高めることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、前記挿通路の中間部の上側に、前記結束部材の上方向の移動を規制する上方規制部が形成され、前記下方規制部及び前記上方規制部は、底面視したときに重ならないように配置され、前記下方規制部の上側の空間及び前記上方規制部の下側の空間は、それぞれ開放されてもよい。
【0009】
前記の構成によれば、前記挿通路の中間部の上側に前記上方規制部が形成されている。そのため、前記結束部材が前記挿通路から上側に外れた領域に誤進入し難くなる。これにより、前記結束部材を前記挿通路により簡単に挿通させることができ、物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0010】
また、前述のように、前記下方規制部及び前記上方規制部が底面視したときに重ならないように配置されている。前記下方規制部の上側の空間及び前記上方規制部の下側の空間がそれぞれ開放されている。そのため、前記樹脂パレットを成形する際に、少なくとも前記挿通路を形成する部位の金型において、前記樹脂パレットの側方に型抜きする必要がなくなる。これにより、成形用金型の構成の複雑化を抑制しつつ、前記樹脂パレットを容易に成形することができ、前記樹脂パレットの生産性を高めることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、前記載置部は、矩形枠状の外壁板部と、前記外壁板部の内側の上部に設けられた上面側板部と、前記外壁板部の内側の下部に設けられた下面側板部と、前記外壁板部の内側に設けられかつ前記上面側板部と前記下面側板部を連結する連結板部と、を有し、前記挿通路は、各脚部の根元に形成され、各挿通路同士は、横方向に対向しており、複数の前記挿通路間に前記下面側板部が配置されてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、前記載置部は、前記外壁板部と前記上面側板部と前記下面側板部と前記連結板部と有している。換言すれば、前記載置部は、面変化する複数の板部により構成されている。そのため、成形時における前記樹脂パレットの収縮変形を抑えつつ、前記載置部の剛性(機械的強度)を高めて、物品又は容器を載置する際における前記樹脂パレットの変形を抑えることができる。
【0013】
また、複数の前記挿通路間に前記下面側板部が配置されている。そのため、前記結束部材を前記下面側板部に沿わせながら前記挿通路に案内することができる。これにより、前記結束部材を前記挿通路により簡単に挿通させることができ、物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、前記載置部は、前記上面側板部の下面に設けられた複数の第1補強リブと、前記下面側板部の上面に設けられた複数の第2補強リブと、を有し、前記上方規制部は、いずれかの前記第2補強リブに連結してもよい。
【0015】
前記の構成によれば、複数の前記第1補強リブ及び複数の前記第2補強リブによって前記載置部及び前記上方規制部を補強して、前記挿通路(前記挿通路の上側)の変形を抑えることができる。これにより、前記結束部材を前記脚部の前記挿通路により簡単に挿通させることができ、物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、前記挿通路の開口部の上縁、前記挿通路の開口部の下縁、前記挿通路の中間部の上側、又は前記挿通路の中間部の下側の少なくともいずれかに、前記挿通路の横方向の中心に近づくに従って前記挿通路の上下幅の中心に近づくように横方向に対して傾斜した傾斜部が形成されてもよい。
【0017】
前記の構成によれば、前記傾斜部によって前記結束部材が前記挿通路の上下幅の中心に向かって案内される。これにより、前記結束部材を前記挿通路により簡単に挿通させることができ、物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、前記挿通路の縦方向の両側に、前記結束部材の側方の移動を規制する側方規制部がそれぞれ形成されてもよい。
【0019】
前記の構成によれば、前記結束部材が前記挿通路から側方に外れた領域に誤進入し難くなる。これにより、前記結束部材を前記挿通路により簡単に挿通させることができ、物品又は容器の前記載置部への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0020】
本発明の一態様に係る樹脂パレットにおいて、複数の前記挿通路間に上方向に窪んだ凹溝が形成され、前記凹溝の底部が前記下面側板部によって構成されてもよい。
【0021】
前記の構成によれば、前記結束部材を前記凹溝に沿わせながら前記挿通路に案内することができる。これにより、前記結束部材を前記挿通路により簡単に挿通させることができ、前記結束部材を用いた前記載置部への物品の固定作業の作業性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、結束部材を挿通路に簡単に挿通させて、結束部材を用いた物品又は容器の載置部への固定作業の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】結束部材を用いて物体又は容器を本実施形態又はその変形例に係る樹脂パレットの載置部に対して固定した様子を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る樹脂パレットを上側から見た模式的な斜視図である。
【
図3】
図2に示す樹脂パレットを下側から見た模式的な斜視図である。
【
図4】
図2に示す樹脂パレットの一部を上側から見た模式的な断面斜視図である。
【
図5】
図2に示す樹脂パレットの一部を下側から見た模式的な断面斜視図である。
【
図6】
図2に示す樹脂パレットの部分平面図である。
【
図7】
図2に示す樹脂パレットの部分底面図である。
【
図8】
図2に示す樹脂パレットの一部の拡大断面図であって、
図6におけるVIII-VIII線に沿った拡大断面図である。
【
図9】本実施形態の変形例に係る樹脂パレットを下側から見た模式的な斜視図である。
【
図10】
図9に示す樹脂パレットの一部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態及びその変形例について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、横方向とは、樹脂パレット又は載置部の横方向又は幅方向のことであり、水平方向の1つである。縦方向とは、樹脂パレット又は載置部の縦方向のことであり、横方向又は幅方向に直交する水平方向の1つである。矩形状とは、厳密な矩形形状に限るものでなく、例えば角部が湾曲状になっていても、全体的に矩形状として視認できる形状を含む意である。矩形枠状とは、厳密な矩形枠状に限るものでなく、例えば角部が湾曲状になっていても、全体的に矩形枠状として視認できる形状を含む意である。図面中、「CD」は横方向、「LD」は縦方向、「UD」は上方向、「DD」は下方向をそれぞれ示している。
【0025】
(樹脂パレット10の概要)
図1から
図3に示すように、本実施形態に係る樹脂パレット10は、物品E又は物品を収容した容器Cを載置するための樹脂製品であり、例えば物品E又は容器Cの運搬又は保管等に用いられる。樹脂パレット10は、横方向に延びており、樹脂パレット10の幅方向は、横方向になっている。樹脂パレット10は、例えばポリプロピレン等の樹脂からなり、射出成形によって成形される。
【0026】
(載置部12)
図1から
図3に示すように、樹脂パレット10は、物品E又は物品を収容した容器Cを載置するための矩形状の載置部12を備えている。物品E又は容器Cは、例えばロープ又はバンド等の紐状又は帯状の結束部材Bを用いて載置部12に対して固定される。そして、載置部12の具体的な構成は、次の通りである。
【0027】
(外壁板部14、上面側板部16、下面側板部18、連結板部20)
図2から
図7に示すように、載置部12は、矩形枠状の外壁板部14と、外壁板部14の内側の上部に設けられた複数の上面側板部16とを有している。複数の上面側板部16は、縦方向及び横方向に間隔を置いて配置されており、各上面側板部16は、横方向に延びている。いずれか複数の上面側板部16は、それぞれ外壁板部14の上部に連結されている。各上面側板部16には、複数の水抜き孔16hが貫通して形成されている。なお、樹脂パレット10は、各上面側板部16の構成から水抜き孔16hを省略してもよい。
【0028】
載置部12は、外壁板部14の内側の下部に設けられた複数の下面側板部18と、上面側板部16と下面側板部18を連結する複数の連結板部20とを有している。各下面側板部18は、横方向又は縦方向に延びており、複数の下面側板部18は、格子状に配置されている。いずれか複数の下面側板部18は、それぞれ外壁板部14の下部に連結されている。各下面側板部18には、複数の水抜き孔18hが形成されている。また、各連結板部20は、横方向又は縦方向に延びている。いずれか複数の連結板部20は、外壁板部14の内周部に連結されている。なお、樹脂パレット10は、各下面側板部18の構成から水抜き孔18hを省略してもよい。
【0029】
前述のように、載置部12は、外壁板部14と複数の上面側板部16と複数の下面側板部18と複数の連結板部20と有している。換言すれば、載置部12は、面変化する複数の板部14,16,18,20により構成されている。そのため、射出成形時における樹脂パレット10の収縮変形を抑えつつ、載置部12の剛性(機械的強度)を高めて、物品E又は容器Cを載置する際における樹脂パレット10の変形を抑えることができる。
【0030】
(第1補強リブ22、第2補強リブ24)
図2から
図7に示すように、各上面側板部16の下面には、各上面側板部16を補強する複数の第1補強リブ22が縦方向又は横方向に沿って設けられている。いずれか複数の第1補強リブ22は、外壁板部14の内周面と連結板部20を連結する。いずれか複数の第1補強リブ22は、横方向又は縦方向に対向する連結板部20同士を連結する。
【0031】
各下面側板部18の上面には、各下面側板部18を補強する複数の第2補強リブ24が縦方向又は横方向に沿って設けられている。いずれか複数の第2補強リブ24は、外壁板部14の内周面と連結板部20を連結する。いずれか複数の第2補強リブ24は、横方向又は縦方向に対向する連結板部20同士を連結する。
【0032】
(脚部26)
図3に示すように、樹脂パレット10は、載置部12の下側に横方向に間隔を置いて設けられた2つの脚部26を備えている。2つの脚部26は、射出成形によって載置部12と一体成形される。そして、各脚部26の具体的な構成は、次の通りである。
【0033】
(脚壁部28、連結壁部30)
図3、
図5から
図7に示すように、各脚部26は、下側を開口した筒形状(中空形状)に形成されており、縦方向に延びている。各脚部26は、縦方向に延びかつ横方向に対向した一対の脚壁部28と、一対の脚壁部28の横方向の端部同士を連結しかつ縦方向に離隔した一対の連結壁部30とを有している。
【0034】
(連結リブ32、連結片34)
図3、
図5、及び
図7に示すように、一対の脚壁部28の内側面の間には、複数の連結リブ32が連結するように設けられており、複数の連結リブ32は、縦方向に間隔を置いて配置されている。各連結リブ32は、上下方向に延びており、各連結リブ32の上端は、上面側板部16の下面に連結されている。一対の脚壁部28の下端の間には、複数の連結片34が連結するように設けられており、複数の連結片34は、縦方向に間隔を置いて配置されている。各連結片34には、水抜き孔34hが形成されている。なお、樹脂パレット10は、各連結片34の構成から水抜き孔34hを省略してもよい。
【0035】
(脚部26の他の態様)
なお、脚部26の数は、2つに限るものではなく、3つ以上であってもよい。複数の脚部26と載置部12を個別に成形した後に、複数の脚部26を載置部12の下側に溶着してもよい。各脚部26は、縦方向に沿って複数に分割脚部に分割されてもよく、複数の分割脚部は、縦方向に間隔を置いて配置されてもよい。
【0036】
続いて、樹脂パレット10の特徴部分の構成について具体的に説明する。
【0037】
(挿通路36)
図1、
図3、
図5、
図7、及び
図8に示すように、各脚部26の根元には、複数の挿通路36が横方向に沿って貫通して形成されている。各脚部26の各挿通路36は、物品E又容器Cを載置部12に対して固定する際に用いる結束部材Bを挿通させるための通路である。各脚部26の各挿通路36は、横方向の両側に、それぞれ矩形の開口部36aを有している。各脚部26の対応する各挿通路36同士は、横方向に対向している。2つの脚部26の対応する各挿通路36の間、及び各脚部26の各挿通路36と外壁板部14との間には、それぞれ下面側板部18が配置されている。なお、各挿通路36が各脚部26の根元に形成される代わりに、各脚部26における根元から離れた部位に形成されてもよい。
【0038】
(下方規制部38)
図5から
図8に示すように、各脚部26の各挿通路36の開口部36aの下縁には、結束部材Bの下方向の移動を規制する板状の下方規制部38が各脚部26の内方向に向かって突出して形成されている。各下方規制部38の縦方向の寸法は、各挿通路36の開口部36aの縦方向の寸法と同じ寸法に設定されている。各下方規制部38の基端面は、脚壁部28の外側面と同一平面上に位置している。
【0039】
(上方規制部40)
図5、
図7、及び
図8に示すように、各脚部26の各挿通路36の中間部には、結束部材Bの上方向の移動を規制する板状の上方規制部40が形成されている。各上方規制部40の縦方向の寸法は、各挿通路36の開口部36aの縦方向の寸法と同じ寸法に設定されている。各上方規制部40は、各脚部26の一部又は下面側板部18を構成する。各上方規制部40は、いずれかの第2補強リブ24に連結されている。各下方規制部38及び各上方規制部40は、底面視したときに重ならないように配置されている。各下方規制部38の上側の空間S1及び各上方規制部40の下側の空間S2は、それぞれ開放されている。各下方規制部38の下側の空間S3及び各上方規制部40の上側の空間S4は、それぞれ開放されている。なお、樹脂パレット10は、各脚部26の構成から上方規制部40を省略してもよい。
【0040】
(側方規制部42)
図6及び
図8に示すように、各脚部26の各挿通路36の縦方向の両側には、連結リブ32がそれぞれ位置しており、それらの連結リブ32は、結束部材Bの側方(縦方向)の移動を規制する。換言すれば、各脚部26の各挿通路36の縦方向の両側には、結束部材Bの側方(縦方向)の移動を規制する板状の側方規制部42としての連結リブ32が形成されている。各側方規制部42は、各脚部26の一部を構成する。なお、樹脂パレット10は、各脚部26の構成から側方規制部42を省略してもよい。
【0041】
(傾斜部44)
図5、
図7、及び
図8に示すように、各脚部26の各挿通路36の開口部36aの上縁には、傾斜部44が縦方向に沿って形成されている。各傾斜部44は、各挿通路36の横方向の中心に近づくに従って各挿通路36の上下幅の中心36sに近づくように横方向に対して傾斜している。各傾斜部44は、各脚部26又は下面側板部18の一部を構成する。なお、傾斜部44は、各脚部26の各挿通路36の開口部36aの上縁だけでなく下縁にも形成されてよい。
【0042】
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0043】
樹脂パレット10においては、前述のように、各脚部26の各挿通路36の開口部36aの下縁に、下方規制部38が各脚部26の内方向に向かって突出して形成されている。各脚部26の各挿通路36の中間部に、上方規制部40が形成されている。各脚部26の各挿通路36の縦方向の両側に、側方規制部42としての連結リブ32が形成されている。そのため、結束部材Bが各脚部26の各挿通路36から下側、上側、及び側方に外れた領域に誤進入し難くなる。
【0044】
従って、本実施形態によれば、結束部材Bを各脚部26の各挿通路36に簡単に挿通させることができ、結束部材Bを用いた物品E又は容器Cの載置部12への固定作業の作業性を高めることができる。
【0045】
特に、2つの脚部26の対応する各挿通路36の間及び各脚部26の各挿通路36と外壁板部14との間にそれぞれ下面側板部18が配置されているため、結束部材Bを下面側板部18に沿わせながら各脚部26の各挿通路36に案内することができる。また、各脚部26の各挿通路36の開口部36aの下縁に傾斜部44が形成されているため、傾斜部44によって結束部材Bが各脚部26の各挿通路36の上下幅の中心36sに向かって案内される。更に、複数の第1補強リブ22及び複数の第2補強リブ24によって載置部12及び上方規制部40を補強して、脚部26の挿通路36(挿通路36の上側)の変形を抑えることができる。これにより、結束部材Bを各脚部26の各挿通路36により簡単に挿通させることができ、物品E又は容器Cの載置部12への固定作業の作業性をより高めることができる。
【0046】
また、樹脂パレット10においては、前述のように、下方規制部38及び上方規制部40は、底面視したときに重ならないように配置されている。下方規制部38の上側の空間S1及び上方規制部40の下側の空間S2は、それぞれ開放されている。そのため、樹脂パレット10を射出成形によって成形する際に、少なくとも挿通路36を形成する部位の金型において、樹脂パレット10の側方に型抜きする必要がなくなる。
【0047】
従って、本実施形態によれば、成形用金型の構成の複雑化を抑制しつつ、樹脂パレット10を容易に成形することができ、樹脂パレット10の生産性を高めることができる。
【0048】
(本実施形態の変形例)
図1及び
図9に示すように、本実施形態の変形例に係る樹脂パレット46は、物品E又は物品を収容した容器Cを載置するための樹脂製品であり、樹脂パレット10と同様の構成を有している。以下、樹脂パレット46の構成のうち、樹脂パレット10と異なる構成についてのみ説明する。なお、説明の便宜上、本実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0049】
(凹溝48)
図9に示すように、2つの脚部26の対応する各挿通路36の間、及び各脚部26の各挿通路36と外壁板部14との間には、上方向に窪んだ凹溝48がそれぞれ形成されている。各凹溝48は、横方向に延びており、各凹溝48の底部は、下面側板部18によって構成されている。
【0050】
(中間傾斜部50)
図10に示すように、各下方規制部38の先端には、中間傾斜部50が縦方向に沿って形成されている。換言すれば、各脚部26の各挿通路36の中間部の下側には、中間傾斜部50が形成されている。各中間傾斜部50は、各挿通路36の横方向の中心に近づくに従って各挿通路36の上下幅の中心36sに近づくように横方向に対して傾斜している。各中間傾斜部50は、各脚部26の一部を構成する。
【0051】
(中間傾斜部52)
図10に示すように、各上方規制部40の両端には、中間傾斜部52が縦方向に沿ってそれぞれ形成されている。換言すれば、各脚部26の各挿通路36の中間部の上側には、2つの中間傾斜部52が形成されている。各中間傾斜部52は、各挿通路36の横方向の中心に近づくに従って各挿通路36の上下幅の中心36sに近づくように横方向に対して傾斜している。各中間傾斜部52は、各脚部26又は下面側板部18の一部を構成する。
【0052】
そして、本実施形態の変形例においては、前述のように、2つの脚部26の対応する各挿通路36の間及び各脚部26の各挿通路36と外壁板部14との間に凹溝48がそれぞれ形成されているため、結束部材Bを凹溝48に沿わせながら各脚部26の各挿通路36に案内することができる。また、各脚部26の各挿通路36の中間部に中間傾斜部50,52が形成されているため、中間傾斜部50,52によって結束部材Bが各脚部26の各挿通路36の上下幅の中心36sに向かって案内される。これにより、本実施形態の変形例によれば、結束部材Bを各脚部26の各挿通路36に更に簡単に挿通させることができ、物品E又は容器Cの載置部12への固定作業の作業性を更に高めることができる。
【0053】
また、2つの脚部26の対応する各挿通路36の間及び各脚部26の各挿通路36と外壁板部14との間に凹溝48がそれぞれ形成されているため、結束部材Bの一部を凹溝48に係合させた状態で、物品E又は容器Cを載置部12に対して固定することができる。これにより、本実施形態の変形例によれば、例えば樹脂パレット46を吊り上げた際に、樹脂パレット46に対する結束部材Bの位置ずれを抑えて、結束部材Bの破損を防止することができる。
【0054】
その他、本実施形態の変形例においても、前述の本実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0055】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 樹脂パレット
12 載置部
14 外壁板部
16 上面側板部
18 下面側板部
20 連結板部
22 第1補強リブ
24 第2補強リブ
26 脚部
28 脚壁部
30 連結壁部
32 連結リブ
36 挿通路
36a 開口部
36s 上下幅の中心
38 下方規制部
40 上方規制部
42 側方規制部
44 傾斜部
46 樹脂パレット
48 凹溝
50 中間傾斜部(傾斜部)
52 中間傾斜部(傾斜部)
S1 下方規制部の上側の空間
S2 上方規制部の下側の空間
E 物品
C 物品を収容した容器
B 結束部材