(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009556
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】自動改札機
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230113BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20230113BHJP
G06K 13/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G07B15/00 H
G06K7/08 040
G06K13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112940
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】星出 剛志
【テーマコード(参考)】
3E127
5B023
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA03
3E127CA02
3E127DA02
3E127EA02
3E127FA34
3E127FA42
3E127FA48
5B023GA07
(57)【要約】
【課題】裏面を上側にして券が投入された場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性が向上する自動改札機を提供すること。
【解決手段】実施形態の自動改札機は、読取ヘッド、ベリファイヘッド、反転機構及び書込ヘッドを具備する。ベリファイヘッドは、読取ヘッドより放出口側の搬送路に設けられ、券の磁気情報を読み取る。反転機構は、読取ヘッド及びベリファイヘッドの間の搬送路に設けられる。書込ヘッドは、反転機構とベリファイヘッドの間の搬送路に設けられる。ベリファイヘッドは、読取ヘッドが券の磁気情報を読み取れずに反転機構が券の表裏を反転させた場合、及び、書込ヘッドが券に磁気情報を書き込んだ場合、券の磁気情報を読み取る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口から放出口まで搬送路に沿って券が搬送されるときに前記券を処理する自動改札機であって、
前記券の磁気情報を読み取る読取ヘッドと、
前記読取ヘッドより前記放出口側の前記搬送路に設けられ、前記券の磁気情報を読み取るベリファイヘッドと、
前記読取ヘッドと前記ベリファイヘッドと間の前記搬送路に設けられ、前記券の表裏を反転させる反転機構と、
前記反転機構と前記ベリファイヘッドと間の前記搬送路に設けられ、前記券に磁気情報を書込む書込ヘッドと、
を具備し、
前記ベリファイヘッドは、前記読取ヘッドが前記券の磁気情報を読み取れずに前記反転機構が前記券の表裏を反転させた場合、及び、前記書込ヘッドが前記券に磁気情報を書き込んだ場合、前記券の磁気情報を読み取る、
自動改札機。
【請求項2】
前記券の処理を制御する制御部をさらに具備し、
前記制御部は、前記読取ヘッドが前記券を読み取れなかったこと、及び、前記反転機構が前記券の表裏を反転させたことの両方に基づいて、前記ベリファイヘッドに前記券を読み取らせる、
請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
搬送される前記券を保留する保留部をさらに具備し、
前記制御部は、前記ベリファイヘッドが前記券の磁気情報を読み取ったことに基づいて、前記搬送路によって前記保留部に前記券を搬送させる、
請求項2に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記制御部は、前記保留部に前記券が搬送されたことに基づいて、前記保留部に保留された前記券を、前記搬送路によって前記反転機構を経由して前記書込ヘッドに搬送させる、
請求項3に記載の自動改札機。
【請求項5】
前記券は、複数の前記券を含み、
前記制御部は、前記保留部に1以上の前記券が保留されていること、及び、前記保留部に1以上の前記券をさらに保留可能であることの両方に基づいて、前記搬送路によって前記保留部に前記券を搬送させる、
請求項3に記載の自動改札機。
【請求項6】
前記制御部は、前記保留部に1以上の前記券が保留されていること、及び、前記保留部が前記券によりすべて占有されていることの両方に基づいて、前記読取ヘッド又は前記ベリファイヘッドで前記券を読み取った後に、前記ベリファイヘッドより前記放出口側の前記搬送路に、前記券を前記搬送路によって搬送させる、
請求項5に記載の自動改札機。
【請求項7】
前記制御部は、前記ベリファイヘッドより前記放出口側の前記搬送路に搬送された前記券を前記読取ヘッドより前記投入口側の前記搬送路まで搬送した後、前記書込ヘッドにより前記券の組み合わせに対応して前記券に情報を書き込ませる、
請求項6に記載の自動改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札機は、投入口から放出口まで搬送路に沿って券を搬送し、搬送路において券に所定の処理を行う。自動改札機に投入される券は、情報が印刷される表面と、磁気情報が記録される裏面とを備える。そして、自動改札機は、搬送する券の磁気情報を処理する磁気処理部を備える。磁気処理部では、磁気ヘッドが券から磁気情報を読み取るとともに、必要な磁気情報を券に書込む。例えば、裏面を上側にした姿勢で券が自動改札機の投入口から投入された場合、自動改札機は、表面処理用とは別に設けられた裏面処理用の構成により、券から磁気情報を読み取ることができる。このような自動改札機では、券が裏面を上側にして投入される頻度は低いにもかかわらず、表面処理用と同様の構成が裏面処理用の構成として設けられている。その結果、自動改札機の構成が複雑化するとともに、表面処理用の構成に加えて裏面処理用の構成を調整しなくてはならず、メンテナンス性(保守性)が高くなかった。そこで、自動改札機では、券が裏面を上側にして投入された場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性を向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、裏面を上側にして券が投入された場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性が向上する自動改札機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の自動改札機は、投入口から放出口まで搬送路に沿って券が搬送されるときに券を処理する。自動改札機は、読取ヘッド、ベリファイヘッド、反転機構及び書込ヘッドを具備する。読取りヘッドは、券の磁気情報を読み取る。ベリファイヘッドは、読取ヘッドより放出口側の搬送路に設けられ、券の磁気情報を読み取る。反転機構は、読取ヘッド及びベリファイヘッドの間の搬送路に設けられ、券の表裏を反転させる。書込ヘッドは、反転機構とベリファイヘッドの間の搬送路に設けられ、券に磁気情報を書込む。ベリファイヘッドは、読取ヘッドが券の磁気情報を読み取れずに反転機構が券の表裏を反転させた場合、及び、書込ヘッドが券に磁気情報を書き込んだ場合、券の磁気情報を読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る自動改札機の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る自動改札機の磁気処理部の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る自動改札機に1枚の券が裏面を上側にして投入されたとき、1枚の券が投入口から保留部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す券の搬送に続いて、1枚の券が保留部から放出口まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る自動改札機に2枚の券が投入されたとき、1枚目の券が表面であり2枚目の券が裏面である場合に、2枚目の券が分離部に留められた状態で1枚目の券が投入口から第1の保留部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す券の搬送に続いて、1枚目の券が第1の保留部に留められた状態で2枚目の券が分離部から第2の保留部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す券の搬送に続いて、2枚目の券が第2の保留部の留められた状態で1枚目の券が第1の保留部から放出・集札部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す券の搬送に続いて、1枚目の券が放出・集札部に留められた状態で2枚目の券が第2の保留部から放出・集札部まで搬送されるとともに、2枚の券が放出される経路を説明する説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る自動改札機に3枚の券が投入されたとき、3枚目の券が裏面である場合に、3枚目の券が分離部に留められた状態で1枚目の券及び2枚目の券が投入口から保留部まで搬送された状態を示す説明図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す券の搬送に続いて、1枚目の券及び2枚目の券が保留部に留められた状態で、3枚目の券が分離部からパンチ・印刷部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す券の搬送に続いて、1枚目の券及び2枚目の券が保留部に留められた状態で、3枚目の券がパンチ・印刷部から整列部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す券の搬送に続いて、1枚目の券及び2枚目の券が保留部に留められた状態で、3枚目の券が整列部から放出・集札部まで搬送される経路を説明する説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る自動改札機の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る自動改札機に1枚の券が投入されたとき、制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態に係る自動改札機に複数枚の券が投入されたとき、制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態に係る自動改札機に複数枚の券が投入されたとき、制御部が実行する読取処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、鉛直方向に沿う方向を高さ方向とし、高さ方向について高い側を上側、高さ方向について低い側を下側として説明する。また、自動改札機1に投入される券は、情報が印刷される表面と、磁気情報が記録される裏面とを備え、例えば、乗車券である。
【0008】
図1は、自動改札機の構成を示す。自動改札機1は、分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50を備える。分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50は、それぞれ乗車券を搬送する搬送ベルト、搬送ベルトを駆動するローラ等が設けられる搬送路を備える。自動改札機1では、分離部10に設けられる投入口ENに投入された乗車券が、分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50を搬送路に沿って搬送される。当該乗車券は、放出・集札部50に設けられる放出口EXから放出される。
【0009】
分離部10は、投入口ENに複数枚の券が同時に投入された場合に、各券に分離し、券を一枚ずつ整列部20に搬送する。整列部20は、分離部10から搬送される券の搬送方向及び位置を整列させ、磁気処理部30に券を搬送する。磁気処理部30は、整列部20から搬送される券に対して磁気処理を行う。例えば、磁気処理部30は、駅構内に入場する利用者が自動改札機1を利用する際に、入場駅、入場時刻等の情報を券に記録する。磁気処理部30は、磁気処理した乗車券をパンチ・印刷部40に搬送する。パンチ・印刷部40は、磁気処理部30から搬送される券に自動改札機1を追加した印を示す穴をパンチにより開けるとともに、券面に必要な情報を印刷する。パンチ・印刷部40は、パンチ処理及び印刷処理をした券を放出・集札部50に搬送する。放出・集札部50は、パンチ・印刷部40から搬送される券を放出口EXから放出する。このとき、券が複数枚、例えば2枚同時に投入口ENに投入され、分離部10で分離され順次、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40を搬送される場合は、放出・集札部50で集札した後、2枚の乗車券を放出口EXから2枚同時に放出する。
【0010】
図2は、実施形態に係る自動改札機の磁気処理部30の構成を示す。磁気処理部30は、読取ヘッド31、書込ヘッド32、ベリファイヘッド33、保留部34及び反転機構35を備える。読取ヘッド31及びベリファイヘッド33は、搬送される券の裏面に記録された磁気情報を読み取る。すなわち、読取ヘッド31及びベリファイヘッド33は、表面を上側にして(裏面を下側にして)投入された券の磁気情報を読み取る。そのため、読取りヘッド31及びベリファイヘッド33は、裏面を上側にして(表面を下側にして)投入された券の磁気情報を読み取ることができない。書込ヘッド32は、搬送される券の表面に磁気情報を書込む。読取ヘッド31、書込ヘッド32及びベリファイヘッド33は、投入口EN側から放出口EX側へ、この順で搬送路に配置される。すなわち、読取ヘッド31は磁気処理部30において投入口側ENの搬送路に設けられ、ベリファイヘッド33は磁気処理部30において放出口側EXの搬送路に設けられる。書込ヘッド32は、読取りヘッド31とベリファイヘッド33との間の搬送路に設けられる。保留部34は、搬送される券を一時的に留めるスペースである。保留部34は、第1の保留部34A、及び、第1の保留部とは別の第2の保留部34Bを備える。第1の保留部34Aには1枚の券を保留でき、第2の保留部23Bには1枚の券を保留できる。すなわち、保留部34は2つの保留スペースを備え、保留部34は2枚の券を保留できる。反転機構35は、投入口EN側から放出口EX側に搬送される券を矢印A1,A2に沿って搬送することにより、券の表面と裏面とを反転させる。すなわち、反転機構35によって、裏面が上側の姿勢から表面が上側の姿勢に、券が反転される。また、反転機構35は、保留部34に保留されている券が、矢印A2に沿って保留部34から搬出される搬送路である。なお、保留部34に保留される券の枚数は2枚に限定されるものではなく、自動改札機1の構成等に応じて適宜設定することができる。
【0011】
次に、
図3~
図12を用いて、実施形態に係る自動改札機1に券が裏面を上側にして投入されたときの自動改札機の動作を説明する。
図3~
図12では、自動改札機1を破線で示し、券の動きを実線の矢印及び実線の線分で示す。券の動きが矢印で示されている場合、券は矢印の先端が向く方向へ搬送される。券の動きが線分で示されている場合、券は線分が示されている位置に留まる。
図3及び
図4は、自動改札機1に裏面を上側にして1枚の券が投入されたとき、1枚の券が搬送される搬送路を示す概略図である。
図5~
図8は、自動改札機1に2枚の券が投入されたとき、2枚の券のそれぞれが搬送される搬送路を示す概略図である。特に
図5~
図8では、1枚目の券が表面を上側にして投入され、かつ、2枚目の券が裏面を上側にして投入された場合の券の搬送路を示す。また、
図9~
図12は、自動改札機1に3枚の券が投入されたとき、3枚の券のそれぞれが搬送される搬送路を示す概略図である。特に
図9~
図12では、3枚目の券が裏面を上側にして投入された場合の券の搬送路を示す。
【0012】
まず、1枚の券が裏面を上側にして自動改札機1に投入されたとき券の搬送路を説明する。
図3では、投入口ENから保留部34まで券が搬送される動作を示す。1枚の券が裏面を上側にして投入口ENに投入される(矢印EN1)と、券は分離部10及び整列部20を経由して(矢印T121)、磁気処理部30に搬送される。磁気処理部30に搬送された券は、読取ヘッド31を通過する(矢印T131)。この際、券が裏面を上側にして投入されているため、読取ヘッド31では券に記録された磁気情報を読み取れない。そのため、券は反転機構35に搬送される。反転機構35は矢印T132A,132Bに沿って券を搬送することで、券の表面と裏面とを反転させる。反転された券は、ベリファイヘッド33を通過し、ベリファイヘッド33が券に記録された磁気情報を読み取る。その後、券は保留部34に搬送される(矢印134A,134B)。この場合、券が1枚であるため、券は第1の保留部34Aまで搬送される。
【0013】
図4では、保留部34から放出口EXまで券が搬送される動作を示す。前述のようにして保留部34(第1の保留部34A)に搬送された券は、反転機構35に再び搬送されるとともに(矢印T135)、書込ヘッド32により磁気情報が書き込まれる。書込ヘッド32により磁気情報が書き込まれた後、ベリファイヘッド33を券が通過する際(矢印136)、ベリファイヘッド33が券に記録された磁気情報を確認する。その後、券はパンチ・印刷部40を通過し(矢印T141)、放出・集札部50に設けられる放出口EXから自動改札機1の外部へ放出される(矢印EX1)。このように、1枚の券が裏面を上側にして投入された場合、反転機構35により券が反転された後、ベリファイヘッド33が券に記録された情報を読み取る。そして、券は保留部34及び反転機構35を経由して搬送され、書込ヘッド32により情報が書き込まれる。そして、ベリファイヘッド33は券に記録された情報を読み取る。これにより、自動改札機1は、1枚の券が裏面を上側にして投入された場合でも、券に記録された磁気情報を読み取ることができる。
【0014】
なお、1枚の券が表面を上側にして投入された場合は、読取ヘッド31にて券に記録された磁気情報を読み取ることができるため、反転機構35を経由せずに、書込ヘッド32に搬送された券に磁気情報が記録される。そして、券はベリファイヘッド33を通過し、保留部34を経由せずにパンチ・印刷部40、放出・集札部50に搬送され、放出口EXから外部へ放出される。
【0015】
次に、2枚の券(第1の券及び第2の券)が自動改札機1に投入されたときの自動改札機1の動作を説明する。前述したように、特に1枚目の券(第1の券)が表面を上側にして投入され、かつ、2枚目の券(第2の券)が裏面を上側にして投入された場合を説明する。
図5は、2枚の券が自動改札機1に投入され、1枚目の券が保留部34に保留されるまでの自動改札機1の動作を示す。投入口ENから2枚の券が自動改札機1に投入されると(矢印EN1,EN2)、分離部10において、2枚の券が1枚ずつの券に分離される。そして、1枚目の券が整列部20に搬送され(矢印T111)、2枚目の券は分離部10に留まる(線分S211)。1枚目の券は整列部20を通過し(矢印T121)、磁気処理部30に搬送される。1枚目の券は表面を上側にして投入されたため、磁気処理部30に設けられる読取ヘッド31を通過するとき(矢印T131)、1枚目の券に記録された情報が読取ヘッド31により読み取られる。その後、1枚目の券は書込ヘッド32により情報が書き込まれることなくベリファイヘッド33を通過し(矢印T133)、保留部34に搬送される。自動改札機1には2枚の券が投入されたため、1枚目の券は第2の保留部34Bを通過して(矢印T134B)、第1の保留部34Aに保留される(線分S131)。このとき、2枚目の券は、分離部10に留められた状態で維持されている(線分S211)。
【0016】
図6は、1枚目の券が第1の保留部34Aに保留された状態で、2枚目の券が、分離部10から保留部34に保留されるまでの自動改札機1の動作を示す。
図5で説明したように1枚目の券が第1の保留部34Aに保留されると(線分S131)、分離部10に留められていた2枚目の券が整列部20に搬送される(矢印T211)。2枚目の券は整列部20を通過し(矢印T221)、磁気処理部30へ搬送される。2枚目の券は裏面を上側にして投入されたため、磁気処理部30に設けられる読取ヘッド31を通過する際に(矢印T231)、読取ヘッド31は券に記録された情報を読み取れない。そのため、前述した
図3の場合と同様にして、2枚目の券を処理する。すなわち、2枚目の券を反転機構35に搬送し、矢印T232A,T232Bに沿って券を搬送することで、2枚目の券の表裏を反転させる。その後、2枚目の券はベリファイヘッド33を通過する際に(矢印T233)、ベリファイヘッド33が2枚目の券に記録された情報を読み取る。2枚目の券は、保留部34に搬送され、第2の保留部34Bに保留される。このとき、1枚目の券は第1の保留部34Aに保留された状態で維持されている。よって、1枚目の券が第1の保留部34Aに保留されるとともに(線分S131)、2枚目の券が第2の保留部34Bされる(線分S231)。
【0017】
図7は、2枚目の券が第2の保留部34Bに保留された状態で、1枚目の券が第1の保留部34Aから放出・集札部50に保留されるまでの自動改札機1の動作を示す。
図6で説明したように2枚目の券が第2の保留部34Bに保留されると(線分S231)、前述した
図4の場合と同様にして、2枚目の券を処理する。すなわち、1枚目の券が反転機構35に搬送されるとともに(矢印T135)、書込ヘッド32により情報が書き込まれる。書込ヘッド32により情報が書き込まれた後、ベリファイヘッド33を1枚目の券が通過する際(矢印T136)、ベリファイヘッド33が1枚目の券に記録された情報を読み取る。その後、1枚目の券はパンチ・印刷部40を通過し(矢印T141)、放出・集札部50に保留される(線分S151)。このとき、2枚目の券は第2の保留部34Bに保留された状態で維持されている。よって、1枚目の券が放出・集札部50に保留されるとともに(線分S131)、2枚目の券が第2の保留部34Bされる(線分S231)。
【0018】
図8は、1枚目の券が放出・集札部50に保留された状態で、2枚目の券が第2の保留部34Bから放出・集札部50に搬送され、放出口EXから2枚の券が放出されるまでの自動改札機1の動作を示す。
図7で説明したように、1枚目の券が放出・集札部50に保留されると、2枚目の券は、第1の保留部34Aを通過して(矢印T234A)反転機構35に再び搬送されるとともに(矢印T235)、書込ヘッド32により情報が書き込まれる。書込ヘッド32により情報が書き込まれた後、ベリファイヘッド33を2枚目の券が通過する際(矢印T236)、ベリファイヘッド33が2枚目の券に記録された情報を確認する。その後、2枚目の券はパンチ・印刷部40を通過し(矢印T241)、放出・集札部50に搬送される(矢印T251)。放出・集札部50には1枚目の券が保留されているため、1枚目の券及び2枚目の券の両方が一緒に搬送されて(矢印T151及び矢印T251)、放出・集札部50に設けられる放出口EXから自動改札機1の外部へ放出される(矢印EX1及び矢印EX2)。
【0019】
このように、1枚目の券が表面を上側にして、かつ、2枚目の券が裏面を上側にして投入される場合、1枚目の券は読取ヘッド31により券に記録された情報が読み取られた後、第1の保留部34Aまで搬送される。そして、2枚目の券は、反転機構35により券が反転された後、ベリファイヘッド33が券に記録された情報を読み取り、第2の保留部34Bに搬送される。そして、1枚目の券及び2枚目の券は、順次、反転機構35を経由して搬送され、書込ヘッド32による情報の書き込み及びベリファイヘッド33による情報の読み取りが行われる。すなわち、2枚の券の情報の読み取りが完了した後に、書き込みヘッド32が情報を2枚の券それぞれに書き込む。これにより、自動改札機1は、2枚目の券が裏面を上側にして投入された場合でも、券に記録された情報を読み取ることができるとともに、2枚の券の組み合わせに応じた適切な情報をそれぞれの券に書き込むことができる。
【0020】
なお、1枚目の券及び2枚目の券の両方が表面を上側にして投入された場合、いずれも読取ヘッド31にて券に記録された情報を読み取ることができる。そのため、分離部10で1枚の券ごとに分離された後、1枚目の券及び2枚目の券のそれぞれが、順次、読取ヘッド31により情報を読み取られ、第1の保留部34A及び第2の保留部34Bに保留される。そして、1枚目の券及び2枚目の券は、反転機構35を経由して書込ヘッド32、ベリファイヘッド33に搬送され、それぞれの券に情報が記録される。その後、2枚の券は、パンチ・印刷部40、放出・集札部50に搬送され、放出口EXから外部へ放出される。すなわち、この場合においても、2枚の券の情報の読み取りが完了した後に、書き込みヘッド32が情報を2枚の券それぞれに書き込む。
【0021】
また、1枚目の券が裏面を上側にして投入されるとともに2枚目の券が表面を上側にして投入された場合、1枚目の券は、反転機構35を通過した後にベリファイヘッド33で情報が読み取られて第1の保留部34Aに搬送される。そして、2枚目の券は、読取ヘッド31で情報が読み取られて第2の保留部34Bに搬送される。それ以降の処理は、前述した場合と同様である。すなわち、この場合においても、2枚の券の情報の読み取りが完了した後に、書き込みヘッド32が情報を2枚の券それぞれに書き込む。以上のように、自動改札機1は、2枚の券のうちの一方が裏面を上側にして投入された場合でも、券に記録された情報を読み取ることができるとともに、2枚の券の組み合わせに応じた適切な情報をそれぞれの券に書き込むことができる。
【0022】
次に、3枚の券が自動改札機1に投入されたときの自動改札機1の動作を説明する。前述したように、特に3枚目の券(第3の券)が裏面を上側にして投入された場合を説明する。
図9は、3枚の券が自動改札機1に投入され、3枚目の券が分離部10に留められた状態で1枚目の券及び2枚目の券が投入口から保留部34まで搬送された状態を示す。1枚目の券及び2枚目の券は、前述の2枚の券が自動改札機1に投入されたときと同様に処理されることで、保留部34まで搬送される。ただし、前述の場合とは異なり、投入口ENから3枚の券が自動改札機1に投入されているため、分離部10では、3枚の券が1枚ずつの券に分離される。そして、1枚目の券及び2枚目の券が前述のように処理されることで、1枚目の券が第1の保留部34Aに保留されるとともに、2枚目の券が第2の保留部34Bに保留される(
図5及び
図6参照)。この状態では、3枚目の券は、分離部10に留められた状態で維持されている(線分S311)。
【0023】
図10は、1枚目の券及び2枚目の券が保留部34に保留された状態で、3枚目の券が分離部10からパンチ・印刷部40に搬送されるまでの自動改札機1の動作を示す。3枚目の券は、分離部10から整列部20を通過して(矢印T321)、磁気処理部30に搬送される。3枚目の券は裏面を上側にして投入されたため、磁気処理部30に設けられる読取ヘッド31を通過する際に(矢印T331)、読取ヘッド31は券に記録された情報を読み取れない。そのため、前述した
図3又は
図6の場合と同様にして、3枚目の券を処理する。すなわち、3枚目の券を反転機構35に搬送し、矢印T332A,T332Bに沿って券を搬送することで、3枚目の券の表裏を反転させる。その後、3枚目の券はベリファイヘッド33を通過する際に(矢印T333)、ベリファイヘッド33が3枚目に記録された情報を読み取る。その後、3枚目の券は、パンチ・印刷部40に搬送されるとともに、パンチ・印刷部40に留められる(線分S341)。
【0024】
図11は、1枚目の券及び2枚目の券が保留部34に保留された状態で、3枚目の券がパンチ・印刷部40から整列部20に搬送されるまでの自動改札機1の動作を示す。3枚目の券は、パンチ・印刷部40から磁気処理部30を経由して(矢印T341,T334)、整列部20まで搬送されるとともに、整列部20に留められる(線分S321)。このとき、磁気処理部30では、ベリファイヘッド33及び読取ヘッド31が3枚目の券に記録された情報を読み取らない。すなわち、3枚目の券は、磁気処理部30を通過するだけである。ここで、整列部20に留められた3枚目の券は、前述の反転機構35の動作により、既に表裏が反転されている。したがって、保留部34に保留された1枚目の券及び2枚目の券(線分S131,S231)、並びに、整列部20に留められた3枚目の券(線分S321)のすべてが、すべての券が表面を上側にして投入された場合と同様の姿勢で搬送路の所定の位置に留められている。
【0025】
続いて、自動改札機1は、3枚目の券から処理を進める。
図12は、1枚目の券及び2枚目の券が保留部34に保留された状態で(線分S131,S231)、3枚目の券が整列部20から放出・集札部50に搬送されるまでの自動改札機1の動作を示す。3枚目の券は整列部20から磁気処理部30に搬送される(矢印T321)。磁気処理部30では、書込ヘッド32が3枚目の券に情報を書き込むとともに、ベリファイヘッド33が3枚目の券に記録された情報を確認する。その後、3枚目の券はパンチ・印刷部40を通過し(矢印T342)、放出・集札部50に保留される(線分S351)。このとき、1枚目の券及び2枚目の券は保留部34に保留された状態で維持されている(線分S131,S231)。そのため、自動改札機1は、
図7及び
図8と同様に処理することで、1枚目の券及び2枚目の券を保留部34から反転機構35を経由して書込ヘッド32、ベリファイヘッド33に搬送され、それぞれの券に情報が記録される。その後、2枚の券は、パンチ・印刷部40に搬送され、放出・集札部50に保留される。そして、3枚の券が、放出口EXから一緒に外部へ放出される。
【0026】
このように、3枚目の券が裏面を上側にして投入された場合、1枚目の券及び2枚目の券は、その表裏に対応した前述の処理が実行され、それぞれ第1の保留部34A及び第2の保留部34Bに保留される。この状態で、3枚目の券の表裏が反転機構35により反転され、3枚目の券がパンチ・印刷部40まで搬送される間に、磁気処理部30に設けられたベリファイヘッド33で券に記録された情報が読み取られる。3枚目の券は、再び磁気処理部30を経由して整列部20まで搬送される。その後、自動改札機1は、3枚目の券、1枚目の券、2枚目の券の順に、券を磁気処理部30に搬送して券に情報を記録するとともに、パンチ・印刷部40を経由して放出・集札部50に搬送する。3枚の券は、放出口EXから外部へ放出される。すなわち、この場合においても、3枚の券の情報の読み取りが完了した後に、書き込みヘッド32が情報を3枚の券それぞれに書き込む。これにより、3枚の券が投入された場合であっても、自動改札機1は前述の動作を組み合わせて実行することにより、券に記録された情報を読み取ることができるとともに、3枚の券の組み合わせに応じた適切な情報をそれぞれの券に書き込むことができる。
【0027】
なお、前述した3枚の券の処理では、3枚の券の読み取りか完了した後、3枚目の券、1枚目の券、2枚目の券の順に処理する動作を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、3枚の券の組み合わせに対応した応じた順序で処理を実行してよい。ある一例では、3枚の券の読み取りが完了した後に、1枚目の券、2枚目の券、3枚目の券の順に処理を進める。また、別のある一例では、3枚の券の読み取りが完了した後に、1枚目の券、3枚目の券、2枚目の券の順に処理を進める。さらに別のある一例において、3枚の券の読み取りが完了した後に、2枚目の券から処理する場合、1枚目の券は反転機構35、書込ヘッド32、ベリファイヘッド33を通過して再び保留部34に搬送される。このとき、1枚目の券には情報が書込まれることなく、保留部34に搬送される。1枚目の券が反転機構35に搬送されると、2枚目の券は第1の保留部34Aに搬送される。これにより、再び保留部34に反応される1枚目の券は、第2の保留部34Bに保留可能になる。この結果、第1の保留部34Aに2枚目の券、第2の保留部34Bに1枚目の券が保留される。そして、前述した動作と同様にすることで、2枚目の券、1枚目の券、3枚目の券の順に処理を進める。
【0028】
次に、自動改札機1の制御構成について説明する。
図13は、実施形態に係る自動改札機の制御構成の一例を示すブロック図である。自動改札機1の制御部60は、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63を備える。主制御部61は、自動改札機1全体を制御する。主制御部61は、例えば、券の分離処理、磁気処理、パンチ・印刷処理、集札処理等を実行する。搬送制御部62は、主制御部61の制御の下で、投入口ENに投入された券が放出口EXから放出されるまでの券の搬送処理を制御する。搬送制御部62は、例えば、券の分離制御、券の整列制御、磁気処理部30の搬送制御、パンチ・印刷における搬送制御(パンチ・印刷制御)、及び放出・集札における搬送制御(放出・集札制御)を実行する。磁気処理部30の搬送制御では、例えば、反転制御及び保留制御を実行する。本実施形態の自動改札機1では、搬送制御部62
は、自動改札機1の搬送路、保留部34及び反転機構35の作動を少なくとも制御する。磁気制御部63は、主制御部61の制御及び/又は搬送制御部62の制御の下で、磁気処理部30に搬送された券に対する磁気処理の全般を制御する。本実施形態の自動改札機1では、磁気制御部63は、
図1等に示す読取ヘッド31、書込ヘッド32及びベリファイヘッド33の作動を制御する。
【0029】
なお、自動改札機1の制御部60は、上記の制御部に加えて、通行制御部64、電源制御部65、及びIC制御部66を備えていてもよい。通行制御部64は、自動改札機1における人の通行に関連する制御を実行する。電源制御部65は、自動改札機1の電源を制御する。IC制御部66は、自動改札機1で使用されるICカード等に関連する制御を実行する。通行制御部64、電源制御部65、及びIC制御部66のそれぞれも、主制御部61の制御の下で、それぞれの制御を実行する。
【0030】
制御部60は、例えば、処理装置によって構成される。処理装置は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63の処理を実行し、記憶媒体がプロセッサの処理に必要となるデータ等を記憶する。処理装置は、例えば、コンピュータ等である。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加えて、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体は、磁気ディスク及び半導体メモリ(USBメモリ,SSD等)等である。
【0031】
ある処理装置において、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。プロセッサは、記憶媒体当に記憶されるプログラムを実行することにより、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63の処理を実行する。プロセッサにより実行されるプログラムが、ネットワークを介して接続された処理装置に格納されてもよい。ネットワークは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等である。ネットワークを介して接続された処理装置は、コンピュータ、サーバ、クラウド環境のサーバ等である。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。なお、処理装置には、ユーザーインタフェースが設けられてもよい。
【0032】
次に、搬送制御部62及び磁気制御部63により実行される処理の一例を説明する。ただし、搬送制御部62及び磁気制御部63は、主制御部61と協働して自動改札機1の処理を実行する。
図14は、自動改札機1に1枚の券が投入されたときに、自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図14に示すフローチャートは、
図3及び
図4を用いて説明した、自動改札機1の動作(券の搬送)に対応して実行される処理である。また、
図15は、自動改札機1に複数枚の券が投入されたときに、自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図16は、
図15において実行される券の読取処理の一例を示すフローチャートである。投入枚数が2枚の場合、
図15に示すフローチャートは、
図5~
図8を用いて説明した、自動改札機1の動作(券の搬送)に対応して実行される処理である。投入枚数が3枚の場合、
図15に示すフローチャートは、
図9~
図12を用いて説明した、自動改札機1の動作(券の搬送)に対応して実行される処理である。
【0033】
なお、自動改札機1に1枚の券が投入されるごとに、自動改札機1は、
図14に示す処理を繰り返し実行する。同様に、自動改札機1に複数枚の券が投入されるごとに、自動改札機1は、
図15及び
図16に示す処理を繰り返し実行する。すなわち、
図14に示すフローチャートは、自動改札機1に1枚の券が投入されてから放出されるまで、自動改札機1が一連の処理として実行するフローチャートであり、
図15及び
図16に示すフローチャートは、自動改札機1に複数枚の券が投入されてから放出されるまで、自動改札機1が一連の処理として実行するフローチャートである。
【0034】
図14に示すように、自動改札機1に1枚の券が投入口ENから投入されると、搬送制御部62は、自動改札機1の搬送路を制御して、1枚の券を投入口ENから磁気処理部30まで搬送する(S101)。磁気処理部30では、1枚の券が読取ヘッド31を通過する際に、磁気制御部63が読取ヘッド31の作動を制御して、当該券に記録された情報を読み取る(S102)。読取ヘッド31が券に記録された情報を読み取れた場合(S103-Yes)、処理はS108へ進み、自動改札機1はS108以降の処理を実行する。このとき、主制御部61は、磁気制御部63と協働して、券から読み取った情報を例えば記憶部等に(一時的に)記憶する。
【0035】
読取ヘッド31が券に記録された情報を読み取れなかった場合(S103-No)、搬送制御部62は、券を反転機構35に搬送するとともに、反転機構35を制御して券の表裏を反転させる(S104)。磁気制御部63は、券が反転されたことに基づいて、ベリファイヘッド33を作動させるとともに、ベリファイヘッド33で券に記録された情報を読み取る(S105)。ベリファイヘッド33が券に記録された情報を読み取れた場合(S106-Yes)、搬送制御部62は搬送路を制御して、当該券を保留部34へ搬送する(S107)。このとき、主制御部61は、磁気制御部63と協働して、券から読み取った情報を記憶部等に記憶する。その後、処理はS108へ進み、自動改札機1はS108以降の処理を実行する。
【0036】
S108において、搬送制御部62は券を書込ヘッド32へ搬送する(S108)。磁気制御部63は、書込ヘッド32の作動を制御して、読み取った情報に対応して、搬送された券に必要な情報を書き込む(S109)。このとき、磁気制御部63は、主制御部61と協働してベリファイヘッド33の作動を制御して、ベリファイヘッド33で券に記録された情報を読み取るとともに、券に記録された情報を確認する。搬送制御部62は、自動改札機1の搬送路を制御して、券を放出・集札部50から放出する(S110)。また、S106でベリファイヘッド33が券に記録された情報を読み取れなかった場合(S106-No)、処理はS110へ進む。すなわち、S107~S109の処理は実行されない。そして、搬送制御部62は、自動改札機1の搬送路を制御して、券を放出・集札部50から放出させる(S110)。このようにして、自動改札機1に1枚の券が裏面を上側にして投入された場合であっても、自動改札機1は券に対して適切に処理を実行できる。なお、S106-NoからS110に進む場合、券に対して書き込み処理は実行されない。例えば、自動改札機1に処理対象となる券以外の紙片等が投入された場合に、この処理が実行される。
【0037】
図15に示すように、自動改札機1に複数枚の券が投入口ENから投入されると、搬送制御部62は、分離部10を制御して複数枚の券を券毎に分離させる(S201)。搬送制御部62は、搬送路を制御して、分離部10から整列部20までそれぞれの券を搬送させる。磁気制御部63は、主制御部61及び搬送制御部62と協働して、分離された券のそれぞれに対して読取処理を実行する(S202)。読取処理の具体的な処理内容を
図16に示す。すなわち、読取処理は、分離された券ごとに、1回ずつ実施される。
【0038】
読取処理では、搬送制御部62は、搬送路を制御して、整列部20から磁気処理部30に1枚目の券を搬送させる(S301)。磁気制御部63は、読取ヘッド31を制御して搬送された券に記録された情報を読み取る(S302)。読取ヘッド31が券に記録された情報を読み取れた場合(S303-Yes)、読取処理は終了する。読取ヘッド31が券に記録された情報を読み取れなかった場合(S303-No)、搬送制御部62は、券を反転機構35に搬送するとともに、反転機構35を制御して券の表裏を反転させる(S304)。磁気制御部63は、券が反転されたことに基づいて、ベリファイヘッド33を作動させるとともに、ベリファイヘッド33で券に記録された情報を読み取る(S305)。これにより読取処理は終了する。なお、主制御部61は、磁気制御部63と協働して、読取処理において券に記録された情報が読みとれたか否かを示す読取結果を、例えば記憶部に記憶しておく。読取結果は、それぞれの券と対応付けられて、例えば記憶部に記憶される。
【0039】
読取処理(S202)が完了すると、搬送制御部62は、搬送路を制御して保留部34へ読取処理が完了した券を搬送する(S203)。読取処理が実行されていない券(未読取り券)がある場合(S204-Yes)、主制御部61は、保留部34の券の保留スペースの空き状況に基づいて処理を実行する。保留部34の券の保留スペースが空いている場合(S205-Yes)、処理はS202に戻り、主制御部61は、搬送制御部62及び磁気制御部63と協働して、S202以降の処理を実行する。保留部34の券の保留スペースが空いていない場合、すなわち保留スペースがすべて券により占有されている場合(S205-No)、処理はS206に進む。また、読取処理が実行されていない券(未読取り券)がない場合、すなわちすべての券の読取処理が完了している場合(S204-No)、処理はS209に進む。この場合、S205~S208の処理は実行されない。
【0040】
S206において、磁気制御部63は、主制御部61及び搬送制御部62と協働して、未読取り券に対して読取処理を実行する(S206)。未読取り券に対する読取処理の具体的な処理内容は、
図16に示すS202の処理内容と同様である。未読取り券の読取処理(S206)が完了すると、搬送制御部62は、搬送路を制御してS206で読取処理を実行した券をパンチ・印刷部40へ搬送して留保する(S207)。分離部10に未読取り券がある場合(S208-Yes)、処理はS206に戻り、主制御部61は、搬送制御部62及び磁気制御部63と協働して、S206以降の処理を実行する。整列部20に未読取り券ない場合、すなわちすべての券の読取処理が完了している場合(S208-No)、処理はS209に進む。
【0041】
S209において、主制御部61は、読取処理において記憶した読取結果に基づいて処理を実行する。すべての券が読み取れている場合(S209-Yes)、主制御部61は、搬送制御部62及び磁気制御部63と協働して、券を順次書き込みヘッド32に搬送するとともに、書込ヘッド32により情報を券に書き込む(S210)。このとき、磁気制御部63は、主制御部61と協働してベリファイヘッド33の作動を制御して、ベリファイヘッド33で券に記録された情報を読み取るとともに、券に記録された情報を確認する。すべての券に情報の書き込みが完了した後、搬送制御部62は放出・集札部50を制御して、すべての券を放出口EXから放出する(S211)。1枚でも券が読みとれていない場合(S209-No)、処理はS211に進む。すなわち、すべての券に情報の書込み(S210)を実行することなく、搬送制御部62が放出・集札部50を制御して、すべての券を放出口EXから放出する(S211)。このようにして、自動改札機1に複数枚の券が投入され、少なくとも一部の券が裏面を上側にして投入された場合であっても、すべての券に対して適切に処理を実行できる。また、すべての券が読み取れた場合以外は、券に対する情報の書き込み処理を実行することなく券を放出するため、不要な書き込み処理を抑制できる。
【0042】
前述したように、本実施形態の自動改札機1は、保留部34が第1の保留部34A及び第2の保留部34Bを備えるため、保留部34は2つの保留スペースを有する。この場合に自動改札機1で実行される具体的な処理を、2枚の券(第1の券及び第2の券)を処理するとき(
図5~
図8に対応)及び3枚の券(第1の券~第3の券)を処理するとき(
図9~
図12)のそれぞれについて説明する。
【0043】
自動改札機1が2枚の券を処理する場合、1枚目の券(第1の券)の読取処理の後では、2枚目の券(第2の券)が未読取り券であり、かつ、保留部34が空いているため、処理がS204-YesからS205-Yesに進み、2枚目の券の処理に進む。2枚目の券の読取処理の後では、未読取り券がないため、処理がS204-Noに進み、S209以降の処理が実行される。一方、自動改札機1が3枚の券を処理する場合、1枚目の券(第1の券)の読取処理の後では、2,3枚目の券(第2の券及び第3の券)が未読取り券であり、かつ、保留部34が空いているため、処理がS204-YesからS205-Yesに進み、2枚目の券の処理に進む。2枚目の券の読取処理の後では、3枚目の券が未読取り券であり、かつ、保留部34が空いていないため、処理がS204-YesからS205-Noに進み、3枚目の券の処理に進む。3枚目の券の読取処理の後では、未読取り券がないため処理がS208-Noに進み、S209以降の処理が実行される。
【0044】
前述のように、本実施形態の自動改札機1は、読取ヘッド31、ベリファイヘッド33、反転機構35及び書込ヘッド32を具備する。ベリファイヘッド33は、読取ヘッド31より放出口EX側の搬送路に設けられ、券の磁気情報を読み取る。反転機構35は、読取ヘッド31とベリファイヘッド33との間の搬送路に設けられる。書込ヘッド32は、反転機構35とベリファイヘッド33との間の搬送路に設けられる。ベリファイヘッド33は、読取ヘッド31が券の磁気情報を読み取れずに反転機構35が券の表裏を反転させた場合、及び、書込ヘッド32が券に磁気情報を書き込んだ場合、券の磁気情報を読み取る。このように、ベリファイヘッド33が券の磁気情報を読み込むことで、裏面を上側にして券が投入された場合であっても、裏面処理用の構成を別途設けることなく、自動改札機1は裏面を上側にして投入された券を適切に処理できる。そのため、自動改札機1に設けられる構成が減少し、メンテナンス性が向上する。また、裏面処理用の構成を搬送路に設けないため、自動改札機1の投入口ENから放出口EXまでの長さを短くすることが可能となり、自動改札機1の小型化が可能となる。
【0045】
本実施形態の自動改札機1は、券の処理を制御する制御部60をさらに具備する。制御部60は、読取ヘッド31が券を読み取れなかったこと、及び、反転機構35が券の表裏を反転させたことの両方に基づいて、ベリファイヘッド33に券を読み取らせる。このように、ベリファイヘッド33が券の磁気情報を読み込むことで、裏面を上側にして券が投入された場合であっても、裏面処理用の構成を別途設けることなく、自動改札機1は裏面を上側にして投入された券を適切に処理できる。そのため、自動改札機1に設けられる構成が減少し、メンテナンス性が向上する。
【0046】
本実施形態の制御部60は、ベリファイヘッド33が券の磁気情報を読み取ったことに基づいて、搬送路によって保留部34に券を搬送する。これにより、読み取りが終わった券を保留するとともに、投入された券の読み取りが完了してから、券に対する処理を実行することができる。
【0047】
本実施形態の制御部60は、保留部34に券が搬送されたことに基づいて、保留部34に留められた券を、搬送路によって反転機構35を経由して書込ヘッド32に搬送させる。これにより、保留部34から書込ヘッド32に券を搬送する構成を別途設けることなく、券を搬送することができる。そのため、自動改札機1に設けられる構成が減少し、メンテナンス性が向上する。また、自動改札機1の投入口ENから放出口EXまでの長さを短くすることが可能となり、自動改札機1の小型化が可能となる。
【0048】
本実施形態の制御部60は、保留部34に1以上の券が保留されていること、及び、保留部34に1以上の券をさらに保留可能であることの両方に基づいて、搬送路によって保留部34に券を搬送させる。これにより、読み取りが終わった券を保留するとともに、投入された券の読み取りが完了してから、券に対する処理を実行することができる。
【0049】
本実施形態の制御部60は、保留部34に1以上の券が保留されていること、及び、保留部34が券によるすべて占有されていることの両方に基づいて、読取ヘッド31又はベリファイヘッド33で券を読み取った後に、ベリファイヘッド33より放出口EX側の搬送路に、券を搬送路によって搬送させる。投入された券の読み取りが完了してから、券に対する処理を実行することができる。
【0050】
本実施形態の制御部60は、ベリファイヘッド33より放出口EX側の搬送路に搬送された券を読取ヘッド31より投入口EN側の搬送路まで搬送した後、書込ヘッド32により券の組み合わせに対応して券に情報を書き込ませる。これにより、投入された券の読み取りが完了してから、券に対する処理を実行することができる。
【0051】
これらの少なくとも一つの実施形態では、自動改札機は、読取ヘッド、ベリファイヘッド、反転機構及び書込ヘッドを具備する。ベリファイヘッドは、読取ヘッドより放出口側の搬送路に設けられ、券の磁気情報を読み取る。反転機構は、読取ヘッド及びベリファイヘッドの間の搬送路に設けられる。書込ヘッドは、反転機構とベリファイヘッドの間の搬送路に設けられる。ベリファイヘッドは、読取ヘッドが券の磁気情報を読み取れずに反転機構が券の表裏を反転させた場合、及び、書込ヘッドが券に磁気情報を書込んだ場合、券の磁気情報を読み取る。これにより、券が裏面を上側にして投入された場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性が向上する自動改札機を提供できる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…自動改札機、10…分離部、20…整列部、30…磁気処理部、31…読取ヘッド、32…書込ヘッド、33…ベリファイヘッド、34…保留部、34A…第1の保留部、34B…第2の保留部、35…反転機構、40…パンチ・印刷部、50…放出・集札部、60…制御部、61…主制御部、62…搬送制御部、63…磁気制御部、EN…投入口、EX…放出口。