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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095581
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】光脱毛装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230629BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230629BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211556
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 陽一
(72)【発明者】
【氏名】陳 国緯
【テーマコード(参考)】
4C082
5F142
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE09
4C082PE10
4C082PJ21
5F142AA13
5F142BA32
5F142DB12
5F142EA06
5F142EA34
5F142HA01
5F142HA03
(57)【要約】
【課題】光源としてLEDを用いた光脱毛装置を提供する。
【解決手段】肌との接触面となる第1面110を有する筐体10と、第1面110に設けられた発光部20Aとを有する光脱毛装置1を提供する。発光部20Aには、12個の発光素子210が3行4列に配列される。各発光素子210は、LEDが設けられた基板と、当該基板を覆い当該基板から発光された光を所定の指向性で集光するレンズとからなる。発光部20Aに配列される複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が肌面に対して所定の角度だけ傾くように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌との接触面を有する筐体と、
各々、LEDが設けられた基板と、当該基板を覆い当該基板から発光された光を所定の指向性で集光するレンズとからなる複数の発光素子を、肌における照射エリアが実質的に矩形になるように、m行n列で配列させた発光部と
を備え、
前記複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が肌面に対して所定の角度だけ傾くように配置されている
光脱毛装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子の各々のレンズの頂点は、前記接触面に略平行な基準平面上に位置する、
請求項1に記載の光脱毛装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子の各々の基板は略矩形であって実質的に隣り合うように配置され、
前記接触面から前記基準平面までの距離と、前記複数の発光素子の各々の基板の一辺の長さは略同一である、
請求項2に記載の光脱毛装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子の各々の基板の背面全体と接するようにヒートシンクをさらに有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面とは50度~58度だけ傾いて配置される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項6】
n=4であり、
前記複数の発光素子のうち最も内側の2列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面とは69度~75度だけ傾いて配置される、
請求項5に記載の光脱毛装置。
【請求項7】
n=3であり、
前記複数の発光素子のうち中央の列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面とは90度だけ傾いて配置される、
請求項5に記載の光脱毛装置。
【請求項8】
前記所定の指向性とは、光軸に対する強度の半値全幅が45°~55°となるものである
請求項1~7のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項9】
前記複数の発光素子の外側の前記筐体上に、RF電圧を印加するための環状電極が設けられる
請求項1~8のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【請求項10】
前記筐体は、筒状の第2筐体部分と、前記第2筐体部分に対して回転する筒状の第1筐体部分とを含み、
前記第1筐体部分には、前記複数の発光素子が設けられるとともに、前記複数の発光素子の外側の前記筐体上に棒状のローラ部材が設けられる
請求項1~9のいずれか1項に記載の光脱毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いた美容装置が種々提案されており、一例としては特許文献1、特許文献2、または特許文献3に開示の技術が挙げられる。特許文献1には、単色LEDを用いた美顔育毛器の発明が記載されている。特許文献2には、アクネ(にきび)のある皮膚の部分にLEDから光を照射することにより、アクネを除去する技術が開示されている。特許文献3には、赤色LEDまたは青色LEDを含む殺菌光源から発せられる光束を皮膚表面および毛穴内に照射し、細菌の自然死を引き起こすことにより、殺菌、清潔および美肌効果を奏する美肌装置の発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/084764
【特許文献2】特開平7-100219号公報
【特許文献3】特開2017-51588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を用いる美容装置の他の具体例としては、手足または顔等の肌面に光を照射することでムダ毛の脱毛を行う光脱毛装置が挙げられる。従来、光脱毛装置では、光源としてフラッシュランプが用いられることが一般的であった。光脱毛装置における光源としてレーザ光源が用いることも考えられるが、光脱毛では大きな面積の走査が必要となる一方、レーザ光はピンポイント照射となり、大きな面積の走査には不向きであるという問題があった。LEDにも同様の問題があり、また、LEDには光量が少ないという問題もあり、LEDを光源として用いた光脱毛装置は従来無かった。
【0005】
本発明は、光源としてLEDを用いた光脱毛装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る光脱毛装置は、筐体と発光部とを備える。筐体は、肌との接触面を有する。発光部は、複数の発光素子を備える。複数の発光素子の各々は、LEDが設けられた基板と、当該基板を覆い当該基板から発光された光を所定の指向性で集光するレンズとを備える。発光部における複数の発光素子は、肌における照射エリアが実質的に矩形になるように、m行n列で配列される。そして、複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が肌面に対して所定の角度だけ傾くように配置される。
従来のLEDには光量が低いという問題点があったが、この光脱毛装置によれば、LEDを含む発光素子をm行n列で配列することによって、照射エリアが実質的に矩形となるため、照射エリアに対して均等に(すなわち、むらなく)光を照射することが可能になる。
【0007】
好ましい態様において、第1の態様の光脱毛装置における複数の発光素子の各々のレンズの頂点が接触面に略平行な略同一基準平面上に位置する。この光脱毛装置によれば、照射面が均一な矩形になる。
【0008】
好ましい態様において、前記複数の発光素子の各々の基板は略矩形であって実質的に隣り合うように配置され、前記接触面から前記基準平面までの距離と、前記複数の発光素子の各々の基板の一辺の長さは略同一である。
【0009】
好ましい態様において、複数の発光素子の各々の基板の背面全体と接するようにヒートシンクがさらに設けられる。この光脱毛装置によれば、複数の発光素子の各々をヒートシンクによって冷却することができる。
【0010】
好ましい態様において、前記複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群が、光軸が前記肌面に対して50度~58度だけ傾いて配置される。
【0011】
好ましい態様において、n=4であり、前記複数の発光素子のうち最も内側の2列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面に対して69度~75度だけ傾いて配置される。
【0012】
好ましい態様において、n=3であり、前記複数の発光素子のうち中央の列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面とは90度だけ傾いて配置される。
【0013】
好ましい態様において、前記所定の指向性とは、光軸に対する強度の半値全幅が45°~55°となるものであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による光脱毛装置1の構成例を示す図である。
図2】光脱毛装置1の第1面110付近の断面の一例を示す図である。
図3】基板210aに設けられるLEDの発光特性の一例を示す図である。
図4】レンズ210bの指向性を示す図である。
図5】変形例(1)の発光部20Bの断面の一例を示す図である。
図6】変形例(2)の発光部20Cの断面の一例を示す図である。
図7】変形例(3)の光脱毛装置1A~1Cにおける第1面を含む筐体の一部を示す図である。
図8】変形例(4)の光脱毛装置1Dの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に述べる各実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0016】
A.実施形態
図1は、本発明の一実施形態による光脱毛装置1の外観を示す斜視図である。光脱毛装置1は、手足または顔等の肌面に光を照射することで、いわゆるムダ毛の除去(脱毛)を行う美容装置である。図1に示されるように、光脱毛装置1は、筐体10と、筐体10に設けられる発光部20Aとを有する。筐体10は、角の丸められた矩形状に形成された第1面110と、第1面110と略同じ形状に形成された第2面と、第1面110および第2面の外周に沿って設けられた側壁120とにより形成されている。なお、図1では第2面の図示は省略されている。筐体10の構成素材としては樹脂が挙げられる。
【0017】
第1面110の中央には、ムダ毛を脱毛するための光を発する発光部20Aが設けられる。第1面110は、脱毛箇所の肌面に接触する接触面となる。第1面110の四隅には、脱毛箇所の肌面に対する第1面110(即ち接触面)の滑りを良くするためのローラ部材310が設けられる。ローラ部材310は、球体状に形成されており、第1面110の法線方向、即ち図1におけるZ軸方向に浮き沈みするように筐体10に対して支持される。なお、ローラ部材310は、本発明の光脱毛装置の必須構成要素ではなく、省略されてもよい。
【0018】
筐体10には、発光部20Aへ動作電力を供給する電源回路が内蔵される。図1では電源回路の図示は省略されている。側壁120には、発光部20Aと電源回路との電気的な接続/切断を切り替えるためのスイッチ410と、発光部20Aを冷却するための外気を筐体10内に取り込むための複数の通風孔510とが設けられる。
【0019】
図1に示されるように、発光部20Aは、12個の発光素子210を備える。本実施形態では、発光部20Aの備える12個の発光素子210は、脱毛箇所の肌面に対する光の照射エリアが実質的に矩形になるように、Y軸方向に3個、且つX軸方向に4個のマトリクス状に配置される。以下では、Y軸に沿った方向は列方向と称され、X軸に沿った方向は行方向と称される。つまり、本実施形態では、発光部20Aの備える12個の発光素子210は、3行4列に配置される。
【0020】
図2は、第1面110付近の光脱毛装置1の断面の一例を示す図である。より詳細には、図2は、図1におけるAA線に沿った平面による光脱毛装置1の断面の一部を示す部分断面図である。図2に示されるように、発光素子210は、LED(Light Emitting Diode)210Cが設けられた基板210aと、LED210cから発せられる光を所定の指向性で集光するレンズ210bと、を備える。
【0021】
基板210aは、発光素子210毎に略矩形状に形成されたアルミニウム基板である。本実施形態では、このアルミニウム基板の一辺の長さDは3.5mmの正方形である。図1および図2に示されるように、12個の発光素子210の各々の基板210aは実質的に隣り合うように配置される。本実施形態では、発光素子210毎に基板210aが別個であるが、1つの列に属する発光素子群はY方向を長手方向とする長方形状の1つのアルミニウム基板を共有してもよい。つまり、1つの列に属する3個の発光素子210の各々のLED210cをY軸方向に並べて当該アルミニウム基板に配置し、且つLED210c毎にレンズ210bを設けることで1つの列に属する発光素子群が形成されてもよい。
【0022】
複数の発光素子210の各々の基板210aの背面側(光の照射方向と反対側)には、基板210aの背面全体と接するヒートシンク220が設けられる。同図に示すように、各発光素子210の基板は、上記第1面(XY面;ヒートシンク220の背面)対して傾斜しているため、ヒートシンク220は、各発光素子210と接触する複数の傾斜面を有する形状となっている。動作電力の供給を受けて発光する発光素子210は発熱し、この熱はヒートシンク220に伝わる。ヒートシンク220に伝わった熱は、複数の通風孔510を介して筐体10内に流入した外気との熱交換により放熱される。これにより、発光素子210が冷却される。
【0023】
図3は、LED210cの発光特性の一例を示す図である。図3には、電源回路から動作電力の供給を受けたときにLED210cの発する光の各波長の強度がピーク値に対する相対強度で示されている。電源回路から動作電力の供給を受けているLED210cは、図3に示されるように、750nm~950nmの波長の光を発し、840~850nmの付近の波長を有する光の強度が最も高くなる。840~850nmの付近の波長の光がムダ毛ケアに最も有効だからである。
【0024】
レンズ210bは、例えばシリコンレンズである。図4は、レンズ210bの指向特性の一例を示す図である。図4に示されるように、レンズ210bは、LED210cの光軸方向を0°方向としたときに、+25°方向および-25°方向における照射光の強度が0°方向における照射光の強度の半分となる指向性を有する。なお、図2では、LED210cの光軸の一例が一点鎖線または二点鎖線で示されている。この指向性を実現するため、レンズ210bは光軸方向に若干尖った形状に形成されている。本実施形態におけるレンズ210bの光軸方向の長さLは2.85mmである。本実施形態では、レンズ210bは、光軸に対する強度の半値全幅が50°となる指向性を有するが、光軸に対する強度の半値全幅が45°~55°の指向性を有してもよい。なお、光軸に対する強度の半値全幅とは、照射光の強度が0°方向における照射光の強度の半分となるマイナス側の角度からプラス側の角度までの角度の幅のことをいう。このように、各発光素子210から発光する光の指向性を鋭して肌に照射される光のエネルギー密度を上げる(集光性を向上させる)とともに、複数の発光素子210をマトリクス上に規則正しく配列させることよって、照射領域全体におけるエネルギー密度を均一にすることができる。
【0025】
前掲図2に示されるように、12個の発光素子210のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が接触面(或いは接触面に接する肌面)に対して所定の角度θ(本実施形態では、θ=54°)を為すように、接触面に対して傾いて配置されている。なお、図2では、最も外側の列に属する発光素子群に属する発光素子210の光軸が一点鎖線で示されている。本実施形態ではθ=54°であるが、θは50°~58°の角度であればよい。
【0026】
また、本実施形態では、12個の発光素子のうち最も内側の2列に属する発光素子群は、光軸が接触面に対して所定の角度φ(本実施形態では、φ=72°)を為すように、接触面に対して傾いて配置されている。なお、図2では、最も内側の2列に属する発光素子群に属する発光素子210の光軸が二点鎖線で示されている。本実施形態ではφ=72°であるが、φは69°~75°の角度であればよい。
【0027】
図2に示されるように、12個の発光素子210のうち最も外側の列に属する発光素子群に属する発光素子210の各々のレンズ210bの頂点は、接触面と略平行な面S1上に位置する。面S1は本発明にける基準平面の一例である。同様に、12個の発光素子210のうち最も内側の2列に属する発光素子群に属する発光素子210の各々のレンズ210bの頂点は、接触面と略平行な面S2上に位置する。本実施形態では、面S1と面S2との間隔dは約1mmであるが、dがゼロ(つまり、面S1と面S2とが完全に一致する状態)であってもよい。要するに、面S1と面S2とは実質的に同一とみなせるように発光素子210を配置することが好ましい。つまり、複数の発光素子210の各々のレンズ210bの頂点は、接触面に略平行な略同一基準平面上に位置する。なお、本実施形態では、面S1から接触面までの距離Hは約3mmであり、基板210aの一辺の長さDと略同一である。
【0028】
前述したように、従来の光脱毛装置では、光源として主にフラッシュランプが用いられていた。これは、脱毛対象の肌面に対してできるだけ高いエネルギーの光をむらなく均等に照射する必要があったからである。LEDには、レーザ光源と同様な問題点に加えて光量が低いという問題点があったため、従来、光脱毛装置における光源としてLEDが用いられることはなかった。
【0029】
これに対して、本実施形態では、LEDが設けられた基板210aとレンズ210bとからなる発光素子210を3行4列に配列して発光部20Aを構成し、さらに最も外側の列に属する発光素子群および内側の2列に属する発光素子群の光軸の向きを工夫することで、発光部20Aから肌面に対して照射される光の照射エリアを均一な矩形とすることが可能になる。つまり、本実施形態によれば、光源としてLEDを用いた光脱毛装置が実現される。
【0030】
B.変形
以上説明した実施形態は、以下のように変形されてもよい。
上記実施形態の光脱毛装置1における発光部20Aでは、4列に配列された複数の発光素子210のうち最も内側の2列に属する発光素子群は光軸が接触面に対して72°の角度を為すように傾けて配置されていた。しかし、本発明の光脱毛装置は、発光部20Aに代えて図5に示される発光部20Bを用いて構成されてもよい。発光部20Bは、発光部20Aと同様に12個の発光素子210を3行4列に配置して構成される。但し、発光部20Bでは、図5に示されるように、4列に配列された複数の発光素子210のうち最も内側の2列に属する発光素子群が、光軸が肌面に対して90度の角度を為すように配置されている。発光部20Bでは、面S1と面S2とは同一の平面となる。つまり、本態様では、発光部20Bに含まれる複数の発光素子210の各々のレンズ210bの頂点は、接触面に略平行な同一基準平面上に位置する。
【0031】
発光部20Aおよび発光部20Bでは、12個の発光素子210が3行4列に配置されていたが、4行3列に配置されてもよい。同様に、9個の発光素子210で発光部を構成する場合には、これら9個の発光素子が3行3列に配置されればよく、15個、18個または21個の発光素子210で発光部を構成する場合には、これら15個、18個または21個の発光素子は5行3列、6行3列または7行3列に配置されればよい。図6は、複数の発光素子210が3列に配置された発光部20Cの一例を示す図である。図6に示されるように、発光部20Cに含まれる複数の発光素子210のうち中央の列に属する発光素子群は、光軸が接触面に対して90度の角度を為すように配置される。本態様においても、発光部20Cに含まれる複数の発光素子210の各々のレンズ210bの頂点が、接触面に略平行な略同一基準平面上に位置していてもよい。
【0032】
光脱毛装置1は、発光部20Aを制御する制御回路を備え、電源(図示せず)が投入されると。あらかじめ定められたプログラムに従って、発光部20Aの調光制御を行ってもよい。制御回路は、好ましく、各発光素子210に印加する電圧のオン・オフを所定の周期で繰り返し行う。例えば、3秒間光照射を行った後、1.5秒間光照射を停止し、また3秒間光照射を行う・・・というサイクルが繰り返されるように制御する。このような間欠発光制御を行うことにより、LEDの発熱による性能劣化や同一箇所に照射し続けることによるやけどの虞を低減させることができる。いずれにしても、持続的な照射が難しいフラッシュランプを用いた脱毛装置と比べて、本発明の光脱毛装置1は、原理的に、ある程度長い期間、照射時間を設定することができるため、毛根に与える熱量をより大きくすることができる。すなわち、毛根に蓄積された熱がすぐに拡散せず、フラッシュランプを用いた脱毛装置よりも高い蓄熱性を実現させることができる。結果として、毛根(具体的には発毛因子を作るバルジ領域)に対して、より高いダメージを与えることができるので、脱毛効果が向上する。
【0033】
上述の光脱毛装置に、RF(ラジオ波)電圧を印加して肌に電気刺激を与える機能を加えてもよい。例えば、筐体の発光部20Aが設けられる面に、発光部20Aの周囲を囲むように、RF電圧を印加するための環状の電極を、少なくとも一対、配置する。図7の(a)~(c)は、光脱毛装置1Aないし1Cの第1面を含む筐体の一部を示す図である。なお、筐体の他の部分については捨象している。光脱毛装置1Aは、発光部20Aの周囲の筐体面上に、一対の円環電極41および42を形成したものである。同様に、光脱毛装置1Bは、発光部20Aの周囲の筐体面上に、楕円環電極43および44が形成したものである。光脱毛装置1Cは、発光部20Aの周囲の筐体面上に、角丸略矩形の環状電極45および46を形成したものである。このように、環状電極の中心部に発光部20Aを配置することで、筐体において肌と接触する領域を有効に活用することできる。
【0034】
上述の光脱毛装置において、ローラ部材310の形状、数、配置は一例に過ぎない。例えば、細長棒状の形状であって、一方向への移動(滑り)を促進させる1以上のローラ部材を設けてもよい。図8は、光脱毛装置1Dの外観を示す。(a)に示すように、筐体10は、発光素子210Aが内部に配置され肌にあたる面を有する略円筒状の第1筐体部11、肌に当たらない略円筒状の第2筐体部12、ユーザによって把持され、各種スイッチ等が設けられた略棒状体の第3筐体部13から構成される。
発光部20Aの左右両側には、同図(b)示すように、棒状のローラ部材610がそれぞれ設けられている。これより、ユーザはローラ部材610の軸方向に光脱毛装置1Dを滑らかに動かすことができる。また、第1筐体部11が第2筐体部12に対して回転する機構(図示省略)を備えている。
同図(b)の状態において、ユーザが第1筐体部11を捻ると、第1筐体部11が第2筐体部12に対して回転し、同図(c)の状態となる。同図(c)は、同図(b)の状態から90度回転させた状態であり、持ち手の向きに対して90度異なる方向に滑らせることが容易になる。このように、ユーザは、ユーザの好みや使用する部位などに応じて、滑らせたい方向を選択することができる。
なお、回転可能な角度は任意であり、あらかじめ設定した角度まで回転するとそれ以上回転を抑止してその位置で第1筐体部11を固定するストッパー機構を設けてもよいし、任意の角度に回転できるようにしてもよい。
【0035】
要するに、本発明における光脱毛装置は、肌との接触面を有する筐体と、各々、LEDが設けられた基板と、当該基板を覆い当該基板から発光された光を所定の指向性で集光するレンズとからなる複数の発光素子を、肌における照射エリアが実質的に矩形になるように、m行n列で配列させた発光部とを備え、前記複数の発光素子のうち最も外側の列に属する発光素子群は、光軸が前記肌面に対して所定の角度だけ傾くように配置されていればよい。ここで、mは2以上の整数であり、nは2以上の整数である。
【符号の説明】
【0036】
1…光脱毛装置、10…筐体、110…第1面、120…側壁、20A,20B,20C…発光部、210…発光素子、210a…基板、210b…レンズ、210c…LED、220…ヒートシンク、310…ローラ部材、410…スイッチ、510…通風孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8