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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095597
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ドラム式脱水機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/60 20200101AFI20230629BHJP
   D06F 33/63 20200101ALI20230629BHJP
   D06F 37/06 20060101ALI20230629BHJP
   D06F 49/00 20060101ALI20230629BHJP
   D06F 49/04 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
D06F33/60
D06F33/63
D06F37/06
D06F49/00 E
D06F49/04 A
D06F49/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211576
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】川端 睦美
(72)【発明者】
【氏名】國本 和真
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
3B168
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA04
3B165AA05
3B165AB24
3B165AB29
3B165AD07
3B165AE05
3B165AE07
3B165AE12
3B165AE13
3B165BA08
3B165BA54
3B165CA04
3B165CA28
3B165CB24
3B165CB32
3B165CB55
3B165CB59
3B165DW01
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW03
3B165EW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA13
3B165GA25
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3B165JM03
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3B167AD07
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA08
3B167BA54
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3B167JA01
3B167JA11
3B167JA31
3B167JA41
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3B167JB01
3B167JB11
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3B167LC09
3B167LC14
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3B167LD03
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3B167LE07
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3B167LF22
3B167LF23
3B167LG03
3B167LG05
3B167LG08
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3B168AA04
3B168AA05
3B168AB24
3B168AB29
3B168AD07
3B168AE05
3B168AE07
3B168AE12
3B168AE13
3B168BA08
3B168BA54
3B168JM01
3B168JM03
(57)【要約】
【課題】水を通さない防水性衣類でも脱水することが可能なドラム式脱水機を提供する。
【解決手段】本発明のドラム式脱水機は、外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を回転軸として回転可能なドラムと、ドラムの内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、ドラムを回転駆動するための駆動モータと、ドラム内に風を供給するファンと、駆動モータ及びファンを制御する制御手段とを備え、制御手段は、ファンを駆動した状態において、ドラムが正方向に回転する正方向回転とドラムが逆方向に回転する逆方向回転とを交互に繰り返すように駆動モータを制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を回転軸として回転可能なドラムと、
前記ドラムの内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、
前記ドラムを回転駆動するための駆動モータと、
前記ドラム内に風を供給するファンと、
前記駆動モータ及び前記ファンを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記ファンを駆動した状態において、前記ドラムが正方向に回転する正方向回転と前記ドラムが逆方向に回転する逆方向回転とを交互に繰り返すように前記駆動モータを制御することを特徴とするドラム式脱水機。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記正方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、前記ドラムの正方向への加速を停止するとともに、
前記逆方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、前記ドラムの逆方向への加速を停止するように、
前記駆動モータを制御することを特徴とする請求項1に記載のドラム式脱水機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記正方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるとともに、
前記逆方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるように、
前記駆動モータを制御することを特徴とする請求項2に記載のドラム式脱水機。
【請求項4】
前記正方向回転において、前記ドラムの回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向一方側において前記回転軸の高さよりも上方まで移動しており、
前記逆方向回転において、前記ドラムの回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向他方側において前記回転軸の高さよりも上方まで移動していることを特徴とする請求項2または3に記載のドラム式脱水機。
【請求項5】
前記正方向回転において、前記ドラムの回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向一方側において前記回転軸の高さよりも下方にあり、
前記逆方向回転において、前記ドラムの回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向他方側において前記回転軸の高さよりも下方にあることを特徴とする請求項2または3に記載のドラム式脱水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレインウエアなどの防水性衣類を脱水するためのドラム式脱水機に関する。
【0002】
一般家庭あるいはコインランドリーなどに設置される一般的なドラム式洗濯機は、洗濯機本体内に設けた外槽と、この外槽内に水平軸を中心に回転できるように収容したドラムを備えている。このドラム式洗濯機では、ドラム内に衣類を投入した後、外槽内に給水した状態でドラムを回転させることにより洗濯を行い、その後、外槽より水を排水してドラムを高速回転させることにより脱水を行う。
【0003】
ドラム式洗濯機において、ドラムの外周面には、全体に亙って多数の小孔が形成されている。そのため、ドラムを高速回転させて衣類の脱水を行う場合、衣類に含まれていた水分は、遠心力により多数の小孔を通過して外槽内へ排出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-99586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レインウエアなどの防水性衣類を着用した後で干す場合、水が滴るために干す場所が制限される。また、水が付着した防水性衣類が長時間放置されると、カビが発生する問題がある。そのような問題を解消するためには、水が付着した防水性衣類をドラム式洗濯機で脱水することが考えられる。ドラム式洗濯機において、防水性衣類を収容したドラムを高速回転させると、防水性衣類がドラムの内周面に貼り付いた状態で回転する。
【0006】
防水性衣類は、水の侵入を防ぐために水を通さない(通しがたい)生地から形成されており、ドラムの内周面に貼り付くとドラムに形成される小孔を塞ぐため、ドラム内の水を外槽内へ排出することができない。このように、一般的なドラム式洗濯機では、防水性衣類の脱水を行うことができない。
【0007】
本発明は係る課題を解決するものであり、その主たる目的は、防水性衣類の脱水を行うことが可能なドラム式脱水機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るドラム式脱水機は、外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を回転軸として回転可能なドラムと、前記ドラムの内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフルと、前記ドラムを回転駆動するための駆動モータと、前記ドラム内に風を供給するファンと、前記駆動モータ及び前記ファンを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ファンを駆動した状態において、前記ドラムが正方向に回転する正方向回転と前記ドラムが逆方向に回転する逆方向回転とを交互に繰り返すように前記駆動モータを制御することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るドラム式脱水機において、前記制御手段は、前記正方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、前記ドラムの正方向への加速を停止するとともに、前記逆方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、前記ドラムの逆方向への加速を停止するように、前記駆動モータを制御することが好適である。
【0010】
本発明に係るドラム式脱水機において、前記制御手段は、前記正方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるとともに、前記逆方向回転を行う際に、前記ドラムの回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるように、前記駆動モータを制御することが好適である。
【0011】
本発明に係るドラム式脱水機では、前記正方向回転において、前記ドラムの回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向一方側において前記回転軸の高さよりも上方まで移動しており、前記逆方向回転において、前記ドラムの回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向他方側において前記回転軸の高さよりも上方まで移動していることが好適である。
【0012】
本発明に係るドラム式脱水機では、前記正方向回転において、前記ドラムの回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向一方側において前記回転軸の高さよりも下方にあり、前記逆方向回転において、前記ドラムの回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、前記ドラム内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、前記回転軸の左右方向他方側において前記回転軸の高さよりも下方にあることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防水性衣類を収容するドラム内に風を供給しながら、ドラムを正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返すように回転させることにより、防水性衣類に付着した水を吹き飛ばすことができる。これによって、防水性衣類の脱水を行うことが可能なドラム式脱水機を提供することができる。
【0014】
本発明によれば、ドラムを正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラムの回転数を加速して適正回転数まで上昇させた後で加速を停止することにより、ドラム内においてバッフルで防水性衣類を持ち上げて落下させてひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0015】
本発明によれば、ドラムを正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラムの回転数を加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させることにより、ドラム内においてバッフルで防水性衣類をあまり高くまで持ち上げないでひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0016】
本発明によれば、ドラムを正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム内においてバッフルで防水性衣類を回転軸の高さよりも上方まで持ち上げて落下させてひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0017】
本発明によれば、ドラムを正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム内においてバッフルで防水性衣類をあまり高く持ち上げないでひっくり返すことができる。防水性衣類の表面には、防水膜が形成されているが、ドラム内において防水性衣類を高くから落下させるのを繰り返すと、防水膜が傷んで防水性が悪化する場合があるため、ドラム内において防水性衣類が上方から落下させないことにより、防水性衣類が傷むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るドラム式洗濯機1を前方右斜め上方から見た斜視図である。
図2図1のドラム式洗濯機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側方から見た概略断面図であり
図3図1のドラム式洗濯機1の制御ブロック図である。
図4】第1強風タンブリング動作が行われる際の制御内容を説明する図である。
図5】第1強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化を説明する図である。
図6】第2強風タンブリング動作が行われる際の制御内容を説明する図である。
図7】第2強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る脱水機を備えたドラム式洗濯機1について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態のドラム式洗濯機1を前方右斜め上方から見た斜視図である。なお、内部の構成要素を一部露出させるため、一部切欠き状態で示されている。図2は、洗濯乾燥機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側方から見た概略断面図である。
【0020】
本実施形態のドラム式洗濯機1は、図1に示すように、箱形状の筐体2を有しており、筐体2の内部には、略円筒形状の内周面を有する外槽3が配置され、外槽3の内部には、洗濯物を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム4が前後方向に延伸する主軸5により軸支されている。ドラム4は、水平軸を回転軸Nとして回転可能である。
【0021】
筐体2の前面には、使用者が操作するための操作部2aと、ドラム4の前端に形成された開口4aと対向する衣類投入口6が形成される。筐体2には、衣類投入口6を開閉するドア8が設けられており、衣類投入口6は、ドア8により開閉され、ドア8が開放された状態でドラム4内に洗濯物の出し入れが可能となっている。
【0022】
ドラム4の内周面には、ドラム4内に突出するように複数のバッフル4bが設けられている。バッフル4bは、ドラム4に収容された洗濯物を持ち上げるための突起であり、例えば、洗い行程時において、ドラム4が後述する駆動モータ11の駆動力によって回転されると、ドラム4内の水を含んだ洗濯物がバッフル4bにより持ち上げられ自然落下される、いわゆる叩き洗いが行われる。
【0023】
ドラム4の内周面には、多数の通水孔4cが穿設されており、洗浄や濯ぎ時に外槽3内に供給された水は、通水孔4cを通してドラム4内へ流入し、遠心脱水時にドラム4内で洗濯物から吐き出された水は、この通水孔4cを通して外槽3側へと飛散する。
【0024】
主軸5は、外槽3の背面壁に装着された軸受5aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸5の先端には、主プーリ10が取り付けられている。外槽3の後方下寄りには、ドラム4を回転駆動させるための駆動モータ11が配置される。駆動モータ11の回転軸には、モータプーリ12が取り付けられており、モータプーリ12のトルクは、タイミングベルト16を介して主プーリ10に伝達される。これにより、駆動モータ11が駆動されると、ドラム4が主軸5を中心に回転する。
【0025】
外槽3の背面壁の上部には、途中に給水バルブ30aが設けられた給水管30が接続されており、給水バルブ30aが開放されると、外部から供給される水が給水管30を介して外槽3へと供給される。外槽3の底部に設けられた排水口3aには、途中に排水バルブ31aが設けられた排水管31が接続されており、排水バルブ31aが開放されると、外槽3内の水が排水口3a及び排水管31を通して機外へと排出される。
【0026】
外槽3の右上部には、吸気部50が設けられている。吸気部50は、第1吸気ダクト51と、第2吸気ダクト52と、第1吸気ダクト51と第2吸気ダクト52とを接続するダクト連結管53とを有している。第1吸気ダクト51は、外槽3に設けられた流入口54を介して、外槽3の内部と連通している。第2吸気ダクト52は、その開口端52aを筐体2に設けられた吸気口55と対向配置させるようにして、筐体2に対して固定される。
【0027】
第2吸気ダクト52の内部には、ヒータ56が設けられる。ヒータ56は、例えば外部のガス供給路(図示省略)から供給されるガスを燃焼させ、その燃焼熱により周囲の空気を加熱するガスヒータであり、制御部80からの制御に応じて、そのオンとオフとが切り替えられる。そのため、後述するファン65が駆動されるとともに、ヒータ56がオン状態とされると、第2吸気ダクト52内の空気が加熱され、加熱された空気が、ダクト連結管53および第1吸気ダクト51を通じて外槽3内に供給される。
【0028】
外槽3の左上部には、排気部60が設けられる。排気部60は、第1排気ダクト61と、第2排気ダクト62と、第1排気ダクト61と第2排気ダクト62とを接続するダクト連結管63とを有している。第1排気ダクト61は、外槽3に設けられた流出口64を介して、外槽3の内部と連通している。第2排気ダクト62は、その開口端62aを筐体2の外部に露出させている。第2排気ダクト62の内部には、ファン65が配置され、第2排気ダクト62の内部であってファン65よりも上流側の位置には、フィルタ66が設けられる。
【0029】
ファン65が駆動されると、筐体2に設けられた吸気口55からファン65に至るまでの経路(すなわち、第2吸気ダクト52、ダクト連結管53、第1吸気ダクト51、外槽3、第1排気ダクト61、ダクト連結管63、および、第2排気ダクト62によって形成される経路)に、吸気口55からファン65に向かう方向の空気の流れが形成される。
【0030】
図3は、ドラム式洗濯機1の制御ブロック図である。ドラム式洗濯機1の制御部80は、図3に示すように、例えば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、ドラム式洗濯機1の動作を制御するプログラムが格納されたROMと、上記プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。制御部80は、給水バルブ30a、排水バルブ31a、駆動モータ11、ヒータ56、ファン65と接続されており、これら各部を制御する。ドラム式洗濯機1の運転動作は、この制御部80によって制御される。
【0031】
ドラム式洗濯機1は、洗い、濯ぎ、脱水及び乾燥を含む洗濯運転を実施可能であるとともに、防水性衣類の脱水運転を実施可能である。なお、洗い、濯ぎ、脱水及び乾燥を含む洗濯運転は、一般的な運転と同様であるため、その説明は省略する。
【0032】
防水性衣類の脱水運転について、図4図7に基づいて説明する。本実施形態において、防水性衣類の脱水運転は、第1強風タンブリング動作が行われた後で、第2強風タンブリング動作が行われる。
【0033】
まず、第1強風タンブリング動作について、図4に基づいて説明する。図4は、第1強風タンブリング動作が行われる際の制御内容を説明する図である。
【0034】
(第1強風タンブリング動作)
防水性衣類の脱水運転に含まれる第1強風タンブリング動作においては、排水バルブ31aが、開状態に維持される。ドラム4内に風を供給するファン65は、脱水運転開始から5秒後にオフ状態からオン状態に切り替えられる。本実施形態では、ファン65の回転数を5500rpm以上とし、比較的強い風をドラム4内に供給する。なお、防水性衣類の素材を考慮して、ヒータ56はオフ状態に維持して、温風のタンブリング乾燥はしないようにする。
【0035】
制御部80は、脱水運転開始から5秒後からドラム4を正方向に回転させるように回転駆動を開始する。制御部80は、ドラム4の回転数を加速度30rpm/秒で適正回転数まで上昇させて、水気を衣類から弾き飛ばす。第1適正回転数とは、衣類が貼り付かない回転数(例えば55rpm±5rpm)である。制御部80は、第1所定オン時間(例えば15秒)が経過するまでドラム4の回転数を第1適正回転数に維持する。その後、第1所定オン時間が経過すると、制御部80は、ドラム4の回転数を加速度30rpm/秒で減速させて停止させる。その後、制御部80は、第1所定オフ時間(例えば5秒)が経過するまでドラム4を停止状態に維持する。
【0036】
その後、所定オフ時間が経過すると、制御部80は、ドラム4を逆方向に回転させるように回転駆動を開始する。制御部80は、ドラム4の回転数を加速度30rpm/秒で適正回転数まで上昇させて、水気を衣類から弾き飛ばす。
【0037】
第1適正回転数とは、衣類が貼り付かない回転数(例えば55rpm±5rpm)である。制御部80は、第1所定オン時間(例えば15秒)が経過するまでドラム4の回転数を第1適正回転数に維持する。
【0038】
その後、所定オン時間が経過すると、制御部80は、ドラム4の回転数を減速度30rpm/秒で減速させて停止させる。その後、制御部80は、第1所定オフ時間(例えば5秒)が経過するまでドラム4を停止状態に維持する。
【0039】
その後、上述と同様にして、ドラム4が正方向に回転する正方向回転とドラム4が逆方向に回転する逆方向回転とが交互に繰り返される。すなわち、ファン65によりドラム4内に風を供給しながら、ドラム4の正転反転を繰り返して、防水性衣類の状態を変化させながら水気を防水性衣類から弾き飛ばす。
【0040】
なお、本実施形態では、所定オフ時間を5~10秒の範囲で長めにとり、所定オン回転は、オフ時間の3倍程度としている。本実施形態において、ドラム4の回転数の加速度は、例えば25rpm/秒~35rpm/秒であることが好適である。第1適正回転数は、45rpm~60rpmであることが好適である。
【0041】
第1強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化について、図5に基づいて説明する。図5は、第1強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化を説明する図である。なお、図5では、ドラム4の回転軸Nの高さを一点鎖線で図示している。
【0042】
第1強風タンブリング動作が開始される際、図5-1に示すように、防水性衣類Tがドラム4内に投入される。その状態で、ドラム4が正方向に回転駆動されると、防水性衣類Tは、図5-2に示すように、ドラム4内の下端部においてバッフル4bに係止されて、回転軸Nの左側においてドラム4の正方向回転にしたがってバッフル4bにより上方に持ち上げられる。
【0043】
その後、ドラム4の回転数が正方向に加速して第1適正回転数まで上昇した段階で、図5-3に示すように、ドラム4内の下端部で防水性衣類Tを係止したバッフル4bが、回転軸Nの左側において回転軸Nの高さよりも上方まで移動している。その状態で、ドラム4の正方向への加速が停止されると、防水性衣類Tは、係止されていたバッフル4bから離れて重力により下方に落下する。
【0044】
その後、図5-4に示すように、防水性衣類Tがドラム4内の下端部に配置された状態で、ドラム4の回転が停止される。引き続き、ドラム4が逆方向に回転駆動されると、防水性衣類Tは、図5-5に示すように、ドラム4内の下端部においてバッフル4bに係止されて、回転軸Nの右側においてドラム4の逆方向回転にしたがってバッフル4bにより上方に持ち上げられる。
【0045】
その後、ドラム4の回転数が逆方向に加速して第1適正回転数まで上昇した段階で、図5-6に示すように、ドラム4内の下端部で防水性衣類Tを係止したバッフル4bが、回転軸Nの右側において回転軸Nの高さよりも上方まで移動している。その状態で、ドラム4の逆方向への加速が停止されると、防水性衣類Tは、係止されていたバッフル4bから離れて重力により下方に落下する。その後、防水性衣類Tがドラム4内の下端部に配置された状態で、ドラム4の回転が停止される。
【0046】
その後、上述と同様にして、ドラム4が正方向に回転する正方向回転とドラム4が逆方向に回転する逆方向回転とが交互に繰り返される。
【0047】
引き続き、第2強風タンブリング動作について、図6に基づいて説明する。図6は、第2強風タンブリング動作が行われる際の制御内容を説明する図である。
【0048】
(第2強風タンブリング動作)
防水性衣類の脱水運転に含まれる第2強風タンブリング動作においては、排水バルブ31aが、開状態に維持される。ドラム4内に風を供給するファン65は、脱水運転開始から5秒後にオフ状態からオン状態に切り替えられる。本実施形態では、ファン65の回転数を5500rpm以上とし、比較的強い風をドラム4内に供給する。なお、防水性衣類の素材を考慮して、ヒータ56はオフ状態に維持して、温風のタンブリング乾燥はしないようにする。
【0049】
制御部80は、第2強風タンブリング動作の開始から5秒後からドラム4を正方向に回転させるように回転駆動を開始する。制御部80は、ドラム4の回転数を加速度150rpm/秒で第2適正回転数まで上昇させて、水気を衣類から弾き飛ばす。
【0050】
第2適正回転数とは、衣類が(勢いよく)持ち上がる回転数(例えば100rpm±5rpm)である。制御部80は、ドラム4の回転数が第2適正回転数まで上昇すると、その直後に、駆動モータ11の回転軸を反対方向に回転駆動して、ドラム4の回転数を減速度1000rpm/秒で減速させて停止させる。その後、制御部80は、第2所定オフ時間(例えば10秒)が経過するまでドラム4を停止状態に維持する。
【0051】
その後、第2所定オフ時間が経過すると、制御部80は、ドラム4を逆方向に回転させるように回転駆動を開始する。制御部80は、ドラム4の回転数を加速度30rpm/秒で第2適正回転数まで上昇させて、水気を衣類から弾き飛ばす。
【0052】
第2適正回転数とは、衣類が(勢いよく)持ち上がる回転数(例えば100rpm±5rpm)である。制御部80は、ドラム4の回転数が第2適正回転数まで上昇すると、その直後に、駆動モータ11の回転軸を反対方向に回転駆動して、ドラム4の回転数を減速度1000rpm/秒で減速させて停止させる。その後、制御部80は、第2所定オフ時間(例えば10秒)が経過するまでドラム4を停止状態に維持する。
【0053】
その後、上述と同様にして、ドラム4が正方向に回転する正方向回転とドラム4が逆方向に回転する逆方向回転とが交互に繰り返される。すなわち、ファン65によりドラム4内に風を供給しながら、ドラム4の正転反転を繰り返して、ドラム4の回転を急激にストップさせることで素早く防水性衣類をひっくり返しながら水気を防水性衣類から弾き飛ばす。
【0054】
なお、本実施形態では、所定オン時間は2秒、所定オフ時間を10秒と長く静止時間をとることで、衣類の痛みを抑えながら水気を衣類から弾き飛ばす。本実施形態において、ドラム4の回転数の加速度は、145rpm/秒~160rpm/秒であることが好適である。ドラム4の回転数の減速度は、1000rpm/秒以上であることが好適である。第2適正回転数は、90rpm~110rpmであることが好適である。
【0055】
第1強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化について、図7に基づいて説明する。図7は、第2強風タンブリング動作が行われる際のドラム4内の状態変化を説明する図である。なお、図7では、ドラム4の回転軸Nの高さを一点鎖線で図示している。
【0056】
第2強風タンブリング動作が開始される際、図7-1に示すように、防水性衣類がドラム4内に投入される。その状態で、ドラム4が正方向に回転駆動されると、防水性衣類は、ドラム4内の下端部においてバッフル4bに係止されて、回転軸Nの左側においてドラム4の正方向回転にしたがってバッフル4bにより上方に持ち上げられる。
【0057】
その後、ドラム4の回転数が正方向に加速して第2適正回転数まで上昇した段階で、図7-2に示すように、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフル4bが、回転軸Nの左側において回転軸Nの高さまで到達しておらず、回転軸Nの高さより下方にある。その状態で、ドラム4の正方向への加速が停止されて減速されると、図7-3に示すように、防水性衣類は、係止されていたバッフル4bから離れて重力により下方に落下する。
【0058】
その後、防水性衣類がドラム4内の下端部に配置された状態で、ドラム4の回転が停止される。引き続き、ドラム4が逆方向に回転駆動されると、図7-4に示すように、防水性衣類は、ドラム4内の下端部においてバッフル4bに係止されて、回転軸Nの右側においてドラム4の逆方向回転にしたがってバッフル4bにより上方に持ち上げられる。
【0059】
その後、ドラム4の回転数が逆方向に加速して第2適正回転数まで上昇した段階で、図7-5に示すように、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフル4bが、回転軸Nの右側において回転軸Nの高さまで到達しておらず、回転軸Nの高さより下方にある。その状態で、ドラム4の逆方向への加速が停止されて減速されると、図7-6に示すように、防水性衣類は、係止されていたバッフル4bから離れて重力により下方に落下する。その後、防水性衣類がドラム4内の下端部に配置された状態で、ドラム4の回転が停止される。
【0060】
その後、上述と同様にして、ドラム4が正方向に回転する正方向回転とドラム4が逆方向に回転する逆方向回転とが交互に繰り返される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のドラム式洗濯機1は、外槽内3に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を回転軸Nとして回転可能なドラム4と、ドラム4の内周面に対して周方向に等間隔で配置される3つ以上のバッフル4bと、ドラム4を回転駆動するための駆動モータ11と、ドラム4内に風を供給するファン65と、駆動モータ11及びファン65を制御する制御部80とを備え、制御部80は、ファン65を駆動した状態において、ドラム4が正方向に回転する正方向回転とドラム4が逆方向に回転する逆方向回転とを交互に繰り返すように駆動モータ11を制御する。
【0062】
これにより、防水性衣類を収容するドラム4内に風を供給しながら、ドラム4を正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返すように回転させることにより、防水性衣類に付着した水を吹き飛ばすことができる。これによって、防水性衣類の脱水を行うことが可能なドラム式脱水機を提供することができる。
【0063】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、第1強風タンブリング動作及び第2強風タンブリング動作が行われる場合、制御部80は、正方向回転を行う際に、ドラム4の回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、ドラム4の正方向への加速を停止するとともに、逆方向回転を行う際に、ドラム4の回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた後で、ドラム4の逆方向への加速を停止するように、駆動モータを制御する。
【0064】
これにより、ドラム4を正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム4の回転数を加速して適正回転数まで上昇させた後で加速を停止することにより、ドラム4内においてバッフル4bで防水性衣類を持ち上げて落下させてひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0065】
本実施形態のドラム式洗濯機1において、第2強風タンブリング動作が行われる場合、制御部80は、正方向回転を行う際に、ドラム4の回転数を正方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるとともに、逆方向回転を行う際に、ドラム4の回転数を逆方向に加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させるように、駆動モータ11を制御する。
【0066】
これにより、ドラム4を正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム4の回転数を加速して適正回転数まで上昇させた直後に減速させることにより、ドラム4内においてバッフル4bで防水性衣類をあまり高くまで持ち上げないでひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0067】
本実施形態のドラム式洗濯機1では、第1強風タンブリング動作が行われる場合、正方向回転において、ドラム4の回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフル4bが、回転軸Nの左右方向一方側において回転軸Nの高さよりも上方まで移動しており、逆方向回転において、ドラム4の回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフルが、回転軸Nの左右方向他方側において回転軸Nの高さよりも上方まで移動している。
【0068】
これにより、ドラム4を正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム4内においてバッフル4bで防水性衣類を回転軸Nの高さよりも上方まで持ち上げて落下させてひっくり返すことができる。そのため、防水性衣類に付着した水を効率よく吹き飛ばすことができる。
【0069】
本実施形態のドラム式洗濯機1では、第2強風タンブリング動作が行われる場合、正方向回転において、ドラム4の回転数が正方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフル4bが、回転軸Nの左右方向一方側において回転軸Nの高さよりも下方にあり、逆方向回転において、ドラム4の回転数が逆方向に加速して適正回転数まで上昇した段階で、ドラム4内の下端部で防水性衣類を係止したバッフル4bが、回転軸Nの左右方向他方側において回転軸Nの高さよりも下方にある。
【0070】
これにより、ドラム4を正方向回転と逆方向回転とを交互に繰り返す場合に、ドラム4内においてバッフル4bで防水性衣類をあまり高く持ち上げないでひっくり返すことができる。防水性衣類の表面には、防水膜が形成されているが、ドラム4内において防水性衣類を高くから落下させるのを繰り返すと、防水膜が傷んで防水性が悪化する場合があるため、ドラム4内において防水性衣類が上方から落下させないことにより、防水性衣類が傷むのを防止することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、防水性衣類の脱水運転として、第1強風タンブリング動作が行われた後で、第2強風タンブリング動作が行われるが、それに限られない。防水性衣類の脱水運転として、第1強風タンブリング動作だけが行われてもよいし、第2強風タンブリング動作だけが行われてもよい。
【0073】
上記実施形態では、第1強風タンブリング動作および第2強風タンブリング動作の例を示したが、それに限られない。第1強風タンブリング動作におけるファン65の回転数(ドラム4内に供給される風量)、ドラム4の回転数を上昇される際の加速度、ドラム4の回転数を減少させる際の加速度、ドラム4の回転数を変化させる制御方法(第1所定オン時間、第1所定オフ時間など)は、任意である。同様に、第2強風タンブリング動作におけるファン65の回転数(ドラム4内に供給される風量)、ドラム4の回転数を上昇される際の加速度、ドラム4の回転数を減少させる際の加速度、ドラム4の回転数を変化させる制御方法(第2所定オン時間、第2所定オフ時間など)は、任意である。
【0074】
上記実施形態では、防水性衣類としてレインウエアについて説明したが、それに限られない。本発明は、レインウエア以外の防水性衣料を脱水可能なドラム式脱水機としても適用できる。上記実施形態では、ドラム4が水平軸を回転軸Nとして回転可能であるが、それに限られない。ドラム4は、水平方向に対して傾く傾斜軸を回転軸Nとして回転可能でもよい。その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ドラム式洗濯機(ドラム式脱水機)
3 外槽
4 ドラム
4b バッフル
11 駆動モータ
65 ファン
80 制御部
N 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7