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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095602
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積層バリスタ及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/10 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
H01C7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211591
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 道大
【テーマコード(参考)】
5E034
【Fターム(参考)】
5E034CB06
5E034CC02
5E034DA07
5E034DB01
5E034DC01
5E034DC10
(57)【要約】
【課題】複数のバリスタ間の静電容量の差を低減すること。
【解決手段】積層バリスタ1は、焼結体11と、高抵抗層12と、複数の内部電極と、第1端面電極16と、第2端面電極17と、第1側面電極18と、第2側面電極19と、を備える。焼結体11は、第1方向において互いに対向する第1端面S11及び第2端面S12と、第2方向において互いに対向する第1側面S21及び第2側面S22と、第3方向において互いに対向する第1主面S31及び第2主面S32と、を有する。第1端面電極16は第1端面S11上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第2端面電極17は第2端面S12上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第1側面電極18は第1側面S21上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。第2側面電極19は第2側面S22上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結体と、
前記焼結体の表面の少なくとも一部を覆うように設けられた高抵抗層と、
前記焼結体の内部に設けられた複数の内部電極と、
前記焼結体の表面に設けられ、前記複数の内部電極と電気的に接続されている複数の外部電極と、を備え、
前記焼結体は、第1方向において互いに対向する第1端面及び第2端面と、前記第1方向と交差する第2方向において互いに対向する第1側面及び第2側面と、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において互いに対向する第1主面及び第2主面と、を有し、
前記複数の外部電極は、
前記第1端面上の前記第2方向における端部以外の部分に設けられた第1端面電極と、
前記第2端面上の前記第2方向における端部以外の部分に設けられた第2端面電極と、
前記第1側面上の前記第1方向における端部以外の部分に設けられた第1側面電極と、
前記第2側面上の前記第1方向における端部以外の部分に設けられた第2側面電極と、含む
積層バリスタ。
【請求項2】
前記焼結体は、前記第1端面と前記第1側面とを繋ぐ第1接続面と、前記第1端面と前記第2側面とを繋ぐ第2接続面と、前記第2端面と前記第1側面とを繋ぐ第3接続面と、前記第2端面と前記第2側面とを繋ぐ第4接続面と、を有し、
前記第1端面電極は、前記第1接続面及び前記第2接続面以外の前記第1端面に設けられ、
前記第2端面電極は、前記第3接続面及び前記第4接続面以外の前記第2端面に設けられ、
前記第1側面電極は、前記第1接続面及び前記第3接続面以外の前記第1側面に設けられ、
前記第2側面電極は、前記第2接続面及び前記第4接続面以外の前記第2側面に設けられる
請求項1に記載の積層バリスタ。
【請求項3】
前記第1端面電極は、前記第1主平面上及び前記第2主平面上に設けられる第1延伸部を有し、
前記第2端面電極は、前記第1主平面上及び前記第2主平面上に設けられる第2延伸部を有し、
前記第1側面電極は、前記第1主平面上及び前記第2主平面上に設けられる第3延伸部を有し、
前記第2側面電極は、前記第1主平面上及び前記第2主平面上に設けられる第4延伸部を有し、
前記第3延伸部及び前記第4延伸部は、前記第1方向から見た場合に、前記第1延伸部及び前記第2延伸部と重ならないように設けられる
請求項1又は2に記載の積層バリスタ。
【請求項4】
前記第1延伸部の前記第2方向における幅及び前記第2延伸部の前記第2方向における幅は、前記第3延伸部の前記第1方向における幅及び前記第4延伸部の前記第1方向における幅よりも大きい
請求項3に記載の積層バリスタ。
【請求項5】
前記第1延伸部の前記第1方向における幅及び前記第2延伸部の前記第1方向における幅は、前記第3延伸部の前記第2方向における幅及び前記第4延伸部の前記第2方向における幅よりも大きい
請求項3又は4に記載の積層バリスタ。
【請求項6】
前記第1延伸部及び前記第2延伸部は、前記第2方向から見た場合に、前記第3延伸部及び前記第4延伸部と重ならないように設けられる
請求項3~5のいずれか1項に記載の積層バリスタ。
【請求項7】
前記第1端面電極、前記第2端面電極、前記第1側面電極及び前記第2側面電極は銀を含む
請求項3~6のいずれか1項に記載の積層バリスタ。
【請求項8】
前記複数の内部電極は、前記第1端面電極と電気的に接続された第1内部電極と、前記第2端面電極と電気的に接続された第2内部電極と、前記第1側面電極及び前記第2側面電極と電気的に接続された第3内部電極と、を含み、
前記第3内部電極は、前記第3方向において、前記第1内部電極と前記第2内部電極との間に配置される
請求項3~7のいずれか1項に記載の積層バリスタ。
【請求項9】
前記第1延伸部及び前記第2延伸部は、前記第3方向から見た場合に、前記第3内部電極と重ならないように設けられる
請求項8に記載の積層バリスタ。
【請求項10】
前記第3延伸部及び前記第4延伸部は、前記第3方向から見た場合に、前記第1内部電極および前記第2内部電極と重ならないように設けられる
請求項8又は9に記載の積層バリスタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の積層バリスタの製造方法であって、
前記第1端面電極、前記第2端面電極、前記第1側面電極及び前記第2側面電極の形成工程を含み、
前記形成工程において、電極材料をローラによって前記焼結体の表面へ塗布することによって前記第1端面電極、前記第2端面電極、前記第1側面電極及び前記第2側面電極を形成する
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は積層バリスタ及び製造方法に関し、より詳細には、複数の外部電極を備える積層バリスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のチップバリスタは、積層構造を有する素体と、第一導体と、第二導体と、第三導体と、第一電極と、第二電極と、第三電極と、を備える。
【0003】
第一導体と、第二導体と、第三導体と、は素体の内部に設けられる。第二導体は、素体の積層方向において第一導体と重なる。第三導体は、第一導体と第二導体との間に設けられる。第三導体と第一導体との間に第一機能層が形成され、第三導体と第二導体との間に第二機能層が形成される。第一電極と、第二電極と、第三電極と、は素体の表面に設けられる。第一電極は第一導体に接続されている。第二電極は第二導体に接続されている。第三電極は第三導体に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-096075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のチップバリスタにおいて、第一電極、第二電極及び第三電極(複数の外部電極)の間に寄生容量が発生し、複数の機能層(バリスタ)間の静電容量に差が生じる問題があった。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、複数のバリスタ間の静電容量の差を低減することができる積層バリスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る積層バリスタは、焼結体と、高抵抗層と、複数の内部電極と、複数の外部電極と、を備える。前記焼結体は、第1方向において互いに対向する第1端面及び第2端面と、前記第1方向と交差する第2方向において互いに対向する第1側面及び第2側面と、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において互いに対向する第1主面及び第2主面と、を有する。前記高抵抗層は、前記焼結体の表面の少なくとも一部を覆うように設けられている。前記複数の内部電極は、前記焼結体の内部に設けられている。前記複数の外部電極は、前記焼結体の表面に設けられ、前記複数の内部電極と電気的に接続されている。前記複数の外部電極は、第1端面電極と、第2端面電極と、第1側面電極と、第2側面電極と、を含む。前記第1端面電極は、前記第1端面上の前記第2方向における端部以外の部分に設けられている。前記第2端面電極は、前記第2端面上の前記第2方向における端部以外の部分に設けられている。前記第1側面電極は、前記第1側面上の前記第1方向における端部以外の部分に設けられている。前記第2側面電極は、前記第2側面上の前記第1方向における端部以外の部分に設けられている。
【0008】
本開示の一態様に係る製造方法は、前記積層バリスタの製造方法である。前記製造方法は、前記第1端面電極、前記第2端面電極、前記第1側面電極及び前記第2側面電極の形成工程を含む。前記製造方法は、前記形成工程において、電極材料をローラによって前記焼結体の表面へ塗布することによって前記第1端面電極、前記第2端面電極、前記第1側面電極及び前記第2側面電極を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数のバリスタ間の静電容量の差を低減することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る積層バリスタの透視斜視図である。
図2図2は、同上の積層バリスタの断面図である。
図3図3は、同上の積層バリスタの使用例を示す回路図である。
図4図4は、同上の積層バリスタの透視上面図である。
図5図5は、同上の積層バリスタの側面図である。
図6図6は、同上の積層バリスタの正面図である。
図7図7は、変形例の積層バリスタの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る積層バリスタ1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0012】
(1)概要
以下、積層バリスタ1の概要について、図1図4を参照して説明する。なお、以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
積層バリスタ1は、図1図2及び図4に示すように、焼結体11と、高抵抗層12と、複数の内部電極(第1内部電極13、第2内部電極14及び第3内部電極15)と、複数の外部電極と、を備える。
【0014】
焼結体11は、第1方向において互いに対向する第1端面S11及び第2端面S12と、第1方向と交差する第2方向において互いに対向する第1側面S21及び第2側面S22と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において互いに対向する第1主面S31及び第2主面S32と、を有する。
【0015】
高抵抗層12は、焼結体11の表面の少なくとも一部を覆うように設けられている。
【0016】
複数の内部電極は、焼結体11の内部に設けられている。
【0017】
複数の外部電極は、焼結体11の表面に設けられ、複数の内部電極と電気的に接続されている。
【0018】
複数の外部電極は、第1端面電極16、第2端面電極17、第1側面電極18及び第2側面電極19を含む。
【0019】
第1端面電極16は、第1端面S11上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第2端面電極17は、第2端面S12上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第1側面電極18は、第1側面S21上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。第2側面電極19は、第2側面S22上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。
【0020】
ここにおいて、第1端面S11上の第2方向における「端部」とは、第1端面S11と第1側面S21との境界部分、及び、第1端面S11と第2側面S22との境界部分のことである。また、第2端面S12上の第2方向における「端部」とは、第2端面S12と第1側面S21との境界部分、及び、第2端面S12と第2側面S22との境界部分のことである。また、第1側面S21上の第1方向における「端部」とは、第1側面S21と第1端面S11との境界部分、及び、第1側面S21と第2端面S12との境界部分のことである。また、第2側面S22上の第1方向における「端部」とは、第2側面S22と第1端面S11との境界部分、及び、第2側面S22と第2端面S12との境界部分のことである。
【0021】
上記の構成によれば、例えば、第1端面電極16が第1端面S11上の第2方向における端部を含めた部分(例えば第1端面S11の全面)に設けられ、第2端面電極17が第2端面S12上の第2方向における端部を含めた部分(例えば第2端面S12の全面)に設けられた場合と比較して、複数の外部電極間の距離を長くすることができる。具体的には、第1端面電極16と第1側面電極18との距離、第1端面電極16と第2側面電極19との距離、第2端面電極17と第1側面電極18との距離、第2端面電極17と第2側面電極19との距離を長くすることができる。
【0022】
以下に、本実施形態の積層バリスタ1の使用例について、一例を挙げて以下に説明する。
【0023】
図3は本実施形態の積層バリスタ1の使用例を示す回路図である。図3の回路図は、2線式差動電圧伝送方式で通信を行う通信用IC2の近傍に積層バリスタ1が配置された状態を示している。通信用IC2には信号ライン3,4のランドと、グランドライン5のランドが接続されている。そして、第1側面S21上に設けられる第1側面電極18及び第2側面S22上に設けられる第2側面電極19はそれぞれグランドライン5のランドに接続されている。第1端面S11上に設けられる第1端面電極16及び第2端面S12上に設けられる第2端面電極17はそれぞれ信号ライン3のランド及び信号ライン4のランドに接続されている。また積層バリスタ1は、第1側面電極18及び第2側面電極19と第1端面電極16との間で構成されるバリスタ(第1バリスタ1A)と、第1側面電極18及び第2側面電極19と第2端面電極17との間で構成されるバリスタ(第2バリスタ1B)と、を有している。このような回路において例えば信号ライン3に静電気が重畳し、第1バリスタ1Aに所定のしきい値電圧を超える電圧が印加されると、第1バリスタ1Aの電気抵抗が急減し、第1バリスタ1Aを介して電流が流れるので、通信用IC2を保護することができる。なお、図3に示す回路は積層バリスタ1を適用する回路の一例であり、適宜変更が可能である。
【0024】
ここで、第1バリスタ1Aの静電容量は、第1端面電極16に接続された内部電極と第1側面電極18及び第2側面電極19に接続された内部電極との間の静電容量と、第1端面電極16と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量を含む。また、第2バリスタ1Bの静電容量は、第2端面電極17に接続された内部電極と第1側面電極18及び第2側面電極19に接続された内部電極との間の静電容量と、第2端面電極17と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量を含む。ここで、第1バリスタ1Aと第2バリスタ1Bの静電容量の差は、通信用IC2による2線式差動電圧伝送方式での通信におけるサージ吸収特性に影響を及ぼすため、可能な限り小さいことが望ましい。本実施形態の積層バリスタ1では、上述したように、第1端面電極16と第1側面電極18との距離、第1端面電極16と第2側面電極19との距離、第2端面電極17と第1側面電極18との距離、第2端面電極17と第2側面電極19との距離を長くしている。これにより、第1端面電極16と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量、及び、第2端面電極17と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ1Aと第2バリスタ1Bとの静電容量の差を低減することができる。つまり、上記の構成は、複数の外部電極間の寄生容量の影響を受けやすい低静電容量の積層バリスタに好適であり、複数のバリスタ間の静電容量差の小さい積層バリスタに好適である。また、これにより複数の外部電極間におけるマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0025】
(2)詳細
以下、本実施形態の積層バリスタ1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は積層バリスタ1の透視斜視図、図2は積層バリスタ1の断面図、図4は積層バリスタ1の上方からの透視図、である。本実施形態では、積層バリスタ1の複数の外部電極(第1端面電極16と、第2端面電極17と、第1側面電極18と、第2側面電極19)を除いた焼結体11は、例えば、長さ1.6mm、幅0.8mm、高さ0.8mmの直方体状に形成されている。なお、図1等において、焼結体11の外形は直方体状に図示されているが、焼結体11の角部には適宜面取り加工を施してもよく、焼結体11の角部は丸みを帯びていてもよい。
【0027】
以下の説明では、焼結体11の長辺方向(左右方向)を「X軸方向」、焼結体11の奥行き方向(前後方向)を「Y軸方向」、焼結体11の厚み方向(上下方向)を「Z軸方向」とする。これらの方向を規定するX軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Y軸方向の正の向きを前側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、積層バリスタ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また図面における「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0028】
ここで、X軸方向は、焼結体11が有する第1端面S11及び第2端面S12が対向する方向であるので「第1方向」に相当する。また、Y軸方向は、焼結体11が有する第1側面S21及び第2側面S22が対向する方向であるので「第2方向」に相当する。また、Z軸方向は、焼結体11が有する第1主面S31及び第2主面S32が対向する方向であるので「第3方向」に相当する。換言すると、焼結体11は、図2及び図4に示すように、第1方向において互いに対向する第1端面S11及び第2端面S12、第2方向において互いに対向する第1側面S21及び第2側面S22、並びに第3方向において互いに対向する第1主面S31及び第2主面S32を有する。
【0029】
焼結体11は、非直線性抵抗特性を有する半導体セラミックス成分で構成されている。この焼結体11は、例えば、ZnOを主成分とし、副成分としてBi、Co、MnO、Sbのうちの少なくとも1種を含んでもよく、Pr11、Co、CaCO、Crのうちの少なくとも1種を含んでもよい。焼結体11は、ZnOが焼結し、その粒界にその他の副成分が析出している。そして、ZnO粒子間に形成される粒界障壁により非直線性抵抗特性が発現する。焼結体11は、例えば、ZnOを主成分とする4つの層LY11~LY14(図2参照)を第3方向に積層した後に焼結して形成されている。
【0030】
焼結体11の表面は、焼結体11よりも抵抗の大きい高抵抗層12に覆われている。具体的には、高抵抗層12は、焼結体11の表面のうち、例えば複数の内部電極(第1内部電極13、第2内部電極14及び第3内部電極15)が露出している部分以外を覆っている。
【0031】
高抵抗層12は、一例として、珪酸亜鉛を含む。
【0032】
焼結体11の表面には、高抵抗層12を介して、複数の外部電極(第1端面電極16、第2端面電極17、第1側面電極18及び第2側面電極19)が設けられる。すなわち、積層バリスタ1は所謂4端子型の積層バリスタである。
【0033】
第1端面電極16、第2端面電極17、第1側面電極18、第2側面電極19は、例えば銀(Ag)を含む。ここで、従来、複数の外部電極が銀を含む場合には、複数の外部電極間においてマイグレーションが発生しやすいが、本実施形態では複数の外部電極間においてマイグレーションの発生を抑制することができる。よって、本実施形態の構成は、複数の外部電極が銀を含む積層バリスタにも好適である。
【0034】
第1端面電極16、第2端面電極17、第1側面電極18、第2側面電極19は、積層バリスタ1の製造方法に含まれる形成工程において形成される。具体的には、第1端面電極16、第2端面電極17、第1側面電極18、第2側面電極19は、形成工程において、例えばペースト状の電極材料をローラによって焼結体11の表面へ塗布することによって形成される。ローラによる塗布によって形成されることによって、例えば電極材料へ焼結体11をディップする従来の方法と比較して、複数の外部電極の寸法精度を向上させ、かつ、複数の外部電極の形成にかかる工数を低減することができる。
【0035】
第1端面電極16は、焼結体11の表面において、第1端面S11上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。詳細には、第1端面電極16は、図1図2及び図4に示すように、第1端面S11の第2方向における中央部に設けられる第1中央部C1を有する。第1中央部C1は、第1端面S11において、第3方向の両端に亘って形成されている。また第1端面電極16は、第1主面S31上及び第2主面S32上に設けられる第1延伸部E1を有する。第1延伸部E1は、第1中央部C1の第3方向の両端部の各々から第1方向に延伸している。
【0036】
第2端面電極17は、焼結体11の表面において、第2端面S12上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。具体的には、第2端面電極17は、第2端面S12の第2方向における中央部に設けられる第2中央部C2を有する。第2中央部C2は、第2端面S12において、第3方向の両端に亘って形成されている。また第2端面電極17は、第1主面S31上及び第2主面S32上に設けられる第2延伸部E2を有する。第2延伸部E2は、第2中央部C2の第3方向の両端部の各々から第1方向に延伸している。
【0037】
第1側面電極18は、焼結体11の表面において、第1側面S21上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。具体的には、第1側面電極18は、第1側面S21の第1方向における中央部に設けられる第3中央部C3を有する。第3中央部C3は、第1側面S21において、第3方向の両端に亘って形成されている。また第1側面電極18は、第1主面S31上及び第2主面S32上に設けられる第3延伸部E3を有する。第3延伸部E3は、第3中央部C3の第3方向の両端部の各々から第2方向に延伸している。
【0038】
第2側面電極19は、焼結体11の表面において、第2側面S22上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。具体的には、第2側面電極19は、第2側面S22の第1方向における中央部に設けられる第4中央部C4を有する。第4中央部C4は、第2側面S22において、第3方向の両端に亘って形成されている。また第2側面電極19は、第1主面S31上及び第2主面S32上に設けられる第4延伸部E4を有する。第4延伸部E4は、第4中央部C4の第3方向の両端部の各々から第2方向に延伸している。
【0039】
ここで、図4に示すように、第1延伸部E1の第2方向における幅W1及び第2延伸部E2の第2方向における幅W1は、第3延伸部E3の第1方向における幅W2及び第4延伸部E4の第1方向における幅W2よりも大きい。幅W1を幅W2よりも大きくすることにより、積層バリスタ1の長辺方向(第1方向)における基板への接合強度を向上させることができる。なお、本実施形態では、第1延伸部E1の第2方向における幅及び第2延伸部E2の第2方向における幅はともに幅W1であるが、第1延伸部E1の第2方向における幅及び第2延伸部E2の第2方向における幅は異なっていてもよい。また本実施形態では、第3延伸部E3の第1方向における幅及び第4延伸部E4の第1方向における幅はともに幅W2であるが、第3延伸部E3の第1方向における幅及び第4延伸部E4の第1方向における幅は異なっていてもよい。
【0040】
また、第1延伸部E1の第1方向における幅W3及び第2延伸部E2の第1方向における幅W3は、第3延伸部E3の第2方向における幅W4及び第4延伸部E4の第2方向における幅W4よりも大きい。幅W3を幅W4よりも大きくすることにより、積層バリスタ1の長辺方向(第1方向)における基板への接合強度を向上させることができる。なお、本実施形態では、第1延伸部E1の第1方向における幅及び第2延伸部E2の第1方向における幅はともに幅W3であるが、第1延伸部E1の第1方向における幅及び第2延伸部E2の第1方向における幅は異なっていてもよい。また本実施形態では、第3延伸部E3の第2方向における幅及び第4延伸部E4の第2方向における幅はともに幅W4であるが、第3延伸部E3の第2方向における幅及び第4延伸部E4の第2方向における幅は異なっていてもよい。
【0041】
これらの構成により、図4に示すように、第1延伸部E1及び第2延伸部E2を第3方向から見た場合の面積が、第3延伸部E3及び第4延伸部E4を第3方向から見た場合の面積よりも大きくなる。ここで、積層バリスタ1は、例えば第2主面S32に設けられた第1延伸部E1、第2延伸部E2、第3延伸部E3及び第4延伸部E4をはんだ等の接合材を用いて基板に接合することにより基板に実装される。また、積層バリスタ1は第1延伸部E1と第2延伸部E2とが対向する第1方向を長辺方向とする直方体状に形成されているため、基板に実装された状態で熱負荷が掛かった場合に、長辺方向により大きな応力が掛かる。このとき、上記のように第1延伸部E1及び第2延伸部E2の面積が、第3延伸部E3及び第4延伸部E4の面積よりも大きいため、接合材の付着面積が第1延伸部E1及び第2延伸部E2の方が第3延伸部E3及び第4延伸部E4よりも大きくなる。これにより、基板への実装時の第1延伸部E1及び第2延伸部E2の接合材の濡れ面積を、第3延伸部E3及び第4延伸部E4よりも大きくして、積層バリスタ1の長辺方向(第1方向)における基板への接合強度を向上させることができる。
【0042】
また、図5に示すように、第3延伸部E3及び第4延伸部E4は、第1方向から見た場合に、第1延伸部E1及び第2延伸部E2と重ならないように設けられる。換言すると、図4に示すように、第3延伸部E3は、第1延伸部E1及び第2延伸部E2の後側の端部を結ぶ仮想線L1よりも、後側に設けられている。また、第4延伸部E4は、第1延伸部E1及び第2延伸部E2の前側の端部を結ぶ仮想線L2よりも、前側に設けられている。また、図6に示すように、第1延伸部E1及び第2延伸部E2は、第2方向から見た場合に、第3延伸部E3及び第4延伸部E4と重ならないように設けられる。換言すると、図4に示すように、第1延伸部E1は、第3延伸部E3及び第4延伸部E4の左側の端部を結ぶ仮想線L3よりも、左側に設けられている。また、第2延伸部E2は、第3延伸部E3及び第4延伸部E4の右側の端部を結ぶ仮想線L4よりも、右側に設けられている。これらの構成により、第3延伸部E3及び第4延伸部E4と、第1延伸部E1及び第2延伸部E2との距離を長くすることができる。これによって、第3延伸部E3及び第4延伸部E4と第1延伸部E1との間の寄生容量、及び、第3延伸部E3及び第4延伸部E4と第2延伸部E2との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ1Aと第2バリスタ1Bとの静電容量の差を低減することができる。
【0043】
焼結体11の内部には、図1図2及び図4に示すように、複数の内部電極(第1内部電極13、第2内部電極14及び第3内部電極15)が設けられる。
【0044】
ここで、上述したように、焼結体11は、第3方向に積層した4つの層LY11~LY14(図2参照)を有し、第1内部電極13は、例えば層LY13の上面(以下、第1積層面SF1とも言う)に設けられている。第2内部電極14は、例えば、層LY11の上面(以下、第2積層面SF2とも言う)に設けられている。第3内部電極15は、例えば層LY12の上面(以下、第3積層面SF3とも言う)に設けられている。言い換えると、第1内部電極13は、第1積層面SF1に設けられ、第2内部電極14は、第1積層面SF1と異なる第2積層面SF2に設けられ、第3内部電極15は、第1積層面SF1及び第2積層面SF2と異なる第3積層面SF3に設けられている。これにより、第3方向(上下方向)において、第3内部電極15は、第1内部電極13と第3内部電極15との間に配置される。
【0045】
第1内部電極13は、第1対向部F1と第1引出部B1とを有している。第1引出部B1は、第1対向部F1よりも第2方向における幅が狭く、第1対向部F1から第1方向に沿って左側に突出している。第1引出部B1の左端は、第1端面電極16の第1中央部C1と電気的に接続されている。
【0046】
第2内部電極14は、第2対向部F2と第2引出部B2とを有している。第2引出部B2は、第2対向部F2よりも第2方向における幅が狭く、第2対向部F2から第1方向に沿って右側に突出している。第2引出部B2の右端は、第2端面電極17の第2中央部C2と電気的に接続されている。
【0047】
第3内部電極15は、第3対向部F3と2つの第3引出部B3とを有している。2つの第3引出部B3は、第3対向部F3よりも第1方向における幅が狭く、第3対向部F3から第2方向に沿って前後方向に各々突出している。後側に突出した第3引出部B3は、第1側面S21に設けられた第1側面電極18の第3中央部C3に電気的に接続され、前側に突出した第3引出部B3は、第2側面S22に設けられた第2側面電極19の第4中央部C4に電気的に接続されている。
【0048】
第1内部電極13の第1対向部F1は、第3方向において対向する第3内部電極15の第3対向部F3との間に静電容量を有する。
【0049】
第1内部電極13の第1引出部B1と接続された第1端面電極16と、第3内部電極15との間には寄生容量が発生する。ここで、第1端面電極16と第3内部電極15との間の寄生容量を低減するため、図4に示すように、第1端面電極16の第1延伸部E1は、第3方向から見た場合に、第3内部電極15と重ならないように設けられる。
【0050】
また、第1内部電極13と、第3内部電極15の2つの第3引出部B3と各々接続された第1側面電極18及び第2側面電極19との間にも寄生容量が発生する。ここで、第1内部電極13と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量を低減するために、第1側面電極18の第3延伸部E3及び第2側面電極19の第4延伸部E4は、第3方向から見た場合に、第1内部電極13と重ならないように設けられる。
【0051】
第2内部電極14の第2対向部F2は、第3方向において対向する第3内部電極15の第3対向部F3との間に静電容量を有する。
【0052】
第2内部電極14の第2引出部B2と接続された第2端面電極17と、第3内部電極15との間には寄生容量が発生する。ここで、第2端面電極17と第3内部電極15との間の寄生容量を低減するため、図4に示すように、第2端面電極17の第2延伸部E2は、第3方向から見た場合に、第3内部電極15と重ならないように設けられる。
【0053】
また、第2内部電極14と、第3内部電極15の2つの第3引出部B3と各々接続された第1側面電極18及び第2側面電極19との間にも寄生容量が発生する。ここで、第2内部電極14と第1側面電極18及び第2側面電極19との間の寄生容量を低減するために、第1側面電極18の第3延伸部E3及び第2側面電極19の第4延伸部E4は、第3方向から見た場合に、第2内部電極14と重ならないように設けられる。
【0054】
(3)変形例
以下、本開示の積層バリスタの変形例について説明する。
【0055】
上記実施形態では、第1内部電極13と第3内部電極15との対向している層、及び第2内部電極14と第3内部電極15との対向している層がそれぞれ1層ずつであるが、それぞれ多層で対向していてもよい。
【0056】
上記実施形態では、4つの層LY11~LY14を積層して焼結体11が形成されているが、焼結体11は4層の積層構造を有するものに限定されず、複数層の積層構造を有していればよい。
【0057】
上記実施形態では、第1端面S11と、第1側面S21及び第2側面S22とは直接接続しており、第2端面S12と、第1側面S21及び第2側面S22とは直接接続している。しかし、積層バリスタ1においては、図7に示すように、焼結体11は、第1端面S11と第1側面S21とを繋ぐ第1接続面S41と、第1端面S11と第2側面S22とを繋ぐ第2接続面S42と、第2端面S12と第1側面S21とを繋ぐ第3接続面S43と、第2端面S12と第2側面S22とを繋ぐ第4接続面S44と、を有してもよい。第1接続面S41~第4接続面S44の各々は、例えば曲面を含む。この場合、第1端面電極16は、第1接続面S41及び第2接続面S42以外の第1端面S11に設けられ、第2端面電極17は、第3接続面S43及び第4接続面S44以外の第2端面S12に設けられる。また第1側面電極18は、第1接続面S41及び第3接続面S43以外の第1側面S21に設けられ、第2側面電極19は、第2接続面S42及び第4接続面S44以外の第2側面S22に設けられる。なお、第1接続面S41~第4接続面S44の各々は平面であってもよい。
【0058】
(4)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る積層バリスタ(1)は、焼結体(11)と、高抵抗層(12)と、複数の内部電極と、複数の外部電極と、を備える。焼結体(11)は、第1方向において互いに対向する第1端面(S11)及び第2端面(S12)と、第1方向と交差する第2方向において互いに対向する第1側面(S21)及び第2側面(S22)と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において互いに対向する第1主面(S31)及び第2主面(S32)と、を有する。高抵抗層(12)は、焼結体(11)の表面の少なくとも一部を覆うように設けられている。複数の内部電極は、焼結体(11)の内部に設けられている。複数の外部電極は、焼結体(11)の表面に設けられ、複数の内部電極と電気的に接続されている。複数の外部電極は、第1端面電極(16)と、第2端面電極(17)と、第1側面電極(18)と、第2側面電極(19)と、を含む。第1端面電極(16)は、第1端面(S11)上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第2端面電極(17)は、第2端面(S12)上の第2方向における端部以外の部分に設けられている。第1側面電極(18)は、第1側面(S21)上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。第2側面電極(19)は、第2側面(S22)上の第1方向における端部以外の部分に設けられている。
【0059】
この態様によれば、第1端面電極(16)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量、及び、第2端面電極(17)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ(1A)と第2バリスタ(1B)との静電容量の差を低減することができる。
【0060】
第2の態様に係る積層バリスタ(1)では、第1の態様において、焼結体(11)は、第1端面(S11)と第1側面(S21)とを繋ぐ第1接続面(S41)と、第1端面(S11)と第2側面(S22)とを繋ぐ第2接続面(S42)と、第2端面(S12)と第1側面(S21)とを繋ぐ第3接続面(S43)と、第2端面(S12)と第2側面(S22)とを繋ぐ第4接続面(S44)と、を有する。第1端面電極(16)は、第1接続面(S41)及び第2接続面(S42)以外の第1端面(S11)に設けられ、第2端面電極(17)は、第3接続面(S43)及び第4接続面(S44)以外の第2端面(S12)に設けられる。また第1側面電極(18)は、第1接続面(S41)及び第3接続面(S43)以外の第1側面(S21)に設けられ、第2側面電極(19)は、第2接続面(S42)及び第4接続面(S44)以外の第2側面(S22)に設けられる。
【0061】
この態様によれば、第1端面電極(16)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量、及び、第2端面電極(17)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ(1A)と第2バリスタ(1B)との静電容量の差を低減することができる。
【0062】
第3の態様に係る積層バリスタ(1)では、第1又は第2の態様において、第1端面電極(16)は、第1主面(S31)上及び第2主面(S32)上に設けられる第1延伸部(E1)を有する。第2端面電極(17)は、第1主面(S31)上及び第2主面(S32)上に設けられる第2延伸部(E2)を有する。第1側面電極(18)は、第1主面(S31)上及び第2主面(S32)上に設けられる第3延伸部(E3)を有する。第2側面電極(19)は、第1主面(S31)上及び第2主面(S32)上に設けられる第4延伸部(E4)を有する。第3延伸部(E3)及び第4延伸部(E4)は、第1方向から見た場合に、第1延伸部(E1)及び第2延伸部(E2)と重ならないように設けられる。
【0063】
この態様によれば、第1端面電極(16)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量、及び、第2端面電極(17)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ(1A)と第2バリスタ(1B)との静電容量の差を低減することができる。
【0064】
第4の態様に係る積層バリスタ(1)では、第3の態様において、第1延伸部(E1)の第2方向における幅(W1)及び第2延伸部(E2)の第2方向における幅(W1)は、第3延伸部(E3)の第1方向における幅(W2)及び第4延伸部(E4)の第1方向における幅(W2)よりも大きい。
【0065】
この態様によれば、積層バリスタ(1)の第1方向における基板への接合強度を向上させることができることができる。
【0066】
第5の態様に係る積層バリスタ(1)では、第3又は第4の態様において、第1延伸部(E1)の第1方向における幅(W3)及び第2延伸部(E2)の第1方向における幅(W3)は、第3延伸部(E3)の第2方向における幅(W4)及び第4延伸部(E4)の第2方向における幅(W4)よりも大きい。
【0067】
この態様によれば、積層バリスタ(1)の第1方向における基板への接合強度を向上させることができることができる。
【0068】
第6の態様に係る積層バリスタ(1)では、第3~第5のいずれかの態様において、第1延伸部(E1)及び第2延伸部(E2)は、第2方向から見た場合に、第3延伸部(E3)及び第4延伸部(E4)と重ならないように設けられる。
【0069】
この態様によれば、第1端面電極(16)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量、及び、第2端面電極(17)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量を低減し、第1バリスタ(1A)と第2バリスタ(1B)との静電容量の差を低減することができる。
【0070】
第7の態様に係る積層バリスタ(1)では、第3~第6のいずれかの態様において、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)は銀を含む。
【0071】
この態様によれば、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)の導電性を向上することができる。また、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)が銀を含む場合、銀のマイグレーションが発生しやすい傾向があるが、外部電極間の寄生容量を低減することで、マイグレーションの発生を抑制できる。
【0072】
第8の態様に係る積層バリスタ(1)では、第3~第7のいずれかの態様において、複数の内部電極は、第1端面電極(16)と電気的に接続された第1内部電極(13)と、第2端面電極(17)と電気的に接続された第2内部電極(14)と、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)と電気的に接続された第3内部電極(15)と、を含む。第3内部電極(15)は、第3方向において、第1内部電極(13)と第2内部電極(14)との間に配置される。
【0073】
この態様によれば、積層バリスタ(1)を小型化することができる。
【0074】
第9の態様に係る積層バリスタ(1)では、第8の態様において、第1延伸部(E1)及び第2延伸部(E2)は、第3方向から見た場合に、第3内部電極(15)と重ならないように設けられる。
【0075】
この態様によれば、第1端面電極(16)と第3内部電極(15)との間の寄生容量及び第2端面電極(17)と第3内部電極(15)との間の寄生容量を低減することができる。
【0076】
第10の態様に係る積層バリスタ(1)では、第8又は第9の態様において、第3延伸部(E3)及び第4延伸部(E4)は、第3方向から見た場合に、第1内部電極(13)および第2内部電極(14)と重ならないように設けられる。
【0077】
この態様によれば、第1内部電極(13)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量、及び、第2内部電極(14)と第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)との間の寄生容量を低減することができる。
【0078】
第11の態様に係る製造方法は、第1~第10のいずれかの態様の積層バリスタ(1)の製造方法である。製造方法は、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)の形成工程を含む。形成工程において、電極材料をローラによって焼結体(11)の表面へ塗布することによって第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)を形成する。
【0079】
この態様によれば、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)の寸法精度を向上させ、かつ、第1端面電極(16)、第2端面電極(17)、第1側面電極(18)及び第2側面電極(19)の形成にかかる工数を低減することができる。
【0080】
なお、第2~第10の態様は積層バリスタ(1)に必須の構成ではなく、適宜省略が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 積層バリスタ
11 焼結体
12 高抵抗層
13 第1内部電極
14 第2内部電極
15 第3内部電極
16 第1端面電極
17 第2端面電極
18 第1側面電極
19 第2側面電極
1A 第1バリスタ
1B 第2バリスタ
E1 第1延伸部
E2 第2延伸部
E3 第3延伸部
E4 第4延伸部
S11 第1端面
S12 第2端面
S21 第1側面
S22 第2側面
S31 第1主面
S32 第2主面
S41 第1接続面
S42 第2接続面
S43 第3接続面
S44 第4接続面
W1 幅
W2 幅
W3 幅
W4 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7