(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095702
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】検知演算処置装置及び検知演算処置装置を使用した物流管理システム
(51)【国際特許分類】
G01P 15/00 20060101AFI20230629BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G01P15/00 C
B65G61/00 524
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211737
(22)【出願日】2021-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】522123061
【氏名又は名称】アイオーテック合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165135
【弁理士】
【氏名又は名称】百武 幸子
(72)【発明者】
【氏名】會沢幸雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検知演算処理装置と、入出庫管理システム及び輸送状況可視化システムを一体化できる物流管理システムを提供する。
【解決手段】検知演算処理装置は、少なくとも検知部と、通信部と、制御部と、表示部と、記憶部と、入力部と、電源部と、を備え、検知部は、加速度センサを備え、通信部は、輸送物を識別する荷物情報と、品質管理情報の初期情報と、輸送物の管理閾値を含んだ測定設定情報と、を受信し、制御部は、加速度センサにより検出された検知値を演算し、管理閾値を超えた場合に、損傷発生の可能性ありと判断する演算部と、荷物情報と品質管理情報の初期情報を含むコード画像を生成して表示し、演算部により検知値が損傷発生の可能性ありと判断される場合に、品質管理情報の初期情報を、損傷発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも検知部と、通信部と、制御部と、表示部と、記憶部と、入力部と、電源部と、を備え、輸送物に取り付け可能な検知演算処理装置であって、
前記検知部は、加速度センサを備え、
前記通信部は、前記輸送物を識別する荷物情報と、品質管理情報の初期情報と、前記輸送物の管理閾値を含んだ測定設定情報と、を受信し、
前記制御部は、
前記加速度センサにより検出された検知値を演算し、前記管理閾値を超えた場合に、損傷発生の可能性ありと判断する演算部と、
前記荷物情報と前記品質管理情報の初期情報を含むコード画像を生成して表示し、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性ありと判断される場合に、前記品質管理情報の初期情報を、前記損傷発生の可能性がある警告情報に書き換えた前記品質管理情報を示すコード画像を生成し、表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示部は、前記コード画像を表示し、
前記記憶部は、前記荷物情報と、前記測定設定情報と、前記品質管理情報と、
を格納することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検知演算処理装置において、荷物又は被梱包物が受ける衝撃の強さの限界を確認するための試験で評価された試験データにより作成された損傷境界曲線を用いて前記管理閾値が設定されることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検知演算処理装置において、輸送物である梱包箱に3軸(X,Y,Z)を合わせて設置され、設置状態で前記加速度センサの3軸(X,Y,Z)がそれぞれ0値に設定され、前記演算部は更に、前記加速度センサの3軸のいずれか一つの軸が重力加速度値になった場合に、横倒し発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、横倒し発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記検知部は、更に温湿度センサを備え、前記通信部は露点温度換算表情報を受信し、設置状態で梱包箱内の温度及び相対湿度それぞれを検知し、前記演算部は前記露点温度換算表と前記検知値から露点温度を算出し、運用中に前記露点温度を下回る温度が前記温湿度センサより検出された場合は、結露発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、結露発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記表示部は、電子ペーパーディスプレイで構成されていることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記コード画像は、QRコード(登録商標)であることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性、前記横倒し発生の可能性及び結露発生の可能性のいずれか1つ以上の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかの検知演算処理装置と、端末装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、
前記端末装置は、
前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、
前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、
を備え、
前記携帯端末装置は、
前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、
前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、
前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、
前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信を行う通信部と、
を備え、
前記クラウドサーバは、
前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、
前記統合情報を格納する記憶部と、
を備えることを特徴とする物流管理システム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかの検知演算処理装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、
前記携帯端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、
前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、
前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、
前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、
前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、
を備え、
前記携帯端末装置の前記通信部によって、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信が行われ、
前記クラウドサーバは、
前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、
前記統合情報を格納する記憶部と、
を備えることを特徴とする物流管理システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された物流管理システムにおいて、更に、輸送物が保管される倉庫の倉庫内サーバ装置と、前記倉庫内サーバ装置と倉庫内ネットワークを介して繋がる前記携帯端末装置と、を備え、前記クラウドサーバの通信部は更に、前記倉庫内サーバ装置を介して前記携帯端末装置と前記統合情報の送受信を行うことを特徴とする物流管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出荷される荷物に取り付けられる検知演算処置装置と、検知演算処置装置を利用して荷物の保管倉庫等での入出庫状況と保管状況及び輸送環境状況を管理する物流管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流の効率化とミス抑制のため商品コード情報等をコード画像(認識コード)やQRコード(登録商標)化して入出荷の検品管理や倉庫在庫管理を行うサービス(入出庫管理システム)が広く浸透している(例えば、非特許文献1)。
【0003】
一方、物流での品質管理目的で、無線機能を有するセンサを荷物に取り付けて、温度、湿度、衝撃、傾斜、照度、位置などのデータを計測し、トラックや倉庫内に設置された無線ゲートウェイ等を介して、データをクラウド上にアップロードすることで、荷物が輸送環境から受ける影響をリアルタイムに把握して輸送品質を担保しようとするサービス(輸送状況可視化システム)が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献2)。
【0004】
上記の入出庫管理システムと輸送状況可視化システムは情報アクセス方法が異なるため別々のシステムである。なお、特許文献2、3に示すように、設置されたネットワークカメラで荷物に貼り付けられたコード画像(認識コード画像)を撮影して入出庫管理システムの情報とし、同時に梱包箱の外観を撮影して外形の変化から損傷事故の有無を判断する輸送状況可視化システムの情報として取得することで、入出庫管理システムと輸送状況可視化システムを一体化する提案もある。
【0005】
また、従来の輸送状況可視化システムで使用されるデータは、センサから出力される生データである(例えば特許文献4)。但し、これらの生データの状態で梱包物の損傷発生の可能性を技術的根拠に基づいて予測できるものではなく、例えば、包装及び製品設計のための製品衝撃強さ試験(JISZ0119、ASTMD3332)で評価された損傷境界曲線やダメージバウンダリ曲線を使用した評価は反映されていない。梱包設計では、例えば特許文献5に開示されているような衝撃計測装置が使用されている。この衝撃計測装置では、試験データを演算処理することにより最大加速度、作用時間、速度変化を自動的かつ速やかに計測するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-243755号公報
【特許文献2】特開2012-197136号公報
【特許文献3】特許第6789517号公報
【特許文献4】特開2010-38755号公報
【特許文献5】特開昭60-78326号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“入出荷検品システム”[online]日本通運株式会社[令和3年12月24日検索]、インターネット[URL:https://www.nittsu.co.jp/logistics_solution/it/other/e-cheki.html]
【非特許文献2】“Global Cargo Watcher Advance(輸送状況可視化サービス)”[online]日本通運株式会社[令和3年12月24日検索]、インターネット[URL: https://www.nittsu.co.jp/sky/service/gcwa/]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
荷物の入出庫管理システムと輸送状況可視化システムがそれぞれ別々のシステムの場合、それぞれに導入コスト、運用コストが発生し、さらにシステム間連携の開発も必要になる。さらに、荷物が輸送、倉庫管理などでの環境から受ける加速度、温度、湿度などのセンサからの生データをクラウド上にアップロードして輸送状況を可視化するシステムで、突然起こる輸送事故発生の可能性を検出するには常時生データをクラウドサーバ上にアップロードし続ける必要がある。そのため、高信頼性通信ネットワーク適用の必要性からコスト負担が増え、常時接続されるため通信ネットワークやクラウドサーバでの処理負荷が増える。
【0009】
また、ネットワークカメラを用いた荷物の入出庫管理システムと輸送状況可視化システムの一元管理システムでの輸送状況可視化では梱包箱の外形変化からしか損傷の可能性を判断することができず、その判断の客観性や根拠を明示することは難しい。さらに、画像や映像情報はデータサイズが大きいため通信ネットワークやクラウドサーバで大きな処理負荷となる。
【0010】
そこで、通信ネットワークやクラウドサーバに大きな処理負荷をかけずに、入出庫管理システムと輸送状況可視化システムが一体化したシステムが望まれる。そのために、荷物に取り付ける検知演算処理装置において、輸送、倉庫管理などで荷物が受ける加速度等を検知するセンサの生データから、前述の損傷境界曲線等を使用した演算(評価)を行い、検知演算処理装置から製品の損傷発生の可能性の評価結果のみを通知されることが望まれる。さらに、横倒し発生の可能性や結露発生の可能性なども検知演算処理装置による演算(評価)で評価結果のみを通知されることが望まれる。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、輸送、倉庫管理などで荷物が受ける加速度等を検知するセンサの生データを用いた演算を行うことで、被梱包物の損傷発生の可能性等を判定して通知できる検知演算処理装置と、この検知演算処理装置を使用して、入出庫管理システムと輸送状況可視化システムとが一体化した物流管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目標を達成するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも検知部と、通信部と、制御部と、表示部と、記憶部と、入力部と、電源部と、を備え、輸送物に取り付け可能な検知演算処理装置であって、前記検知部は、加速度センサを備え、前記通信部は、前記輸送物を識別する荷物情報と、品質管理情報の初期情報と、前記輸送物の管理閾値を含んだ測定設定情報と、を受信し、前記制御部は、前記加速度センサにより検出された検知値を演算し、前記管理閾値を超えた場合に、損傷発生の可能性ありと判断する演算部と、前記荷物情報と前記品質管理情報の初期情報を含むコード画像を生成して表示し、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性ありと判断される場合に、前記品質管理情報の初期情報を、前記損傷発生の可能性がある警告情報に書き換えた前記品質管理情報を示すコード画像を生成し、表示させる表示制御部と、を備え、前記表示部は、前記コード画像を表示し、前記記憶部は、前記荷物情報と、前記測定設定情報と、前記品質管理情報と、を格納することを特徴とする検知演算処理装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検知演算処理装置において、荷物又は被梱包物が受ける衝撃の強さの限界を確認するための試験で評価された試験データにより作成された損傷境界曲線を用いて前記管理閾値が設定されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の検知演算処理装置において、輸送物である梱包箱に3軸(X,Y,Z)を合わせて設置され、設置状態で前記加速度センサの3軸(X,Y,Z)がそれぞれ0値に設定され、前記演算部は更に、前記加速度センサの3軸のいずれか一つの軸が重力加速度値になった場合に、横倒し発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、横倒し発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記検知部は、更に温湿度センサを備え、前記通信部は露点温度換算表情報を受信し、設置状態で梱包箱内の温度及び相対湿度それぞれを検知し、前記演算部は前記露点温度換算表と前記検知値から露点温度を算出し、運用中に前記露点温度を下回る温度が前記温湿度センサより検出された場合は、結露発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、結露発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記表示部は、電子ペーパーディスプレイで構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記コード画像は、QRコード(登録商標)であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性、前記横倒し発生の可能性及び結露発生の可能性のいずれか1つ以上の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれかの検知演算処理装置と、端末装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、前記端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、を備え、前記携帯端末装置は、前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信を行う通信部と、を備え、前記クラウドサーバは、前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、前記統合情報を格納する記憶部と、を備えることを特徴とする物流管理システムである。
請求項9に記載の発明は、請求項1~7のいずれかの検知演算処理装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、前記携帯端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、を備え、前記携帯端末装置の前記通信部によって、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信が行われ、前記クラウドサーバは、前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、前記統合情報を格納する記憶部と、を備えることを特徴とする物流管理システムである。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載された物流管理システムにおいて、更に、輸送物が保管される倉庫の倉庫内サーバ装置と、前記倉庫内サーバ装置と倉庫内ネットワークを介して繋がる前記携帯端末装置と、を備え、前記クラウドサーバの通信部は更に、前記倉庫内サーバ装置を介して前記携帯端末装置と前記統合情報の送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の検知演算処理装置によると、検知演算処理装置単体で被梱包物の損傷発生の可能性等を判定して通知できる。また、本発明の物流管理システムによると、通信ネットワークやクラウドサーバに大きな処理負荷をかけずに入出庫管理システムと輸送状況可視化システムを一体化して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態である検知演算処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態である検知演算処理装置の構成を説明する説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態である検知演算処理装置のセンサからの検知データ(生データ)と前記検知データの演算処理方法を示す図である。
【
図5】測定時点の温度及び相対湿度から露点温度の換算を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態である輸送物の荷物情報及び品質管理情報を含んだ情報を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態である検知演算処理装置への情報書き込み方法を示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態である検知演算処理装置の梱包箱への設置方法を説明する説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態である物流管理システムの構成を示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態である物流管理システムを構成する主要デバイスを示すブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態である携帯端末装置の表示部に表示される専用アプリの表示例である。
【
図12】本発明の一実施形態である検知演算処理装置の動作を表す処理手順の説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態である携帯端末装置の動作を表す処理手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と記す)を、図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【0016】
〔検知演算処理装置の構成〕
本実施例の検知演算処理装置の構成について
図1~8を参照して説明する。
図1は、検知演算処理装置10を構成する各々の機能を示すブロック図である。
図2は、検知演算処理装置10を構成する部品を説明する説明図であり、(A)は検知演算処理装置の正面図、(B)は検知演算処理装置の平面図、(C)は検知演算処理装置の内部を構成する部品を示す。
図3は、損傷境界曲線データを説明する図である。
図4(A)は、検知演算処理装置がセンサから検知した加速度波形と、(B)は、前記加速度波形から速度変化を演算して求める方法を説明する図である。
図5は測定時点の温度及び相対湿度から露点温度の換算を説明する図である。
【0017】
図6は、輸送物の荷物情報及び品質管理情報を含んだ情報を示す図であり、(A)は輸送物の荷物情報、(B)は品質管理情報の初期値、(C)は物流過程で受けた加速度により更新された品質管理情報、(D)は物流過程での温度や相対湿度の変化により更新された品質管理情報、(E)はバッテリーが無くなった状態で検知演算処理装置が表示し続ける荷物情報、品質情報及びバッテリー情報を示す図である。
図7は、検知演算処理装置10への情報書き込み方法を示す説明図であり、(A)は端末装置を使用した情報書き込み方法、(B)は携帯端末装置を使用した情報書き込み方法である。
図8は、検知演算処理装置の梱包箱への設置方法を説明する説明図である。
【0018】
検知演算処理装置10は、輸送物等に取り付け可能な装置であって、検知部11と、通信部12と、制御部13と、記憶部15と、スイッチ部16(入力部)と、電源部17、出力部18を回路基板133に備える。表示部14は制御部13と接続され、表示制御部131により制御される。電源117は電源部17及び出力部18と接続され、出力部18に接続された外部電源から電源部17の制御で充電される。本実施例では電源117を充電可能な二次電池としているが、充電を行わない一次電池としてもよい。
【0019】
検知演算処理装置10は、
図1の機能ブロックで構成される回路基板133、表示部品(電子ペーパー)14及び電源117が外箱19(筐体)に収納される(
図2(C)参照)。外箱19(筐体)は小型薄型な形状かつ剛性の高い素材で形成される。
図2(A)に示すように、検知演算処理装置10の正面には、表示部14にコード画像が表示され、開始ボタン160と終了ボタン161が備えられている。
図2(B)の検知演算処理装置10の平面(上面)はできるだけ薄い方が好ましい。
図2(C)には、検知演算処理装置10を構成する内部部品の配置を示しており、本実施例では、回路基板133の上部に表示部14を配置し、下部に電源117を配置している。それらの配置は、
図2(C)の配置に限定されず、例えば回路基板133と平行に表示部14と電源117を備えるより薄型とする構成とすることもできる。
図2(C)に示すように、表示部14と電源部17とをそれぞれ別の面に配置すると、正面部の面積を小さくできる。以下、回路基板133に備わっている各機能ブロックについて詳細に説明する。
【0020】
検知部11は、加速度センサ110及び温湿度センサ111を備える。なお、加速度センサ110もしくは温湿度センサ111のどちらかを備える構成としても良い。
【0021】
通信部12は、端末装置や携帯端末装置等と無線通信を行う。通信部12は、荷物情報150、品質管理情報152、測定設定情報151等の情報を、外部の端末装置等から受信する。なお、上記の情報は、後述する出力部18(端子部)から得ることも可能である。本実施例では、
図7(A)に示すように、端末装置(パソコン)のUSB端子と検知演算処理装置10の出力部18(端子部)間にUSBケーブル29を接続することで、上記の情報を得る。同時にUSBの電源バスラインから電源部17を充電する。また、
図7(B)に示すように、上記の情報の書き込みは、携帯端末(スマートフォン)と通信部12がブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等による無線通信によって接続され、実行される構成としてもよい。この場合、電源部17への充電は充電用USBバッテリー34から行われる。
【0022】
詳細は後述するが、輸送物が警告状態になると、通信部12がブルートゥース等の無線通信によって警告状態である旨を携帯端末装置等に送信する構成とすることもできる。さらに、梱包箱と製品のそれぞれに検知演算処理装置10が設置されている場合には、通信部12がブルートゥースによる無線通信によって互いに情報を通知する構成とすることができる。通信部12がブルートゥースによる無線通信を行う構成は、本発明の検知演算処理装置10の必須の構成ではないが、本実施例では、通信部12がブルートゥースによる無線通信を行う構成とする。
【0023】
荷物情報150は、輸送物(荷物)を識別する情報であり、例えば製品名、品番、製造番号、寸法、重量、取り扱い上の注意等の情報で、具体例を
図6(A)に示す。
図6(A)では、例として製品名「ロボットアーム」の情報を示している。品質管理情報152の初期情報は、輸送物の初期の状態(輸送前の状態)を表し、
図6(B)に示すような情報である。測定設定情報151はユーザが設定する測定方法で、測定モード、測定開始終了時間、測定間隔、管理閾値(例えば損傷発生の有無を判断するためには
図3に示すような製品の固有の損傷境界曲線データが必要になる)などである。なお、損傷境界曲線データは製品(被梱包物)固有のデータであり、前述のように損傷境界曲線は包装及び製品設計のための製品衝撃強さ試験(JISZ0119)で規定された試験評価方法を用いて作成されたものである。また、結露発生の有無を判断するためには、例えば
図5に示すような露点温度換算表(Sonntag方程式及びWagner-Pruss方程式を使用した換算表)が必要になる。他の露点温度換算表を使用してもよい。
【0024】
記憶部15には、
図7(A)のように端末装置と出力部18がUSBケーブル29で接続されシリアル通信(例えばUART)を介して書き込まれた荷物情報150、品質管理情報152、測定設定情報151、標準時刻等の情報が格納される。制御部13は前記標準時刻を読み込み検知演算処理装置10のシステム時刻を補正する。また、
図8(A)のように梱包箱51へ設置後、開始ボタン160を押すと、加速度センサ110の初期値(DC値)の3軸(X,Y,Z)をそれぞれ0にして、及び温湿度センサ111の初期値(初期温度、初期湿度)を格納する。なお、
図8(A)に示す設置方法は検知演算処理装置10の性能を十分に生かすためで、簡易的な検証には単に梱包箱51に貼り付けても良い。
【0025】
また、測定設定の一つの例として荷物の取り扱い中、輸送中、倉庫管理中等の物流過程で管理閾値を超えた場合にその値を記録更新する。それらの情報は、
図6(C)~(E)に示すような情報であり、検知値、演算処理による警告(アラート)情報の通知及びそれらの発生日時等が含まれている。
【0026】
制御部13は、CPU、RAM及びROM等から構成され制御、演算、記憶手段として機能し、検知演算処理装置10の各機能ブロック及び装置全体に対する制御、検知データに対する演算処理等を行う。本実施例では、記憶部15を参照し、演算部130と表示制御部131を制御する。なお、記憶部15に格納した情報の一部をROM132に記憶しても良い。また、制御部13は、システム時刻を有しているが、端末装置や携帯端末と通信時に標準時刻へと補正される。
【0027】
演算部130は、加速度センサ110により検知された検知値を演算し、記憶部15に格納された管理閾値である損傷境界曲線(
図3)を超えているかどうかを判断する。具体的には、輸送中に管理閾値(TH)を超える衝撃値を検出した場合は、常時サンプリングしていた加速度値からなる波形、すなわち
図4(A)に示すような衝撃波(加速度波形)をROM、RAM132に記憶し、
図4(B)に示すように、演算部130で前記加速度波形を積分して面積、すなわち速度変化ΔV(m/s)を算出する。加速度波形を積分する時間は、例えば加速度が5%を超えて上昇し、5%を超えて下降するまでの時間である。管理閾値を超えた場合には損傷発生の可能性があると判断する。なお、速度変化は、
図4(B)に示す方法に限定されず、特許文献5に開示されているように作用時間を算出してから求めてもよい。
【0028】
また、演算部130は、加速度センサ110で検知されたデータから、横倒しの可能性を判断する。前述のように、輸送物は、箱の3軸(X,Y,Z)に合わせて設置され、3軸の加速度初期値(DC値)は、設置状態で0に設定されている。運用中に例えば、3軸のどれかが±1G(重力加速度値)に所定の時間(数秒)以上続くか否かで、横倒し発生の可能性があるか否かを判断する。X,Y,Zのどれかが±1Gに所定の時間(数秒)以上続く場合には、横倒し発生の可能性があると判断する。演算部130は、前述の「損傷発生の可能性」のみを判断する構成としてもよいし、それに加え、「横倒し発生の可能性」を判断する構成としてもよい。本実施例では、その両方の可能性を判断する構成とする。
【0029】
また、検知部11が温湿度センサ111を備える場合には、演算部130は、加速度センサ110だけではなく、温湿度センサ111により検知された検知値を演算し、結露発生の可能性があるかを判断する。被梱包物の結露の可能性は被梱包物が梱包されて温湿度センサ111が設置された状態(設置状態)で温度・湿度を測定し、
図5の露点温度換算表を用いて露点温度を算出して記憶する。運用中の物流過程で温湿度センサ111により検知された温度が前記露点温度を下回ったら、結露発生の可能性ありと判断する。例えば、初期値が温度30℃、相対湿度70%rhだった場合、
図5の露点温度換算表から露点温度が23.93℃と分かる。倉庫で保管時に温湿度センサ111が温度20℃を検知した場合、結露発生の可能性ありと判断する(
図6(D)参照)。
【0030】
表示制御部131は、荷物情報150(輸送物の識別情報)、品質管理情報152及びその他装置の情報等をコード画像にして表示する。初期状態においては、荷物情報150と品質管理情報152の初期情報、電源117の充電状態の情報等(
図6(A)、(B)参照)を表すコード画像を生成して表示する。具体的には、
図6の表(CSVデータ)からバーコードなどの一次元コード、CPコード、QRコード(登録商標)などの二次元コードを生成し、生成したコード画像を表示部(電子ペーパー)14へ表示するための制御を実施する。本実施例では、
図2(A)に示すように、QRコードを表示する(以下、コード画像をQRコードと略称する)。QRコードは、小さなスペースに大容量のデータを収納でき、誤り訂正機能により汚れや破損にも強いため、検知演算処理装置10に使用するコードとして好ましい。
【0031】
さらに、表示制御部131は、演算部130による演算で、品質管理情報152の初期情報を、記憶すべき検知値や事象が発生すると順次最新の情報に書き換え(
図6(C)~(E)参照)、順次QRコードを生成して表示する。例えば、損傷発生の可能性がある場合、その警告情報に書き換えた品質管理情報152を示すQRコードを生成し、表示する。表示されたQRコードは、スマートフォンやタブレット、ハンディターミナル、QRコードリーダー等の携帯端末のカメラ機能で適時読み取られる。
【0032】
表示部14は、表示制御部131から送られるQRコードを表示する。表示部14は液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)及び電子ペーパーディスプレイ(EPD)といった薄型の表示機器を適用することができる。本実施例では、バッテリーが空になっても一度表示した絵がそのまま残る特長(画像保持性)がある電子ペーパーディスプレイを使用する。本実施例では、前述のように、表示部14は回路基板133の上面に取り付けられる(
図2(C))。電子ペーパーディスプレイで表示されたQRコードは次に更新されるまで保持され、その間はほとんど電力を消費せず、電源が切れても表示が維持されるため、物流過程で検知演算処理装置10の電源117が空になっても表示部14から荷物情報の読み取りは可能である。
図6(E)は、バッテリーが空になる直前までの品質管理情報152を示すが、その情報及び荷物情報150を含むQRコードはバッテリーが空になっても表示部14に表示され続ける。
【0033】
表示部14は、このように、視覚情報を出力するが、同時に音情報を出力する構成としてもよい。例えば、演算部130による演算で、検知値が警告状態であると判断された場合に、その情報を追加したQRコードを表示するだけではなく、警告音を出力する機能を備えてもよい。
【0034】
スイッチ部16(入力部)は、オンとオフの切り替えができ、オンのときに電源部17から回路基板133の各機能ブロックに電力が供給される。ユーザは、使用する際に、スイッチ部16をオンにして検知演算処理装置10を作動させる。スイッチ部16は、オンとオフの切り替えができれば、押ボタン式、スライド式などいかなる方法を用いてもよい。本実施例では、
図2(A)に示すように、開始ボタン160と終了ボタン161を備えた構成としている。1つのボタンで開始、終了を行う構成としてもよい。
【0035】
電源117は、検知演算処理装置10の各機能ブロックに電力を供給する。電源117は、いわゆる一次電池である乾電地を使用してもよいし、二次電池である充電式電池を使用してもよい。本実施例では、携帯電話やノートパソコン、モバイル機器などのバッテリーに用いられている薄型の充電式のリチウムポリマー電池を使用する。本実施例では、前述のように、電源117は回路基板133の下面に取り付けられる(
図2(C))。
【0036】
出力部18(端子部)は、端末装置20とUSBケーブルを接続して電源部17の充電や検知演算処理装置10への情報(荷物情報150、品質管理情報152の初期情報、測定設定情報151等)の書き込みや検知演算処理装置10の記憶部15に記憶された測定データを取得するための端子(USB端子)を備える。
【0037】
以上、説明したように検知演算処理装置10が構成される。検知演算処理装置10が上記のように構成されていることで、センサからの検知データ(生データ)だけでは分からなかった物流過程での被梱包物の損傷発生、横倒し発生、または結露発生の可能性を演算処理により算出でき迅速に物流事故発生の可能性を把握することができる。
【0038】
〔物流管理システムの構成〕
次に、本発明の一実施例である物流管理システム100の構成について、
図9~
図11を参照して説明する。
図9は、本実施例の物流管理システム100の構成を示す概略図である。
図10は、物流管理システム100を構成する主な装置や機能を示す図である。
図11は、携帯端末装置30の表示部に表示される画面の表示例である。
図9と
図10に示すように、物流管理システム100は、上記で説明した検知演算処理装置10と、端末装置20と、携帯端末装置30と、クラウドサーバ40と、が通信ネットワークを介して接続可能に構成されている。携帯端末装置30を使用して、検知演算処理装置10に情報(荷物情報150や品質管理情報152の初期情報、測定設定情報151等)を書き込む場合には、物流管理システム100は、検知演算処理装置10と、携帯端末装置30と、クラウドサーバ40のみを含む構成とすることもできる(
図7(B)参照)。以下、端末装置20と、携帯端末装置30と、クラウドサーバ40について説明する。
【0039】
〔端末装置の構成〕
端末装置20は、
図9、10に示すように検知演算処理装置10に荷物情報150や品質管理情報152の初期情報、測定設定情報151等を書き込むために使用される。なお、測定後に記憶部15に記録された測定結果情報をダウンロードするために使用しても良い。
図9では、1台しか表示されていないが、検知演算処理装置10の数に対応して必要な数だけ設置できる。端末装置20は、検知演算処理装置10の設定操作ができるものであれば、デスクトップ型コンピュータ装置にこだわらずいかなる装置でもよい。端末装置20は、
図10に示すように通信部(ネットワーク通信部22及びシリアル通信部27)、制御部23、記憶部24、表示部25、出力部26及び入力部21を含んで構成され、通信部は標準時刻を取得するためにNTP(Network Time Protocol)サーバと接続されていることが望ましい。
【0040】
シリアル通信部27は出力部26(USB端子)に接続されるUSBケーブルを介して検知演算処理装置10とシリアル通信(UART通信)を行い荷物情報150や品質管理情報152の初期情報、測定設定情報151、標準時刻情報等を書き込み、記憶部15に記録された測定結果情報をダウンロードできる。
【0041】
〔携帯端末装置の構成〕
携帯端末装置30は検知演算処理装置10に表示されるQRコードを撮像部31で読み込んで、読み込んだ情報で、例えば損傷発生の可能性の検出のような事象が記録された時刻と近い時刻のGPS情報を組み合わせて、つまり品質管理情報に位置情報を統合してクラウドサーバ40に送るために使用される。携帯端末装置30は専用アプリがインストールできQRコードの読み取り機能、GPS機能があり、何らかの通信手段で、クラウドサーバ40と通信できれば、スマートフォンやタブレット、ハンディターミナル、QRコードリーダー等に限らずいかなる携帯端末装置でもよい。本実施例では
図9に示すように、輸送中はトラック60等のユーザ(運転手等)がスマートフォンを使用し、倉庫80内においては、倉庫内のユーザがハンディターミナルを使用する。
【0042】
図9ではスマートフォンが3個、ハンディターミナルが1個しか表示されていないが、個数はこれらに限定されず、輸送物の個数に応じて必要な数だけ使用できる。携帯端末装置30は、通常のスマートフォン等の構成と同様であるが、
図10に示すように撮像部31、通信部(ネットワーク通信部32及びブルートゥース通信部39)、制御部33、記憶部35、表示部34、出力部37、入力部36、GPS受信部38を含んで構成される。
【0043】
撮像部31は、撮像光学系と撮像素子と照射部から構成される。照射部は、可視光線を照射する可視光線照射手段(例えば、白色LED)から構成される。可視光線照射手段を使用することで、QRコードを暗い場所でも精度よく読みとることができる。撮像光学系は、レンズと絞り機構で構成され、QRコードの対象物を撮像素子に結像するための光学系である。撮像素子は、結像された映像を撮像画像として撮像する素子であり、例えばCCDやCMOS等で構成される。撮像素子で電気信号(アナログ信号)に変換された撮像画像は、表示部34や制御部33に伝送される。
【0044】
制御部33は、各構成部に対する制御や様々な演算や処理を行う。通常のスマートフォンと同様に、制御部33は、GPS受信部38により受信した信号から位置を検知し、携帯端末装置30の位置情報(緯度・経度、住所、地図等)を生成する。また、本実施例では、QRコードをデコードして品質管理情報152に記録された事象の発生日時に近い時刻のGPS情報を組み合わせて、つまり品質管理情報に位置情報(緯度、経度)を追加した統合情報(最終的な品質管理情報)をクラウドサーバ40にネットワーク通信部32から送信するアプリケーションプログラム(以下、専用アプリと記す)の制御を行う。また、検知演算処理装置10からブルートゥース通信部39が警告情報を受け取った場合はユーザに表示部34に警告情報の表示もしくはスピーカー301から警告音を出す制御を行う。
【0045】
表示部34には、
図11の専用アプリ画面が表示され、「スキャン」をタッチすることにより撮像モードになり撮像部31でQRコードを読み取る。「データ確認」をタッチすると、例えば、
図6(A)~(E)に示すような荷物情報と品質情報に位置情報が加わった品質情報及び設定した測定方法の情報等が確認できる。確認した情報は「データ送信」をタッチすることでクラウドサーバ40へ前記情報を送信できる。また、
図7(B)のような使い方をした場合、「測定設定」をタッチすると測定設定画面に遷移し、その画面での設定値はブルートゥース通信を介して検知演算処理装置10に書き込むことができる。
【0046】
記憶部35には、前記専用アプリや読み取ったQRコードからのデコード情報、GPS情報、測定設定情報、クラウドサーバ40のIPアドレス情報等が格納されている。
【0047】
ネットワーク通信部32は、
図6(A)~(E)に示すような荷物情報と品質情報に位置情報が加わった品質情報等をクラウドサーバ40に送信するための通信機能である。ブルートゥース通信部39はブルートゥースによる無線通信により、検知演算処理装置10から警告情報を受信する。例えば、
図9において工場70付近でトラック60を運送中に警告状態になった例を示しているが、その際に検知演算処理装置10からのブルートゥースによる無線通信が運転手等のスマートフォンに送られる。また、
図7(B)のような使い方をした場合、測定設定部をタッチすると測定設定画面に遷移し、その画面での設定値はブルートゥース通信を介して検知演算処理装置10に書き込むことができる。
【0048】
GPS受信部38は、GPS衛星からの電波を受信するためのアンテナが内蔵されている。GPS受信部は、そのアンテナにより受信された信号を復調し、制御部33に供給し、前述のように制御部33が位置を検知し、携帯端末装置30の位置を示す情報(緯度、経度)を生成する。
【0049】
〔クラウドサーバ〕
クラウドサーバ40は、インターネット上に構築された仮想サーバであり、携帯端末装置30がインターネット回線に接続することでアクセスし、(
図6(A)~(E))等の情報を保存することができる。クラウドサーバによりサーバ内に保存された前記情報(統合情報)を複数人で共有することができる。
【0050】
本実施例では、
図9に示すように、物流管理システム100が倉庫80の倉庫内サーバ装置81等を備える場合を表示している。物流管理システム100が、倉庫80の倉庫内サーバ装置81と、倉庫内サーバ装置81と倉庫内ネットワークを介して繋がる携帯端末装置30(ハンディターミナル)を備える場合には、クラウドサーバ40の通信部は、倉庫内サーバ装置81を介してハンディターミナルと、統合情報の送受信を行う。倉庫内サーバ装置81は、本発明の物流管理システム100の必須の構成ではなく、倉庫内の携帯端末装置30から直接、クラウドサーバ40へ情報を送る構成としてもよい。
【0051】
以上、説明したように物流管理システム100が構成されているため、倉庫80内の入出庫管理システムと、工場70から倉庫80まで又は倉庫80から配送先までの輸送状況可視化システムとを一体化できる。従って、本発明の物流管理システム100は、従来の入出庫管理システムにほぼ変更を加えることなく輸送状況可視化システムを導入できる構成になっている。
【0052】
〔検知演算処理装置10の処理手順と使用例〕
検知演算処理装置10における処理手順と使用例を、
図7、
図8、
図9と
図12を用いて説明する。
図12は、検知演算処理装置10の動作フローを表す処理手順の説明図であり、
図12における各ステップは、図においてS1、S2、…と略して表示する。
【0053】
まず、ステップ1において、検知演算処理装置10の初期設定を行う。本実施例では、初期設定は、
図9の工場70内で行うが、会社内や倉庫80内で行ってもよい。まず、
図7(A)に示すように、検知演算処理装置10と端末装置20間にUSBケ―ブル29を接続し、端末装置20から荷物情報150、品質管理情報152の初期情報、測定設定情報151、標準時刻情報等を得て記憶部15に格納する。前記標準時刻また、検知演算処理装置10のシステム時刻は前記標準時刻により補正される。前述のように、携帯端末装置30を使用して、検知演算処理装置10に上記の情報を書き込んでもよい(
図7(B)参照)。
【0054】
被梱包物50は梱包箱51に入れられて梱包され、荷物52として輸送される。検知演算処理装置10は梱包箱51に設置する。検知演算処理装置10の性能を十分に活用するためには、梱包箱51に検知演算処理装置10の形状に合った設置空間510を設ける。例えば、
図8(A)の左図に示すような形状の設置空間510を梱包箱51に設けて、そこに検知演算処理装置10を両面テープ等で固定する。このとき、梱包箱51の3軸(X、Y、Z)と検知演算処理装置10の3軸は一致した状態で取り付けられるのが望ましい。
図8(A)の右図は梱包箱51に被梱包物50が梱包され、かつ検知演算処理装置10が設置された状態の荷物52を示す。
【0055】
また、梱包箱51は、
図8(B)左図に示すように設置空間510に通気孔511を設ける構成とし、さらに、
図8(B)右図に示すように、検知演算処理装置10を設置した表面を、密閉度の高い透明フィルム512で覆って密封することで、精度高く温湿度センサ111を用いた結露発生の可能性の判定ができる。
【0056】
損傷境界曲線データが被梱包物50そのもののデータの場合には、
図8(C)右図に示すように被梱包物50に直接にと、梱包箱51の設置空間510に、それぞれ検知演算処理装置10A、10Bを設置する構成とすることができる。この場合、検知演算処理装置10Aと10Bが、それぞれのブルートゥース通信部12でブルートゥース通信を介して接続され、検知演算処理装置10Aからのデータが検知演算処理装置10Bの表示部14に表示される。
【0057】
次に、ステップ2において検知演算処理装置10の開始ボタン160(
図2(A)参照)を押して、検知演算処理を開始する。荷物52の状態で開始ボタン160を押すと、静止状態で加速度センサ110から出力される3軸(X,Y,Z)それぞれの加速度値を制御部13で0として記憶部15に加速度初期値として記録する。同時に温湿度センサ111から出力される温度、相対湿度を記憶部15に温湿度の初期値として記録する。検知演算処理装置10には荷物52の識別情報である荷物情報150、品質管理情報152の初期情報等がQRコードで表示される。
【0058】
ステップ3において、検知演算処理装置10の演算部130が、加速度センサ110により検知された検知値を演算し、管理閾値を超え、損傷発生の可能性、及び/又は横倒し発生の可能性があるかを判断する。また、検知部11が温湿度センサ111を備える場合には、結露発生の可能性があるかを判断する。管理閾値を超えていた場合(YESの場合)には、ステップ4に進み、管理閾値を超えていない場合には、検知を継続し、ステップ5に進む。
【0059】
ステップ4において、警告(アラート)の内容を含んだ品質管理情報152が更新される。その際、検知演算処理装置10の通信部12からブルートゥースによる無線通信で、付近のトラック60の運転手等の携帯端末装置30に警告情報を表示させることもできる。ステップ4の後は、ステップ2に戻り、新たなQRコードを生成して表示し、検知を継続する。
【0060】
ステップ5において、検知演算処理装置10の電池切れ又は設定時刻による測定終了又は終了ボタン161(
図2(A)参照)が押された否かを判断する。電池切れ又は設定時刻による測定終了又は終了ボタン161が押された場合(YESの場合)には終了し、検知演算処理装置10の一連の処理が終了する。電池切れ等でない場合(NOの場合)には、ステップ2に戻り、現状のQRコードを表示し、検知を継続する。なお、検知演算処理装置10の検知が終了した後にも、最終状態の品質管理情報152を示すQRコードは表示され続ける。また、検知演算処理装置10の検知が終了した後は、梱包箱51から検知演算処理装置10を外して、再度初期設定を行い、他の荷物50の梱包箱51に再利用することもできる。
【0061】
〔携帯端末装置30の処理手順〕
次に携帯端末装置30の処理手順を、
図11と
図13を用いて説明する。
図13は、携帯端末装置30の動作を表す処理手順の説明図である。
【0062】
ステップ11において、携帯端末装置30のユーザが物流管理システム100を実行するための専用アプリを起動する。専用アプリをダウンロードしていない場合には所定のサーバから専用アプリをダウンロードした後で、専用アプリを起動する。
【0063】
ステップ12において、検知演算処理装置10のQRコードを携帯端末装置30の撮像部31で撮像し、荷物情報150と品質管理情報152の初期情報を読み取る。具体的には、
図11の専用アプリ画面が表示され、「スキャン」をタッチすることにより撮像モードになり撮像部31でQRコードを読み取る。「データ確認」をタッチすると、例えば、
図6(A)~(E)に示すような荷物情報と品質情報に位置情報が加わった品質情報及び設定した測定方法の情報等が確認できる。
【0064】
続けてステップ13において、輸送物の荷物情報150と品質管理情報152と、携帯端末装置30の情報を合わせた統合情報を生成する。そして、ステップ14において、その統合情報を、ネットワーク通信部32を介してクラウドサーバ40に送信する。具体的には、
図11の専用アプリ画面の「データ送信」をタッチすることでクラウドサーバ40へ情報を送信できる。
【0065】
次にステップ15において、検知演算処理装置10からのブルートゥースによる無線通信により、警告状態である旨(警告通知)を受信したか否か判断する。警告通知を受信した場合(YESの場合)にはステップ12に戻り、再度QRコードを読み取り、ステップ13~15の工程を実行する。警告通知を受信していない場合(NOの場合)にはステップ16に進む。
【0066】
ステップ16では、ブルートゥースによる無線通信を受信していない場合においても、運送中の激しい振動等で警告状態が疑われる場合があるか否かを判断する。警告状態が疑われる場合(YESの場合)にはステップ12に戻り、再度QRコードを読み取り、ステップ13~16の工程を実行する。警告状態が疑われない場合(NOの場合)には携帯端末装置30の一連の処理が終了する。なお、警告状態が疑われない場合であっても、念のため再度QRコードを読み取り、ステップ13、14の工程を繰り返してもよい。
【0067】
以上説明したように、本発明の検知演算処理装置は、装置単体で情報処理(エッジコンピューティング)を行うことで、加速度、温湿度などの物理量の検知だけではなく損傷、結露等の輸送事故となる事象発生の可能性をリアルタイムに把握できるため、損傷した貨物の輸送中止など、様々な意志決定を迅速に行うことができる。また、検知演算処理装置及び検知演算処理装置を使用した物流管理システムは、前述のように構成されているため、物流品質の維持改善を求めるユーザに対して安価で手軽に提供できる。
【0068】
さらに、本発明の物流管理システムによると、検知演算処理装置と携帯端末装置側で情報処理を行うことで、クラウドサーバに大きな処理負荷をかけずに、倉庫への入出庫管理システムと輸送状況管理システムを一体化して管理することができる。クラウドサーバへ送信するデータ量を必要最小限にすることで、通信ネットワークやクラウドサーバでの処理の負荷を軽減し、社会課題であるIT機器及びIT機器関連設備による消費電力量の急増の緩和に貢献できる。
【0069】
なお、上述した実施例の検知演算処理装置及び検知演算処理装置を使用した物流管理システムは、一例であり、その構成は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の検知演算処理装置は、損傷、結露等の物流事故の可能性をリアルタイムに把握できるため、発電設備、航空・宇宙機器などの大型機器から、精密機器、回路基板、半導体などの電子部品、医薬品、食料品など様々な輸送管理が必要な分野で使用することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10,10A,10B…検知演算処理装置、11…検知部、12…通信部、13…制御部、14…表示部、15…記憶部、16…入力部、17…電源部、18…出力部(端子部)、19…外箱、20…端末装置、21…入力部、22…ネットワーク通信部、23…制御部、24…記憶部、25…表示部、26…出力部、27…シリアル通信部、29…USBケーブル、30…携帯端末装置、31…撮像部、32…ネットワーク通信部、33…制御部、34…表示部、35…記憶部、36…入力部、37…出力部、38…GPS受信部、39…ブルートゥース通信部、40…クラウドサーバ、50…被梱包物、51…梱包箱、52…荷物、60…トラック、70…工場、80…倉庫、81…倉庫内サーバ装置、90…充電用USBバッテリー、100…物流管理システム、110…加速度センサ、111…温湿度センサ、117…電源、130…演算部、131…表示制御部、132…ROM,RAM、133…回路基板、150…荷物情報、151…測定設定情報、152…品質管理情報、160…開始ボタン、161…終了ボタン、301…スピーカー、510…設置空間、511…通気孔、512…透明フィルム。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも検知部と、通信部と、制御部と、表示部と、記憶部と、入力部と、電源部と、を備え、輸送物に取り付け可能な検知演算処理装置であって、
前記検知部は、加速度センサを備え、
前記通信部は、前記輸送物を識別する荷物情報と、品質管理情報の初期情報と、前記輸送物の管理閾値を含んだ測定設定情報と、を受信し、
前記制御部は、
前記加速度センサにより検出された検知値を演算し、前記管理閾値を超えた場合に、損傷発生の可能性ありと判断する演算部と、
前記荷物情報と前記品質管理情報の初期情報を含むコード画像を生成して表示し、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性ありと判断される場合に、前記品質管理情報の初期情報を、前記損傷発生の可能性がある警告情報に書き換えた前記品質管理情報を示すコード画像を生成し、表示させる表示制御部と、を備え、
前記表示部は、前記コード画像を表示し、
前記記憶部は、前記荷物情報と、前記測定設定情報と、前記品質管理情報と、
を格納することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検知演算処理装置において、荷物又は被梱包物が受ける衝撃の強さの限界を確認するための試験で評価された試験データにより作成された損傷境界曲線を用いて前記管理閾値が設定されることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検知演算処理装置において、輸送物である梱包箱に3軸(X,Y,Z)を合わせて設置され、設置状態で前記加速度センサの3軸(X,Y,Z)がそれぞれ0値に設定され、前記演算部は更に、前記加速度センサの3軸のいずれか一つの軸が重力加速度値になった場合に、横倒し発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、横倒し発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記検知部は、更に温湿度センサを備え、前記通信部は露点温度換算表情報を受信し、設置状態で梱包箱内の温度及び相対湿度それぞれを検知し、前記演算部は前記露点温度換算表と前記検知値から露点温度を算出し、運用中に前記露点温度を下回る温度が前記温湿度センサより検出された場合は、結露発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、結露発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記表示部は、電子ペーパーディスプレイで構成されていることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記コード画像は、QRコード(登録商標)であることを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項7】
請求項3に記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性又は前記横倒し発生の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項8】
請求項4に記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が結露発生の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする検知演算処理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかの検知演算処理装置と、端末装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、
前記端末装置は、
前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、
前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、
を備え、
前記携帯端末装置は、
前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、
前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、
前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、
前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信を行う通信部と、
を備え、
前記クラウドサーバは、
前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、
前記統合情報を格納する記憶部と、
を備えることを特徴とする物流管理システム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかの検知演算処理装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、
前記携帯端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、
前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、
前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、
前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、
前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、
を備え、
前記携帯端末装置の前記通信部によって、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信が行われ、
前記クラウドサーバは、
前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、
前記統合情報を格納する記憶部と、
を備えることを特徴とする物流管理システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載された物流管理システムにおいて、更に、輸送物が保管される倉庫の倉庫内サーバ装置と、前記倉庫内サーバ装置と倉庫内ネットワークを介して繋がる前記携帯端末装置と、を備え、前記クラウドサーバの通信部は更に、前記倉庫内サーバ装置を介して前記携帯端末装置と前記統合情報の送受信を行うことを特徴とする物流管理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記の目標を達成するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも検知部と、通信部と、制御部と、表示部と、記憶部と、入力部と、電源部と、を備え、輸送物に取り付け可能な検知演算処理装置であって、前記検知部は、加速度センサを備え、前記通信部は、前記輸送物を識別する荷物情報と、品質管理情報の初期情報と、前記輸送物の管理閾値を含んだ測定設定情報と、を受信し、前記制御部は、前記加速度センサにより検出された検知値を演算し、前記管理閾値を超えた場合に、損傷発生の可能性ありと判断する演算部と、前記荷物情報と前記品質管理情報の初期情報を含むコード画像を生成して表示し、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性ありと判断される場合に、前記品質管理情報の初期情報を、前記損傷発生の可能性がある警告情報に書き換えた前記品質管理情報を示すコード画像を生成し、表示させる表示制御部と、を備え、前記表示部は、前記コード画像を表示し、前記記憶部は、前記荷物情報と、前記測定設定情報と、前記品質管理情報と、を格納することを特徴とする検知演算処理装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検知演算処理装置において、荷物又は被梱包物が受ける衝撃の強さの限界を確認するための試験で評価された試験データにより作成された損傷境界曲線を用いて前記管理閾値が設定されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の検知演算処理装置において、輸送物である梱包箱に3軸(X,Y,Z)を合わせて設置され、設置状態で前記加速度センサの3軸(X,Y,Z)がそれぞれ0値に設定され、前記演算部は更に、前記加速度センサの3軸のいずれか一つの軸が重力加速度値になった場合に、横倒し発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、横倒し発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記検知部は、更に温湿度センサを備え、前記通信部は露点温度換算表情報を受信し、設置状態で梱包箱内の温度及び相対湿度それぞれを検知し、前記演算部は前記露点温度換算表と前記検知値から露点温度を算出し、運用中に前記露点温度を下回る温度が前記温湿度センサより検出された場合は、結露発生の可能性有りと判断し、前記表示制御部は更に、前記品質管理情報の初期情報を、結露発生の可能性がある警告情報に書き換えた品質管理情報を示すコード画像を生成し、前記表示部は、前記コード画像を表示することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記表示部は、電子ペーパーディスプレイで構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれかに記載の検知演算処理装置において、前記コード画像は、QRコード(登録商標)であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が前記損傷発生の可能性又は前記横倒し発生の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の検知演算処理装置において、前記演算部により前記検知値が結露発生の可能性がある場合に、前記通信部は、ブルートゥース(登録商標)による無線通信によって警告情報を送信することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれかの検知演算処理装置と、端末装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、前記端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、を備え、前記携帯端末装置は、前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信を行う通信部と、を備え、前記クラウドサーバは、前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、前記統合情報を格納する記憶部と、を備えることを特徴とする物流管理システムである。
請求項10に記載の発明は、請求項1~8のいずれかの検知演算処理装置と、携帯端末装置と、クラウドサーバと、が通信ネットワークを介して接続可能である物流管理システムであって、前記携帯端末装置は、前記輸送物の前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を格納する記憶部と、前記荷物情報と、前記品質管理情報の初期情報と、前記測定設定情報と、を前記検知演算処理装置に送信する通信部と、前記検知演算処理装置の前記表示部に表示される前記コード画像を読み取る撮像部と、前記コード画像を読み取って得られた前記荷物情報と前記品質管理情報、及び前記携帯端末装置が取得した位置情報とを合わせた統合情報を生成する制御部と、前記コード画像と、前記統合情報を表示する表示部と、を備え、前記携帯端末装置の前記通信部によって、前記クラウドサーバと前記統合情報の送受信が行われ、前記クラウドサーバは、前記携帯端末装置と、前記統合情報の送受信を行う通信部と、前記統合情報を格納する記憶部と、を備えることを特徴とする物流管理システムである。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載された物流管理システムにおいて、更に、輸送物が保管される倉庫の倉庫内サーバ装置と、前記倉庫内サーバ装置と倉庫内ネットワークを介して繋がる前記携帯端末装置と、を備え、前記クラウドサーバの通信部は更に、前記倉庫内サーバ装置を介して前記携帯端末装置と前記統合情報の送受信を行うことを特徴とする。