(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095712
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】患者データ提供方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20230629BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211749
(22)【出願日】2021-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】510189662
【氏名又は名称】ヴイアールアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【弁理士】
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】藤田 岳史
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】カルテデータ等の患者データを使用するにあたり研究者等のデータ使用者が患者の同意を得ることを従来よりも容易にすること。
【解決手段】患者とリアルワールドデータを提供する提供機関との同意に基づき当該リアルワールドデータから患者のデータの一部を患者が所有する患者保有データとして患者保有データ記憶部80に保存するステップを備える。また、リアルワールドデータと患者保有データとを同期するステップを有する。更に、患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者の患者保有データを患者保有データ記憶部80から読み出してデータ使用者の装置400に送信するステップを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者とリアルワールドデータを提供する提供機関との同意に基づき当該リアルワールドデータから前記患者のデータの一部を患者が所有権を有する患者保有データとして患者保有データ記憶部に保存するステップと、
前記リアルワールドデータと前記患者保有データとを同期するステップと、
前記患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者の前記患者保有データを前記患者保有データ記憶部から読み出して前記データ使用者の装置に送信するステップと、を含むコンピュータ処理を実行する患者データ提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記同意をeコンセント又はスマートコントラクトにより締結するステップを含む、患者データ提供方法。
【請求項3】
前記データ使用者は、医師、研究者、医療機関、企業又は他の患者である、請求項1に記載の患者データ提供方法。
【請求項4】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記患者から本人の前記患者保有データの提供を要求されると、当該本人の患者保有データを前記患者保有データ記憶部から読み出して要求元の前記患者の装置に送信するステップを含む、患者データ提供方法。
【請求項5】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記データ使用者による前記患者保有データの使用に対する対価を当該患者保有データに紐づいた前記提供機関若しくは前記患者又はその双方に還元する決済処理を手配するステップを含む、患者データ提供方法。
【請求項6】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記患者とデータ使用者との同意に先立って当該データ使用者に前記患者保有データに基づいて前記患者を検索させるステップと、
当該検索に該当した患者に対し当該データ使用者から前記同意のリクエストを受け付けるステップとを含む、患者データ提供方法。
【請求項7】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記患者保有データを受信した前記データ使用者から当該患者保有データに紐づいた患者への提案を受信し、当該提案を当該患者の装置に送信するステップを含む、患者データ提供方法。
【請求項8】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記患者と前記データ使用者との同意に基づき当該患者と当該データ使用者とを紐づけるステップと、
患者の前記患者保有データが更新されると、当該患者に紐づいた前記データ使用者に当該患者の患者保有データが更新された旨を通知するステップとを含む、患者データ提供システム。
【請求項9】
請求項1に記載の患者データ提供方法において、更に、
前記患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者と当該データ使用者とを紐づけるステップと、
当該紐づいた患者とデータ使用者との間でダイレクトメッセージの交換又はファイルの共有を処理するステップとを含む、患者データ提供システム。
【請求項10】
患者とリアルワールドデータを提供する提供機関との同意に基づき前記提供機関のリアルワールドデータから前記患者のデータの一部を患者が所有権を有する患者保有データとして患者保有データ記憶部に保存するステップと、
前記リアルワールドデータと前記患者保有データとを同期するステップと、
前記患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者の前記患者保有データを前記患者保有データ記憶部から読み出して前記データ使用者の装置に送信するステップと、を含むコンピュータ処理を実行するコンピュータを備えた患者データ提供システム。
【請求項11】
患者とリアルワールドデータを提供する提供機関との同意に基づき前記提供機関のリアルワールドデータから前記患者のデータの一部を患者が所有権を有する患者保有データとして患者保有データ記憶部に保存するステップと、
前記リアルワールドデータと前記患者保有データとを同期するステップと、
前記患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者の前記患者保有データを前記患者保有データ記憶部から読み出して前記データ使用者の装置に送信するステップと、を含むコンピュータ処理をコンピュータに実行させる患者データ提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者データ提供方法等に係り、特に、リアルワールドデータ(RWD)の一部を提供する患者データ提供方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
RWDには、電子カルテデータ、保険者データや調剤レセプト等が含まれる。これまで、カルテデータの閲覧は、基本的に当該カルテデータを管理する医療機関内の医療者等に限定されていた。例外的に閲覧が認められるとしても、一部の患者に限ってプリントアウトされたハードコピーが提示される場合や、セカンドオピニオンや紹介状のために封書として扱われる場合に限られた。
【0003】
カルテの所有権は、医療機関側と患者側とのどちらにあるかが明確にされていなかった。このため、臨床研究や治験等を行う際には、カルテデータの開示について、研究者毎に患者から書面による同意を得る必要があり、研究開発のためのカルテデータの有効利用が妨げられる原因となっていた。
【0004】
また、医療機関を跨る研究の場合、共有できる患者レジストリ等のシステム構築を予め行う。しかし、患者レジストリシステムに登録されたカルテデータが見つかったとしても、研究者自身の所属とは別の医療機関が管理するデータであればデータ使用にあたり患者の同意が取れない場合がある。また、研究者自身の所属先の患者であっても、当該患者から同意書を貰うタイミングは、外来診察時に制限される。治療中や手術前後の患者であれば、患者の判断力が低い状況にあって同意を取るのが難しいという場合もある。
【0005】
このように、患者と研究者との間で当該患者のカルテデータを使用するための説明と同意を得る作業には制約が多い。このため、カルテデータを研究に使用することのハードルがとても高く、研究が非効率的になっている現状がある。
なお、出願人は、上記従来例に関する先行技術文献の存在を知らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、カルテデータ等の患者データを使用するにあたり研究者等のデータ使用者が患者の同意を得ることを従来よりも容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、患者とリアルワールドデータを提供する提供機関との同意に基づき当該リアルワールドデータから患者のデータの一部を患者が所有する患者保有データとして患者保有データ記憶部に保存するステップを備える。また、リアルワールドデータと患者保有データとを同期するステップを有する。更に、患者とデータ使用者との同意に基づき当該患者の患者保有データを患者保有データ記憶部から読み出してデータ使用者の装置に送信するステップを備える。これらのステップを含むコンピュータ処理を実行する、という構成を採っている。
【0008】
各提供機関が独立して管理する各RWDBから患者データの一部を当該患者が所有権を有する患者保有データとして本発明のシステムにコピーすることで、当該コピーは当該患者の電子的同意による一存でデータ使用者に開示等が行われる。
【発明の効果】
【0009】
このため、本発明によれば、カルテデータ等の患者データを使用するにあたり研究者等のデータ使用者が患者の同意を得ることを従来よりも容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態を示すブロック構成図。
【
図2】
図2は、患者本人への患者保有データの提供動作を説明するブロック構成図。
【
図3】
図3は、データ使用者への患者保有データの提供動作を説明するブロック構成図。
【
図4】
図4は、患者保有データの使用料の決済動作を説明するブロック図。
【
図5】
図5は、患者とデータ使用者との間のコミュニケーションを促進するサポート機能を説明するブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
[当システムの構成]
図1において、本発明の一実施形態である患者データ提供システム100(以下、「当システム100」という)は、コンピュータネットワークNを介して、提供機関装置200、患者装置300及びデータ使用者装置400と通信できるようになっている。提供機関装置200、患者装置300及びデータ使用者装置400は、それぞれ複数存在する。当システム100、提供機関装置200、患者装置300及びデータ使用者装置400は、それぞれコンピュータ機器であり、入力装置、出力装置、記憶装置、プロセッサ及びネットワークインターフェースカード(NIC)等の一般的なコンピュータの構成要素を備え、プログラムを実行することにより、各種の機能をユーザに提供する。複数のプロセッサや記憶装置が協働する構成としてもよい。
【0013】
提供機関装置200は、各提供機関が管理するリアルワールドデータベース(RWDB)のデータの入出力を制御するサーバ等のコンピュータ機器である。RWDBはハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置に格納されている。「提供機関」とは、RWDBのデータを提供する機関であり、電子カルテデータ提供医療機関やRWDBの管理を委託された企業等が該当する。
【0014】
患者装置300は、各患者が操作するパーソナルコンピュータ、タブレット端末やスマートフォン等である。本願において「患者」は、その補助者や代理人に読み替えてもよい。
【0015】
データ使用者装置400は、患者のデータを使用するデータ使用者が操作するパーソナルコンピュータ、タブレット端末やスマートフォン等である。「データ使用者」とは、医師、研究者、医療機関、企業又は他の患者等である。
【0016】
当システム100は、ユーザ認証部10、同意処理部20、データ管理部30、同期処理部40、検索処理部50、決済処理部60、サポート処理部70、患者保有データ記憶部80及び同意事項記憶部90を備えている。各部10-70は、プロセッサがプログラムを実行することにより動作する。各記憶部80,90は、HDD等の記憶装置の記憶領域である。各部10-70及び各記憶部80,90の詳細は後述する。
【0017】
[当システムの利用]
当システム100に接続する各装置200-400又はそれらのユーザは、当システムを利用するに先立ち、ユーザ認証部10によって本人認証がなされ、各装置識別子又は各ユーザ識別子が特定されているものとする。「識別子」とは、装置又はユーザを一意に特定することができるID等のコードである。装置又はユーザの認証は、認証ゲートウェイ方式により行ってもよい。
【0018】
[患者本人への患者保有データの提供]
図2において、同意処理部20は、患者装置300から患者識別子及び提供機関識別子を伴った患者データの開示請求を受信する。この開示請求を受信した同意処理部20は、当該患者に関するRWDの所定の一部を当該患者が所有権を有する患者保有データとしてRWDBから当システム100にコピーすることについて、当該患者と当該提供機関との間に同意を締結する処理を行う。同意を締結する処理は、eコンセント又はスマートコントラクトの手順により行う。
【0019】
「所定の一部」とは、RWDに含まれる患者のデータのうち患者と提供機関とが同意した項目である。例えば、症例、検査結果、測定した各種数値、処方薬等の治療内容等が該当する。「eコンセント」は、治験に参加する被験者への説明や同意を電子的に取得する手順として知られている。また、「スマートコントラクト」は契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を意図したコンピュータプロトコルとして知られている。
【0020】
この同意が締結されると、同意処理部20は、患者識別子と提供機関識別子と同意事項とを紐づけて同意事項記憶部90に格納する。また、同意処理部20は、患者識別子と同意事項とを紐づけて該当する提供機関の提供機関装置200に送信する。
【0021】
提供機関装置200は、当システム100から受信した患者識別子と同意事項との紐づけに基づき、該当する患者の一部のデータをRWDBから読み出し、当該データに患者識別子及び提供機関識別子を紐づけ、当システム100に送信する。当システム100では、提供機関装置200から受信した患者の一部のデータを患者が所有権を有する患者保有データとして、患者識別子及び提供機関識別子に紐づけて患者保有データ記憶部80に格納する。RWDBのデータを当システム100に入力するにあたっては、当システム100側で用意したアプリケーションプログラムインターフェース(API)を通じて行ってもよい。
【0022】
その後、提供機関装置200は、RWDBの患者データが更新されると随時、当該更新データに患者識別子及び提供機関識別子を紐づけ、当システム100に入力する。同期処理部40は、提供機関装置200から更新データの入力を受けると随時、更新データを患者識別子及び提供機関識別子に紐づけ、患者保有データ記憶部80のデータを更新する。
【0023】
患者装置300から当システム100に対し、患者自身の患者保有データへの閲覧要求を受けると、データ管理部30は、当該患者の患者識別子に紐づいた患者保有データを患者保有データ記憶部80から読み出し、要求元の患者装置300に閲覧用として送信する。これにより、患者は自身の患者保有データを速やかに閲覧することができる。
【0024】
[データ使用者への患者保有データの提供]
図3において、検索処理部50は、データ使用者装置400から患者を検索するための検索条件を受信する。例えば、症例の限定、検査結果の限定、測定した各種数値範囲の限定、処方薬等の治療内容の限定等による絞り込み条件を受信する。そして、検索処理部50は、検索条件に該当する患者の患者識別子の一覧を検索結果としてデータ使用者装置400に返す。ここでの患者識別子は、例えば、ニックネームを伴ってもよい。また、患者識別子に、患者の基本的な属性(年齢、性別等)を伴ってもよい。
【0025】
検索結果を受信したデータ使用者は、一覧から患者保有データの使用を許可してもらいたい患者を選択し、当該患者の患者識別子を伴ったデータ使用のリクエストをデータ使用者装置400から当システム100に送信する。
【0026】
同意処理部20は、データ使用者装置400から患者識別子を伴った患者保有データの使用リクエストを受信する。そして、同意処理部20は、当該患者の患者保有データをデータ使用者が使用することについて、当該患者と当該データ使用者との間に同意を締結する処理を行う。同意を締結する処理は、eコンセント又はスマートコントラクトの手順により行う。
【0027】
この同意が締結されると、同意処理部20は、患者識別子とデータ使用者識別子と同意事項とを紐づけて同意事項記憶部90に格納する。データ使用料の提供機関への還元を同意事項に含む場合は、当該提供機関の識別子も同意事項に紐づける。また、同意処理部20は、患者識別子と同意事項とを紐づけてリクエスト元のデータ使用者の装置400に送信する。
【0028】
その後、データ管理部30は、患者識別子及びデータ使用者識別子を伴った患者保有データの閲覧要求をデータ使用者装置400から受け付ける。データ管理部30は、同意事項記憶部90を参照し、同じ患者識別子及びデータ使用者識別子が紐づいた同意事項を読み出す。そして、データ管理部30は、当該同意事項に基づき、同じ患者識別子が紐づいた患者保有データを患者保有データ記憶部80から読み出し、閲覧用として要求元のデータ使用者装置400に送信する。これにより、データ使用者は、所望の患者保有データを速やかに閲覧することができる。
【0029】
[データ使用料の決済処理]
図4において、データ使用者は、同意事項記憶部90に格納された同意事項に応じて所定の額のデータ使用料を支払う。データ使用者が支払ったデータ使用料は、所定の使用料口座にプールされる。決済処理部60は、同意事項記憶部90に格納された同意事項に応じて、データ使用者が支払ったデータ使用料を当該同意事項に紐づいた患者若しくは提供機関又はその双方に還元する。そのような還元の支払いがなされるように、決済処理部60は、使用料口座から所定の額が該当の患者又は/及び提供機関に送金されるように、決済ネットワークの所定の機関に送金を手配する処理を行う。
【0030】
[サポート機能]
図5において、サポート処理部70は、同意を締結した患者とデータ使用者との間に更新通知機能、ダイレクトメッセージ機能及びファイル共有機能を提供する。サポート処理部70は、同意事項記憶部90に格納された同意事項に応じて、患者が提供を許可した機能だけをデータ使用者との間に提供してもよい。
【0031】
更新通知機能は、同期処理部40によって患者保有データが更新されると、当該更新の旨を当該患者に紐づいたデータ使用者に速やかに通知する機能である。通知は、データ使用者装置400への送信やデータ使用者のメールアドレスへの通知又はデータ使用者のショートメール(SMS)への通知等により行われる。これにより、データ使用者は、同意を締結した患者の患者保有データが更新されたことを速やかに知り、更新された患者保有データに速やかにアクセスすることができる。
【0032】
また、ダイレクトメッセージ機能は、同意事項により紐づいた患者とデータ使用者との間でメッセージを交換させる機能である。更に、ファイル共有機能は、同意事項により紐づいた患者とデータ使用者との間でファイルを共有させる機能である。これらの機能により、データ使用者が患者に応じた適切な提案を行うことも可能となる。
【0033】
[本実施形態の効果]
以上説明した実施形態によれば、まず、各提供機関が独立して管理する各RWDBから患者データの一部を当該患者が所有権を有する患者保有データとして当システムにコピーし当該コピーを当該患者の電子的同意による一存でデータ使用者に開示等を行うことができる。このため、カルテデータ等の患者データを使用するにあたり研究者等のデータ使用者が患者の同意を得ることが従来よりも容易となる。これにより、研究開発のための患者データの有効利用を促進することができる。当システムを利用する医療機関は、医療機関を跨る研究を行う場合であっても、別途患者レジストリシステムを立ち上げる必要がない。データ使用者としての研究者等は、自身の所属とは別の医療機関の患者のデータであっても従来より容易に患者の同意を取り付けることが可能となる。また、研究者等は、患者との電子的同意により外来診察時に限らず患者の同意を取り付けることが可能となる。これらの状況の変革により、カルテデータを研究に使用することのハードルを従来よりも下げて研究の効率を上げることができる。
【0034】
開発にスポンサーシップがつく研究については、データ使用料(研究費)の一部を患者や電子カルテ提供元の医療機関へ還元することも可能である。
【0035】
患者側は、研究毎に個別に同意の可否を決めることも可能である。また、医療機関や患者保有データの使用条件毎に同意の可否を設定することも可能である。即ち、当システムは、患者保有データの提供先を制御するスイッチングハブのように機能する。患者は、1つの病院以外の医療機関や企業が提供するサービスについて、データ使用者が自分の患者保有データをどのようなサービスに使うのかを見極めデータ提供先の最適な選択ができるようになる。
【0036】
医療機関や企業は、サポート機能を利用することにより、他の施設の患者に対してサービスを提案しサービスに誘導することも可能となる。当システムを経由すると患者やデータ使用者の匿名性を保ちながら患者保有データの提供と使用とを行うことが可能である。これにより、データ使用者としてのサービス提供者は、従来より高度な提案をすることも期待できる。患者も受診医療機関以外のサービスについてプレシジョンなコンテンツを期待できる。例えば、患者毎に適したアプリの提案が期待できる。例えば、この症例の人はこのアプリを使ったほうがよいという具合である。また、血液検査のナトリウム値が低い人にはこの薬を処方しないといけないとか、BMIが高い人には運動プログラムを提供したほうがよい、といった提案も考えらる。患者保有データの利用促進により、データ使用者側は従来よりも高度な提案が可能となり、これに伴い、患者側もより高度なコンテンツの選択肢が増える。また、検索機能や更新通知機能により、医師が自分の患者と同じような体質、症状、治療経過の人を見つけて追うことや、他の患者も同様に自身と同じような体質等の人を見つけて追うことが可能となる。
【0037】
ここで、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲であり、本発明の範囲が上記の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
10 ユーザ認証部
20 同意処理部
30 データ管理部
40 同期処理部
50 検索処理部
60 決済処理部
70 サポート処理部
80 患者保有データ記憶部
90 同意事項記憶部
100 患者データ提供システム
200 提供機関装置
300 患者装置
400 データ使用者装置
N コンピュータネットワーク
S 決済ネットワーク