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特開2023-95716調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法
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  • 特開-調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095716
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A47J36/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211755
(22)【出願日】2021-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】512143947
【氏名又は名称】株式会社モレック
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】原 友成
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA50
4B055BA15
4B055BA31
4B055CA90
4B055FB02
4B055FB49
(57)【要約】
【課題】 シンプルな構造で強度に優れるとともにフレキシビリティに富み、使用する大きさを任意に調整可能で使い勝手が良く、耐久性にも優れ繰り返しの使用が可能で環境にも優しく実用的に有用で生産性及び経済性に優れた調理用アルミシートを提供すること。
【解決手段】
アルミ製の平坦なシート本体120と、このシート本体120の少なくとも片面部120a側に形成されるシリコーン膜140と、このシリコーン膜140が形成されたシート本体120に対して平面形状が正方形の集合体でプレス加工により立体的に形成された格子状を呈する食品載置部160とを具備する構成としたことを特徴とする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ製またはアルミ合金製の平坦なシート本体と、
このシート本体の少なくとも片面部側に形成されるシリコーン膜と、
このシリコーン膜が形成されたシート本体に対してプレス加工により立体的に形成された格子状を呈する食品載置部とを具備することを特徴とする調理用アルミシート。
【請求項2】
上記シート本体の厚みは50μm以下で、
上記シリコーン膜の厚みは2μm乃至3μmであることを特徴とする請求項1記載の調理用アルミシート。
【請求項3】
上記食品載置部は一辺が10mm以下の平面形状が正方形の集合体で格子状を呈することを特徴とする請求項1または請求項2記載の調理用アルミシート。
【請求項4】
上記シリコーン膜が形成される側のシート本体には、黒色系または濃色の着色層を形成したことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の調理用アルミシート。
【請求項5】
アルミ製またはアルミ合金製の平坦なシートの少なくとも片面部側にシリコーン膜を形成する工程と、
このシリコーン膜が形成されたシートを所定の長さに裁断する工程と、
この裁断されたシートに一辺が10mm以下の平面形状が正方形で格子状を呈し凹凸状の食品載置部をプレス加工により形成する工程とから成ることを特徴とする調理用アルミシートの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4に記載の上記調理用アルミシートの外周縁部を上記シリコーン膜が形成される片面部が内側となるよう折り曲げ、
上記食品載置部に食品を載置して使用することを特徴とする調理用アルミシートの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法に関し、特に強度に優れ使用する大きさを任意に調整可能とし、繰り返しの使用を可能とする調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品調理用として使用されるアルミホイル(アルミ箔)やクッキングシート等は、例えば紙筒を芯として巻き取り紙箱に収められ、またはティッシュペーパーのように四角形状に裁断されたもの(カットホイルと称されるもの)が箱に収められて商品として流通している。そして、芯に巻き取られたものにあっては、所望の長さ分を引き出し切断して使用することになる。カットホイルのものにあっては、所望の枚数を箱から取り出して使用することになる。
【0003】
一般にアルミホイルは、その厚さは6μm~100μmであり、用途に応じて種々の厚みがある。例えば家庭用アルミホイルは12μmが標準的である。また、バターやマーガリンの包装やホイルケースは6μm~15μmであり、グラタン容器、鍋焼きうどん容器、アルミ皿や各種キッチン用品に用いられるアルミホイルは50μm~100μmである。
【0004】
下記特許文献1には、オーブントースター等による食品の加熱に用いられる調理用シートが開示されている。このものにあっては、食品の温まりのむらを減少させるために、平面視矩形のシート形状で1枚のアルミホイルで形成される第1アルミホイルと第2アルミホイルとからなり、第1アルミホイルは二つ折り可能であって、一方面(外面)は黒色の着色層が形成され、他方面(内面)に対して熱吸収効果が高いものとなるよう構成してある。使用時は、第2アルミホイルの上面と第1アルミホイルの一部との間に食品が設置されることになる。
【0005】
下記特許文献2には、剥離性及び火の通りが均一でバランス性の向上が図れる食品調理用シートが開示されている。このものにあっては、アルミホイルの片面に積層され剥離性を有する樹脂層がアルミホイルの食品載置面に積層され、樹脂層が平面視において凹部を海とし凸部を島とする海島構造を呈して、海が連続して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6030948号公報
【特許文献2】特開2020-25859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
調理用アルミシートは、一般的に薄く作られているため、柔らかく、自由に折り曲げ、調理用食材を包むことが可能である。しかし、柔らかいが故、強度の点で難があった。
【0008】
また、調理用アルミシートは、一回使用すると再利用せずに破棄するものが殆どであり、環境負荷の面からは好ましくないものである。特に、SDGs(Sustainnable Development Goals)の潮流を考慮すると、決して望ましいものでない。
【0009】
特許文献1に開示されたものは、11μm厚の軟質アルミ箔を用いており、強度の点では難がある。しかも、開口が設けられているので、より強度の点では不利なものである。また、このような調理用シートの製造は、工程数も増え且つ精緻性も要求されるものであり、生産性及び経済性の面で不利である。さらには、一回の使用のみで再利用は想定し難いものであり、環境への影響、負荷の観点からも難しい側面があるものである。
【0010】
特許文献2に開示されたものは、12μm厚のアルミホイルの片面に樹脂層を積層した後にミクロン単位のエンボス加工の凹凸が施されてはいるが、強度の向上を意図したものでない。しかも、ミクロン単位のエンボス加工により、その取り扱い性が難しくなってしまう虞もあった。また、このような食品調理用シートの製造は、工程数も増え且つ精緻性も要求されるものであり、生産性及び経済性の面で不利である。さらには、一回の使用のみで再利用は想定し難いものであり、環境への影響、負荷の観点からも難しい側面があるものである。
【0011】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、シンプルな構造で強度に優れるとともにフレキシビリティに富み、繰り返しの使用が可能な調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、使用する大きさを任意に調整可能とし、使い勝手が良く、実用的に有用で生産性及び経済性に優れた調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、耐久性にも優れ環境にも優しい調理用アルミシート、調理用アルミシートの製造方法及び調理用アルミシートの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0015】
(1) アルミ製またはアルミ合金製の平坦なシート本体と、このシート本体の少なくとも片面部側に形成されるシリコーン膜と、このシリコーン膜が形成されたシート本体に対してプレス加工により立体的に形成された格子状を呈する食品載置部とを具備する構成としたことを特徴とする。
【0016】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記シート本体の厚みは50μm以下で、上記シリコーン膜の厚みは2μm乃至3μmであることを特徴とする。
【0017】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記食品載置部は一辺が10mm以下の平面形状が正方形の集合体で格子状を呈することを特徴とする。
【0018】
(4) 上記(1)、(2)または(3)の構成にあって、上記シリコーン膜が形成される側のシート本体には、黒色系または濃色の着色層を形成したことを特徴とする。
【0019】
(5) 調理用アルミシートの製造方法であって、アルミ製またはアルミ合金製の平坦なシートの少なくとも片面部側にシリコーン膜を形成する工程と、このシリコーン膜が形成されたシートを所定の長さに裁断する工程と、この裁断されたシートに一辺が10mm以下の平面形状が正方形で格子状を呈し凹凸状の食品載置部をプレス加工により形成する工程とから成ることを特徴とする。
【0020】
(6) 調理用アルミシートの使用方法であって、上記(1)乃至(4)の構成にあって、上記調理用アルミシートの外周縁部を上記シリコーン膜が形成される片面部が内側となるよう折り曲げ、上記食品載置部に食品を載置して使用することを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、シンプルな構造で強度に優れ耐久性の向上にも寄与できものである。
【0022】
また、上記構成によれば、使用する大きさを任意に調整可能で使い勝手が良く、フレキシビリィに富み、実用的に有用で、しかも安価に製造・提供できるので、生産性及び経済性にも優れるものである。
【0023】
さらに、上記構成によれば、取り扱い性の面でも優れ、繰り返しの使用も可能とし、環境にも優しいという有用な効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シンプルな構造で強度に優れ、耐久性にも優れ、繰り返しの使用も可能とした実用的で環境にも優しく、且つ生産性及び経済性に優れ有用な調理用アルミシートを提供できるものである。
また、本発明によれば、任意に使用する大きさを調整可能としフレキシビリティに富み、使い勝手が良く、実用的な効果を奏する調理用アルミシートを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係わる調理用アルミシートの全体の概略構成を模式的に示す平面図である。
図2】同実施形態に係わり、調理用アルミシートの一部を模式的に示す側面図である。
図3】同実施形態に係わり、調理用アルミシートの製造工程の流れを示す図である。
図4】同実施形態に係わり、調理用アルミシートの使用の流れを示す図である。
図5】同実施形態に係わり、調理用アルミシートの外周縁部を折り曲げる様子を模式的に示す図である。
図6】同実施形態の変形例に係わり、着色層を施したシート本体の一部を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態につき、図を参照して説明する。
【0027】
本実施形態に係わる調理用アルミシート10は、アルミ製の平坦なシート本体120と、このシート本体120の少なくとも片面部120a側に形成されるシリコーン膜(即ちシリコーン層)140と、このシリコーン膜140が形成されたシート本体120の片面部120a側に対してプレス加工により立体的に形成された格子状を呈する食品載置部160とから構成されるものである。
【0028】
ここで、シート本体120は、一辺(L1)が120mmの平面形状が正方形で、その厚み(TA)は50μm以下とする。シート本体120の大きさ及び形状は、これに限らず、一辺が125mmの平面形状が正方形のものや125mm×250mmの長方形或いは118mm角のもの等に適宜変更可能なことは勿論である。
【0029】
また、シリコーン膜140の厚み(TS)は2μm乃至3μmにしてある。厚み(TA)が50μm以下のシート本体120においては、繰り返しの使用及び使い勝手を考慮するとこの厚み(TS)が好適である。
【0030】
さらに、食品載置部160は一辺(L2)が10mmの平面形状が正方形の集合体で格子を形成している。各正方形162の外周縁部162aには凹状の溝164を形成している。また、各正方形162の外周縁部162aの内側は、凸状に隆起している。
ここで、形成される正方形の一辺(L2)は10mmに限定される訳ではなく、10mm以下であればよい。
【0031】
なお、凹状の溝164の最底辺部から凸状の隆起部分の最高辺部の高さ(H)は1.0mmにしてある。しかし、これに限らず他の高さであってもよく、適宜変更可能である。
【0032】
斯様な構成の調理用アルミシート10は、以下のようにして製造されるものである。
【0033】
先ず、アルミ製のシートの片面部側にシリコーン膜140を均一の厚さで形成する(図3のステップS320参照)。
【0034】
次に、シリコーン膜140が形成されたアルミ製のシートを所定の長さ、例えば120mm×120mmの平面形状が正方形となるよう裁断する(ステップS340)。すると、シート本体120が出来上がる。
【0035】
そして、このシート本体120に、一辺が10mmの平面形状が正方形の集合体として格子状を呈する凹凸状の食品載置部160をプレス加工により形成する(ステップS360)。而して、調理用アルミシート10が完成する。
【0036】
完成した調理用アルミシート10を所定枚数毎に束ねて例えばティッシュペーパーのように収納箱に収めれば、商品として流通が可能な状態となる(ステップS380)。
【0037】
なお、本実施形態では調理用アルミシート10はアルミ製としたが、アルミ合金製の平坦なシートを用いてもよいことは勿論である。
【0038】
また、調理用アルミシート10は、紙筒を芯として巻き取り紙箱に収めて、商品として流通してもよいことは勿論である。
【0039】
上記構成につき、その使用方法、作用を以下に述べる。
【0040】
先ず、調理用アルミシート10の外周縁部、即ちシート本体120の外周縁部120bをシリコーン膜140が形成される片面部120aが内側となるよう、例えば垂直に折り曲げる(図4のステップS420参照)。即ち、図5中、矢印A方向に外周縁部120bを片面部120aが内側となるよう垂直方向(Y)に折り曲げる。すると、調理用アルミシート10は、上方が開放した状態の容器状を呈すことになる。
【0041】
この状態に変形された調理用アルミシート10の食品載置部160に加熱調理する食材(F)を載置し(ステップS440)、例えばガスコンロにかけまたは電気オーブン内に配置して加熱調理すればよい(ステップS460)。
【0042】
加熱調理後は、調理用アルミシート10の食品載置部160に載置された食材(F)を取り出せばよい(ステップS480)。ここで、食材(F)が載置された食品載置部160には、シリコーン膜140が形成されているので、汚れや油脂等が付着し難く、洗浄が容易となり、繰り返しの使用が可能となるものである。また、シート本体120には、立体的な格子状の食品載置部160を形成しているため、平坦なシートに比べて強度が増しており、所望の形状を保持した状態で安心して安全に調理用シート10を使用できるものである。
【0043】
上記実施形態によれば、極めてシンプルな構造で強度に優れ耐久性の向上にも寄与でき、且つ使用する大きさを任意に調整可能で使い勝手が良く、フレキシビリィに富み、実用的に有用で、しかも安価に製造・提供でき生産性及び経済性にも優れる調理用シート10を提供できるものである。
【0044】
また、上記実施形態によれば、アルミシート本来の機能を損なうことなく取り扱い性の面でも優れ、繰り返しの使用も可能とし、環境にも優しいという実用的にも社会的にも有用な効果を奏するものである。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【0046】
例えば、図6は上記実施形態の変形例である。
本変形例では、上記実施形態と同一部分および/または同一機能については、同一符号を付して当該箇所の説明は省略する。
【0047】
図6に示すように、シート本体120の少なくとも片面部120a側には耐熱性の黒色塗料による着色層180を形成している。而してシリコーン膜140は、この着色層180の上に形成される。
【0048】
これにより、汚れや油脂等がさらに付着し難くなるとともに汚れ等も一層目立たなくなり、さらなる連続的な使用も可能となるものである。また、着色層180により、シリコーン膜140が施されている面を容易に認識でき、使用に際し便利である。
【0049】
ここで、着色層180は、例えばプリント方式や塗装方式にて形成する。なお、着色層180の厚みは、プリント方式の場合は10~30μm程度、塗装方式の場合は10~15μm程度となるが、これに限定される訳ではなく適宜変更可能なことは勿論である。
【0050】
また、形成する着色層180は黒色塗料に限らず、汚れ等が目立たない濃い目の黒色系または汚れ等が目立たない濃色(例えば紺色)の塗料、顔料若しくは染料等であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 …調理用アルミシート
120 …シート本体
120a …片面部
140 …シリコーン膜
160 …食品載置部
180 …着色層

図1
図2
図3
図4
図5
図6