(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095717
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】事理情報技術により知の統合効率を強化する構想設計法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20230629BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215563
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】519343364
【氏名又は名称】石黒 広洲
(72)【発明者】
【氏名】石黒 広洲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】知的活動特に精神エネルギーを要するコト興しを産業化する為のデザイン思考の遂行に利用できる思考情報技術と論理的に上位にある事理情報技術を定形化し、意識の機能や意識が働く場を社会システムと直結して設定し知の統合をモデル化して環境変化や社会的な課題に対応できる知的生産性が高いデザイン手法や構想設計法の確立が学術的な裏付けも含めて未だに不十分である。
【解決手段】「事理の統一的超越場」の下において事理力学的論理を組立てた「強化記述文法」を設定することでモデリング・デザイン技法を用いた意識空間の階層的構成法に論拠を置く知の超体の強化モデルが得られた。その結果一連の先行発明と相俟って社会的な課題への対応策の構築に取り組む際の構想力の強化に直結した社会システムに対する統合的な知的作業の有効性や生産性の向上が実現出来る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行発明で提示された構想設計法の社会理論への適合性と有効性を高めるべく為されるところの個の意識と社会システム及び両者を結び付ける社会的関係の場との三元要素構成を有する有機的な社会単位を構成単位とする階層構造或はハイパーネットワーク構造を為す社会的な物事及び事態とその背後に存在する事情に対応する社会的課題解決に向けた対策を構想して事業化する目的を持つ意志と意図に関わる意識が司る精神のエネルギーの働きを想定した上で、目的達成の為の事興しの道筋を示す構想設計の対象となる社会的事業の構想・戦略策定・地域デザイン・政策デザイン・学術体系構築・知の統合・社会の設計図等の人間の知的営為を思考情報技術によって表現する超社会システムの構成単位として設定する社会単位に対して、文理融合のデザイン思考論理及び事理の論理に従う当事者たる個或いはチームの意識を起点とする格子譜論理に基づいた構想知を構想譜に図式化して描く構想設計法に関する先行発明の機能の強化のための強化記述文法を構成する上で必要となる事理情報技術の体系化に際して、
構想設計機能付き電子計算機の部分意匠であってデザイン思考エンジンとして働
り方を規定する格子譜論理に基づく社会単位を扱う思考操作に関わって意識の働きによって脳内イメージを概念化して超社会システムを表現する構想譜のデザイン思考の論理が提示する構想知を先行発明が規定する与件とした上で
記述文法の表現力増強に鑑みてなされた拡張機能を定式化する為の現代物理学の知見の背後に存在する精神のエネルギーと力の論理に就いての発見がもたらす事理的論理下で強化された思考情報技術に基づく構想の表現機能に関わるコト的世界の構想に作用する思索を伴った思考領域の細部において、社会的な物事に関わる構想過程を事象・心象・表象・形象・具象の五つの現象に対する意識による社会単位の認識の推移で捉える中で、脳内イメージとしての暗黙知が表現する表象から形式知表現を伴う形象へと変換する時の暗黙知と形式知の間の知の形を超越的に機能転換する媒介となる構想知の働きが脳内ワーキングメモリの主導によると想定する構想知理論を確立し、
モノ的世界を離れてコト的世界を効果的・効率的に構想譜表現する為の事理の論理を加味して拡張記述文法の適用を図った知の統合を可能にする深化型構想設計法ADDiDに関わる先行発明が提供する統合化の機能拡張の論理に加えて更に統合の効率を高める記述表現を得る為に、先行発明群が解き明かす当事者意識を含めた意識の在り様に就いて量子力学の論理に基づく脳内イメージを形として認識し表現する社会意識量子の論理及び意識の統一場・知の超越場・知の統一場から成る意識及び知的行為の関係性の場における意識の階層論理を図式表現するヘリコイド・ダイナミックを前提にした上で、現代物理学の知見の背後に存在する精神のエネルギーと力の論理の発見がもたらす事理力学の論理下で格子譜論理を強化する働きを有する生産力と変革力の論理に拠る事理情報技術の体系化に基づいて、意識・心・精神・知的営為の上でコト的世界観が働く構想知に関わる意識階層の上位の階層性を為す社会単位の存在のアイデンティティの概念を真の実在として扱う事理の統一的超越場を構成して事理力学に基づく表現技術を定式化すると共に、
脳内イメージを図式化した表現に導く当事者意識による構想知の理論的な事理の統一的超越場に於ける思考に関る知的営為の形で学術的な面からの知の統合の社会科学的方法論確立を図る上記の如く機能強化された構想設計法の活用に鑑みた理論化において、コト的世界観の下で社会を構成する基本要素を社会単位とする超社会システムの論理つまり格子譜論理に従う思考情報技術的構成を前提とした上で、軟構造を有する運動体としての構想体のアイデンティティを実在化させる概念としての社会単位が有する運動エネルギーと運動体が有する固有のエネルギー準位を変動させる摂動エネルギーに関わる精神のエネルギーが示す思考力の骨格を為す生存の力F=Ea/c
2の形のコト的世界を動かす力を得ることについて、力学の運動方程式F=maと特殊相対性原理が示す質量とエネルギーの等価性を定義するE=mc
2の二つの所与の物理原理から相対性を維持しながら質量mを見えなくして算出出来るとするモノ離れの論理の発見に基づいてコト的世界を動かす事理理力学の超越の力を定義する超越力理論と
現代物理学が定義するコト的世界の力F=Ea/c
2をレベル化して算出が出来る様に対数化つまりLogをとって表現した定義式であるLogF=LogE+Loga-2Logcが示す生存レベルを示す選択力の論理及びLogFを記述する右辺のLogEを生産力のレベル、Logaを変革力のレベル、Logcを存在力のレベルに其々設定することで事理力学の技術化を図る論理と、
上記選択力が生存の為の選択対象となる光の世界つまり善事と該善意の逆方向に存在する劣事つまり闇の世界によって未来の方向として「どちらへ向かう」かを決定する力の在り様を組み込んだ論理の下で、選択力LogFが負の値を取る事情を有する事態は社会的な物事が負の方向つまり劣事(闇の世界;タナトス)に向かう事を示しているとするタナトス理論と、
劣時に向かう意識の状態を感性・悟性・理性の其々の意識特性に関わる負の指標で表現して物事の事態の裏に存在する事情把握する分析の論理を有した上で負の指標を克服して光の世界であると理解出来る形の要素設計を格子譜論理の構成要素に組み込む事理の統一的超越場を活用する論理と、
先行発明群が提供する社会単位に関する格子譜論理と上記事情の把握結果を含めた技術的な論理を用いて社会単位が有すべき事理力学の論理的細目を支える事理の統一的超越場の論理の上でコト的世界を構想する事理情報技術の論理とを備えたことを特徴とした上で、
当事者意識が主導することで思考情報技術及び事理情報技術によって統合した三次元構成の論理をヘリコイド表現で模式図を組立てる構想知に関わる事理の統一的超越場上の意識の階層化理論に基づくコーン形の超体構造の形で得た意識内容のイメージを描きつつ、該イメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上に投影した形式によって記述表現の次元を縮退させた関係性の場の構成表現を核にしたモデルとして図表化する形式を持つ先
的に構造化・可視化を図る知の統合的な営為の表現に対して社会単位をアイデンティティとする知の超体モデルの形で組込むと共に、
先行発明である構想設計機能付き電子計算機の機能として働くところの有機的な超社会システム上に社会単位をアイデンティティとする普遍的な形式で構想譜を客観的に記述してデザイン思考を深化させる実用的な技法を強化することを可能
デザイン思考に基づいた構想設計法の実現の一環として意識の統一場と構想知の超越場及び事理の統一的超越場に於いて事理力学理論が主導する事理情報技術に基づく記述文法で規定する格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法TaDDiDを基本機能として備える如く構成することを特徴とする意識空間の階層的構成法に論拠を置く事理情報技術により知の統合効率を強化する構想設計の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が扱う技術は方法論的には主として社会的な物事を対象とする構想力を高める為の構想設計法に関するもので、物事の事態や事情に関する人間の頭脳内部の意識の働きによる思考に関る情報を扱う思考情報技術に属する深化型構想設計法ADDiD(特許文献4)が扱う技術分野である。構想設計の対象となる社会的な物事は物(モノ)を中心とするモノ的世界観の下で物理空間と情報空間のセットで扱われて来たが、人間のデザイン思考領域の事柄を扱う場合は物事の事態や情況(コト)及びその背後に在る事情を中心とする眼に見えないコト的世界観(非特許文献13参照)の下に於ける人間の意識の働きに拠る意志や意図の役割を組込んだ思考空間における思考情報空間(知的空間)と意識空間のセットの形で相補的に把握した上で構想知の形で取り扱う必要がある。なお構想知は暗黙知を形式知に変換する作用の媒介に関わる知の形の意味を有する。しかし、後者のコト(事)に関しては日本学術会議や社会科学系学会などの社会科学領域において個別研究から部分的融合の状況にあり、統合に関する社会理論化とその技術開発は緒に就いたばかりの段階にある。本発明の対象は人間の意識を内包する社会システムつまり超社会システム(特許文献3及び特許文献7)に関わる領域の技術である。社会システムが特許文献4(0009項、0019項)及び特許文献7(0012項)で説明した「社会単位」が複合的・階層的構造を有するとした論理の下で思考情報を扱う社会技術に関連するものであり、事理力学を担う文理融合の複合技術分野の思考情報技術に属する新しい理論に基づく事理情報技術となる。現実の物理的な社会単位は当事者意識と同じ目的を有する事業構想、戦略策定、地域や政策のデザインなどのプロジェクトに関わる様々な形態の事業体としてのチームが想定されとして、これらを対象にした意識や思考方法の在り方までを抽象化された社会単位とするのが構想設計法の理解であり、物理的な情報空間と思考/意識空間の二種類を把握する事が重要と考えてこの区分に準じて「時間概念」にも物理的な時間と知的な時間が存在すると考える。これら二つの時間を統合するのが構想力としての当事者意識でありこれを図式化するのが格子譜論理の時間軸として設定されており、思考情報技術及び事理情報技術はこの様な論理が内在することを把握するアート的な直観が要求される分野である。大方の社会システム技術論では「コト」まで含めたデザイン思考哲学に踏み込まない状況にあり、モノ的世界観の中で提供される場合が多い。思考情報自体を主として物事のモノに当てはめた形式知の領域である電子計算機の情報処理の延長上にコト(物事の事態や事情)を当てはめると、暗黙知と関わってアート性を有する有機的な意識の問題にぶつかると共に、人間の精神と関わる上で物事の本質の存在論理も同時に課題となる。コト的世界を「社会単位」を基本として構成するのが合理的であるとの論理の下で、事理情報が作用する場の論理を確立する事が求められている状況と理解出来る。物事の実在論の観点から最近の脳神経科学の知見(非特許文献3参照)である意識のトライアングル論(三元構成)を組込んだ意識の在り方(特許文献5、6)に遡って意識の働く場の原理を活用する必要があり、意識に関する思考情報技術の処理は有機性を有する領域となることから、上位概念である事理情報技術に関しても生身の人間の頭脳のアナログ的な成り立ちを考えると両技術共に有機的なアート性が付き纏う。この延長上で意識を主観の問題として敬遠する社会科学の存在は、社会を人間が構築する事を考えると科学の姿勢として課題が多い(非特許文献5、6、14、15参照)。特に意識をどの様に科学して社会技術に転換するか、脳神経科学の知見と示唆を社会適用した上で社会科学に組込む方法が求められる中で、思考情報及び事理情報技術は社会科学の領域に於いて思考の有効性を高めるものとなる。本発明が体系化を試みる上記の二種類の情報技術の開発は緒に就いたばかりであり未だ体系化は十分ではない。従って基本的には電子計算機が扱う情報技術やAI技術・ロボットなどの人間の心の働きと関連のある思考結果を意識の在り方と結び付けるだけでなく、社会システムに於ける物事と事態に関わる社会単位に関する思考プロセスをコト的世界観の下でシステム的に取り扱うことを目的とし、機能的には該物事に関するデザイン思考とその成果である構想を暗黙知から形式知へと転換する構想知(造語;特許文献6で定義)に関る情報技術の開発が基軸となる。この事を踏まえた上で先行する一連の発明(特許文献1、2、3、4、5、6、7参照)と合わせた一歩一歩の積み重ねによって人間の幸せを追求する社会科学体系の中での適者生存の論理と戦略に基づいて平和な世界を共創するための道具立てを提供する意図の下で、特許文献4で示される構想知を扱う「深化型構想設計法ADDiD」を機能強化する事が重要なであるとする背景を有する技術分野と言える。目指すところは人間の意識の階層性と広がりを最大限に活かして人間の有機的な生命体の存在の意味を確かにする事を意図した思考情報技術であり、西洋由来哲学の唯物論的発想と東洋由来哲学の華厳教学(非特許文献18)や老荘思想を融合した命の原理に基づく生態系文明に向かう情報技術となる。知的作業であるデザイン(設計=生成技術)行為が人間の意図に発する特性を有することから上記の様に課題が多い領域である事は特許文献7でも指摘されるところであるが、事理の原理の在り方・機能・働きに遡って解明し、更に心や精神の在り方を意識して社会単位を扱う様に深化させ、感性・悟性・理性の統覚的な認識を思考の力に加えたコト的世界を扱う社会理論と技術を完成する事が急務な領域である。なお特許文献7でも触れられている通り社会科学が知的作業のQCDを視座に置く知的生産性までの考慮を避けて来た経緯の中で社会技術に関る上記の課題に正面から取り組めていない事は確かであり、結果として社会技術としての本発明の対象技術領域が未熟な状況にある事を再認識する必要が背景に存在する。未来の社会ビジョンを描くべく非特許文献16(pp5-11)が指摘する人間社会を“つくる”為の構想力に基づく構想設計に必要な思考情報技術を考えると、技術の社会への実装に関しては本発明が新しい領域であり学術的にも文理融合領域に属すことから、技術分野を統合的に扱う為の人材育成や環境構築に加えて用語の概念と本質を捉えた定義及び言葉の意味などのリテラシーギャップを埋める事を含め、知的生産性向上の観点で意識に関わる知識を扱う技能を高める為の制度化と合わせた社会実装に対して時間を掛けた浸透方法を考慮する必要性が指摘出来る技術領域でもある。
【背景技術】
【0002】
上記で説明したデザイン思考領域の二つの情報技術は、その特性を大別して実践技術(プラクシス)及び生成(ゲネシス)の意を含むポイエーシス技術(非特許文献2のポイエーシス=生成技術参照)に分類したときの後者に属するもので、物事の変革を意図した生成に関わる創造的作業を担う役割を果たす機能特性を有する。ポイエーシス技術は技術開発の対象となるもので、科学的な知見と人間の心の在り様に関わるニーズを基にした合目的的な技術的観点において、合理的な正義を有する正統性に基づく哲学的な考え方を媒介にした着想や発想に依って組み立てられる必要がある。特許文献7でも指摘される様に新しい発想を伴う構想設計的な思考では直観が重視される中で、必然的偶然(セレンディピティ)に基づく思考の流れから形が表出する創造力の賜物としてポイエーシス技術に位置付けされる。従って上記で示した領域の思考情報技術開発の裏には理系だけでなく文系の科学的知見が必要になり、文理融合にまで意を砕いた上で意識・心・精神・知・社会単位・事理・コト的世界観までを視座に置く知の統合の方法論が問われる。特に人間の営為としての社会的な物事に対処する為の技術開発とその関連の発明の背景には文理融合のアプローチが顕著に要求されるが、従来人材育成の視点も含めこの観点が軽視されてきた事への対応策が必須となる。また哲学領域など文系の知見の中にはコト的世界に属する非決定論的な特性を見せるアート性を有する事柄が存在し、精神の力としての生産力や変革力を基本にした構想力(非特許文献2参照)や創造力更には関係性などに関する哲学などがこれに該当する背景に留意する必要性も指摘出来る。過去の発明群(特許文献1~7)で明らかにされた様に、上記非決定論的な特性を有する社会的な事柄に関しては何れも意識の在り方が関わって来る状況にある。共通的な課題として一見主観的に感じられる意識に関して、意識の三元構成に関るトライアングル理論(非特許文献3)に基づいて意識が働く場を客観的な特性を持たせた形で構成させることを試みたのが、特許文献6が記す先行発明のターゲットとなる意識空間の基本としての「意識の統一場理論」であり、意識の統一場の上で展開される特許文献6の実施例(
図11)で示したヘリコイド・ダイナミックな階層的意識空間を拡張して理論化した図式(特許文献7
図5)が示す「知の超体モデル」の形と「社会単位(特許文献7
図18の項目0012、0014参照)」までを技術的背景となる視座に置くことが出来る。つまり客観的な場の枠組みに従って主観的な意識が実在する当事者意識を有する自己の精神エネルギー(運動エネルギー+摂動エネルギー)により作動しても、意識の働きで外に出て来る行動には客観性が期待できる事を意味して論理的な正当性が得られる(非特許文献4、7、8~12の概念参照)。求められる社会技術の正当性は哲学的な論理を科学的な知見を媒介にして技術化したものであり、正当性の根拠は命の原理を本質的に追及した上で論理の健全性と正統性を組み込んで合目的的な有効性と合理的な適合性を保証するところに存する。社会実装への正当性を念頭に置いた開発に於ける発想の深さが求められる論理は既に先行発明(特許文献7)で説明済であるが、更にコト的世界の論理に関する「場」の明示とその場で働く各種「力」の体系化が必要となる。体系化の方法論の基本になるのがコト的世界の表現法として特許文献1の意匠
根本はモノ的世界と相補性を有するコト的世界までの組込と事理力学の論理の創発であり、特許文献7において事理の理論化が試みられたが「場」の設定を含めた体系化は未達である。つまり本発明の技術領域に関わる知の統合性を有するレベルの体系的な普遍性を有する思考情報技術は未だ存在しないので直接参照は出来ないが、個別の説明に於いては本発明に先行する上記一連の構想設計法に関る先行発明群(特許文献2、3、4、5、6、7)の技術展開を背景技術に関する公知の知見として参照し、更に上記六つの先行発明に共通する電子計算機のアプリケーションソフトの形態を
と合わせ拡張・強化を有する技術として取り扱うことが重要になるため上記先行発明の必要な図面と記述を参照する。合わせて個別の用語に就いては既に既存の上記の先行発明書内で使用されている部分に関しては、特段の追加説明なしに必要箇所で参照する方法を採用し説明の煩雑化を避けている。
【先行技術文献】
【0003】
本発明は新しい領域のため思考情報技術及び事理情報技術や意識構造にまで論理を言及した三次元図式表現技術に関わる先行技術が少ないので、先行発明群の特許文献を中心にして論理を組み立てる。論理的な思考及び構想関連の引用は発明者の脳内思考形成に一対一で対応するものではなく長年の学習と思索の積み重ねで知識形成された構想力のノウハウに基づく部分が多い事を指摘しておく。
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録 1696155(出願;2019年9月9日)
【特許文献2】特許願 2020-21907
【特許文献3】特許願 2020-21908
【特許文献4】特許願 2020-21909
【特許文献5】特許願 2020-129733
【特許文献6】特許願 2020-129734
【特許文献7】特許願 2021-182868
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】デザイン論;『デザイン原論』p180(河北秀也;新曜社)
【非特許文献2】構想力の論理(哲学);『三木清全集第八巻』pp3-13、pp340-359、pp416-509(三木清;岩波書店)
【非特許文献3】脳神経科学;『意識と自己』pp10-308、pp384-404(A.ダマシオ著/田中光彦訳;講談社)
【非特許文献4】意識論;「意識と生命」『精神のエネルギー』pp9-40(H.ベルクソン著/宇波彰訳;第三文明社)
【非特許文献5】科学;『タオ自然学』pp17-50、pp188-195、pp309-338(カプラ著/吉福伸逸他訳;工作舎)
【非特許文献6】科学;『ターニング・ポイント』pp378-384、pp439-480、pp490-496、pp505-508、pp658-663(カプラ著/吉福伸逸他訳;工作舎)
【非特許文献7】自然科学;『量子力学と意識の役割』pp166-207(竹内忠雄監修;たま出版)
【非特許文献8】物理学;『脳と心の量子論』(治部眞里、保江邦夫;講談社)
【非特許文献9】物理哲学;『断片と全体』pp26-31(ボーム著/佐野正博訳;工作舎)
【非特許文献10】科学;『精神と物質』(シュレーディンガー著/中村量空訳;工作舎)
【非特許文献11】生命科学;『動的平衡』pp223-251(福島伸一;木楽舎)
【非特許文献12】科学技術;『現代社会と知の創造』pp1-12、pp49-94、pp156-197(ギボンズ著/小林信一監訳;丸善)
【非特許文献13】哲学;『哲学入門一歩前』pp160-177(廣松渉;講談社)
【非特許文献14】社会科学;『社会学とは何か』pp153-182、pp217-242(盛田和夫;ミネルヴァ書房)
【非特許文献15】社会科学;『社会科学の考え方』pp3-5、pp64-73(水田洋;講談社)
【非特許文献16】未来学;『断絶の時代』pp5-11、pp223-278(P.F.ドラッカー著/林雄二郎訳;ダイヤモンド社)
【非特許文献17】社会科学『日本の社会科学を批判する』pp84-95、pp167-180(OECD調査団報告;文部省訳/矢野暢解説)
【非特許文献18】哲学『華厳教を読む』pp7-35(木村清隆;NHK出版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
〔社会科学的な学術的課題〕
【0007】
抽象的な事柄故に実体性が無くてもコト的世界の中で実存性を有する社会を技術的に表現する為の社会システム構築の仕掛けとして、意識の働きを有効に活用する「社会単位」の論理を提示して社会システムの理論化を行う中で社会単位を知の統合の基本要素として構造化すると共に、コト的世界を可視化して表現する為に事(コト)の論理を追求した事理の原理群の発見と理論化を行って事理力学の在り様を説明したのが特許文献7(0013項、0014項)である。その際に本発明の技術分野である思考情報技術に関する体系化(特許文献7
図4)を発明の一環として実施して説明済であるが、コト的世界の論理(事理)の理論群に対する体系化までは行っていないので技術的な面での使い勝手の不十分さは否めない。その結果学術的にコト的世界を扱う際の構想知に関わる論理の超越性を理解するのに時間が掛る懸念が存在する。社会単位の存在を哲学の論理から指摘するのが唯心論(唯識論)領域の華厳教学であり、華厳教学(非特許文献)が説く「梵我一如」は社会単位そのものと理解出来る。華厳教学はコト的世界観の下で論理構成しているとすれば、モノ的世界観に立つ唯物論の立場である西洋哲学との対比を社会科学的な観点で理解して把握することが課題となる。上記の様な背景を有する思考情報技術を改善する為には先行発明で発見して理論化した部分に改良を加えながら、個々の理論同志の関係性をより明確にした上で構想知に関わる脳内の思考回路に就いての人間ならではの超越性を把握して要素結合を図ることによって、「事理の統一的超越場」を明らかにして実用性が高い技術化を達成する事が求められる。この構想知の超越場はコト的世界の中で理論化されるとして、場を構成して場の外界に影響を及ぼす様々な機能と働きを有する精神の力の体系の下で構成出来ると考える。場の外に影響力を有する力を生む精神のエネルギーは様々な形で超越的に「力」の体系に変換されると考えるのが相対論的に自然である。つまり人間の意識が有する精神のエネルギーが変換されて各種の力(ちから)を生み出す事を意味する。構想知に関する人間の脳が有する様々な超越的な機能(超越力)の中で事理に直接作用すると考えられる事柄を先行発明群(特許文献1~7)の理論及び脳神経科学や現代物理学の知見を援用して列挙すると下記が挙げられる。これらは後述の
図5の論理の構成及びその準備段階の分析に反映されるべき事柄である。
相対論つまり特殊相対性原理であり、特許文献7
図3、
図4で示される二種類の「力」の存在の理解が欠かせない(モノ世界;F=ma、コト的世界;F=Ea/c
2)。ま
いることは明らかであり、相対論を媒介にしてモノ的世界とコト的世界の相補的な存
精神性は自己意識の世界を示し身体性は社会システムの一部として社会システム体を構成していると共に、構想譜の基盤肢は形を有するモノ的な事柄であり、記憶機能の細胞が有する運動エネルギーを保持した形を有すると理解するべき事に留意する。
要素として「今ここに居る」ことを表していると理解出来るとして、脳神経科学が上
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社会適用の論理を組み立てる事が必要である。つまり意識が関わるコト的世界を動かしている「力」が働く場を社会技術面から明らかにする機会を有効化する事が必要であり、当事者としての生存と存在の感覚と人間としての先験的な認識力から判断して「場と力」の論理の技術的な解明が本発明の背景的な学術的課題と直結する。また特許文献7で示した構想設計法と知的生産性との関わりも、当然本発明が問う学術的かつ技術的な課題であるのは論をまたない。本発明の学術的な視座から言えば、現状の社会科学に於いては非特許文献14が指摘する如く人間の内面の扱いの理論化が不明確である事から、モノ(物)が中心の社会からコト(事)が重視される社会へ転換される時代背景にも関わらず、コトを興す契機となる人間の外界である社会システムと人間との関係性の場つまり「事理の統一的超越場」と称すべき場の上に於ける異質の融合に関わる人間の意識の扱いが学術的に定式化されていない事は社会的責任の問題に繋がりかねない。すなわち社会科学において人間の意識を内包する超社会システムの定義と記述の方法も不明確であり、「コト」に関するコト的世界観に基づく知的活動(特にコト興し)を産業化する為のデザインと経営構想策定に対するための構想力を備える為の方法論に課題が存在するので、P.Fドラッカー(非特許文献16参照)が半世紀以上前に指摘した知識社会化の時代要請に未だに応え切れていない。結果として様々な政策や産業の領域・分野に於いて環境変化に対応するための変革に無理や無駄が生じる一方で生産力は語られても変革力の本質とその在り方が明示されていない。更に唯物論的な発想に準拠する生産力中心の発想に拠って変革力と生産力の理論的な関係も不明確である。つまり経営問題や社会的課題に取組む産業界や個別企業そして自治体・行政体などに於ける様々な不都合に対して、複雑化する中で相互関係の増加に起因して複合化する社会的課題のソリューションを獲得する対応策の戦略や政策デザインに関わる構想や経営計画を立てる段階に於いて、意識を有する存在である人間の精神性や心の働きを内包する物事や事態を学術的に扱う必要性が知的生産性の議論と相俟って増加している状況と認識出来る。従って下記の実用的な技術課題への対応策が技術開発を契機とした学術的な課題解決への嚆矢となり得る。
〔技術的な課題〕
【0008】
本発明では思考情報技術的に一歩踏み込んで構想知の領域においてコト的世界の中で事理の原理が働く要素を吟味しつつ「統合による分析」の手法を駆使して一つの体系として構成することを試みる中で、「事理力学」の形で構想譜表現した統合力モデルとして全体像を描いた上で、更に事理力学の成立を可能にすることの中心となる場として「事理の統一的超越場」を体系化する事が求められ、これは事理の統合論理の形を表現する方法論を提供する技術となる。「事」が物事(モノ=もの・こと;実体性)の要素と事態・事情(コト=ことの状況;実存性)の二つの意味を有する事を理解した上で、事理学を物理学との対比で考えると「コト的世界」は特許文献7(0013項、0014項)の論考に拠って社会単位、超社会システム、格子譜表現、構想体、構想譜表現、構想設計、政策デザインなど多様な表現的側面を有することが判る。コト的世界を扱う為にはこれら多様な表現形態を支えながら構想知の領域において思考情報技術と格子譜論理を成立させている事理力学の論理の核心を構成する事理の原理を技術化して事理情報技術を確立する事が求められる。事理情報に於ける場と体系の関係は相互作用の関係性を有するので、技術的には試行錯誤的な思索の循環の中で技術開発する必要があり本発明でもその様に扱われる。本発明の目的項を構成する上記学術的な課題解決への道筋に関する構想設計的な手段としての学術的且つ社会技術的な対応策の基本において、超社会システムに対するデザイン思考を考えた場合の意識に留意した思考情報技術に就いては、上記の先行発明群によって個別の思考情報技術と事理の原理群までは開発され提示済の状況にある。しかし上記の様な社会的時代背景の中で知的(有機的)な社会システムつまり超社会システム(特許文献3)に関るデザイン思考(特許文献2)に基づくデザイン論に関して理解を深めた上で該当分野の技術者が利用出来る様な形で構想力を増強出来る様に、思考情報技術の上位に事理情報技術に特化した上で階層化設定して客観的かつ体系的に定式化され利便性が高められる事が重要である。更に意識空間の定形化に基づいた知的な世界にある意識・心・精神・知が働く場・事理・コト的世界において事理力学の論理に沿った統合的な変革力を伴った対応策を構想設計する為の目的項を指定する統合的対象論を導く事理情報技術の必要性が判明した。つまり意識空間の階層的構成法に基づく構想知の事理力学的な統合への対応が欠かせない。端的に言えば、構想設計対象としての超社会システムを扱う設計技術の体系化と設計対象の定式化の両方の確立が思考情報技術と事理情報技術両面の課題と言える。これらの技術の確立は大きな意味でのトータルなQCD面からの知的生産性の向上にとっての障壁を超える為に解決すべき社会的且つ学術的な課題でもあり、構想の専門家及び専門家のグループに加え普通の担当者でも理解を深め習熟によって操作可能になる道具立て(ツール)として、例えばパソコンの汎用ソフトなどを活用した構想設計のアプリケーションソフトの形態での実現が急務である。一言で表現すれば
図2の格子譜機能に表現力を組込んで格子譜論理を組み立てる表現技術に関わる先行発明としての深化型構想設計法
文献1)に対する記述文法群による技術的な拡張・強化を図り、コト的世界の観点で事理力学の論理で補完した強化記述文法の形で完成度を高め、意識空間のヘリコイド・ダイナミックモデル(特許文献7の
図5)が模式図的に代表する知の統合の技術に関わる「知の超体モデル;HelTiM=
Helicoidal
Trans-
intellectual
Model」自体を強化する必要性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
図1は本発明における課題解決の手段と実施形態構成の過程をフローチャートで説明するもので、七つのステップから構成される。ステップA;コト的世界の考察と先行発明の整理、ステップB;事理を解明する為の分析手段と社会単位の定義、ステップC;事理力学の意味と体系化の必要性と位置付け、ステップD;タナトスの事理の解明、の四つのステップに於いて課題解決の手段を構築する。その結果を反映させてステップE;「事理の統一的超越場」の体系化による「知の超体モデル;HelTiM」の強化とステップF;「事理情報技術の確認」と「強化記述文法の設定(
図7)」及びステップG;「実施例(
図8)」によって発明の実施形態を明らかにする。
これらの手段を踏むことでコト的世界を効率良く表現するための事理の論理を加味して拡張記述文法の適用を図った深化型構想設計法ADDiDに関わる先行発明の拡張論理に加え、先行発明群が解き明かす当事者意識を有する社会意識量子の形及び意識の統一場・知の超越場・知の統一場からなる関係性の場における意識の階層論理のヘリコイド的存在を前提にした上で、現代物理学の知見の背後に存在する精神のエネルギーの論理の発見がもたらす事理力学の論理下で格子譜論理を強化する事理情報技術の体系化に基づいて、意識階層の上位の階層性を為す意識・心・精神・知的営為及びコト的世界観が働く構想知に関わる社会単位の概念を真の実在として扱う事理の統一的超越場を構成すると共に、該超越場において事理学論理を踏まえて格子譜論理を図式に表現出来る様に格子譜の記述文法の基本形と拡張形の論理に加えて事理力学の体系的な理論を組み込んだ強化記述文法を定式化することにより、モノ的世界とコト的世界を相補的に異質融合する超社会システムの構想に際して構成要素となる社会単位を該構想体の実在を示すアイデンティティとして設定する意識空間の階層構造の下における知の超体モデルを有して成ることが可能になり、構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの実装形態を伴うことを可能にして事理情報技術による知の統合効率を強化する構想設計法が構成出来る。
【0010】
的世界の課題の解決法確認;特許文献7
図5(コトの部分)と知の超体モデルの定義」における意識空間のヘリコイド・ダイナッミクモデルを参照してコト的世界を位置付けする。該モデル上では知の統一場の上に心・精神・知の階層が展開されながら汎社会単位体が定義され、その上位に「コト」が設定されて階層が複雑化している。定義された知の統一場の上位に「コト」に関わる場を設定し、本発明においてこれを
図6に図式化して後述する「事理の統一的超越場」として階層を再構成する考え方に基づいて知の統合に関わる事理情報技術を確立すれば、「知の超体モデル(特許文献7の0012項、0013項参照)」自体を強化して再構成する事が出来る。その為には事理の論理自体を高度化して理論化する必要があり、コト的世界をモノ的世界との対比で明らかにしながら特許文献7で導入された事理の原理群を再構成して理論化を進める。社会的な事象の中で物事を中心としたモノ的世界と物事の背後に存在する事情に関わるコト的世界は両方とも物理学で説明できるが、そこで働く「力」の形式が異なることが重要である。精神的な事柄も全て物質の直接的な作用に起因とする唯物論的な存在論の立場があるとされるが、この立場からはコト的世界の論理は解けない事が脳神経科学由来の意識論と社会科学との文理融合の分析によって発見されており、このことを以下で明らかにする。まずコト的世界は人間の意識特に個の意志や意図に発するものであり、意識の塊は頭脳の中に実在する実存性として扱う中で、現実的に外界との関係性の下で事を興しながら社会的は事柄に関わって仕事を展開する論理を有するものであると云う常識的な基本事項を確認した上で論じることによる思考の質的転換が求められる。
層のコーン形、精神の力とエネルギー等に関わる与件としての整理であり、先行発
軸の情報構造を示唆するものであり、特許文献4(0022項)においてその意味が説明されているが、原典は非特許文献9に於いてD.ボームが説く世界管(world tube)であり、関連する先行発明(特許文献5参照)による意識の量子性に関わって量子力学上でのボームの考え方を援用している。管の特性は物理的な現象との相似性を含めて読み取る事が可能であり、意識の働きで管の中を流れる時空関情報に関する状態を把握しながら管の不具合の分析に反映させる。コーン形(特許文献7
図4参照)は知の超体モデルの形を表現する模式図であり、本発明でも引き続き利用しながら値の超体モデルの強化を図る。精神の力とエネルギーは特許文献7(
図3、
図4)において発見を伴った事柄として説明され(特許文献7の0013、0014項)、力に関する次項の式1と式2の内容は分析対象として本発明の与件となる。
【0011】
ステップB「事理を解明する為の分析手段と社会単位の定義」における細部ステ
ある。モノ的世界では物理学の説明において運動体の働く力を運動方程式で表現すると、m=質量、a=加速度とされる条件下において運動方程式F=ma(式1)が成り立つ世界であり、意識の上では感性の働きにおいてこの現象が認識される実体性の世界である。一方コト的世界では精神的な「力」に就いて質量mを用いないで説明されるべきであり、意識の超越場において意識自体が質量を有しない形の軟構造の運動体であると認識する悟性の世界における人間の頭脳の力として把握したのが量子力学の論理に準じて「社会意識量子(特許文献5で定義)」が形を有すると云うことであり、上記の意識の基本論理と重なる中で通常コト的世界は事態(situation)とその背後に在る実体性は有しないとしても実存性の世界下の事情(whyの世界)を合わせた実在性を有する形の概念として扱われる。事態は背後に事情を抱えているものであり、実在する事柄であると共に悟性によって実存性を認識される中でモノ的世界と相補性を有する表裏一体の意味が存在することから、一つの形を有する軟構造の運動体の性格を持つとして捉える事が出来ると共に、これを動かす「力」は質量「m」を含まない形式の精神のエネルギーが生み出す力として表現される。つまりコト的世界の運動体の運動方程式は上記式1に対して特殊相対性原理が説く質量とエネルギーの等価性の原理E=mc
2を用いてm=E/c
2を代入すれば運動方程式F=Ea/c
2(式2)と表現出来るので、上記で指摘したコト的世界における生存の為の選択の力とする力の原理が発見的に定位される。上記の論理は既に先行発明(特許文献7)において記述されているものであり、特に「1/c
2」はビッグバンに起因する太陽の恵み(太陽律)が関係性を担保する命と生存にかかわる絶対的な存在力として定義される。式2に対してLogをとって対数化するとLogF=LogE+Loga―2Logc(式3)が得られることから式3の有機的な意味が特筆される。つまり物理量を対数化することで、例えば音の世界において物理量である音圧の対数を取ることで人間の感覚レベルに合わせる有機化が行われると同様に、式3が示す本発明による新しい発見的内容を伴って有機化理論が適用されたLogFはその特性からコト的世界を成立たせる人間の頭脳の働きによる有機的な超越力或いは生存力を意味しながら相対的評価レベルとされるスカラ量的な感覚値を意味しており、測定値として定量化出来ない対象であっても実施例でも取り上げる多変量解析を活用した相対的な比較が可能になる指標として扱う事が可能になる。超越力の役割を一般的に馴染みが深い音楽を例にとって考えると、作曲家の心に潜む暗黙知段階の楽想(イメージ)を超越力の働きで誰もが理解出来る形式知である楽譜に落とし、この楽譜を演奏家が楽典のルールに従って読み取り音として表現するアートとして再現したものを聴衆が聴きとって作曲家が感じた心の状態を再現しながら聞き手側の心に感じ取ることを可能にする力であると理解出来る。その様な観点から式3の右辺の構造を観察すれば直ちに判る様に値がマイナスになる可能性が存在する。コト的世界の縁起の場における関係性を成立たせる存在力は「生存の力」とも称することが出来て絶対的な「形の論理」を示しているので、式3右辺の「LogE+Loga」が小さいと生存の力に負けてしまいコト的な生存力LogFが負の値をとる事で負の状態つまり闇の世界(タナトス状態)を生むと理解出来る。更に式3の意味を深堀すると「LogE+Loga」は運動(生産力)と摂動/加速(変革力)の要素を有する事が判り、この力の論理は「質の論理」を示し先行発明(特許文献7
図3.
図4)及び本発明
図4の善事と劣事の比較において論理が解明されている。上記の本発明における生存力の論理は生存の動機自体には触れていないので、実社会での読み解きは別途行う必要があるが、実社会を想定した詳細分析は社会科学領域の事柄であることからここでは数式とその数学的・物理的な論理の意味を指摘するに留めるが、実施例の段階では意味を想定して取り扱う。なお、モノ的世界の式1の対数を取るとLogF=Logm+Loga(式4)が得られ、物に直接加速度が加わることから式4からは物の運動つまり生産の大量化とこれに伴う消費と廃棄の「量の論理」が読み取れる。理性に基づく適切な形態のコト的世界の構築を示唆する事理力学の理論的な分析結果が整理された結果、後述する「事理の統一的超越場」や「強化型記述文法」の論理に反映する事が可能になる。
【0012】
「社会単位」の定義に関しては、「社会単位=個の意識*社会システム体*社会的関係の場」の形で表現出来る三元要素構成の運動体として特許文献7(0010項、0012~0014項参照)において定義している概念であり本発明の与件となっている。社会単位はコト的世界のアイデンティティであり、構想知の世界における事理の統一的超越場の実在性の核として存在する事を意味する。つまりコト的世界は個の意識によって駆動され個の内面的な精神性からは外界となる個の身体性を内包する社会システム体との社会的な関係場において相互作用を行う軟構造の運動体として理解されるものであり、社会単位の形態はその定義から当然超社会システムそのものとして先行発明群に於いてもその様に扱われて本発明の与件として重要な事柄となる。本発明の与件としている先行発明(特許文献7
図3主図)が示す認識対象としての社会的な物事の事態や事情に関して一部訂正を加えた上で「事象」、「心象」、「表象;構想知領域」、「形象」、「具象」の五つの形態で確認しながら社会単位の構造と働きに対する文理融合的な理解を整理する。なお内容の把握には非特許文献3が説く意識論の知見と非特許文献2が説く「構想力の論理」の知見の融合が必要であり、論理的な融合の集大成がコト的世界の下で当事者意識が思考操作する構
由来の用語レベルであり常識的な理解に基づいて社会単位に適用している。しかし形象に関しては哲学や心理学だけでは解けない脳内の「イメージ」の正しい理解に関するミッシングリンクが存在する。概略を説明すれば脳神経科学が解き明かす記憶の謎であり一般的に脳内のイメージはパターンとしてではなく脳細胞の運動エネルギーの形で記憶されている事と、その記憶は脳内細胞が記憶している情報を脳内のワーキングメモリ(WM)の存在と働きに拠って意識の働きで駆動される摂動要素つまり摂動エネルギーの刺激によってワーキングメモリ上にパターンの形で浮かび上がらせることこそがイメージと称される形を提供し概念化を施す論理となるのは非特許文献3が説く所である。物事の現象から脳内に記憶をする場合はこの過程の逆の流れが生じることになり、知覚結果に概念を与えるとワーキングメモリを通して概念が関連する脳細胞の運動エネルギーを変動させる原理が働くことになり必要に応じて学習が為される。この様な前提の下において脳内で進行する構想過程と
非決定論的な関係性がコト的世界の基本であると考えながら、事象を表現出来るのは実在する有機的な「社会単位」であると知覚するところの生身の人間の感性と理性に関わる認識力の世界であり、通説と異なるとしても社会単位こそが非特許文献17や非特許文献14が指摘する社会科学と社会学における意味世界の課題解決や齟齬解消の要となる。
した構想体として脳内の軟構造運動体の形のイメージで記憶されると共に概念による再生の統合として物事の事態と事情を暗黙知の形で脳内細胞の記憶の覚醒として追形成しており何れも外部から直接観察は出来ない。脳細胞が形成する心象には精神のエネルギーが作用するものであり、この段階で運動体のエネルギー準位の論理が成立し摂動エネルギーによる表象への概念化が図られ社会単位(Social Primitive)が得られると理解出来る。留意すべき点は心象が当事者自身が描けるものであり、表象化する為の次の段階に移ることも同様に当事者性が必須である。
存性を代表する構想知の世界であり悟性と感性により認識される。社会単位要素である人間は「個=身体性*精神性*実在性」の構成的な特性を有し身体性は社会システムに内包されて社会システム体を構成することが感性で認識される事で実体性を担保しており、表象は非特許文献3が扱う脳内ワークングメモリの働きで心象が概念化された構想知の形で表わされるものと理解出来る。非特許文献7が説く華厳教学の華厳律の一つである『存在するものは全て心の表われである』が想定する状態の表象レベルを示しており「梵我一如」と表現される。先行発明群(特許文献1~7)及び本発明で扱う構想設計に関わる構想知は脳内ワーキングメモリ上で短時間保持される特性を有するので、当事者が脳内に有する表象を形式知化する事が重要になり形象化の作業が必要になる。脳内細胞の三次元配列機能に従って三次元構造を為して記憶されているイメージ表現の暗黙知を概念化して言葉の表現を文字や音声の流れで一次元構造の形式知に変換するのが脳内のワーキングメモリの役割である(非特許文献3参照)。このワーキングメモリの働きこそが上記そして一連の先行発明群において構想知と称して思考情報技術の対象にして来た知の形態であり「構想知理論」と称する論理となる。上記の構想知の脳内操作こそが式3の対象となるものであり、概念レベルの上位化も同様に意識の働きによる精神のエネルギー操作の結果である。当然脳細胞の働きは当事者であっても意識出来るものではないが構想知になると物事の事象認識に始まって当事者意識の脳内で構成されるものであり概念が浮かび上がって来たところで意識される様になる特性を有すると共に、特許文献7
図10「知の統一場」が示す様に当事者意識に基づく構想知理論は非認知的能力と認知的能力を繋ぐ媒介となる超越力の役割も担う一方で知の統合(Transcendence)の要となるものでもある。構想設計法に関わる先行発明が当事者意識を必須とした理由が明らかになり、人間の意識論の知見が当事者意識を根源とする社会単位を扱う社会科学の思考パラダイムの重要な要素であることから、上記ミッシングリンクをそのまま放置しておく事は学術的にも罪作りな事柄である事も指摘され、まさしく学術的課題とする所以となる。
献2に拠って定義されるデザイン思考の働きで表現され特許文献1で定
ものであり、画面や紙面上に図式の形で表現され構造化可視化されて眼でみる形が得られる。ここに社会単位(Social Unity)が認知される。
て具体的な行動つまり操作五態(特許文献2参照)を駆使する事で、構想設計の結果が具体的な操作作業に転換される。なお上記式3の論理は表象段階だけでなく具象の段階においても現実の場面で実態として作用するものである。生命誌における発生論が示すオパ-リン律が説く38億年を遡る生命体の誕生の原理の原初性は社会単位の原初でもあり、社会単位理論の歴史的な具象のエビデンスを理解することが出来る。
この様に五つの認識形態を縦糸にして上記で「ミッシングリンク」とした概念と論理を解き明かす現代物理学、脳神経科学の意識論、生命の発生論、情報工学及び哲学領域の弁証法と華厳教学の知見を新しい形の思考のパラダイム転換と認識した論理を横糸にした形で事理力学の論理と力を分析しながら格子譜論理によって織り上げて構想知を統合する事により事理情報技術の定式化が可能となる。縦糸と横糸を織る際に必要になるのが特許文献7
図3、
図4が示す事理の原理群であり、更に後述する本発明書
図4が示すタナトスモードへの視座を含めて
図5に示す論理を組み込むことも条件となる。
【0013】
ステップC;「事理力学の意味及び体系化の必要性と位置付け」は
図3を用いて事理の統合力モデルの定式化から事理の統一的超越場を定位するステップとなるものであり、事理力学自体を構想知の領域における場と力が統合されたものとして扱う事の意味を確認する。
図3は事理力学の事理情報体系を構築した図であり、上記の現代物理学の知見と社会単位に対する上記分析結果を導入して先行発明群(特許文献2~7)の知見及び思考情報技術を継承しながら格子譜論理(特許文献1)に従った構想譜表現による統合力を事理の統一的超越場上に図式化したものである。関係性の場としては出会いと相互作用の場所性を念頭に置きながら上記で論じた社会単位を論理的なアイデンティティとして設定した上で、詳細はステップEで後述する「事理の統一的超越場」に於いて基盤肢の関係性としては実体性の世界として感
事理力学の技術化を図っている。社会単位に関する上記の説明及び先行発明群(特許文献2~7)の説明で得られる概念を、発明者の意識の働きで事理力学的に再認識した形の概念(非特許文献2が説く統合論)に統合し格子譜が指定する要素項目の条件に超越的に再構成して構想知を表現したのが
図3の意図する図式化である。事理の統一的超越場はこれらの論理や表現技術を統合して体系化する役割と働きを有して成ることが必要であり、体系化を実現する実施形態が求められることへの対応をステップE以下で記述する。
【0014】
ステップD;「タナトスの事理の解明」は
図3で示したコト的世界の論理としての選択「Eros or Thanatos」におけるタナトスモード(劣事;闇の世界)を別出ししな
向かう為のアンティテーゼとしてのタナトス(劣事)の解明;補図a(束縛、棄損、
補図a「意識空間のコーン形モデルの断面模式図とその特性」を先行発明(特許文献7)のコーン形を引用しながら明らかにしている。まずタナトスモードを世相の分析
が出来補図aに記した結果が得られる。またタナトスモードへの誘引情報分析を行う
る自由度に関わる第三の要因が認められてそれぞれ補図a内で内容が説明され、これらが
図4の主図に反映されている。
図4主図においては補図aによってコーン形の知の統体モデルにおける社会的な物事を想定した意識空間を模式図で示したものに要因分析を加えた各細部要素を格子譜論理で再認した形の再配置を行い構想知と同レベルの思考情報としてタナトス要因を構造化してタナトス理論として図式上に定位させている。上記の論理的手段の準備によって劣時に向かう意識の状態を感性・悟性・理性の其々の特性に関わる負の指標で表現して物事の事態の裏に存在する事情把握する分析の論理を有した上で、先行発明群が与えてくれる社会単位に関わる格子譜論理と上記事情の把握結果を含めた技術的論理を用いて社会単位が有すべき事理力学の論理的細目を支える事理の統一的超越場の論理の上でコト的世界を構想する事理情報技術の論理を加えることで、タナトス状態を脱して光の世界(Eros;命の論理)に向かう為の論理は上記の社会単位における基盤肢と行為網の論理の概念を超越的に再認して後述のステップで説明する
図5において事理の統一的超越場の論理を構成することになり、本発明の実施形態の一つである
図6による図式化に帰結する。該超越場の上で展開して知の超体モデルを構築する為の格子譜論理の強化に就いては
図7による「強化記述文法」の設定がこれを可能にする。
上記の論理展開は当事者意識が主導し思考情報技術的及び事理情報技術的に統合した三次元構成の論理をヘリコイド表現で組立てる構想知に関わる事理情報を
図5に結び付けて体系付けたことになり、手段展開としてまとめると事理力学を体系化するべく図式化して表現する際の場に就いて
図6「事理の統一的超越場」を明示し、この技術体系を格子譜論理を守りつつ意識の階層化理論に基づく超体構造の形で得た意識内容のイメージを描き、該イメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上において記述表現の次元を縮退させた関係性の場を核にしたモデルとして図表化する形式を持つ先行発明に基づく格子譜上に文理融合的に統合化してモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化・可視化を図る知の統合的な営為を知の超体モデルとして組込むことが可能になり、先行発明である構想設計機能付き電子計算機の機能として働く有機的な超社会システム上に社会単位をアイデンティティとする普遍的な形式で客観的に記述してデザイン思考を深化させる実用的な技法の強化を可能にする
図7が定義する「強化記述文法」の設定を行う事が出来る。つまりデザイン技法を駆使した構想設計法の実現の一環として意識の統一場と構想知の超越場及び事理の統一的超越場に於いて事理力学理論が主導する事理情報技術の格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法を備える事によって意識空間の階層的構成法に論拠を置く事理情報技術により構想力を高める如く知の統合効率を強化する統合形構想設計法TaDDiD(
Trans-
associational
Description and
Design
in
Depth)の確立を図ることが可能になる。具体的な実装方法は後述するステップE;「事理の統一的超越場の体系化による知の超体モデル(HelTiM)の強
デル化;
図6(善事モードの体系)の構成に基づいて実施された結果をまとめてステップFにおいて事理情報技術の確認と「強化記述文法の設定(
図7)」が為された上で構想知に関わる
図7「強化記述文法」にリスト化され、更に具体的な学術レベルの実施例としてステップGにおいて実施例1が構成・記述され「社会科学の体系;新領域を組み込んだ客観的な統合モデル」(
図8)を構築出来て事理力学に関わる事理情報技術の適合性と有効性が確認される。
【発明の効果】
【0015】
本発明による構想設計法全体の思考情報技術の質的向上と事理力学に基づく事理情報技術の有効性を効果的に利用する事によって各テーマの構想知を表現する構想譜表現自体の効果が増強されることに加え、意識空間の階層化理論を構想設計法に定位させた上で精神エネルギーの働きに基づく事理力学の原理を適用した構想知に関する事理の統一的超越場を構成して展開する知の超体モデルの定式化に拠って知の統合の方法論の高度化が図られ上記で指摘した学術的・技術的な課題解決への道が拓かれた。思考情報技術レベルの効果は先行発明(特許文献7の0016項、0017項参照)の説明文の内容と共通面が多いが、事理力学を適用する技術面と学術面に対する効果部分は次項で指摘される。
〔構想知の構想譜表現に事理力学を適用した効果〕
【0016】
構想知の構想譜表現への強化の効果は後述する社会単位を前提にしてまとめた図
してはコト的世界をモノ的世界との対比において技術哲学レベルで明らかにして理論的な合理性を高めたこと、本発明の趣旨からは離れる純科学的な側面から事理学そのものを解明する前に技術化を試みた経緯に拠って事理力学の限界を内包しているとしても「力」をレベルで表現する有機化理論の導入によって構想設計法の適合性と有効性を伴った実用性が高まっていること、逆に事理学そのものの開発意欲を開拓する動機付けの機会を提供出来ること、社会単位の意味が事象・心象・表象・形象・具象の構想知関連の五態の論理として明らかにされ思考と構想の世界の理解が高まったこと、不確実性を伴う未来のコト的世界を生産力と変革力の両面から記述することで一層生産性の高い構想設計が可能になったこと、思考対象に関わる認識における内部観察の重要性が明らかにされ量子論との整合性を合目的的視点で高める論理が織り込めた事、実在の力の存在が哲学的な意味合いが強かった「真の実在」の物理的な意味を含めた技術理論の確立に繋がった事等が挙げられる。学術面での効果としては、タナトスモードの論理が解明され負の社会を具体的に把握して社会的傷病への対応論理が構造的に解き明かされたことで光の世界への道筋が論理的に把握し易くなり社会科学が不得意であった未来に向けて「どちらへ向かう;Which if?」を問い易くなったこと、負の世界から前向きの世界への復元の指標が物理量への感覚的な対応レベルの尺度で明らかになったので具体的なデータに関する主成分分析など多変量解析の手法が相対的評価レベルの算定法を適用して理論的且つ合理的に適用出来る根拠を伴って適用出来る社会的・学術的な意味への理解が深まったこと、知の超体モデルの構成が社会単位で可能になったことから階層的な知の統合が容易化され様々な思考対象を構造化・可視化して定義出来ると共に統合内容の確認も簡素化されて社会的な知的営為に関する知的生産性が高まること、事理力学の技術的な理論化によって社会科学のミッシングリンクが解明され様々な課題解決の道筋が提供されたこと、等の社会に関わる高度な学術的効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】「発明に於ける課題解決手段と実施形態構成の過程」の説明図
【
図3】「事理力学の事理情報体系;構想譜表現による統合力モデル」を示す図
【
図4】「タナトスモード(偽の実在)の基本展開モデル」を示す図
【
図5】「超越場の事理論理要素の構成」を表で示した図
【
図6】「事理の統一的超越場;有機的技術統合モデル」の詳細を示す図であり、
図3の関係性の場としての詳細を展開した本発明の主要な図
【
図8】「社会科学の新体系;事理力学を組み込んだ統合モデル」を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1で示したステップE「事理の統一的超越場」の体系化による知の超体モデルHelTiMの強化」は上記四つのステップA~Dで説明した課題の解決手段を発明とし
て事理力学の体系を図式によって事理の統一的超越場をモデル化して
図6(善事モードの体系)を得ることによって発明の実施を進展する。
図5「超越場の事理論理要素の構成」で示す表は
図6を得るための理論的根拠を列挙して個別要素概念を示した上で各要素を図式化する時の統合概念を明確にするものであり、縁起の場、基盤肢、行為網の三大要素を其々個々に分析している。縁起の場においては縦方向にとった細部要素である基本機能、真の実在、アイデンティティ、自己の構造、意識の時間軸、意識の空間軸に関して横軸に格子譜論理に従った内部時間系、外部時間系、内部空間系、外部空間系、関係性の五つの構成要素の内容の記述を示している。内容は図に記した通りであり以下の要素も同様に文献や原典までを明示しているが鍵になる部分は発明者自身の構想力と本書0010項~0012項の論理としてまとめられている。基
範疇の代名詞、関係性の構成論理と基本機能、時間の流れと時間論理、対象・形・力の源泉・統合論理を列挙した後にこれらの細部要素を代表する概念名を図式タイトルとして其々命名している。各項目の内容は図示した通りである。知的営為を示す行為
となる論理要素、物理系内容、範疇、範疇の事情、思索要素、原理的世界、思索対象
として其々命名し、14の図式タイトル名は
図6の個別構成要素のタイトルとして格
は人間(ヒト)の精神(Ethos=ErosとThanatos)が有する価値創出力に基づく有機的文化性の世界であり、物事の変化を微分値の形で察知して価値の転換を評価し意味があれば採用し劣事的な不具合には反発する論理が働くものであり、認められた価値の変化が時間経過の中で積分値として定着したのが文化であると理解出来る中で、価値の意味を直観で受け止めて評価する審美眼と享受力が要求されるので物事の変化に関する関心と問題意識が重要な要素になると理解出来る。従って文化は一つの状態であり、価値を有する物を認める精神的な事情のもとで成立するものと捉える事が可能である。
図6「事理の統一的超越場;有機的技術統合モデル」で示す図式は、
図5で整理して列挙した細部の論理を格子譜論理の記述文法に従って記述して得た「事理の統一的超越場」の有機的技術統合モデルを表現する図式である。各構成要素の内容は
図5の表に関連内容や更なる細部内容を加えた構成にすることで、超越場の特性の網羅性を確保し合目的性を高めている。
図6は
図3「事理力学の事理情報体系;構想譜表現による統合力モデル」で示した事理情報技術の体系を確実に構築する重要な「場」の論理を確かにするものであり、ステップFにおいて後述する強化記述文法の根拠を提供している。
【0019】
図1のステップF「事理情報技術の確認と強化記述文法の設定(
図7)」は上記の各ステップの結果をまとめて格子譜論理の強化を実施するものであり、先行発明である特許文献4の基本型と特許文献7の拡張型の記述文法を与件とした上で強化内容を示した表にまとめることで実用性を高めている。この様にして
図2の格子譜論理を保ちつつ先行発明群が与えてくれる社会単位に関わる格子譜論理と上記事情の把握結果を含めた技術的論理を用いて
図3、
図4、
図5に基づいて社会単位が有すべき事理力学の論理的細目を支える事理を構成しながら
図6が示す統一的超越場の論理を構築した上でコト的世界を構想する精神のエネルギーと力が示す事理情報技術の論理とを加え、当事者意識が主導し思考情報技術的及び事理情報技術的に統合した三次元構成の論理をヘリコイド表現で組立てる構想知の統一的超越場上の意識の階層化理論に基づく超体構造の形で得た意識内容のイメージを描き、該イメージを構想設計機能付き電子計算機のアプリケーションソフトの画面上或は印刷紙面上において記述表現の次元を縮退させた関係性の場を核にしたモデルとして図表化する形式を持つ先行発明に基づく格子譜上に文理融合的に統合化してモノ的世界とコト的世界を統合的に構造化・可視化を図る知の統合的な営為を知の超体モデルとして組込む際に先行発明である構想設計機能付き電子計算機の機能として働くところの有機的な超社会システム上に社会単位をアイデンティティとする普遍的な形式で客観的に記述してデザイン思考を深化させる実用的な技法を強化することを可能にする強化記述文法を設定する事を特徴としながらデザイン思考に基づいた構想設計法の実現の一環として意識の統一場と構想知の超越場及び事理の統一的超越場に於いて事理力学理論が主導する事理情報技術の格子譜論理的体系化に基づくモデリング・デザイン技法TaDDiDを備えることを特徴として意識空間の階層的構成法に論拠を置く事理情報技術により知の統合効率を強化する構想設計の方法が確立できた。
【実施例0020】
図1で示したステップG;「実施例の提示」では実施例1として「社会科学の体系;新領域を組み込んだ客観的な統合モデル(
図8)」を示している。
図8は
図6で定義した事理の統一的超越場の上で構成される事理力学の論理を自然科学との接点を通した融合との理解をしつつ社会科学が表現する事理の基本として捉えた上で学術的な展開を意図している。個別の領域は従来型のトラディショナルな領域に加えて事
事であるが、この論理は上記
図6の説明で価値論と関わって説明済であり文化の先にある文明論に繋がるとして、文明論自体は社会科学の範疇を越え科学体系全体において論じられるべき事から本実施例では観察学の項目内容以外では取り扱わない。
図8で表わされる如く現状の社会科学の主体とされる領域(ディシプリン)は基盤肢系が殆どであり、知的な営為面での行為網系に欠けている部分が多い事は明らかであり、社会単位の発想を導入して在るべき姿を描くことが提示されている。しかし社会科学の全体像を一枚の構想譜表現で記述する意志の下で表現しているので極めて概略的な構成になるとしても、各ディシプリンを格子譜論理に従った区分で配
細部としての個々の領域を其々配置している論理の下で社会の基本要素が事理力学に従う社会単位であるとする論理から当然社会科学のアイデンティティを社会単位とする事が理解され、縁起の世界(関係性の世界)としての事理の統一的超越場に存在する理(ことわり)が認識される。「今ここに居る」ことを示すアイデンティティとしての「社会単位」が光の世界と闇の世界(タナトス;負の世界)の「どちらへ向かう」を定める観点においてどの方向に善事と劣事を止揚出来るかが社会の在り方を決めることは前記した精神のエネルギーに関わる式3の値(レベル)が示すものであり、この値を調整する論理構築こそが社会科学の大きな使命であることが指摘される。従って社会科学の体系が成立する「社会の超越場」を社会の心技体を表現する場であるとする比喩的論理が生じる中で、ディシプリンのアイデンティティを社会単位とする社会学の在り方を「統合社会学」の形で想定する事が必須であるとする論理が認められ、『社会科学自体のアイデンティティは「社会学」である』とする
図8の表現が当然の帰結となり社会科学領域における社会学の重みが判明する。
図8は発明者が自然科学の領域に加えて社会科学の領域との文理融合のバックグランドを有する中での学術面からの内部観察に基づく論理であり、社会を構成するのが社会単位であるとする社会的事柄に関わる事態と事情の事理力学の論理が、社会学の位置付けを支えているとする判断が出て来る所以であり本発明自体の動機付けでもある事を表現する実施例である。
〔実施を効果的にするための留意点〕
【0021】
本発明の与件としている先行発明群の一つである特許文献7の留意点(0028~0030項)と共通部分が多いとして、特に社会単位の五つの側面(本書0011項)や上記説明における式3、式4の物理的な論理の社会適用に基づいて式の意味するところを読み取る社会科学的なセンス或いはリテラシーの必要性が留意点として指摘出来る。また
図4を中心にして解明されたタナトスモード(負の世界)に関しては社会を前向きに構想するに際して対応策を吟味する契機にする事に留意することが必須であり、思考情報技術の対象をチームやプロジェクト更にはアライアンスや業界など社会単位を基本にした上で更に事理情報技術に昇華させて適用する事も重要な留意点である。具体的な操作に際しては記述文法の構成に留意し、基本型・拡張型・強化型をテーマの複雑性や適用領域の違いによる必要に応じて選択または統合して使用する。実用に際しては三つの型の記述自体を整理した活用方法も有効である。なお本発明は技術領域に属する故に事理力学の側面からアプローチしている状況であるが、純粋に科学の領域つまり事理学として理論を再構築する事も必要であるとして、その際事理学から社会の在り様に就いて特に社会単位を見直す事が求められるとしても人間の意識の尺度である実体性、実存性、実在性のレベルを直接設定する事は困難であることから、統計的な史料を統計学的に吟味した上で多変量解析特に主成分分析などベクト量の概念を有して構造化された分析方法を選択して分析結果の意味を適切に読み解く必要性が指摘される。発明者が試行した地域デザイン面での分析では、地域の活力に就いて資源に根拠を置いた運動エネルギー要素及び地域文化に根差した気質に主導される自律的行動に基づく摂動エネルギー要素の両者が統合化された指標がコト的な切り口での地域の存在を決する事柄として把握出来ており、本発明の結果との整合性が認められる。
上記の論点の延長線上で社会単位の使い方に関する意味論からの留意点を幾つか指摘しておきたい。
1)まず本発明自体が「社会単位理論」を社会技術の側面から注視したものである。
ステム、デザイン思考エンジン、ヘリコイド・ダイナッミク、知の超体モデル、統合による分析(Analysis by Synthesis)等が挙げられる。
3)社会単位の様相を表現する言葉に関する学術上のリテラシー上で気になる点があり、感性の尺度の実体性(Actuality)、悟性の尺度の実存性(Reality)、理性の尺度の実在性(Entity)に関して国際的な水準で意味的な整合を取れていない事に留意する必要があり、例えばリアリティが日常的に使われる言葉であって意味的に混乱がみられることを考慮しないと学術的な論理自体が混乱することになり、西洋空の輸入が顕著である哲学と社会学の間にこの懸念が存在する。先行発明群及び本発明においては図式表現と合わせて定義しながら国際性を辞書が定義する英語表現とその直訳に置き換えて上記三つの意識の尺度を使い分けている。
タナトス理論が示唆する社会的な傷病への対応と課題が複雑過ぎて方向性の見えない物事や事態・事情への対応策の構想や事業戦略更には多面的な要素を有する産業構造の変革とこれを支える戦略的な政策のデザインなどについて、これらに関わる社会のトップ層のソリューション志向への決意次第の意味があるとしても、その決意自体を支える産業の基本となる「コト」に関わるデザイン思考の技術とこれに基づくシステム構築法が事理力学の役割の明確化の下で構想設計法のレベルで明確になったことで、社会をマクロに捉えて個々の知恵を集約したチーム等の社会単位を想定した上で事業や戦略を統合化する為の産業上の使用可能性が確認出来ることから、以下の様なコト的世界観や事理力学の論理への意義が確認出来る。つまり、個人と社会単位としてのチームの両面からコト的世界における知的行動が意識の持ち様に関わって来る中で、各組織のトップとこれを支える企画やコンサルタントそして構想デザイナーの役割を有する社会のリーダー層による当事者意識を有した連帯的なデザイン思考の行方には、個々の人生及び地域と国の産業や経済更には日本文明の将来への期待そして学術的な展開が掛かっている。物事の事情までを明らかにして判断や意志決定の根拠の方向性を決める根源となる事理の統一的超越場の働きの上に本発明による知の統合型構想設計法と構想譜論理をマスターすることにより、意識のトライアングルの論理を前提とした事理力学の根拠を有する意識空間の階層化理論の知見や知の超体モデルの発想を組込むことで、客観的なコト的世界観の構成法が明らかになって社会全体の在り方と統合法への理解が進み、個別に存在する様々な知見やノウハウを統合的施策のQCDを確保した形の策定に利用できる以下の多面的な産業展開の可能性が存在する。
イ)産業の基本となる価値を創出する社会技術に関して、開発技術の本質つまりポイエーシス技術の成り立ちである科学と哲学の融合によるコト的世界の知の統合の方法論の存在と論理を示すことで意識と連帯した知の重要性に視線を向ける契機を提供できると共に、技術開発の在り方の方向を定める構造化・可視化した情報が客観性を有して提供できる。
ロ)事業構想や産業構造変革及び関連する政策デザインや地域デザイン更には新しい産業と連動した統合的安全保障政策の策定等に必要な将来を見据えた構想設計の方法論の確立に拠って、未来を構築する形のソリューション型リーダーシップの発揮の根拠となるトップ層の当事者意識の表現に正当性を担保する枠組みを準備することで、物事の構想や政策デザインの事態と事情の両面からその本質を押さえた正統性の確保が可能となり、リーダー層に必要となる判断に責任と覚悟を付与できる。
ハ)人間社会に於ける消費スタイルやライフスタイルの変化と多様化を取り込んだ産業構造変革及び地方創生や地域開発に貢献するための経済活動に関る事業構想や開発戦略などの知的営為に対して、人生設計に関る人間の意識にまで踏み込んでその行動の本質を押さえた健全な適合性・有効性を組込むことで、無駄や無理な行動を避けることが可能になり目的志向の知的生産性を向上できる素地が整った。
ニ)Win-Winに向かう国際協調例えば感染症等への防疫対策とこれに関わる医療・教育・雇用・文化・芸術などへの対応策、気候変動などSDGs対応、国際市場に於ける貿易や経済摩擦の緩和、産業構造のグローバル展開のグローカルな調整など意識が大きく作用する領域において、主観的に受け取られがちな意識の働きを思考情報技術と事理情報技術の駆使によって知の超体モデルに従った行動理論を基本にした客観的な作用に転換することで、普遍性を有する価値体系に誘導する論理を構築出来る可能性と機会が高まる。
ホ)複雑系が指摘される社会システム論の隘路が超社会システム論を展開する中での意識論と知の統合論の側から社会理論化出来たので、経済産業領域のイノベーションを社会理論の側から支える社会科学領域に於ける学術発展の為の様々な社会システム論への展開が容易になると共に、経営論においても地域経営の領域に踏み込むことが可能になり地域産業の発展に資する事が期待できる。その為には産業側から学術側への要望が必要であり、学術界としては学問の自由の枠に就いて「不作為の自由」を謳歌することへの考慮が重要となる。
ヘ)本発明に組み込まれた構想力の適合性と有効性を確保しての構想結果の表現機能の増強を社会科学を中心とした学術の変革、高度化された学術の教育・人材育成、産業構造変革、市場とメディア適者性化、政策のデザインと策定など、多様な領域に転嫁して適用することにより、総合的な国際競争力を高めることが可能になると共に複雑化する国際環境の変化に統合的に対応する統合安全保障策への産業と文化の道筋を確立し万年の長きに亘り受け継いできた日本文明のこの先を未来へと引き継いでいく方法論として活用可能である。
ト)上記の社会システム分野以外に事理の統一的超越場の構造を理解して上で、社会経済活動に携わる人材を視野に入れた分野でも効用を幾つか挙げることが出来る。まず人間としての基本的能力を個人とチームの両面において意識の深層に遡って把握出来ることから、人生設計を踏まえた自主的な能力開発を核にしてリカーレント領域の体系的な生涯学習に活かして多面的な能力獲得に結び付ける方法論を展開出来る。また組織が有する人材やチーム力の知的活動に関る能力を構造的に把握可能であることから、人材育成について必要十分性を持って効果的に方法論を策定出来る。更に意識空間の階層化理論に拠って人間の知的営為を多面的に体系化出来ることから、効率の良いマネージメントの仕組みを構築出来ると共に多面的なマネージメント力の育成が可能になり経営力強化に活用できる。
チ)上記の如く社会システムの効果的な構築や人材育成への効用そして社会システムと人材やチームの連帯的な関係性の構築が望めることから、知的活動の対象となる実効的で将来性のある社会の設計図の描写が可能になり、文化(人生、地域、文明)と産業の新しい連携の形に向けたイノベーションを実現する道が拓かれる。