(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095735
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230629BHJP
H01G 4/232 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 201G
H01G4/232 B
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063621
(22)【出願日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187060
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ビョン グク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、チュン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ビーン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG28
5E082MM24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造的安定性に優れ、耐湿信頼性が向上された外部電極を有する積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、誘電体層111及び誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、本体外部に形成され、内部電極と接続された電極層141、151を含む外部電極131、132と、を含む。本体は、複数の内部電極が露出し、互いに向かい合う第1面S1及び第2面S2と、第1面及び第2面と連結され、複数の内部電極の積層方向に互いに向かい合う第3面S3及び第4面S4を含む。電極層は、第1面及び第2面をカバーする第1領域141a、151a及び第3面及び第4面をカバーし、第1領域より表面粗さが低い第2領域141b、151bを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記内部電極と接続された電極層を含む外部電極とを含み、
前記本体は、前記複数の内部電極が露出し、互いに向かい合う第1面及び第2面と、前記第1面及び第2面と連結され、前記複数の内部電極の積層方向に互いに向かい合う第3面及び第4面を含み、
前記電極層は、前記第1面及び第2面をカバーする第1領域及び、前記第3面及び第4面をカバーし、前記第1領域より表面粗さが低い第2領域を含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域は、金属粒子の凝集体を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1領域は、フレーク状粒子の凝集体を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第2領域は、球状粒子の凝集体を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1領域及び前記第2領域は、ガラス成分をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記外部電極は、前記電極層をカバーし、樹脂層と前記樹脂層内部に分散した金属粒子を含む樹脂電極層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記樹脂電極層の樹脂層は、前記電極層の表面の凹部を埋める、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第2領域は、前記本体の角をカバーする、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記本体の角は、前記第1面と前記第3面、前記第1面と前記第4面、前記第2面と前記第3面、前記第2面と前記第4面が連結される領域である、請求項8に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第2領域において前記本体の角をカバーする領域の厚さは、前記第1領域の最小厚さと同一であるか小さい、請求項8に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第1領域の最大厚さは、前記第2領域の最大厚さより厚い、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第1領域は、前記第2領域より空隙密度がさらに高い、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記第1領域及び前記第2領域の空隙密度は、前記複数の内部電極の積層方向に切った断面において空隙が存在する面積の割合である、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第1領域は、前記第2領域の端部のうち一部をカバーするように延長された形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは、電気を貯蔵することができる素子であって、基本的に2個の電極を対向させて電圧をかけると各電極に電気が蓄積されるものである。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されながらキャパシタ内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交番しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
かかるキャパシタは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシタ、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシタ、電極の間にチタン酸バリウムのような高誘電率の誘電体を使用するセラミックキャパシタ、電極の間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシタ(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシタなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシタは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型で実現可能であるという長所を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。近年、積層セラミックキャパシタをさらに小さく実現するために、誘電体層、内部電極、外部電極を薄く形成する試みが続けられている。また、水分やめっき液などがキャパシタ内部に浸透して不良が発生するという問題を減らして、耐湿信頼性を向上させようとする試みが多く行われている。しかし、一つの方法としてキャパシタ本体のカバー層や外部電極を厚く形成する場合、部品の大きさが大きくなり、同一の大きさで静電容量が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、構造的安定性に優れ、耐湿信頼性が向上された外部電極を有する積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例によって積層型キャパシタの新たな構造を提案する。具体的に、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体外部に形成され、上記内部電極と接続された電極層を含む外部電極とを含み、上記本体は、上記複数の内部電極が露出し、互いに向かい合う第1面及び第2面と、上記第1面及び第2面と連結され、上記複数の内部電極の積層方向に互いに向かい合う第3面及び第4面を含み、上記電極層は、上記第1面及び第2面をカバーする第1領域及び、上記第3面及び第4面をカバーし、上記第1領域より表面粗さが低い第2領域を含む構造である。
【0007】
一実施形態において、上記第1領域及び第2領域は、金属粒子の凝集体を含むことができる。
【0008】
一実施形態において、上記第1領域は、フレーク状粒子の凝集体を含むことができる。
【0009】
一実施形態において、上記第2領域は、球状粒子の凝集体を含むことができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1領域及び第2領域は、ガラス成分をさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、上記外部電極は、上記電極層をカバーし、樹脂層と上記樹脂層内部に分散した金属粒子を含む樹脂電極層をさらに含むことができる。
【0012】
一実施形態において、上記樹脂電極層の樹脂層は、上記電極層表面の凹部を埋めることができる。
【0013】
一実施形態において、上記第2領域は、上記本体の角をカバーすることができる。
【0014】
一実施形態において、上記本体の角は、上記第1面と上記第3面、上記第1面と上記第4面、上記第2面と上記第3面、上記第2面と上記第4面が連結される領域であることができる。
【0015】
一実施形態において、上記第2領域において上記本体の角をカバーする領域の厚さは、上記第1領域の最小厚さと同一であるか小さいことができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1領域の最大厚さは、上記第2領域の最大厚さより厚いことができる。
【0017】
一実施形態において、上記第1領域は、上記第2領域より空隙密度がさらに高いことができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1領域及び第2領域の空隙密度は、上記複数の内部電極の積層方向に切った断面において空隙が存在する面積の割合であることができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1領域は、上記第2領域の端部のうち一部をカバーするように延長された形態であることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一例による積層型キャパシタの場合、外部電極の小型化、厚さ均一性などの特性のうち少なくとも一つの特性が向上されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の積層型キャパシタにおいて、I-I'線に沿った断面図の一例を示したものである。
【
図3】
図1の積層型キャパシタにおいて、II-II'線に沿った断面図の一例を示したものである。
【
図4】外部電極のうち電極層の一領域を拡大して示した概略的な断面図である。
【
図5】外部電極のうち電極層の一領域を拡大して示した概略的な断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による外部電極を製造する例のうち一部を示した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による外部電極を製造する例のうち一部を示した断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による外部電極を製造する例のうち一部を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0023】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図である。
図2は、
図1の積層型キャパシタにおいて、I-I'線に沿った断面図の一例を示し、
図3は、
図1の積層型キャパシタにおいて、II-II'線に沿った断面図の一例を示したものである。
図4及び
図5は、外部電極のうち電極層の一領域を拡大して示した概略的な断面図である。
【0025】
図1~3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、誘電体層111及びこれを挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110及び外部電極131、132を含み、外部電極131、132は、第1領域141a、151a及び第2領域141b、151bを含む電極層141、151を含む。ここで、電極層141、151の場合、第1領域141a、151aより第2領域141b、151bの表面粗さが低い。
【0026】
本体110は、複数の誘電体層111が第1方向(X方向)に積層された積層構造を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られることができる。かかる焼結工程により複数の誘電体層111は一体化された形態を有することができ、複数のグレインを含むことができる。そして、
図1に示した形態のように、本体110は、直方体と類似した形状を有することができる。本体110に含まれた誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、BT系、すなわち、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られた他の物質も使用可能である。誘電体層111には、主成分であるかかるセラミック材料と共に、必要な場合、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで添加剤の場合、これらは製造過程で金属酸化物形態で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤の例として、MnO
2、Dy
2O
3、BaO、MgO、Al
2O
3、SiO
2、Cr
2O
3及びCaCO
3のうち少なくとも一つの物質を含むことができる。
【0027】
一方、図示の形態のように、本体110は、複数の内部電極121、122が露出し、互いに向かい合う第1面S1及び第2面S2を含み、また、複数の内部電極121、122の積層方向(X方向)に互いに向かい合う第3面S3及び第4面S4を含むが、電極層141、151の第1領域141a、151aは、本体110の第1面S1及び第3面S3をカバーし、第2領域141b、151bは、本体110の第3面S3及び第4面S4をカバーする。
【0028】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属(例えば、Ni、Ag、Cu、Ti、Pdなど)を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られることができる。この場合、複数の内部電極121、122は、本体110の互いに対向する方向に露出した第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、互いに異なる外部電極131、132と連結され、駆動時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は、実施形態によって変わることができる。
【0029】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成され、内部電極121、122と接続された電極層141、142を含む。この場合、外部電極131、132は、第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ接続されることができる。そして、第1外部電極131及び第2外部電極132は、それぞれ第1電極層141及び第2151を含む。以下では、第1電極層141及び第2電極層151を電極層141、151と称する。外部電極131、132は、電極層141、151の他にも電極層141、151をカバーする樹脂電極層142、152をさらに含むことができ、さらに、樹脂電極層142、152をカバーするめっき層143、153をさらに含むこともできる。
【0030】
本実施形態において、電極層141、151は、位置によって分離された第1領域141a、151aと第2領域141b、151bとを含む。図示のように、第1領域141a、151aは、本体110の第1面S1及び第3面S3をカバーし、第2領域141b、151bは、本体110の第3面S3及び第4面S4をカバーするが、第1領域141a、151aより第2領域141b、151bの表面粗さが低い。このように電極層141、151が領域によって表面粗さが異なる構造を有することにより、耐湿信頼性を確保しながらも電極層141、151の構造的安定性が向上されることができる。具体的に、本体110の第1面S1及び第2面S2をカバーする第1領域141a、151aの場合、比較的広い領域で樹脂電極層142、152と接触するが、高い表面粗さを有することで樹脂電極層142、152と結合力が向上されることができ、これにより外部電極141、151の耐久性が向上されることができる。これについて
図4を参照して具体的に説明する。
図4の場合、第1電極層141に含まれた第1領域141aのみを示しているが、第2電極層151の第1領域151aにも同一の説明が適用されることができる。
【0031】
電極層141、151に含まれた第1領域141a、151a及び第2領域141b、151bは、それぞれ金属粒子の凝集体を含むことができ、その他に第1領域141a、151a及び第2領域141b、151bはガラス成分Gをさらに含むことができる。
図4に示された形態のように、第1領域141a、151aは、フレーク状粒子161の凝集体を含むことができ、これから高い表面粗さを有するように形成されることができる。
図4は、フレーク状粒子161が独立した形態を維持しながら互いに接している形態を示しているが、電極層141、151の焼成過程で凝集体が形成される場合、フレーク状粒子161間の境界は明確でないこともある。フレーク状粒子161は、長軸と短軸の長さが異なる形状を有し、この場合、上記長軸の長さは短軸の2倍以上であることができる。そして、フレーク状粒子161において、長軸と短軸は複数の内部電極121、122が積層された方向に切った断面で取ったイメージを通じて得られることができ、粒子の長さが最も長い方向を長軸と、これに垂直な方向を短軸と定義することができる。この場合、上記断面は、複数の領域で切った断面であることができ、等間隔で取られることができる。第1領域141a、151aは、金属成分の充填量を増やすためにフレーク状粒子161の他に球状粒子162をさらに含むことができ、球状粒子162は、長軸と短軸の長さが実質的に同一の場合だけでなく、長さの差が10%内の粒子と定義されることができる。
【0032】
樹脂電極層142、152は、樹脂層171とその内部に分散した金属粒子172とを含み、金属粒子172は、全体的に凝集体をなすことができる。図示の形態のように、電極層141、151の表面、さらに具体的な例として、第1領域141a、151aの凹部Rを埋めることができる。かかる構造を有することにより、電極層141、151と樹脂電極層142、152との間の結合力が向上されることができ、外部電極131、132の浮き不良などが効果的に低減されることができる。
【0033】
上述したように、第2領域141b、151bは、第1領域141a、151aより表面粗さが低い。そのため、
図5に示した形態のように、第2領域141b、151bは球状の粒子163を含むことができ、さらに、これらの粒子163の凝集体を含むことができる。第1領域141a、151aに含まれた球状粒子162と同様に、球状粒子163は、長軸と短軸の長さが実質的に同一の場合だけでなく、長さの差が10%内である粒子と定義されることができる。第1領域141a、151aと第2領域141b、151bの表面粗さはRaであることができ、サンプリングされた領域(例えば、5*5μm
2)に対してAFM(Atomic Force Microscopy)で測定することができる。第2領域141b、151bは、相対的に低い表面粗さを有することに対し、本体110の表面をカバーする程度を表すカバレージ(coverage)は相対的に高いため、耐湿特性に優れることができる。このように、本実施形態では、電極層141、151と外部電極131、132の残りの層、例えば樹脂電極層142、152の高い結合力が必要な第1領域141a、151aでは表面粗さを相対的に高くし、耐湿信頼性が必要な第2領域141b、151bでは表面粗さを相対的に低くしたことから外部電極131、132の全体でこのような二つの特性がいずれも改善されることができた。
【0034】
このように表面粗さが相対的に低くカバレージに優れた第2領域141b、151bは、本体110の角をカバーすることができる。この場合、本体110の角は、第1面S1と第3面S2、第1面S1と第4面S4、第2面S2と第3面S3、第2面S2と第4面S4が連結される領域と定義されることができる。本体110における角領域は、湿気やめっき液などにより脆弱な面があるが、カバレージに優れた第2領域141b、151bを本体110の角に形成する場合、湿気やめっき液などが本体110に浸透することを効果的に低減することができる。そして、導電性ペーストを塗布する工程において、第2領域141b、151bで本体110の角をカバーする領域は相対的に薄い厚さを有することができるが、具体的に、第2領域141b、151bで本体110の角をカバーする領域の厚さは、第1領域141a、151aの最小厚さと同一であるか小さいことができる。また、図示の形態のように、第1領域141a、151aの最大厚さは、第2領域141b、151bの最大厚さより厚いことができる。この場合、第1領域141a、151aと第2領域141b、151bの厚さは、複数の内部電極121、122の積層方向(X方向)に切った断面で取ったイメージで測定されることができる。
【0035】
図4及び
図5を共に参照すると、第1領域141a、151aは、第2領域141b、151bより空隙密度がさらに高いことができる。この場合、第1領域141a、151a及び第2領域141b、151bの空隙密度は、複数の内部電極121、122の積層方向(X方向)に切った断面で取ったイメージにおいて空隙V1、V2が存在する面積の割合であることができる。即ち、断面を基準として第1領域141a、151aにおいて空隙V
1が占める面積は、第2領域141b、151bにおいて空隙V
2が占める面積より大きいことができるが、これは上述したように第1領域141a、151aにおいてフレーク状粒子161を用いることで得られる形態である。
図4及び
図5では、第1領域141a、151aの空隙V
1と第2領域141b、151bの空隙V
2内の全ての領域がガラスGで充填された形態を示しているが、空隙V
1、V
2の一部は、ガラスGで充填されず空いていることもある。
【0036】
一方、電極層141、151に含まれた金属粒子161、162、163は、導電性の高い金属、例えば、Cu、Ni、Ag、Pt、Alなどの金属やこれらの合金で形成されることができる。そして、電極層141、151に含まれたガラスGの場合、反応性、緻密性、耐めっき性などの特性に優れた物質で形成されることができ、例えば、Ba-Zn系ガラス、Dy-Zr系ガラスなどを用いることができ、その他にB、Si成分を含有するガラスも用いることができる。
【0037】
外部電極131、132の残りの構成として、めっき層143、153はNi、Sn、Au、Ptなどを含むことができ、例えば、Ni/Snのような多層構造で実現されることもできる。本実施形態のように、めっき層143、153の形成時に電極層141、151の第2領域141b、151bはめっき液が本体110側に浸透することを効果的に遮断することができる。
【0038】
図6~8を参照して本発明の一実施形態による外部電極を製造する例を説明する。製造方法に対する説明により、上述した外部電極、特に、電極層の構造的特徴がさらによく表れることができる。先ず、
図6を参照すると、本体110の表面のうち第3面S3及び第4面S4に金属粒子163とガラスGなどを含む導電性ペーストを塗布し、これから電極層141、151で第2領域141b、151bが得られることができる。ここで金属粒子163は、上述したように球状金属粒子163を含むことができる。そして、第2領域141b、151bを形成するための導電性ペーストは、本体110の角までカバーすることができる。以後、
図7に示すように、第1領域141a、151aを形成するために金属粒子161、162とガラスGを含む導電性ペーストを本体110の表面のうち第1面S1及び第2面S2に塗布し、第2面S2に対する図示は省略した。そして、
図8は、第2領域141b、151bまで焼成された状態の電極層141、151を示す。この場合、第1領域141a、151aを形成するための導電性ペーストを塗布する前に第2領域141b、151bを形成するための導電性ペーストを焼成して第2領域141b、151bを形成してもよく、但し図示のものと異なり、第1領域141a、151aを形成するための導電性ペーストと第2領域141b、151bを形成するための導電性ペーストが一度で焼成されてもよい。上述したように、表面粗さが高くなるように、第1領域141a、151aを形成するための導電性ペーストはフレーク状粒子161を含むことができ、さらに球状粒子162を含むこともできる。そして図示の形態のように、第1領域141a、151aは、第2領域141b、151bの端部のうち一部をカバーするように延長された形態で実現されることができ、これから本体110の角がさらに効果的に保護されることができる。
【0039】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者には自明なことであり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0040】
100:積層型キャパシタ
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
131、132:外部電極
141、151:電極層
141a、151a:第1領域
141b、151b:第2領域
142、152:樹脂電極層
143、153:めっき層
161:フレーク状粒子
162、163:球状粒子