(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095737
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230629BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/224 100
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066050
(22)【出願日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187059
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オー、ウォン クエン
(72)【発明者】
【氏名】イェオン、ギュ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、セオ ウォン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AG01
5E001AH01
5E001AH03
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082PP09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電極が複数層で形成され、内層にCuを含む場合、外表面にCuが露出し酸化する現象を抑制する積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層111及び誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1、第2内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1、第2面、第1、第2面と連結され、第2方向に対向する第3、第4面、第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5、第6面を含む本110体と、本体の第3面又は第4面に配置される外部電極130、140と、を含む。外部電極は、内部電極と連結され、銅(Cu)を含む第1電極層131、141、第1電極層上に配置され、銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上をさらに含む第2電極層132、142及び第2電極層上に配置され、銀(Ag)を含む第3電極層133、143を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、
前記本体の前記第3または第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記内部電極と連結され、銅(Cu)を含む第1電極層、
前記第1電極層上に配置され、銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上をさらに含む第2電極層、及び
前記第2電極層上に配置され、銀(Ag)を含む第3電極層を含み、
前記第3電極層の平均厚さは3μm以上15μm以下である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第2電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第3電極層はガラスをさらに含み、
前記ガラスを除いた前記第3電極層を構成する元素の総モル数に対する銀(Ag)元素のモル数は0.95以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第3電極層はガラスを含まず、
前記第3電極層を構成する元素の総モル数に対する銀(Ag)元素のモル数は0.95以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記積層型電子部品の外表面に配置されたフルオリン(F)及びシリコン(Si)のうち一つ以上を含むコーティング層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記コーティング層はシリコーン(Si)を含む高分子化合物を含み、前記シリコーン(Si)を含む高分子化合物はシラン系化合物である、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記コーティング層はシリコン(Si)を含み、前記コーティング層のシリコン(Si)含有量は前記コーティング層の総重量に対して80wt%以上である、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第3電極層の外表面はCuを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1電極層は、前記第3面または前記第4面に配置される接続部及び前記接続部から前記第1面または第2面の一部まで延長するバンド部を含み、
前記第2及び第3電極層は、前記接続部上に配置され、前記バンド部の全部を覆うように前記バンド部上に延長して配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記接続部上に配置された前記第3電極層の平均厚さが前記バンド部上に配置された前記第3電極層の平均厚さよりも大きい、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第2電極層はNiを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第3電極層上にめっき層が配置されない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながらも高容量が保障されるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業に用いられる重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなどの各種電気、電子、情報通信機器に用いられる核心受動素子である。
【0003】
従来には、積層セラミックキャパシタを基板などに実装するために、積層セラミックキャパシタの外部電極は、電極層上に形成されためっき層を含んでいた。但し、高温環境により実装時に基板の反り及びめっき層に含まれるスズ(Sn)の酸化が原因ではんだクラックが発生したり、接触抵抗が増加するという問題が発生した。
【0004】
このような問題点を解決するために、銅(Cu)を含む第1電極層と、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)を含む電極から形成された第2電極層を含む外部電極構造が用いられており、このような外部電極を用いる場合、スズはんだ付けの代わりに銀エポキシ(Ag epoxy)を導電性接着剤(Conductive glue)として用いて積層セラミックキャパシタを基板に実装することができる。
【0005】
但し、このような外部電極構造の場合、銅が外部電極表面に露出して高温、高湿環境で酸化し、基板に積層型電子部品が実装された状態で接着力が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の一つは、外部電極をなす第1電極層がCuを含み、第2電極層がAg及びPdを含む場合、第2電極層の外表面にCuが露出及び酸化する現象を抑制するためである。
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、第2電極層の外表面にCuが露出して酸化する現象を抑制するためにAgからなる第3電極層を形成する場合、イオンマイグレーション(Migration)が発生する問題点を解決するためである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記本体の上記第3または第4面に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結され、銅(Cu)を含む第1電極層、上記第1電極層上に配置され、銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上をさらに含む第2電極層、及び上記第2電極層上に配置され、銀(Ag)を含む第3電極層を含み、上記第3電極層の平均厚さは3μm以上15μm以下であることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一つは、Ag及びPdを含む第2電極層の表面にAgからなる電極層を形成して外部電極表面のCuの酸化を抑制することにより、基板との接着力を向上させることである。
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、第2電極層の外表面に配置されたAgからなる第3電極層の厚さを調節してCuの酸化を抑制し、高容量設計を容易にすることである。
【0012】
本発明の様々な目的の一つは、第2電極層の表面にAgからなる第3電極層を配置する場合に発生する可能性があるイオンマイグレーション(Migration)を抑制することである。
【0013】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図5】
図4のII-II'線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0016】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面において示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意で示したため、本発明が必ずしも図示によって限定されるものではない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0019】
以下、
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について説明する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記本体の上記第3または第4面に配置される外部電極130、140と、を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結され、銅(Cu)を含む第1電極層131、141、上記第1電極層上に配置され、銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上をさらに含む第2電極層132、142、及び上記第2電極層上に配置され、銀(Ag)を含む第3電極層133、143を含み、上記第3電極層の平均厚さは3μm以上15μm以下であることができる。
【0021】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0022】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有した六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0023】
本体110は、第1方向(厚さ方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向(長さ方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向(幅方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0024】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0025】
本発明の一実施形態に係ると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられる。
【0026】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0027】
本体110は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部、上記容量形成部の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0028】
上記容量形成部は、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0029】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同一材料を含むことができる。
【0031】
内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。
【0032】
内部電極121、122は、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0033】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0034】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極130が配置され、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極140が配置され、第2内部電極122と連結されることができる。
【0035】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極140とは連結されず、第1外部電極130と連結され、第2内部電極122は第1外部電極130とは連結されず、第2外部電極140と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成される。
【0036】
第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0037】
図3を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と第2内部電極122が印刷された誘電体層111を厚さ方向(第1方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0038】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。
【0039】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0040】
外部電極130、140は本体110に配置され、第1電極層131、141、第2電極層132、142、及び第3電極層133、143を含むことができる。
【0041】
外部電極130、140は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極130、140を含むことができる。
【0042】
すなわち、第1及び第2外部電極130、140は、それぞれ第1電極層131、141、第2電極層132、142及び第3電極層133、143を含むことができる。
【0043】
本発明の一実施形態に係る第1電極層131、141は銅(Cu)を含むことができ、本体110と外部電極130、140を機械的に結合させる役割を果たし、内部電極と外部電極を電気的に連結させる役割を果たす。
【0044】
第1電極層131、141が銅(Cu)を含む場合、後述する第2電極層のパラジウム(Pd)と相互拡散を介して接触してCu-Pd合金または金属間化合物(IMC、Intermetallic Compound)を形成することができ、第1電極層131、141と第2電極層132、142との間の接着力を向上させることができる。また、銅(Cu)は、ニッケル(Ni)を含む内部電極121、122の方向に容易に拡散してCu-Ni合金を形成するため、内部電極121、122と第1電極層131、141との間の結合力を向上させることができ、電気的連結性が向上してESRを減少させることができる。
【0045】
上記第1電極層131、141は、本体110の第2方向の一面を介して交互に露出した第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接触して直接的に連結されることにより、第1及び第2外部電極130、140と第1及び第2内部電極121、122との間の電気的導通を確保する。
【0046】
一方、第1電極層131a、132aの厚さは特に制限する必要はないが、積層型電子部品100の機械的強度を維持し、電気的連結性を確保するために一定厚さで形成されることができる。
【0047】
このとき、第1電極層131、141は、本体110の第3及び第4面3、4から本体110の第1及び第2面1、2の一部までそれぞれ延長するように形成されることができる。したがって、第1電極層131、141は、本体110の第3及び第4面3、4上に配置される接続部131a、141a、及び上記接続部から本体110の第1及び第2面1、2上の一部まで延長するバンド部131b、141bを含むことができる。
【0048】
また、第1電極層131、141は、本体110の第5及び第6面5、6の一部までそれぞれ延長するように形成されることができる。したがって、第1電極層131、141は、上記接続部から本体110の第5及び第6面上の一部まで延長する側面バンド部を含むことができる。
【0049】
上記第1電極層131、141は、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを本体110の表面に塗布した後に焼成したり、本体110の表面に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されることができるが、これに制限されるものではなく、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて形成されることもできる。
【0050】
第2電極層132、142は、上記第1電極層上に配置され、銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上の貴金属を含むことができる。
【0051】
上記第2電極層132、142は、第1電極層131、141と電気的に連結され、外部電極130、140上に銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含む導電性接着剤を塗布して積層型電子部品100がスズ(Sn)を含むはんだ付けなしに基板に実装できるようにする。これにより、実装時の基板の反りを防止し、低温での実装が可能であり、積層型電子部品100の安定性を確保することができる。
【0052】
第2電極層132、142は、銀(Ag)を含む導電性接着剤と結合する必要があるため、銀(Ag)を含むことができる。しかしながら、第2電極層の銀(Ag)含有量が増加したり、銀(Ag)単独で用いられる場合、高温環境でイオンマイグレーション現象が発生することがある。これにより、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の第2電極層は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上の貴金属をさらに含むことで高温環境でのイオンマイグレーションが発生する現象を抑制することができる。
【0053】
したがって、一実施形態において、第2電極層132、142は銅(Cu)、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)を含むことができ、パラジウム(Pd)は白金(Pt)または金(Au)に代替されることができる。
【0054】
第2電極層132、142はガラスをさらに含むことができる。ガラスはペーストを塗布及び焼成して第2電極層132、142を形成する際に、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)金属の焼結速度を制御し、基板との接着性を確保する役割を果たすことができる。
【0055】
ガラス成分は、酸化物が混合された組成であることができ、特に制限されるものではないが、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土金属酸化物からなる群から選択された一つ以上であることができる。上記遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)からなる群から選択され、上記アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)からなる群から選択され、上記アルカリ土金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0056】
一方、上記第2電極層132、142に含まれる銅(Cu)は、第2電極層を形成する際に含まれる導電性ペーストに銅を含むことによって形成されたものであることができ、銀(Ag)及びパラジウム(Pd)を含ませる導電性ペーストを上記銅(Cu)を含む第1電極層131、141上に塗布した後に焼成する過程で、上記第1電極層131、141から第2電極層132、142に拡散して形成されたものであることができる。
【0057】
第2電極層132、142は銅(Cu)及び銀(Ag)を含み、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及び金(Au)のうち一つ以上の貴金属を含んでいるため、第2電極層が銀(Ag)のみで構成された場合よりも第1及び第2電極層131、141、132、142に含まれた銅(Cu)が第2電極層の外表面に拡散する程度が大きい。これにより、第1及び第2電極層に含まれた銅(Cu)が第2電極層132、142の外表面に露出することができる。
【0058】
銅(Cu)が第2電極層132、142の外表面に露出する場合、高温高湿環境で酸化しやすく、第2電極層の外表面は銅(Cu)を含む酸化物を含むことができる。これにより、銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含む導電性接着剤を用いて積層型電子部品100を基板に実装する場合、固着強度が弱くなるという問題点が発生する可能性がある。
【0059】
したがって、第2電極層132、142の外表面に銅(Cu)が露出して酸化する現象を防ぐための外部電極130、140構造が必要である。
【0060】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の外部電極130、140は、第2電極層132、142上に配置され、銀(Ag)を含む第3電極層133、143を含むことができる。
【0061】
上記第3電極層133、143は銀(Ag)を含むことにより、外部電極130、140の外表面に銅(Cu)が露出して酸化することを抑制することができる。
【0062】
しかしながら、第3電極層133、143が単に銀(Ag)を含むとして、外部電極130、140の外表面に銅(Cu)が露出することが防止できることではない。
【0063】
第3電極層133、143の平均厚さが3μm未満である場合、第2電極層132、142を介して第3電極層133、143の外表面に銅が拡散して外部に露出することができ、これによって、外部電極130、140の外表面に銅を含む酸化物が形成されて固着強度が弱くなるという問題点が依然として発生することがある。また、外部電極130、140の外表面に銅を含む酸化物が形成される場合、電気的連結性が低下して等価直列抵抗(ESR、Equivalent Series Resistance)が増加するという問題点が発生することがある。
【0064】
よって、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の第3電極層133、143の平均厚さを3μm以上とすることにより、第1及び第2電極層131、141、132、142で銅が拡散しても第3電極層133、143の外表面に露出することを防止して、外部電極130、140の外表面に銅を含む酸化物が形成され、積層型電子部品100の固着強度が弱くなることを抑制し、電気的連結性を確保してESRが増加する現象を抑制することができる。
【0065】
一方、第3電極層133、143の平均厚さの上限は特に制限されない。但し、第3電極層133、143の平均厚さが15μmを超過する場合、外部電極130、140が積層型電子部品100で占める体積が増加するようになって、本体110に含まれる容量形成部を増加させ難いという問題が発生する可能性がある。すなわち、積層型電子部品100の高容量設計が困難な問題が発生する可能性がある。
【0066】
したがって、本発明の一実施形態によると、第3電極層133、143の平均厚さを3μm以上15μm以下に調節することにより、高容量設計が容易であり、積層型電子部品100の固着強度を向上させ、優れたESR特性を確保することができ、外部電極130、140を薄層化して積層型電子部品100を小型化することができる。
【0067】
一方、第3電極層133、143の平均厚さが3μm以上である場合、銅が外部電極130、140の外表面に露出する現象を防止することができる。これによって、一実施形態において、第3電極層133、143の外表面や外部電極130、140の外表面は、銅(Cu)を含まないことができる。
【0068】
第3電極層133、143の平均厚さは、本体110の第3または第4面上に配置された第3電極層上の等間隔の5つの地点で測定した第2方向の大きさの平均値であることができる。
【0069】
一方、接続部131a、141a上に配置された第3電極層133、143の平均厚さtcと、バンド部131b、141b上に配置された第3電極層133、143の平均厚さtbは、第3電極層133、143を形成する方法と積層型電子部品100の目的によって差異がある可能性がある。
【0070】
一実施形態において、上記接続部131a、141a上に配置された上記第3電極層133、143の平均厚さtcは、上記バンド部131b、141b上に配置された上記第3電極層133、143の平均厚さtbよりも大きいことができる。
【0071】
これにより、外部電極130、140の第1方向の大きさを小さくしながらも外部電極130、140と接触する銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含む導電性接着剤との接触面積を増加させて積層型電子部品100が基板に実装される場合、固着強度を向上させることができる。
【0072】
このとき、上記接続部131a、141a上に配置された上記第3電極層133、143の平均厚さtcは、本体110の第3または第4面3、4上に配置された第3電極層133、143上の等間隔の5つの地点で測定した第2方向の大きさの平均値であることができ、上記バンド部131b、141b上に配置された上記第3電極層133、143の平均厚さtbは、本体110の第1または第2面1、2上に配置された第3電極層133、143上の等間隔の5つの地点で測定した第1方向の大きさの平均値であることができる。
【0073】
一方、第1~第3電極層は、積層型電子部品100を第1及び第2方向(長さ-厚さ)に切断して外部電極130、140が形成された領域をSEM-EDS(Scanning Electron Microscopy-Energy Dispersive Spectrometer)を用いて成分分析によって区別されることができる。具体的な例として、金属成分として、Pd、Pt、Auなどの貴金属を含まず、Cuを含む層を第1電極層131、141、Cu及びAgを含み、Pd、Pt、Auなどの貴金属をさらに含む層を第2電極層132、142、他の金属成分なしにAg成分のみを含む層を第3電極層133、143に区分することができる。
【0074】
銀(Ag)を含む第3電極層133、143を第2電極層132、142上に形成する方法は特に制限されない。
【0075】
例えば、第3電極層133、143は、銀(Ag)を含む導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを第2電極層132、142上に塗布した後、焼成して形成されることができる。この場合、焼成後の第3電極層133、143は、ガラスをさらに含むことができる。
【0076】
このとき、上記ガラスを除いた第3電極層を構成する元素の総モル数に対する銀(Ag)元素のモル数は0.95以上であることができる。すなわち、第3電極層133、143は、不純物及びガラスを除くと、実質的に銀(Ag)からなることができる。これにより、外部電極130、140の表面に銅が露出して酸化する現象をさらに抑制することができる。
【0077】
また、第3電極層133、143は、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて形成されることもできる。この場合、第3電極層133、143はガラスを含まないことができる。
【0078】
このとき、第3電極層を構成する元素の総モル数に対する銀(Ag)元素のモル数は0.95以上であることができる。すなわち、第3電極層133、143は、不純物を除くと実質的に銀(Ag)からなることができる。これにより、外部電極130、140の表面に銅が露出して酸化する現象をさらに抑制することができる。
【0079】
一実施形態において、第2及び第3電極層132、142、133、143は、上記接続部131a、141a上に配置されて、上記バンド部131b、141bの全部を覆うように上記バンド部上に延長して配置されることができる。これによって、積層型電子部品100の密閉性を向上させることができ、銀(Ag)を含む第3電極層133、143がバンド部上にも配置されるため、バンド部上に拡散する銅が外部電極130、140の表面に露出して酸化する現象を抑制することができる。このとき、第2及び第3電極層132、142、133、143は、上記バンド部131b、141bを覆うのみならず、本体110の第1及び第2面の一部を覆うように配置されることができる。
【0080】
第3電極層133、143上にはめっき層が配置されることができるが、上記めっき層は本発明の必須構成要素ではない。すなわち、第3電極層は、銀(Ag)を含み、基板に実装される場合にも、銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含む導電性接着剤によって実装されるため、追加的なめっき層なしにも優れた固着強度を確保することができる。
【0081】
一実施形態によると、第3電極層133、143上にはめっき層が配置されないことができる。すなわち、第3電極層133、143は、外部電極130、140の最外層であることができる。これにより、積層型電子部品100を小型化しながらも優れた固着強度を確保することができる。
【0082】
従来、Snを含むはんだを用いて基板に実装される積層型電子部品の場合、上記はんだと積層型電子部品との熱膨張率の差異によってはんだクラックが発生する問題が発生することがある。
【0083】
一実施形態において、第3電極層133、143が導電性接着剤と接触して積層型電子部品100が基板に実装されることができる。
【0084】
導電性接着剤は銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含むことができる。上記エポキシ樹脂は、接着力を付与することができる他の樹脂に代替されることができる。
【0085】
第3電極層は銀(Ag)を含み、導電性接着剤も銀(Ag)を含むため、スズ(Sn)を含むはんだを介して積層型電子部品を基板に実装する場合よりも比較的低い温度で積層型電子部品を基板に実装することができる。これにより、高温-低温Cycleで外部電極と導電性接着剤との間の熱膨張率の差異によってクラックが発生する現象を抑制することができる。
【0086】
図4は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100'を概略的に示した斜視図であり、
図5は、
図4のII-II'線に沿った断面図である。
【0087】
以下では、
図4及び
図5を参照して本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100'について説明するが、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100と重複する説明は省略する。
【0088】
外部電極130、140の最外層をなす第3電極層133、143が銀(Ag)を含むか、実質的に銀(Ag)からなる場合、高温環境でイオンマイグレーション現象が発生して外部電極130、140間の短絡が発生したり、基板に実装されて隣接する他の電子部品と短絡が発生することがある。
【0089】
これによって、本発明の一実施形態においては、積層型電子部品100の外表面に配置されたフルオリン(F)及びシリコン(Si)のうち一つ以上を含むコーティング層150を含むことにより、イオンマイグレーション効果を効果的に抑制することができる。
【0090】
一実施形態において、上記コーティング層150はシリコーン(Si)を含む高分子化合物を含むことができ、上記シリコーン(Si)を含む高分子化合物はシラン系化合物であることができ、シランカップリング剤(Silane coupling agent)であることができる。
【0091】
さらに具体的には、上記シランカップリング剤は、1個の分子中に反応性が互いに異なる2個の作用基(官能基、functional group)、すなわち、親水性基及び疎水性基を有する物質になることができ、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane;GPTMS)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-glycidoxypropyltriethoxysilane;GPTES)、ビニルトリエトキシシラン(Vinyltriethoxsilane)、アミノプロピルトリメトキシシラン(Aminopropyltrimethoxysilane;APTMS)などが主に用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。これらのシランカップリング剤は、単独または2種以上混合されて用いられることもできる。
【0092】
上記シランカップリング剤を含むコーティング層を積層型電子部品の外表面に配置する場合、水分の浸透を防止して、耐湿信頼性を向上させることができるのみならず、外部電極130、140のうち正極が溶解されることを抑制することができ、負極にデンドライト(dendrite)が形成されることを抑制することができる。
【0093】
但し、コーティング層150を構成する成分はこれに制限されるものではなく、コーティング層150に含まれ得る成分としては、フルオリン(F)を含む高分子、酸化物及び炭化物のいずれか一つ以上になることができ、シリコン(Si)を含む高分子、酸化物及び炭化物のいずれか一つ以上になることができる。
【0094】
一方、コーティング層150の厚さは特に限定されない。但し、外部電極130、140は、銀(Ag)及びエポキシ樹脂を含む導電性接着剤を介して基板と接着する必要があるため、外部電極と導電性接着剤が接着できるように十分に薄い厚さで形成されることができる。但し、コーティング層150の厚さが薄くなる場合、イオンマイグレーションの発生を抑制する効果が足りないことがある。
【0095】
一実施形態において、コーティング層150はシリコン(Si)を含み、上記コーティング層のシリコン(Si)含有量は上記コーティング層の総重量に対して80wt%以上であることができる。これにより、第3電極層131、143が銀(Ag)を含むか、実質的に銀(Ag)からなる場合、コーティング層150の厚さが薄く形成されてもイオンマイグレーションの発生を効果的に抑制することができる。
【0096】
コーティング層150に含まれるシリコン(Si)の含有量は、積層型電子部品を幅方向の中央部で切断した長さ-厚さ方向の断面において、本体110の第1面または第2面の5つの任意の領域(5μm×5μm)でSEM-EDSを用いた成分分析を介して算出した値の平均値であることができる。
【0097】
一実施形態において、上記コーティング層150が導電性接着剤と接触して積層型電子部品100'が基板に実装されることができる。
【0098】
この場合、導電性接着剤に含まれる銀(Ag)は、上記コーティング層を浸透して第3電極層133、143と接触して電気的導通を確保することができ、導電性接着剤に含まれるエポキシ樹脂はコーティング層150との結合により固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0099】
(実施例)
下記表1は、第3電極層の平均厚さによる表面Cu露出有無、Temperature cycle後のESR特性、Temperature cycle後の固着強度及び単位体積当たりの容量を測定して評価したものである。
【0100】
具体的には、Cuの表面露出有無は、各試験番号当たり積層型電子部品サンプル100個に対して第3電極層の外表面の任意の領域を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて1万倍の倍率で観察したイメージをEDSを用いて分析した時、一つ以上のサンプルからCu成分が測定された場合をNG、どのサンプルからもCu成分が測定されなかった場合をOKと評価した。
【0101】
また、目視でサンプルにおいて突起が観察された場合にはCuが露出したと判断し、突起が観察されなかった場合にはCuが露出していないと判断することができる。
【0102】
ESR特性は、各試験番号当たり積層型電子部品サンプル100個に対して-55℃~+125℃(Min./Max.temperatureで各30min維持)のtemperature cycle後、周波数500kHZ、実効電圧1kVの交流電圧でESRの平均値を測定した。
【0103】
この後、ESRの平均値に対して50mΩを超過する場合をNG、50mΩ以下である場合をOKと評価した。
【0104】
固着強度は各試験番号当たり基板に実装された積層型電子部品サンプル100個に対して-55℃~+125℃(Min./Max.temperatureで各30min維持)のtemperature cycle後、Shear testで2mm以上の変形が発生するまでの最大の力を測定した。
【0105】
第3電極層133、143の平均厚さは、幅方向の中央部で切断した長さ-厚さ方向の断面を走査電子顕微鏡を用いて観察し、本体の第3または第4面上に配置された第3電極層の等間隔の5つの地点で測定した第2方向の大きさの平均値を測定した。
【0106】
【0107】
試験番号1、2は、第3電極層133、143の平均厚さが3μm未満である場合であり、第3電極層133、143の外表面にCuが露出してESRが増加し、固着強度が弱くなることが確認できる。
【0108】
試験番号3~10は、第3電極層133、143の平均厚さが3μm以上である場合であり、第3電極層133、143の外表面にCuが露出せず、ESRが減少し、固着強度に優れることが確認できる。
【0109】
したがって、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、第3電極層133、143の平均厚さを3μm以上に調節することにより、Cuが外部電極の表面に露出して酸化することを防止し、優れた固着強度及びESR特性を有することができる。また、第3電極層の平均厚さを15μm以下に調節することにより、外部電極が占める体積を減少させて積層型電子部品100の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0111】
また、本開示で用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合されて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態において説明されていないとしても、他の一実施形態にその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関する説明として理解することができる。
【0112】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図はない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0113】
100、100' 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
121、122 内部電極
130 第1外部電極
140 第2外部電極
131、141 第1電極層
131a、141a 接続部
131b、141b バンド部
132、142 第2電極層
133、143 第3電極層
150 コーティング層