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特開2023-95766ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095766
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A63F9/00 512C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168901
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2021210751の分割
【原出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】奥秋 政人
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 隆
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆
(72)【発明者】
【氏名】山浦 大介
(72)【発明者】
【氏名】戸田 美穂子
(57)【要約】
【課題】遊技者が獲得可能な価値媒体を搬送する構成のもとで効果的な演出を実現する。
【解決手段】ゲーム装置は、特典ボールを運動させるバンパーと、1以上の報酬カード51を搬送する搬送機構50と、1以上の報酬カード51を搬送機構50に供給する供給機構53と、搬送機構50を制御する搬送制御部とを具備し、搬送制御部は、特典ボールの運動に関する動作条件の成立を契機として、1以上の報酬カード51を排出口547に向けて前進させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技体を運動させる運動機構と、
1以上の価値媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する搬送制御部とを具備し、
前記搬送制御部は、前記遊技体の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体を排出口に向けて前進させる
ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者が例えばカード等の価値媒体を獲得可能なゲームが従来から提案されている。例えば特許文献1には、カードを搬送するベルトコンベアーを備えるゲーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6446493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、ベルトコンベアーによりカードが搬送されるに過ぎないから、効果的な演出という観点からは更なる改善の余地がある。以上の事情を考慮して、本発明は、遊技者が獲得可能な価値媒体を搬送する構成のもとで効果的な演出を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係るゲーム装置は、遊技体を運動させる運動機構と、1以上の価値媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を制御する搬送制御部とを具備し、前記搬送制御部は、前記遊技体の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体を排出口に向けて前進させる。
【0006】
本開示のひとつの態様に係るゲーム装置の制御方法は、遊技体を運動させる運動機構と、1以上の価値媒体を搬送する搬送機構とを使用するゲームを提供するゲーム装置の制御方法であって、前記遊技体の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体を排出口に向けて前進させる。
【0007】
本開示のひとつの態様に係るプログラムは、遊技体を運動させる運動機構と、1以上の価値媒体を搬送する搬送機構とを使用するゲームを提供するゲーム装置の1以上のプロセッサを、前記搬送機構を制御する搬送制御部、として機能させるプログラムであって、前記搬送制御部は、前記遊技体の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体を排出口に向けて前進させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るゲーム装置の構成を例示する平面図である。
図2】ゲーム装置の構成を例示するブロック図である。
図3】制御装置の機能を例示するブロック図である。
図4】1個のステーションの構成を例示する平面図である。
図5】ゲーム機構および表示装置の斜視図である。
図6】通常ゲーム処理の詳細な手順を例示するフローチャートである。
図7】中央ユニットの構成を例示する平面図および断面図である。
図8】バンパーの側面図である。
図9】搬送ユニットの構成を例示する斜視図である。
図10】搬送ユニットの側面図である。
図11】排出機構を拡大した側面図である。
図12】対比例1の課題に関する説明図である。
図13】搬送制御処理の詳細な手順を例示するフローチャートである。
図14】供給制御処理の詳細な手順を例示するフローチャートである。
図15】第2実施形態における搬送制御処理の詳細な手順を例示するフローチャートである。
図16】第3実施形態における供給制御処理の詳細な手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。以下に例示される形態は、本開示にとって必須ではない種々の限定を含む。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るゲーム装置100の構成を例示する平面図である。ゲーム装置100は、例えば遊技施設に設置される。遊技施設は、例えばゲームセンターまたはカジノ等の娯楽施設、またはショッピングセンター等の商業施設である。ゲーム装置100は、遊技施設内の利用者U(すなわちプレイヤ)にゲームを提供する。なお、ゲーム装置100は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置としても実現される。
【0011】
図1に例示される通り、第1実施形態のゲーム装置100は、複数(例えば6個)のステーション11と1個の中央ユニット12とを備える。複数のステーション11は、中央ユニット12を包囲するように周方向に配列される。1以上の利用者Uが1個のステーション11を使用してゲームをプレイする。
【0012】
第1実施形態のゲーム装置100は、通常ゲームと特別ゲームとを実行する。通常ゲームは、各利用者Uがステーション11を使用して定常的にプレイするゲームである。複数のステーション11の各々において通常ゲームが並列に実行される。複数のステーション11のうち通常ゲームにおいて所定の条件が成立した1個のステーション11を対象として特別ゲームが実行される。なお、複数のステーション11の各々においては、特別ゲームに並行して通常ゲームが実行される。
【0013】
特別ゲームは、中央ユニット12を使用するゲームである。具体的には、特別ゲームは、利用者Uがカード(以下「報酬カード」という)51の獲得を目指すゲームである。報酬カード51は、利用者Uによる獲得の目標となる価値媒体である。第1実施形態の報酬カード51は、長方形状の薄板であり、表面および裏面には各種の図柄が印刷されている。例えば、報酬カード51は、収集または取引の対象となるトレーディングカードである。
【0014】
図2は、ゲーム装置100の構成を例示するブロック図である。図2に例示される通り、ゲーム装置100は、複数のステーション11と中央ユニット12とに加えて、制御装置13と記憶装置14とを備える。
【0015】
制御装置13は、ゲーム装置100の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置13が構成される。なお、制御装置13の機能の一部または全部を各ステーション11に搭載してもよい。
【0016】
記憶装置14は、制御装置13が実行するプログラムと制御装置13が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置14は、例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体、または、複数種の記録媒体の組合せで構成される。なお、ゲーム装置100に着脱される可搬型の記録媒体が、記憶装置14として利用されてもよい。また、通信網を介した書込または読出が可能な記録媒体(例えばクラウドストレージ)が、記憶装置14として利用されてもよい。
【0017】
図3は、制御装置13の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置13は、記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することで複数の機能(ゲーム制御部131,搬送制御部132および供給制御部133)を実現する。制御装置13が実現する各機能の詳細については後述する。
【0018】
図4は、複数のステーション11のうち任意の1個のステーション11の平面図である。図4に例示される通り、各ステーション11は、操作パネル20とゲーム機構30と表示装置40と搬送ユニット50とを備える。なお、図1から理解される通り、相互に隣合う2個のステーション11は、線対称な構造を備える。
【0019】
図1および図4に例示される通り、第1実施形態のゲーム装置100は、透明パネル15を備える。透明パネル15は、鉛直方向の上方からの平面視において環状に配置された板状部材である。透明パネル15は、例えばアクリル樹脂等の透明の材料で形成される。前述の中央ユニット12と、各ステーション11のゲーム機構30および表示装置40とは、透明パネル15で包囲された空間内に設置される。したがって、利用者Uは、中央ユニット12とゲーム機構30と表示装置40とに接触できない。他方、操作パネル20は、透明パネル15の外側の空間に設置される。また、搬送ユニット50は、後述の通り、透明パネル15の内側と外側とにわたり設置される。
【0020】
操作パネル20は、操作装置21と受付装置22と払出装置23とを備える。操作装置21は、利用者Uからの指示を受付ける入力機器である。例えば利用者Uが操作する複数の操作子、または利用者Uの接触を検知するタッチパネルが、操作装置21として利用される。
【0021】
受付装置22は、利用者Uによる遊技媒体Maの投入を受付ける。遊技媒体Maは、通常ゲームに利用されるメダル(トークン)またはコイン等の要素である。受付装置22は、例えば、遊技媒体Maが投入される投入口と、投入口に対する遊技媒体Maの投入を検出する検出器とを備える。
【0022】
払出装置23は、遊技媒体Mbを利用者Uに対して払出する。遊技媒体Mbは、例えばチケットである。チケットは、各種の商品と交換可能な価値を有する価値媒体である。払出装置23は、例えば、遊技媒体Mbを貯留する貯留容器と、貯留容器から遊技媒体Mbを順次に排出する排出機構54とを備える。なお、遊技媒体Mbは、遊技媒体Maと同様にメダル(トークン)またはコイン等でもよい。すなわち、遊技媒体Maと遊技媒体Mbとの同種/異種は不問である。なお、前述の報酬カード51は、遊技施設内において遊技媒体Mbと交換可能でもよい。
【0023】
表示装置40は、制御装置13による制御のもとで画像を表示する。表示装置40は、例えば、通常ゲーム等を含むゲームの進行を表示する。表示装置40は、例えば液晶パネルまたは有機EL(Electroluminescence)パネル等の表示パネルで構成される。なお、以上に例示したステーション11毎の表示装置40のほか、2以上のステーション11により共用される表示装置が設置されてもよい。
【0024】
[A-1:ゲーム機構30]
ゲーム機構30は、制御装置13による制御のもとで通常ゲームを実行する機構である。第1実施形態のゲーム機構30は、通常ゲームとしてプッシャーゲームを提供する。
【0025】
図5は、ゲーム機構30および表示装置40の斜視図である。図4および図5に例示される通り、以下の説明においては、水平面内において相互に直交するX軸とY軸とを想定する。X軸は、利用者Uの左右の方向に沿う軸線である。X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、他方向をX2方向と表記する。また、Y軸は、利用者Uの前後の方向に沿う軸線である。Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、他方向をY2方向と表記する。図4および図5に例示される通り、ゲーム機構30は、固定テーブル31と可動テーブル32と投入装置33と固定壁34と供給装置35と検出装置36と検出装置37とを備える。
【0026】
固定テーブル31は、水平方向に略平行な表面を含む板状部材である。固定テーブル31は端部311を有する。端部311は、固定テーブル31においてX2方向に位置する周縁である。可動テーブル32は、水平方向に略平行な表面を含む台状の部材(プッシャーテーブル)であり、固定テーブル31の表面に配置される。可動テーブル32は、固定テーブル31上においてX軸に沿って往復する。固定テーブル31の表面および可動テーブル32の表面には、複数の遊技媒体Maが載置される。投入装置33は、受付装置22が受付けた遊技媒体Maを可動テーブル32上に供給する。投入装置33が遊技媒体Maを投入する時点および方向は、操作装置21に対する利用者Uからの指示に応じて制御される。なお、図5においては、遊技媒体Maおよび抽選ボール38の図示が便宜的に省略されている。
【0027】
固定壁34は、可動テーブル32の表面に対向する部材である。可動テーブル32に載置された遊技媒体Maは、可動テーブル32がX1方向に移動する過程で固定壁34によりX2方向に押圧される。固定壁34による押圧で可動テーブル32上の複数の遊技媒体MaがX2方向に移動し、可動テーブル32の端部に到達した遊技媒体Maが固定テーブル31に落下する。固定テーブル31上の遊技媒体Maは、X2方向に移動する可動テーブル32により押圧されることで順次にX2方向に移動し、固定テーブル31の端部311から落下する。
【0028】
供給装置35は、固定テーブル31上に抽選ボール38を供給する。抽選ボール38は、可動テーブル32の往復に連動して遊技媒体MaとともにX2方向に移動し、最終的には固定テーブル31の端部311から落下する。
【0029】
固定テーブル31の端部311のうちY軸の方向における一部には抽選枠312が設置される。抽選枠312は、端部311からX2方向に突出する枠状の部分である。固定テーブル31から落下する複数の遊技媒体Maのうちの一部は抽選枠312を通過し、残余の遊技媒体Maは抽選枠312を通過せずに落下する。抽選ボール38は抽選枠312を通過できない。
【0030】
検出装置36は、抽選枠312を通過する遊技媒体Maを検出するセンサーである。例えば遊技媒体Maを光学的に検出する光学センサー、または遊技媒体Maの接触を検出する接触センサーが、検出装置36として利用される。
【0031】
検出装置37は、固定テーブル31から落下する遊技媒体Maまたは抽選ボール38を検出するセンサーである。検出装置37は、抽選枠312を通過した遊技媒体Maと、抽選枠312を通過せずに落下した遊技媒体Maとを検出する。例えば、遊技媒体Maまたは抽選ボール38を光学的に検出する光学センサー、または遊技媒体Maまたは抽選ボール38の接触を検出する接触センサーが、検出装置37として利用される。
【0032】
図6は、制御装置13が通常ゲームの進行を制御する処理(以下「通常ゲーム処理」という)Saの詳細な手順を例示するフローチャートである。例えばゲーム装置100の起動を契機として通常ゲーム処理Saが開始される。複数のステーション11の各々について通常ゲーム処理Saが並列に実行される。制御装置13が通常ゲーム処理Saを実行することで、図3のゲーム制御部131が実現される。すなわち、ゲーム制御部131は、通常ゲームの進行を制御する。
【0033】
通常ゲーム処理Saが開始されると、制御装置13は、検出装置36が遊技媒体Maの落下を検出したか否かを判定する(Sa1)。すなわち、遊技媒体Maが抽選枠312を通過したか否かが判定される。検出装置36が遊技媒体Maの落下を検出した場合(Sa1:YES)、制御装置13は、抽選処理を実行する(Sa2)。遊技媒体Maの落下が検出されない場合(Sa2:NO)、制御装置13は、抽選処理を実行せずに処理をステップSa5に移行する。
【0034】
抽選処理は、利用者Uの当選/落選を確率的に決定する電子抽選である。図5に例示される通り、制御装置13は、抽選処理の過程および結果を表す抽選画面41を表示装置40に表示する。抽選処理は、ビデオスロットである。抽選画面41には、円柱状の複数の回転部42が表示される。複数の回転部42の各々の外周面には、相異なる複数の図柄が周方向に配列される。抽選処理が開始されると、複数の回転部42の各々が回転し、所定の時点で順次に停止する。制御装置13は、回転が停止した状態における複数の回転部42の図柄が所定の組合せである場合に当選と判定し、所定の組合せが成立しない場合には落選と判定する。以上の説明から理解される通り、抽選処理は、複数の図柄の何れかを確率的に選択することで抽選結果が確定する処理である。各回転部42の複数の図柄は、抽選処理による選択の候補となる抽選要素である。なお、物理抽選機構を利用した物理抽選が、抽選処理として実行されてもよい。
【0035】
制御装置13は、抽選処理の結果が当選であるか否かを判定する(Sa3)。抽選処理の結果が当選である場合(Sa3:YES)、制御装置13は、各回転部42における図柄の組合せに応じた当選処理を実行する(Sa4)。例えば、制御装置13は、特定の図柄が1列に配列した場合、抽選ボール38を供給するように供給装置35を制御する。他方、抽選処理の結果が落選である場合(Sa3:NO)、制御装置13は、当選処理を実行せずに処理をステップSa5に移行する。
【0036】
制御装置13は、検出装置37が遊技媒体Maの落下を検出したか否かを判定する(Sa5)。検出装置37が遊技媒体Maの落下を検出した場合(Sa5:YES)、制御装置13は、所定量の遊技媒体Mbの払出を払出装置23に実行させる(Sa6)。他方、遊技媒体Maの落下が検出されない場合(Sa5:NO)、制御装置13は、遊技媒体Mbの払出を払出装置23に指示せずに処理をステップSa7に移行する。
【0037】
また、制御装置13は、検出装置37が抽選ボール38の落下を検出したか否かを判定する(Sa7)。検出装置37が抽選ボール38の落下を検出した場合(Sa7:YES)、制御装置13は、特別ゲームを開始する(Sa8)。なお、抽選ボール38が固定テーブル31から落下した回数が所定の閾値に到達することを条件として、特別ゲームが開始されてもよい。抽選ボール38の落下が検出されない場合(Sa7:NO)、制御装置13は、特別ゲームを開始せずに処理をステップSa1に移行する。前述の中央ユニット12および図4の搬送ユニット50は、特別ゲームに使用される。
【0038】
[A-2:中央ユニット12]
図7は、中央ユニット12の構成を例示する平面図および断面図である。図7に例示される通り、特別ゲームには特典ボール60が利用される。特典ボール60は、硬質な球体であり、「遊技体」の一例である。図7に例示される通り、中央ユニット12は、回転体61と基体部62と周壁部63と投入装置64と複数(6個)のバンパー65とを備える。
【0039】
回転体61は、鉛直方向に沿う回転軸を中心として回転可能な円盤状の部材である。例えばモーター等の駆動装置(図示略)が回転体61を回転させる。回転体61の表面には突起部611が設置される。突起部611は、回転体61の表面に平行な方向に延在する長尺状の部分である。回転体61は、特典ボール60を運動させる運動機構として機能する。
【0040】
基体部62は、平面視において回転体61を包囲する円環状の部材である。すなわち、基体部62の中央に形成された円形の開口内に回転体61が設置される。基体部62の表面は、内周が外周よりも低い傾斜面である。回転体61の表面と基体部62の表面とは、特典ボール60が転動する転動面Fを構成する。なお、基体部62の表面に複数の凹凸が形成されてもよい。
【0041】
周壁部63は、基体部62の外周に沿って転動面Fから鉛直方向に突出する円弧状の部材である。周壁部63には、特典ボール60が通過可能な複数の通路631が形成される。なお、周壁部63の通路631を閉塞する可動壁が設置されてもよい。特別ゲームの進行とともに可動壁が低下することで通路631が解放される。
【0042】
投入装置64は、特別ゲームの開始時に特典ボール60を転動面F上に投入する。投入装置64が投入した特典ボール60は、転動面Fに沿って転動する。具体的には、特典ボール60は、転動面Fの傾斜に沿って自重により転動しながら各バンパー65に不規則に接触する。なお、第1実施形態においては投入装置64が1個の特典ボール60を投入する場合を便宜的に例示するが、投入装置64は複数の特典ボール60を投入してもよい。
【0043】
複数のバンパー65の各々は、特典ボール60を運動させる運動機構である。複数のバンパー65は、相互に間隔をあけて転動面Fに設置される。具体的には、複数のバンパー65は、回転体61の回転軸を中心とした円周上に配列される。各バンパー65は、当該バンパー65に接触した特典ボール60を反対の方向に反発する。なお、バンパー65の個数または位置は、以上の例示に限定されない。
【0044】
図8は、バンパー65の側面図である。図8に例示される通り、バンパー65は、基礎部651と検知部652と打撃部653とを備える。基礎部651は、転動面Fから突出する円柱状の部材である。検知部652は、基礎部651の根元(転動面Fの近傍)に設置され、打撃部653は、検知部652を挟んで転動面Fとは反対側に設置される。すなわち、打撃部653と転動面Fとの間に検知部652が位置する。
【0045】
検知部652は、基礎部651を包囲する円環状の板状部材である。検知部652の表面は、外周が内周よりも低い傾斜面である。打撃部653は、基礎部651を包囲する円環状の板状部材である。打撃部653の下面は、内周が外周よりも低い傾斜面である。基礎部651には、特典ボール60が検知部652に接触した場合に打撃部653を瞬間的に降下させる機構(図示略)が搭載される。具体的には、特典ボール60の荷重により検知部652が降下した場合に、打撃部653が瞬間的に降下することで特典ボール60を打撃する。特典ボール60は、打撃部653の下面により打撃されることでバンパー65の径方向に付勢される。以上の説明から理解される通り、バンパー65は、特典ボール60の接触(例えば衝突)により当該特典ボール60を付勢する。第1実施形態のバンパー65は、当該バンパー65を中心とした全周にわたる任意の方向から到来する特典ボール60を付勢可能である。
【0046】
特典ボール60が各バンパー65の検知部652に接触した場合、当該バンパー65から制御装置13に検出信号が送信される。検出信号の受信により、制御装置13は、各バンパー65に対する特典ボール60の接触を検知する。
【0047】
投入装置64により投入された特典ボール60は、転動面Fに沿って転動する。具体的には、特典ボール60は、転動面Fに沿って回転体61に接近しながら、各バンパー65による付勢と、回転体61の突起部611に対する接触と、周壁部63に対する接触とにより、転動面F上を不規則に移動する。すなわち、特典ボール60は、複数のバンパー65の各々に対して不規則な間隔で反復的に接触する。また、転動面Fを転動する過程で周壁部63の通路631に到達した特典ボール60は、当該通路631を通過して外部に放出される。特典ボール60が通路631から外部に放出されることで特別ゲームは終了する。
【0048】
[A-3:搬送ユニット50]
図9は、搬送ユニット50の構成を例示する斜視図である。図10は、搬送ユニット50の側面図である。第1実施形態の搬送ユニット50は、特別ゲームにおいて報酬カード51をW軸に沿って搬送する機構である。W軸は、水平面内において中央ユニット12の中心から放射状に延在する軸線である。以下の説明においては、W軸に沿う一方向をW1方向と表記し、他方向をW2方向と表記する。W1方向は、中央ユニット12から離間する方向であり、W2方向は、中央ユニット12に接近する方向である。
【0049】
搬送ユニット50は、搬送機構52と供給機構53と排出機構54とを備える。搬送機構52は、W軸に沿って長尺な機構である。供給機構53は、搬送機構52のうちW2方向の端部の上方に設置される。また、排出機構54は、搬送機構52からみてW1方向に設置される。すなわち、中央ユニット12と排出機構54との間に搬送機構52が位置する。図4に例示される通り、搬送機構52と供給機構53とは、透明パネル15により包囲された空間内に設置される。したがって、利用者Uは搬送機構52および供給機構53に接触できない。排出機構54は、透明パネル15の外側に位置する。
【0050】
搬送機構52は、報酬カード51をW軸に沿って搬送する機構である。図9および図10に例示される通り、搬送機構52は、第1ローラー521と第2ローラー522と搬送ベルト523と駆動装置524とを備えるベルトコンベアーである。第1ローラー521と第2ローラー522とは、W軸の方向に相互に間隔をあけて設置される。第1ローラー521と中央ユニット12との間に第2ローラー522が位置する。第1ローラー521は、水平方向に平行な回転軸A1を中心として回転可能な円柱体である。同様に、第2ローラー522は、水平方向に平行な回転軸A2を中心として回転可能な円柱体である。第1ローラー521の回転軸A1と第2ローラー522の回転軸A2とは平行である。
【0051】
図9の駆動装置524は、例えばモーターであり、第2ローラー522を回転させる。駆動装置524は、図10のα1方向およびα2方向の何れかに第2ローラー522を回転させる。α1方向とα2方向とは、回転軸A2を中心とする円周に沿って相互に反対の方向である。なお、駆動装置524が第1ローラー521を回転させる形態、または、駆動装置524が第1ローラー521および第2ローラー522の双方を回転させる形態も想定される。また、第1ローラー521と第2ローラー522との間に1個以上の従動ローラーが設置されてもよい。
【0052】
搬送ベルト523は、例えばゴム等の弾性材料により環状に形成された無端ベルトである。搬送ベルト523は、第1ローラー521と第2ローラー522とに巻回される。搬送ベルト523の横幅は報酬カード51の横幅(短辺の寸法)を上回る。搬送ベルト523の上面(以下「搬送面」という)Cに報酬カード51が載置される。具体的には、報酬カード51の長辺がW軸に沿うように報酬カード51は搬送面Cに載置される。
【0053】
搬送ベルト523の搬送面Cは、当該搬送ベルト523の外周面のうち鉛直方向の上方を向く部分であり、平面視において第1ローラー521の回転軸A1と第2ローラー522の回転軸A2との間の領域である。搬送面Cは、水平方向に平行な平坦面である。搬送面Cは、中央ユニット12の転動面Fと同等の高さに位置する。具体的には、転動面Fのうち基体部62の外周上の位置と搬送ベルト523の搬送面Cとが、鉛直方向において同等の高さに位置する。したがって、転動面上の特典ボール60と搬送面C上の報酬カード51とを利用者Uが視認するための視線の移動量が抑制される。すなわち、特典ボール60の挙動と報酬カード51の位置との双方を利用者Uが確認し易い。
【0054】
制御装置13は、駆動装置524を制御することで、第2ローラー522を任意の方向に任意の角度だけ回転させることが可能である。第2ローラー522の回転に連動して搬送ベルト523の搬送面CはW軸の方向に移動する。したがって、搬送面C上の報酬カード51はW軸の方向に移動する。すなわち、搬送面C上の報酬カード51は、第2ローラー522の回転の方向に応じた方向(W1方向/W2方向)に、第2ローラー522の回転角度に応じた距離だけ移動する。以上の説明から理解される通り、制御装置13は、搬送機構52の制御により報酬カード51を移動させる図3の搬送制御部132として機能する。
【0055】
具体的には、図10から理解される通り、第2ローラー522がα1方向に回転することで搬送ベルト523の搬送面CはW1方向に移動する。すなわち、搬送面C上の報酬カード51はW1方向に移動する。以下の説明においては、報酬カード51がW1方向に移動することを「前進」と表記する。報酬カード51の前進は、排出機構54に向けて報酬カード51が接近することを意味する。他方、第2ローラー522がα2方向に回転することで搬送面CはW2方向に移動する。すなわち、搬送面C上の報酬カード51はW2方向に移動する。以下の説明においては、報酬カード51がW2方向に移動することを「後退」と表記する。報酬カード51の後退は、排出機構54から報酬カード51が離間することを意味する。以上の説明の通り、第1実施形態の搬送機構52は報酬カード51を搬送する。搬送面CにおけるW1方向の端部Eに到達した報酬カード51は、搬送面Cから落下する。なお、以下の説明においては、搬送面C上の報酬カード51のうちW1方向に位置する端部を「前端」と表記し、W2方向に位置する端部を「後端」と表記する。
【0056】
以上に説明した通り、第1実施形態の搬送機構52は、第1ローラー521と第2ローラー522とに搬送ベルト523が巻回されたベルトコンベアーである。したがって、第1ローラー521および第2ローラー522の少なくとも一方を回転させる簡便な制御により、報酬カード51を搬送できる。
【0057】
図9および図10に例示される通り、W軸の方向における搬送ベルト523の搬送面Cの全長は、1枚の報酬カード51の全長(長辺の寸法)を上回る。具体的には、搬送面Cの全長は、1枚の報酬カード51の全長の3倍以上である。したがって、搬送面Cには複数(例えば3枚)の報酬カード51が配列される。すなわち、搬送機構52は、複数の報酬カード51を同時に搬送する。具体的には、W軸に沿って搬送面C上に配列する複数の報酬カード51がW軸の方向に一斉に移動する。以上の通り、第1実施形態においては、複数の報酬カード51が同時に搬送されるから、単数の報酬カード51のみが搬送される形態と比較して効果的な演出が実現される。
【0058】
図9の供給機構53は、報酬カード51を搬送機構52に供給する機構である。供給機構53は、搬送機構52の搬送面CのうちW2方向の端部の上方に設置される。供給機構53は、収容ケース531と供給ユニット532と供給ガイド533とを具備する。収容ケース531は、複数の報酬カード51を収容するケースである。具体的には、複数の報酬カード51が鉛直方向に積層された状態で収容ケース531に収容される。
【0059】
供給ユニット532は、収容ケース531に収容された報酬カード51を搬送機構52に順次に供給するカードベンダーである。具体的には、供給ユニット532は、制御装置13からの指示に応じて報酬カード51を1枚ずつ搬送機構52に供給する。すなわち、制御装置13は、供給機構53を制御する図3の供給制御部133として機能する。具体的には、供給制御部133は、供給ユニット532による報酬カード51の供給の時点を制御する。第1実施形態の供給ユニット532は、報酬カード51を水平方向に平行な状態で送出する。なお、制御装置13からの指示毎に、供給機構53が2枚以上の報酬カード51を搬送機構52に供給してもよい。
【0060】
供給ユニット532から排出された報酬カード51は搬送ベルト523の搬送面C上に落下する。供給ガイド533は、供給ユニット532から搬送面C上への報酬カード51の落下をガイドする。すなわち、供給ガイド533は、報酬カード51を鉛直方向にガイドする。供給ガイド533は、報酬カード51の外形に対応する角管状の部材である。供給ガイド533は、搬送面CのうちW2方向の端部の近傍の範囲に対して鉛直方向の上方に位置する。
【0061】
供給ガイド533の内部空間の断面形状は、報酬カード51の外形寸法と比較して僅かに大きい長方形である。報酬カード51は、搬送面Cに落下する過程において供給ガイド533の内壁面に接触することで、水平方向の移動が制限される。したがって、報酬カード51は、水平方向に略平行な姿勢を維持したまま鉛直方向に沿って搬送面C上に落下する。供給ガイド533は、例えばアクリル樹脂等の透明な材料で形成される。したがって、利用者Uは、供給ユニット532から排出された報酬カード51が搬送面Cまで落下する過程を視認できる。報酬カード51は、搬送面C上において供給機構53により供給された位置を初期的な位置として、搬送機構52により搬送される。以上の通り、第1実施形態においては、供給機構53から搬送機構52に報酬カード51が自動的に供給されるから、例えばゲーム装置100の管理者が報酬カード51を手動により搬送機構52に供給する必要はない。
【0062】
図9および図10の排出機構54は、搬送機構52により搬送された報酬カード51を排出するための機構である。図11は、排出機構54を拡大した側面図である。排出機構54は、第1搬送路541と第2搬送路542と制限部材543と底面部材544と排出ケース545とを備える。排出ケース545には供給口546と排出口547とが形成される。図9に例示される通り、排出口547は、透明パネル15の外側に位置する。したがって、利用者Uは、排出ケース545に到達した報酬カード51を排出口547から取得できる。他方、第1搬送路541と第2搬送路542と制限部材543と底面部材544とは、透明パネル15の内側に位置するから、利用者Uは接触できない。第1ローラー521は、第2ローラー522よりも排出口547に近い位置に設置される。
【0063】
第1搬送路541および第2搬送路542は、搬送面Cから落下した報酬カード51を排出ケース545に誘導するための経路を構成する。第1搬送路541は、搬送機構52と第2搬送路542との間に位置する。第1搬送路541は、搬送ベルト523の搬送面Cから落下した報酬カード51を第2搬送路542に誘導する。第1搬送路541は、上端541aと下端541bとを有する板状部材により構成される。
【0064】
第1搬送路541の上端541aは、搬送ベルト523のうち第1ローラー521に接触する部分523aの外周面に間隔Dをあけて対向する。すなわち、部分523aは、搬送ベルト523の外周面のうち搬送面Cの下流側に位置する部分であり、鉛直方向において第1ローラー521の回転軸A1よりも高い位置にある。他方、第1搬送路541の下端541bは、平面視で上端541aよりもW1方向に位置し、かつ、上端541aよりも鉛直方向の下方に位置する。第1搬送路541は、上端541aから下端541bにかけて湾曲または傾斜する形状に形成される。搬送面Cから送出された報酬カード51は、第1搬送路541の表面に沿って自重により落下する。なお、部分523aの位置は、以上の例示に限定されない。例えば、部分523aは、回転軸A1と同じ高さ、または回転軸A1よりも低い位置にあってもよい。
【0065】
搬送面CにおけるW1方向の端部Eを報酬カード51の前端が通過すると、報酬カード51の前端が第1ローラー521の外周に沿って降下し、結果的に報酬カード51の後端が搬送面Cから上方に離間する。すなわち、搬送ベルト523から送出される過程にある報酬カード51は、水平方向に対して傾斜する。報酬カード51が水平方向に対して傾斜する角度θは、報酬カード51の前進とともに増加する。制限部材543は、報酬カード51の角度θの増加を制限する部材である。
【0066】
図12には、制限部材543が設置されない構成(以下「対比例1」という)が図示されている。図12に例示される通り、対比例1においては、報酬カード51の角度θの増加が制限されない。すなわち、報酬カード51の前進とともに角度θが過度に増加する、したがって、搬送ベルト523の外周面と第1搬送路541の上端541aとの間隔Dに報酬カード51の前端が到達し、当該報酬カード51が間隔Dに進入する可能性がある。間隔Dに進入した報酬カード51は、排出口547に到達しない。
【0067】
間隔Dに対する報酬カード51の進入を防止するために、第1実施形態においては制限部材543が設置される。図9から図11に例示される通り、制限部材543は、搬送ベルト523の幅方向に延在する板状部材であり、搬送ベルト523の外周面に間隔をあけて対向する。具体的には、制限部材543は、搬送ベルト523のうち部分523aの上流側に位置する部分523bの外周面に間隔をあけて対向する。部分523bは、W軸の方向において搬送面Cの範囲内に位置する。すなわち、部分523bは、平面視において第1ローラー521の回転軸A1と第2ローラー522の回転軸A2との間に位置する。具体的には、部分523bは、平面視で第1ローラー521に重複する。なお、部分523bの位置は、以上の例示に限定されない。例えば、部分523bは、W軸の方向において搬送面Cの範囲外に位置してもよい。例えば制限部材543と搬送面Cとの間隔が小さい形態においては、部分523bが、W軸の方向において回転軸A1よりもW1方向に位置してもよい。
【0068】
以上の構成によれば、搬送ベルト523の搬送面Cから送出される過程において報酬カード51の後端が搬送面Cから上方に移動すると、図11に例示される通り、当該報酬カード51の上面に制限部材543が接触する。制限部材543の接触により、報酬カード51の後端が搬送面Cから上方に移動することが制限される。すなわち、報酬カード51が水平方向に対して傾斜する角度θの増加が制限部材543により制限される。制限部材543により角度θが制限される結果、報酬カード51の前端は間隔Dに到達しない。したがって、対比例1と比較して、報酬カード51が間隔Dに進入する可能性を低減できる。なお、搬送ベルト523の部分523aは「第1部分」の一例であり、部分523bは「第2部分」の一例である。なお、角度θの増加が特段の問題とならない構成においては、制限部材543は省略されてもよい。すなわち、前述の対比例1の構成も本開示の範囲には包含される。
【0069】
底面部材544は、W軸の方向に長尺な板状部材である。底面部材544は、搬送機構52の下方に設置される。底面部材544のうちW1方向の端部は、第1搬送路541の下端541bに連結される。ただし、底面部材544と第1搬送路541とが相互に連結された構成は必須ではない。すなわち、第1搬送路541の下端541bは、底面部材544から離間してもよい。
【0070】
第2搬送路542は、第1搬送路541から供給される報酬カード51を排出ケース545の供給口546に誘導するガイドである。第2搬送路542は、上端542aと下端542bとを有する板状部材により構成される。上端542aは、底面部材544の下面に連結される。すなわち、第2搬送路542の上端542aは、第1搬送路541の下端541bよりも平面視でW2方向に位置する。以上の説明から理解される通り、第1搬送路541の表面は、第2搬送路542の表面からW1方向に突出する。すなわち、図11に例示される通り、第1搬送路541の表面と第2搬送路542の表面との間には段差σが形成される。第1搬送路541と第2搬送路542との段差σは、底面部材544の下面に相当する。
【0071】
第2搬送路542の下端542bは、平面視で上端542aよりもW1方向に位置し、かつ、上端542aよりも鉛直方向の下方に位置する。第2搬送路542は、上端542aから下端542bにかけて湾曲または傾斜する形状に形成される。第1搬送路541から供給された報酬カード51は、第2搬送路542の表面に沿って落下し、最終的には供給口546を通過する。以上の説明から理解される通り、搬送面Cから落下した報酬カード51は、第1搬送路541と第2搬送路542とにより誘導されることで排出ケース545内に到達する。すなわち、第1搬送路541および第2搬送路542は、搬送ベルト523から送出される報酬カード51を排出口547に向けて誘導する。
【0072】
ところで、針金等の細長い機具(以下「不正機具」という)を透明パネル15の外部から排出口547および供給口546に挿入することで、搬送面C上の報酬カード51を取得しようとする不正行為が想定される。第1搬送路541の表面と第2搬送路542の表面とが連続する形態(以下「対比例2」という)においては、搬送ベルト523に向けて供給口546から挿入された不正機具の先端が第1搬送路541の表面と第2搬送路542の表面に沿って湾曲し、結果的に搬送面C上に到達する可能性が高い。
【0073】
対比例2とは対照的に、第1実施形態においては、第1搬送路541の表面と第2搬送路542の表面との間に段差σが形成される。以上の構成において、搬送ベルト523に向けて供給口546から挿入された不正機具が第2搬送路542の表面に沿って湾曲すると、当該不正機具の先端は段差σ(底面部材544の下面)に接触する。すなわち、不正機具の先端が搬送ベルト523に接近することが段差σにより阻害される。したがって、不正機具の先端が搬送面C上に到達する可能性を、対比例2と比較して低減できる。ただし、不正機具を利用した不正行為が特段の問題とならない構成においては、第1搬送路541の表面と第2搬送路542の表面とが連続してもよい。すなわち、前述の対比例2の構成も本開示の範囲には包含される。
【0074】
なお、第2搬送路542に検出装置548が設置されてもよい。検出装置548は、報酬カード51の通過を検出するセンサーである。例えば報酬カード51を光学的に検出する光学センサー、または報酬カード51の接触を検出する接触センサーが、検出装置548として利用される。制御装置13は、検出装置548からの検出信号を解析することで、報酬カード51が適正に排出されたか否かを判定する。なお、検出装置548は、第1搬送路541に設置されてもよい。
【0075】
図13および図14は、制御装置13が搬送ユニット50(搬送機構52および供給機構53)を制御する処理のフローチャートである。図13は、制御装置13が搬送機構52を制御する処理(以下「搬送制御処理」という)Sbの詳細な手順を例示するフローチャートである。例えば特別ゲームの開始を契機として搬送制御処理Sbが開始される。制御装置13が搬送制御処理Sbを制御することで、図3の搬送制御部132が実現される。前述の通り、搬送制御部132は搬送機構52を制御する。
【0076】
搬送制御処理Sbが開始されると、制御装置13は、複数のバンパー65の何れかに特典ボール60が接触したか否かを判定する(Sb1)。特典ボール60の接触により各バンパー65から供給される検出信号を参照することで、制御装置13は、各バンパー65に対する特典ボール60の接触の有無を判定する。
【0077】
特典ボール60がバンパー65に接触したと判定した場合(Sb1:YES)、制御装置13は、搬送機構52を制御することで報酬カード51を排出口547に向けて移動させる(Sb2,Sb3)。すなわち、制御装置13は、搬送面CをW1方向に所定量だけ前進させる指示を、搬送機構52に対して供給する。他方、特典ボール60がバンパー65に接触しない場合(Sb1:NO)、制御装置13は、報酬カード51を移動させない。以上の説明から理解される通り、制御装置13(搬送制御部132)は、バンパー65に対する特典ボール60の接触を契機として、報酬カード51を排出口547に向けて前進させる。すなわち、バンパー65に対する特典ボール60の接触毎に報酬カード51が前進する。
【0078】
以上の通り、第1実施形態においては、特典ボール60の運動に連動して報酬カード51が前進する。したがって、特典ボール60の運動と報酬カード51の前進とが連動する効果的な演出が実現される。第1実施形態においては特に、バンパー65に対する特典ボール60の接触毎に報酬カード51が前進するから、特典ボール60の運動と報酬カード51の前進との連動を利用者Uが容易に把握できる。特典ボール60の接触毎に報酬カード51を移動させる制御の具体的な手順は以下の通りである。
【0079】
特典ボール60がバンパー65に接触した場合(Sb1:YES)、制御装置13は、搬送機構52を制御することで、搬送面C上の報酬カード51を単位量Q1だけW1方向に前進させる(Sb2)。すなわち、制御装置13は、第2ローラー522をα1方向に所定の角度だけ回転させる。単位量Q1の前進後、制御装置13は、搬送機構52を制御することで、搬送面C上の報酬カード51を調整量RだけW2方向に後退させる(Sb3)。すなわち、制御装置13は、第2ローラー522をα2方向に所定の角度だけ回転させる。調整量Rは、単位量Q1よりも小さい距離である。したがって、バンパー65に対する特典ボール60の接触毎に、単位量Q1と調整量Rとの差分に相当する距離δ(δ=Q1-R)だけ報酬カード51が前進する。以上の通り、第1実施形態においては、特典ボール60の接触毎に、報酬カード51が、単位量Q1の前進と直後における調整量Rの後退とを反復する。したがって、報酬カード51が単位量Q1の前進後に単純に静止する形態と比較して、報酬カード51の移動および停止を利用者Uが明瞭に把握し易い。ただし、調整量Rの後退(Sb3)は省略されてもよい。
【0080】
距離δは、W軸の方向における搬送面Cの全長よりも充分に小さい。したがって、供給機構53により初期的な位置に供給された報酬カード51は、複数回にわたり距離δの前進が反復されることで搬送面Cの端部Eに到達する。すなわち、報酬カード51は、複数回にわたる前進により排出口547に排出される。以上の構成によれば、例えば1回の前進により報酬カード51が排出口547に排出される構成と比較して、報酬カード51が排出口547に徐々に近付く様子を利用者Uが確認できる。
【0081】
なお、特典ボール60がバンパー65に接触したと判定した場合、制御装置13は、所定数の遊技媒体Mbの払出を払出装置23に実行させる(図示略)。すなわち、バンパー65に対する特典ボール60の接触毎に、報酬カード51の距離δの前進と遊技媒体Mbの払出とが発生する。
【0082】
以上の処理を実行すると、制御装置13は、特別ゲームの終了条件が成立したか否かを判定する(Sb4)。特別ゲームの終了条件は、例えば、全部の特典ボール60が通路631から外部に放出されること、または、特別ゲームの開始から所定の時間が経過したことである。ただし、終了条件は、以上の例示に限定されない。例えば、特典ボール60が中央ユニット12の特定の場所に到達したこと、または周壁部63に対する特典ボール60の接触の回数が所定値に到達したこと、等を終了条件としてもよい。終了条件が成立しない場合(Sb4:NO)、制御装置13は、処理をステップSb1に移行する。すなわち、特別ゲームの終了まで、特典ボール60の接触を契機とした報酬カード51の前進が反復される。他方、終了条件が成立した場合(Sb4:YES)、制御装置13は搬送制御処理Sbを終了する。
【0083】
図14は、制御装置13が供給機構53を制御する処理(以下「供給制御処理」という)Scの詳細な手順を例示するフローチャートである。例えば特別ゲームの開始を契機として供給制御処理Scが開始される。搬送制御処理Sbと供給制御処理Scとは並列に実行される。制御装置13が供給制御処理Scを制御することで、図3の供給制御部133が実現される。前述の通り、供給制御部133は供給機構53を制御する。
【0084】
供給制御処理Scにおいては前進距離Lが利用される。前進距離Lは、搬送面CがW1方向に前進した距離である。制御装置13は、搬送制御処理Sbにおいて報酬カード51を移動させるたびに前進距離Lを更新する。具体的には、制御装置13は、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させた場合に前進距離Lを単位量Q1だけ増加させ、報酬カード51を調整量Rだけ後退させた場合に前進距離Lを調整量Rだけ減少させる。すなわち、報酬カード51の前進または後退を搬送機構52に対して指示した回数に応じて、前進距離Lが算定される。
【0085】
供給制御処理Scが開始されると、制御装置13は、前進距離Lが閾値Taに到達したか否かを判定する(Sc1)。すなわち、前進距離Lの初期化後に報酬カード51が閾値Taに相当する距離だけ前進したか否かが判定される。閾値Taは、例えばW軸の方向における搬送面Cの全長を下回る所定の正数である。閾値Taは、「特定量」の一例である。なお、ステップSc1において、制御装置13は、前進距離Lが閾値Taを超過したか否かを判定してもよい。
【0086】
前進距離Lが閾値Taに到達したと判定した場合(Sc1:YES)、制御装置13は、報酬カード51の供給を供給機構53に対して指示する(Sc2)。供給機構53は、制御装置13からの指示に応じて報酬カード51を搬送機構52に供給する。以上の説明から理解される通り、制御装置13(供給制御部133)は、閾値Taに相当する距離(特定量)だけ報酬カード51が前進した場合に、供給機構53により搬送機構52に報酬カード51を供給させる。報酬カード51の供給を供給機構53に指示すると、制御装置13は、前進距離Lをゼロに初期化する(Sc3)。他方、前進距離Lが閾値Taを下回る場合(Sc1:NO)、制御装置13は、報酬カード51の供給の指示(Sc2)と前進距離Lの初期化(Sc3)とを実行しない。
【0087】
以上の処理を実行すると、制御装置13は、前述の終了条件が成立したか否かを判定する(Sc4)。終了条件が成立しない場合(Sc4:NO)、制御装置13は、処理をステップSc1に移行する。すなわち、終了条件が成立するまで、前進距離Lが閾値Taに到達するたびに、搬送機構52に対する報酬カード51の供給が反復される。他方、終了条件が成立した場合(Sc4:YES)、制御装置13は供給制御処理Scを終了する。
【0088】
以上の説明から理解される通り、閾値Taに相当する距離(特定量)だけ搬送面C上の報酬カード51が前進するたびに、新規な報酬カード51が搬送面Cに供給される。したがって、搬送面C上に配置された報酬カード51の総数が過少となる可能性を低減できる。
【0089】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0090】
図15は、第2実施形態における搬送制御処理Sbの詳細な手順を例示するフローチャートである。第1実施形態の搬送制御処理Sb(図13)が、第2実施形態においては図15の搬送制御処理Sbに置換される。第1実施形態と同様に、例えば特別ゲームの開始を契機として搬送制御処理Sbが開始される。制御装置13が搬送制御処理Sbを制御することで、図3の搬送制御部132が実現される。
【0091】
なお、以下の説明においては、複数のバンパー65の何れかに特典ボール60が接触することを「動作条件」と表記する場合がある。動作条件の成立は、特典ボール60がバンパー65に接触したことを意味し、動作条件の不成立は、特典ボール60がバンパー65に接触しないことを意味する。
【0092】
搬送制御処理Sbが開始されると、制御装置13は、動作条件が成立したか否かを判定する(Sb11)。すなわち、特典ボール60がバンパー65に接触したか否かが判定される。動作条件が成立しない場合(Sb11:NO)、制御装置13は、処理をステップSb19に移行し、前述の終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件が成立しない場合(Sb19:NO)、制御装置13は、処理をステップSb11に移行する。すなわち、動作条件および終了条件の何れかが成立するまで、ステップSb11およびステップSb19の処理が反復される。終了条件が成立した場合(Sb19:YES)、制御装置13は搬送制御処理Sbを終了する。
【0093】
動作条件が成立した場合(Sb11:YES)、制御装置13は、経過時間tをゼロに初期化してから当該経過時間tの計時を開始する(Sb12)。制御装置13は、搬送面C上の報酬カード51を単位量Q1だけ前進させることを搬送機構52に指示する(Sb13)。搬送機構52は、制御装置13からの指示に応じて報酬カード51を前進させる。搬送機構52に対する指示の直後に、制御装置13は処理をステップSb14に移行する。したがって、報酬カード51の前進中にステップSb14以降の処理が実行されてよい。なお、ステップSb12とステップSb13との先後は逆転されてもよい。
【0094】
制御装置13は、現時点の経過時間tが閾値Tbに到達したか否かを判定する(Sb14)。閾値Tbは、所定の正数に設定される。経過時間tが閾値Tbを下回る場合(Sb14:NO)、制御装置13は、動作条件が成立したか否かを判定する(Sb15)。動作条件が成立していない場合(Sb15:NO)、制御装置13は、処理をステップSb14に移行する。以上の説明から理解される通り、動作条件が成立することなく経過時間tが閾値Tbに到達した場合に、ステップSb14の判定結果が肯定となる。経過時間tが閾値Tbに到達した場合(Sb14:YES)、制御装置13は、搬送機構52を制御することで、搬送面C上の報酬カード51を調整量Rだけ後退させる(Sb18)。なお、ステップSb14において、制御装置13は、経過時間tが閾値Tbを超過したか否かを判定してもよい。
【0095】
以上の処理を実行すると、制御装置13は、前述の終了条件が成立したか否かを判定する(Sb19)。終了条件が成立しない場合(Sb19:NO)、制御装置13は、処理をステップSb11に移行する。以上の説明から理解される通り、制御装置13は、閾値Tbを上回る間隔をあけて動作条件が成立するたびに(Sb11:YES,Sb14:YES)、搬送面C上の報酬カード51を単位量Q1だけ前進させ(Sb13)、かつ、当該単位量Q1の前進後に報酬カード51を調整量Rだけ後退させる(Sb18)。したがって、閾値Tbを上回る間隔をあけて動作条件がN回(Nは2以上の自然数)にわたり成立した場合、報酬カード51は、合計で距離N・δだけ前進する。
【0096】
他方、経過時間tが閾値Tbに到達する以前に動作条件が成立した場合(Sb15:YES)、制御装置13は、経過時間tをゼロに初期化してから当該経過時間tの計時を開始する(Sb16)。そして、制御装置13は、搬送機構52を制御することで、搬送面C上の報酬カード51を単位量Q2だけ前進させる(Sb17)。なお、ステップSb16とステップSb17との先後は逆転されてもよい。
【0097】
単位量Q2は、単位量Q1を下回る距離である。具体的には、単位量Q2は、単位量Q1を調整量Rだけ下回る数値(Q2=Q1-R)に設定される。すなわち、単位量Q2は、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させてから調整量Rだけ後退させた場合に、当該報酬カード51が前進する前述の距離δに相当する(Q2=δ)。閾値Tbは、例えば、搬送面C上の報酬カード51が単位量Q2だけ前進するのに必要な時間長と同等の時間に設定される。ただし、閾値Tbは任意であり、報酬カード51の単位量Q2の前進に必要な時間長とは無関係に設定されてよい。なお、閾値Tbは、「所定値」の一例である。
【0098】
報酬カード51を単位量Q2だけ前進させると(Sb17)、制御装置13は処理をステップSb14に移行する。すなわち、制御装置13は、閾値Tbを下回る間隔をあけて動作条件が成立するたびに(Sb14:NO,Sb15:YES)、搬送面C上の報酬カード51を単位量Q2だけ前進させる(Sb17)。以上の説明から理解される通り、第2実施形態の制御装置13(搬送制御部132)は、閾値Tbを上回る間隔をあけた動作条件の成立毎に、報酬カード51を前進および後退させ、閾値Tbを下回る間隔をあけた動作条件の成立毎に、報酬カード51を後退させずに前進させる。
【0099】
単位量Q2の報酬カード51の前進後に再度の動作条件の成立が発生することなく経過時間tが閾値Tbに到達すると(Sb14:YES)、制御装置13は、搬送機構52を制御することで、搬送面C上の報酬カード51を調整量Rだけ後退させる(Sb18)。終了条件が成立するまで(Sb19:NO)、以上の処理が反復される。
【0100】
以上の説明から理解される通り、閾値Tbを下回る間隔で動作条件がN回にわたり成立した場合、制御装置13は、
(1)第1回目の動作条件の成立(Sb11:Yes)を契機として、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させ(Sb13)、
(2)第2回目から第N回目までの動作条件の成立毎に(Sb15:YES)、報酬カード51を単位量Q2だけ前進させ(Sb17)、
(3)第N回目の動作条件の成立を契機とした報酬カード51の前進後に、報酬カード51を調整量Rだけ後退させる(Sb18)。すなわち、単位量Q1の前進→単位量Q2の前進→…→単位量Q2の前進→調整量Rの後退、という順序により、報酬カード51が移動する。
【0101】
したがって、閾値Tbを下回る間隔をあけて動作条件がN回にわたり成立した場合、報酬カード51は、合計で距離N・δ(=Q1+(N-1)Q2-R)だけ前進する。すなわち、動作条件がN回にわたり成立した場合、相前後する成立の間隔が閾値Tbを上回るか否かに関わらず、報酬カード51は合計で距離N・δだけ前進する。ただし、相前後する動作条件の成立の間隔が閾値Tbを上回る場合には、単位量Q1の前進と調整量Rの後退とが成立毎に反復されるのに対し、間隔が閾値Tbを下回る場合には、第2回目から第N回目までの動作条件の成立毎に単位量Q2の前進が反復される。すなわち、第2回目から第N回目までの動作条件の成立時には報酬カード51は後退しない。したがって、第2実施形態によれば、報酬カード51が短時間で過度に頻繁に前進と後退とを反復することを抑制できる。
【0102】
ところで、例えば、閾値Tbを下回る間隔で動作条件が複数回にわたり成立する場合にも当該成立毎に報酬カード51の前進と後退とが反復される形態(以下「対比例3」という)では、距離δの前進毎に、単位量Q1だけ前進する時間と調整量Rだけ後退する時間とが必要である。したがって、対比例3においては、報酬カード51の移動が、当該移動の契機となった動作条件の成立に対して遅延する可能性がある。対比例3とは対照的に、第2実施形態においては、閾値Tbを下回る間隔で動作条件が成立する場合に、第2回目から第N回目までの成立については報酬カード51が後退しない。したがって、動作条件が成立した時点に対する報酬カード51の移動の遅延が低減される。すなわち、第2実施形態によれば、動作条件の成立と報酬カード51の移動との時間的な対応を利用者Uが容易に把握できる。なお、前述の第1実施形態は対比例3に相当する。すなわち、対比例3の構成も本開示の範囲には包含される。
【0103】
また、第2実施形態においては、閾値Tbを下回る間隔をあけて動作条件が成立するN回のうち、第2回目から第N回目までの成立毎に、報酬カード51が後退することなく単位量Q2だけ前進する。したがって、第2回目から第N回目までの動作条件の成立を契機として報酬カード51を連続的かつ円滑に前進させることが可能である。
【0104】
以上に説明した通り、第2実施形態においても、特典ボール60の運動に連動して報酬カード51が前進する。したがって、第1実施形態と同様に、特典ボール60の運動と報酬カード51の前進とが連動する効果的な演出が実現される。第2実施形態においては、第1実施形態について前述した他の効果も同様に実現される。
【0105】
[第3実施形態]
図16は、第3実施形態における供給制御処理Scの詳細な手順を例示するフローチャートである。第1実施形態の供給制御処理Sc(図14)が、第3実施形態においては図16の供給制御処理Scに置換される。第1実施形態と同様に、例えば特別ゲームの開始を契機として供給制御処理Scが開始される。制御装置13が供給制御処理Scを制御することで、図3の供給制御部133が実現される。
【0106】
供給制御処理Scが開始されると、制御装置13は、第1実施形態と同様に、報酬カード51の前進距離Lが閾値Taに到達することを条件として、搬送機構52に対する報酬カード51の供給を供給機構53に対して指示する(Sc11-Sc13)。すなわち、閾値Taに相当する距離(特定量)だけ報酬カード51が前進するたびに、供給機構53から搬送機構52に報酬カード51が供給される。
【0107】
前述の通り、通常ゲームは特別ゲームに並行して継続される。制御装置13は、通常ゲームの抽選処理において特別役の当選が成立したか否かを判定する(Sc14)。特別役は、例えば、抽選画面41の各回転部42における特定の図柄が1列に配列したことによる当選である。特別役の当選が成立した場合(Sc14:YES)、制御装置13は、報酬カード51の供給を供給機構53に対して指示する(Sc15)。供給機構53は、制御装置13からの指示に応じて報酬カード51を搬送機構52に供給する。他方、特別役の当選が成立しない場合(Sc14:NO)、制御装置13は、報酬カード51の供給の指示(Sc15)を実行しない。特別役の当選が成立しない場合とは、例えば、抽選処理の結果が落選である場合、または、特別役以外の当選が成立した場合である。以上の説明から理解される通り、制御装置13(供給制御部133)は、閾値Taに相当する距離だけ報酬カード51が前進した場合のほか、抽選処理の結果に関する条件(特別役の当選)が成立した場合にも、報酬カード51の供給を供給機構53に指示する。
【0108】
なお、第1実施形態においては、報酬カード51の前進距離Lが閾値Taに到達するたびに搬送機構52に報酬カード51が供給されるから、搬送面Cにおいては複数の報酬カード51が等間隔に配列される。他方、第3実施形態においては、搬送機構52の動作とは無関係な抽選処理の結果に応じて搬送機構52に報酬カード51が供給される。したがって、複数の報酬カード51の配列は必ずしも等間隔にならない。複数の報酬カード51が搬送面C上で重複する場合もある。
【0109】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態においては、報酬カード51が閾値Taの距離だけ前進することに加えて、抽選処理の結果に関する特定の条件が成立した場合にも、搬送機構52に報酬カード51が供給される。したがって、抽選処理の結果に応じて利用者Uによる報酬カード51の獲得の可能性が変化する興趣性の高いゲームを提供できる。
【0110】
第1実施形態および第3実施形態において報酬カード51の前進距離Lが閾値Taに到達すること、および、第3実施形態において特別役の当選が成立することは、供給機構53が搬送機構52に報酬カード51を供給するための条件(供給条件)として包括的に表現される。供給条件は、前述の各形態における例示に限定されない。例えば、固定テーブル31から落下した遊技媒体Maの総数が所定値に到達したこと、抽選処理による当選の回数が所定値に到達したこと、等の各種の供給条件の成立により、供給機構53が搬送機構52に報酬カード51を供給してもよい。
【0111】
[第4実施形態]
第4実施形態の制御装置13(供給制御部133)は、供給制御処理Scに適用される閾値Taを設定する。例えば、ゲーム装置100の管理者は、操作装置21を操作することで閾値Taを指示できる。制御装置13は、管理者からの指示に応じて閾値Taを変更する。
【0112】
第4実施形態の制御装置13は、第1実施形態と同様に、報酬カード51の前進距離Lが閾値Taに到達するたびに、報酬カード51の供給を供給機構53に指示する。したがって、閾値Taが小さいほど、供給機構53から搬送機構52に報酬カード51が供給される頻度が上昇する。すなわち、利用者Uが報酬カード51を獲得できる可能性が、閾値Taに応じて変更される。なお、搬送面C上に配列する報酬カード51の間隔も閾値Taに応じて変化する。例えば、閾値Taが小さいほど、相互に隣合う報酬カード51の間隔は減少する。閾値Taによっては、相前後して搬送機構52に供給された複数の報酬カード51が相互に重複する場合もあり得る。
【0113】
第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態においては、供給制御処理Scに適用される閾値Taが可変である。したがって、例えば店舗毎の所望のペイアウト率または店舗の運営の状況等の種々の状況に応じて、利用者Uが報酬カード51を獲得できる可能性を調整できる。なお、特別役の当選が供給条件に含まれる第3実施形態においても、第4実施形態と同様に、制御装置13が閾値Taを変更する構成が採用される。
【0114】
[変形例]
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0115】
(1)前述の各形態においては、バンパー65に対する特典ボール60の接触を動作条件として搬送面C上の報酬カード51を前進させたが、報酬カード51を前進させるための動作条件は、以上の例示に限定されない。例えば、特典ボール60が進入可能な複数のポケットが形成された盤面上を1個以上の特典ボール60が転動する形態において、特典ボール60がポケットに進入することを動作条件として搬送面C上の報酬カード51を前進させてもよい。また、遊技媒体Maまたは抽選ボール38が固定テーブル31から落下することを動作条件として搬送面C上の報酬カード51を前進させてもよい。例えば、遊技媒体Maが固定テーブル31から落下した場合、抽選ボール38が固定テーブル31から落下した場合、または、遊技媒体Maが抽選枠312を通過した場合に、報酬カード51が前進する。
【0116】
以上の例示から理解される通り、遊技体の運動に関する任意の動作条件の成立を契機として、搬送機構52が報酬カード51を前進させる形態が想定される。遊技体は、ゲームに使用される運動可能な任意の要素を意味する。特典ボール60または遊技媒体Maは、「遊技体」の一例である。また、「運動機構」は、以上に説明した遊技体を運動させる任意の機構である。特典ボール60を運動させる運動機構は、前述の各形態における回転体61またはバンパー65である。また、遊技媒体Maを運動させる運動機構は、前述の各形態における可動テーブル32である。
【0117】
なお、報酬カード51の前進の条件は、特典ボール60の運動に関する動作条件に限定されない。例えば、固定テーブル31から所定数の遊技媒体Maが落下することを条件として報酬カード51を前進させる形態も想定される。また、利用者Uによる遊技媒体Maの投入を条件として報酬カード51を前進させてもよい。以上の説明から理解される通り、断続的または確率的に成立する供給条件を契機として報酬カード51が前進する形態が想定される。
【0118】
(2)前述の各形態においては、制御装置13が報酬カード51の移動を搬送機構52に指示した回数に応じて前進距離Lを算定したが、前進距離Lを特定する方法は、以上の例示に限定されない。例えば、第1ローラー521または第2ローラー522の回転数を検出するセンサー(例えばロータリーエンコーダー)が搬送ユニット50に設置された構成において、制御装置13は、当該センサーからの検出信号を解析することで前進距離Lを算定してもよい。また、搬送面Cを撮像する撮像装置が搬送ユニット50に設置された構成において、制御装置13は、撮像装置が撮像した画像を解析することで前進距離Lを算定してもよい。
【0119】
(3)前述の各形態においては、前進距離Lが閾値Taに到達することを契機として供給機構53が搬送機構52に報酬カード51を供給したが、供給機構53による報酬カード51の供給の契機は、以上の例示に限定されない。例えば、報酬カード51の排出が検出装置548により検出されたことを契機として、供給機構53が搬送機構52に報酬カード51を供給してもよい。また、搬送面C上の報酬カード51の重量を計測する重量センサーが設置された形態においては、重量の減少により報酬カード51の排出を検出してもよい。また、搬送面C上の特定の位置を報酬カード51が通過したことを契機として報酬カード51を供給する形態も想定される。
【0120】
(4)前述の各形態においては、制御装置13から搬送機構52に対する指示の回数に応じて前進距離Lが変化する形態を例示したが、報酬カード51の前進を制御する方法は、以上の例示に限定されない。例えば、光学的に読取可能な指標が搬送ベルト523に所定の間隔で設置された形態において、駆動装置524は、制御装置13からの指示に応じて、当該指標が所定の位置に到達するまで搬送面Cを前進させてもよい。
【0121】
(5)前述の各形態においては、特典ボール60がバンパー65に接触した場合に直ちに搬送面C上の報酬カード51を前進させたが、報酬カード51の前進の契機は、以上の例示に限定されない。例えば、特典ボール60がバンパー65に接触するたびに利用者Uのポイントに所定量を加算し、ポイントが所定値に到達した場合に、搬送機構52が報酬カード51を前進させる形態も想定される。例えば、ポイントが所定値に到達すると報酬カード51が直ちに排出口547に排出されてもよいし、ポイントが所定値に到達するたびに報酬カード51が徐々にW1方向に前進してもよい。
【0122】
また、特典ボール60の接触を契機として実行される抽選処理の結果に応じて、搬送機構52が報酬カード51を前進させてもよい。例えば、制御装置13は、特典ボール60がバンパー65に接触するたびに抽選処理を実行する。抽選処理は、例えば、利用者Uの当選/落選を確率的に決定する電子抽選である。制御装置13は、抽選処理の結果が当選である場合に、報酬カード51の前進を搬送機構52に指示し、抽選結果の結果が落選である場合には、報酬カード51の前進を指示しない。すなわち、報酬カード51の前進の有無が確率的に制御される。
【0123】
前述の各形態および本変形例の例示は、特典ボール60がバンパー65に接触することを契機として報酬カード51を前進させる形態として包括的に表現される。特典ボール60がバンパー65に接触することを契機として報酬カード51を前進させる形態には、
形態1:前述の各形態のように特典ボール60がバンパー65に接触した場合に直ちに報酬カード51が搬送される形態のほか、
形態2:本変形例の例示のように特典ボール60の接触により実行されるイベントの結果に応じて報酬カード51が搬送される形態、
が包含される。形態2の「イベント」は、例えば前述のポイント加算または抽選処理である。
【0124】
形態1は、動作条件の成立と報酬カード51の前進とが直接的に連動する形態と解釈でき、形態2は、動作条件の成立と報酬カード51の前進とが間接的に連動する形態と解釈できる。以上の通り、動作条件の成立と報酬カード51の前進との関連が直接的であるか間接的であるかは、本開示において不問である。
【0125】
(6)報酬カード51が前進する距離である単位量Q1および単位量Q2は、固定値に限定されない。単位量Q1および単位量Q2が可変値である形態も想定される。例えば、制御装置13は、操作装置21に対する管理者からの指示に応じて単位量Q1および単位量Q2を設定する。単位量Q1および単位量Q2が大きい数値であるほど、利用者Uが報酬カード51を獲得できる可能性が増加する。したがって、例えば店舗毎の所望のペイアウト率または店舗の運営の状況等の種々の状況に応じて、管理者は、単位量Q1および単位量Q2を調整できる。
【0126】
また、各利用者Uによるゲームの状況に応じて単位量Q1および単位量Q2を動的に制御してもよい。例えば、遊技媒体Maの使用量(ベット数)に応じて単位量Q1および単位量Q2を設定する形態が想定される。例えば、制御装置13は、遊技媒体Maの投入数が多いほど単位量Q1および単位量Q2を増加させる。単位量Q1および単位量Q2に反映される情報は、以上の例示に限定されない。例えば、抽選ボール38が固定テーブル31から落下した回数(ステップ数)、利用者Uの順位等の各種の情報に応じて、単位量Q1および単位量Q2が設定される。また、利用者Uがゲームを継続する時間(継続時間)に応じて、単位量Q1および単位量Q2が設定されてもよい。例えば、制御装置13は、継続時間が長いほど単位量Q1および単位量Q2を増加させる。また、利用者Uがゲームをプレイする回数が増加するほど、単位量Q1および単位量Q2が増加する形態も想定される。以上の例示した各態様によれば、利用者Uが報酬カード51を獲得できる可能性に、多様な情報を反映させることが可能である。
【0127】
抽選処理により確率的に報酬カード51の移動量Q(Q1およびQ2)が設定されてもよい。例えば、制御装置13は、特典ボール60がバンパー65に接触するたびに抽選処理を実行する。抽選処理は、例えば、移動量Qを所定の範囲内で確率的に決定する電子抽選である。制御装置13は、抽選処理により設定された移動量Q(Q1およびQ2)の移動を搬送機構52に対して指示する。すなわち、搬送機構52が搬送面Cを移動させる移動量Qが確率的に制御される。以上の形態によれば、搬送カードの搬送に確率的な変動要素が導入されるから、移動量Qが固定された形態と比較して興趣性の高いゲームが実現される。
【0128】
(7)前述の各形態においては、複数のバンパー65の各々に対する特典ボール60の接触毎に報酬カード51を移動量Qだけ移動したが、移動量Qがバンパー65毎に個別に設定されてもよい。例えば、記憶装置14は、複数のバンパー65の各々について移動量Qを記憶する。移動量Qは、バンパー65毎に相違する。複数のバンパー65の何れかに特典ボール60が接触すると、制御装置13は、当該バンパー65に対応する移動量Qを搬送機構52に指示する。搬送機構52は、制御装置13から指示された移動量Qだけ報酬カード51を前進させる。以上の形態においても、確率的な変動要素が搬送カードの搬送に導入されるから、移動量Qが複数のバンパー65について共通する形態と比較して、興趣性の高いゲームが実現される。
【0129】
なお、複数のバンパー65のうち1以上のバンパー65に対応する移動量Qは負数に設定されてもよい。移動量Qの負数は、報酬カード51の後退を意味する。すなわち、複数のバンパー65のうち特典ボール60が接触するバンパー65によって、報酬カード51が前進する場合と後退する場合とがある。以上の形態においても、確率的な変動要素が搬送カードの搬送に導入されるから、特典ボール60の接触により報酬カード51が常に前進する形態と比較して、興趣性の高いゲームが実現される。
【0130】
(8)前述の各形態においては、複数のステーション11のうち通常ゲームの結果に応じた1個のステーション11(以下「特別ステーション11」という)において特別ゲームが実行される形態を例示した。すなわち、複数のステーション11のうち特別ステーション11の搬送ユニット50のみが、報酬カード51を搬送する動作を実行し、特別ステーション11以外の各ステーション11の搬送ユニット50は動作を停止する。しかし、搬送ユニット50が報酬カード51を搬送する動作が、全部のステーション11において並列に実行されてもよい。例えば、特別ステーション11以外の各ステーション11における報酬カード51の移動量Q(Q1およびQ2)は、特別ステーション11における報酬カード51の移動量Q(Q1およびQ2)よりも小さい数値に設定される。ただし、全部のステーション11において移動量Qが共通の数値に設定されてもよい。
【0131】
なお、複数のステーション11のうち2以上のステーション11において、特別ゲームの開始のための移行条件(抽選ボール38の落下)が同時期に成立する可能性がある。以上の状況においては、移行条件が成立した2以上の特別ステーション11において、報酬カード51を搬送する特別ゲームが並列に実行されてよい。あるいは、2以上の特別ステーション11の各々において、相異なる期間に特別ゲームが順次に実行されてもよい。
【0132】
(9)前述の各形態においては、供給機構53により搬送面Cに供給されてから複数回にわたる前進により報酬カード51が排出される形態を例示したが、1回の前進により報酬カード51が排出されてもよい。すなわち、バンパー65に対する特典ボール60の接触を契機として、報酬機構は、搬送面Cの全長を上回る距離だけ報酬カード51を前進させてもよい。ただし、前述の各形態のように搬送面C上の報酬カード51が徐々に前進する形態によれば、報酬カード51を獲得できるという利用者Uの期待感が維持されるから、長時間にわたり利用者Uにゲームを継続させることが可能である。
【0133】
(10)第2実施形態においては、閾値Tbを下回る間隔でN回にわたり動作条件(バンパー65に対する特典ボール60の接触)が成立した場合に、第1回目の成立を契機として報酬カード51を単位量Q1だけ前進させ、第2回目から第N回目までの成立毎に報酬カード51を単位量Q2だけ前進させた。しかし、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させる契機は、第1回目の動作条件の成立に限定されない。例えば、第1回目から第(N-1)回目までの成立毎に報酬カード51を単位量Q2だけ前進させ、第N回目の成立により報酬カード51を単位量Q1だけ前進させてもよい。N回の成立のうち途中の成立を契機として単位量Q1だけ前進させてもよい。さらに、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させる動作は、閾値Tbを下回る間隔で動作条件が成立したN回のうち2回以上の成立を契機として実行されてもよい。
【0134】
以上の説明から理解される通り、搬送制御部132は、
(1)閾値Tbを下回る間隔で動作条件が成立したN回のうちの一部における成立毎に、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させ、
(2)当該N回のうち他の一部における動作条件の成立毎に、報酬カード51を単位量Q2だけ前進させ、
(3)第N回目の動作条件の成立による報酬カード51の前進後に、当該報酬カード51を後退させる。
【0135】
前述の第2実施形態は、(1)の「一部」をN回のうち1回の動作条件の成立とし、(2)の「他の一部」を、N回のうち残余の(N-1)回にわたる動作条件の成立とした形態である。さらに詳述すると、第2実施形態は、(1)の「一部」を第1回目の動作条件の成立とし、(2)の「他の一部」を、第2回目から第N回目までの動作条件の成立とした形態である。なお、N回にわたる動作条件の成立のうち任意の2回以上にわたる動作条件の成立毎に、報酬カード51を単位量Q1だけ前進させてもよい。すなわち、(1)の「一部」は、N回にわたる動作条件の成立のうち1回以上の動作条件の成立を意味する。(2)の「他の一部」は、N回にわたる動作条件の成立のうち(1)の「一部」以外の1回以上の動作条件の成立を意味する。すなわち、(1)の「一部」を、N回にわたる動作条件の成立のうちのK回(Kは1以上の自然数)とした場合、(2)の「他の一部」は、(N-K)回の動作条件の成立と表現される。
【0136】
(11)前述の各形態においては、搬送機構52の搬送面Cに複数の報酬カード51が1列に配列される形態を例示したが、搬送面Cにおける報酬カード51の配列は以上の例示に限定されない。例えば、複数の報酬カード51が搬送面C上に複数列で配列されてもよい。以上の形態によれば、複数の報酬カード51が1列に配列される構成と比較して、搬送面Cの全長を抑制しながら、当該搬送面C上に配置される報酬カード51の総数を増加させることが可能である。したがって、利用者Uの所望の報酬カード51が搬送面C上に出現する可能性が増加し、結果的に利用者Uが長時間にわたりゲームを継続することが期待される。
【0137】
複数の報酬カード51を複数列に配列する形態としては、例えば、複数の報酬カード51の配列幅を上回る充分な横幅の搬送ベルト523が利用される形態、または、複数の搬送ベルト523が並設される形態が想定される。なお、複数の搬送ベルト523が並設される形態において、搬送機構52は、バンパー65に対する特典ボール60の接触を契機として、複数の搬送ベルト523の搬送面Cを並列にW1方向に前進させる。また、複数の搬送面Cの何れかを選択的に前進させてもよい。例えば、制御装置13は、複数の搬送機構52の何れかを確率的に選択する抽選処理を実行し、当該抽選処理で選択された搬送機構52の搬送面CをW1方向に前進させる。
【0138】
(12)前述の各形態においては、通常ゲームとしてプッシャーゲームを例示したが、通常ゲームの種類または方法は、以上の例示に限定されない。例えば、複数のポケットが形成された盤面(例えばルーレット)上を1個以上のボールが転動する抽選ゲームが、通常ゲームとして実行されてもよい。例えば特定のポケットにボールが進入した場合に特別ゲームが開始される。ボールが進入したポケットに応じて、報酬カード51の移動量Q(Q1およびQ2)が設定される。
【0139】
また、複数の競走馬が競走する競馬ゲームが、通常ゲームとして実行されてもよい。例えば特定の競走馬が勝利した場合、または競走結果に関する利用者Uの予想が的中した場合に、特別ゲームが開始される。競馬ゲームにおいて利用者Uが使用した遊技媒体Maの数量(ベット数)、予想の的中時に利用者Uに付与される報酬の倍率(オッズ)、または遊技媒体Maの数量に倍率を乗算した報酬量に応じて、報酬カード51の移動量Q(Q1およびQ2)が設定される。なお、競走馬毎に移動量Qが個別に登録され、複数の競走馬のうち勝利した競走馬について登録された移動量Qが、報酬カード51の移動量Qとして採択されてもよい。
【0140】
(13)前述の各形態においては、例えばメダルまたはコイン等の遊技媒体Maを受付装置22が受付ける形態を例示したが、受付装置22は、電子メダルまたはクレジット等の無体の遊技媒体を利用者Uから受付けてもよい。例えば、ICカード等の記録媒体との近距離無線通信により電子メダルの引出処理を実行する通信機器が、受付装置22として利用される。また、利用者Uの電子メダル口座を管理する口座管理サーバとの通信により電子メダルの引出処理を実行する通信機器が、受付装置22として利用されてもよい。受付装置22が受付けた遊技媒体の数量に対応する数量の遊技媒体Maが投入装置33により可動テーブル32の表面上に投入される。
【0141】
(14)前述の各形態においては、例えばチケット等の遊技媒体Mbを払出装置23が払出する形態を例示したが、払出装置23は、電子メダル等の無体の遊技媒体を払出してもよい。例えば、ICカード等の記録媒体との近距離無線通信により電子メダルの預入処理を実行する通信機器が、払出装置23として利用される。また、利用者Uの電子メダル口座を管理する口座管理サーバとの通信により電子メダルの預入処理を実行する通信機器が、払出装置23として利用されてもよい。
【0142】
(15)前述の各形態においては、搬送ベルト523を備えた搬送機構52を例示したが、搬送機構52の構成は以上の例示に限定されない。例えば、複数の搬送ローラーを備えたローラーコンベアーが、搬送機構52として報酬カード51の搬送に利用されてもよい。複数の搬送ローラーは、回転軸が水平面内においてW軸に直交するようにW軸に沿って配列される。報酬カード51は、複数の搬送ローラーの配列に載置される。各搬送ローラーが回転することで報酬カード51はW軸の方向(W1およびW2)に搬送される。
【0143】
(16)前述の各形態においては、報酬カード51を価値媒体として例示したが、価値媒体の種類または形態は以上の例示に限定されない。例えば、各種のサービスに対する対価として消費されるチケットが、価値媒体として搬送機構52により搬送されてもよい。また、価値媒体は、平面的な物品に限定されない。例えば、モデルフィギュア等の立体的な物品が、価値媒体として搬送機構52により搬送されてもよい。
【0144】
前述の各形態においては、価値媒体を利用者Uが獲得できる形態を例示したが、搬送機構52から送出された価値媒体は、供給機構53に帰還されてもよい。すなわち、搬送ユニット50は価値媒体を循環させてもよい。以上の形態によれば、価値媒体が搬送機構52により搬送されることで視覚的な演出効果が実現される。以上の説明から理解される通り、価値媒体は、利用者Uにより獲得可能な物品である必要はない。以上の観点からすると、搬送機構52による搬送の対象は、価値媒体を一例として含む物品として包括的に表現される。
【0145】
(17)前述の各形態においては、ゲーム装置100を構成する各要素(中央ユニット12,ゲーム機構30,搬送ユニット50)が、現実空間に配置された有体物である形態を例示した。しかし、ゲーム装置100を構成する各要素は、演算処理により実現される仮想空間に配置された仮想的なオブジェクトとしても実現される。例えば、中央ユニット12、ゲーム機構30および搬送ユニット50は、仮想空間内の仮想的なオブジェクトとして実現される。以上の説明から理解される通り、前述の各形態に係るゲーム装置100は、運動機構(例えばバンパー65)と搬送機構52と供給機構53とを使用するゲームを提供する装置として表現される。運動機構と搬送機構52と供給機構53とは、現実空間に配置された有体物で実現されてもよいし、仮想空間に配置された仮想的なオブジェクトで実現されてもよい。
【0146】
(18)前述の各形態に係るゲーム装置100の機能は、制御装置13を構成する1以上のプロセッサと、記憶装置14に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上の各形態に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0147】
[付記]
以上の記載から、例えば以下のように本開示の好適な態様が把握される。なお、各態様の理解を容易にするために、以下では、図面の符号を便宜的に括弧書で併記するが、本開示を図示の態様に限定する趣旨ではない。
【0148】
[付記1]
本開示のひとつの態様(付記1)に係るゲーム装置(100)は、遊技体(60)を運動させる運動機構(61,65,32)と、1以上の価値媒体(51)を搬送する搬送機構(52)と、前記搬送機構(52)を制御する搬送制御部(132)とを具備し、前記搬送制御部(132)は、前記遊技体(60)の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体(51)を排出口(547)に向けて前進させる。以上の態様によれば、遊技体(60)の運動に連動して価値媒体(51)が排出口(547)に向けて前進する。すなわち、遊技体(60)の運動と価値媒体(51)の前進とが連動する効果的な演出が実現される。
【0149】
「遊技体(60)」は、運動機構(61,65,32)の作用により運動可能な要素である。例えば、運動機構(61,65,32)による付勢で遊技面上を転動するボール、または、運動機構(61,65,32)による押圧で遊技面上を移動するトークン(メダルまたはコイン)が、「遊技体(60)」として例示される。したがって、運動機構(61,65,32)は、例えば、遊技面上のボールを付勢するバンパー(65)、同様にボールを付勢する回転体(61)、または、遊技面上のトークンを押圧する可動テーブル(32)である。
【0150】
「価値媒体(51)」は、利用者(U)による獲得の目標となる要素である。例えば、収集または取引の対象となるカード(トレーディングカード)、または、各種のサービスに対する対価として消費されるチケット等が「価値媒体(51)」として例示される。また、例えばモデルフィギュア等の各種の景品も「価値媒体(51)」には包含される。
【0151】
「搬送機構(52)」は、価値媒体(51)を搬送可能な任意の機構である。例えば、環状の搬送ベルト(523)を回転させることで価値媒体(51)を搬送するベルトコンベアー、または搬送方向に複数の搬送ローラーを配列したローラーコンベアー等の各種の機構が「搬送機構(52)」として例示される。「排出口(547)」は、利用者(U)が価値媒体(51)を取得可能な状態となるように当該価値媒体(51)を排出する開口である。搬送機構(52)が搬送することによる価値媒体(51)の移動は、価値媒体(51)が排出口(547)に向けて移動する「前進」と、価値媒体(51)が排出口(547)とは反対側に移動する「後退」とを含み得る。ただし、価値媒体(51)の「後退」は必須ではない。
【0152】
なお、「前進」または「後退」の方向は任意であり、例えばゲーム装置または利用者等の各種の要素との関係において限定的に解釈される余地はない。例えば、ゲーム装置について「前方」および「後方」が規定される場合において、ゲーム装置の「前方」および「後方」と価値媒体(51)の「前進」および「後退」の方向との関係は任意であり、ゲーム装置に関する方向との関係で「前進」または「後退」の方向が限定されることはない。また、利用者について「前方」および「後方」が規定される場合において、利用者の「前方」および「後方」と価値媒体(51)の「前進」および「後退」の方向との関係は任意であり、利用者に関する方向との関係で「前進」または「後退」の方向が限定されることはない。
【0153】
遊技体(60)の運動に関する「動作条件」とは、断続的または確率的に発生する運動状態である。すなわち、遊技体(60)について定常的または恒常的に成立している状態は「動作条件」には該当しない。例えば、遊技体(60)が特定の場所に到達することが「動作条件」として例示される。具体的には、遊技体(60)が運動機構(61,65,32)の特定の部分(例えばバンパー(65))に接触すること、または、遊技体(60)が特定の開口を通過すること等が「動作条件」として例示される。遊技体(60)の運動により、当該動作条件は反復的に成立し得る。
【0154】
「動作条件の成立を契機として価値媒体(51)を前進させる」とは、当該動作条件が成立した場合に価値媒体(51)を前進させることを意味する。動作条件の成立のみにより直ちに価値媒体(51)を前進させる形態には限定されず、例えば動作条件を含む複数の条件が成立した場合に価値媒体(51)を前進させる形態も、「動作条件の成立を契機として価値媒体(51)を前進させる」形態には包含される。また、動作条件の1回の成立により価値媒体(51)を前進させる形態には限定されず、動作条件が所定回にわたり成立した場合に価値媒体(51)を前進させる形態も想定される。
【0155】
動作条件の成立を契機として価値媒体(51)が前進する距離は任意である。例えば、動作条件の成立毎に価値媒体(51)が所定の単位量(Q1,Q2)だけ前進し、複数回にわたる動作条件の成立により価値媒体(51)が排出口(547)に到達する形態が想定される。単位量(Q1,Q2)は、固定値または可変値である。また、1回の動作条件の成立により直ちに価値媒体(51)が排出口(547)に到達する形態も想定される。
【0156】
本開示に係るゲーム装置(100)の各要素(例えば運動機構(61,65,32),搬送機構(52),供給機構(53))は、現実空間に配置された有体物であるが、仮想空間に配置された仮想的な要素(仮想オブジェクト)としても実現される。
【0157】
[付記2]
付記1の具体例(付記2)において、前記搬送制御部(132)は、前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を前進させ、前記1以上の価値媒体(51)は、複数回にわたる前進により前記排出口(547)に排出される。以上の態様においては、単位量(Q1,Q2)の搬送が複数回にわたり反復されることで価値媒体(51)が排出口(547)に到達するから、利用者(U)は、価値媒体(51)が排出口(547)に徐々に近付く様子を視認できる。
【0158】
[付記3]
付記2の具体例(付記3)において、前記搬送制御部(132)は、前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を単位量(Q1)だけ前進させ、かつ、前記単位量(Q1)の前進後に、前記単位量(Q1)を下回る調整量(R)だけ前記1以上の価値媒体(51)を後退させる。以上の態様によれば、動作条件の成立毎に、価値媒体(51)は、単位量(Q1)の前進と直後の後退とを反復する。したがって、価値媒体(51)が単位量(Q1)の前進後に単純に静止する形態と比較して、価値媒体(51)の移動および停止を利用者(U)が明瞭に把握し易い。
【0159】
「単位量(Q1)」は、動作条件の1回の成立を契機として価値媒体(51)が前進する距離である。「単位量(Q1)」は固定値および可変値の何れでもよい。
【0160】
[付記4]
付記2の具体例(付記4)において、前記搬送制御部(132)は、所定値(Tb)を上回る間隔をあけた前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を前進および後退させ、前記所定値(Tb)を下回る間隔をあけた前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を後退させずに前進させる。以上の態様において、所定値(Tb)を上回る間隔をあけて動作条件が成立する場合には、動作条件の成立毎に、価値媒体(51)が前進および後退する。したがって、価値媒体(51)が単純に前進および停止する形態と比較して、価値媒体(51)の移動および停止を利用者(U)が明瞭に把握し易い。
【0161】
他方、所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合には、動作条件の成立毎に、価値媒体(51)が後退することなく前進する。したがって、所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合にも、動作条件の成立毎に価値媒体(51)が前進および後退する構成と比較して、価値媒体(51)が短時間で過度に頻繁に前進と後退とを反復することを抑制できる。
【0162】
また、例えば、所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合にも、動作条件の成立毎に価値媒体(51)が前進および後退する構成では、価値媒体(51)の移動が、当該移動の契機となった動作条件の成立に対して遅延する可能性がある。所定値(Tb)を下回る間隔をあけて動作条件が成立する場合には価値媒体(51)が後退せずに前進する前述の形態によれば、動作条件の成立に対する価値媒体(51)の移動の遅延が低減される。したがって、動作条件の成立と価値媒体(51)の移動との対応を利用者(U)が容易に把握できる。
【0163】
「動作条件の成立の間隔」とは、動作条件が成立する第1時点と、当該成立の直後に動作条件が成立する第2時点との時間的な間隔を意味する。第1時点の経過後に新たに動作条件が成立することなく所定値(Tb)に相当する時間が経過すれば、次回の動作条件の成立を待たずに「所定値(Tb)を上回る間隔をあけた動作条件の成立」という要件を充足すると解釈できる。また、動作条件の成立の間隔が所定値(Tb)に一致する場合には、価値媒体(51)を前進および後退させる動作と、価値媒体(51)を後退させずに前進させる動作との何れが実行されてもよい。
【0164】
[付記5]
付記2の具体例(付記5)において、前記搬送制御部(132)は、所定値(Tb)を上回る間隔をあけた前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を第1単位量(Q1)だけ前進させ、かつ、前記第1単位量(Q1)の前進後に、前記1以上の価値媒体(51)を後退させ、前記所定値(Tb)を下回る間隔で前記動作条件がN回(Nは2以上の自然数)にわたり成立する場合に、前記N回のうちの一部における前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を前記第1単位量(Q1)だけ前進させ、前記N回のうちの他の一部における前記動作条件の成立毎に、前記第1単位量(Q1)を下回る第2単位量(Q2)だけ前記1以上の価値媒体(51)を前進させ、第N回目の成立による前記1以上の価値媒体(51)の前進後に、前記1以上の価値媒体(51)を後退させる。以上の態様において、所定値(Tb)を上回る間隔をあけて動作条件が成立する場合には、動作条件の成立毎に、1以上の価値媒体(51)は、第1単位量(Q1)の前進と直後の調整量(R)の後退とを反復する。したがって、価値媒体(51)が第1単位量(Q1)の前進後に単純に静止する形態と比較して、価値媒体(51)の移動および停止を利用者(U)が明瞭に把握し易い。
【0165】
他方、所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件がN回(Nは2以上の自然数)にわたり成立する場合には、N回のうちの一部における動作条件の成立毎に、価値媒体(51)が第1単位量(Q1)だけ前進する一方、N回のうち他の一部における動作条件の成立毎に、価値媒体(51)は、後退することなく、第1単位量(Q1)を下回る第2単位量(Q2)だけ前進する。したがって、N回の動作条件の成立の全部について価値媒体(51)が前進と後退とを反復する構成と比較して、価値媒体(51)が短時間で過度に頻繁に前進と後退とを反復することを抑制できる。
【0166】
また、例えば、所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合にも、動作条件の成立毎に価値媒体(51)の前進と後退とが反復される構成では、価値媒体(51)の移動が、当該移動の契機となった動作条件の成立に対して遅延する可能性がある。以上の構成とは対照的に、価値媒体(51)を後退させずに前進させる場合がある形態によれば、動作条件の成立に対する価値媒体(51)の移動の遅延が低減される。したがって、動作条件の成立と価値媒体(51)の移動との時間的な対応を利用者(U)が容易に把握できる。
【0167】
なお、「N回にわたる動作条件の成立」については、例えば、当該N回のうち相前後する任意の2回の成立の間には、動作条件の他の成立は発生しないと解釈され得る。以上の解釈のもとでは、「N回にわたる動作条件の成立」は、N回にわたり動作条件が連続的に成立することを意味する。また、動作条件の成立の間隔が所定値(Tb)に一致する場合には、当該間隔が所定値(Tb)を上回る場合の動作と所定値(Tb)を下回る場合の動作との何れが実行されてもよい。
【0168】
また、第2単位量(Q2)は第1単位量(Q1)を下回る。したがって、第1単位量(Q1)と第2単位量(Q2)とが相等しい場合と比較すると、所定値(Tb)を上回る間隔で動作条件が成立する場合と所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合との間において、価値媒体(51)が前進する距離の合計値を相互に近付けることが可能である。
【0169】
[付記6]
付記5の具体例(付記6)において、前記第2単位量(Q2)は、前記第1単位量(Q1)を調整量(R)だけ下回り、前記N回のうちの前記一部は、前記N回のうち1回の動作条件の成立であり、
前記N回のうちの前記他の一部は、前記N回のうち前記1回以外における動作条件の成立であり、前記第N回目の成立による前進後に、前記1以上の価値媒体(51)を前記調整量(R)だけ後退させる。以上の態様によれば、第2単位量(Q2)が第1単位量(Q1)を調整量(R)だけ下回るから、所定値(Tb)を上回る間隔で動作条件が成立する場合と所定値(Tb)を下回る間隔で動作条件が成立する場合との間において、価値媒体(51)が前進する距離の合計値を相互に一致させることが可能である。
【0170】
[付記7]
付記5または付記6の具体例(付記7)において、前記N回のうちの前記一部は、第1回目の前記動作条件の成立であり、前記N回のうちの前記他の一部は、第2回目から第N回目までの前記動作条件の成立である。以上の態様によれば、第2回目から第N回目までの動作条件の成立において価値媒体(51)を連続的かつ円滑に前進させることが可能である。
【0171】
[付記8]
付記1から付記7の何れかの具体例(付記8)において、前記1以上の価値媒体(51)は、複数の価値媒体(51)であり、前記搬送機構(52)は、前記複数の価値媒体(51)を同時に搬送する。以上の態様においては、複数の価値媒体(51)が同時に搬送されるから、単数の価値媒体(51)のみが搬送される構成と比較して効果的な演出が実現される。
【0172】
複数の価値媒体(51)の搬送について「同時」とは、複数の価値媒体(51)の各々が搬送される期間が時間軸上において相互に重複することを意味する。すなわち、複数の価値媒体(51)のうち第1価値媒体(51)と第2価値媒体(51)とに着目すると、第1価値媒体(51)の搬送と第2価値媒体(51)の搬送とが並行される状態は、第1価値媒体(51)と第2価値媒体(51)とが同時に搬送される状態に該当する。
【0173】
[付記9]
付記1から付記8の何れかの具体例(付記9)に係るゲーム装置(100)は、前記1以上の価値媒体(51)を前記搬送機構(52)に供給する供給機構(53)を具備する。以上の態様においては、供給機構(53)から搬送機構(52)に価値媒体(51)が供給されるから、例えばゲーム装置(100)の管理者が価値媒体(51)を手動により搬送機構(52)に供給する必要がない。
【0174】
[付記10]
付記9の具体例(付記10)に係るゲーム装置(100)は、前記供給機構(53)を制御する供給制御部(133)をさらに具備し、前記供給制御部(133)は、所定の供給条件が成立した場合に、前記供給機構(53)により前記搬送機構(52)に価値媒体(51)を供給させ、前記供給条件は、前記1以上の価値媒体(51)が特定量だけ前進することである。以上の態様においては、既存の1以上の価値媒体(51)が所定量だけ前進するたびに供給機構(53)が搬送機構(52)に新たな価値媒体(51)を供給する。したがって、搬送機構(52)が搬送する価値媒体(51)の総数が過少となる可能性を低減できる。
【0175】
[付記11]
付記10の具体例(付記11)において、前記供給制御部(133)は、前記特定量(Ta)を変更する。以上の態様においては、供給機構(53)による価値媒体(51)の供給の契機となる価値媒体(51)の搬送量(特定量(Ta))が可変である。したがって、例えばゲームの状況または所望のペイアウト率等の種々の事情に応じて、利用者(U)が価値媒体(51)を獲得できる可能性を調整できる。
【0176】
[付記12]
付記10または付記11の具体例(付記12)において、前記供給条件は、抽選処理の結果に関する条件を含む。以上の態様においては、価値媒体(51)が所定量だけ前進することに加えて、抽選処理の結果に関する条件が成立した場合にも、搬送機構(52)に価値媒体(51)が供給される。したがって、抽選処理の結果に応じて利用者(U)による価値媒体(51)の獲得の可能性が変化する興趣性の高いゲームを提供できる。
【0177】
「抽選処理」は、複数の抽選要素の何れかを確率的(不作為)に選択する処理である。例えば、複数の抽選要素の何れかを選択する物理抽選機構を利用した物理抽選、または、複数の抽選要素の何れかを演算処理により確率的に選択する電子抽選が、「抽選処理」として例示される。
【0178】
[付記13]
付記1から付記12の何れかの具体例(付記13)において、前記運動機構(61,65,32)は、前記遊技体(60)の接触により当該遊技体(60)を付勢するバンパー(65)を含み、前記搬送制御部(132)は、前記動作条件の成立毎に、前記1以上の価値媒体(51)を前記搬送機構(52)により前進させ、前記動作条件は、前記遊技体(60)が前記バンパー(65)に接触することである。以上の態様においては、バンパー(65)に対する遊技体(60)の接触毎に価値媒体(51)が前進する。したがって、遊技体(60)の運動と価値媒体(51)の前進との連動を利用者(U)が容易に把握できる。
【0179】
バンパー(65)は、例えば当該付勢機構に接触する遊技体(60)を打撃する機構(ポップバンパー)である。具体的には、バンパー(65)は、例えば、遊技体(60)の接触を検知する検知部(652)と、遊技体(60)の接触を検知部(652)が検知した場合に当該遊技体(60)を打撃する打撃部(653)とを具備する
【0180】
[付記14]
付記1から付記13の何れかの具体例(付記14)において、前記搬送機構(52)は、相互に間隔をあけて設置された第1ローラー(521)および第2ローラー(522)と、前記第1ローラー(521)と前記第2ローラー(522)とに巻回された搬送ベルト(523)とを含み、前記1以上の価値媒体(51)は、前記搬送ベルト(523)の上面に載置される。以上の態様において、搬送機構(52)は、第1ローラー(521)と第2ローラー(522)とに搬送ベルト(523)が巻回されたベルトコンベアーである。したがって、第1ローラー(521)および第2ローラー(522)の少なくとも一方を回転させる簡便な制御により、1以上の価値媒体(51)を搬送できる。
【0181】
[付記15]
付記14の具体例(付記15)において、前記1以上の価値媒体(51)はカードであり、前記第1ローラー(521)は、前記第2ローラー(522)よりも前記排出口(547)に近い位置に設置され、前記搬送ベルト(523)のうち前記第1ローラー(521)に接触する第1部分(523a)の外周面に間隔をあけて対向し、前記搬送ベルト(523)から送出される前記1以上の価値媒体(51)を、前記排出口(547)に誘導する搬送路(541,542)と、前記搬送ベルト(523)のうち前記第1部分(523a)の上流側に位置する第2部分(523b)の外周面に間隔をあけて対向し、前記搬送ベルト(523)から送出される過程にある前記価値媒体(51)の上面に接触することで、当該価値媒体(51)の角度(θ)の増加を制限する制限部材(543)とをさらに具備する。
【0182】
制限部材(543)が設置されない構成では、搬送ベルト(523)から送出される過程にある価値媒体が、第1ローラー(521)の外周に沿って水平面から過度に傾斜し得る。したがって、搬送ベルト(523)の外周面と搬送路(541)との間隔に価値媒体(51)が進入する可能性がある。当該間隔に進入した価値媒体(51)は、排出口(547)に到達しない。以上の構成とは対照的に、制限部材(543)が設置された構成によれば、搬送ベルト(523)から送出される過程にある価値媒体(51)の上面に、制限部材(543)が接触することで、価値媒体(51)の角度(θ)の増加が制限される。したがって、搬送ベルト(523)の外周面と搬送路(541)との間隔に価値媒体(51)が進入する可能性を低減できる。
【0183】
[付記16]
本開示のひとつの態様(付記16)に係るゲーム装置(100)の制御方法は、遊技体(60)を運動させる運動機構(61,65,32)と、1以上の価値媒体(51)を搬送する搬送機構(52)とを使用するゲームを提供するゲーム装置(100)の制御方法であって、前記遊技体(60)の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体(51)を排出口(547)に向けて前進させる。
【0184】
[付記17]
本開示のひとつの態様(態様17)に係るプログラムは、遊技体(60)を運動させる運動機構(61,65,32)と、1以上の価値媒体(51)を搬送する搬送機構(52)とを使用するゲームを提供するゲーム装置(100)の1以上のプロセッサを、前記搬送機構(52)を制御する搬送制御部(132)、として機能させるプログラムであって、前記搬送制御部(132)は、前記遊技体(60)の運動に関する動作条件の成立を契機として、前記1以上の価値媒体(51)を排出口(547)に向けて前進させる。
【符号の説明】
【0185】
100…ゲーム装置、11…ステーション、12…中央ユニット、13…制御装置、14…記憶装置、15…透明パネル、131…ゲーム制御部、132…搬送制御部、133…供給制御部、20…操作パネル、21…操作装置、22…受付装置、23…払出装置、30…ゲーム機構、31…固定テーブル、311…端部、312…抽選枠、32…可動テーブル、33…投入装置、34…固定壁、35…供給装置、36…検出装置、37…検出装置、38…抽選ボール、40…表示装置、41…抽選画面、42…回転部、50…搬送ユニット、51…報酬カード、52…搬送機構、521…第1ローラー、522…第2ローラー、523…搬送ベルト、523a…部分、523b…部分、524…駆動装置、A1…回転軸、A2…回転軸、C…搬送面、53…供給機構、531…収容ケース、532…供給ユニット、533…供給ガイド、54…排出機構、541…第1搬送路、542…第2搬送路、543…制限部材、544…底面部材、545…排出ケース、546…供給口、547…排出口、548…検出装置、60…特典ボール、61…回転体、611…突起部、62…基体部、63…周壁部、631…通路、64…投入装置、65…バンパー、651…基礎部、652…検知部、653…打撃部、
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