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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095782
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230629BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 517
H01G4/232 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180668
(22)【出願日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187672
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ヨン ア
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、 ボン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】セオン、 クワン ドン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AC10
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC39
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コーナーカバレッジ、めっきカバレッジ及びSi凝集現象を改善し、信頼性の高い小型、且つ、高容量の積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、複数の誘電体層111及び誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含む本体110と、内部電極と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極131、132と、を含む。複数の導電性粒子は、第1導電性粒子を含む。第1導電性粒子は、表面にコーティング層が形成された板状導電性粒子であり、コーティング層はSiを含み、且つ、Si含有量が上記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含む本体と、
前記内部電極と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極と、を含み、
前記複数の導電性粒子は第1導電性粒子を含み、
前記第1導電性粒子は、表面にコーティング層が形成された板状導電性粒子であり、
前記コーティング層はSiを含み、且つSi含有量は前記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体は、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記外部電極は、前記第1面及び第2面に配置されるバンド部、前記第3面及び第4面に配置される接続部、前記バンド部と接続部とを連結し、前記第1面及び第2面と第3面及び第4面とを連結するコーナーに配置されるコーナー部を含み、
前記コーナー部の厚さは0.1μm以上10μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記接続部の平均厚さは5μm以上20μm以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記コーティング層はAlをさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記コーティング層の平均厚さは15nm以上60nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記板状導電性粒子の平均長軸径は0.1μm以上10μm以下であり、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が2.0以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記板状導電性粒子は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記複数の導電性粒子は第2導電性粒子をさらに含み、
前記第2導電性粒子は球状導電性粒子を含み、且つ
前記球状導電性粒子は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記球状導電性粒子の平均長軸径は0.01μm以上10μm以下であり、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.5以下である、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記本体の第1方向及び第2方向の断面において、
前記外部電極のうち、前記第1導電性粒子が占める面積比率は30%以上80%以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記外部電極は、前記複数の導電性粒子を覆うめっき層をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記コーティング層はAlをさらに含み、
前記複数の導電性粒子は第2導電性粒子をさらに含み、
前記第2導電性粒子は球状導電性粒子であり、前記板状導電性粒子及び前記球状導電性粒子は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
複数の誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含む本体を準備する段階と、
前記内部電極と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極を準備する段階と、を含み、
前記複数の導電性粒子は第1導電性粒子を含み、
前記第1導電性粒子は、表面にSi-Alコーティング層が形成された板状導電性粒子であり、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であり、
前記外部電極を準備する段階の後、前記コーティング層のSi含有量が前記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下である、積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記外部電極を準備する段階は熱処理工程を含み、
前記熱処理工程の間、前記第1導電性粒子の収縮率が10%以下である、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記本体は、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面及び第6面を含み、
前記外部電極は、前記第1面及び第2面に配置されるバンド部、前記第3面及び第4面に配置される接続部、前記バンド部と接続部とを連結し、前記第1面及び第2面と第3面及び第4面とを連結するコーナーに配置されるコーナー部を含み、
前記コーナー部の厚さは0.1μm以上10μm以下である、請求項13または14に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記接続部の平均厚さは5μm以上20μm以下である、請求項15に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用できる。
【0004】
積層型電子部品の小型化及び高容量化に対する要求に合わせて、積層型電子部品の外部電極も薄層化している。従来は、外部電極を形成するために導電性金属粒子及びガラスと有機溶剤等を混合して外部電極用ペーストを製造し、セラミック本体の両端面に上記外部電極用ペーストを塗布した後、これを焼結して製造していた。
【0005】
しかし、外部電極用ペーストの粘度が高く、塗布厚さを一定レベル以下に下げにくく、ペーストの粘度を下げる場合、相安定性の問題が発生することがあり、外部電極用ペーストに使用される導電性粒子のサイズを小型化することも難しいという問題点があった。
【0006】
特に、外部電極の薄膜化のために導電性粒子のサイズを小型化したり、外部電極用ペーストを薄く塗布して外部電極の厚さを薄くしたりする場合、内部電極との接触性が低下するという問題点があり、薄い外部電極により外部の物理的、化学的衝撃に脆弱な構造を有するようになり、機械的強度が低下するという問題点がある。
【0007】
また、焼成工程中に発生する焼結収縮により外部電極のコーナー厚さが薄くなり、チップのカバレッジが非常に脆弱になるという問題点がある。このため、めっき後にコーナーが剥がれる現象が発生することにより信頼性の問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1444613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、導電性粒子の焼結収縮を制御して均一に形成された外部電極を提供することにある。
【0010】
本発明のいくつかの目的の一つは、コーナーカバレッジ、めっきカバレッジ、及びSi凝集現象を改善し、信頼性の高い小型、高容量の積層型電子部品を提供することにある。
【0011】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含む本体と、上記内部電極と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極と、を含み、上記複数の導電性粒子は第1導電性粒子を含み、上記第1導電性粒子は表面にコーティング層が形成された板状導電性粒子であり、上記コーティング層はSiを含み、且つSi含有量は、上記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下であることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のいくつかの効果の一つは、複数の導電性粒子の焼結収縮を制御して外部電極の厚さを制御することにより、外部電極の厚さを薄くしながらもコーナーカバレッジを改善し、めっき後にコーナーが剥がれたり、めっき切れ現象が発生しないようにすることで、積層型電子部品の信頼性を向上させる効果がある。
【0014】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3a図2のK領域を撮影したSEMイメージである。
図3b図3aに示すP領域の一部を拡大したイメージである。
図4a】本発明の一実施形態において、めっき層を除いて図2のK領域を拡大した図の概略図である。
図4b】コーティング層が形成されていない場合の積層型電子部品のK領域に対応する図の概略図である。
図5a】Si-Alコーティング層が形成されていないCu板状導電性粒子のSEMイメージである。
図5b】Si-Alコーティング層が形成されたCu板状導電性粒子のSEMイメージである。
図5c】上記Si-Alコーティング層が形成されたCu板状導電性粒子をSEM-EDS装置で分析した結果である。
図6a】コーティング層が形成された板状導電性粒子のSEMイメージである。
図6b】コーティング層が形成された板状導電性粒子のSEMイメージである。
図7a図2のK領域を撮影したSEMイメージである。
図7b図7aに示すT領域の一部を拡大したSEMイメージである。
図8a】Si-Alコーティング層が形成された板状Cu粒子を含む外部電極において、ガラスが含まれていない図7bに示すM領域のSEM-EDS分析結果である。
図8b】Si-Alコーティング層が形成されていない導電性粒子を含む外部電極において、ガラスが含まれていない領域のSEM-EDS分析結果である。
図9a】外部電極にSi-Alコーティング層が形成されたCu-Cu粒子界面におけるTEM-EDSイメージ及び分析結果である。
図9b】外部電極にSi-Alコーティング層が形成されていないCu-Cu粒子界面におけるTEM-EDSイメージ及び分析結果である。
図10】熱処理工程前のSi含有量(横軸:wt%)による熱処理工程後のSi含有量(縦軸:wt%、at%)を示すグラフである。
図11】Si含有量を異ならせてコーティング層を形成した板状Cu粒子を熱処理して撮影したSEMイメージである。
図12】Si含有量を異ならせてコーティング層を形成した場合の外部電極の緻密度をImage Jを用いて分析したイメージである。
図13a】コーティング層が形成されていない外部電極の一断面を4等分して撮影したSEMイメージである。
図13b】熱処理工程前のSi含有量を基準にして、Si含有量を異ならせたときに外部電極の一断面を撮影したSEMイメージである。
図14】Si含有量を異ならせてコーティング層を形成した板状Cu粒子をペーストで作製してSEM-EDSにマッピング(mapping)したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0017】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内での機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を含むと言うとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0018】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0019】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0020】
以下、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0021】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、複数の誘電体層111及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記内部電極121、122と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極131、132と、を含み、上記複数の導電性粒子は第1導電性粒子141を含み、上記第1導電性粒子141は、表面にコーティング層141bが形成された板状導電性粒子141aであり、上記コーティング層141bはSiを含み、且つSi含有量は、上記板状導電性粒子141aに対して0.3at%以上2.0at%以下であることができる。
【0022】
本体110は、複数の誘電体層111及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含むことができる。
【0023】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0024】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面から第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を含むことができる。
【0025】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料としては、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示としては、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O、又はBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0027】
誘電体層111を形成する材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0028】
一方、誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さtdは0.4μm以下であってもよい。ここで、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0029】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は活性部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0030】
本体110は、その内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含むことができる。
【0031】
また、内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する活性部Acを含むことができる。すなわち、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と、第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを第1方向に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0032】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。また、第1内部電極121は、第3、第5及び第6面3、5、6を介して露出することができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0033】
上記のような構成によって、第1外部電極131及び第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。このとき、積層型電子部品100の静電容量は、上記活性部において第1方向に沿って互いに重なる第1内部電極121及び第2内部電極122の重なり面積と比例するようになる。
【0034】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、導電性ペーストを使用して内部電極121、122を形成することができる。
【0035】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さteは0.4μm以下であってもよい。ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。
【0036】
本体100は、上記活性部Acの上部及び下部に形成されたカバー部を含むことができる。上記上部カバー部及び下部カバー部は内部電極を含まず、誘電体層と同じ材料を含んで形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。上部カバー部及び下部カバー部は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を活性部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができる。
【0037】
また、活性部Acの第3方向の両端面5、6にはマージン部が配置されることができる。
【0038】
マージン部は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部と、第6面6に配置された第2マージン部とを含むことができる。
【0039】
マージン部は、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を、活性部Acの第3方向の両端面5、6に第3方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
マージン部は内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、マージン部114、115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0041】
一方、マージン部の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成し、単位体積当たりの容量を増大させるために、マージン部の平均幅は20μm以下であってもよい。
【0042】
マージン部の幅は、第1方向のサイズを意味することができ、活性部Acの上部又は下部において等間隔の5個の地点で測定したマージン部の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0043】
外部電極131、132は本体110の外部に配置され、内部電極121、122と連結され、本体110の第3面3及び第4面4に配置される。
【0044】
外部電極131、132は、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。より具体的に、外部電極は、本体110の第3面3に配置される第1外部電極131、及び本体110の第4面4に配置される第2外部電極132を含むことができる。このとき、第2外部電極132は、第1外部電極131と異なる電位に連結されることができる。
【0045】
本明細書では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0046】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有する物質であれば、如何なるものを使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0047】
一方、外部電極131、132は複数の導電性粒子を含むことができ、上記複数の導電性粒子は第1導電性粒子141を含み、上記第1導電性粒子141は表面にコーティング層141bが形成された板状導電性粒子141aであることができる。
【0048】
上記複数の導電性粒子は、外部電極131、132に導電性を付与する役割を果たすことにより、積層型電子部品100が印刷回路基板に実装され、電極パッドと連結されると、それにより電圧が印加されて内部電極121、122に伝達できるようにする。外部電極131、132層に含まれる導電性粒子は電気伝導性に優れた材料である銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0049】
図3a及び図3bを参照すると、上記板状の形状はフレーク(flake)状を意味することができる。フレーク状とは、球状とは異なり、一定の厚さを有し、上面と下面が実質的に平たい形態の構造を意味し、このとき、上面と下面は円形又は楕円形などの形態であり得る。
【0050】
特に、上記板状導電性粒子が積層型電子部品100のコーナー部位に積層されて外部電極を形成する場合、球状導電性粒子のみがコーナー部位に積層される場合に比べて、外部電極131、132のコーナー部Cの充填率を高めることができる。
【0051】
また、上記コーティング層141bはSiを含み、且つSi含有量は上記板状導電性粒子141aに対して0.3at%以上2.0at%以下であり得る。このとき、上記コーティング層141bにはAlがさらに含まれることができ、上記コーティング層141bの平均厚さは15nm以上60nm以下であることができる。
【0052】
一般に、積層型電子部品100の外部電極131、132の熱処理工程は600℃~900℃の範囲で行われるが、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)サイズの積層型電子部品100の場合、700℃~750℃で熱処理工程が行われることができる。但し、熱処理工程の温度がこれに限定されるものではない。
【0053】
図4a及び図4bを参照すると、上記コーティング層141bにSiが含まれることにより、焼結遅延効果を有することができ、熱処理工程中に上記第1導電性粒子141間の収縮率が減少することによって電極用ペーストも収縮率が減少することができる。これにより、外部電極131、132のコーナー部Cの切れ現象が発生せず、本体110が露出しなくなる。また、めっき層131b、132bを形成する際に、めっき切れ現象を防止することができる。
【0054】
例えば、Cu粒子を導電性粒子として使用する場合、熱処理工程中にCu-Cu粒子間のネッキング(necking)又はペーストの収縮現象が発生することにより、外部電極131、132の厚さが薄くなることがある。特に、外部電極用ペーストを塗布したり、上下方向にディッピング(dipping)した後、乾燥又は焼成する場合に、外部電極131、132のコーナー部Cの厚さD1が薄くなって切れが発生したり、本体110が露出することがある。このとき、Siコーティング層141bが形成されたCu粒子を含むペーストを製造して熱処理する場合、Cu-Cu粒子間のネッキング又は収縮現象が発生することを防止して第1導電性粒子の収縮率を減少させることができ、ペーストの収縮率も減少させることができる。これにより、電極又はめっき切れの程度が改善されることができる。
【0055】
Si含有量が0.3at%未満の場合、導電性粒子を完全にコーティングすることができず、焼結遅延効果が僅かである可能性があり、積層型電子部品100のコーナー部Cが露出し、コーナーカバレッジが不足して本体110が露出することがあり、めっき切れ現象が発生するなどのめっきカバレッジが不足する可能性がある。Si含有量が2.0at%を超える場合、外部電極131、132用ペーストの作製時にSi凝集により導電性粒子の分散性の低下が発生するおそれがある。
【0056】
また、上記コーティング層141bにAlがさらに含まれることにより、Si-Al合金コーティング層が上記板状導電性粒子141aに形成されて第1導電性粒子141を形成することができる。Si-Al合金は、低い熱膨張係数、高い熱伝導度、優れた電気伝導度、優れた熱力学的安定性などの特性を有している。
【0057】
図5a~図5cを参照すると、図5aはSi-Alコーティング層が形成されていないCu板状導電性粒子のSEMイメージであり、図5bはSi-Alコーティング層が形成されたCu板状導電性粒子のSEMイメージであり、図5cは上記Si-Alコーティング層が形成されたCu板状導電性粒子をSEM-EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscope)装置で分析した結果である。図5cを参照すると、Cuの他にもSi及びAlが含まれており、Si-Alコーティング層が形成されたことが確認できる。
【0058】
図6a及び図6bを参照すると、図6aはSi-Alコーティング層が形成されたCu板状導電性粒子を730℃で1時間の間熱処理した後のSEMイメージであり、図6bはSi-Alコーティング層が形成されていないCu板状導電性粒子を730℃で1時間の間熱処理した後のSEMイメージである。これを参照すると、コーティング層が形成されたCu粒子間には、ネッキング又は凝集現象がほとんど発生しなかったことが確認でき、コーティング層が形成されていないCu粒子間には、ネッキングなどの現象が発生したことが確認できる。すなわち、Si-Alコーティング層がCu粒子の表面に形成される場合、Cu粒子間にネッキングが発生することを防止して焼結遅延効果があることが分かる。
【0059】
また、上記コーティング層141bは、厚さが変化する形状を有することができる。すなわち、上記コーティング層141bは、上記導電性粒子の表面に均一な厚さを有さず、特定部分は厚く、特定部分は薄くコーティングされることができる。
【0060】
このとき、上記コーティング層141bの厚さは、最も厚い部分から最も薄い地点まで徐々に変化することができる。すなわち、上記コーティング層141bは、最も薄くコーティングされた地点から最も厚くコーティングされた地点までますます厚くなるように形成されることができる。言い換えれば、上記コーティング層141bが形成された複数の導電性粒子は、上記導電性粒子の中心を通るように切断した断面から見たとき、上記導電性粒子が上記コーティング層141bの中心に位置せず、一方向に偏って存在するように形成されることができる。
【0061】
一方、上記コーティング層141bの平均厚さが15nm未満の場合、熱処理工程中にコーティング層141bの一部の部位が溶けて導電性粒子のネッキング現象が円滑に発生するという問題点があり、コーティング層141bの平均厚さが60nmを超える場合、外部電極131、132における導電性粒子間の電気的連結性が低下することがあり、外部電極131、132中の導電性粒子の比率が少なく、内部電極121、122との電気的連結が分離することがある。
【0062】
図7a~図8bを参照すると、図7aは図2のK領域を撮影したSEMイメージであり、図7bは図7aに示すT領域の一部を拡大したSEMイメージである。図8aは、Si-Alコーティング層が形成された板状Cu粒子を含む外部電極において、ガラスが含まれていない図7bに示すM領域のSEM-EDS分析結果であり、図8bはSi-Alコーティング層が形成されていない導電性粒子を含む外部電極において、ガラスが含まれていない領域のSEM-EDS分析結果である。これにより、0402サイズの積層型電子部品を700℃~750℃で熱処理工程を行っても、外部電極においてSiコーティング層141bが板状導電性粒子141aに残存していることが分かる。
【0063】
一方、図9aは、外部電極にSi-Alコーティング層が形成されたCu粒子界面におけるTEM-EDS(Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)イメージ及び分析結果であり、これにより熱処理工程後にもSi及びAl元素が含まれていることが確認できる。図9bは、外部電極にSi-Alコーティング層が形成されていないCu粒子界面におけるTEM-EDSイメージ及び分析結果であり、これによりSi及びAl元素が含まれていないことが確認できる。
【0064】
外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132aを含むことができる。
【0065】
例えば、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及びベース樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0066】
上記ガラスは、外部電極131、132の接合性及び耐湿性を向上させる役割を果たすことができる。すなわち、ガラス成分によって外部電極の電極層131a、132aと本体110の誘電体層111間に接着が維持されることができる。
【0067】
上記ガラスは酸化物が混合された組成であってもよく、特に制限されるものではないが、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0068】
本発明の様々な効果の一つは、上記焼結収縮の収縮率を減少させて外部電極のコーナー厚さが薄く、且つチップのカバレッジを改善させる効果がある。これは、外部電極用導電性粒子にコーティング層141bを塗布し、焼結を遅らせてネッキング又は凝集現象が発生しないようにして収縮率を減少させることにより達成することができる。また、外部電極のうちコーナー部Cの厚さがバンド部B及び接続部Aの厚さに比べて相対的に薄いため、コーナーカバレッジが非常に脆弱であり得るが、上記焼結遅延による収縮率の減少効果によりコーナーカバレッジが改善され、電極又はめっきの切れ現象を抑制することができ、水分又はめっき液の浸透を防止したり、耐湿信頼性を向上させることができ、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0069】
積層型電子部品100の外部電極131、132は導電性粒子を含むペーストを使用して製造することができ、一般に、外部電極131、132用ペーストは導電性粒子、ガラス及びベース樹脂と有機物などを混合して作製することができる。
【0070】
本明細書においてチップカバレッジとは、外部電極131、132の厚さを意味することができる。より具体的に、上記チップカバレッジとは、バンド部B、接続部A、及び上記バンド部Bと接続部Aとを連結してコーナーに配置されるコーナー部Cの厚さD1を意味することができる。したがって、一定厚さ以上の外部電極131、132が形成される場合には、積層型電子部品100のコーナー部Cにおいて本体110が露出せず、電極又はめっきの切れ現象などが発生しなくなる。
【0071】
本明細書においてめっきカバレッジとは、電極層131a、132a上にめっき液を形成して製造されるめっき層131b、132bの厚さを意味することができる。めっきカバレッジが良好な場合、めっき切れ現象が発生しなくなる。
【0072】
本発明の一実施形態において、上記外部電極131、132は、上記第1面1及び第2面2に配置されるバンド部B、上記第3面3及び第4面4に配置される接続部A、上記バンド部Bと接続部Aとを連結し、上記第1面1及び第2面2と第3面3及び第4面4とを連結するコーナーに配置されるコーナー部Cを含み、上記コーナー部の厚さD1は0.1μm以上10μm以下であり得る。
【0073】
より具体的に、第1外部電極131は、本体110の第3面3と、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6の一部をカバーするように配置されることができる。すなわち、第1外部電極131は、本体110の第3面3に配置される接続部A及び上記接続部Aから第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6の一部まで延びるバンド部Bを含むことができる。
【0074】
同様に、第2外部電極132は、本体110の第4面4と、第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6の一部をカバーするように配置されることができる。より詳細には、第2外部電極132は、本体110の第4面4に配置される接続部A及び上記接続部Aから第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6の一部まで延びるバンド部Bを含むことができる。
【0075】
図2を参照すると、積層型電子部品100の第1方向及び第2方向の断面において、接続部A及びコーナー部Cが接する境界を結ぶ第2方向の直線と、バンド部B及びコーナー部Cが接する境界を結ぶ第1方向の直線の間で、上記第2方向の直線を基準にして上記第1方向の直線に大きくなる任意の角度をθ(0°<θ<90°)と定義するとき、任意の角度θの大きさを有する直線と本体110とが接する一地点において、本体110の接線に垂直な方向へのコーナー部の厚さD1が0.1μm以上10μm以下であり得る。
【0076】
一方、コーナー部の厚さD1が0.1μm未満の場合、コーナーカバレッジが薄くなり、物理的な衝撃により外部電極131、132が切れることがあり、これにより本体110が露出することがある。また、めっき層131b、132bを形成する場合には、外部電極131、132のガラスがめっき液により溶けることがあり、部分的に電極又はめっき切れ現象が発生する可能性がある。コーナー部の厚さD1が10μmを超える場合、本発明の様々な目的の一つである外部電極131、132の超薄膜化が達成できず、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成することができないという問題点がある。
【0077】
本発明の一実施形態において、上記接続部の平均厚さD2は5μm以上20μm以下であり得る。
【0078】
上記接続部の平均厚さD2は、第3面3又は第4面4上の等間隔の5個の地点で測定した厚さを平均した値であることができる。具体的な例を挙げると、接続部Aの第1方向の中央地点、上記第1方向の中央地点を基準にして第1方向に5μm離隔した2個の地点、第1方向に10μm離隔した2個の地点で測定した接続部の厚さD2の値を平均した値であることができる。
【0079】
一方、外部電極131、132用ペーストを塗布したり、ディッピング(dipping)工程を用いる場合には、接続部の平均厚さD2がコーナー部の厚さD1より厚くてもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0080】
本発明の一実施形態において、上記複数の導電性粒子は第2導電性粒子142をさらに含み、上記第2導電性粒子142は球状導電性粒子を含み、且つ上記球状導電性粒子は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であることができる。
【0081】
上記第2導電性粒子142は、コーティング層141bが塗布された第1導電性粒子141と異なり、コーティング層141bが形成されなくてもよい。これにより、熱処理工程中に焼結収縮が起こり、第1導電性粒子141間の隙間を埋めることができる。すなわち、電極層131a、132aの気孔率を下げて外部電極131、132における電気的連結性を向上させることができる。但し、必要に応じて、上記球状導電性粒子の表面にもコーティング層141bを形成して第2導電性粒子142を構成することができ、本発明が目的とする焼結収縮の制御を第2導電性粒子142によっても達成することができる。
【0082】
本発明の一実施形態において、上記球状導電性粒子の平均長軸径は0.01μm以上10μm以下であり、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.5以下であることができる。
【0083】
すなわち、完全な球の形状を示している導電性粒子のみを意味するのではなく、製造過程で発生し得る不完全な球形状を含むことができる。
【0084】
本発明の一実施形態において、上記本体110の第1方向及び第2方向の断面において、上記外部電極131、132のうち上記第1導電性粒子141が占める面積比率は30%以上80%であり得る。
【0085】
上記の面積比率は、特定の構成要素の全体積に対する当該成分の面積比率を意味することができ、平均面積比率を意味することができる。
【0086】
具体的に、第1導電性粒子141が占める面積比率は、本体110の第1方向及び第2方向の断面において、上記外部電極131、132のうち第1導電性粒子141が占める面積比率を意味することができる。
【0087】
このとき、ある成分の面積比率を測定する方法は様々であり得るが、積層型電子部品100の断面において当該成分の面積比率を測定して算術平均を計算する方式を用いることができる。
【0088】
例えば、外部電極131、132に含まれた第1導電性粒子141の面積比率は、積層型電子部品100を本体110の第2及び3方向の断面に平行な方向に、同じ間隔で5等分して切断したそれぞれの切断面において、外部電極131、132が配置された領域の全面積のうち、第1導電性粒子141が占める面積の比率に対する算術平均を意味することができる。
【0089】
一方、上記外部電極131、132のうち、上記第1導電性粒子141が占める面積比率が30%未満の場合、上述したように焼結遅延効果、コーナーカバレッジ及びめっきカバレッジが不足する可能性があり、上記外部電極131、132のうち、上記第1導電性粒子141が占める面積比率が80%を超える場合、板状導電性粒子141aが過度に含まれることによって、むしろコーナーの充填率が低下してコーナーカバレッジが不足したり、第2外部電極131、132の電気的連結性に問題が発生したりするおそれがある。
【0090】
本発明の一実施形態において、上記外部電極131、132は、上記複数の導電性粒子を覆うめっき層131b、132bをさらに含むことができる。
【0091】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bは、スパッタ又は電解めっきによって形成されることができるが、特にこれに制限されるものではない。めっき層の種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層はNi又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びPdめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。めっき層を含むことにより、基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性及び/又は等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0092】
一方、本体110の第3及び第4面3、4と、第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6の一部をカバーするように配置される外部電極131、132を有する積層型電子部品100の場合には、めっき液による外部電極131、132の侵食がほとんど本体110の第3及び第4面3、4の各コーナー部分で発生するという問題点が生じる可能性がある。
【0093】
本明細書で説明する積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。但し、小型及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層111及び内部電極121、122の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明による信頼性の向上効果がより顕著となり得る。
【0094】
積層型電子部品の製造方法
以下において、積層型電子部品100に関する説明は上述したものと同様であるため省略する。
【0095】
次に、積層型電子部品100の製造方法について具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではなく、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100の製造方法に関する説明のうち、上述した本発明の一実施形態による積層型電子部品100と重複する説明は省略する。また、本発明の一実施形態を説明するために積層型電子部品100の製造方法を例に挙げて説明するが、本発明はこれに制限されるものではなく、複数の誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と外部電極131、132を含む積層型電子部品100の製造方法に適用することができる。
【0096】
本発明の他の一実施形態である積層型電子部品100の製造方法は、複数の誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極を含む本体を準備する段階と、上記内部電極と連結され、複数の導電性粒子を含む外部電極を準備する段階と、を含み、上記複数の導電性粒子は第1導電性粒子を含み、上記第1導電性粒子は表面にSi-Alコーティング層が形成された板状導電性粒子であり、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であり、上記外部電極を準備する段階の後、上記コーティング層のSi含有量が上記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下であることができる。
【0097】
上記本体110を準備する段階は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを設けて誘電体層111を形成することができる。
【0098】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)状に作製することができる。
【0099】
次に、ニッケル(Ni)粉末を含む内部電極121、122用ペーストを設けることができる。
【0100】
上記グリーンシート上に上記内部電極121、122用ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極121、122を形成した後、内部電極121、122が印刷されたグリーンシートを複数個の層で積層し、積層材の上下面に内部電極121、122が印刷されていないグリーンシートを複数積層した後、焼成して本体110を作製することができる。
【0101】
上記本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122を含むことができ、上記誘電体層111は、内部電極121、122が印刷されたグリーンシートを焼成して形成されたものである。
【0102】
上記内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122で形成されることができる。
【0103】
上記外部電極131、132を準備する段階は、上記内部電極121、122と連結され、複数の導電性粒子を含んで電極層131a、132aを形成することができる。
【0104】
上記複数の導電性粒子は第1導電性粒子141を含み、上記第1導電性粒子141は表面にSi-Alコーティング層が形成された板状導電性粒子141aであり、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であり、上記外部電極131、132を準備する段階の後、上記コーティング層のSi含有量が上記板状導電性粒子に対して0.3at%以上2.0at%以下であることができる。
【0105】
上記第1導電性粒子141は、溶媒に板状導電性粒子141aを分散させた後、Siコーティング剤を上記板状導電性粒子141aに対して1wt%以上8wt%以下添加してコーティングを行って形成することができる。その後、上記第1導電性粒子141を乾燥させ、乾燥された第1導電性粒子141を外部電極131、132用ペーストの製造時に添加することができる。このとき、上記コーティング剤はAlをさらに含むことができる。
【0106】
一方、電極層131a、132aは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122と連結されるように、本体110の外部面に第1電極層131a及び第2電極層132aが形成されることができ、上記第1電極層131a及び第2電極層132aは、伝導性金属及びガラスを含むペーストの焼成によって形成されることができる。
【0107】
本発明の一実施形態において、上記外部電極131、132を準備する段階は熱処理工程を含み、上記熱処理工程の間、上記第1導電性粒子141の収縮率が10%以下であり得る。
【0108】
本発明の一実施形態において、上記本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を含み、上記外部電極131、132は、上記第1面1及び第2面2に配置されるバンド部B、上記第3面3及び第4面4に配置される接続部A、上記バンド部Bと接続部Aとを連結し、上記第1面1及び第2面2と第3面3及び第4面4とを連結するコーナーに配置されるコーナー部Cを含み、上記コーナー部の厚さD1は0.1μm以上10μm以下であり得る。
【0109】
本発明の一実施形態において、上記接続部の平均厚さは5μm以上20μm以下であり得る。
【0110】
以下では、実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは、本発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0111】
(実験例)
Si-Alコーティング層が形成された板状Cu粒子の収縮率(焼結遅延)、コーナーカバレッジ、めっきカバレッジ及びSi凝集に対する評価を行い、これに対する詳細な測定方法又は評価方法については、以下で図10図14を参照して詳細に説明する。
【0112】
図10に示すグラフの横軸は、熱処理前の上記Si-Alコーティング層に含まれたSi含有量(wt%)であり、縦軸は熱処理後の上記Si-Alコーティング層に残存するSi含有量(wt%、at%)を示すグラフである。これにより、熱処理前後のSi-Alコーティング層が含むSi含有量の具体的な数値は、下記表1から確認することができ、特別な記載がない限り、表2~表4においても同じ数値でSi含有量を適用することができる。
【0113】
まず、下記表1はSi含有量に応じた収縮率データである。ここで、収縮率は焼結遅延効果を意味することができる。このとき、収縮率が10%以下の場合、焼結遅延効果があると評価し、具体的なサンプルの作製方法及び測定方法は次の通りである。
【0114】
まず、銅パウダー(Cu powder):バインダー(binder):溶媒(solvent)を重量部基準100:6.5:3.5で混合してペースト(paste)製造後、three roll mill装備で10barの圧力条件で10回にわたってロール分散させる。ここで、three roll millは、3つのローラを用いてローラギャップ(roller gap)を通過するペースト状の材料を、ローラ(roller)の圧力とローラの回転比の差から発生する剪断力を用いて粉砕、混合、分散する装備である。
【0115】
上記ペーストをシリコン離型フィルム(Release liner film)の上に100μmレベルに薄くキャスティング(casting)し、80℃温度条件の乾燥オーブンで2時間以上乾燥させて溶媒を除去する。ここで、シリコン離型フィルムとは、ペースト保護を目的として使用されるフィルムの一種であり、ペーストから容易に剥離可能な機能を有するフィルムである。
【0116】
上記乾燥された銅シート(Cu sheet)をフィルムから剥がし、乳鉢(mortar)を用いて粉砕、パウダー(powder)状に作製する。
【0117】
圧着ホルダーに上記パウダーを入れて加圧し、ペレット(pellet)状にして直径、高さ、大きさを測定して体積V1を計算する。
【0118】
その後、730℃の温度で70分間熱処理を行った後、直径、高さ、大きさを測定して体積V2を計算する。
【0119】
最後に、体積変化率((V1-V2)/V1)×100%)を計算して収縮率を下記表1に記載した。
【0120】
【表1】
【0121】
図11は、熱処理前を基準に、Si含有量を異ならせてコーティング層を形成した板状Cu粒子を含む複数のCu粒子を、730℃で70分間熱処理工程を行って撮影したSEMイメージである。
【0122】
図11及び上記表1を参照すると、熱処理後を基準に、コーティング層にSiが0.3at%以上含まれる場合、収縮率が10%以下であることが確認でき、焼結遅延効果があると評価した。また、Si含有量が0.83at%以上の場合では、Cu粒子間にネッキングが全く発生していない。Si含有量が0.3at%未満の場合、収縮が過度に発生し、焼結遅延効果が僅かである可能性があり、これにより、コーナーカバレッジ及びめっきカバレッジが不足する可能性がある。
【0123】
下記表2は、Si含有量によるコーナーカバレッジに関するデータである。このとき、緻密度が85%以上の場合、めっきカバレッジが優れていると評価し、具体的な評価方法は以下の通りである。
【0124】
図12を参照すると、外部電極の一コーナー部分を、Image Jプログラムのイメージング分析ツールを用いてコーナー部分のカバレッジを下記表2のように数値化した。ここで、Image Jプログラムは、ピクセル(Pixel)単位からなっているデジタルイメージ(Digital Image)に対して画像処理を行うことで、上記デジタルイメージのピクセルを分析して気孔率を分析することができ、これを数値化して緻密度として示した。
【0125】
【表2】
【0126】
図12及び上記表2を参照すると、熱処理後を基準に、コーティング層にSiが0.3at%以上含まれる場合、緻密度が85%以上であることが確認できる。Si含有量が0.3at%未満の場合、コーナーカバレッジが不足して外部電極の切れ現象が発生したり、本体が露出して積層型電子部品の信頼性が低下する可能性がある。
【0127】
下記表3は、Si含有量によるめっきカバレッジに関するデータである。このとき、めっきカバレッジの不良率が31%未満の場合、めっきカバレッジが良好であると評価し、具体的な評価方法は以下の通りである。
【0128】
図13a及び図13bを参照すると、外部電極を第1方向及び第3方向の平面から第2方向に見たとき、サンプルチップを4つの均等な領域に分けて各領域においてめっき切れ部分があるかを確認した。
【0129】
例えば、図13aは、熱処理前を基準に、Si含有量0wt%の場合に外部電極の一断面を4つの領域に分けたSEMイメージである。4つの領域すべてにおいてめっき切れ現象が観察されることが確認できる。
【0130】
同様の方法でサンプルチップ9個についてめっきカバレッジを評価し、それに対するデータを下記表3に示す。すなわち、サンプルチップ9個をそれぞれ4つの領域に分けてめっき切れの総個数を確認し、不良数(めっき切れ領域の個数/36)及び不良率((めっき切れ領域の個数/36)×100%)で示した。
【0131】
【表3】
【0132】
図13b及び上記表3を参照すると、熱処理後を基準に、コーティング層にSiが0.83at%以上含まれる場合、不良率が31%未満であることが確認できる。これに対し、Si含有量が0.3at%未満の場合、不良率が58.3%以上であることが確認でき、これは、めっきカバレッジが不足してめっき切れ現象が頻繁に発生することにより積層型電子部品の信頼性が低下し得ることを示す。
【0133】
下記表4は、Si含有量に応じたEPMA/EDS(Electron Probe Micro-Analyser)をマッピング(mapping)して得たデータであり、上記データ値は面分析により得た面積百分率をデータ化した値である。すなわち、試料において、一つの元素の相対的な面積比を確認するために測定が必要な元素が分布している面積を測定する方法である。ここで、EPMA/EDS分析結果によるSi面積百分率が4%を超える場合、ペーストにおいてCu粒子の分散性の低下をもたらし得ると評価した。
【0134】
【表4】
【0135】
図14及び上記表4を参照すると、熱処理後を基準に、コーティング層にSiが2.0at%以上含まれる場合、Si凝集現象が頻繁に発生したことが確認でき、これにより、外部電極用ペーストにおいてCu粒子の分酸性が低下する可能性がある。
【0136】
実験例を通じて上述した測定評価方法によると、熱処理後を基準に、コーティング層にSiが0.3at%以上2.0at%以下存在する場合、焼結遅延効果、コーナーカバレッジ、めっきカバレッジ及びSi凝集現象の一部又は全体の評価において優れる結果を示していることが確認できる。
【0137】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0138】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
131、132:外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:めっき層
141:第1導電性粒子
141a:板状導電性粒子
141b:コーティング層
142:第2導電性粒子
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14