(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095796
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】油圧機械
(51)【国際特許分類】
F15B 21/14 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
F15B21/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194725
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187541
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520485941
【氏名又は名称】ボルボ・コンストラクション・イクイップメント・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】VOLVO CONSTRUCTION EQUIPMENT AB
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ソンギュン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ビョンホ
(72)【発明者】
【氏名】アン・ホンファン
(72)【発明者】
【氏名】チュ・サンギュ
(72)【発明者】
【氏名】イ・スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,テラン
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089BB04
3H089CC01
3H089CC08
3H089DA02
3H089DA13
3H089DC02
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アクチュエータから排出される油圧エネルギーを利用して選択的に動力源の燃料消費を節減するか、ポンプの最大出力パワーをブースティングすることができる油圧機械を提供する。
【解決手段】油圧機械は、ポンプと、アクチュエータと、アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを回収する回収部と、制御部を含む。回収部は、アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを貯蔵するアキュムレータと、アキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーを利用して動力源をアシストするアシストユニットを含む。制御部は、エコモードが選択されるか、アシストユニットが動力源をアシストしない時には、ポンプの出力パワーがP1max以下になるように制御し、ブースティングモードが選択され、アシストユニットが動力源をアシストする時には、ポンプの出力パワーがP2max(>P1max)以下になるように制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、
前記動力源から動力の提供を受けて流体を加圧して圧油を供給するポンプと、
前記ポンプから圧油の供給を受けて作業を遂行するアクチュエータと、
前記アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを回収する回収部と、
オペレータからエコモードまたはブースティングモードの選択の入力を受ける第1オペレータ入力装置と、
制御部と、を含み、
前記回収部は、
前記アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを貯蔵するアキュムレータと、
前記アキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーを利用して前記動力源をアシストするアシストユニットと、を含み、
前記制御部は、
前記エコモードが選択されるか、または、前記アシストユニットが前記動力源をアシストしない時には、前記ポンプの出力パワーがP1max以下になるように前記ポンプを制御し、
前記ブースティングモードが選択され、前記アシストユニットが前記動力源をアシストする時には、前記ポンプの出力パワーがP2max以下になるように前記ポンプを制御し、
ここで、P1max<P2maxである、油圧機械。
【請求項2】
前記動力源の回転速度を設定するための第2オペレータ入力装置を追加的に含み、
前記P1maxは、前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わり、
前記P2maxは、前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わる、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項3】
前記P2maxは、前記アキュムレータに貯蔵された前記油圧エネルギーのレベルによって変わる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧機械。
【請求項4】
前記アクチュエータの所望の動きを指令するように操作される第3オペレータ入力装置を追加的に含み、
前記制御部は、前記ポンプの容積が前記第3オペレータ入力装置の操作量によって変わるように制御するが、
前記エコモードが選択されるか、または前記アシストユニットが前記動力源をアシストしない時には、前記ポンプの出力パワーがP1maxを超過しないように前記ポンプの容積を制限し、
前記ブースティングモードが選択され、前記アシストユニットが前記動力源をアシストする時には、前記ポンプの出力パワーがP2maxを超過しないように前記ポンプの容積を制限する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項5】
前記動力源は、一定の回転速度で前記ポンプを回転駆動するように制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項6】
前記動力源の回転速度を設定するための第2オペレータ入力装置を追加的に含み、
前記一定の回転速度は、前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わる、ことを特徴とする請求項5に記載の油圧機械。
【請求項7】
前記制御部は、
前記ブースティングモードが選択された状態で、
前記ポンプの出力パワーがP1max以下であり、前記アキュムレータに充電されたエネルギーが既に設定された閾値以下ならば、前記アシストユニットが前記動力源をアシストしないように前記回収部を制御し、
前記ポンプの出力パワーがP1maxを超過するか、または前記アキュムレータに充電されたエネルギーが前記閾値を超過すれば、前記アシストユニットが前記動力源をアシストするように前記回収部を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項8】
前記回収部は、前記アキュムレータと前記アシストユニットとの間の流体の流れを許容/遮断するディスチャージバルブを追加的に含み、前記アシストユニットが前記動力源をアシストするためには前記ディスチャージバルブを開放し、前記アシストユニットが前記動力源をアシストしないようにするためには前記ディスチャージバルブを閉鎖する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項9】
前記回収部は、前記アクチュエータのラージチャンバと前記アキュムレータとの間の流体の流れを許容/遮断するチャージバルブを追加的に含み、前記アキュムレータを充電するようにするためには前記チャージバルブを開放し、前記アキュムレータを充電しないようにするためには前記チャージバルブを閉鎖する、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【請求項10】
前記油圧機械は前記ポンプに流体を提供するタンクを追加的に含み、
前記回収部は、
前記アクチュエータのラージチャンバから前記アキュムレータに延長される回収ラインと、
前記回収ラインから前記アクチュエータのスモールチャンバへの流体の流れを許容/遮断する再生バルブと、
前記回収ラインから前記タンクへの流体の流れを許容/遮断するリターンバルブを追加的に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の油圧機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は油圧機械に関するものであり、より詳細には、アクチュエータから排出される油圧エネルギーを利用して選択的に動力源の燃料消費を節減するか、またはポンプの最大出力パワーをブースティングすることができる油圧機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、アクチュエータから排出される流体のエネルギーを回収し、これを利用して動力源をアシストするハイブリッド油圧機械が注目されている。しかし、このようなハイブリッド油圧機械は回収されたエネルギーを燃料節減の側面で利用するだけであるので、作業装置のパワーや速度面でオペレータの要求に応じることができないことがあるという限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示内容は、上記の問題点を解決するために案出されたものであり、ハイブリッド油圧機械において、回収されたエネルギーを燃料節減のために利用することに留まらず、オペレータが作業装置の高速な作動速度を要求する場合、回収されたエネルギーをこのような要求を満たすのに利用することで、オペレータの装備使用の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本開示内容は、動力源と、前記動力源から動力の提供を受けて流体を加圧して圧油を供給するポンプと、前記ポンプから圧油の供給を受けて作業を遂行するアクチュエータと、前記アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを回収する回収部と、オペレータからエコモードまたはブースティングモードの選択の入力を受ける第1オペレータ入力装置と、制御部と、を含み、前記回収部は、前記アクチュエータから排出される圧油を受けて油圧エネルギーを貯蔵するアキュムレータと、前記アキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーを利用して前記動力源をアシストするアシストユニットと、を含む油圧機械を提供することができる。
【0005】
いくつかの実施例では、前記制御部は、前記エコモードが選択されるか、または前記アシストユニットが前記動力源をアシストしない時には、前記ポンプの出力パワーがP1max以下になるように前記ポンプを制御し、前記ブースティングモードが選択され、前記アシストユニットが前記動力源をアシストする時には、前記ポンプの出力パワーがP2max以下になるように前記ポンプを制御し、ここでP1max<P2maxであり得る。
【0006】
いくつかの実施例では、前記動力源の回転速度を設定するための第2オペレータ入力装置を追加的に含み、前記P1maxは、前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わり、前記P2maxは、前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記P2maxは、前記アキュムレータに貯蔵された前記油圧エネルギーのレベルによって変わることができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記アクチュエータの所望の動きを指令するように操作される第3オペレータ入力装置を追加的に含み、前記制御部は、前記ポンプの容積が前記第3オペレータ入力装置の操作量によって変わるように制御するが、前記エコモードが選択されるか、または前記アシストユニットが前記動力源をアシストしない時には、前記ポンプの出力パワーがP1maxを超過しないように前記ポンプの容積を制限して、前記ブースティングモードが選択され、前記アシストユニットが前記動力源をアシストする時には、前記ポンプの出力パワーがP2maxを超過しないように前記ポンプの容積を制限することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記動力源は、一定の回転速度で前記ポンプを回転駆動するように制御されることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記動力源の回転速度を設定するための第2オペレータ入力装置を追加的に含み、前記一定の回転速度は前記第2オペレータ入力装置を通じて入力された入力値によって変わることができる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記制御部は、前記ブースティングモードが選択された状態で、前記ポンプの出力パワーがP1max以下であり、前記アキュムレータに充電されたエネルギーが既に設定された閾値以下の場合、前記アシストユニットが前記動力源をアシストしないように前記回収部を制御し、前記ポンプの出力パワーがP1maxを超過するか、または前記アキュムレータに充電されたエネルギーが前記閾値を超過する場合には、前記アシストユニットが前記動力源をアシストするように前記回収部を制御することができる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記回収部は、前記アキュムレータと前記アシストユニットの間の流体の流れを許容/遮断するディスチャージバルブを追加的に含み、前記アシストユニットが前記動力源をアシストするためには前記ディスチャージバルブを開放し、前記アシストユニットが前記動力源をアシストしないようにするためには前記ディスチャージバルブを閉鎖することができる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記回収部は、前記アクチュエータのラージチャンバと前記アキュムレータとの間の流体の流れを許容/遮断するチャージバルブを追加的に含み、前記アキュムレータを充電するようにするためには前記チャージバルブを開放し、前記アキュムレータを充電しないようにするためには前記チャージバルブを閉鎖することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記油圧機械は、前記ポンプに流体を提供するタンクを追加的に含み、前記回収部は前記アクチュエータのラージチャンバから前記アキュムレータに延長される回収ラインと、前記回収ラインから前記アクチュエータのスモールチャンバへの流体の流れを許容/遮断する再生バルブと、前記回収ラインから前記タンクへの流体の流れを許容/遮断するリターンバルブを追加的に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】いくつかの実施例による油圧機械の外観を示す図である。
【
図2】いくつかの実施例による油圧機械を説明する回路図である。
【
図3】いくつかの実施例による油圧機械を説明する回路図である。
【
図4】本開示内容の一実施例によって、エコモードが選択された場合、ポンプ及び動力源のパワーとアキュムレータ内のエネルギーの変化の例を説明する図である。
【
図5】本開示内容の一実施例によって、ブースティングモードが選択された場合、ポンプ及び動力源のパワーとアキュムレータ内のエネルギーの変化の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本開示内容の実施例を詳細に説明する。
【0017】
図1は、いくつかの実施例による油圧機械の外観を示す図である。
【0018】
油圧機械は油圧を利用して作業装置300を作動させて作業を遂行することができる。いくつかの実施例では、油圧機械は建設機械であり得る。
【0019】
いくつかの実施例では、油圧機械は
図1に示すような掘削機であり得る。油圧機械は、上部構造体(Upper structure)100と、下部構造体(Lower structure)200と、作業装置(Working device)300と、を含むことができる。
【0020】
下部構造体200は、走行アクチュエータを含み、油圧機械の走行ができるようにする。走行アクチュエータは油圧モータであり得る。
【0021】
上部構造体100は、タンク、ポンプ、動力源、制御バルブなどを含むことができる。また、上部構造体100は、旋回アクチュエータを含み、下部構造体200に対して回転をすることができる。旋回アクチュエータは油圧モータであり得る。
【0022】
作業装置300は、油圧機械が作業を遂行できるようにする。作業装置300は、ブーム311、アーム321及びバケット331とこれらを作動させるブームアクチュエータ313、アームアクチュエータ323及びバケットアクチュエータ333を含むことができる。ブームアクチュエータ313、アームアクチュエータ323及びバケットアクチュエータ333は油圧シリンダーであり得る。
【0023】
図2は、いくつかの実施例による油圧機械を説明する回路図である。
【0024】
いくつかの実施例では、油圧機械は、アクチュエータと、エネルギー回収部500と、タンク101と、制御部107と、を含ことができる。いくつかの実施例では、アクチュエータは、ブームアクチュエータ313であり得る。エネルギー回収部500はブームアクチュエータ313とタンク101との間に提供されてもよい。エネルギー回収部500は、ブームアクチュエータ313に連結され、ブームアクチュエータ313から排出される流体からエネルギーを回収することができる。いくつかの実施例では、エネルギー回収部500はアキュムレータ508とアシストユニット525を含むことができる。いくつかの実施例では、エネルギー回収部500は、チャージバルブ517とディスチャージバルブ521を含むことができる。いくつかの実施例では、エネルギー回収部500は、リターンバルブ513と、再生バルブ509を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施例では、油圧機械はエネルギー消費部400を含むことができる。エネルギー消費部400はタンク101とブームアクチュエータ313との間に提供されてもよい。エネルギー消費部400はブームアクチュエータ313に連結され、ブームアクチュエータ313に加圧流体を供給してブームアクチュエータ313から排出される流体をタンク101にリターンさせる回路である。いくつかの実施例では、エネルギー消費部400は、動力源401と、主なポンプ403と、制御バルブ409と、を含むことができる。主なポンプ403はブームアクチュエータ313に圧油を送ることができる。動力源401は主なポンプ403を駆動することができる。いくつかの実施例では、動力源401は内燃機関などのようなエンジン、電気モータなどを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施例では、油圧機械は、通常時にはエネルギー消費部400を利用して作業装置を駆動し、ハイブリッド機能を遂行しようとする時にはエネルギー回収部500を利用してエネルギーを回収することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、動力源401は、メイン軸405を通じて主なポンプ403に動力を伝達して主なポンプ403を駆動させることができる。主なポンプ403は、流体が加圧された加圧流体をブームアクチュエータ313に供給することができる。ブームアクチュエータ313は、主なポンプ403から加圧流体を受ける一方、流体をタンク101にリターンすることができる。ブームアクチュエータ313は主なポンプ403から受けた加圧流体の力をブームに提供してブームを作動させることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、ブームアクチュエータ313は油圧シリンダーであり得るし、ブームアクチュエータ313はラージチャンバ313aとスモールチャンバ313bを含むことができる。ブームと連結されるピストンロードがスモールチャンバ313bを貫通するので、ピストンロードが占有する面積によってスモールチャンバ313b内の流体がピストンと接触する面積(Ab)はラージチャンバ313a内の流体がピストンと接触する面積(Aa)より小さい。
図1とともに参照すると、ブームが下降するブームダウンオペレーション時には、ピストンロードも下降し、したがって、スモールチャンバ313bに流体が流入され、ラージチャンバ313a内の流体は排出される。
【0029】
制御バルブ409は、主なポンプ403、タンク101及びブームアクチュエータ313を連結し、これらの間に流体の流れ方向を制御することができる。いくつかの実施例では、制御バルブ409は、中立ポジション、第1非中立ポジションまたは第2非中立ポジションにあり得る。中立ポジションにある時、制御バルブ409はブームアクチュエータ313との流体の連通を遮断し、主なポンプ403から来た流体を、中央バイパス通路を通じてタンク101にリターンさせることができる。制御バルブ409が第1非中立ポジションにある時、制御バルブ409は主なポンプ403から来た流体が中央バイパス通路を通じてタンク101にリターンすることを遮断し、主なポンプ403から来た流体をスモールチャンバ313bに送って、ラージチャンバ313aから来た流体をタンク101に送って、ブームをダウンさせることができる。制御バルブ409が第2非中立ポジションにある時、制御バルブ409は主なポンプ403から来た流体が中央バイパス通路を通じてタンク101にリターンすることを遮断し、主なポンプ403から来た流体をラージチャンバ313aに送って、スモールチャンバ313bから来た流体をタンク101に送ってブームをアップさせることができる。
【0030】
いくつかの実施例では、油圧機械は制御バルブ409を切替させるために第3オペレータ入力装置105を含むことができる。運転者は、第3オペレータ入力装置105を操作してブームを上昇させるか、または下降させるという要求を入力することができる。いくつかの実施例では、第3オペレータ入力装置105はレバーであってもよいが、本開示内容がこれに限定されるものではない。
【0031】
いくつかの実施例では、第3オペレータ入力装置105は電気式入力装置であり、運転者の要求に相応する電気信号を生成して制御部107に送ることができる。いくつかの実施例では、油圧機械はパイロットポンプ115と電子比例減圧バルブ117を含むことができる。第3オペレータ入力装置105から電気信号を受ければ、これに対応して制御部107は制御信号を電子比例減圧バルブ117に送って、電子比例減圧バルブ117を作動させることができる。電子比例減圧バルブ117が第1ポジションにある時、電子比例減圧バルブ117はパイロットポンプ115から来たパイロット流体を制御バルブ409に送って、制御バルブ409を作動させることができる。電子比例減圧バルブ117が第2ポジションにある時、電子比例減圧バルブは、パイロットポンプ115から制御バルブ409へのパイロット流体の流れを遮断し、制御バルブ409に提供されたパイロット流体を排出させることができるようにする。
【0032】
リターンバルブ513は、ラージチャンバ313aとタンク101との間に提供され、ラージチャンバ313aからタンク101への流体の流れを許容するか、または遮断することができる。再生バルブ509は、ラージチャンバ313aとスモールチャンバ313bを連結してラージチャンバ313aからスモールチャンバ313bへの流体の流れを許容または遮断することができる。チャージバルブ517はラージチャンバ313aとアキュムレータ508との間に提供され、ラージチャンバ313aからアキュムレータ508への流体の流れを許容するか、または遮断することができる。
【0033】
アシストユニット525は動力を回収する構成部である。いくつかの実施例では、アシストユニット525は油圧モータ(アシストモータ)であり得る。アシストモータは動力源401を補助して回収された動力を動力源401に供給することができる。このために、いくつかの実施例では、油圧機械は動力伝達部を含むことができる。動力伝達部は、動力源401とアシストユニット525に連結され、アシストユニット525と動力源401との間に動力を伝達することができる。いくつかの実施例では、動力伝達部は、動力源401と主なポンプ403とを連結するメイン軸405、アシストモータに連結されたアシスト軸527、及び動力伝達機構119を含むことができる。いくつかの実施例では、動力伝達機構119は、
図2に示すようなギア列を含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなくて、その他多様な他の実施例を有することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、油圧機械は、運転者からハイブリッドモードの選択または選択解除要求の入力を受ける第4オペレータ入力装置(図示せず)を含むことができる。第4オペレータ入力装置にハイブリッドモードの選択要求が入力されて第3オペレータ入力装置105にブームダウンの要求が入力されると、制御部107は、制御バルブ409にパイロット流体が供給されることができないように電子比例減圧バルブ117を制御することで、制御バルブ409を中立ポジションに切替させ、ブームアクチュエータ313とエネルギー消費部400との間の流体の流れを遮断することができる。よって、ハイブリッドモードが選択された状態でブームダウンオペレーションは、主なポンプ403から加圧流体の供給なしに自重のみによってなされることができる。第4オペレータ入力装置にハイブリッドモードの選択解除の要求が入力されるか、または、第4オペレータ入力装置にハイブリッドモードの選択要求が入力されても第3オペレータ入力装置105にブームダウンの要求の入力がなければ、制御部107は、リターンバルブ513、再生バルブ509及びチャージバルブ517を切替させ、ブームアクチュエータ313とエネルギー回収部500との間の流体の流れを遮断させることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、ブームを下降させるブームダウンオペレーション時、リターンバルブ513はラージチャンバ313aからタンク101への流体の流れを遮断するように作動することができる。ラージチャンバ313a内の圧力とアキュムレータ508内の圧力の差がほとんど0に近づく時、ブームダウン速度が遅くなるが、いくつかの実施例では、この時点でリターンバルブ513が開放されることがある。ブームダウンオペレーション時、再生バルブ509はラージチャンバ313aからスモールチャンバ313bへの流体の流れを許容するように作動することができる。ブームダウンオペレーション時、チャージバルブ517はラージチャンバ313aからアキュムレータ508への流体の流れを許容するように作動することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、エネルギー回収部500は、ラージチャンバ313aとアシストユニット525を連結する回収ライン523を含むことができる。いくつかの実施例では、チャージバルブ517は回収ライン523上に提供されることができる。いくつかの実施例では、ディスチャージバルブ521は、回収ライン523上に提供されることができる。いくつかの実施例では、アキュムレータ508はチャージバルブ517とディスチャージバルブ521との間の第1支点で回収ライン523に連結されることができる。チャージバルブ517は回収ライン523を通じてラージチャンバ313aからアキュムレータ508への流体の流れを許容するか、または遮断することができる。ディスチャージバルブ521は、第1支点とアシストユニット525との間で回収ライン523上に設置され、アキュムレータ508からアシストユニット525への流体の流れを許容するか、または遮断することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、制御部107は、ブームダウンオペレーション時、ラージチャンバ313aで高圧に放出される流量の約半分程度が再生バルブ509を通じて再生され、残りの流量はチャージバルブ517を通じてアキュムレータ508に貯蔵されるように制御することができる。貯蔵流量は、ディスチャージバルブ521を経てアシストユニット525に供給され得る。この時、再生バルブ509とチャージバルブ517及びディスチャージバルブ521の開放面積をどのように制御するかによってブームダウンエネルギーの損失量が決定される。いくつかの実施例では、ブームダウンオペレーション時(すなわち、第3オペレータ入力装置105を通じた運転者のブームダウンオペレーションの要求が制御部107に入力されることによって)、制御部107は、圧力損失が一番少ないように再生バルブ509とチャージバルブ517とを最大限開いて、リターンバルブ513を閉鎖させることができる。また、ブームダウンオペレーション時(すなわち、第3オペレータ入力装置105を通じた運転者のブームダウンオペレーションの要求が制御部107に入力されることによって)、制御部107はアシストユニットの基本的損失を考慮し、ブームダウンオペレーションの初期にはディスチャージバルブ521の開放面積を、再生バルブ509の開放面積及びチャージバルブ517の開放面積より小さくして、その後にディスチャージバルブ521を最大限開いてブームダウン動作の特性に合うように制御することができる。他のいくつかの実施例では、ブームダウンオペレーションが始まる時にディスチャージバルブ521が閉鎖され、アキュムレータ508内の圧力が所定大きさ以上になる時に、ディスチャージバルブ521が開放されることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、油圧機械は、アキュムレータ508内の圧力を測定する第1センサ519を含むことができる。また、ラージチャンバ313a内の圧力を測定する第2センサ507と、スモールチャンバ313b内の圧力を測定する第3センサ505と、を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施例では、油圧機械は、オペレータからエコモードまたはブースティングモードの選択の入力を受ける第1オペレータ入力装置109を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施例では、油圧機械は動力源の回転速度を設定するための第2オペレータ入力装置106を含むことができる。
【0041】
図3は、いくつかの実施例による油圧機械を説明する回路図である。
【0042】
いくつかの代替実施例では、第3オペレータ入力装置105は減圧バルブが内蔵された油圧式入力装置であり、油圧機械は補助バルブ117aを含むことができる。このようないくつかの代替実施例では、パイロットポンプ115が第3オペレータ入力装置105の減圧バルブに連結され、減圧バルブは第3オペレータ入力装置105を通じて入力された運転者の要求に相応する油圧信号を補助バルブ117aに送ることができる。いくつかの実施例では、油圧機械は減圧バルブから補助バルブ117aに送られる油圧信号の圧力を測定することができるセンサを含み、センサは油圧信号に対応する電気信号を生成して制御部107に提供することができる。よって、制御部107が第3オペレータ入力装置105に直接的に連結されていなくても、制御部107は、運転者からどのような要求があるか、すなわち、ブームダウンオペレーションの要求があるのか、それとも、ブームアップオペレーションの要求があるのかを知ることができる。第4オペレータ入力装置を通じてハイブリッドモードの選択解除の要求が入力されると、第3オペレータ入力装置105によって生成された油圧信号は補助バルブ117aを通じて制御バルブ409に提供されることができる。しかし、第4オペレータ入力装置にハイブリッドモードの選択要求が入力されると、制御部107は、第3オペレータ入力装置105にブームダウンの要求が入力されても、パイロット流体が制御バルブ409に供給されることができないように補助バルブ117aを制御することで、制御バルブ409を中立ポジションに切替させ、ブームアクチュエータ313とエネルギー消費部400との間の流体の流れを遮断することができる。
【0043】
図4は、本開示内容の一実施例によって、エコモードが選択された場合、ポンプ及び動力源のパワーとアキュムレータ内のエネルギーの変化の例を示し、
図5は、本開示内容の一実施例によって、ブースティングモードが選択された場合、ポンプ及び動力源のパワーとアキュムレータ内のエネルギーの変化の例を示す。
【0044】
図4及び
図5において、‘s’は動力源に対するアシストの開始点を示し、‘a’は動力源パワーリミット、‘b’は使用された動力源パワー、‘c’はポンプパワー、‘d’はアキュムレータエネルギーを示す。
【0045】
第1オペレータ入力装置109を通じてブースティングモードが選択された場合、ポンプ403の最大出力パワーを高めることができるし、エコモードが選択された場合、ポンプ403の最大出力パワーを高める代わりに動力源401が消費する燃料を節減することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、アシストユニット525が動力源401をアシストしない時(すなわち、
図2及び
図3に示すようなディスチャージバルブ521の閉鎖時)や、
図4に示すようにエコモードが選択された時には、ポンプ403の出力パワーがP1max(P1マックス)以下になるようにポンプ403を制御することができる。一方、
図5に示すようにブースティングモードが選択された状態で、アシストユニット525が動力源401をアシストする時(すなわち、
図2及び
図3に示したところのようなディスチャージバルブ521の開放時)にはポンプ403の出力パワーがP2max(P2マックス)以下になるようにポンプ403を制御することができる。ここで、P1max<P2maxである。
【0047】
ポンプ403の製造会社が提示するポンプ403の最大トルクの仕様が、例えば、2300Nmで提示されたとしても、油圧機械の製造会社は、一般的に装備安全性のためにポンプ403の最大トルクを例えば、2000Nmに下げて設定する。よって、必要な場合には、ポンプ403の最大トルクをある程度上げても構わないため、この差を利用することができる。
【0048】
図4は、オペレータが第3オペレータ入力装置105を通じて要求する流量によって決定されるポンプ403の出力パワーがP1maxを超過する場合を仮定する。オペレータの要求を満たすためにはP1maxを超過するパワーがポンプ403から出力されなければならないが、最大出力パワーの制限のためにポンプ403の出力パワーはP1maxに制限される。アシストユニット525のアシストがない時には(動力伝達損失を無視する時)、動力源401はP1maxのパワーをポンプ403に供給し、アシストユニット525のアシストがある時には、動力源401は、アシストされたパワーの量だけパワーの供給を減らすことができるし、したがって、動力源401の燃料消費を節減することができる。
【0049】
図5も、オペレータが第3オペレータ入力装置105を通じて要求する流量によって決定されるポンプ403の出力パワーがP1maxを超過する場合を仮定する。オペレータの要求を満たすためにはP1maxを超過するパワーが出力されなければならないが、最大出力パワーの制限ためにポンプ403の出力パワーはP1maxで制限される。よって、アシストユニット525のアシストがない時には(動力伝達損失を無視する時)、動力源401はP1maxのパワーをポンプ403に供給するようになる。但し、アシストユニット525のアシストがある時にはこれを考慮してポンプ403の最大出力パワーを高めることができる。但し、この場合でもポンプ403の最大出力パワーを無制限で増加させることはできなくて、最大出力パワーをP2maxで制限する。この場合、エコモードと同じ燃料節減効果を得ることはできないが、パワーブースティングを通じてオペレータの要求を最大限満たしてオペレータが感じる装備のパワーや速度を向上させることができる。
【0050】
オペレータが第3オペレータ入力装置105を操作すると、その操作量に対応するように
図2及び
図3に示すような制御バルブ409を切替させるとともに、その操作量に対応するように、例えば、ポンプ403の斜板の傾斜角を変化させてポンプ403の容積を変化させる。しかし、オペレータが第3オペレータ入力装置105の操作量を大きく与えてポンプ403の大きい容積を要求しても、容積が大きくなれば、それによってポンプ403の出力パワーも大きくなるしかないので、結局、ポンプ403の容積は設定されたポンプ403の最大出力パワーによって制限を受けるようになる。すなわち、オペレータが要求する速度(すなわち、流量)でブームのような作業装置を作動させることができない場合が発生するようになる。よって、本開示内容では、このような限界を乗り越えるために、決まった条件に符合する場合、パワーブースティングを許容してオペレータの要求を最大限満たすようにする。但し、増加した出力パワーを動力源401がひたすら負担するようにするものではなく、一定部分についてはアシストユニット525のアシストを受けてパワーブースティングができるようにするものである。
【0051】
いくつかの実施例では、エコモードが選択されるか、または、アシストユニット525が動力源401をアシストしない場合には、ポンプ403の出力パワーがP1maxを超過しないようにポンプ403の容積を制限し、ブースティングモードが選択されるとともにアシストユニット525が動力源401をアシストする場合には、ポンプ403の出力パワーがP2maxを超過しないようにポンプ403の容積を制限することができる。
【0052】
以下の表1は第2オペレータ入力装置106を通じて設定された動力源401の回転速度(よって、ポンプ403の回転速度)とポンプ403の最大出力パワーP1max及びP2maxの関係を例示的に示している。
【表1】
【0053】
いくつかの実施例では、表1に示すように、P1max及びP2maxは第2オペレータ入力装置106を通じて入力された入力値によって変わることがある。例えば、第2オペレータ入力装置を通じて設定された動力源の回転速度が大きければ、P1max及びP2maxも大きくて、第2オペレータ入力装置を通じて設定された動力源の回転速度が小さければ、P1max及びP2maxも小さいことがある。いくつかの実施例では、P2maxはアキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーのレベルによって変わることがある。アキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーが大きくなくてアシスト可能なパワーが大きくなければ、P2maxは小さな値を有していてもよく、アキュムレータに貯蔵された油圧エネルギーが大きくてアシスト可能なパワーの大きさが大きければ、P2maxは大きな値を有していてもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、(第1オペレータ入力装置109及び第3オペレータ入力装置105を通じた入力値と関係なく)動力源401は一定の回転速度でポンプ403を回転駆動するように制御されることができる。例えば、オペレータが第3オペレータ入力装置105の操作量を増加させても、回転速度の変化なしに動力源401は設定された一定の回転速度で回転することができる。但し、このような一定の回転速度は第2オペレータ入力装置106を通じて入力された入力値によって変わることがある。例えば、上述の表1でモード9である場合よりモード10である場合、動力源401の回転速度はさらに大きくなることがあり、したがって、燃料消費量も増加されることがある。
【0055】
いくつかの実施例では、ブースティングモードが選択された状態で、ポンプ403の出力パワーがP1max以下であり、併せて、アキュムレータに充電されたエネルギーが既に設定された閾値以下ならば、アシストユニットが動力源401をアシストしないように回収部を制御することができる(すなわち、ディスチャージバルブ521を閉鎖することがある)。また、ポンプ403の出力パワーがP1maxを超過するか、またはアキュムレータに充電されたエネルギーが閾値を超過すれば、アシストユニットが動力源401をアシストするように回収部を制御することができる(すなわち、ディスチャージバルブ521を開放することができる)。前者の場合は、パワーアシストの必要が大きくないので、アキュムレータに貯蔵されたエネルギーを、将来に備えるために続いて蓄積して置くものであり、後者の場合はパワーアシストが今すぐ必要であるか、または現在のエネルギー充電量が十分であるので、アキュムレータに貯蔵されたエネルギーを使用するものである。
【外国語明細書】