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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095801
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】立体物製作支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/20 20110101AFI20230629BHJP
【FI】
G06T19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198079
(22)【出願日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2021211734
(32)【優先日】2021-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593097317
【氏名又は名称】竹内 修
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 修
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA01
5B050EA26
5B050FA02
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】 より斬新な立体物の製作を可能にする立体物製作支援システムの提供。
【解決手段】 情報処理端末のユーザー同士が互いにコミュニケーションを取り合うための通信機能と、立体物の構成要素である複数の略C字型ないし略S字型のパーツ2a,2b,2c,…を格納する格納部と、各ユーザーが格納部から取り出したパーツ2a,2b,2c,…を共通の仮想現実空間である作業場3において自由に組み合わせ、一つの立体物4を形成する立体物形成機能とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末のユーザー同士が互いにコミュニケーションを取り合うための通信機能と、立体物の構成要素である複数の略C字型ないし略S字型のパーツを格納する格納部と、各ユーザーが格納部から取り出したパーツを共通の仮想現実空間である作業場において自由に組み合わせ、一つの立体物を形成する立体物形成機能とを有することを特徴とする立体物製作支援システム。
【請求項2】
各ユーザーが共通の仮想現実空間である作業場において製作した立体物の情報を現実の作業場に伝達する伝達機能を有することを特徴とする請求項1記載の立体物製作支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別の場所にいる人が一つの立体物を合作することが可能な立体物製作支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金属製の美術工芸品として代表的なものにブロンズ像がある。ブロンズ像は、仏像、裸婦像などの肖像が大半であり、目新しさが乏しく、現代人のライフスタイルや感性にそぐわないものとなっている。そこで本出願人は、複数の略C字型ないし略S字型のパーツを自由に組み合わせて構成する美術工芸品を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、当該美術工芸品の構想を練るときに実際のパーツを使用して行うのは効率が悪く、また、パーツの組み合わせは無限にあるが、一人の作家が思いつくパーツの組み合わせ方のアイデアには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-213791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、より斬新な立体物の製作を可能にする立体物製作支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による立体物製作支援システムは、情報処理端末のユーザー同士が互いにコミュニケーションを取り合うための通信機能と、立体物の構成要素である複数の略C字型ないし略S字型のパーツを格納する格納部と、各ユーザーが格納部から取り出したパーツを共通の仮想現実空間である作業場において自由に組み合わせ、一つの立体物を形成する立体物形成機能とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明による立体物製作支援システムは、請求項1記載の発明の構成に加え、各ユーザーが共通の仮想現実空間である作業場において製作した立体物の情報を現実の作業場に伝達する伝達機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による立体物製作支援システムによれば、別の場所にいる複数のユーザーがテレワークのようにメッセージなどのコンテンツを利用して同じ場所にいるような感覚で交流し、用意された複数の略C字型ないし略S字型のパーツを現実の空間と同様、仮想空間で自由に組み合わせたり、様々に改作し一つの立体物を合作することができる。これにより、世界のあらゆる場所にいる人々との合作を可能にし、今までにないよりクリエイティブな作品を作ることができる。
【0008】
請求項2記載の発明による立体物製作支援システムによれば、現実の空間と仮想空間の間で立体物を行き来させ、立体物を現実に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の立体物製作支援システムの全体イメージを示す図である。
図2】情報処理端末の表示画面の一例を示す図である。
図3】立体物製作支援システムにより製作された立体物の情報を基に製作された実際の立体物の例を示す斜視図である。
図4】同立体物のパーツ同士の接合箇所を拡大して示す斜視図である。
図5】(a)は接合部をパーツと分離した状態で示す斜視図であり、(b)は接合部をパートに取付けた状態を示す斜視図である。
図6】接合部のパーツへの取付状態の例を示す図である。
図7-1】パーツの例を示す図である。
図7-2】パーツの例を示す図である。
図7-3】パーツの例を示す図である。
図8】本システムの全体シナリオを示す図である。
図9】本立体物製作支援システムにより作成されたデータを基に実際に製作した立体物の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の立体物製作支援システムの全体イメージを示している。同図に示すように、本立体物製作支援システムは、インターネット等のネットワーク5に接続されたクラウドサーバ20と、クラウドサーバ20上のデータベース21と、複数の情報処理端末、例えばパソコン1a,1b、タブレット1c、スマートフォン1d…によって構成される。さらに本立体物製作支援システムは、実際に立体物を製作する工場6のパソコンともネットワーク5を介して接続されている。
【0011】
クラウドサーバ20は、クラウドサービスを提供するAWS(登録商標)等のクラウドサービスを提供するものであり、各ユーザーからの操作に対して各種の処理を行い、作品の製作を管理する。
データベース21には、立体物の構成要素であって、形状や大きさの異なる数10種類の略C字型ないし略S字型のパーツ2a,2b,2c,…(図2参照)を格納する格納部を備えている。それらのパーツは、図7-1,図7-2,図7-3に示すように、実際に製作したパーツを3Dスキャンし、データ化してデータベース21に格納している。なお、図7-1の左上のブロック状のパーツは、作品を起立して展示するための台となるものである。
【0012】
各情報処理端末1a,1b,1c,1dは、カメラ、マイク及びスピーカーを備えており、クラウドサーバ20と各情報処理端末1a,1b,1c,1dは、ZOOM等のビデオ会議システムを利用することで、各情報処理端末1a,1b,1c,1dのユーザーがお互いの顔を見ながら話したりチャットメッセージを交換するといった通信機能を備え、これにより各情報処理端末1a,1b,1c,1dのユーザーが同じ場所にいるような感覚で交流することができる。
【0013】
各情報処理端末1a,1b,1c,1dには、立体物をデザインするための共通のソフトウェアがインストールされている。図8に示すように、同ソフトウェアを起動し、クラウドサーバ20にアクセスすることで、本システムの各モードを実行できるようになる。本システムのモードとしては、立体物を一人で製作・保存することのできるソロモード、複数人がチャット等で交流しながら共同で作品を製作・保存・出展することのできるマルチモード、作品を閲覧したり、購入したり、注文したりすることのできる鑑賞モードを備えている。
【0014】
図2は、マルチモードにて作品を製作しているときの情報処理端末のディスプレイ7に表示される画面の一例を示している。
マルチモードにおいては、各ユーザーは、データベース21の格納部から任意のパーツ2a,2b,2c,…を選択して取り出し、取り出したパーツ2a,2b,2c,…を自由に組み合わせることのできる仮想現実空間である作業場3を構成する(図2参照)。この作業場3は、3Dコンピュータグラフィックス、VR(Virtual Reality)の技術を応用して構築したものであり、格納部から取り出したパーツ2a,2b,2c,…を自由に移動・回転させることができ、他のパーツ2a,2b,2c,…とくっつけたり分離したりすることができ、さらにはパーツ2a,2b,2c,…を拡大・縮小したり、切断したりすることもできる(立体物形成機能)。
【0015】
図2は、ビデオ会議システムを利用したミーティングを行いながら同ソフトウェアを立ち上げた状態を示しており、各情報処理端末1a,1b,1c,1dのディスプレイ7には、ミーティングに参加している各ユーザーの顔画像8が表示されると共に、先に述べた仮想現実空間である作業場3が共有され、ユーザー同士が意見交換をしながら、各ユーザーがパーツ2a,2b,2c,…をくっつけたり分離したりする作業を行うことができる。これにより、一つの立体物4を複数人で合作することができる。
【0016】
さらに同ソフトウェアは、立体物4に言葉や音楽を付ける機能を有している。また、鑑賞モードを用いることで、それらの合作途中のものであっても、有償・無償にて鑑賞し、売買する機能を有する。
さらに、仮想現実空間である作業場3においては、ミーティングに参加している各ユーザーが考えるキャラクターや分身を登場させ、それらがパーツ2a,2b,2c,…を持ち上げ取付けたり外したりすることはもちろん、その作品に付けられた曲を歌ったり詩を読んだりすることができる。
【0017】
鑑賞モードにおいては、製作した作品の展示・販売等に加え、現実空間での作品の製作場面や展示場面、展示会場をインターネットで中継する実況動画を配信したり、受信したりすることができる。これにより、製作や展示に実際に参画し、アーティストの世界に入り込んだような没入感を得ることができる。
【0018】
このように本立体物製作支援システムによれば、別の場所にいる複数のユーザーがテレワークのようにメッセージなどのコンテンツを利用して同じ場所にいるような感覚で交流し、用意された複数の略C字型ないし略S字型のパーツ2a,2b,2c,…を現実の空間と同様、仮想空間で自由に組み合わせたり、様々に改作し一つの立体物4を合作することができる。これにより、世界のあらゆる場所にいる人々との合作を可能にし、今までにないよりクリエイティブな作品を作ることができる。加えて、物作りのゲームとして、教育教材としても活用することができる。
このシステムでは、世界の様々な人々が、あたかも一箇所に集まって一つのチームとなりアイデアを出し合うことで、今まで考えもつかないクリエイティブな創発が生まれることが期待できる。
【0019】
本立体物製作支援システムは、上記のように仮想の作業場3において製作された立体物4の情報は、同時に製作可能な仕様書となり、これをネットワーク5を介して工場6の現実の作業場に送り、現実の作業場において立体物4を実際に製作することができる(伝達機能)。また、現実の作業場において製作された立体物4を3Dスキャン等によりデータ化し、そのデータを仮想現実空間である作業場3に送り、それに対して別の場所にいる複数のユーザーが共同で改作を行ったり、追加的な創作を行ったりすることもできる。
【0020】
図3は、工場6の現実の作業場において製作される立体物4の例を示している。この立体物4は、二つの略S字形のパーツ2a,2bと、一つの略C字形のパーツ2cとを組み合わせて構成され、また、このように三つのパーツ2a,2b,2cを組み合わせたものを起立して展示しておくための台9とを備えている。本立体物4は、高さが1~2mほどある。
【0021】
各パーツ2a,2b,2cは、金属の鋳物で中空状に形成してあり、表面には星や太陽などを象った多数の穴10が形成してある。このように、パーツ2a,2b,2cに多数の穴10を開けることで、芸術性を一層高めると共に、軽量化を図ることができる。また各パーツ2a,2b,2cは、表面にメッキ処理を施してある。
【0022】
各パーツ2a,2b,2cには、パーツ同士を連結するための接合部11が設けられる。接合部11は、図5(a)に示すように、1~2cm程度の長さに切断した金属製の筒体12と、筒体12の外周面に溶接により取付けた全ネジボルト13を有し、パーツ2a,2b,2cに形成した雌ネジ孔14に全ネジボルト13を螺入して、図5(b)に示すように、筒体12の外周面をパーツ2a,2b,2cの表面に当接又は近接して取付けてある。
なお接合部11は、図6(a)に示すように、全ネジボルト13をパーツ2a,2b,2cの雌ネジ孔14に螺入するだけで取付けてあってもよいが、図6(b)に示すように、パーツ2a,2b,2cに形成してある穴10からパーツ2a,2b,2c内にナット15を差し入れ、ナット15を全ネジボルト13と螺合して締め付けることもできる。これにより、接合部11をより強固にパーツ2a,2b,2cに固定することができると共に、筒体12の軸方向の向きを調節することができる。
【0023】
そして、パーツ2a,2b,2c同士は、図4に示すように、互いの接合部11,11を筒体12の端面同士で当接させてボルト16を通し、接合部11,11から突き出たボルト16のネジ部にナット17を掛けて締付けることで、パーツ2a,2b,2c同士を接合している。したがって、ボルト16及びナット17を外すことで、パーツ2a,2b,2cごとに分離することができ、再び組み立てるのも容易である。このような接合部11を用いることで、立体物製作支援システムのユーザーがパーツ2a,2b,2c,…を自由に組み合わせたのと同じ状態で、実際のパーツ2a,2b,2c,…同士を連結して立体物4を構築することができる。
【0024】
図9は、本立体物製作支援システムにより作成されたデータを基に実際に製作した立体物の他の例を示している。
【0025】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明は、当業者の技術常識の範囲内で種々の改変を行うことができる。例えば、立体物をデザインするためのソフトウェアは、必ずしも各情報処理端末にインストールされていなくてもよい。略C字型ないし略S字型のパーツを格納する格納部は、ホストコンピュータ(例えば、工場に設置されたコンピュータ)に設けてあって、ユーザーが各情報処理端末からネットワークを通じてその格納部にアクセスする形であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1a,1b,1c.1d 情報処理端末
2a,2b,2c パーツ
3 作業場
4 立体物
5 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9