(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095837
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】電子デバイスの状態を判定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20230629BHJP
G01S 11/06 20060101ALI20230629BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20230629BHJP
H04B 17/27 20150101ALI20230629BHJP
【FI】
G08B21/24
G01S11/06
G08B25/10 A
H04B17/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207228
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】10202114364R
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】502158287
【氏名又は名称】トレック・2000・インターナショナル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヨン・ウェイン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ムン・クォン・クアン
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA21
5C086AA28
5C086BA17
5C086CA06
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA17
5C087AA10
5C087AA12
5C087AA37
5C087BB20
5C087DD05
5C087DD33
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】電子デバイスの状態を判定するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】本システムは、電子デバイスと関連付けられた第1の無線信号を得、第1の無線信号を第1の信号測定値に変換し、第1の信号測定値を第1の閾値と比較するように電子デバイスとワイヤレス信号通信して配置されるプロセッサを備え、第1の信号測定値が第1の閾値より小さければ、プロセッサは、所定の期間にわたって第1の無線信号と関連付けられた複数の連続した無線信号および対応する信号測定値を得て勾配測度を判定するように動作可能であり、勾配測度が所定の期間にわたって負であれば、プロセッサは、電子デバイスが第1の状態にあると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの状態を判定するためのシステムであって、
前記電子デバイスの第1の無線信号を得、前記第1の無線信号を第1の信号測定値に変換し、前記第1の信号測定値を第1の閾値と比較するように前記電子デバイスとワイヤレス信号通信して配置されるプロセッサを備え、
前記第1の信号測定値が前記第1の閾値より小さければ、前記プロセッサが、所定の期間にわたって前記第1の無線信号と関連付けられた複数の連続した無線信号および対応する信号測定値を得て勾配測度を判定するように動作可能であり、前記勾配測度が前記所定の期間にわたって負であれば、前記プロセッサが、前記電子デバイスが第1の状態にあると判定する、システム。
【請求項2】
前記第1の信号測定値が、負のスケールで表現される受信信号強度インジケータ(RSSI)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記第1の信号測定値を第2の閾値と比較するように動作可能であり、前記第1の信号測定値が前記第2の閾値より低ければ、前記プロセッサが、前記電子デバイスが前記第1の状態にないという電子指標を提供する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサがモバイルコンピューティングデバイスであり、前記電子デバイスがワイヤレスイヤーバッドである、または前記プロセッサがワイヤレスイヤーバッドであり、前記電子デバイスが別のワイヤレスイヤーバッドもしくはモバイルコンピューティングデバイスである、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の状態が、置き忘れられた状態の前記電子デバイスに相当する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記モバイルコンピューティングデバイスが、ユーザインタフェースを起動し、前記電子デバイスに制御信号を送って通知を起動するように動作可能である、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記通知が、音声通知および/または視覚通知の少なくとも1つから成る、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ワイヤレスイヤーバッドデバイスであって、
別のワイヤレスイヤーバッドデバイスに関する第1の信号測定値および電子デバイスに関する第2の信号測定値を得るまたは計算するように動作可能な制御回路と、
前記制御回路から第1の制御信号を受信して、前記別のワイヤレスイヤーバッドデバイスまたは前記電子デバイスに関する第1の状態の指標を提供するように配置される第1のインジケータデバイスと、
前記制御回路から第2の制御信号を受信して、前記ワイヤレスイヤーバッドデバイスに関する前記第1の状態の指標を提供するように配置される第2のインジケータデバイスとを備える、ワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項9】
前記電子デバイスがモバイルコンピューティングデバイスである、請求項8に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項10】
前記第1のインジケータデバイスが音声スピーカである、請求項8または9に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項11】
前記第2のインジケータデバイスがLEDライトである、請求項8から10のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項12】
前記制御回路が、前記第1の信号測定値を第1の閾値と比較するように動作可能であり、
前記第1の信号測定値が前記第1の閾値より小さければ、前記制御回路が、所定の期間にわたって前記第1の信号測定値と関連付けられた複数の連続した信号測定値を得、第1の勾配測度を計算するように動作可能であり、前記第1の勾配測度が前記所定の期間にわたって負であれば、前記制御回路が、第1のインジケータデバイスに前記第1の制御信号を送り、前記別のワイヤレスイヤーバッドまたは電子デバイスが前記第1の状態にあることを示す、請求項8から11のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項13】
前記電子デバイスとデータまたは信号通信して配置され、前記電子デバイスが、前記ワイヤレスイヤーバッドデバイスに関する前記第2の信号測定値を比較するように動作可能であり、
前記第2の信号測定値が前記第1の閾値より小さければ、前記電子デバイスが、所定の期間にわたって複数の連続した第2の信号測定値を得、第2の勾配測度を計算するように動作可能であり、前記第2の勾配測度が前記所定の期間にわたって負であれば、前記電子デバイスが、前記第2のインジケータデバイスに前記第2の制御信号を提供し、前記ワイヤレスイヤーバッドが前記第1の状態にあることを示す、請求項8から12のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項14】
前記第1の状態が、置き忘れられた状態である、請求項8から13のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項15】
前記第1の信号測定値および前記第2の信号測定値が受信信号強度インジケータ(RSSI)値である、請求項8から14のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤーバッドデバイス。
【請求項16】
電子デバイスの状態を判定するための方法であって、
前記電子デバイスの第1の無線信号を受信するステップと、
前記第1の無線信号を第1の信号測定値に変換するステップと、
前記第1の信号測定値を第1の閾値と比較するステップとを含み、前記第1の信号測定値が前記第1の閾値より小さければ、
所定の期間にわたって複数の連続した第1の無線信号および対応する第1の信号測定値を得るステップと、
勾配測度を判定するステップとを更に含み、
前記勾配測度が前記所定の期間にわたって負であれば、前記電子デバイスが第1の状態にあると判定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電子デバイス、電子デバイスの状態を判定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話、コンピュータなどの電子機器またはデバイスは、動作および通話中に、音声信号などの、種々の信号を発生させ得る。音声信号の送受信を容易にするために、イヤーバッドなどの電子デバイスが使用される。一部のイヤーバッドは、イヤーバッドが入出力(I/O)ポートまたはジャックを介して電子デバイスへ差し込まれるようにするコードを有する。
【0003】
ワイヤレスイヤーバッドは、ワイヤードイヤーバッドより多くの柔軟性をユーザに提供するが、使用しにくいこともある。ユーザは、また使用中に気づかぬうちに一対のイヤーバッドの一方を不注意にも落としてしまうかもしれない。ユーザが一方または両方のイヤーバッドがなくなっていることに気づく前にある程度の時間が経過しているかもしれず、落としたイヤーバッドを見つけることは困難になる。この問題は、ワイヤレスイヤホン、サムドライブ、ワイヤレスミニスピーカ等などの他の電子機器にも存在し得る。
【0004】
多くの状況で、モバイルデバイスは、またユーザによって置き忘れられるまたはある場所に不注意にも置き去られるかもしれない。同様に、ユーザがモバイルデバイスがなくなっていることを知る前にある程度の時間が経過しているかもしれず、そうなると置き忘れたモバイルデバイスは既に第三者によって取られているかもしれない。
【0005】
そのため、電子デバイスを検出し、そして電子デバイスが置き忘れられた状態にあるときにユーザに警告することができることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な実施形態は、電子デバイスにおけるハードウェア部品への最小限の変更で、置き忘れられた状態などの、電子デバイスの状態を判定するためのシステムおよび方法に関する。
【0007】
本開示によれば、請求項1に記載の電子デバイスの状態を判定するためのシステムが提供される。電子デバイスの状態を判定するための方法が請求項16に定められる。特定の電子デバイスとしてのワイヤレスイヤーバッドデバイスが請求項8に定められる。
【0008】
従属請求項は、それぞれシステム、ワイヤレスイヤーバッドデバイスおよび方法と関連付けられた一部の例を定める。
【0009】
本発明は、非限定例および添付図面と併せて考えられると、詳細な説明を参照しつつより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】様々な実施形態に従う電子デバイスの状態を判定するためのシステムの概略図である。
【
図2】様々な実施形態に従う電子デバイスの状態を判定するための方法のフロー図である。
【
図3A】
図1および
図2に描かれるようなシステムおよび/または方法のユースケースを示す図である。
【
図3B】
図1および
図2に描かれるようなシステムおよび/または方法の別のユースケースを示す図である。
【
図4A】様々な実施形態に従うイヤーバッドが別のイヤーバッドに対して置き忘れられた状態にあるかどうかを判定するための方法に使用するための閾値を決定する例を示す図である。
【
図4B】様々な実施形態に従うイヤーバッドが別のイヤーバッドに対して置き忘れられた状態にあるかどうかを判定するための方法に使用するための閾値を決定する例を示す図である。
【
図5】それぞれの勾配測度を導出するための3つの例示的なケースに対して得られる信号強度の複数の示度/測定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、本開示が実施され得る具体的な詳細および実施形態を例示として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするのに十分詳細に記載される。他の実施形態が活用され得、そして本開示の範囲から逸脱することなく構造および論理変化がなされ得る。様々な実施形態は、一部の実施形態が1つまたは複数の他の実施形態と組み合わされて新たな実施形態を形成できるので、必ずしも相互に排他的であるわけではない。
【0012】
本明細書に例示的に記載される開示は、本明細書に具体的には開示されない、任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の限定の不在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、用語「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含有している(containing)」等は、拡大してかつ限定することなく読まれるものとする。単語「備える(comprise)」、または「備える(comprises)」もしくは「備えている(comprising)」などの変化形は、それに応じて明言された完全体または完全体の群の包含を意味するのであって、任意の他の完全体または完全体の群の排除ではないと理解されることになる。追加的に、本明細書で利用される用語および表現は、説明の用語として使用されたのであって、限定の用語としてではなく、そしてそのような用語および表現の使用に、図示および記載された特徴のいかなる均等物またはその一部分も排除する意図はなく、本開示の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本開示が例証的な実施形態および任意選択の特徴に具体的に記載されたが、本明細書で具現化される本開示の変更および変形が当業者によって用いられ得ることが理解されるべきである。
【0013】
一実施形態との関連で記載される特徴は、その他の実施形態における同じまたは同様の特徴に対応して適用可能でよい。一実施形態との関連で記載される特徴は、たとえその他の実施形態に明示的に記載されていないとしても、これらの他の実施形態に対応して適用可能でよい。更には、一実施形態との関連である特徴に対して記載されるような追加および/または組合せおよび/または代替は、その他の実施形態における同じまたは同様の特徴に対応して適用可能でよい。
【0014】
様々な実施形態との関連で、特徴または要素に関して使用されるような冠詞「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」および「その(the)」は、特徴または要素の1つまたは複数への言及を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙項目の1つまたは複数のいずれでも全ての組合せを含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「電子デバイス」は、無線回路網を含め、電子回路網を有するいかなるデバイスも広く指す。ワイヤレスイヤーバッドなどのワイヤレスウェアラブル電子デバイスは、携帯電話または別のワイヤレスイヤーバッドなどの別の電子デバイスと通信し得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「モバイルデバイス」または「ワイヤレスデバイス」または「ワイヤレス通信デバイス」は、信号をワイヤレスで受信および/または送信できる異なる種類のデバイスを広く包含すると意図される。例えば、いかなる限定のためでもなく、ワイヤレス通信デバイスは、以下のいずれか1つまたは組合せを含むことができる:双方向無線機、セルラ電話、携帯電話、スマートフォン、双方向ページャ、ワイヤレスメッセージングデバイス、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末、タブレットコンピューティングデバイス、一対のイヤーバッド、充電器、および他の同様のデバイス。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「モジュール」は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用もしくはグループ)、記載される機能性を提供する他の適切なハードウェア部品、またはシステムオンチップにおけるなどの、以上の一部もしくは全ての組合せを指す、またはその一部を形成する、またはそれを含む。用語モジュールは、プロセッサによって実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用またはグループ)を含んでよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、本出願の説明における用語「第1の」、「第2の」等は、説明間を区別するために使用されるのであって、必ずしも順番または時間順を記載するためのものではない。
【0020】
様々な電子デバイスが互いと通信する例示的なシステムの概要図が
図1に示される。
図1に示されるシステム100が、ホストとして機能するモバイルデバイス110、および/またはホストとして機能するワイヤレスイヤーバッド130を想定することが認められる。
【0021】
図1を参照すると、モバイルデバイス110は、組込システムの一部、ホームネットワークの一部でよく、または任意の他の適切な電子機器でよい。モバイルデバイス110は、制御回路網112を有してよい。制御回路網112は、モバイルデバイス110の動作をサポートするための処理および記憶回路網を含んでよく、そのため1つまたは複数のプロセッサを含んでよい。記憶回路網は、ハードディスクドライブストレージ、不揮発性メモリ、リードオンリメモリ、揮発性メモリ等を含んでよい。処理回路網は、デバイス110の動作を制御するために使用されてよく、そして1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ベースバンドプロセッサ、電力管理ユニット、音声チップ、特定用途向け集積回路等などの部品を含んでよい。当業者に公知であるような様々な種類の処理回路装置が企図されてよい。
【0022】
デバイス110は、ワイヤレスリンクL1を介するワイヤレスイヤーバッド130または他のワイヤレスウェアラブル電子デバイスなどのワイヤレスウェアラブルデバイスとの通信をサポートするためのワイヤレス通信回路114(例えば、無線周波数トランシーバ)も含んでよい。イヤーバッド130は、デバイス110の回路網114との通信をサポートするためのワイヤレス通信回路網134を有してよい。イヤーバッド110は、ワイヤレス回路網134を使用して互いと通信してもよい。一般に、デバイス110と通信するワイヤレスデバイスは、任意の適切なポータブルかつ/またはウェアラブル機器でよい。ワイヤレスウェアラブルデバイス130がイヤーバッドである構成は、非限定例として本明細書に時々記載される。
【0023】
データがデバイス110に供給されるまたはそれによって受信されるようにするために、およびデータがデバイス110から外部デバイスに提供されるまたは送信されるようするために、入出力デバイス116が使用されてよい。入出力デバイス116は、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロホン、スピーカ、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、トーン発生器、バイブレータ(例えば、圧電振動部品等)、カメラ、センサ、発光ダイオードおよび他のステータスインジケータ、データポート、等を含んでよい。デバイス110の動作は、入出力デバイス116を通してユーザコマンド/アクションを供給することによって制御でき、そして入出力デバイス116の出力リソースを使用してデバイス110からステータス情報、通知および他の出力が受信されてよい。
【0024】
各イヤーバッドデバイス130は、制御回路網112と同様の制御回路網132、ワイヤレス通信回路網134(例えば、L1にわたるワイヤレス通信をサポートするための1つまたは複数の無線周波数トランシーバ)、スピーカの形態でよい第1のインジケータ136、発光ダイオード(LED)リングまたはLEDストリップなどの、光モジュールの形態でよい第2のインジケータ138を備える。イヤーバッドデバイス130は、マイクロホン140および加速度計142を含んでよい。マイクロホン140は、通話しているユーザの声などの音声入力データを収集してよい。加速度計142は、例えばイヤーバッド130が地面または床へ落とされたときに、イヤーバッド130と関連付けられた運動を検出してよい。加速度計142は、イヤーバッドデバイス130の一部の動作と関連付けられてよい、ユーザによってイヤーバッド130に印加される力(例えばタップまたはダブルタップ)も検出してよい。一部の実施形態において、加速度計142の出力は、パルスの形態でよい。
【0025】
制御回路網112、132内の1つまたは複数のプロセッサは、実行されると、
図2に例示されるような方法200を行うように、制御回路網112、132の1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(非一時的コンピュータ可読媒体を含む)内に記憶されるソフトウェアコードを含んでよい。
【0026】
電子デバイスの状態を判定するための方法200は、電子デバイスと関連付けられた第1の無線信号を受信するステップ(ステップS202)と、第1の無線信号を第1の信号測定値に変換するステップ(ステップS204)と、第1の信号測定値を第1の閾値と比較するステップ(ステップS206)とを含み、第1の信号測定値が第1の閾値より小さければ、方法200は、所定の期間にわたって第1の無線信号と関連付けられた複数の連続した無線信号および対応する信号測定値を得るステップ(ステップS210)と、勾配測度を判定するステップ(ステップS212)と、勾配測度が所定の期間にわたって負であれば、電子デバイスは第1の状態にあると判定されるステップ(ステップS214)を更に含む。
【0027】
システム100および方法200は、様々な実施形態に従って電子デバイスが置き忘れられた状態にあるかどうかを判定するために使用されてよい。電子デバイスの1つの考え得る置き忘れの発生は、ユーザが運動している(例えば公園でまたはトレッドミルでジョギングしている)ときにユーザの耳からワイヤレスイヤーバッド130(電子デバイス)が落ちることに起因し得る。電子デバイスの別の考え得る置き忘れの発生は、ユーザがレストランでの食事の後に自分の携帯電話110を忘れることに起因し得る。制御回路網112、132にインストールされるファームウェアを通して、ワイヤレスイヤーバッド130および携帯電話110から発される無線信号のバックグラウンドモニタリングが実施され、ワイヤレス通信回路114、134を介して送受信されてよい。バックグラウンドモニタリングは、所定の期間ごとに、例えば1秒間に4回方法200を実行して、第1の無線信号を受信し、そして第1の無線信号を第1の信号測定値に変換することから成ってよい。例えば、各ワイヤレスイヤーバッド130の制御回路網132は、他方のワイヤレスイヤーバッド130からおよび携帯電話110から無線信号を得るために使用されてよい。携帯電話110の制御回路網112は、一対のワイヤレスイヤーバッド130から無線信号を得るために使用されてよい。
【0028】
一部の実施形態において、第1の信号測定値は、負のスケールで表現される第1の無線信号の受信信号強度インジケータ(RSSI)、または第1の無線信号の信号強度の逆数である。一般に、第1の信号測定値は、受信された第1の無線信号の信号強度の指標である。負のスケールで表現されるRSSIが使用される場合、-75デシベルミリワット(dBm)の第1の閾値が設定されてよい。
【0029】
図3Aは、イヤーバッドが使用中にユーザの耳から落ちる特定のユースケースと関連付けられたフロー
図300を示す。イヤーバッドは、起動されると、方法200を使用して別のイヤーバッドからの、およびモバイルデバイスからの到来無線信号をモニタリングする(ステップS302)。他方のイヤーバッドが置き忘れられた状態にあるまたはユーザの耳から落ちたとの検出に応じて(ステップS304)、ユーザによる更なるアクションのために携帯電話110上にソフトウェアアプリケーションが起動されてよい(ステップS306)。第1の制御信号(音通知の形態)が、第1のインジケータデバイス(例えばスピーカ136)に向けて、制御回路網132または制御回路網112を介してイヤーバッド130に送られてよく、イヤーバッドが落とされたことをユーザに知らせる(ステップS308)。加えて、第2の制御信号(電力パルス波信号の形態)がイヤーバッドの光モジュール138に送られて、LEDライトを交互オン/オフ方式で明滅させてよい(ステップS310)。ライトの明滅は、落としたまたは置き忘れたイヤーバッドの捜索を容易にする方式で行われてよい。
【0030】
図3Aのユースケースは、一方のイヤーバッド130が落とされるが他方はユーザの耳に残ることを前提とし、それゆえにステップS308でなされる音通知はユーザへの警告を達成する。両方のイヤーバッドが落とされ/置き忘れられ、そのためステップS308で発生する音通知をユーザが聞くことができない状況では、モバイルデバイス110は、任意選択で、ユーザに通知するためにアラームを送るように構成されてよい(ステップS312)。そのようなアラームは、音、光、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、または上述の通知の1つもしくは複数の組合せでよい。
【0031】
図3Bは、モバイルデバイス110が置き忘れられる別のユースケースと関連付けられたフロー
図400を示す。各イヤーバッドの制御回路網132にインストールされるファームウェアを介して、ペアリングされた電子デバイス、すなわち携帯電話110のバックグラウンドモニタリングが行われてよい。所定の間隔ごとに方法200が実行されてよい(ステップS402)。
【0032】
モバイルデバイス110が置き忘れられた状態にあることを検出した上で(ステップS404)、イヤーバッドの制御回路132は、モバイルデバイス110がなくなった/なくなっていることをユーザに警告するためにスピーカ136に音通知を送る(ステップS406)。
【0033】
ワイヤレスリンクL1を介して送られるおよび/または受信される様々なデバイス110、130の無線信号が信号測定値を導出または計算するために処理されてよいことが企図される。一部の実施形態において、システム100および方法200が展開される前に、第1の閾値および第2の閾値などの様々なパラメータが予め決定されてよい。一部の実施形態において、第1の閾値および第2の閾値は、システム100が動作中であるときに動的に調節されてよい。
【0034】
図4Aは、一方のイヤーバッドと別のイヤーバッドとの間の距離に基づいて方法200の様々な閾値を決定することの一例を示す。置き忘れの高い危険性が判定される第1の閾値は、一方のイヤーバッドと別のイヤーバッドとの間の距離が0.5メートル以下(概略的に人間の2つの耳の間の距離)であるときは、2つのイヤーバッドがユーザの左右の耳にありそうであるので置き忘れの危険性は検出されるべきでないということである。一方のイヤーバッドと別のイヤーバッドとの間の距離が0.5メートルと1.5メートルとの間であるときは、置き忘れの危険性はなさそうであるが、電子デバイス、速度およびノイズに応じて偽トリガがあり得る。2つのイヤーバッド間の距離が1.5メートルを越えるときは、一方のイヤーバッドが落ちたまたはそれを置き忘れた確率が高い。それに応じて、第1の閾値として1.5メートル(m)が選択される。第1の閾値が、2m、2.5m、1.4m、3m等などの他の距離に設定されてよいことが企図される。
【0035】
図4Bは、距離と信号強度の指標との間の相関グラフを示す。RSSI測度(0dbmが最も強い信号を表す負の-dbm)などの、業界標準が使用されてよい。一部の実施形態において、1.5mの第1の閾値は-75dbmのRSSI値に対応し、それに応じて信号強度測度に関する第1の閾値は-75dbmに設定される。一部の実施形態において、『偽トリガなし』の第2の閾値が設定されてよい。第2の閾値は、0.5mの距離に対応して、-60dbmの信号強度に相関した。0~-60dbm間のいずれの信号強度測定値に対しても、イヤーバッドの置き忘れの危険性が無視し得ると推測され得るので、ステップS206の先の更なる比較は実施される必要がなくてよい。
【0036】
一部の実施形態(図示せず)において、-75dbmと-60dbmとの間のいずれの得られた信号強度測定値も、イヤーバッドの動きおよび/または向きの変化を検出するために他の部品(例えば加速度計)からの更なる入力を必要としてよい。
【0037】
図4Aおよび
図4Bはイヤーバッドが置き忘れられたかどうかを検出するための閾値の決定を例示するが、携帯電話110などの、別の電子デバイスが置き忘れられたかどうかを検出することと関連付けられた閾値を決定するときに他の距離が選択されてよいことが企図される。例えば、携帯電話110が置き忘れられたかどうかを判定するときに第1の閾値は3mでよい。
【0038】
図5は、ステップS210に基づいて得られた起こり得る第1の信号測定値および勾配測度ステップS212の計算を例示する。『A』、『B』および『C』と標識される3つのプロットが異なる勾配プロファイルで
図5に示される。全てのプロットの第1の示度が-75dbmの閾値より低いので、第1の信号測定値と関連付けられた4つの連続した示度が得られる。
【0039】
勾配測度(G)は、第1および第2の信号測定値、第2および第3の信号測定値、第3および第4の信号測定値ならびに第4および第5の信号測定値間の勾配を得、次いで4つの勾配測定値の平均を得ることなどの勾配降下法または他の統計法によって得られてよい。
【0040】
プロットAは、5つのRSSI示度が全て-75dbmを下回るが、第2の示度が第1の示度より大きく、そして第5の示度が第4の示度より大きい状況を表す。プロットAのG測度が非負の結果を返す可能性がある。これは、イヤーバッドデバイスが置き忘れられて/落とされているのでなく、ユーザによって故意に保たれていることを示し得る。
【0041】
プロットBは、5つのRSSI示度が全て-75dbmを下回りかつ勾配が全て負であり、それゆえに負の勾配測度を返し、方法200をトリガして『置き忘れられた状態』を返す状況を表す。
【0042】
プロットCは、第3および第4の示度が閾値RSSIより下(-dbm)でよいが、第5の示度が全ての他の示度より低いので、全体の勾配測度は負でありそうであり、それゆえに方法200をトリガして『置き忘れられた状態』を返すことを示す。
【0043】
一般に、勾配測度(連続した信号示度を必要とする)は、第1の信号示度が、電子デバイスが置き忘れられた状態であるという真の指標であるかどうかを検証する追加インジケータとして使用される。
【0044】
一部の実施形態(図示せず)において、電子デバイスが置き忘れられた状態にあるかどうかの更なる指標を提供するために、加速度計142から得られる更なる測定値が勾配測度を補足するために使用されてよい。例えば、
図5におけるプロットAが0に近い結果を返し得るので、最終判定を支援するために、イヤーバッドと関連付けられた加速度計示度が使用されてよい。例えば、加速度計示度は、イヤーバッドが重力下で、イヤーバッドが落ちたことを示す、高速で移動した測定値を提供してよい。
【0045】
様々な実施形態によれば、回路は、アナログ回路もしくは部品、デジタル回路もしくは部品、またはハイブリッド回路もしくは部品を含んでよい。以下により詳細に記載されることになるそれぞれの機能の任意の他の種類の実装も、代替実施形態に従う「回路」として理解されてよい。デジタル回路は、任意の種類の論理実装エンティティとして理解されてよく、メモリ、ファームウェアまたは任意のその組合せに記憶されるソフトウェアを実行する専用回路網またはプロセッサでよい。したがって、様々な実施形態において、「回路」はデジタル回路、例えばハードワイヤード論理回路、またはプログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ(例えば複合命令セットコンピュータ(CISC)プロセッサもしくは縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ)などのプログラマブル論理回路でよい。「回路」は、ソフトウェア、例えば任意の種類のコンピュータプログラム、例えばJavaなどの仮想マシンコードを使用するコンピュータプログラムを実行するプロセッサも含んでよい。
【0046】
既定のワイヤレス通信プロトコルの例は、移動通信のためのグローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(Wi-MAX)、Wi-Fiダイレクト(WFD)、超広帯域(UWB)、赤外線データ協会(IrDA)、Bluetooth(登録商標)(例えばBluetooth5.2)、ZigBee、SigFox、LPWan、LoRaWan、GPRS、3G、4G、LTEおよび5G通信システムを含む。
【0047】
本開示が特に具体的な実施形態を参照しつつ図示および記載されたが、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な変化がなされ得ることが当業者によって理解されるべきである。本発明の範囲は、したがって添付の特許請求の範囲によって示され、そのため特許請求の範囲の等価性の意味および範囲内に入る全ての変化が包含されると意図される。
【符号の説明】
【0048】
100 システム
110 モバイルデバイス
112 制御回路網
114 ワイヤレス通信回路
116 入出力デバイス
130 ワイヤレスイヤーバッド
132 制御回路網
134 ワイヤレス通信回路網
136 第1のインジケータ
138 第2のインジケータ
140 マイクロホン
142 加速度計
L1 ワイヤレスリンク
【外国語明細書】