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特開2023-95846情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095846
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/23 20200101AFI20230629BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20230629BHJP
【FI】
G06F30/23
G06F30/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036375
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2022008789の分割
【原出願日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2021211188
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開者 サイバネットシステム株式会社 公開ウェブサイトのアドレス https://www.cybernet.jp/company/about/news/press/2021/20211006.html 公開日 令和3年10月6日 他1件
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔刊行物等〕 公開者 株式会社日刊工業新聞社 公開ウェブサイトのアドレス https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00614076?isReadConfirmed=true 公開日 令和3年10月6日 他19件
(71)【出願人】
【識別番号】502457249
【氏名又は名称】サイバネットシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】古口 睦士
(72)【発明者】
【氏名】増田 俊輔
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DC04
5B146DJ01
5B146DJ07
5B146EA18
(57)【要約】
【課題】連成場の解析を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理部と、を備える。この場合の一例として、処理部は、複数の物理場として少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場がある場合、領域分割の結果に基づいて第1の物理場の解析処理と第2の物理場の解析処理とを連続して行うこととしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、当該領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、解析処理として、
埋め込み境界法とは異なる解析法により、形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは境界条件を変更しながら複数の物理場についての第1の最適化処理を行い、
形状の境界が所定状態になった以降は埋め込み境界法により境界条件を変更しながら複数の物理場についての第2の最適化処理を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、最適化された形状として当該形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第1の最適化処理における境界が所定状態として、固体領域と流体領域との間の解析の際の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化しつつ、埋め込み境界法とは異なる解析法による解析処理が収束した状態になるまで解析処理を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、最適化された形状として当該形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第2の最適化処理として、固体領域と流体領域との間の境界を確定するまで解析処理を行う
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、第2の最適化処理において、
形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率以上の場合には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に広げることにより複数の物理量の解析処理を行い、
形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率未満の場合には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に狭くすることにより複数の物理量の解析処理を行う
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、複数の物理場として少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場がある場合、領域分割の結果に基づいて第1の物理場の解析処理と第2の物理場の解析処理とを連続して行う
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、境界条件に基づいて領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行った後、境界条件を変更して領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行うことを繰り返す
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の物理量を持つ場としての物理場の解析対象となる形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付ける形状情報に基づいて形状の最適化モデルについて解析する際の解析条件を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された解析条件に基づいて形状の領域分割を行う領域分割部と、
前記領域分割部によって領域分割が行われた形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは、埋め込み境界法を適用せずにレベルセット関数を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、当該解析処理の結果が収束するまで境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の解析の際の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化する所定状態の形状を取得する第1最適化部と、
前記第1最適化部によって形状の境界が所定状態になった以降は埋め込み境界法を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、当該解析処理の結果が収束するまで境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の境界が確定した形状を取得する第2最適化部と、
前記第2最適化部によって取得される形状を連成場の最適構造として出力するよう制御する出力制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、当該領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付機能と、
前記受付機能によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、当該領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置を設計する際等において、その装置の構造を最適化することが行われる場合がある。特許文献1には、冷却装置として、金型中に形成されたラティス構造の冷媒の流路を備える金型の設計方法が開示される。すなわち、特許文献1には、個々のラティスの直径を設計変数として調整し、冷却効率のよい冷媒流路を形成する方法が開示される。この際に、特許文献1には、トポロジー最適化によって、金型内に配置されるラティスの直径を決定し、冷媒の流路を設計することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-183049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術は、トポロジー最適化によってラティスの直径である1つの場を決定する。しかしながら、種々の装置、構造及び形状等(ここでは、「形状」という)においては、複数の物理量(又は、複数の場)を利用する場合がある。具体的な一例として、形状においては、熱及び流れ等の複数の場(連成場)を利用することがある。しかしながら、従来の技術では、連成場を利用した解析が行われていない。
【0005】
本開示は、連成場の解析を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、物理場の解析対象の形状に関する形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る情報処理装置について説明するための図である。
図2】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
図3】第1例の埋め込み境界法について説明するための図である。(A)は第1例の埋め込み境界法について説明するための第1の図、(B)は第1例の埋め込み境界法について説明するための第2の図である。
図4】第1例の埋め込み境界法を利用する場合における、形状の曲率が小さい場合及び形状の曲率が大きい場合について説明するための図である。(A)は曲率の小さい形状の場合について説明するための図、(B)は曲率の大きい形状の場合について説明するための図である。
図5】第2例の埋め込み境界法における、形状の曲率が大きい場合及び形状の曲率が小さい場合について説明するための図である。(A)は曲率の大きい形状の場合について説明するための図、(B)は曲率の小さい形状の場合について説明するための図である。
図6】第2例の埋め込み境界法について説明するための図である。(A)は計算対象となる流体領域のセルについて説明する図、(B)は計算対象となる流体領域のセルを広げる図を示す。
図7】第1実施例について説明するための図である。(A)は空間形状に関する一例を示す第1の図、(B)は空間形状に関する一例を示す第2の図、(C)は最適構造の一例を示す図である。
図8】第1実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
図9】第2実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
図10】第3実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
図11】第4実施例における第1の最適化処理の流れについて説明するための図である。
図12】第4実施例における第2の最適化処理の流れについて説明するための図である。
図13】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[情報処理装置1の概要]
まず、一実施形態に係る情報処理装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報処理装置1について説明するための図である。
【0011】
情報処理装置1は、例えば、物理量の解析対象について解析を行う解析装置等として構成されてもよい。情報処理装置1は、例えば、物理量の解析対象の形状(トポロジー)を最適化するトポロジー最適化装置等として構成されてもよい。情報処理装置1は、例えば、複数の物理場(マルチフィジクス)を対象としてトポロジーの最適化の計算処理を行うトポロジー最適化装置等として構成されてもよい。
情報処理装置1は、例えば、サーバ、デスクトップ、ラップトップ及びタブレット等のコンピュータであってもよい。
【0012】
情報処理装置1は、例えばまず、物理量の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける。形状情報は、例えば、設計(解析)対象となる空間形状を記録するCADデータ等であってもよい。情報処理装置1は、例えば、形状情報に基づいて、最適化モデルを構築する。この場合、情報処理装置1は、例えば、物理モデル及び最適化それぞれの条件設定等を行うことにより、解析に利用する最適化モデルを構築してもよい。
情報処理装置1は、例えば、その最適化モデルを、有限要素法及び有限体積方法等を利用して離散化を行い、その後、領域表現及び境界表現を利用して領域分割を行う。領域表現の一例は、符号付きのレベルセット関数による複数領域の表現等であってもよい。境界表現の一例は、レベルセット関数による境界表現等であってもよい。
情報処理装置1は、例えば、複数の領域を利用して、複数の物理場(マルチフィジクス)を対象とした形状(トポロジー)の最適化計算を行う。情報処理装置1は、例えば、最適化計算によって得られる最適構造を出力する。ここで、出力の一例は、STL形式のCADデータ等を始めとする形状情報(最適構造の情報)であってもよい。物理場は、例えば、物理量が存在する空間等の場であってもよい。解析対象の物理場は、例えば、種々の物理量が存在する場であってもよい。複数の物理場の一例は、第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場であってもよい。第1,2の物理場の具体的な一例は、応力(構造)場、熱流体場、流体場及び電磁場等を始めとする種々の物理場であってもよい。
【0013】
[情報処理装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る情報処理装置1の詳細について説明する。
図2は、一実施形態に係る情報処理装置1について説明するためのブロック図である。
【0014】
情報処理装置1は、例えば、通信部21、記憶部22、表示部23及び制御部11等を備える。通信部21、記憶部22及び表示部23は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部11は、例えば、受付部12及び処理部13等を備える。処理部13は、例えば、設定部131、離散化部132、領域分割部133、第1最適化部134、第2最適化部135、評価部136及び出力制御部137等を備える。制御部11は、例えば、情報処理装置1の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部11(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部22等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、受付部12、処理部13、設定部131、離散化部132、領域分割部133、第1最適化部134、第2最適化部135、評価部136及び出力制御部137等)の機能を実現してもよい。
【0015】
通信部21は、例えば、情報処理装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能である。
【0016】
記憶部22は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部22の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。
【0017】
表示部23は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能である。
【0018】
受付部12は、物理量の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける。すなわち、受付部12は、例えば、形状情報を取得する。
受付部12は、例えば、通信部21を介して、情報処理装置1の外部にある装置(外部装置)(図示せず)から形状情報を受け付けてもよい。外部装置は、例えば、サーバ及びユーザ端末等であってもよい。ユーザ端末は、例えば、情報処理装置1のユーザが使用する端末であってもよく、具体的な一例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
また、受付部12は、例えば、形状情報が記憶される外部メモリ等が、情報処理装置1に配されるインターフェース(図示せず)に接続された場合、その外部メモリから形状情報を受け付けてもよい。
さらに、受付部12は、例えば、記憶部22に記憶される形状情報を受け付けてもよい。
さらに、受付部12は、例えば、情報処理装置1等に配される入力部(図示せず)が操作されることに基づいて、情報処理装置1の内部又は外部で形状情報が生成された場合、その形状情報を受け付けてもよい。入力部の一例は、キーボード及びマウス等の入力インターフェースであってもよい。
受付部12は、上述した一例に限らず、種々の方法により形状情報を受け付けてもよい。
形状情報は、例えば、物理量の解析対象の3次元の形状に関する形状情報であってもよい。形状情報の具体的な一例は、CADデータ等であってもよい。
【0019】
処理部13は、受付部12によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する。そのような処理部13は、上述したように、例えば、設定部131、離散化部132、領域分割部133、第1最適化部134、第2最適化部135、評価部136及び出力制御部137等を備えてもよい。
【0020】
まず、処理部13は、例えば、形状情報に基づいて、最適化モデルに関する設定を行う。すなわち、設定部131は、受付部12によって受け付ける形状情報に基づいて形状の最適化モデルについて解析する際の解析条件を設定してもよい。この場合、処理部13は、例えば、最適化モデルの解析条件の設定として、物理モデルを解析する際の条件設定及び形状の最適化に関わる条件設定等を行ってもよい。物理モデルは、例えば、解析対象の物理量(物理場)であってもよい。また最適化の条件は、例えば、目的関数及び制約関数等の数理モデルの条件等であってもよい。すなわち、最適化の条件は、例えば、数理モデルを利用して形状の最適化を行う際に必要な条件等であってもよい。物理モデルの条件及び最適化の条件は、例えば、解析対象の物理量(物理場)及び形状等に応じて、適宜設定される。
【0021】
次に、処理部13は、例えば、形状情報に基づく形状の離散化を行う。すなわち、離散化部132は、設定部131によって設定される解析条件に基づいて解析対象の最適化モデルを離散化する。処理部13(離散化部132)は、例えば、受付部12によって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する(メッシュ等に細分化する)。この場合、処理部13は、例えば、有限要素法及び有限体積法等のうち一方を利用して離散化を行ってもよい。有限要素法は、例えば、モデルをメッシュに分割した、有限個の要素を用いた解析法である。有限体積法は、例えば、モデルをメッシュ(コントロールボリューム)に分割し、有限個の要素(ボリューム)を用いた解析法である。有限要素法及び有限体積法は、数学的に厳密に解くことができない問題を近似的に解く手法であり、解析対象を複数の要素あるいは体積により分割して解析を行うものである
【0022】
次に、処理部13は、例えば、離散化した結果(メッシュ)に基づいて、形状の領域分割を行う。すなわち、領域分割部133は、離散化部132によって離散化された最適化モデルの領域分割を行う。換言すると、領域分割部133は、設定部131によって設定された解析条件に基づいて形状の領域分割を行う。処理部13は、例えば、領域分割として、解析対象となる物理場の物理量の値で、最適化モデルと空間との境界を設定してもよい。
この場合、処理部13は、例えば、領域の表現方法としてレベルセット関数等を利用してもよい。レベルセット関数は、例えば、最適化モデルの境界を埋め込んだ関数(境界面の埋め込み)として表現されてもよい。具体的な一例として、レベルセット関数は、例えば、複数のセルを通過する最適化モデルの境界面を等位面として、各セルのグリッド点から境界面までの距離と、境界面の内側と外側とで異なる符号が付されたその符号とを規定するものであってもよい。すなわち、処理部13は、例えば、符号付きのレベルセット関数によって、メッシュに基づいた複数領域を表現してもよい。また、処理部13は、レベルセット関数によって最適化モデルの境界を表現してもよい。
これにより、処理部13は、マルチフィジクスを対象として、有限要素法及び有限体積法により準双方向の連成解析を行うことが可能になる。
【0023】
次に、処理部13は、埋め込み境界法を適用せずに解析処理を行い、また埋め込み境界法を適用して解析処理を行う。埋め込み境界法は、物理場における形状の境界を求める数値解析の方法である。解析処理は、例えば、形状の最適化等を行う処理であってもよい。
【0024】
処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、例えば、解析処理として、第1の最適化処理と第2の最適化処理とを行ってもよい。第1の最適化処理は、例えば、埋め込み境界法とは異なる解析法により、形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは境界条件を変更しながら複数の物理場についての解析処理であってもよい。第2の最適化処理は、例えば、形状の境界が所定状態になった以降は埋め込み境界法により境界条件を変更しながら複数の物理場についての解析処理であってもよい。埋め込み境界法については、後述する。
【0025】
処理部13は、形状情報に基づく形状の全体を走査して、最適化モデル(形状)の境界が所定状態になるまでは、埋め込み境界法を適用せずに解析処理(第1の最適化処理)を行ってもよい。この場合、処理部13は、最適化された形状としてその形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第1の最適化処理における境界(境界条件)が所定状態として、境界(境界条件)を変更しながら、固体領域と流体領域との間のその境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化しつつ、埋め込み境界法とは異なる解析法による解析処理が収束した状態になるまで解析処理を行う。一例として、処理部13は、第1の最適化処理を、境界が確定せずにぼやけた状態(一例として、固体領域から流体領域へ境界がなだらかに変化する状態等)であるが、その解析処理の演算が収束した状態になるまで行う。
【0026】
すなわち、処理部13は、例えば、まず上述したように埋め込み境界法を適用しない方法で形状の最適化を行い、後述する目的関数が収束したところで解析処理が収束したと判定してもよい。換言すると、第1最適化部134は、例えば、領域分割部133によって領域分割が行われた形状の初期構造から境界が所定状態になるまで(トポロジーが所定状態になるまで)は、埋め込み境界法を適用せずにレベルセット関数を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、その解析処理の結果が収束するまでは境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の解析の際の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化する所定状態の形状を取得してもよい。
トポロジーは、例えば、解析対象の形状であってもよく、レベルセット関数によって表現される境界面であってもよい。
【0027】
また、処理部13は、第1の最適化処理の後に第2の最適化処理を行う。処理部13は、最適化された形状としてその形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第2の最適化処理として、境界(境界条件)を変更しながら、固体領域と流体領域との間のその境界を確定するまで解析処理を行う。換言すると、第2最適化部135は、第1最適化部134によって形状の境界が所定状態になった以降(トポロジーが所定状態になった後)は埋め込み境界法を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、その解析処理の結果が収束するまで境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の境界が確定した形状を取得してもよい。ここで、処理部13(第2最適化部135等の解析部)は、後述するように、領域分割部133によって境界が設定されるセルに対して、その境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行ってもよい。
【0028】
すなわち、第2最適化部135は、境界が確定する場合として、トポロジーが確定するまで第2の最適化処理を行ってもよい。ここで、第2最適化部135は、例えば、最適化モデルの解析条件の1つとしての目的関数が収束した場合に、トポロジーが確定したと推定してもよい。
【0029】
処理部13は、第1の最適化処理(第1最適化部134)及び第2の最適化処理(第2最適化部135)それぞれにおいて、複数の物理場を含む連成場についての解析処理を行う。この場合、処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、複数の物理場(連成場)の解析処理として、物理場の数値解析を行ってもよい。この場合、処理部13は、解析処理として、状態場及び随伴場の数値解析を行ってもよい。換言すると、処理部13は、N個(N>2)の物理場からなる連成場の解析を行ってもよい。解析を行う物理場の数は、2つの物理場に限定されることはなく、3つ以上の物理場であってもよい。
なお、第1最適化部134及び第2最適化部135は、1つにまとめて「解析部」として構成されてもよい。解析部は、例えば、N個(N>2)の物理場からなる連成場の解析を行ってもよい。
【0030】
一例として、処理部13は、複数の物理場として少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場がある場合、領域分割の結果に基づいて第1の物理場の解析処理及び第2の物理場の解析処理とを連続して行ってもよい。すなわち、処理部13は、境界条件に基づいて領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行った後、境界条件を変更して領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行うことを繰り返してもよい。第2の物理場は、例えば、第1の物理場とは異なる物理場であってもよい。
【0031】
ここで、処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、物理量の数値解析を行う場合、目的関数が収束するまでは、境界条件を変更して繰り返し数値解析を行ってもよい。この場合、処理部13は、零等位面を形状の境界表面として、埋め込み境界法による境界条件に埋め込んでもよい。埋め込み境界法は、ゴーストセル法を利用してもよい。この場合、ディリクレ型、ノイマン型、ロビン型について適用が可能であってもよい。
【0032】
処理部13は、例えば、物理場(物理量の状態としての状態場)の解析として、構造解析、熱流体解析及び電磁場解析等を行ってもよい。ここで、構造解析は、例えば、変位場及び応力場等の有限要素法による数値解析等であってもよい。熱流体解析は、例えば、流速場、圧力場及び温度場等の有限体積法による数値解析等であってもよい。電磁場解析は、例えば、磁場等の有限要素法による数値解析等であってもよい。
【0033】
また、処理部13は、例えば、物理場(状態場に付随する随伴場)の解析として、構造解析及び熱流体解析等を行ってもよい。構造解析は、例えば、随伴変位場及び随伴応力場等の有限要素法による数値解等であってもよい。熱流体解析は、例えば、随伴流速場、随伴応力場及び随伴温度場等の有限要素法による数値解析等であってもよい。
【0034】
処理部13は、例えば、まず状態場(第1の物理量に関する物理場)についての解析を行い、次に、随伴場(第2の物理量に関する物理場)についての解析を行ってもよい。なお、上述した状態場及び随伴場は一例であり、処理部13は、種々の物理量(物理場)の状態場及び随伴場について解析を行うことが可能である。
【0035】
次に、処理部13(評価部136)は、例えば、上述した最適化条件の目的関数及び制約関数についての評価を行う。処理部13は、例えば、目的関数及び制約関数についての評価として、複数の物理場(連成場)の解析を行った結果、目的関数が収束しているかを判定し、目的関数が収束していなければ、設計感度の解析を行う。
【0036】
ここで、処理部13(評価部136)は、例えば、複数の異なる物理場を組み合わせた解析、すなわちマルチフィジクスの設計感度解析を随伴変数法により実施してもよい。すなわち、処理部13は、例えば、設計感度の解析として、まず設計変数の解析を行う。設計変数は、レベルセット関数値からヘビサイト関数により求められる変数である。次に、処理部13は、例えば、設計変数に基づいて設計感度の解析を行う。設計感度は、ラグランジュ汎関数の設計変数による勾配であってもよい。ここで、ラグランジュ汎関数は、例えば、目的関数とラグランジュ乗数とを乗算した制約関数、及び、状態方程式の和で構成される。処理部13は、例えば、ラグランジュ汎関数から設計感度を解析的に求めてもよい。すなわち、処理部13は、例えば、設計感度を、設計変数の他に、状態場及び随伴場の値を利用して求めてもよい。
【0037】
処理部13(評価部136)は、設計変数を更新する。すなわち、処理部13は、レベルセット関数の更新を行う。処理部13は、設計変数(レベルセット関数)の更新として、種々の公知の方法を利用することができる。処理部13は、設計変数の更新により、上述した境界条件の更新(境界の変更)が可能となる。
【0038】
処理部13は、解析対象の形状を更新した設計変数(レベルセット関数)に基づいて、再度領域分割を行い、解析処理を行う。すなわち、処理部13は、設計感度を利用して解析対象の形状を変更することが可能である。
【0039】
処理部13は、上述したように目的関数が収束すると、解析処理の結果(最適構造)を出力する。すなわち、出力制御部137は、第1最適化部134及び第2最適化部135のうち少なくとも一方における解析処理の結果を出力するよう出力部を制御する。一例として、出力制御部137は、第2最適化部135によって取得される形状を連成場の最適構造として出力するよう出力部を制御してもよい。換言すると、処理部13は、最適構造がレベルセット関数で表現されているため、最適化された境界面の情報を出力する。この場合、処理部13は、例えば、最適構造をユーザによって編集してもよい。処理部13は、編集が行われた場合でも、編集後の最適構造の出力を行う。ここで、出力部は、通信部21、記憶部22及び表示部23等であってもよい。
すなわち、処理部13は、例えば、最適構造に関する情報を外部装置(図示せず)に送信するよう通信部21を制御してもよい。外部装置は、例えば、サーバ及びユーザ端末等であってもよい。この場合の一例として、処理部13は、最適構造を記録するCADデータを送信するよう通信部21を制御してもよい。
処理部13は、例えば、最適構造に関する情報を記憶するよう記憶部22を制御してもよい。この場合の一例として、処理部13は、最適構造を記録するCADデータを記憶するよう記憶部22を制御してもよい。
処理部13は、例えば、最適構造を表示するよう表示部23を制御してもよい。
【0040】
[埋め込み境界法について]
次に、埋め込み境界法について説明する。
第2の最適化処理において利用される埋め込み境界法は、以下の第1例及び第2例を利用することが可能である。なお第2の最適化処理においては、処理部(第2最適化部)は、第2例の埋め込み境界法を利用してもよい。
【0041】
(第1例)
まず、第1例の埋め込み境界法について説明する。
図3は、第1例の埋め込み境界法について説明するための図である。ここで、図3(A)は第1例の埋め込み境界法について説明するための第1の図、図3(B)は第1例の埋め込み境界法について説明するための第2の図である。
【0042】
第1例の埋め込み境界法は、例えば、(1)形状を複数の要素(セル)に分割した解析領域のうち、形状の境界(境界条件)となるゴーストセルを探索し、(2)そのゴーストセルの物理値を境界条件から推定し、(3)その推定の結果としてゴーストセルの物理値を境界条件として物理場を計算する方法である。ここで、形状の境界の一例は、固体領域と流体領域との境界であってもよく、レベルセット関数φ(x)の零等位面で表現されてもよい。
【0043】
具体的には、そのような埋め込み境界法では、まず、境界条件とするゴーストセルの探索を行う。この場合、上述したようにレベルセット関数をφ(x)とし、上述した流体領域がφ(x)>0、固体領域をφ(x)<0とすると、埋め込み境界法は、レベルセット関数がφ(x)<0のセルに対して、隣接するセルのφ(x)>0となるセルをゴーストセルとする(図3(A)参照)。
次に、埋め込み境界法は、ゴーストセルの物理値を推定する。この場合、埋め込み境界法は、レベルセット関数の零等位面で指定された境界条件と、物理値を推定したいゴーストセルに隣接する流体領域のセルでの物理値とを利用して、ゴーストセルの物理値を推定する(図3(B)参照)。この場合、埋め込み境界法は、ゴーストセルの物理値として、計算初期値及び反復計算過程での計算値を用いる。
次に、埋め込み境界法は、ゴーストセルの物理値を境界条件として、物理場の計算を行う。この場合、埋め込み境界法は、ゴーストセルの物理場を境界条件の固定値とし、物理場の計算を行ってもよい。
埋め込み境界法は、境界条件の設定方法であるため、例えば、反復法を想定した熱流体解析では、解析計算の反復(繰り返し)を行うたびに境界条件の更新が行われる。
【0044】
図4は、第1例の埋め込み境界法を利用する場合における、形状の曲率が小さい場合及び形状の曲率が大きい場合について説明するための図である。ここで、図4(A)は曲率の小さい形状の場合について説明するための図、図4(B)は曲率の大きい形状の場合について説明するための図である。
【0045】
第1例の埋め込み境界法では、形状の複雑度により計算の安定性に影響を与える。ここで、形状の複雑度が大きい場合としては、例えば、形状に曲率の大きい領域がある場合が挙げられる。すなわち、レベルセット関数φ(x)の零等位面の曲率が大きい場合、物理場の勾配が大きくなるため、ゴーストセルで推定する物理値が反復計算のたびに変化が大きくなり、計算が不安定になる。
【0046】
(第2例)
次に、第2例の埋め込み境界法について説明する。
第2例の埋め込み境界法は、上述した第1例の埋め込み境界法を改良した、改良型埋め込み境界法と言ってもよい。
図5は、第2例の埋め込み境界法における、形状の曲率が大きい場合及び形状の曲率が小さい場合について説明するための図である。ここで、図5(A)は曲率の大きい形状の場合について説明するための図、図5(B)は曲率の小さい形状の場合について説明するための図である。
【0047】
改良型埋め込み境界法は、上述した図3,4を用いた例示において、ゴーストセルに隣接する流体領域のセルの範囲を相対的に大きくとり、ゴーストセルにおける物理値の推定値を平滑化することで、計算の反復過程における物理値(推定値)の変化を相対的に小さくでき、反復計算の安定化を行うことができる。ここで、改良型埋め込み境界法は、物理値を推定したいゴーストセルに隣接する流体領域のセルの数を、形状の曲率に応じて変更する。すなわち、改良型埋め込み境界法は、例えば、形状の曲率が相対的に大きい場合には、対象となる、ゴーストセルに隣接する流体領域のセルの数を相対的に多くしてもよい(図5(A)参照)。また、改良型埋め込み境界法は、例えば、形状の曲率が相対的に小さい場合には、対象となる、ゴーストセルに隣接する流体領域のセルの数を相対的に少なくしてもよい(図5(B)参照)。
【0048】
図6は、第2例の埋め込み境界法について説明するための図である。ここで、図6(A)は計算対象となる流体領域のセルについて説明する図、図6(B)は計算対象となる流体領域のセルを広げる図を示す。
【0049】
改良型埋め込み境界法では、上述した第1例の埋め込み境界法で説明した(2)のゴーストセルの物理値を境界条件から推定する方法を改善している。すなわち、改良型埋め込み境界法は、レベルセット関数φ(x)の零等位面の曲率に依存して、計算対象となる、ゴーストセルに隣接する流体領域のセルの数を変更する(図6(A)参照)。具体的には、上述したように、改良型埋め込み境界法は、レベルセット関数φ(x)の零等位面の曲率が相対的に大きい場合には、流体領域の計算対象となる範囲を相対的に広くする(図6(B)参照)。また、改良型埋め込み境界法は、レベルセット関数φ(x)の零等位面の曲率が相対的に小さい場合には、流体領域の計算対象となる範囲を相対的に狭くする。
【0050】
この場合の一例として、改良型埋め込み境界法は、曲率rに応じた、流体領域における計算対象となるセルの数N(セルの範囲)を以下のように設定してもよい。
すなわち、改良型埋め込み境界法は、解析対象の境界の曲率r>rmaxの場合にはセルの数Nmax(計算対象となる範囲)と設定し、解析対象の境界の曲率r<rminの場合にはセルの数Nmin(計算対象となる範囲)と設定してもよい。ここで、所定曲率rmax及びrminは、例えば、閾値となる曲率であってもよく、情報処理装置のユーザによって設定が可能であってもよい。また、閾値となるrmax及びrminは、レベルセット関数φ(x)の零等位面の最大曲率に対する比であってもよく、曲率の絶対値であってもよい。Nmax及びNmin(Nmax>Nmin)は、例えば、曲率に応じて情報処理装置のユーザによって設定が可能であってもよい。
【0051】
なお、上述した場合では流体領域と固体領域とを用いて説明しているが、物理場は流体場に限らず、種々の物理場であってもよい。
すなわち、処理部13(第2最適化部135等の解析部)は、第2の最適化処理において、形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率以上の場合(又は、境界の曲率が所定曲率よりも大きい場合)には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に広げることにより複数の物理量の解析処理を行ってもよい。また、処理部13は、第2の最適化処理において、形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率未満の場合(又は、境界の曲率が所定曲率よりも小さい場合)には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に狭くすることにより複数の物理量の解析処理を行ってもよい。所定曲率は、例えば、1又は複数が設定されてもよい。
【0052】
[実施例]
次に、上述した実施形態の解析処理(第1の最適化処理及び第2の最適化処理)の一実施例について例示する。
【0053】
(第1実施例)
第1実施例では、放熱性能と圧力損失性能とに基づく形状の最適化について説明する。
図7は、第1実施例について説明するための図である。ここで、図7(A)は空間形状に関する一例を示す第1の図、図7(B)は空間形状に関する一例を示す第2の図、図7(C)は最適構造の一例を示す図である。
図8は、第1実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
【0054】
第1実施例は、図7(A),(B)に例示するように、集積回路(デバイス)を冷却水で冷却するヒートシンク(マイクロチャンネル(流路))の形状について最適化を行う際のヒートシンクの設計例について説明する。
この場合の形状情報は、ヒートシンクの形状についての情報であってもよい。
冷却水を利用するヒートシンクでは、例えば、そのヒートシンクの放熱性能と、冷却水が流れるマイクロチャンネルにおける圧力損失性能とがトレードオフの関係にある。すなわち、ヒートシンクは、放熱性能を向上させると圧力損失性能が低下し、逆に、放熱性能を低下させると圧力損失性能が向上する。そのような場合、図8に例示するように、情報処理装置1は、熱に関する物理場と圧力に関する物理場との連成場について解析処理を行うことにより、ヒートシンクの最適構造を得ることができる(図7(C)参照)。ここで、図7(C)において、黒で塗りつぶした部分が冷却水の流路を示す。すなわちまず、情報処理装置1は、第1の物理場として流体についての解析処理を行って、圧力損失及び流体の流量を取得すると共に、流速場及び静圧場を取得する。次に、情報処理装置1は、静圧場を利用して、第2の物理場として熱についての解析処理を行って、温度及び熱量、並びに、最適構造を取得する。ここで、情報処理装置1は、例えば、流体(マイクロチャンネル)の流れについては定常流体解析を行い、熱(温度)については熱解析を行ってもよい。これにより、情報処理装置1は、マイクロチャンネルの圧力損失の最小化と、温度の最小化(放熱量の最大化)とを満たす、ヒートシンク(マイクロチャンネル)の最適構造を得ることができる。すなわち、情報処理装置1は、放熱性能が改善される流路形状を得ることができる。
【0055】
(第2実施例)
第2実施例は、流体と構造との連成に基づく形状の最適化について説明する。
図9は、第2実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
【0056】
第2実施例は、荷重(構造体表面に作用する力・流体)と、応力(構造)との最適化を行う設計例について説明する。流体が流れる場合及び構造体が動く場合には、構造体の表面に圧力が発生する。その場合、圧力から構造体の応力分布を得ることができる。流体の流れが変化する場合には構造体が変形し、その変形によりまた流体の流れが変化して構造体の表面の圧力が変化する。
この場合、情報処理装置1は、荷重(流体)に関する物理場と応力(構造)に関する物理場との連成場について解析処理を行うことにより、最適構造を得ることができる。
【0057】
第2実施例は、例えば、風力発電ブレードについての最適構造を得る場合などに利用することができる。この場合の形状情報は、風力発電ブレードの形状についての情報であってもよい。その場合、図9に例示するように、情報処理装置1は、荷重(流体)と応力(構造)との連成場について解析処理を行うことにより、風力発電ブレードの最適構造を得ることができる。すなわちまず、情報処理装置1は、第1の物理場として流体についての解析処理を行って、揚力(トルク)を取得すると共に、流速場及び静圧場を取得する。次に、情報処理装置1は、静圧場を利用して、第2の物理場として構造について解析処理を行って、変位場及び応力場、並びに、最適構造を取得する。ここで、情報処理装置1は、ブレードの揚力(流体)については定常流体解析を行い、剛性(構造)については線形構造解析を行ってもよい。これにより、情報処理装置1は、揚力の最大化(ブレード面積最小化でもある)と、応力最小化(剛性最大化でもある)とを満たす、発電効率及び耐久性を両立した風力発電ブレードの最適構造を得ることができる。
【0058】
(第3実施例)
第3実施例は、熱流体と構造との連成に基づく形状の最適化について説明する。
図10は、第3実施例における解析処理の流れについて説明するための図である。
【0059】
第3実施例は、温度(熱応力を発生させる荷重・熱流体)と、熱応力(構造)との最適化を行う設計例について説明する。温度が変化する場合には熱膨張又は熱収縮が発生する。その場合、温度変化から構造による熱応力分布を得ることができる。
この場合、情報処理装置1は、温度に関する物理場と熱応力に関する物理場との連成場について解析処理を行うことにより、最適構造を得ることができる。
【0060】
第3実施例は、例えば、ダイカスト等の金型の最適構造を得る場合などに利用することができる。この場合の形状情報は、金型の形状についての情報であってもよい。その場合、図10に例示するように、情報処理装置1は、温度と熱応力との連成場について解析処理を行うことにより、ダイカスト等の金型の最適構造を得ることができる。すなわちまず、情報処理装置1は、第1の物理場として熱流体について解析処理を行って、温度を取得すると共に、流速場、静圧場及び温度場を取得する。次に、情報処理装置1は、温度場を利用して、第2の物理場として構造について解析処理を行って、変位場及び応力場、並びに、及び最適構造を取得する。ここで、情報処理装置1は、熱流体については定常熱流体解析を行い、金型(構造)については線形構造解析を行ってもよい。これにより、情報処理装置1は、温度の最小化(冷却水による排熱量最大化でもある)と、応力の最小化(剛性最大化でもある)とを満たす、疲労耐性及び冷却性能を両立した金型の最適構造を得ることができる。
【0061】
(第4実施例)
第4実施例は、電磁場と熱流体との連成に基づく形状の最適化について説明する。
図11は、第4実施例における第1の最適化処理の流れについて説明するための図である。
図12は、第4実施例における第2の最適化処理の流れについて説明するための図である。
【0062】
第4実施例は、損失(ジュール熱・電磁場)と、温度(熱流体)との最適化を行う設計例について説明する。電流が流れる場合(電磁誘導含む)には損失が発生する。その場合、損失から熱流体による温度分布を得ることができる。温度が変化する場合には電気伝導度が変化し電流量も変化するため、電磁力及び損失が変化する。
この場合、情報処理装置1は、電磁場と熱流体に関する物理場との連成場について解析処理を行うことにより、最適構造を得ることができる。
【0063】
第4実施例は、例えば、モータの最適構造を得る場合に利用することができる。この場合の形状情報は、モータの形状についての情報であってもよい。その場合、図11に例示するように、情報処理装置1は、電磁場と熱流体との連成場について解析処理を行うことにより、モータの最適構造を得ることができる。すなわちまず、情報処理装置1は、第1の物理場として電磁場について解析処理を行って、トルクを取得すると共に、熱流束を取得する。次に、情報処理装置1は、熱流束を利用して、第2の物理場として熱流体について解析処理を行って温度場及び最適構造を取得する。ここで、情報処理装置1は、電磁場については線形電磁場解析を行い、熱流体については定常熱流体解析を行ってもよい。これにより、情報処理装置1は、平均トルクの最大化(磁石量最小化でもある)と、トルクリップル(回転によるトルク変動幅)の最小化と、損失の最小化と、ジュール熱により温度の最小化とを満たす、ロータ断面の最適構造(磁石形状、並びに、空隙の位置及び形状等)、ステータ断面の最適構造(ティース断面形状及びコイル線断面形状)を得ることができる。
【0064】
また、第4実施例は、例えば、誘導加熱炉の最適構造を得る場合に利用することができる。この場合の形状情報は、誘導加熱炉の形状についての情報であってもよい。その場合、図12に例示するように、情報処理装置1は、電磁場と熱流体との連成場について解析処理を行うことにより、誘導加熱炉の最適構造を得る場合に利用することができる。すなわちまず、情報処理装置1は、第1の物理場として電磁場について解析処理を行って、ジュール熱を取得すると共に、熱流束を取得する。次に、情報処理装置1は、熱流速を利用して、第2の物理場として熱流体について解析処理を行って、温度及び最適構造を取得する。ここで、情報処理装置1は、電磁場については線形電磁場解析を行い、熱流体については定常熱流体解析を行ってもよい。これにより、情報処理装置1は、ジュール熱の最大化(コイルの最小化でもある)と温度の均一化とを満たす、コイルの最適構造(巻き数及び断面形状)、及び、炉の最適構造を得ることができる。
【0065】
[情報処理方法]
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
【0066】
まず、一実施形態に係る情報処理方法の概要は以下の通りである。
(1)情報処理方法では、複数の物理場に対し準双方向連成解析を実行するアルゴリズムにより同時評価を可能とする。
(2)情報処理方法では、埋め込み境界法による境界条件の評価方法を適用し、同時評価の効率化を可能とする。また、複数の物理場を扱う場合には、解析モデル構築に必要な入力データの数及び工程が増加し、煩雑な作業になる。そのため、情報処理方法では、解析モデル構築から結果処理までの全ての工程作業が可能な専用のGUIおよびエディタを提供し、簡便に解析できる環境を用意する。
(3)情報処理方法では、例えば、初期構造からトポロジーが所定状態になるまでは埋め込み境界法は使用せずに公知のレベルセット法によって複数の物理場(状態場・随伴場)の解析処理を行う。また、情報処理方法では、トポロジーが所定状態になった後は、埋め込み境界法によって複数の物理場(状態場・随伴場)の解析処理を行い、最適化された形状(最適構造)を取得する。さらに、情報処理方法では、最適化の過程において相対的に小さな穴及び複雑な形状の穴の近傍では、最適構造の曲率を考慮した埋め込み境界法の精度向上の方法を適用する。すなわち、情報処理方法は、上述した改良型埋め込み境界法を適用してもよい。
【0067】
次に、一実施形態の情報処理方法について具体的に説明する。
図13は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0068】
ステップST101において、受付部12は、物理量の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける。
【0069】
ステップST102において、処理部13(例えば、設定部131)は、ステップST101で受け付けた形状情報に基づいて形状を最適化する際の最適化モデルを設定する。この場合、処理部13は、例えば、最適化モデルの設定として、物理モデルの条件設定及び最適化の条件設定等の解析条件の設定を行ってもよい。物理モデルは、例えば、物理量(物理場)のモデルであってもよい。また最適化条件は、例えば、目的関数及び制約関数等の数理モデルの条件等であってもよい。
この場合、処理部13(例えば、離散化部132)は、処理部13(例えば、設定部131)によって生成される最適化モデル(形状情報に基づく形状等)の離散化を行ってもよい。
【0070】
ステップST103において、処理部13(例えば、領域分割部133)は、ステップST102で設定される最適化モデルの領域分割を行う。この場合、処理部13(例えば、領域分割部133)は、離散化部132によって離散化された最適化モデルの領域分割を行ってもよい。処理部13(例えば、領域分割部133)は、例えば、領域分割として、解析対象となる物理場の物理量の値で最適化モデルの境界を設定してもよい。
ここで、処理部13は、例えば、領域の表現方法として、レベルセット関数等を利用してもよい。レベルセット関数は、例えば、最適化モデルの境界を埋め込んだ関数として表現されてもよい。
【0071】
ステップST104において、処理部13(例えば、第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、埋め込み境界法を適用して解析処理を行うかを判断する。
この場合、処理部13は、例えば、領域分割されたモデルの全体を走査して、形状の初期構造から所定状態までは埋め込み境界法を適用しない(No)と判断する。埋め込み境界を適用しない場合(No)、処理は、ステップST106に進む。
一方、処理部13は、例えば、形状が所定状態になった後は、埋め込み境界法を適用すると(Yes)と判断する。埋め込み境界を適用する場合(Yes)、処理は、ステップST105に進む。この場合、上述した所定状態は、例えば、形状の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化しつつ、埋め込み境界法とは異なる解析法(埋め込み境界法を適用しない方法)による解析処理が収束した状態等であってもよい。
【0072】
ステップST105において、処理部13(例えば、第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、境界条件の更新を行う。処理部13は、後述するステップST110等の処理に応じて設定される値に応じて境界条件を更新・変更を行う。一例として、処理部13は、境界条件の更新として、ステップST110の処理で更新されるレベルセット関数等に応じて、モデルの境界を移動すること(零等位面の設定)を行ってもよい。
【0073】
ステップST106において、処理部13(例えば、第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、ステップST103で領域分割が行われたモデルについて解析処理(例えば、数値解析)を行う。ここで、処理部13(第1最適化部134)は、例えば、ステップST104でNoと判断された場合には、埋め込み境界法を適用せずにレベルセット関数を利用して形状の境界(境界条件)を変更しながら複数の物理場(連成場)の解析を行ってもよい。一方、処理部13(第2最適化部135)は、ステップST104でYesと判断された場合、ステップST105で更新される境界条件の更新に応じて埋め込み境界法を適用し、複数の物理場(連成場)の解析を行ってもよい。ここで、処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135それぞれ)は、例えば、少なくとも第1の物理場及び第2の物理場の解析を連続して行う(連成場の解析を行う)。
【0074】
ステップST107において、処理部13(例えば、評価部136)は、ステップST107の数値解析の結果について評価する。この場合、処理部13は、ステップST106で数値解析が行われた際のモデルが最適化されているか否について、そのモデルについて設定される数理モデル(最適化条件)の目的関数と制約関数とを利用して評価してもよい。
【0075】
ステップST108において、処理部13(例えば、評価部136)は、ステップST107で評価される目的関数が収束しているかを判断する。
目的関数が収束していない場合(No)には、処理は、ステップST109に進む。ここで、情報処理方法では、ステップST103~ステップST110の処理を繰り返すことにより、複数の物理場を含む連成場に応じた形状の境界(トポロジー)の確定を行う。
一方、目的関数が収束した場合(Yes)には、処理は、ステップST111に進む。例えば、複数の物理場を含む連成場に応じた形状の境界(トポロジー)の確定した場合には、処理は、ステップST111に進んでもよい。
【0076】
ステップST109において、処理部13(例えば、評価部136)は、モデルの設計感度の解析を行う。この場合、処理部13は、例えば、設計感度を、設計変数、及び、解析対象の物理場(状態場及び随伴場)の値を利用して算出することができる。設計変数は、例えば、レベルセット関数値を利用した、ヘビサイト関数から求めることが可能である。
【0077】
ステップST110において、処理部13(例えば、評価部136)は、ステップST109の設計感度の解析に基づいて、設計変数の更新を行う。すなわち、処理部13は、例えば、設計変数の更新として、レベルセット関数の更新を行う。この場合、処理部13は、例えば、公知の種々の技術を利用して、設計変数(レベルセット関数)の更新を行うことが可能である。
ステップST110の後、処理は、ステップST103に戻る。すなわち、処理がステップST103に戻った後の処理部13(例えば、領域分割部133)、ステップST110で更新された設計変数(レベルセット関数)を利用して、領域分割を行う。
【0078】
ステップST111の処理は、上述したステップST108でYesと判断された場合に行われる。すなわち、ステップST111において、処理部13(例えば、出力制御部137)は、ステップST106の数値解析の結果を出力するよう出力部を制御する。一例として、処理部13(例えば、出力制御部137)は、第2最適化部135等の解析部によって解析された複数の物理場(連成場)に応じた最適構造を出力するよう出力部を制御してもよい。ここで、出力部は、通信部21、記憶部22及び表示部23等であってもよい。
【0079】
上述した情報処理装置1は、例えば、ユーザ端末等の外部装置から形状情報を受け付けると、その形状情報に基づいて連成場の解析を行い、その解析の結果としての最適構造を外部装置に送信してもよい。すなわち、情報処理装置1は、例えば、連成場の解析を行って最適構造を外部装置に提供するような、クラウドサービスを提供してもよい。
また、情報処理装置1は、例えば、情報処理装置1の内部又は外部から形状情報を受け付けると、その形状情報に基づいて連成場の解析を行い、その解析の結果としての最適構造を出力するような、オンプレミスサービスを提供してもよい。
なお、情報処理装置1は、上述した一例に限らず、種々の形態で、連成場の解析を行って最適構造を情報処理装置1のユーザに提供してもよい。
【0080】
[変形例]
上述した処理部13は、境界条件を設定する。この際の一例として、処理部13は、解析対象の連成場に応じて、ディリクレ型、ノイマン型及びロビン型の中から1つ又は複数の組み合わせを選択し、選択した型に基づいて境界条件を設定してもよい。これらの型は、例えば、境界の滑りを規定することが可能である。
一例として、処理部13(設定部131)は、解析対象の連成場が指定されることにより、ディリクレ型、ノイマン型及びロビン型の中から1つ又は複数の組み合わせを選択することに基づいて、解析条件を設定してもよい。又は一例として、処理部13(設定部131)は、解析対象の連成場に応じて、ディリクレ型、ノイマン型及びロビン型の中から1つ又は複数の組み合わせを指定されることに基づいて、解析条件を設定してもよい。
一例として、処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、解析対象の連成場に応じて、ディリクレ型、ノイマン型及びロビン型の中から1つ又は複数の組み合わせが選択されることに基づいて設定される境界条件に基づいて、連成場の解析を行う。すなわち、処理部13(第1最適化部134及び第2最適化部135等の解析部)は、ディリクレ型、ノイマン型及びロビン型のうちの1つ又は複数の組み合わせに基づいて、連成場の解析を行う。
【0081】
上述した情報処理装置1は、例えば、学術分野及び産業分野等の種々の分野において利用することが可能である。すなわち、情報処理装置1は、例えば、設計工学、機械工学及び電気・電子工学等の応用物理学、並びに、情報工学等の種々の学術分野において利用することが可能である。また、情報処理装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、航空機及び電気・電子機器等の種々の産業分野において利用することが可能である。具体的な一例として、情報処理装置1は、熱交換器、空調機、モータ及び内燃機関等の種々の工業製品についての設計等を行う際に利用することが可能である。
【0082】
上述した情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の受付部12、処理部13、設定部131、離散化部132、領域分割部133、第1最適化部134、第2最適化部135、解析部、評価部136及び出力制御部137(制御部11)は、コンピュータの演算処理装置等による受付機能、処理機能、設定機能、離散化機能、領域分割機能、第1最適化機能、第2最適化機能、解析機能、評価機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の受付部12、処理部13、設定部131、離散化部132、領域分割部133、第1最適化部134、第2最適化部135、解析部、評価部136及び出力制御部137(制御部11)は、コンピュータの演算処理装置等を構成する受付回路、処理回路、設定回路、離散化回路、領域分割回路、第1最適化回路、第2最適化回路、解析回路、評価回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置1の通信部21、記憶部22及び表示部23(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0083】
情報処理装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0084】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。
【0085】
(態様1)
一態様の情報処理装置は、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理部と、を備える。
これにより、情報処理装置は、複数の物理場解析(連成場)に基づく、最適構造を得ることができる。
また、情報処理装置は、準双方向連成解析により複数の物理現象を統合的に解析できることで煩雑はモデル構築の工程を省略できる。情報処理装置は、埋め込み境界法による境界評価を適用することでメッシュの切り直しのような煩雑な工程を省略できる。情報処理装置は、メッシュの切り直し等の煩雑な手続きを回避できるため、メッシュ依存の計算精度のばらつきを防ぎ、最適化過程で計算精度の維持が可能となる。
情報処理装置は、埋め込み境界法の適用のスイッチング、すなわち、初期構造からトポロジーが所定状態になるまでは埋め込み境界法を適用せずに、一例としてレベルセット法等を適用し、トポロジーが所定状態になった後は埋め込み境界法の適用すること、及び、一例として最適構造の曲率等を考慮した改良型の埋め込み境界法を適用することで、計算の安定性を向上させることができる。この場合、情報処理装置は、全ての物理現象に対して共通のフレームワークで実装できるため、物理現象に依存しない最適化工程を自動化したシステムの実装が可能である。
【0086】
なおここで、トポロジーの最適化は、製品の性能改善及び向上のために有効な手法であるが、従来の手法は単一物理が評価の対象であり、かつ単目的の評価である。そのため従来の手法では、以下の課題があった。
(1)複数の物理特性の評価は限定的であり、かつ対象となる物理現象により方法が異なる。すなわち、従来では、最適化の方法で共通のフレームワークが存在しない。
(2)複数の物理を精度よく評価するためには、最適化の過程で最適構造を考慮した解析モデルが必要となる。すなわち、従来では、メッシュの切り直しのような煩雑な手続きが必要となっていた。
(3)トポロジーの最適化では、最適化の過程でトポロジーを変化させながら最適構造を得る。その際に、従来では、小さな穴及び複雑な形状の穴が作られることで計算が不安定になることがあった。そこで、最適過程で生成される複雑なトポロジーの形状でも安定した計算が可能で収束解が得られる必要があった。
この点、本実施形態の情報処理装置は、上記(1)~(3)の従来の手法の課題を解決することができる。
【0087】
また、従来では、トポロジーの最適化は、基本的に単一の目的関数の評価と複数の制約関数の評価を行っていた。複数の物理現象を扱う場合には、それぞれの物理場に対する感度解析が必要となり、それぞれの物理場の状態から感度を計算する必要がある。したがって、従来は、複数の物理現象を扱う場合はそれぞれの感度解析を実施しつつ、手動かつ煩雑な工程を経て個別のデータ(目的関数、制約関数)を処理・評価していた。
そのような従来技術では、例えば、伝熱場、流れ場、及び、電磁場等を包括的に評価するためには、複数の物理場の同時評価が必須となる。しかしながら、従来のトポロジーの最適化の方法では、対象となる物理現象によってはその手順が自動化されていない。したがって、最適化は手作業も含めて煩雑な手順を経ることとなり、物理現象に共通の手順が確立されていなかった。
この点、本実施形態の情報処理装置は、複数の物理量(マルチフィジクス)を対象としたトポロジーの最適化システムを提供することができる。また、従来は、工業製品の特性評価は単一物理に限定されたため機能改善も限定的であったが、本実施形態の情報処理装置は、工業製品の特性がマルチフィジクスへ対象を拡大することで多様な付加価値を持った製品の創生を可能とすることができる。さらに、本実施形態の情報処理装置は、マルチフィジクスの解析を効率的かつ高精度に実施するための数値解析技術を導入し、最適構造の編集/出力機能をシステムに統合することで開発工数の削減に貢献することができる。
【0088】
(態様2)
一態様の情報処理装置では、処理部は、解析処理として、埋め込み境界法とは異なる解析法により、形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは境界条件を変更しながら複数の物理場についての第1の最適化処理を行い、形状の境界が所定状態になった以降は埋め込み境界法により境界条件を変更しながら複数の物理場についての第2の最適化処理を行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、境界を確定して、複数の物理場を含む連成場の最適構造を得ることができる。
【0089】
(態様3)
一態様の情報処理装置では、処理部は、最適化された形状としてその形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第1の最適化処理における境界が所定状態として、固体領域と流体領域との間の解析の際の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化しつつ、埋め込み境界法とは異なる解析法による解析処理が収束した状態になるまで解析処理を行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、おおよその形状の境界を得ることができる。
【0090】
(態様4)
一態様の情報処理装置では、処理部は、最適化された形状としてその形状の固体領域と流体領域との境界を取得する場合、第2の最適化処理として、固体領域と流体領域との間の境界を確定するまで解析処理を行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、形状の境界を確定することができる。
【0091】
(態様5)
一態様の情報処理装置では、処理部は、第2の最適化処理において、形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率以上の場合には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に広げることにより複数の物理量の解析処理を行い、形状の解析の際の境界の曲率が閾値となる所定曲率未満の場合には、流体領域の解析対象となる領域を相対的に狭くすることにより複数の物理量の解析処理を行うこととしてもよい。
すなわち、情報処理装置は、第2の最適化処理において、改良型埋め込み境界法を利用する。これにより、情報処理装置は、形状の曲率が相対的に小さい場合には、ゴーストセルに隣接する流体領域のセルの数を相対的に少なくすることにより、例えば、形状に小さい穴及び突起等がある場合、並びに、複雑な形状の穴及び突起等がある場合でも、解析処理を安定化させることができる。
【0092】
(態様6)
一態様の情報処理装置では、処理部は、複数の物理場として少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場がある場合、領域分割の結果に基づいて第1の物理場の解析処理と第2の物理場の解析処理とを連続して行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、連成場に接する際の最適構造を得ることができる。
【0093】
(態様7)
一態様の情報処理装置では、処理部は、境界条件に基づいて領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行った後、境界条件を変更して領域分割を行った結果に基づいて少なくとも第1の物理場及び第2の物理場を含む連成場について解析処理を行うことを繰り返すこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、連成場に接する際の最適構造を得ることができる。
【0094】
(態様8)
一態様の情報処理装置は、複数の物理量を持つ場としての物理場の解析対象となる形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付ける形状情報に基づいて形状の最適化モデルについて解析する際の解析条件を設定する設定部と、設定部によって設定された解析条件に基づいて形状の領域分割を行う領域分割部と、領域分割部によって領域分割が行われた形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは、埋め込み境界法を適用せずにレベルセット関数を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、その解析処理の結果が収束するまで境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の解析の際の境界の存在の確率が連続的又は複数の段階的に変化する所定状態の形状を取得する第1最適化部と、第1最適化部によって形状の境界が所定状態になった以降は埋め込み境界法を利用して境界条件を変更しながら複数の物理場を含む連成場の解析処理を行い、その解析処理の結果が収束するまで境界条件を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の境界が確定した形状を取得する第2最適化部と、第2最適化部によって取得される形状を連成場の最適構造として出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
すなわち、情報処理装置は、第1の最適化処理では、埋め込み境界法とは異なる他の方法(具体的な一例として、レベルセット関数)を利用して固体領域と流体領域との間の境界(境界条件)を変更しながら、それぞれの境界(境界条件)のときに複数の物理場(連成場)の解析を行う。また、情報処理装置は、第2の最適化処理では、埋め込み境界法を利用して固体領域と流体領域との間の境界(境界条件)を変更しながら、それぞれの境界(境界条件)のときに複数の物理場(連成場)の解析を行う。
ここで、初期構造から境界が確定するまで(最適構造を得るまで)において埋め込み境界法のみを利用して境界(境界条件)を変更する場合、境界の変化が相対的に大きい際などには境界の不連続性が生じる可能性がある。この場合では、数値解析が不安定になる可能性がある。
この点、本実施形態の情報処理装置は、形状の初期構造から境界が所定状態になるまでは第1の最適化処理を行い、その後の境界が所定の状態になった以降は第2の最適化処理を行うので、数値解析が不安定になる可能性を低減でき、安定した数値解析を行うことができる。
【0095】
(態様9)
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付ステップと、受付ステップによって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理ステップと、を実行する。
これにより、情報処理方法は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0096】
(態様10)
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付機能と、受付機能によって受け付ける形状情報に応じて設定されるレベルセット関数の状態に基づいて領域分割を行い、その領域分割の結果に基づいて複数の物理場について解析を行って最適化された形状を取得する処理機能と、を実現させる。
これにより、情報処理プログラムは、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0097】
(態様11)
一態様の情報処理装置は、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化部と、離散化部によってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割部と、領域分割部によって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析部と、を備える。
これにより、情報処理装置は、改良型埋め込み境界法を利用して、物理場の解析処理を行うことができる。
【0098】
(態様12)
一態様の情報処理装置では、処理部は、境界の曲率が相対的に小さい場合には、他のセルの数を相対的に少なくし、境界の曲率が相対的に大きい場合には、他のセルの数を相対的に多くすることとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、改良型埋め込み境界法を利用して、物理場の解析処理を行うことができる。
【0099】
(態様13)
一態様の情報処理装置では、処理部は、境界の曲率が閾値となる所定曲率よりも小さい場合には、他のセルの数を予め設定される相対的に少ない数にし、境界の曲率が閾値となる所定曲率よりも大きい場合には、他のセルの数を予め設定される相対的に多い数にしてもよい。
これにより、情報処理装置は、改良型埋め込み境界法を利用して、物理場の解析処理を行うことができる。
【0100】
(態様14)
一態様の情報処理装置では、解析部は、領域分割部によって設定される境界を、レベルセット関数を利用して変更しながら物理場の解析処理を行って、形状の固体領域と流体領域との間の境界を所定状態に収束させる第1の最適化処理と、その境界が所定状態になった後は、当該境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行い、解析処理の結果が収束するまで境界を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の境界が確定した形状を取得する第2の最適化処理とを行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0101】
(態様15)
一態様の情報処理装置は、解析部によって取得される形状を最適構造として出力するよう制御する出力制御部を備えることとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0102】
(態様16)
一態様の情報処理装置では、解析部は、解析対象の物理場として、複数の物理場を含む連成場の解析処理を行うこととしてもよい。
これにより、情報処理装置は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0103】
(態様17)
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付ステップと、受付ステップによって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化ステップと、離散化ステップによってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割ステップと、領域分割ステップによって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析ステップと、を実行する。
これにより、情報処理方法は、改良型埋め込み境界法を利用した上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0104】
(態様18)
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付機能と、受付機能によって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化機能と、離散化機能によってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割機能と、領域分割機能によって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析機能と、を実現させる。
これにより、情報処理プログラムは、改良型埋め込み境界法を利用した上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 情報処理装置
11 制御部
12 受付部
13 処理部
131 設定部
132 離散化部
133 領域分割部
134 第1最適化部
135 第2最適化部
136 評価部
137 出力制御部
21 通信部
22 記憶部
23 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化部と、
前記離散化部によってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割部と、
前記領域分割部によって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記解析部は、境界の曲率が相対的に小さい場合には、他のセルの数を相対的に少なくし、境界の曲率が相対的に大きい場合には、他のセルの数を相対的に多くする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記解析部は、境界の曲率が閾値となる所定曲率よりも小さい場合には、他のセルの数を予め設定される相対的に少ない数にし、境界の曲率が閾値となる所定曲率よりも大きい場合には、他のセルの数を予め設定される相対的に多い数にする
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記解析部は、
前記領域分割部によって設定される境界を、レベルセット関数を利用して変更しながら物理場の解析処理を行って、形状の固体領域と流体領域との間の境界並びに境界条件を所定状態に収束させる第1の最適化処理と、
その境界が所定状態になった後は、当該境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行い、解析処理の結果が収束するまで境界を変更しながら繰り返し、形状の固体領域と流体領域との間の境界が確定した形状を取得する第2の最適化処理と、
を行う請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記解析部によって取得される形状を最適構造として出力するよう制御する出力制御部を備える
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記解析部は、解析対象の物理場として、複数の物理場を含む連成場の解析処理を行う
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化ステップと、
前記離散化ステップによってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割ステップと、
前記領域分割ステップによって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
物理場の解析対象の形状に関する形状情報を受け付ける受付機能と、
前記受付機能によって受け付けた形状情報に基づく形状をメッシュに離散化する離散化機能と、
前記離散化機能によってメッシュに離散化された形状を固体領域と流体領域とに分割して境界を設定する領域分割機能と、
前記領域分割機能によって境界が設定されるセルに対して、当該境界の曲率に応じて、隣接する他のセルの数を変更し、当該他のセルの物理値に基づいて境界が設定されるセルの物理量を推定し、当該セルの物理量に基づいて物理場の解析処理を行う解析機能と、
を実現させる情報処理プログラム。