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  • 特開-薬剤滴下装置 図1
  • 特開-薬剤滴下装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095857
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】薬剤滴下装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/76 20230101AFI20230629BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20230629BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C02F1/76 A
C02F1/50 510A
C02F1/50 520A
C02F1/50 531P
C02F1/50 550C
C02F1/50 550L
C02F1/50 540B
F04C5/00 341M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063946
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2018034188の分割
【原出願日】2018-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】500179459
【氏名又は名称】エース消毒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】高坂 敏行
(57)【要約】
【課題】低コストで長時間間隔で、極微量の次亜塩素酸ナトリウムを滴下できる。
【解決手段】前記ポンプは、等角度間隔で凸部を備えたロータの上半周囲を、押さえ壁で囲い、可撓性のホースが前記押さえ壁とロータとの間に挟まれるようにし、前記凸部で前記ホースを抑えた押圧部を備えた構成となっている。前記液源タンクは、前記ホースの一方の端が浸され、薬液としての次亜塩素酸ナトリウムを蓄えている。また、前記投入タンクは前記ホースの他方の端が開口され、前記液源タンクの次亜塩素酸ナトリウムの移送先となる。前記タイマーは、前記ポンプの起動間隔の時間と、1回の駆動時間を設定しておく。前記起動時間間隔が4~6時間間隔であり、前記駆動時間が2~5秒であり、前記1回の駆動時間に1~6ccの範囲の次亜塩素酸ナトリウムを投入タンクに移送でき、投入タンクの次亜塩素酸ナトリウムの濃度を0.1~1ppmの範囲に保つようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等角度間隔で凸部を備えたロータの上半周囲を、押さえ壁で囲い、可撓性のホースが前記押さえ壁とロータとの間に挟まれるようにし、前記凸部で前記ホースを抑えた押圧部を備えたポンプと、
前記ホースの一方の端が浸された、薬液としての次亜塩素酸ナトリウムを蓄える液源タンクと、
前記ホースの他方の端が開口され、前記液源タンクの次亜塩素酸ナトリウムの移送先である投入タンクと、
前記ポンプの起動間隔を時間単位として設定する時間設定部と、1回の駆動時間を前記起動から秒単位として設定する秒設定部を備えたタイマーと、
を備え、
前記起動時間間隔が4~6時間間隔であり、前記1回の駆動時間が1~5秒であり、前記1回の投入タンクへの次亜塩素酸ナトリウムを1~6ccの範囲を移送でき、投入タンクの次亜塩素酸ナトリウムの濃度を0.1~1ppmの範囲に保つ
ことを特徴とする薬剤滴下装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消毒剤等を投入する薬剤滴下装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の高架水槽では、消毒効果を維持する必要上、定期的に消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)を添加する必要がある。維持されるべき濃度は極微量例えば0.1ppm~1ppmである。水が常時使用されているときには、前記の濃度は元来水道水に含まれている消毒剤の濃度であり、それが揮発する以前に、水は消費されることになるので、特に追加的に消毒剤を滴下する必要はないことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
学校の高架水槽では、夏休み等で、水槽が満杯状態になって、長時間放置されることがある。この場合に、水道水に元来含まれている消毒剤(次亜塩素酸ソーダ)は揮発して、法定量(0.1ppm~1ppm)を維持していないことが多くなる。1m3のタンクに12%の次亜塩素酸ソーダを滴下して0.1ppm濃度を実現するためには0.83ccの滴下が必要である。
【0004】
定期的に極微量ずつ消毒剤を滴下することが望まれるが、例えば数時間毎に1ccの滴下が必要な場合に、この作業を作業員の手ですることは困難である。コストを厭はないときは、この種の機能を備えた装置はあるが、低コストの装置の出現が望まれるところである。
【0005】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、低コストで長時間間隔で、極微量の次亜塩素酸ナトリウムを滴下できる薬剤滴下装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬剤滴下装置は、以下のポンプ、液源タンク、投入タンク、タイマーを備えている。
【0007】
前記ポンプは、等角度間隔で凸部を備えたロータの上半周囲を、押さえ壁で囲い、可撓性のホースが前記押さえ壁とロータとの間に挟まれるようにし、前記凸部で前記ホースを抑えた押圧部を備えた構成となっている。前記液源タンクは、前記ホースの一方の端が浸され、薬液としての次亜塩素酸ナトリウムを蓄えている。また、前記投入タンクは前記ホースの他方の端が開口され、前記液源タンクの次亜塩素酸ナトリウムの移送先となる。前記タイマーは、前記ポンプの起動間隔を時間単位として時間設定部に設定し、1回の駆動時間を前記起動からの秒単位で秒設定部に設定できるようになっている。
【0008】
前記起動間隔が4~6時間間隔であり、前記駆動時間が1~5秒であり、前記1回の駆動時間に1~6ccの範囲の次亜塩素酸ナトリウムを投入タンクに移送でき、投入タンクの次亜塩素酸ナトリウムの濃度を0.1~1ppmの範囲に保つようになっている。
【発明の効果】
【0009】
長時間間隔で極微量、例えば1cc以下の次亜塩素酸ナトリウムを滴下したいときに、適用することができ、しかも極めて安価な液滴下装置を用いた薬剤滴下装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の機能ブロック図である。
図2】本発明に使用するポンプの1例を示すもの。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の概要を示す機能ブロック図であり、図2は本発明に使用する薬剤滴下装置の主要部を示す図である。
【0012】
モータで駆動されるロータ11は、等角度間隔(この場合は180度)で凸部12を備えており、当該ロータ11の上半周囲を囲うように押さえ壁13が設けられている。前記押さえ壁13とロータ11との間には、可撓性のホース14が挟まれており、当該ホース14は前記凸部12の部分でくびれた状態で押さえ壁13に押圧される。
【0013】
ホース14の一方の端は移送元の液源タンク20に浸され、他方の端は、移送先の投入タンク30に開口される。この状態で、ロータ11を回転させると、特定の凸部12が抑え壁13を抑えながら回転する。このとき、前記当該凸部12の通過する箇所はくびれるとともに、当該くびれは回転とともに下流方向に移動する。したがって、回転方向下流に充填された薬剤は、ホース14の移送先タンク30に送られ、前記当該凸部12の回転方向上流のホースは再び膨らんで液源タンク20から、薬剤を吸い上げることになる。従って、前記凸部12の回転角に応じた容量の薬剤が液源タンク20から移送先タンク30に送られることになる。このポンプ10によると、以下に説明するように1ccに満たない量での滴下も可能となる。
【0014】
移送対象液を微量ずつ移送するためには、モータの制御も重要になる。すなわち、例えば、秒単位で、正確にロータ11の回転角を調整すると、1回の移送量を1cc以下に抑える等の制御をすることができるが、そのためには、モータと前記ロータの回転比を調整するように、(例えば1秒でロータ11が半回転するように)減速する減速機を設ける必要がある。
【0015】
更に、滴下する間隔と必要量は例えば6時間間隔で1cc以下と言った単位である。ここで、ロータ11が2秒で半回転し、1ccの薬剤を送ると仮定すると、長くても数秒間だけモータを駆動するための駆動信号を発生す必要がある。すなわち、タイマー40の時間設定部41で6時間間隔の起動時間を設定し、秒設定部41で例えば2秒の駆動時間を設定する。
【0016】
これによって駆動信号がONになるとスイッチ43がONとなり、電源44からポンプ10に対して電力が2秒間だけ電力が送られることになる。以下、1秒でロータが半回転し、当該1秒で3ccの供給能力を持つポンプ30を使用した場合の実施例を挙げる。
【0017】
<実施例1>
某銀行における2m3のタンクであって、当タンクは一階に設置され2階、3階に井戸水を圧力ポンプで圧送して配給するシステムになっている。井戸水であるので、消毒剤である当然次亜塩素酸ナトリウムの初期値はゼロ。当該溜水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を法定上の濃度に保つ必要がある一方、消費されている量も勘案する必要がある。
【0018】
6時間毎に濃度3%の次亜塩素酸ナトリウムを2秒間(6cc)を注入するように時間設定しておくと、0.3~0.4PPMにコントロールできた。
【0019】
<実施例2>
学校の屋上に設置されているタンクは夏休みなどの高温時では1~2日で次亜塩素酸ナトリウムはすべて揮発する。この場合は、1m3の高架水槽に12%濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を4~6時間置きに1回6cc(前記ポンプを2秒作動)を1日4~6回実行すると0.5PPMの濃度を維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上の構成で、長時間単位に秒単位のポンプの駆動が可能となり、学校の貯水槽等の消毒剤の管理、あるいは、排水に対する凝集剤等の滴下の管理が可能となる。
【符号の説明】
【0021】
10・・ポンプ
11・・ロータ
12・・凸部
13・・押さえ壁
14・・可撓性のホース
20・・液源タンク
30・・投入タンク
40・・タイマー
41・・時間設定部
42・・秒設定部
43・・スイッチ
44・・電源
図1
図2