(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095929
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】バッテリステーション管理システム及びバッテリステーション管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20230629BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230629BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230629BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230629BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230629BHJP
【FI】
H02J7/34 D
H01M10/44 Q
H02J7/00 X
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J7/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074414
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2018209886の分割
【原出願日】2018-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】財津 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】惠比須 博充
(72)【発明者】
【氏名】篠原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将志
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】青砥 宏治
(57)【要約】
【課題】バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようにすると共に、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態を回避できるようにする。
【解決手段】管理サーバ6は、風力発電装置4による発電(自然エネルギー発電)により供給可能な電力供給量を取得し、電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、電力制限の必要がある場合には、バッテリステーション、バッテリ交換機3、バッテリ交換機のグループ、およびバッテリパック2の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、電力供給量とに基づいて、バッテリ交換機におけるバッテリパック2の充電を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ間で共用される複数のバッテリ装置と、
バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、
この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置での前記バッテリ装置の交換および充電を管理するサーバ装置と、
を有するバッテリステーション管理システムであって、
前記サーバ装置は、
自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、
前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、
前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、前記バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御することを特徴とするバッテリステーション管理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
対象となる全ての前記バッテリ交換装置で必要とされる充電用電力の総量である電力必要量を取得し、この電力必要量と前記電力供給量とを比較して、前記電力制限の必要があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記電力供給量が第1の基準値に達し、かつ、前記電力供給量が第2の基準値に達した場合には、電力制限の解除が可能か否かを判定し、電力制限の解除が可能と判定されると、通常の制御に復帰することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記バッテリ交換装置が現在保有する前記バッテリ装置の状態に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、
前記バッテリ交換装置における過去のユーザの利用状況に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
前記バッテリ交換装置の設置状況に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、
前記バッテリ装置の状態に基づいて、前記バッテリ装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ装置を選択することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項8】
前記サーバ装置は、
所定範囲内にある複数の前記バッテリ交換装置をグループ化して、グループごとのユーザの利用状況に基づいて、前記グループごとの優先度を設定して、充電を実施する前記グループを選択することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、
管理者が指定した前記優先度情報に基づいて、前記バッテリ交換装置での充電を制御することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項10】
さらに、前記バッテリ交換装置に併設された蓄電装置を有し、
前記サーバ装置は、
前記電力供給量が余剰状態にあるか否かを判定し、前記電力供給量が余剰状態にある場合には、余剰電力を前記蓄電装置に供給して前記蓄電装置の充電を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載のバッテリステーション管理システム。
【請求項11】
サーバ装置において、ユーザがバッテリ装置の交換を行うバッテリステーションを管理するバッテリステーション管理方法であって、
自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、
前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、
前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御することを特徴とするバッテリステーション管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などのユーザがバッテリステーションでバッテリ装置を交換するバッテリ交換サービスにおいて、バッテリステーションを管理するバッテリステーション管理システム及びバッテリステーション管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、排気ガスによる大気汚染や燃料コストの問題を解消する観点から、電動バイクなどの電動車両が注目されている。このような電動車両では、バッテリ装置の充電が支障となって、長時間の連続走行ができないという不便がある。そこで、このような不便を解消するため、電動車両に、着脱可能なバッテリ装置を搭載して、バッテリステーションにおいて、残量が少なくなったバッテリ装置と充電済みのバッテリ装置とを交換できるようにして、長時間の連続走行を実現するバッテリ交換サービスが普及しつつある。
【0003】
このようなバッテリ交換サービスでは、バッテリ装置の充電のための電力が必要であるが、近年の環境問題に対する配慮などから、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギー発電による電力を利用してバッテリ装置の充電を行うことが望まれる。
【0004】
このようなバッテリ装置の充電に関して、従来、自然エネルギー発電による電力を、電動車両用のバッテリステーション(充電スタンド)において有効活用できるようにした電力の管理システムが知られている(特許文献1、2参照)。特に、特許文献1には、主に自然エネルギーを利用した発電設備から受電し、可搬式バッテリを充電する充電コントローラを有するバッテリステーションにおいて、使用済みの可搬式バッテリを充電済みの可搬式バッテリに交換する技術が開示されている。また、特許文献2には、自然エネルギー発電設備から出力される電力を整流して出力するパワーコンディショナからの発電電力出力値の変動に応じて、各充電スタンド及び/又は各充電コネクタに割り当てる充電電流を動的に変更するよう制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-011860号公報
【特許文献2】特開2014-233180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、従来の技術では、自然エネルギー発電は気象条件などにより発電量が大きく変動するという問題に関して、自然エネルギー発電による電力の有効活用を図ることができる。ところが、従来の技術では、自然エネルギー発電による電力が不足する状況では、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができないため、火力発電などによる電力系統からの電力に頼らざるを得ず、また、バッテリステーションにおいてユーザへ貸し出す充電済みのバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようにすると共に、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態が発生することを回避することができるバッテリステーション管理システム及びバッテリステーション管理方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバッテリステーション管理システムは、ユーザ間で共用される複数のバッテリ装置と、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置での前記バッテリ装置の交換および充電を管理するサーバ装置と、を有するバッテリステーション管理システムであって、前記サーバ装置は、自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、前記バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御する構成とする。
【0009】
また、本発明のバッテリステーション管理方法は、サーバ装置において、ユーザがバッテリ装置の交換を行うバッテリステーションを管理するバッテリステーション管理方法であって、自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッテリ装置の充電に利用する電力が、自然エネルギー発電による電力供給量の範囲内に収まるように、第1の基準値に基づいて、電力制限の必要があるか否かを判定して、バッテリ装置の充電を制限することができるため、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようになる。また、バッテリステーション、バッテリ交換装置、バッテリ交換装置のグループ、およびバッテリ装置を制御単位として、制御単位ごとの優先度を設定して、バッテリ装置の充電を制御するため、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態が発生することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図
【
図2】バッテリ交換機3および管理サーバ6の概略構成を示すブロック図
【
図3】バッテリ交換機管理テーブルの登録内容を示す説明図
【
図6】第1の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図7】第2の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図8】第3の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図9】第4の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図10】第5の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図11】第6の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図12】第7の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図
【
図13】管理サーバ6の優先度設定部43で行われる処理の手順を示すフロー図
【
図14】管理サーバ6で行われる充電制御の手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、ユーザ間で共用される複数のバッテリ装置と、バッテリステーションに配置され、ユーザから返却された前記バッテリ装置を収容して充電すると共に、返却された前記バッテリ装置と交換で充電済みの前記バッテリ装置をユーザに貸し出す複数のバッテリ交換装置と、この複数のバッテリ交換装置とネットワークを介して接続されて、前記バッテリ交換装置での前記バッテリ装置の交換および充電を管理するサーバ装置と、を有するバッテリステーション管理システムであって、前記サーバ装置は、自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、前記バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御する構成とする。
【0013】
これによると、バッテリ装置の充電に利用する電力が、自然エネルギー発電による電力供給量の範囲内に収まるように、第1の基準値に基づいて、電力制限の必要があるか否かを判定して、バッテリ装置の充電を制限することができるため、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようになる。また、バッテリステーション、バッテリ交換装置、バッテリ交換装置のグループ、およびバッテリ装置を制御単位として、制御単位ごとの優先度を設定して、バッテリ装置の充電を制御するため、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態が発生することを回避することができる。
【0014】
また、第2の発明は、前記サーバ装置は、対象となる全ての前記バッテリ交換装置で必要とされる充電用電力の総量である電力必要量を取得し、この電力必要量と前記電力供給量とを比較して、前記電力制限の必要があるか否かを判定する構成とする。
【0015】
これによると、自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量が小さく、充電用電力を制限する必要がある場合にのみ、充電用の電力を制限することができる。
【0016】
また、第3の発明は、前記サーバ装置は、前記電力供給量が第1の基準値に達し、かつ、前記電力供給量が第2の基準値に達した場合には、電力制限の解除が可能か否かを判定し、電力制限の解除が可能と判定されると、通常の制御に復帰する構成とする。
【0017】
これによると、自然エネルギー発電による電力が充足している状態になると、電力制限を速やかに解除して、バッテリ交換装置に収容されている全てのバッテリ装置の充電を実施することができる。
【0018】
また、第4の発明は、前記サーバ装置は、前記バッテリ交換装置が現在保有する前記バッテリ装置の状態に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択する構成とする。
【0019】
これによると、充電を実施するバッテリ交換装置を適切に絞り込むことができる。この場合、充電済みのバッテリ装置の個数(充電済みバッテリ数)や、充電率が所定値以上となるバッテリ装置の個数(充電完了直前バッテリ数)に基づいて、バッテリ交換装置ごとの優先度を設定するとよい。
【0020】
また、第5の発明は、前記サーバ装置は、前記バッテリ交換装置における過去のユーザの利用状況に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択する構成とする。
【0021】
これによると、充電を実施するバッテリ交換装置を適切に絞り込むことができる。
この場合、バッテリ交換装置で過去にユーザが行ったバッテリ交換の回数(バッテリ交換回数)や、バッテリ交換装置で過去にバッテリ交換を行ったユーザの人数(利用者数)に基づいて、バッテリ交換装置ごとの優先度を設定するとよい。また、バッテリ交換装置における過去のユーザの利用状況から、現在から所定時間以内にバッテリ交換を行うことが予測されるユーザの人数(交換見込みユーザ数)を推定して、そのユーザの人数に基づいて、バッテリ交換装置ごとの優先度を設定するとよい。
【0022】
また、第6の発明は、前記サーバ装置は、前記バッテリ交換装置の設置状況に基づいて、前記バッテリ交換装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ交換装置を選択する構成とする。
【0023】
これによると、充電を実施するバッテリ交換装置を適切に絞り込むことができる。この場合、他のバッテリ交換装置との間の距離や、所定範囲内に存在する他のバッテリ交換装置の台数に基づいて、バッテリ交換装置ごとの優先度を設定するとよい。
【0024】
また、第7の発明は、前記サーバ装置は、前記バッテリ装置の状態に基づいて、前記バッテリ装置ごとの優先度を設定して、充電を実施する前記バッテリ装置を選択する構成とする。
【0025】
これによると、充電を実施するバッテリ装置を適切に絞り込むことができる。この場合、バッテリ装置の劣化度に基づいて、バッテリ装置ごとの優先度を設定するとよい。
【0026】
また、第8の発明は、前記サーバ装置は、所定範囲内にある複数の前記バッテリ交換装置をグループ化して、グループごとのユーザの利用状況に基づいて、前記グループごとの優先度を設定して、充電を実施する前記グループを選択する構成とする。
【0027】
これによると、充電を実施するバッテリ交換装置のグループを適切に絞り込むことができる。この場合、グループに属するバッテリ交換装置で過去にバッテリ交換を行ったユーザの人数(グループの利用者数)に基づいて、グループごとの優先度を設定するとよい。
【0028】
また、第9の発明は、前記サーバ装置は、管理者が指定した前記優先度情報に基づいて、前記バッテリ交換装置での充電を制御する構成とする。
【0029】
これによると、管理者の判断に基づいて、特定のバッテリステーションやバッテリ交換装置で優先的に充電を行うことができる。この場合、複数の優先度情報を記憶し、現在の状況に応じて、複数の優先度情報のいずれかを選択するとよい。これにより、現在の状況に適した優先度でバッテリ交換装置に充電を実施させることができる。
【0030】
また、第3の発明は、さらに、前記バッテリ交換装置に併設された蓄電装置を有し、前記サーバ装置は、前記電力供給量が余剰状態にあるか否かを判定し、前記電力供給量が余剰状態にある場合には、余剰電力を前記蓄電装置に供給して前記蓄電装置の充電を行うように制御する構成とする。
【0031】
これによると、緊急時に、バッテリ交換に関係する動作のための制御用および駆動用の電力を確保することができるため、充電済みで貸出可能なバッテリ装置がある場合には、バッテリ交換サービスを継続することができる。
【0032】
また、第4の発明は、サーバ装置において、ユーザがバッテリ装置の交換を行うバッテリステーションを管理するバッテリステーション管理方法であって、自然エネルギー発電により供給可能な電力供給量を取得し、前記電力供給量が第1の基準値に達していない場合には、電力制限の必要があるか否かを判定し、前記電力制限の必要がある場合には、前記バッテリステーション、バッテリ交換装置、前記バッテリ交換装置のグループ、および前記バッテリ装置の少なくともいずれかを制御単位として、その制御単位ごとの優先度を設定した優先度情報と、前記電力供給量とに基づいて、前記バッテリ交換装置における前記バッテリ装置の充電を制御する構成とする。
【0033】
これによると、第1の発明と同様に、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようにすると共に、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態が発生することを回避することができる。
【0034】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本実施形態に係るバッテリ共用システムの全体構成図である。
【0036】
このバッテリ共用システムは、電動バイクなどの電動車両1に搭載するバッテリパック2(バッテリ装置)を複数のユーザで共用するサービス(バッテリ交換サービス)を提供するものであり、バッテリ交換機3(バッテリ交換装置)と、風力発電装置4と、電源制御装置5と、管理サーバ6(サーバ装置)と、蓄電装置7と、を備えている。
【0037】
バッテリ交換機3、風力発電装置4、電源制御装置5、および管理サーバ6はインターネットなどのネットワークを介して接続されている。なお、バッテリ交換機3は、移動体通信ネットワークや無線LANなどの無線通信でネットワーク接続される。
【0038】
電動車両1は、バッテリパック2を搭載し、バッテリパック2の電力により走行する。
図1に示す例では、電動車両を電動バイクとしたが、4輪の自動車でもよい。また、車道走行が前提となっていないモビリティ装置である電動車椅子、電動カート、テーマパークやゴルフ場等での乗用カートであってもよい。
【0039】
バッテリ交換機3は、ユーザから返却されたバッテリパック2を収容して充電すると共に、返却されたバッテリパック2と交換で充電済みのバッテリパック2をユーザに貸し出す。このバッテリ交換機3は、コンビニやガソリンスタンドなどの施設(店舗)に併設されたバッテリステーションに配置される。また、1箇所のバッテリステーションに複数のバッテリ交換機3を設置するようにしてもよい。
【0040】
風力発電装置4は、バッテリ交換機3に供給する電力、特に、バッテリ交換機3で行われるバッテリパック2の充電に利用される電力を発電する。
【0041】
電源制御装置5は、バッテリ交換機3の電源を制御する。本実施形態では、管理サーバ6の制御にしたがって、風力発電装置4で発電した電力をバッテリ交換機3に配分し、また、風力発電装置4で発電した電力のバッテリ交換機3への供給を停止する。特に本実施形態では、バッテリ交換機3での充電用の電力を風力発電による電力のみで賄うように制御され、これにより、環境問題に配慮したシステムを構築することができ、また、既存の電力系統への負荷を軽減することができるため、電力需給が逼迫している地域でもシステムの導入が容易になる。
【0042】
管理サーバ6は、バッテリ交換機3で行われるバッテリパック2の交換および充電を管理する。本実施形態では、バッテリ交換サービスに加入してバッテリパック2を使用する人物をユーザ(会員)として登録し、バッテリ交換を行う際にユーザ認証を行う。また、風力発電装置4の電力供給量に関する情報を風力発電装置4から取得して、その電力供給量に基づいて、風力発電装置4で発電した電力のバッテリ交換機3への供給を制御する。
【0043】
蓄電装置7は、バッテリ交換機3に併設され、停電などの緊急時の補助電源として機能する。この蓄電装置7は、風力発電装置4で発電した電力に余裕がある場合に、その余剰電力を蓄電する。
【0044】
なお、本実施形態では、風力発電の例を示したが、その他の自然エネルギー発電、例えば、太陽光発電などにも適用することができる。
【0045】
次に、バッテリ交換機3および管理サーバ6の概略構成について説明する。
図2は、バッテリ交換機3および管理サーバ6の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
バッテリ交換機3は、充電部11と、入出力部12と、通信部13と、表示部14と、電源部15と、記憶部16と、制御部17と、を備えている。
【0047】
充電部11は、スロット21(トレイ)を介してバッテリパック2を充電する。
【0048】
入出力部12は、スロット21を介してバッテリパック2との間で情報の入出力を行い、例えば、バッテリパック2の識別番号やアラートや劣化情報(劣化度)などがバッテリパック2から入力される。
【0049】
通信部13は、ネットワークを介して管理サーバ6と通信を行う。
【0050】
表示部14は、バッテリパック2の交換に関する案内画面を表示する。
【0051】
電源部15は、バッテリ交換機3の各部に電力を供給する。この電源部15には、風力発電装置4で発電した電力が電源制御装置5から供給され、また、火力発電などによる電力が電力系統8から供給される。
【0052】
記憶部16は、制御部17を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0053】
制御部17は、プロセッサで構成され、各種の処理を行う。例えば、ユーザが返却したバッテリパック2の識別番号および劣化情報(劣化度)や、充電部11で充電中のバッテリパック2の充電情報(充電率)や、ユーザに貸し出すバッテリパック2の識別番号などを、バッテリ情報として、通信部13から定期的に管理サーバ6に送信する。
【0054】
管理サーバ6は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備えている。
【0055】
通信部31は、ネットワークを介してバッテリ交換機3、風力発電装置4および電源制御装置5と通信を行う。
【0056】
記憶部32は、制御部33を構成するプロセッサで実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部32は、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)、優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)、および優先度管理テーブル(
図4参照)などを記憶する。
【0057】
制御部33は、バッテリ交換機管理部41と、設定基準情報取得部42と、優先度設定部43と、充電実施対象選択部44と、バッテリ交換機制御部45と、電力供給制御部46と、を備えている。この制御部33は、プロセッサで構成され、制御部33の各部は、記憶部32に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0058】
バッテリ交換機管理部41は、バッテリ交換機3で行われたバッテリ交換に係るバッテリ情報(劣化情報、充電情報)を通信部31によりバッテリ交換機3から受信すると、そのバッテリ情報に基づいて、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)を更新する。
【0059】
設定基準情報取得部42は、充電制御の対象(バッテリ交換機3など)ごとの優先度を設定する際の基準となる情報(設定基準情報)を、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)などから抽出し、また、バッテリ交換機管理テーブルなどから抽出した情報に必要な統計処理を行って設定基準情報を取得して、その設定基準情報が登録された優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)を生成する。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブルなどが更新されるのに応じて更新される。
【0060】
優先度設定部43は、優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)に基づいて、管理者により指定された制御方式の優先度設定ルールにしたがって、制御対象ごとの優先度(優先順位)を設定して、バッテリ交換機3ごとの優先度を規定した優先度管理テーブル(優先度情報、
図4参照)を生成する。この優先度管理テーブルは、優先度設定テーブルが更新されるのに応じて更新される。
【0061】
充電実施対象選択部44は、優先度管理テーブル(
図4参照)に基づいて、制御対象ごとの優先度(優先順位)を取得して、その制御対象ごとの優先度に基づいて、風力発電装置4による電力供給量の範囲内で充電実施対象を選択する。ここで、制御単位がバッテリ交換機3であれば、充電を行うバッテリ交換機3を選択し、制御単位がバッテリステーションであれば、充電を行うバッテリステーションを選択し、制御単位がバッテリパック2であれば、充電を行うスロット21を選択し、制御単位がバッテリ交換機3のグループであれば、充電を行うグループを選択する。
【0062】
バッテリ交換機制御部45は、制御情報を通信部31からバッテリ交換機3に送信して、バッテリ交換機3(バッテリステーション)の稼動状態を制御する。本実施形態では、バッテリ交換機3の稼動状態として、全ての機能を動作させる通常状態や、全ての機能を停止される電源切断状態や、特定のバッテリパック2のみの充電を行う限定充電状態や、バッテリパック2の充電に関係する動作を停止してバッテリ交換に関係する動作のみを行う充電停止状態や、バッテリパック2の充電およびバッテリ交換に関係する動作を停止して表示部14に関係する動作のみを行う案内限定状態に移行することができる。なお、電源切断状態、充電停止状態、案内限定状態の設定は、制御単位がバッテリ交換機となる場合の稼動状態として、バッテリ交換機ごとに設定することができる。
【0063】
例えば、充電実施対象選択部44でバッテリステーションやバッテリ交換機3やバッテリ交換機3のグループが充電実施対象に選択された場合には、その充電実施対象に含まれるバッテリ交換機3では通常状態を継続し、充電実施対象に含まれないバッテリ交換機3では、充電停止状態や案内限定状態とする。また、充電実施対象選択部44で特定のスロット21が充電実施対象に選択された場合には、限定充電状態に移行する。
【0064】
電力供給制御部46は、バッテリパック2の充電を行うバッテリ交換機3に、風力発電装置4で発電した電力を供給するように指示する制御情報を通信部31から電源制御装置5に送信する。
【0065】
なお、充電実施対象に選択されなかったバッテリ交換機3では、充電済みのバッテリパック2がなくなるまでバッテリ交換サービスを継続するようにするとよい。この場合、充電済みのバッテリパック2がなくなると、バッテリ交換に係る動作を停止して、バッテリ交換サービスを停止していることをユーザに通知する案内画面をバッテリ交換機3の表示部14に表示させる。また、近傍にバッテリ交換サービスを継続しているバッテリステーションがある場合には、そのバッテリステーションを案内する案内画面をバッテリ交換機3の表示部14に表示させる。
【0066】
次に、管理サーバ6のバッテリ交換機管理部41で行われる処理について説明する。
図3は、バッテリ交換機管理部41で生成するバッテリ交換機管理テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0067】
バッテリ交換機3では、自装置が保有するバッテリパック2に関するバッテリ情報(充電率や劣化度など)を、所定のタイミングまたは定期的に管理サーバ6にアップロードする。管理サーバ6のバッテリ交換機管理部41では、バッテリ交換機3から受信したバッテリ情報をバッテリ交換機管理テーブルに登録する。
【0068】
このバッテリ交換機管理テーブルには、バッテリ交換機3(バッテリ交換機ID)の位置情報と、バッテリ交換機3の各スロット21に装着されたバッテリパック2に関するバッテリ情報などが登録されている。
【0069】
位置情報は、バッテリ交換機3の設置位置の緯度および経度の情報である。なお、この位置情報は、バッテリ交換機3を設置した際に登録すればよい。
【0070】
バッテリ情報は、バッテリパック2の充電状態および劣化状態を表す情報などである。ここでは、充電状態および劣化状態を表す情報として、充電率および劣化度が登録されている。充電率は、例えば、SOC(States Of Charge)、すなわち、満充電時の放電容量に対する現在の放電容量の割合である。劣化度は、例えば、SOH(States Of Health)、すなわち、初期の放電容量に対する現在の放電容量の割合である。なお、劣化状態を表す情報としては、劣化度の他に、バッテリパック2の供用が開始されてからの貸出回数をカウントするようにしてもよい。この場合、貸出回数が多いほど劣化が進んでいるものと判断する。なお、充電状態を表す情報(充電率)は、バッテリパック2の充電を行う充電部11において測定すればよい。また、劣化状態を表す情報(劣化度)は、バッテリパック2の充電時にバッテリパック2から取得すればよい。
【0071】
次に、管理サーバ6の優先度設定部43で行われる処理について説明する。
図4は、優先度設定部43で生成する優先度管理テーブルの登録内容を示す説明図である。
図5は、優先度設定ルールが異なる各制御方式の概要を示す説明図である。
【0072】
管理サーバ6の優先度設定部43では、優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)を参照して、管理者により指定された制御方式の優先度設定ルールに従って、制御対象ごとの優先度(優先順位)を設定して、
図4に示す優先度管理テーブルを生成する。この優先度テーブルには、バッテリ交換機3(バッテリ交換機ID)ごとの優先度(優先順位)が登録されている。
【0073】
また、管理サーバ6では、
図5に示すように、優先度設定ルールが異なる第1~第8の制御方式のいずれかにより、バッテリ交換機3でのバッテリパック2の充電を制御する。本実施形態では、いずれかの制御方式を管理者が選択することができ、管理者が選択する操作に応じて、管理者が選択した制御方式の優先度設定ルールに対応した優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)を生成し、その優先度設定テーブルに基づいて、制御対象ごとの優先度を設定する。
【0074】
各制御方式では、充電の制御単位を異なるものとすることができる。すなわち、制御単位を、バッテリステーション、バッテリ交換機3、バッテリ交換機3のグループ、およびバッテリパック2のいずれかとすることができる。なお、各制御方式の優先度設定ルールは後に詳しく説明する。
【0075】
ここで、第1~第5の制御方式では、充電の制御単位をバッテリ交換機3としている。この場合、バッテリ交換機3単位でバッテリパック2の充電を制御する。すなわち、バッテリ交換機3ごとの優先度に基づいて、充電を実施するバッテリ交換機3を選択して、そのバッテリ交換機3でのみバッテリパック2の充電を行う。
【0076】
なお、1つのバッテリステーションに複数のバッテリ交換機3が設置される場合がある。そこで、第1~第5の制御方式では、充電の制御単位をバッテリステーションとしてもよい。この場合、バッテリステーション単位でバッテリパック2の充電を制御する。すなわち、バッテリステーションごとの優先度に基づいて、充電を実施するバッテリステーションを選択して、そのバッテリステーションに設置されたバッテリ交換機3でのみ充電を行う。また、充電実施対象に選択されたバッテリステーション内の全てのバッテリ交換機3でバッテリパック2の充電を行う他に、充電実施対象に選択されたバッテリステーション内の一部のバッテリ交換機3でのみバッテリパック2の充電を行うようにしてもよい。
【0077】
また、第6の制御方式では、充電の制御単位をバッテリパック2としている。この場合、バッテリパック2単位で充電を制御する。すなわち、バッテリパック2ごとの優先度にしたがって、充電を実施するバッテリパック2を選択し、優先度が高く充電対象として選択されたバッテリパック2が装着されたスロット21でのみバッテリパック2の充電を実施し、優先度が低く充電対象から除外されたバッテリパック2が装着されたスロット21では充電を休止する。
【0078】
なお、第1~第5の制御方式でも、充電の制御単位をバッテリパック2として、バッテリパック2単位でバッテリパック2の充電を制御できる場合がある。例えば、第2の制御方式では、特定(充電完了直前状態)のバッテリパック2が装着されたスロット21のみで充電を行うようにしてもよい。
【0079】
また、第7の制御方式では、充電の制御単位をバッテリ交換機3のグループとしている。この場合、グループ単位で充電を制御する。すなわち、グループごとの優先度に基づいて、充電を実施するグループを選択して、そのグループに属するバッテリ交換機3でのみ充電を実施し、充電実施対象から除外されたグループに属する全てのバッテリ交換機3ではバッテリパック2の充電を行わない。また、充電実施対象に選択されたグループに属する全てのバッテリ交換機3でバッテリパック2の充電を行う他に、充電実施対象に選択されたグループ内の一部のバッテリ交換機3でバッテリパック2の充電を行うようにしてもよい。
【0080】
なお、システムの運用を開始する際にいずれかの制御方式を管理者が選択すればよいが、システムの運用途中で制御方式を変更するようにしてもよい。
【0081】
また、
図4に示した優先度管理テーブルでは、バッテリ交換機3ごとの優先度が登録されているが、これは制御単位をバッテリ交換機IDとした例であり、制御単位がバッテリステーションであれば、バッテリステーションIDごとの優先度が登録され、また、制御単位がバッテリパック2であれば、各バッテリ交換機3におけるスロットIDごとの優先度が登録され、また、制御単位がバッテリ交換機3のグループであれば、グループIDごとの優先度が登録される。
【0082】
次に、第1の制御方式について説明する。
図6は、第1の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0083】
第1の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの充電済みバッテリ数、すなわち、バッテリ交換機3が現在保有する充電済み(満充電状態)のバッテリパック2の個数に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。
【0084】
この場合、
図6に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、バッテリ交換機IDごとに充電済みバッテリ数が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)から充電済みのバッテリパック2を検索することで生成することができる。
【0085】
この第1の制御方式では、具体的には、充電済みバッテリ数が少ないバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。これにより、充電が完了していないバッテリパック2の充電が行われ、充電済みで貸出可能なバッテリパック2を保有するバッテリ交換機3(バッテリステーション)を増やすことができるため、広い範囲のユーザにバッテリ交換サービスを提供し続けることができる。
【0086】
また、充電済みバッテリ数が多いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するようにしてもよい。これにより、一部のバッテリ交換機3(バッテリステーション)において、充電済みで貸出可能なバッテリ装置を多く保有させて、そのバッテリ交換機3(バッテリステーション)で確実にバッテリ交換サービスを提供することができる。
【0087】
次に、第2の制御方式について説明する。
図7は、第2の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0088】
第2の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの充電完了直前バッテリ数、すなわち、充電率が所定のしきい値(例えば90%)以上となる充電完了直前状態のバッテリパック2の個数に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。
【0089】
この場合、
図7に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、バッテリ交換機3ごとに充電完了直前バッテリ数が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)から、充電完了直前状態のバッテリパック2を検索することで生成することができる。
【0090】
この第2の制御方式では、具体的には、充電完了直前バッテリ数が多いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。すなわち、充電完了直前バッテリ数が多い順にバッテリ交換機3に優先順位を付与する。このような制御により、充電済みでユーザに貸出可能なバッテリパック2を増やすことができることから、バッテリ交換サービスを提供可能なバッテリステーションを増やすことができる。
【0091】
次に、第3の制御方式について説明する。
図8は、第3の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0092】
第3の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの過去の所定期間におけるユーザの利用状況、特に、バッテリ交換機3ごとのバッテリ交換回数、すなわち、過去の所定期間においてバッテリ交換機3で行われたバッテリ交換の回数に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。
【0093】
この場合、
図8に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、バッテリ交換機3ごとにバッテリ交換回数が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換の実施状況に関する情報をバッテリ交換機3から収集して、その情報をバッテリ交換の履歴情報として蓄積して、所定期間のバッテリ交換の履歴情報に基づいてバッテリ交換回数をカウントすることで生成することができる。
【0094】
この第3の制御方式では、具体的には、バッテリ交換回数が多いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。すなわち、バッテリ交換回数が多い順にバッテリ交換機3に優先順位を付与する。このような制御により、ユーザの利用頻度が高いバッテリ交換機3で優先的に充電が行われるため、貸出可能なバッテリパック2がなくなることを回避することができる。
【0095】
また、この第3の制御方式では、バッテリ交換回数の代わりに利用者数、すなわち、過去の所定期間においてバッテリ交換機3でバッテリ交換を行ったユーザの人数を用いるようにしてもよい。
【0096】
次に、第4の制御方式について説明する。
図9は、第4の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0097】
第4の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの交換見込みユーザ数、すなわち、現在から所定時間以内にバッテリ交換を行うことが予測されるユーザの人数に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。
【0098】
この場合、
図9(A)に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、バッテリ交換機3ごとに交換見込みユーザ数が登録されている。この交換見込みユーザ数は、バッテリ交換機3における過去のユーザの利用状況から推定することができる。具体的には、
図9(B)に示す貸出返却リスト(貸出履歴情報)を用いて、交換見込みユーザ数をカウントする。
【0099】
図9(B)に示す貸出返却リストには、ユーザIDごとに、最後にユーザにバッテリパック2を貸し出した日時(最終貸出日時)と、そのときにユーザにバッテリパック2を貸し出したバッテリ交換機3のIDとが登録されている。この貸出返却リストは、バッテリ交換機3でユーザにバッテリパック2を貸し出す度に、バッテリ交換機3から貸出日時とユーザIDとを収集することで生成することができる。
【0100】
この返却貸出リストから、最終貸出日時から現在時刻までの経過時間が所定時間以上となるユーザを抽出して、そのユーザの人数をバッテリ交換機3ごとに集計することで、優先度設定テーブルを生成することができる。
【0101】
ここで、各ユーザには、行きつけのバッテリステーションがあり、ユーザが利用するバッテリ交換機3はある程度固定されている。また、バッテリ交換の間隔も大きく変化しない。このため、各バッテリ交換機3においてどのユーザがどの時期にバッテリ交換を行うかを予測することができる。これにより、間もなくバッテリ交換を行うことが予測されるユーザの人数(交換見込みユーザ数)を取得することができる。
【0102】
この第4の制御方式では、具体的には、交換見込みユーザ数が多いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。すなわち、交換見込みユーザ数が多い順にバッテリ交換機3に優先順位を付与する。このような制御により、交換見込みユーザ数が多いバッテリ交換機3に充電済みで貸出可能なバッテリパック2をより多く用意することができるため、ユーザがバッテリ交換を確実に行うことができる。
【0103】
なお、交換見込みユーザ数は、所定時間以内に貸し出すことが予測されるバッテリパック2の個数に対応し、ユーザ1人あたりのバッテリ交換個数を勘案して、交換見込みユーザ数に相当する分だけ、充電済みで貸出可能なバッテリパック2を用意することが望まれる。
【0104】
次に、第5の制御方式について説明する。
図10は、第5の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0105】
第5の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの設置状況、特に他のバッテリ交換機3との間の距離に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。具体的には、最も近いバッテリ交換機3までの距離が長いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。すなわち、最も近いバッテリ交換機3までの距離が長い順にバッテリ交換機3に優先順位を付与する。
【0106】
この場合、
図10(A)に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、各バッテリ交換機3の位置情報(緯度、経度)と、最も近いバッテリ交換機3までの距離が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)から、各バッテリ交換機3の位置情報を抽出することで生成することができる。
【0107】
このような制御により、ユーザの利便性を向上させることができる。すなわち、バッテリ交換機3において、充電済みで貸出可能なバッテリパック2がなくなることで、バッテリ交換サービスを継続できなくなると、近傍にある他のバッテリ交換機3をユーザに案内すればよいが、近傍に他のバッテリ交換機3が存在しない場合には、このような案内ができないため、ユーザに不便をかける。このため、近傍に他のバッテリ交換機3が存在しないバッテリ交換機3の優先度を高く設定して、貸出可能なバッテリパック2がなくなることを避けるようにすると、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0108】
また、この第5の制御方式では、近傍の、すなわち、所定範囲内に存在する他のバッテリ交換機3の台数をバッテリ交換機3ごとに集計して、近傍のバッテリ交換機3の台数に基づいて、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。具体的には、近傍のバッテリ交換機3の台数が少ないバッテリ交換機3の優先度を高く設定するとよい。すなわち、近傍のバッテリ交換機3の台数が少ない順にバッテリ交換機3に優先順位を付与する。
【0109】
この場合、
図10(B)に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、バッテリ交換機3ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、各バッテリ交換機3の位置情報(緯度、経度)と、近傍のバッテリ交換機3の台数が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)から、各バッテリ交換機3の位置情報を抽出することで生成することができる。
【0110】
このような制御により、ユーザの利便性を向上させることができる。すなわち、近傍に他のバッテリ交換機3が多く存在する場合には、いずれかのバッテリ交換機3でバッテリ交換サービスを継続できるため、他のバッテリ交換機3にユーザを案内することができるが、近傍に他のバッテリ交換機3が少ない場合には、他のバッテリ交換機3にユーザを案内することができないことがある。このため、近傍に他のバッテリ交換機3が少ないバッテリ交換機3の優先度を高く設定して、貸出可能なバッテリパック2がなくなることを避けるようにすると、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0111】
また、この第5の制御方式では、近傍のバッテリ交換機3の台数が多いバッテリ交換機3の優先度を高く設定するようにしてもよい。このような制御により、特定のエリアでユーザがバッテリ交換を確実に行うことができるようになり、そのエリアをユーザに案内することで、ユーザがバッテリ交換を確実に行うことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0112】
次に、第6の制御方式について説明する。
図11は、第6の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0113】
第6の制御方式では、各バッテリ交換機3に収容されたバッテリパック2の状態、特にバッテリパック2の劣化度に基づいて、スロットIDごとの優先度を設定する。
【0114】
この場合、
図11に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、スロットIDごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、各バッテリ交換機3における各スロット21に装着されたバッテリパック2ごとの劣化度が登録されている。この優先度設定テーブルは、バッテリ交換機管理テーブル(
図3参照)から、各バッテリ交換機3における各スロット21に装着されたバッテリパック2ごとの劣化度を抽出することで生成することができる。
【0115】
この第6の制御方式では、具体的には、劣化度が低い、すなわち、劣化度が所定値以下となるバッテリパック2の優先度を高く設定するとよい。すなわち、劣化度が低いものから順に優先順位を付与する。劣化度が低いバッテリパック2は充電効率が高いため、劣化度が低いバッテリパック2を優先的に充電することで、同じ電力量でより多くのバッテリパック2を充電することができる。
【0116】
また、劣化度が高い、すなわち、劣化度が所定値以上となるバッテリパック2の優先度を高く設定するようにしてもよい。すなわち、劣化度が高いものから順に優先順位を付与する。劣化度が高いバッテリパック2を優先的に貸し出すようにすると、バッテリパック2の充電および放電の回数が増えて劣化が進むことから、劣化度が高いバッテリパック2を早期に回収して、新品のバッテリパック2への入れ替えを促進することができる。なお、バッテリパック2の劣化度が、回収時期を判断する所定のしきい値を超えると、アラートを表示して、管理者に新しいバッテリパック2との入れ替えを行わせるようにするとよい。
【0117】
次に、第7の制御方式について説明する。
図12は、第7の制御方式における優先度設定テーブルの登録内容を示す説明図である。
【0118】
第7の制御方式では、近接する、すなわち、所定範囲内にある複数のバッテリ交換機3をグループ化して、各グループの利用者数に基づいて、グループごとの優先度を設定する。ここで、利用者数は、過去の所定期間において、グループに属する各バッテリ交換機3でバッテリ交換を行ったユーザの人数の合計である。
【0119】
この場合、
図12(A)に示す優先度設定テーブルを生成して、この優先度設定テーブルを参照して、グループID(または、バッテリ交換機ID)ごとの優先度を設定する。この優先度設定テーブルでは、バッテリ交換機3が属するグループごとに利用者数が登録されている。この優先度設定テーブルは、
図12(B)に示すバッテリ交換機利用状況テーブルを用いて生成することができる。
【0120】
図12(B)に示すバッテリ交換機利用状況テーブルには、バッテリ交換機3ごとに、バッテリ交換機3の位置情報(緯度、経度)と、利用者数とが登録されている。このバッテリ交換機利用状況テーブルは、過去の所定期間において各バッテリ交換機3を利用したユーザの人数を集計することで生成することができる。なお、貸出返却リスト(
図9(B)参照)を統計処理すれば、バッテリ交換機3の利用者数を取得することができる。
【0121】
このバッテリ交換機利用状況テーブルから、バッテリ交換機3の位置情報に基づいて、近接する複数のバッテリ交換機3をグループ化し、各グループに属する各バッテリ交換機3の利用者数を集計して、各グループの利用者数を算出することで、優先度設定テーブルを生成することができる。
【0122】
この第7の制御方式では、具体的には、利用者数が多いグループの優先度を高く設定するとよい。すなわち、利用者数が多い順にグループに優先順位を付与する。これにより、より多くのユーザに安定してバッテリ交換サービスを提供することができる。
【0123】
次に、第8の制御方式について説明する。
【0124】
第8の制御方式では、バッテリ交換機3ごとの優先度を管理者が指定し、管理者の操作に応じてバッテリ交換機3ごとの優先度を設定した優先度管理テーブルを生成する。例えば、公共施設などの重要施設に設置されたバッテリステーションにおけるバッテリ交換機3の優先度を高く設定する。これにより、重要施設に設置されたバッテリステーションで、ユーザが確実にバッテリ交換を行うことができる。
【0125】
また、優先度管理テーブルを複数生成して、現在の状況に応じて優先度管理テーブルを選択して、各バッテリ交換機3での充電を制御するようにしてもよい。例えば、曜日ごとの優先度管理テーブルを用意して、曜日に応じて制御内容を切り替えるようにする。また、時間帯(昼間、夜間など)ごとの優先度管理テーブルを用意して、時間帯に応じて制御内容を切り替えるようにする。また、イベント開催地の近くにあるバッテリステーションにおいて、イベント開催日専用の優先度管理テーブルを用意して、イベント開催日に優先的に充電が行われて、イベントに訪れた多数のユーザが確実にバッテリ交換を行うことができるようにする。また、災害発生時に避難所などになる重要施設に設置されたバッテリステーションにおいて、災害発生時専用の優先度管理テーブルを用意して、災害発生時に優先的に充電が行われて、避難所などに訪れた多数のユーザが確実にバッテリ交換を行うことができるようにする。
【0126】
次に、管理サーバ6の優先度設定部43で行われる処理について説明する。
図13は、管理サーバ6の優先度設定部43で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0127】
管理サーバ6では、バッチ処理で定期的に優先度設定テーブル(
図6~
図12参照)を更新する。また、優先度設定テーブルが更新されるのに応じて、優先度管理テーブル(
図4参照)を更新する。
【0128】
具体的には、まず、優先度設定テーブルが更新されているか否かを判定する(ST101)。ここで、優先度設定テーブルが更新されている場合には(ST101でNo)、更新済みの優先度設定テーブルを参照して、管理者により指定された制御方式の優先度設定ルールに従って、制御対象ごとの優先度(優先順位)を設定して、優先度管理テーブルを更新する(ST102)。
【0129】
次に、管理サーバ6で行われる充電制御の手順について説明する。
図14は、管理サーバ6で行われる充電制御の手順を示すフロー図である。
【0130】
管理サーバ6では、まず、風力発電の電力供給量、すなわち、風力発電装置4から供給可能な電力の最大量を取得する(ST201)。そして、電力供給量が所定の第1の基準値以上であるか否かを判定する(ST202)。ここでは、電力供給量を第1の基準値と比較することで、電力制限が必要な状態である可能性が高いか否かを判定する。
【0131】
ここで、電力供給量が第1の基準値未満である場合、すなわち、電力制限が必要な状態である可能性が高い場合には(ST202でNo)、次に、バッテリ充電の電力必要量、すなわち、全てのバッテリ交換機3で通常通りに充電を実施した場合に必要となる電力の総量を取得する(ST203)。そして、電力供給量が電力必要量未満であるか否かを判定する(ST204)。ここでは、電力供給量と電力必要量とを比較することで、実際に電力制限が必要な状態か否かを判定する。
【0132】
ここで、電力供給量が電力必要量以上である場合、すなわち、実際に電力制限が必要な状態でない場合には(ST204でNo)、特に処理を行わずにST201に戻る。
【0133】
一方、電力供給量が電力必要量未満である場合、すなわち、実際に電力制限が必要な状態である場合には(ST204でYes)、電力制限を行う。
【0134】
すなわち、優先管理度テーブルを参照して、充電用の電力が電力供給量に収まる範囲内で、優先度の高いものから順に、充電実施対象(制御単位)を選択する(ST205)。そして、選択した充電実施対象にしたがって、バッテリ交換機3の稼動状態が全体的に減少するように制御する(ST206)。特に、ここでは、電力制限により、通常状態で稼動していたバッテリ交換機3が電源切断状態、限定充電状態、充電停止状態、案内限定状態などへ稼動状態を変更する制御が実行される。また、選択した充電実施対象に電力を供給するように電源制御装置5を制御する(ST207)。
【0135】
一方、電力供給量が第1の基準値以上である場合、すなわち、電力制限が必要な状態である可能性が低い場合には(ST202でYes)、次に、電力供給量が所定の第2の基準値以上であるか否かを判定する(S208)。ここでは、電力供給量を第2の基準値と比較することで、電力制限を解除できる状態である可能性が高いか否かを判定する。
【0136】
ここで、電力供給量が第2の基準値未満である場合、すなわち、電力制限を解除できる状態である可能性が低い場合には(ST208でNo)、特に処理を行わずにST201に戻る。
【0137】
一方、電力供給量が第2の基準値以上である場合、すなわち、電力制限を解除できる状態である可能性が高い場合には(ST208でYes)、次に、電力必要量、すなわち、全てのバッテリ交換機3で通常通りに充電を実施した場合に必要となる電力の総量を取得する(ST209)。そして、電力供給量が電力必要量未満であるか否かを判定する(ST210)。ここでは、電力供給量と電力必要量とを比較することで、実際に電力制限を解除できる状態か否かを判定する。
【0138】
ここで、電力供給量が電力必要量未満である場合、すなわち、電力制限を解除できる状態でない場合には(ST210でYes)、特に処理を行わずにST201に戻る。
【0139】
一方、電力供給量が電力必要量以上である場合、すなわち、電力制限を解除できる状態である場合には(ST210でNo)、電力制限を解除して通常の制御に復帰するための処理を行う。
【0140】
すなわち、優先管理度テーブルを参照して、充電用の電力が電力供給量に収まる範囲内で、優先度の高いものから順に、充電実施対象(制御単位)を再選択する(ST211)。そして、再選択した充電実施対象にしたがって、バッテリ交換機3の稼動状態が全体的に増加するように制御する(ST212)。特に、ここでは、電力制限の解除により、電源切断状態、限定充電状態、充電停止状態、案内限定状態などで稼動していたバッテリ交換機3が通常状態に復帰する。また、再選択した充電実施対象に電力を供給するように電源制御装置5を制御する(ST213)。
【0141】
次に、すべてのバッテリ交換機3の稼動状態を通常状態にしても、余剰電力がある、すなわち、風力発電の電力供給量が余剰状態にあるか否かを判定する(ST214)。このとき、電力供給量が電力必要量より所定量以上大きい場合に、余剰電力があると判定すればよい。
【0142】
ここで、余剰電力がない場合には(ST214でYes)、特に処理を行わずにST201に戻る。
【0143】
一方、余剰電力がある場合には(ST214でYes)、余剰電力を利用して蓄電装置7の充電を行うようにバッテリ交換機3を制御する(ST215)。
【0144】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明に係るバッテリステーション管理システム及びバッテリステーション管理方法は、バッテリ装置の充電に利用する電力を自然エネルギー発電による電力のみで賄うことができるようにすると共に、充電済みで貸出可能なバッテリ装置が不足することでユーザの利便性が損なわれる事態が発生することを回避することができる効果を有し、電動車両などのユーザがバッテリステーションでバッテリ装置を交換するバッテリ交換サービスにおいて、バッテリステーションを管理するバッテリステーション管理システム及びバッテリステーション管理方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0146】
1 電動車両
2 バッテリパック(バッテリ装置)
3 バッテリ交換機(バッテリ交換装置)
4 風力発電装置
5 電源制御装置
6 管理サーバ(サーバ装置)
7 蓄電装置
8 電力系統
11 充電部
12 入出力部
13 通信部
14 表示部
15 電源部
16 記憶部
17 制御部
21 スロット
31 通信部
32 記憶部
33 制御部