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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000096
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20221222BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/17 207
B41J2/165 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100715
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】神山 勇
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056HA22
2C056HA44
2C056JB03
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB09
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】より簡単な動きでインクヘッドのノズル面をワイピングする。
【解決手段】プリンタ10は、ノズル面44を有するインクヘッド40が搭載され、主走査方向Yに移動可能なキャリッジ17と、主走査方向Yに延びかつノズル面44をワイピングするワイパー64を有するワイピングユニット60と、を備え、ワイピングユニット60は、主走査方向Yに延びる第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられたベルト70に固定され、ワイパー64を保持するワイパーホルダー65を有し、ワイパーホルダー65には、ベルト70に対して主走査方向Yに偏倚した位置に形成されかつワイパー64に付着したインクが通過する開口68Hが形成され、ワイパー64は、開口68Hより前方に位置する第2壁68Bと開口68Hより後方に位置する第3壁68Cとの間に位置し、かつ、平面視で開口68Hと重なる部分を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出しかつ第1の方向に並ぶ複数のノズルと、複数の前記ノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドと、
前記インクヘッドが搭載され、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なキャリッジと、
前記第2の方向に延びかつ前記ノズル面をワイピングするワイパーを有し、前記キャリッジより下方に配置されたワイピングユニットと、を備え、
前記ワイピングユニットは、
前記第2の方向に延びる第1回転軸と、
前記第1回転軸よりも前記第1の方向の一方側に配置され、かつ、前記第2の方向に延びる第2回転軸と、
前記第1回転軸および前記第2回転軸に巻き掛けられた無端状のベルトと、
前記ベルトに固定され、前記ワイパーを前記ベルトの外周面から突出するように保持するホルダーと、を有し、
前記ホルダーは、
前記ベルトに対して前記第2の方向に偏倚した位置に形成されかつ前記ワイパーに付着したインクが通過する開口を有し、前記第1の方向および前記第2の方向に延びる第1壁と、
前記開口よりも前記第1の方向の一方側に位置し、かつ、前記第2の方向および上下方向に延びる第2壁と、
前記開口よりも前記第1の方向の他方側に位置し、かつ、前記第2の方向および上下方向に延びる第3壁と、を有し、
前記ワイパーは、前記第2壁と前記第3壁との間に位置し、かつ、平面視で前記開口と重なる部分を有する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記第1壁から下方に向けて突出し、かつ、前記開口よりも前記第2の方向の一方側および他方側にそれぞれ位置する突出壁を備え、
前記ベルトは、前記開口に対して前記突出壁よりも外側に位置する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記突出壁は、前記第1の方向に延び、かつ、前記突出壁の前記第1の方向の一方側の端部は前記開口の前記第1の方向の一方側の端部よりも前記第1の方向の一方側に位置し、かつ、前記突出壁の前記第1の方向の他方側の端部は前記開口の前記第1の方向の他方側の端部よりも前記第1の方向の他方側に位置する、請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ベルトは、前記第1回転軸および前記第2回転軸に巻き掛けられた第1ベルトと、前記第1ベルトよりも前記第2の方向の一方側に配置され、かつ、前記第1回転軸および前記第2回転軸に巻き掛けられた第2ベルトと、を含み、
前記ホルダーは、前記第1ベルトおよび前記第2ベルトに固定され、
前記開口は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの間に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記ホルダーは、前記ワイパーを着脱可能に保持する第1ホルダーと、前記第1壁と前記第2壁と前記第3壁とを含みかつ前記第1ホルダーを着脱可能に保持する第2ホルダーと、を備え、
前記第1ホルダーは、前記開口に挿入されかつ前記ワイパーよりも前記第1の方向の一方側に位置する第1リブと、前記開口に挿入されかつ前記ワイパーよりも前記第1の方向の他方側に位置する第2リブと、を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記ワイパーが前記第1の方向の一方側から他方側に向けて前記ノズル面をワイピングするように構成されている場合、
前記第2リブの下端は、前記ワイパーの下端よりも下方に位置する、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記第1ホルダーは、弾性を有する樹脂材料から形成され、前記第1ホルダーを前記第2ホルダーに取り付けるときに前記第2壁とスナップフィットにより係合可能な係合爪を備え、
前記係合爪は、前記第1リブに形成されている、請求項5または6に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記ワイパーは、平面視で前記第2の方向の一方側の端部から他方側の端部に向けて傾斜している、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記ワイピングユニットは、前記第1回転軸および前記第2回転軸より下方に位置し、前記開口を通過したインクを回収する回収容器を備えている、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
前記ワイピングユニットは、前記第1回転軸および前記第2回転軸より下方に位置し、前記ワイパーと接触して前記ワイパーに付着したインクを取り除くワイパークリーナを備えている、請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のノズルとノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドを備え、インクジェット方式により記録媒体上に所定の印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタでは、インクヘッドのノズル付近に付着したインクや異物等の付着物を清掃するメンテナンス機構が不可欠である。
【0003】
メンテナンス機構として、例えば、特許文献1に示すようにノズル面をワイピングするワイパーが知られている。ワイパーがノズル面に接触した状態で、ワイパーとノズル面とが相対移動することにより、ノズル面に付着した付着物がワイパーによって拭き取られる。これにより、インク面においてインク等が硬化することが防止され、インクの吐出不良を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-25719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に示すワイパーは支軸に回動可能に支持されている。ワイパーが上方を向いた状態で、キャリッジが主走査方向に移動することによって、ノズル面がワイパーによってワイピングされる。特許文献1に示されたいわゆる回動式のワイパーによってもノズル面を適切にワイピングすることができるが、ワイパーの動きが比較的複雑であるため、ノズル面をワイピングするときのワイパーおよびキャリッジの制御がやや複雑化する傾向にある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単な動きでインクヘッドのノズル面をワイピングするワイパーを備えたインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、記録媒体にインクを吐出しかつ第1の方向に並ぶ複数のノズルと、複数の前記ノズルが形成されたノズル面とを有するインクヘッドと、前記インクヘッドが搭載され、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なキャリッジと、前記第2の方向に延びかつ前記ノズル面をワイピングするワイパーを有し、前記キャリッジより下方に配置されたワイピングユニットと、を備えている。前記ワイピングユニットは、前記第2の方向に延びる第1回転軸と、前記第1回転軸よりも前記第1の方向の一方側に配置され、かつ、前記第2の方向に延びる第2回転軸と、前記第1回転軸および前記第2回転軸に巻き掛けられた無端状のベルトと、前記ベルトに固定され、前記ワイパーを前記ベルトの外周面から突出するように保持するホルダーと、を有している。前記ホルダーは、前記ベルトに対して前記第2の方向に偏倚した位置に形成されかつ前記ワイパーに付着したインクが通過する開口を有し、前記第1の方向および前記第2の方向に延びる第1壁と、前記開口よりも前記第1の方向の一方側に位置し、かつ、前記第2の方向および上下方向に延びる第2壁と、前記開口よりも前記第1の方向の他方側に位置し、かつ、前記第2の方向および上下方向に延びる第3壁と、を有し、前記ワイパーは、前記第2壁と前記第3壁との間に位置し、かつ、平面視で前記開口と重なる部分を有する、インクジェットプリンタ。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタによると、ノズル面をワイピングするワイパーは、無端状のベルトに固定されたホルダーに保持されている。ここで、第2の方向に延びる第1回転軸および第2回転軸は、第1の方向に並んで配置されているため、ワイパーはベルトの動きに連動して第1の方向に移動する。インクヘッドの複数のノズルは第1の方向に並ぶため、ワイパーが上方を向いた状態で移動するときにはワイパーによってノズル面がワイピングされる。そして、ワイパーが下方を向いた状態のときにキャリッジを動かすことでノズル面とワイパーとの干渉を抑制することができる。このように、ベルトの動きに連動させてワイパーを第1の方向に移動させるという簡単な構造で、ノズル面をワイパーによってワイピングすることができる。
【0009】
ここで、ワイパーによってノズル面をワイピングすると、ノズル面に付着していたインクはワイパーに付着する。ワイパーに付着したインクは、重力等によって下方に移動し、ベルトに付着する虞がある。ベルトにインクが付着してしまうと、ベルトが膨張し第1回転軸および第2回転軸を圧迫することがある。これにより、ワイパーの回転トルクが増大してしまい、第1回転軸や第2回転軸やこれらを駆動させる駆動モータ等に不具合が発生する虞がある。しかしながら、本発明のインクジェットプリンタによると、ワイパーは、第1壁の開口より第1の方向の一方側に位置する第2壁と開口より第1の方向の他方側に位置する第3壁との間に位置する。このため、ベルトの移動に伴ってワイパーが第1の方向に移動するときにワイパーに付着したインクが第1の方向に移動しようとしても第2壁および第3壁によって移動が抑制され、ベルトにインクが付着することが抑制される。また、ワイパーは、ベルトに対して第2の方向に偏倚した位置に形成された開口と平面視で重なる部分を有しているため、ワイパーに付着したインクが開口を通過して下方に移動しても、インクはベルトに付着しない。このように、本発明のインクジェットプリンタでは、ワイパーによってノズル面をワイピングするときに、インクがベルトに付着することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より簡単な動きでインクヘッドのノズル面をワイピングするワイパーを備えたインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す正面図である。
図2】一実施形態に係るキャリッジの下面の構成を模式的に示した図である。
図3】一実施形態に係るワイピングユニットの斜視図である。
図4】一実施形態に係るワイピングユニットの平面図である。
図5】一実施形態に係るワイピングユニットの断面図である。
図6】一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーがワイピング位置にいる状態を示す。
図7】一実施形態に係るワイピングユニットの側面図であり、ワイパーがクリーニング位置にいる状態を示す。
図8】一実施形態に係るワイパーユニットの斜視図である。
図9】一実施形態に係るワイパーユニットの分解斜視図である。
図10】一実施形態に係るワイパーユニットの斜視図である。
図11】一実施形態に係るワイパーユニットの平面図である。
図12】一実施形態に係るワイパーユニットの底面図である。
図13】一実施形態に係るワイパーユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ10を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号X(図2参照)は副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。副走査方向Xは第1の方向の一例である。主走査方向Yは第2の方向の一例である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、長尺に形成され、ロール状に巻かれて用いられる。なお、記録媒体5は、ロール状に巻かれたものが所定の長さに切断されたシート状のものであってもよい。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ接着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材等が含まれる。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10Aと、プラテン13と、搬送機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド40(図2参照)と、光照射装置38と、ワイピングユニット60と、制御装置100と、を備えている。
【0016】
プリンタ本体10Aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13には、記録媒体5が載置される。プラテン13に記録媒体5が載置された状態で、プラテン13上で記録媒体5への印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がったものである。
【0017】
搬送機構20は、プラテン13に載置された記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。搬送機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15の下方に配置され、記録媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ22は、上部がプラテン13から上方に露出した状態で、プラテン13に設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。なお、ピンチローラ21およびグリットローラ22のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、ピンチローラ21およびグリットローラ22は、プラテン13の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
【0018】
ここでは、グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。これにより、記録媒体5は、副走査方向Xに搬送される。フィードモータ23は制御装置100に制御される。
【0019】
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
【0020】
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド40(図2参照)および光照射装置38を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左側のプーリ31aと、右側のプーリ31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左側のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の近傍に設けられている。右側のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の近傍に設けられている。ベルト32は、例えば無端状であり、左側のプーリ31aと右側のプーリ31bとに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。
【0021】
図1に示すように、右側のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右側のプーリ31bが回転し、ベルト32が左側のプーリ31aおよび右側のプーリ31bの間で走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド40および光照射装置38は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ33は制御装置100に制御される。
【0022】
図2に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ17に搭載されている。インクヘッド40は、第1インクヘッド40Aと、第2インクヘッド40Bと、第3インクヘッド40Cと、第4インクヘッド40Dとを含む。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。第1インクヘッド40A~第4インクヘッド40Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド40は、複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第1ノズル列42と、第1ノズル列42の側方に位置しかつ複数のノズル41が副走査方向Xに並ぶ第2ノズル列43と、複数のノズル41が形成されたノズル面44を備えている。ここでは、第2ノズル列43は、第1ノズル列42の右方に位置する。ノズル41から記録媒体5に向けてインク(例えば光硬化性インク)が吐出される。ノズル41内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。本実施形態では、プリンタ10は、4つのインクヘッド40を備えているが、数は特に限定されない。また、インクヘッド40は、それぞれ2つのノズル列を備えているが、1つのノズル列または3つ以上のノズル列を備えていてもよい。
【0023】
インクヘッド40のノズル41は、例えば、インクとして光硬化性インクを吐出する。光硬化性インクとしては、例えば、紫外線硬化インクが挙げられる。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されると硬化する性質を有する。
【0024】
図1に示すように、光照射装置38は、キャリッジ17の右側および左側にそれぞれ配置されている。光照射装置38は、記録媒体5に吐出された光硬化性インク(例えば紫外線硬化インク)に光(例えば紫外線)を照射する装置である。
【0025】
次に、本実施形態に係るワイピングユニット60について説明する。プリンタ10による印刷が行われた後やインクヘッド40のノズル41から強制的にインクを吐出させる吸引動作やフラッシング動作等が行われると、インクヘッド40のノズル面44には、インクおよび異物等の付着物が付着することがある。この付着物が付着した状態で印刷を行うと、記録媒体5が汚れてしまうことがあり、印刷品質が低下してしまう。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44に付着したインク等の付着物を取り除く。また、吸引動作が行われた後には、ノズル41のメニスカスが適切な状態でないことがあり得る。そこで、ワイピングユニット60は、ノズル面44をワイピングすることでノズル41のメニスカスを適切な状態に復帰させる。
【0026】
図1に示すように、ワイピングユニット60は、プラテン13の右方に配置されている。ワイピングユニット60は、キャリッジ17より下方に配置されている。図3および図4に示すように、ワイピングユニット60は、本体ケース61と、ワイパーユニット63と、ベルト70と、第1回転軸73と、第2回転軸74と、ワイパークリーナ78と、クリーナホルダー80(図6も参照)と、回収容器82(図6も参照)とを備えている。なお、図3は、ワイピングユニット60を後方から見たときの斜視図である。
【0027】
図3および図5に示すように、本体ケース61は、底壁61A(図5参照)と、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びる左壁61Bと、底壁61Aから上方かつ副走査方向Xに延びかつ左壁61Bより右方に配置された右壁61Cと、左壁61Bと右壁61Cとを接続する前壁61Dと、前壁61Dより後方に配置されかつ左壁61Bと右壁61Cとを接続する後壁61Eとを有する。図4に示すように、本体ケース61は、平面視で矩形状に形成された開口61Hを有する。開口61Hは、左壁61B、右壁61C、前壁61Dおよび後壁61Eによって区画されている。開口61Hは、上方に向けて開口する。また、本体ケース61は、前壁61Dの下方に開口61J(図5参照)を有している。開口61Jは、前方に向けて開口する。開口61Jには、後述するワイパークリーナ78およびワイパークリーナ78を収容するクリーナホルダー80が収納される。なお、図5は、ワイピングユニット60を後方から見たときの断面図である。
【0028】
図3に示すように、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cには、それぞれガイド板62が設けられている。ガイド板62には、ワイパーユニット63の移動をガイドするガイド溝62H(図5も参照)が形成されている。図6に示すように、ガイド溝62Hは、長円形状に形成されている。
【0029】
図4に示すように、第1回転軸73および第2回転軸74は、主走査方向Yに延びる。第1回転軸73および第2回転軸74は、左壁61Bおよび右壁61Cおよびガイド板62に回転可能に支持されている。第2回転軸74は、第1回転軸73よりも前方に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74は、平行に配置されている。第1回転軸73および第2回転軸74の底壁61Aからの高さは同じである。図6に示すように、本実施形態では、第1回転軸73および第2回転軸74は、右方から左方を見たときに時計回り(図6の矢印R1の方向)に回転するように構成されている。なお、図6および図7では、説明の便宜上、ワイピングユニット60の右壁61Cおよび右壁61Cに設けられたガイド板62を省略している。
【0030】
図4に示すように、ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。ベルト70は、無端状に形成されている。ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられた第1ベルト71および第2ベルト72を含む。第1ベルト71および第2ベルト72は、無端状に形成されている。第2ベルト72は、第1ベルト71より右方に配置されている。第2ベルト72は、主走査方向Yに関して第1ベルト71から離間して配置されている。第1ベルト71および第2ベルト72は、副走査方向Xに延びる。本実施形態では、第1ベルト71および第2ベルト72は、第1回転軸73および第2回転軸74に設けられたプーリ75(図5も参照)を介して第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられている。本実施形態では、図示しないアクチュエータによって第1回転軸73が回転すると、第1ベルト71および第2ベルト72が連動して走行する。
【0031】
図3に示すように、ワイパーユニット63は、主走査方向Yに延びるワイパー64と、ワイパー64を保持するワイパーホルダー65とを有している。ワイパーホルダー65は、ホルダーの一例である。ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングする。ワイパー64は、可撓性を有する材料、例えばゴムから形成されている。ワイパー64は、平板状の部材である。図11に示すように、ワイパー64は、後述する第2ホルダー67の第2壁68B(図8参照)と第3壁68Cとの間に位置し、かつ、平面視で後述する開口68Hと重なる部分を有する。これにより、ワイパー64に付着したインクは、開口68Hを介して下方に流れる。図4に示すように、ワイパーホルダー65は、ベルト70に固定されている。より詳細には、ワイパーホルダー65は、第1ベルト71および第2ベルト72に固定されている。図8および図9に示すように、ワイパーホルダー65は、ワイパー64を着脱可能に保持する第1ホルダー66と、第1ホルダー66を着脱可能に保持する第2ホルダー67とを有する。第1ホルダー66は、例えば、弾性を有する樹脂材料から形成されている。図9に示すように、第1ホルダー66は、上下方向に貫通しかつワイパー64を保持するケース部66Aと、ケース部66Aの内壁に設けられかつワイパー64に形成された貫通孔64Hに挿入されてワイパー64と係合する係合爪66Bと、ケース部66Aに形成されかつ上下方向に貫通する貫通孔66Cと、ケース部66Aの下端から下方に向けて突出する第1リブ66D(図13参照)および第2リブ66Eとを有する。図11に示すように、平面視でワイパー64とケース部66Aとの間には隙間があり、ワイパー64に付着したインクは、隙間を介して貫通孔66Cから下方に流れる。図13に示すように、第1リブ66Dは、ワイパー64よりも前方に位置する。第2リブ66Eは、ワイパー64よりも後方に位置する。第1リブ66Dおよび第2リブ66Eは、後述する開口68Hに挿入される。第1リブ66Dには、第2ホルダー67の第2壁68Bとスナップフィットにより係合可能な係合爪66DSが形成されている。係合爪66DSは、第2壁68Bに形成された段差部68BSに係合している。第2リブ66Eの下端66EBは、ワイパー64の下端64Bよりも下方に位置する。
【0032】
図9に示すように、第2ホルダー67は、第1ホルダー66を着脱可能に保持するケース部68と、ケース部68の外壁に形成されかつガイド板62のガイド溝62H(図6参照)にはまり込むガイド突起69Aと、第1ベルト71に固定された第1ベルト固定部69Bと、第2ベルト72に固定された第2ベルト固定部69Cと、を有する。ケース部68は、ベルト70に対して主走査方向Yに偏倚した位置に形成されかつワイパー64に付着したインクが通過する開口68H(図11参照)を有し、副走査方向Xおよび主走査方向Yに延びる第1壁68A(図10参照)と、開口68Hよりも前方に位置し、かつ、主走査方向Yおよび上下方向に延びる第2壁68Bと、開口68Hよりも後方に位置し、かつ、主走査方向Yおよび上下方向に延びる第3壁68Cと、第1壁68Aの左端部から上方に延びかつ第2壁68Bの左端部と第3壁68Cの左端部とを接続する第4壁68Dと、第1壁68Aの右端部から上方に延びかつ第2壁68Bの右端部と第3壁68Cの右左端部とを接続する第5壁68Eと、を有する。開口68Hは、主走査方向Yに関して第1ベルト71および第2ベルト72とずれた位置に設けられている。開口68Hは、第1ベルト71と第2ベルト72との間に位置する。図10に示すように、ケース部68は、第1壁68Aから下方に向けて突出し、かつ開口68Hよりも左方および右方にそれぞれ位置する突出壁68Fを備えている。突出壁68Fは、副走査方向Xに延びる。図12に示すように、突出壁68Fの前端部68FFは開口68Hの前端部68HFよりも前方に位置する。突出壁68Fの後端部68FRは開口68Hの後端部68HRよりも後方に位置する。図11に示すように、左側のガイド突起69Aは、第4壁68Dから左方に突出し、右側のガイド突起69Aは、第5壁68Eから右方に突出する。図10に示すように、第1ベルト固定部69Bおよび第2ベルト固定部69Cは、第1壁68Aの下方に位置する。第1ベルト固定部69Bは、左側の突出壁68Fの後部に形成されている。第2ベルト固定部69Cは、右側の突出壁68Fの後部に形成されている。第1ベルト固定部69Bおよび第2ベルト固定部69Cおよびケース部68は一体的に形成されている。第1ベルト固定部69Bおよび第2ベルト固定部69Cと、ケース部68の第1壁68Aとによって、第1ベルト71および第2ベルト72を挟み込む。ベルト70は、開口68Hに対して突出壁68Fより外側に位置する。即ち、第1ベルト71は、左側の突出壁68Fよりも左方に位置し、第2ベルト72は、右側の突出壁68Fよりも右方に位置する。
【0033】
図3に示すように、ワイパー64は、ベルト70の外周面70Aから突出するように(外周面70Aから外周面70Aと交差する方向かつ外周面70Aから離れる方向に突出するように)ワイパーホルダー65に保持されている。ワイパー64は、第1ベルト71の外周面71Aおよび第2ベルト72の外周面72Aから突出するように(外周面71Aおよび外周面72Aと直交するように)ワイパーホルダー65に保持されている。本実施形態では、ワイパー64は、ワイパーホルダー65を介して第1ベルト71および第2ベルト72に設けられている。図4に示すように、ワイパー64は、平面視で主走査方向Yの一方の端部から他方の端部に向けて傾斜している。例えば、ワイパー64が上方に向けて突出している場合には、ワイパー64は、平面視でワイパー64の左端から右端に向けて後方に傾斜している。即ち、ワイパー64の左端は右端よりも前方に位置する。なお、ワイパー64の左端は右端よりも後方に位置していてもよい。図6に示すように、本実施形態では、ワイパー64は、右方から左方を見たときに時計回り(図6の矢印R2の方向)に移動するように構成されている。即ち、ワイパー64が上方を向いている状態ではワイパー64は前方から後方に向けて移動し、かつ、ワイパー64が下方を向いている状態ではワイパー64は後方から前方に向けて移動する。
【0034】
図6に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を着脱自在に保持する。クリーナホルダー80は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。図4に示すように、クリーナホルダー80は、平面視で第2回転軸74と重なる。クリーナホルダー80は、例えば、樹脂材料から形成されている。図6に示すように、クリーナホルダー80は、ワイパークリーナ78を保持する本体部80Aと、本体部80Aから前方に向けて延びる一対の延伸部80Bとを有する。本体部80Aには、ワイパークリーナ78を傾いた状態で保持する凹部80Cが形成されている。延伸部80Bには、本体ケース61の左壁61Bおよび右壁61Cに形成された係合穴61P(図4参照)に係合する係合突起80P(図4も参照)が形成されている。クリーナホルダー80は、本体ケース61に形成された開口61J(図5も参照)を介して本体ケース61に着脱自在に設けられている。クリーナホルダー80を開口61Jに挿入すると、クリーナホルダー80は回収容器82に接触する位置で固定される。このとき、クリーナホルダー80の係合突起80Pは、係合穴61Pに係合する。また、一対の延伸部80Bを互いに近づく方に移動させることで、係合突起80Pと係合穴61Pとの係合が解除されるので、クリーナホルダー80を本体ケース61から取り外すことができる。
【0035】
図6に示すように、ワイパークリーナ78は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。図4に示すように、ワイパークリーナ78は、平面視で第2回転軸74と重なる。ワイパークリーナ78は、ワイパー64と接触してワイパー64に付着したインクを取り除く。ワイパークリーナ78は、可撓性を有する材料、例えば、樹脂材料や不織布等から形成されている。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。ワイパークリーナ78は、インクを吸収するように構成されている。ワイパークリーナ78は、例えば、連続発泡構造を有しかつポリオレフィン樹脂から形成されている。本実施形態では、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより上方に位置するように、傾斜して配置されている。
【0036】
回収容器82は、ワイパー64から流れ落ちるインク(即ち第2ホルダー67の開口68Hを通過したインク)を回収する部材である。図6に示すように、回収容器82は、本体ケース61内に配置されている。回収容器82は、底壁61Aに固定されている。回収容器82は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に配置されている。回収容器82は、クリーナホルダー80より後方に配置されている。図4に示すように、回収容器82は、平面視で第1回転軸73と重なる。回収容器82には、廃液タンク99(図1参照)に接続された排出口82Dが形成されている。図5に示すように、回収容器82の上面82Aは、排出口82Dに向けて傾斜している。
【0037】
次に、ワイパー64の動きについて説明する。図6に示すように、ワイパー64は、インクヘッド40のノズル面44をワイピングするワイピング位置WWと、ワイパー64に付着したインクを回収する回収位置WRと、ワイパー64に付着したインクを取り除くクリーニング位置WCと、第1退避位置WP1と、第2退避位置WP2との間で移動するように構成されている。第1退避位置WP1は、クリーニング位置WCとワイピング位置WWとの間に位置する。第2退避位置WP2は、ワイピング位置WWと回収位置WRとの間に位置する。本実施形態のワイパー64は、上述したように図6の矢印R2の方向に移動する。
【0038】
ワイパー64は、印刷中やノズル面44をワイピングする前には第1退避位置WP1に位置する。第1退避位置WP1に位置するワイパー64は、ワイパークリーナ78を通過しているため、ワイパー64からインクが除去されている。なお、ワイパー64は、印刷中には第2退避位置WP2に位置するように構成されていてもよい。例えば、ワイパー64が第1退避位置WP1に位置するときにキャリッジ17は主走査方向Yに移動する。
【0039】
図6に示すように、ワイピング位置WWに位置するワイパー64は上方を向いている。ワイピング位置WWでは、ワイパー64は前方から後方に向けて移動する。ワイパー64がノズル面44をワイピングすることによって、ノズル面44に付着していたインクはワイパー64に移動する。このとき、ワイパー64は上方を向いているため、移動したインクの一部は重力によって下方へと流れる。下方へと流れたインクは第1ホルダー66に設けられた貫通孔66C(図11参照)および第2ホルダー67に設けられた開口68H(図11参照)を介して下方へと落下し、ベルト70に触れることなく回収容器82に回収される。
【0040】
回収位置WRに位置するワイパー64は下方を向いている。回収位置WRでは、ワイパー64は後方から前方に向けて移動する。このとき、ワイパー64は、下方を向いているため、ワイパー64に付着したインクの大部分が重力によって回収容器82に落下する。
【0041】
図7に示すように、クリーニング位置WCではワイパー64は、ワイパークリーナ78と接触する。即ち、ワイパー64はワイパークリーナ78と接触しながら移動するため、ワイパー64に付着していたインクはワイパークリーナ78に取り除かれる。なお、ワイパー64が回収位置WRの後にクリーニング位置WCに移動するため、ワイパー64をワイパークリーナ78に接触させる前に、ワイパー64に付着したインクの大部分は回収容器82に回収される。これにより、ワイパークリーナ78で取り除くインクの量は低減されるため、ワイパークリーナ78の交換の頻度を下げることができる。
【0042】
なお、ワイパー64が第2退避位置WP2に位置するときにも、ワイパー64に付着したインクの一部は重力によって回収容器82に落下する。
【0043】
本実施形態のプリンタ10によると、ノズル面44をワイピングするワイパー64は、無端状のベルト70に固定されたワイパーホルダー65に保持されている。ここで、主走査方向Yに延びる第1回転軸73および第2回転軸74は、副走査方向Xに並んで配置されているため、ワイパー64はベルト70の動きに連動して平面視で副走査方向Xに移動する。インクヘッド40の複数のノズル41は副走査方向Xに並ぶため、ワイパー64が上方を向いた状態で移動するときにはワイパー64によってノズル面44がワイピングされる。そして、ワイパー64が下方を向いた状態のときにキャリッジ17を動かすことでノズル面44とワイパー64との干渉を抑制することができる。このように、ベルト70の動きに連動させてワイパー64を副走査方向Xに移動させるという簡単な構造で、ノズル面44をワイパー64によってワイピングすることができる。さらに、ワイパー64は、第1壁68Aの開口68Hより前方に位置する第2壁68Bと開口68Hより後方に位置する第3壁68Cとの間に位置する。このため、ベルト70の移動に伴ってワイパー64が副走査方向Xに移動するときにワイパー64に付着したインクが副走査方向Xに移動しようとしても第2壁68Bおよび第3壁68Cによって移動が抑制され、ベルト70にインクが付着することが抑制される。また、ワイパー64は、ベルト70に対して主走査方向Yに偏倚した位置に形成された開口68Hと平面視で重なる部分を有しているため、ワイパー64に付着したインクが開口68Hを通過して下方に移動しても、インクはベルト70に付着しない。このように、本実施形態のプリンタ10では、ワイパー64によってノズル面44をワイピングするときに、インクがベルト70に付着することを抑制することができる。
【0044】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイパーホルダー65は、第1壁68Aから下方に向けて突出し、かつ、開口68Hよりも左方および右方にそれぞれ位置する突出壁68Fを備え、ベルト70は、開口68Hに対して突出壁68Fよりも外側に位置する。かかる構成によると、ベルト70と開口68Hとの間には突出壁68Fが位置するため、開口68Hを通過して下方に移動するインクは突出壁68Fによってベルト70に向けて移動することが抑制される。
【0045】
本実施形態のプリンタ10によると、突出壁68Fは、副走査方向Xに延び、かつ、突出壁68Fの前端部68FFは開口68Hの前端部68HFよりも前方に位置し、かつ、突出壁68Fの後端部68FRは開口68Hの後端部68HRよりも後方に位置する。これにより、開口68Hを通過して下方に移動するインクがベルト70に向けて移動することをより確実に抑制することができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10によると、ベルト70は、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられた第1ベルト71と、第1ベルト71よりも右方に配置され、かつ、第1回転軸73および第2回転軸74に巻き掛けられた第2ベルト72と、を含み、ワイパーホルダー65は、第1ベルト71および第2ベルト72に固定され、開口68Hは、第1ベルト71と第2ベルト72との間に位置する。かかる構成によると、ワイパーホルダー65は第1ベルト71および第2ベルト72に固定されているため、ワイパーホルダー65が比較的大きくても安定して保持することができる。また、開口68Hが第1ベルト71と第2ベルト72との間に位置するため、開口68Hを通過して下方に移動するインクが第1ベルト71および第2ベルト72に移動することが抑制される。
【0047】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイパーホルダー65は、ワイパー64を着脱可能に保持する第1ホルダー66と、第1壁68Aと第2壁68Bと第3壁68Cとを含みかつ第1ホルダー66を着脱可能に保持する第2ホルダー67と、を備え、第1ホルダー66は、開口68Hに挿入されかつワイパー64よりも前方に位置する第1リブ66Dと、開口68Hに挿入されかつワイパー64よりも後方に位置する第2リブ66Eと、を有する。かかる構成によると、ベルト70の移動に伴ってワイパー64が副走査方向Xに移動するときに、ワイパー64に沿って下方に移動しかつ開口68Hを通過したインクが副走査方向Xに移動しようとしても、第1ホルダー66の第1リブ66Dおよび第2リブ66Eによってインクの移動がその先端部に促されるため、ベルト70にインクが付着することが抑制される。
【0048】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイパー64が前方から後方に向けてノズル面44をワイピングするように構成されている場合、第2リブ66Eの下端66EBは、ワイパー64の下端64Bよりも下方に位置する。かかる構成によると、ワイパー64が前方から後方に移動するときに、ワイパー64に沿って下方に移動しかつ開口68Hを通過したインクが前方から後方に移動しようとしても第1ホルダー66の第2リブ66Eによってインクの移動をより確実に抑制することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10によると、第1ホルダー66は、弾性を有する樹脂材料から形成され、第1ホルダー66を第2ホルダー67に取り付けるときに第2壁68Bとスナップフィットにより係合可能な係合爪66DSを備え、係合爪66DSは、第1リブ66Dに形成されている。かかる構成によると、第1ホルダー66の着脱を容易に行うことができ、ワイパー64の交換作業を容易に行うことができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイパー64は、平面視で左端部から右端部に向けて傾斜している。これにより、ワイパー64によるノズル面44のワイピングが完了してワイパー64がノズル面44から離れるときに、ワイパー64が徐々にノズル面44から離れるため、一度にはなれる場合と比較してワイパー64からインクが飛び散ることが抑制される。
【0051】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイピングユニット60は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に位置し、開口68Hを通過したインクを回収する回収容器82を備えている。かかる構成によると、インクが回収容器82に回収されるため、ワイピングユニット60やプリンタ10の内部がインクで汚れることを抑制することができる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10によると、ワイピングユニット60は、第1回転軸73および第2回転軸74より下方に位置し、ワイパー64と接触してワイパー64に付着したインクを取り除くワイパークリーナ78を備えている。これにより、ワイパー64が下方を向いた状態で移動するときにはワイパー64とワイパークリーナ78とが接触して、ワイパー64に付着したインクが取り除かれる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0054】
上述した実施形態では、ワイパー64は図6の矢印R2の方向(即ち時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしていたが、矢印R2とは逆方向(即ち反時計回り)に移動してインクヘッド40のノズル面44をワイピングしてもよい。この場合、回収容器82は、ワイパークリーナ78よりも前方に配置されるとよい。また、ワイパークリーナ78は、前端78Fが後端78Rより下方に位置するように、傾斜して配置されるとよい。
【符号の説明】
【0055】
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
40 インクヘッド
41 ノズル
44 ノズル面
60 ワイピングユニット
64 ワイパー
65 ワイパーホルダー(ホルダー)
66 第1ホルダー
67 第2ホルダー
68A 第1壁
68B 第2壁
68C 第3壁
68H 開口
70 ベルト
71 第1ベルト
72 第2ベルト
73 第1回転軸
74 第2回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13