(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000960
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】蒸留再生装置及び洗浄システム
(51)【国際特許分類】
B01D 3/00 20060101AFI20221222BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20221222BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20221222BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B01D3/00 B
B01D53/04 110
B01D53/04 220
B08B3/02 A
B01D5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102085
(22)【出願日】2021-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】石原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 剛士
(72)【発明者】
【氏名】松井 豊勝
(72)【発明者】
【氏名】園部 勝
【テーマコード(参考)】
3B201
4D012
4D076
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB75
3B201BB77
3B201BB95
3B201CD22
4D012BA02
4D012CA20
4D012CB08
4D012CD04
4D012CD05
4D012CG01
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4D012CH06
4D076AA12
4D076AA22
4D076BB01
4D076BC01
4D076CB06
4D076CB07
4D076DA02
4D076FA03
4D076FA15
4D076FA33
4D076HA05
4D076JA03
(57)【要約】
【課題】洗浄液の濾過に用いられるフィルタ素材の選定自由度を向上可能な蒸留再生装置及び洗浄システムを提供する。
【解決手段】蒸留再生装置26は、混入成分を含む汚液L1(再生前の洗浄液L)を貯留する液槽50と、液槽50に貯留される汚液L1を加熱して気化する第一加熱器60と、第一加熱器60により発生した蒸気V1を凝縮することで再生液L2(再生後の洗浄液L)を再生する凝縮器70と、第一加熱器60から凝縮器70までの蒸気V1,V2の流路上に配置され、かつ洗浄液Lの蒸気V1を吸着せずに混入成分の蒸気V2を吸着して保持する選択吸着材62と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混入成分を含む再生前の洗浄液を貯留する液槽と、
前記液槽内に貯留される前記再生前の洗浄液を加熱して気化する第一加熱器と、
前記第一加熱器により発生した蒸気を凝縮することで再生後の洗浄液を得る凝縮器と、
前記第一加熱器から前記凝縮器までの蒸気の流路上に配置され、かつ前記洗浄液の蒸気を吸着せずに前記混入成分の蒸気を吸着して保持する選択吸着材と、
を備える蒸留再生装置。
【請求項2】
前記凝縮器は、前記液槽の上方に配置され、
前記選択吸着材は、前記液槽内であって前記第一加熱器又は前記洗浄液の液面よりも上方に配置される、
請求項1に記載の蒸留再生装置。
【請求項3】
前記混入成分の沸点よりも高い温度で前記選択吸着材を加熱する第二加熱器をさらに備える、
請求項1又は2に記載の蒸留再生装置。
【請求項4】
前記洗浄液は炭化水素系溶剤を含み、
前記混入成分は水であり、
前記選択吸着材はゼオライトである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸留再生装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の蒸留再生装置と、
前記蒸留再生装置により再生された洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、
を備える洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留再生装置及び洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄システムが知られている。この種のシステムには、使用済みである洗浄液を蒸留再生し、洗浄液として再使用する蒸留再生装置が組み込まれる(特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、特許文献2には、洗浄時に用いられるすすぎ液から少なくとも水滴の一部を合一して系外に排出する水分排出工程を含む洗浄方法が開示されている。また同文献には、吸着フィルタを用いた油水分離によって水分排出工程が行われる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-229438号公報
【特許文献2】特開2019-099601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2のように、蒸留に先立ちフィルタ部材を用いて洗浄液の濾過を行う際、フィルタ素材には、洗浄液の流圧や異物の衝突に耐え得る剛性が要求される。この設計上の制約によって、フィルタ素材の選定の自由度が低くなってしまう。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗浄液の濾過に用いられるフィルタ素材の選定自由度を向上可能な蒸留再生装置及び洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様における蒸留再生装置は、混入成分を含む再生前の洗浄液を貯留する液槽と、前記液槽に貯留される前記再生前の洗浄液を加熱して気化する第一加熱器と、前記第一加熱器により発生した蒸気を凝縮することで再生後の洗浄液を得る凝縮器と、前記第一加熱器から前記凝縮器までの蒸気の流路上に配置され、かつ前記洗浄液の蒸気を吸着せずに前記混入成分の蒸気を吸着する選択吸着材と、を備える。
【0008】
本発明の第二態様における蒸留再生装置では、前記凝縮器は、前記液槽の上方に配置され、前記選択吸着材は、前記液槽内であって前記第一加熱器又は前記洗浄液の液面よりも上方に配置される。
【0009】
本発明の第三態様における蒸留再生装置は、前記混入成分の沸点よりも高い温度で前記選択吸着材を加熱する第二加熱器をさらに備える。
【0010】
本発明の第四態様における蒸留再生装置では、前記洗浄液は炭化水素系溶剤を含み、前記混入成分は水であり、前記選択吸着材はゼオライトである。
【0011】
本発明の第五態様における洗浄システムは、第一態様から第四態様までのいずれかの蒸留再生装置と、前記蒸留再生装置により再生された洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄液の濾過に用いられるフィルタ素材の選定自由度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における蒸留再生装置が組み込まれた洗浄システムの全体構成図である。
【
図2】
図1に示す蒸留再生装置の一部を構成する本体部の模式的な断面図である。
【
図3】通常運転時における選択吸着材の作用を示す図である。
【
図4】回復運転時における選択吸着材の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0015】
[洗浄システム10の構成]
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態における蒸留再生装置26が組み込まれた洗浄システム10の全体構成図である。洗浄システム10は、炭化水素系溶剤からなる洗浄液Lを用いて、ワークWなどの被洗浄物を脱脂・洗浄するために設けられる。この洗浄システム10は、基本的には、洗浄装置12及び循環機構14から構成される。
【0016】
洗浄装置12は、例えば、減圧雰囲気下にてワークWを洗浄液L中に浸漬することで、ワークWの脱脂・洗浄を行う真空脱脂洗浄装置である。洗浄装置12は、洗浄室16を有する直方体状の筐体18と、洗浄室16内に洗浄液Lを散布するラインノズル20と、を含んで構成される。洗浄装置12の外部に設けられる真空ポンプ22を作動することで、洗浄室16内が減圧雰囲気に調整される。
【0017】
循環機構14は、循環経路内にて洗浄液Lを循環させながら、洗浄液Lを再生・再利用するために設けられる。以下、再生前後の状態を区別するため、混入成分を含む再生前の洗浄液Lを「汚液L1」、混入成分が除去された再生後の洗浄液Lを「再生液L2」とそれぞれ表記する場合がある。この循環機構14は、具体的には、汚液タンク24と、蒸留再生装置26と、再生液タンク28と、熱交換器30と、を含んで構成される。
【0018】
汚液タンク24は、洗浄装置12の洗浄室16内から排出された洗浄液L(つまり、汚液L1)を貯留する容器である。この汚液L1には、炭化水素系溶剤の他に、ワークWの表面に付着した混入成分が含まれる。この混入成分の一例として、ワークWの加工の際に生じた金属粉や、この金属粉のすすぎ落としに用いられた水などが挙げられる。
【0019】
蒸留再生装置26は、蒸留によって洗浄液Lを再生する装置であり、具体的には、本体部32と、熱媒循環器34と、冷媒循環器36と、排気ポンプ38と、供給バルブ40と、排出バルブ42と、制御盤44と、を備える。なお、本体部32の具体的構成に関しては、
図2を参照しながら後述する。
【0020】
熱媒循環器34は、熱媒の温度を調節しながら、本体部32の内部に熱媒を循環させる機構である。冷媒循環器36は、冷媒の温度を調節しながら、本体部32の内部に冷媒を循環させる機構である。排気ポンプ38は、本体部32の内部から気体を排出して洗浄液Lの気化を促すために設けられる。
【0021】
供給バルブ40は、汚液タンク24及び本体部32を連結する配管の途中に設けられる。排出バルブ42は、本体部32及び再生液タンク28を連結する配管の途中に設けられる。制御盤44は、蒸留再生装置26の各部を統括的に制御するコンピュータである。例えば、制御盤44は、後述する通常運転モード及び回復運転モードを切り替えて実行する際に、供給バルブ40及び排出バルブ42の開閉制御を行う。
【0022】
再生液タンク28は、蒸留再生装置26から排出された洗浄液L(つまり、再生液L2)を貯留する容器である。再生液タンク28内に窒素ガスなどが導入されることで、再生液L2が加圧されながら熱交換器30に送り出される。
【0023】
熱交換器30は、再生液タンク28から供給される再生液L2を加熱するとともに、温度が調整された再生液L2を洗浄装置12のラインノズル20に向けて供給する。このようにして、洗浄液Lは、循環機構14を介して再生・再利用される。
【0024】
図2は、
図1に示す蒸留再生装置26の一部を構成する本体部32の模式的な断面図である。本体部32は、汚液L1を貯留可能な液槽50と、液槽50内に設けられて汚液L1を加熱する第一加熱器60と、液槽50の上方に配置される凝縮器70と、凝縮器70の全体を覆うケーシング80と、を備える。
【0025】
液槽50は、上方が大きく開口する概略直方体の形状を有しており、
図1の汚液タンク24から供給された汚液L1を貯留可能に構成される。ここでは、液槽50の底面部51及び複数の側面部52,53に囲まれることで、概略円柱状の内部空間54が形成される。一の側面部52には、汚液タンク24からの汚液L1を供給するための供給口56が設けられる。なお、内部空間54の水平方向に延びる二点鎖線は、汚液L1の液面58の位置を示している。
【0026】
第一加熱器60は、
図1の熱媒循環器34から供給される熱媒の流通経路の一部をなす加熱配管からなり、内部空間54の略中央の位置に設けられる。第一加熱器60は、汚液L1に含まれる炭化水素系溶剤及び水の沸点よりも高い温度(例えば、100~120℃の温度範囲)で加熱することができる。
【0027】
凝縮器70は、第一加熱器60により発生した蒸気を凝縮して洗浄液Lを再生する。この凝縮器70は、具体的には、蒸気を冷却する冷却器72と、冷却器72の下方に設けられる回収器74と、を含んで構成される。
【0028】
冷却器72は、
図1の冷媒循環器36から供給される冷媒の流通経路の一部をなす冷却配管からなり、ケーシング80内の略中央の位置に設けられる。冷却器72は、炭化水素系溶剤の沸点よりも低い温度で冷却することができる。
【0029】
回収器74は、冷却器72により液化された洗浄液L(つまり、再生液L2)を回収するための容器である。回収された再生液L2は、回収器74に接続される排出管76を介して、ケーシング80の外部に排出される。
【0030】
ケーシング80は、平板状の底板82と、底板82の上面に固定されるドーム状のカバー84と、を備える。底板82は、液槽50の開口を塞ぐように設けられる。また、底板82には、液槽50の内部空間54と凝縮器70とを連通させるための連通孔86が形成される。一方、カバー84の側部には、内部空間54内の気体を排出するための排出口88が設けられる。
【0031】
ところで、液槽50内であって第一加熱器60の上方の位置には、選択吸着性を有する選択吸着材62が設けられる。選択吸着材62は、例えば、ミクロ多孔性を有する結晶性アルミノケイ酸塩(ここでは、親水性のゼオライト)からなる。この場合、選択吸着材62は、炭化水素系溶剤の蒸気を吸着せずに水蒸気を吸着して保持するフィルタ機能を発揮する。なお、ゼオライトは、粒子同士の結合が弱いため脆い物質である点に留意する。
【0032】
この選択吸着材62は、液槽50の内壁に固定された載置テーブル64に載置される。載置テーブル64は、選択吸着材62の落下を防ぐべく載置面が水平になるように配置される。また、載置テーブル64には、選択吸着材62を下側から加熱する第二加熱器66が組み込まれる。第二加熱器66は、第一加熱器60と同様に加熱配管で構成されてもよいし、電気ヒータで構成されてもよい。
【0033】
[蒸留再生装置26の動作]
本発明の一実施形態における洗浄システム10は、以上のように構成される。続いて、洗浄システム10の一部を構成する蒸留再生装置26の動作について、
図1~
図4を参照しながら詳細に説明する。蒸留再生装置26の運転モードは、「通常運転」と「回復運転」とに分けられる。
【0034】
<通常運転時の動作>
まず、通常運転時における蒸留再生装置26の動作について説明する。この「通常運転」とは、洗浄液Lを循環させながらワークWの洗浄を継続する運転モードを意味する。通常運転に先立ち、
図1の制御盤44は、供給バルブ40及び排出バルブ42の両方を「開」状態に切り替え、排気ポンプ38を作動させる。その後、蒸留再生装置26は、予め定められた運転条件に従って、熱媒循環器34及び冷媒循環器36に対する制御を行う。
【0035】
図2に示すように、汚液L1は、供給口56から液槽50内に供給され、内部空間54に貯留される。貯留された汚液L1は、第一加熱器60により加熱されて沸点に達することで気化する。
【0036】
図3は、通常運転時における選択吸着材62の作用を示す図である。本図では、炭化水素系溶剤の蒸気V1が実線で図示され、水の蒸気V2が破線で図示される。蒸気V1,V2がそれぞれ発生すると、汚液L1の液面58の位置から上方に移動する。一方、金属粉などの固形状の異物Mは、気化されずに液槽50の底面部51に滞留する。これにより、汚液L1に含まれる異物Mが物理的に分離される。
【0037】
ここで、選択吸着材62が蒸気V1,V2の流路上に配置されるので、それぞれの蒸気V1,V2は、選択吸着材62の位置に移動するとともに、選択吸着材62をそのまま通過しようとする。ところが、選択吸着材62が蒸気V2のみを選択的に吸着するフィルタ機能を発揮するので、蒸気V1のみが選択吸着材62を通過して移動を続ける。
【0038】
図2に戻って、蒸気V1は、底板82の連通孔86を介して、ケーシング80内の凝縮器70に案内される。そうすると、蒸気V1は、冷却器72により冷却・液化され、再生液L2として回収器74に回収される。再生液L2は、排出管76を介して、ケーシング80の外部に排出される。このようにして、蒸留再生装置26は、通常運転下にて洗浄液Lを順次再生することができる。
【0039】
<回復運転時の動作>
続いて、回復運転時における蒸留再生装置26の動作について説明する。この「回復運転」とは、吸着・保持力が低下した選択吸着材62の機能回復を行うための運転モードを意味する。回復運転に先立ち、
図1の制御盤44は、供給バルブ40及び排出バルブ42の両方を「閉」状態に切り替える。その後、蒸留再生装置26は、予め定められた運転条件に従って、排気ポンプ38及び第二加熱器66に対する制御を行う。
【0040】
図4は、回復運転時における選択吸着材62の作用を示す図である。選択吸着材62に保持される混入成分(つまり、水分)は、第二加熱器66により加熱されて沸点に達することで気化する。つまり、選択吸着材62に保持される水分が徐々に減少することで、選択吸着材62の吸着・保持機能が回復する。
【0041】
図2に戻って、蒸気V2は、底板82の連通孔86を介してケーシング80内に案内され、カバー84の排出口88を介してケーシング80の外部に排出される。このようにして、蒸留再生装置26は、選択吸着材62が液槽50内に配置された状態にて選択吸着材62の機能を回復させることができる。これにより、選択吸着材62の交換作業ひいては選択吸着材62の予備が不要になる。
【0042】
[蒸留再生装置26による効果]
以上のように、洗浄システム10は、蒸留再生装置26と、蒸留再生装置26により再生された洗浄液Lを用いてワークW(被洗浄物)を洗浄する洗浄装置12と、を備える。そして、蒸留再生装置26は、混入成分を含む汚液L1(再生前の洗浄液L)を貯留する液槽50と、液槽50内に貯留される汚液L1を加熱して気化する第一加熱器60と、第一加熱器60により発生した蒸気V1,V2を凝縮して再生液L2(再生後の洗浄液L)を得る凝縮器70と、第一加熱器60から凝縮器70までの蒸気V1,V2の流路上に配置され、かつ洗浄液Lの蒸気V1を吸着せずに混入成分の蒸気V2を吸着して保持する選択吸着材62と、を備える。
【0043】
このように、気体状の汚液L1である蒸気V1,V2の流路上に選択吸着材62を配置することで、液体状の洗浄液Lの流路上にフィルタを配置する場合と比べて、作用する流圧がより小さくて済む。また、固形状の異物Mが気化せずに液槽50内に残存するので、選択吸着材62への物理的衝突を防ぐことができる。これにより、フィルタ素材に要求される剛性を緩和可能となり、洗浄液Lの濾過に用いられるフィルタ素材の選定自由度をより高めることができる。
【0044】
また、凝縮器70が液槽50の上方に配置される場合、選択吸着材62は、液槽50内であって第一加熱器60又は洗浄液Lの液面58よりも上方に配置されてもよい。これにより、ガイド構造を別途設けることなく、蒸気V1,V2を選択吸着材62の位置に案内することができる。
【0045】
また、蒸留再生装置26は、混入成分の沸点よりも高い温度で選択吸着材62を加熱する第二加熱器66をさらに備えてもよい。これにより、加熱を通じて選択吸着材62から混入成分を除去可能となり、選択吸着材62の吸着・保持機能を容易に回復させることができる。
【0046】
また、洗浄液Lが炭化水素系溶剤を含み、混入成分が水である場合、選択吸着材62は、ゼオライトから構成されてもよい。これにより、炭化水素系洗浄液から水を高効率で除去することができる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
上記した実施形態では、洗浄液Lの混入成分が水である場合について説明したが、混入成分は水に限られない。例えば、水系の洗浄液Lが用いられる場合、混入成分は、切削加工油、プレス加工油、熱処理油、防錆油などの様々な加工油であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…洗浄システム、12…洗浄装置、26…蒸留再生装置、50…液槽、54…内部空間、60…第一加熱器、62…選択吸着材、70…凝縮器、L…洗浄液、L1…汚液(再生前の洗浄液)、L2…再生液(再生後の洗浄液)、V1,V2…蒸気、W…ワーク(被洗浄物)