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特開2023-96008細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療装置に用いられる適用ノズル
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  • 特開-細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療装置に用いられる適用ノズル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096008
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療装置に用いられる適用ノズル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080135
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2020555308の分割
【原出願日】2018-12-27
(31)【優先権主張番号】17/71438
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】517245626
【氏名又は名称】クライオノヴ・ファルマ
【氏名又は名称原語表記】CRYONOVE PHARMA
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】マラン・デニ
(72)【発明者】
【氏名】アントン・ジーン-クリストフ
(57)【要約】
【課題】ガス固有の冷熱特性が変わることなく治療対象領域にて再現可能かつ均一な冷熱作用を生じさせて効果的な皮膚美容治療を可能にするノズルを提供する。
【解決手段】本発明は、細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療装置に用いられるノズルに関する。前記装置は、加圧液化極低温ガスのタンクから供給を受ける噴霧口を具備している。前記ノズルは、外殻体(8)に連結される上側リング部(11)を有し、当該上側リング部(11)から中央本体部(12)が延びており、当該中央本体部(12)の下方に幅狭となる側壁(12a)が、長手方向開口(10)を有すると共に、皮膚に適用される先端部(13)内に設けられた円錐台形状の散布導管(13a)に連通するガス膨張空間を画定しており、当該散布導管(13a)は、吐出口(13b)を介して外部へ開口していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療に用いられ、加圧液化極低温ガスのタンクから供給を受ける噴霧口を有する装置用のノズルであって、
当該ノズルが、外殻体(8)に連結される上側リング部(11)を有し、前記上側リング部(11)から、円筒形状、円錐台形状または角錐台形状の中央本体部(12)が延びており、前記中央本体部(12)が下方に向かって幅狭となる側壁(12a)を有しており、前記側壁(12a)が、前記中央本体部(12)の内側から外側へ貫通する長手方向開口(10)を有すると共に、皮膚に適用される先端部(13)内に設けられた円錐台形状の散布導管(13a)に連通するガス膨張空間を画定しており、前記散布導管(13a)は、吐出口(13b)を介して外部へ開口している、ノズルにおいて、
前記側壁(12a)の前記長手方向開口(10)の側面(10a)が、前記中央本体部(12)の上側部分において次第に前記外側方向に向きを変え、かつ前記上側に向かって末広がりとなるように形成されており、前記中央本体部(12)の下側部分において次第に前記内側方向に向きを変え、かつ前記下側に向かって末広がりとなるように形成されていることを特徴とする、ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルにおいて、前記円錐台形状の散布導管(13a)の高さ(H)及びその当該散布導管の出口における直径が、それぞれ10mm以下であることを特徴とする、ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のノズルにおいて、前記先端部(13)の前記吐出口(13b)は、その軸心が前記中央本体部(12)の軸心(X)に対してオフセット(d)していることを特徴とする、ノズル。
【請求項4】
請求項3に記載のノズルにおいて、前記オフセット(d)する量が、1.5mm~3.5mmであることを特徴とする、ノズル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記膨張空間の高さ(D)が、35~55mmであることを特徴とする、ノズル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記中央本体部(12)の前記長手方向開口が、9つの同じ形状のスリット(10)からなることを特徴とする、ノズル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記中央本体部(12)の軸心(X)に沿った断面が、略台形状であり、断面積が上部から下部に向かって減少していることを特徴とする、ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療装置の改良に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、凍結治療によるシミの美容治療装置に組み込まれるように意図された改良ノズル、および当該ノズルが備え付けられた治療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
具体的に述べると、本発明が関する治療装置は、そのような皮膚色素過剰を患った対象者の手、顔、肢及び胸部の位置に位置するシミの皮膚美容治療を目的としている。
【0004】
このような装置は、WO2016113305(特許文献1)に記載されており、加圧極低温流体のタンクと、当該流体が当該タンクの内部から噴霧口へと放出されるのを可能にするソレノイドバルブとを備え、当該噴霧口が上記流体を皮膚の治療対象領域へとノズルを介して移動させる。
【0005】
上記噴霧口は、少なくとも1つの円錐筒状の軸方向内部導管を有し、極低温流体の出力を制限する手段を形成している。
【0006】
上記ソレノイドバルブには、当該ソレノイドバルブの所定期間の開放を可能にする電子式のタイミングシステムが割り当てられている。
【0007】
上記極低温流体の、膨張による液相から気相への移行は、上記ノズルの位置で生じる。当該ノズルは、皮膚の対象領域、すなわち、除去すべきシミが見受けられる領域に接した状態で所望の冷熱作用を生じさせるように意図されている。
【0008】
つまり、上記ノズルは、ガスの冷熱ポテンシャル及び表皮の対象領域への当該冷熱ポテンシャルの影響を調整し且つそれによって治療効果に直接影響を与えるものであるから、美容治療装置の重要な構成要素の一つである。
【0009】
US2004/102768A1(特許文献2)には、美容凍結治療装置であって、特に、上側リング
部が設けられたノズルを備え、当該上側リング部から中央本体部が延びており、当該中央本体部の側壁が、長手方向開口を下側部分に有すると共に、適用先端部内に設けられた散布導管と連通し吐出口を介して外部へ開口する極低温ガス膨張空間を画定している、美容凍結治療装置が記載されている。
【0010】
また、皮膚美容治療は極低温流体を皮膚に数回連続して適用することを伴うため、その有効性は、極めて精密に再現可能でなければならない流体の実施条件に依存する。
【0011】
具体的に述べると、極低温流体は液相から気相へと移行してから対象に到達させられるものであるから、この移行の中心となる適用ノズルの特性が、最適な温度曲線を得るうえで重要となる。
【0012】
このいわゆる基準温度曲線を監視することにより、メラノサイトに影響を及ぼす熱ショック及びその後の浸透圧ショックを、表皮及び真皮のそれ以外の細胞を保護しながら、つまり、皮膚美容治療の細胞選択性を維持しながら生じさせることが可能となる。
【0013】
性質上、この基準温度曲線は、所与の温度範囲で定められる所与の段階へ到達するまで温度を急速に低下させて、この温度範囲内に当該温度を所与の期間のあいだ維持した後、当該温度を徐々に上昇させて当該温度の開始時の値に戻らせることを含む。
【0014】
したがって、基準曲線に従いながらの液相から気相への極低温流体の移行は、下記の幾つかのパラメータの影響を受ける:
-ガス膨張空間の体積および当該ガス膨張空間の外部に連通する開口の相対的面積、つまり、ノズルのプロファイル;ならびに
-噴霧口の出口と皮膚の冷熱作用が適用されることになる対象領域との間の距離、つまり、ノズルの高さ、特には、膨張空間の出口に配置される適用先端部の高さ。
【0015】
実際、このノズルのプロファイルは、技術的に極めて重要であることが分かっている。というのも、所望の冷熱作用によって表皮の対象領域に結晶化した水、すなわち霜を形成させることで、所定の期間のあいだマイナス温度を安定的に維持するということが可能になるからである。つまり、過度に浅い形状のノズルでは温度を望ましい範囲に十分長く維持することができない一方、過度に深い形状では対象と結晶化した水との接触期間が長くなり過ぎて温度が過度に低くなってしまう。
【0016】
後者のこれらの状態では、得られる温度曲線が基準曲線に合致しない。
【0017】
同時に、ノズルの開口の高さ及び/又は面積が小さ過ぎると、ガスは膨張できずに液滴と気体との混合物の形態で対象領域へと発射されることになる。すると、この液相は対象領域に蓄積して次第に膨張するため、制御不能かつ再現不能な温度変化が生じる。
【0018】
逆の場合には、ノズルの内部体積空間でガスが完全に分散してしまい、当該ガスの冷熱ポテンシャル全体を治療にもたらすことができない。
【0019】
これらの2種類の状況では、治療対象領域で得られる温度曲線が、最適な皮膚美容治療に対応する基準曲線から顕著に逸脱することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第2016/113305号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/102768号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明のノズルは、ガス固有の冷熱特性が変わることなく治療対象領域にて再現可能かつ均一な冷熱作用を生じさせながら上述のパフォーマンス目標を達成すること、つまり、効果的な皮膚美容治療を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、本発明に従い、外殻体に連結する上側リング部を有し、当該上側リング部から中央本体部が延びており、当該中央本体部の下方に幅狭となる側壁が、長手方向開口を有すると共に、皮膚に適用される先端部内に設けられた円錐台形状の散布導管に連通するガス膨張空間を画定しており、当該散布導管は、吐出口を介して外部へ開口していることを特徴とするノズルによって達成される。
【0023】
本発明の具体的な特徴として、前記長手方向開口の側面が、前記本体部の上側部分において次第に外側方向に向きを変え、かつ末広がりとなるように形成されており、前記本体部の下側部分において次第に内側方向に向きを変え、かつ末広がりとなるように形成されている。
【0024】
本発明のノズルの第1の変形例において、前記長手方向開口は、ねじれ状の側面を有する。
【0025】
有利な一構成において、前記円錐台形状の散布導管の高さ及びその直径は、それぞれ10mm以下である。
【0026】
この導管は、その軸心が前記本体部の軸心に対してオフセットした吐出口を介して外部へ開口している。
【0027】
好ましくは、このオフセットは、1.5mm~3.5mmである。
【0028】
他の構成では、前記膨張空間の高さが、35~55mmである。
【0029】
さらなる他の構成では、前記長手方向スリットの面積の合計が、1080mm~2160mmである。
【0030】
前記ノズルの特定の代替的な一実施形態では、前記中央本体部の断面が、略台形状であり、上部から下部にむかって幅狭となっている。
【0031】
特定の一構成では、前記本体部の前記側壁の、前記ノズルの長手方向軸心に対する傾きが8°前後である。
【0032】
本発明は、さらに、前述の構成を有するノズルを備えた、シミの皮膚美容治療装置に関する。
【0033】
本発明のノズルにより、シミの最適な皮膚美容治療に対応する基準曲線に従った冷熱作用を皮膚にて実現することが可能になる。
【0034】
このノズルにより、皮膚の表面積の小さい対象領域へと冷熱作用が集中する。当該ノズルが備え付けられた装置は、忠実に再現可能なシークエンスの極めて効果的な皮膚美容治療を、優れた精度の物理化学的パラメータで実施することが出来る。
【0035】
最後に、このノズルにより、皮膚の前述した対象領域に対する冷熱作用の分布が均一になる。
【0036】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の且つ後で詳述する図面を参照しながら行う、以下の説明を参酌することで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のノズルの一実施形態を設けた凍結治療装置の分解斜視図である。
図2A図1のノズルの正面図である。
図2B図1のノズルの側面図である。
図2C図1のノズルの平面図である。
図3A図1及び図2Bのノズルの本体部の、3つの異なる平行な平面A,B,Cの平面Aによる断面図である。
図3B図1及び図2Bのノズルの本体部の、3つの異なる平行な平面A,B,Cの平面Bによる断面図である。
図3C図1及び図2Bのノズルの本体部の、3つの異なる平行な平面A,B,Cの平面Cによる断面図である。
図4】本発明の装置を用いて実施される皮膚美容治療の温度の基準曲線を示すグラフである。
図5】本発明のノズルのガス流動様式を示す概略断面図である。
図6】本発明のノズルが備え付けられた凍結治療装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
分かり易くするために、同一の又は同様の構成要素には、全ての図において同一の符号を付している。
【0039】
当然ながら、上記の図に示した実施形態は、あくまでも本発明を限定しない例として与えられたものである。本発明において、これらの異なる実施形態同士を互いに組み合わせて別の実施形態を提案することも可能であるという点は明らかであろう。
【0040】
図6に示すような治療装置は、主に、加圧極低温流体(6bar前後)のタンク2、タンク2の出口に取り付けられて電子回路30により駆動されるソレノイドバルブ3、噴霧口4、ノズル1、シール6、およびバッテリ7(本例では2つのバッテリで構成される)を具備している。これらの全構成要素は、筐体内に収められている。本例において当該筐体は、2つの半殻体を組み立てることにより生じる外殻体8で形成されている。
【0041】
適用ノズル1は、シミを治療する装置の重要な構成要素の一つである。適用ノズル1は、ガスの冷熱ポテンシャル及び皮膚の対象領域への当該冷熱ポテンシャルの影響を調整することにより、皮膚美容治療の臨床効果に直接影響を与える。
【0042】
前記極低温流体は、タンク2内で加圧された液相のガスである。タンク2は、開放位置のまま、当該タンク2の吐出管20に直接取り付けられたソレノイドバルブ3で閉止されている。
【0043】
ソレノイドバルブ3が開放位置に移行すると、前記流体がタンク2から噴霧口4の方向に自動的に流れ出す。ソレノイドバルブ3の開弁フェーズ及び閉弁フェーズは、これらのシーケンスを管理する電子回路30により駆動される。
【0044】
噴霧口4の流路の出口では、前記流体がノズル1内に進入し、そこで皮膚の対象領域に到達するまでのあいだ前記流体の液相-気相間の移行(ガスの膨張)が起こることで、当該対象領域にて所望の冷熱作用が生じる。
【0045】
図1図2A図2B及び図2Cに、本発明のノズル1の好適な一実施形態を示す。
【0046】
長手方向軸心Xのこのノズル1は、外殻体8への当該ノズル1の連結及び不可逆的な留め固定を確実に行う上側リング部11を有する。この目的のために、輪状部11は、(例えばスナップ嵌合等による)ロック部材を具備している。本例において当該ロック部材は、外殻体8の基部に支承された相補的なピン(図示せず)を受け入れるように意図された、2つのポート11aの形態である。
【0047】
図面に示す実施形態では、輪状部11から、略台形状の断面の中央本体部12が下側部分へと延びている。中央本体部12の側壁12aは、ノズル1の前記長手方向軸心に対して8°前後の角度をもって下方に幅狭となりながら傾いている。
【0048】
しかしながら、本体部12を円筒形態にすることも、本発明の範囲を逸脱せずに可能であり得る。
【0049】
本体部12の壁12aは、長手方向の貫通開口10を局所的に有すると共に、内部に極低温ガス膨張空間を画定している。開口10により、この空間が室温かつ大気圧の周辺外部物質とやり取りするということが特に確実となる。
【0050】
好適な一変形例において、長手方向開口10は、一連のスリット(本例では、9つのスリット)で構成されており、それぞれの高さは40mm、幅は6mm~7mm、好ましくは6.7mmとなっている。これらのスリットは、本体部12の壁12aに位置した側縁又は側面10aにより画成されている。当該スリットのプロファイルは、当該スリットの高さにわたってねじれながら略斜面状を呈している。
【0051】
具体的に述べると、図2B図2C及び図3A図3Cに示すように、各スリット10の両側面10aは、本体部12の上側部分では外側方向に向きを変えながら末広がりに形成されている(図3A)一方、下側部分では内側方向に向きを変えながら末広がりに形成されている(図3C)。これらの面の向きの反転線10bは、スリット10の高さの略中央に、すなわち、当該面10a同士が局所的に平行となる図3Bの断面平面の位置に位置している。
【0052】
開口10は、この特定のプロファイル(当該プロファイルの機能や極低温ガス流への影響については、後で詳細に説明する)により、ガスが本体部12の空間内部で均一に膨張するのを可能にしながら当該ガスの層流の強化にも貢献している。この膨張で前記ガスが大気圧になることにより、当該ガスの冷熱ポテンシャル及びその皮膚美容効果への影響が生まれる。本体部12の開口面積、ならびに開口10のプロファイル及び幾何形状は、試験の実施によって後で立証するように、前記ガスの冷熱特性を最適化させるための重要なパラメータとなる。
【0053】
実際、タンク2内の液相の前記ガスは、ソレノイドバルブ3の出口の地点では膨張することができない。よって、このガスは、液体状態のままシール6を通って噴霧口4に到達する。前記ガスは、噴霧口4の出口に到達してはじめて液相から気相へと膨張しながら移行する。そして、液相から気相への変換時のこの経路に沿った圧力により、噴霧口4の出口でのガスの層流形成が図5に示すようにもたらされる。
【0054】
噴霧口4は、始めの部分における長さ9mmにわたる直径1mmの第1の流路、そして、終わりの部分における長さ0.1mm、直径0.3mmの第2の流路で構成されている。噴霧口4の、出口流路の軸心と直交する壁を持った出口ポートの構成、および当該出口流路自体の構成により、当該出口での流動分散角度が極めて小さくなる(15°未満)ことで、流体の層流Fが発生する。また、当該流体の速度は、タンク2内での当該流体の圧力および当該流体が通過する各種部品の様々な直径により決まり、噴霧口4の出口では比較的低速となっている。これも、層流のさらなる特徴である(図5を参照のこと)。
【0055】
対象領域において層流を得ることは本発明の重要な目標であるが、前記ガスは、所与の体積空間内で(大気圧の)外気との圧力平衡を確立しつつ膨張する必要がある。
【0056】
ただし、この膨張は、前記ガスが当該ガスの対象へと、すなわち、皮膚美容治療を受けるように意図された領域へと高い均一性の運動ポテンシャル及び冷熱ポテンシャルをもって到達できるよう、噴霧口4からの層流Fとしての態様を妨害しないものでなければならない。実際、前記ガスが当該ガスの対象へと乱流の態様のまま到達した場合に生じる冷熱作用は、再現不能なだけでなく、係る領域の表面全体に対して非均一なものにもなる。
【0057】
実験モデルの極めて高い再現可能性および係る対象の表面への冷熱作用の均一性を試験で確認した本発明は、先端部13の出口にて前記ガスの安定した層流態様を実現することを目的としている。
【0058】
本発明のノズル1の特定の構造により、前記ガスは、少なくとも当該ノズル1の体積空間の中央部分にて、すなわち、中央本体部12により画定される(直径10mmの筒状の理論的領域に相当する)空間にて所望の層流態様を生成することができる。
【0059】
ただし、本体部12の中央軸心Xの両側には乱流が見受けられる。これらは2つの要因の結果である。まず、前記ガスの膨張に関連した層流Fは、本体部12内に含まれる空気Bの少なくとも一部を先端部13の方向及び外部へと押して変位させる傾向がある。同時に、層流Fが噴霧口4から本体部12へと進入することで、上側部分が低圧になってベンチュリ効果により前記ノズル内部へと外気Aが吸い込まれる逆の現象も起こる(図5)。
【0060】
しかし、反対の作用のこれら2つの現象が共存することで乱流が発生し、前記ノズル内部のガス流の層流特性が特に変わり易くなる。
【0061】
具体的に述べると、本体部12の上側部分では、外気Aの吸込みで生じた低圧により空気が開口10を通って本体部12の空間に進入することで、層流態様Fが妨げられる。
【0062】
また、下側部分では、層流Fで内蔵空気Bが押される傾向にあり、これにより生じた乱流によって当該層流Fは、先端部13に進入して対象領域に到達する前に妨害を受けることになる。
【0063】
結果的に、得られる温度曲線の均一性及び再現可能性が失われる。
【0064】
本発明が開口10の特定のプロファイルで制御克服しようとしているのは、これらの現象である。つまり、開口10の側面10a同士が相対する方向に向いた螺旋状の両側の斜面を形成することで、本体部12の上側部分及び下側部分のそれぞれにおける空気の出入りが容易になっている。
【0065】
本体部12の開口10は、幾つかの方法でガスの流動様式に好適な影響を及ぼす。これらの方法は、いずれも同じ効果、すなわち、対象領域までのガスの層流Fを、当該ガスの膨張を好適に行いながら且つこの層流を妨げ得る乱流を抑制しながら維持強化するという効果に貢献する。
【0066】
これを目標に本発明では、本体部12の上側部分については開口10両側の側面10aを、ガスの層流Fにより吸い込まれる空気Aの流入が図5に示すように好適に行われるよう、外方に末広がり状に向きつつ張り出したものとしている。
【0067】
反対に、本体部12の下側部分については開口10両側の側面12aを、層流Fにより押された空気Bの逆流を同じく図5に示すように容易にして乱流を回避するよう、内方に末広がり状に張り出して向いたものとしている。
【0068】
この構成は、さらに、前記ノズル内外での(空気の)温度交換を制限しながら冷熱作用を集中させるということも可能にする。
【0069】
まとめると、前記ノズルの本体部12の開口10のこの特定の構成により、下記の要因を介して、係る対象表面に対して再現可能かつ均一な冷熱作用を実現することが可能になる:
-(噴霧口の出口から対象領域の表面までの)長距離にわたっての層流の維持;
-膨張現象及びベンチュリ効果現象によってこの層流周囲で生じる乱流の影響の抑制;ならびに
-渦流様式へと移行しないようにしながらのガス流の層流特性の強化による、ノズル1の先端部13の位置での冷熱作用の集中及び出力増加。
【0070】
図面に示すように、本体部12内に位置した前記ガス膨張空間は、当該本体部12の下側部分にて、先端部13内に設けられて吐出口13bを介して外部へ開口する円錐台形状のプロファイルの散布導管13aと連通している。ノズル1の下端に位置した先端部13は、皮膚の治療対象の少なくとも1つのシミが見受けられる領域に適用されるように意図されている。
【0071】
図2A及び図2Cに示すように、先端部13、特には吐出口13bは、その軸心が本体部12の軸心に対してオフセット(オフセットd=3.80mm前後)している。
【0072】
先端部13は、吐出導管13aの出口に位置した直径10mm以下、好ましくは6mm(後述の試験を参照のこと)の当該先端部13の中央吐出口13bにより、冷熱作用を狭小の表面に対して集中かつ生じさせることが可能である。吐出口13bの直径は、当該吐出口の断面と略同一の表面を有する治療対象の皮膚領域にノズル1を適用することができるように、かつ、冷熱作用をこの対象領域へと選択的に限定しながら一様に集中させることができるように決定されている。
【0073】
図4に示す基準温度曲線は、皮膚の対象領域の位置で測定される単位時間当たりの温度変化を表している。
【0074】
対象領域又は対象とは、ノズル1の先端部13が配置されて前記治療装置が引き起こす冷熱作用を適用すべき表面を意味するものと解釈されたい。温度は℃で測定されて時間は秒で測定される。時間は、前記ソレノイドバルブが加圧液体ガスを放出するために開放される時点に相当するt0と標記された時刻から測定される。時刻t0は、さらに、治療シークエンスの開始にも相当する。
【0075】
このシークエンスは、まず、前記ソレノイドバルブの開放(t0)から1秒未満の期間のあいだ、表皮の平均初期温度(34℃前後)から温度を急速に低下させることを含む。温度のこの低下により、7秒以上10秒以下の期間のあいだ温度が上下に変動可能のまま-15℃~-5℃の範囲内に維持される、マイナス温度の段階へと到達することができる。この段階が、シミの皮膚美容治療の活性フェーズに相当する。この後に続くフェーズは、温度を開始時の値まで徐々に上昇させることで構成される。
【0076】
表皮の対象領域の位置で測定される基準曲線のパラメータは、下記のとおりである(時間は、皮膚の初期温度T0が34℃付近の時点での前記ソレノイドバルブの開放に相当するt0を基準として与える):
-[PC0]は、曲線の原点(t0及びT0)である;
-[PC1]は、基準曲線の、時刻t1≦2秒で到達する、温度T1に該当する点である;
-[PC2]は、基準曲線の、t2の点である。t2-t1は、温度が-15℃~-5℃で且つこの範囲内で変動可能となる7~10秒間の期間である;
-[PC3]は、曲線の、t1~t2の部分で記録される温度閾値(最小値)に該当する点である;
-[PC4]は、曲線の、t1~t2の部分で記録される温度天井値(最大値)に該当する点である;ならびに
-[PC5]は、温度が徐々に上昇する際の、対象領域の温度が0℃となるt3=10秒の点である。
【0077】
この基準曲線は、表皮及び真皮の対象領域のメラノサイトを破壊しつつそれ以外の細胞については保護するように意図された熱ショック及びその後の浸透圧ショックの生成を含む、治療方法の最適な実施形態に対応する。
【0078】
この基準曲線は、前記ガスが液相から気相へと移行してから対象領域に到達し且つ当該対象領域にて冷熱作用を引き起こすものとされることで、当該領域全体に対して再現可能かつ均一に実現生成されるようになっている。ノズル1の構造が、この現象の出現の条件となり、そのためこの点において重要となる。実際、ノズル1内でのガス流の通過には、液相から気相への極めて重要な移行が伴う。ただし、この状態変化は、下記の幾つかのパラメータの影響を受ける:
-開口又はスリット10の開口面積(S);
-噴霧口の出口と冷熱作用が働くように意図される対象領域との間の距離(D);および
-ノズル1の先端部13の高さ(H)。
【0079】
実際、スリット10の距離(D)及び/又は開口面積(S)が小さ過ぎると、前記ガスは膨張できずに液滴と気体との混合物で構成されるエアロゾルの形態で対象へと発射される。これにより、液相が対象に蓄積し、治療の必要がない対象外の領域に拡がって膨張し且つ次第に蒸発する間、制御不能、再現不能かつ非均一な温度変化が治療対象領域全体にわたって発生する。逆の場合には、前記ガスが分散してしまい、当該ガスの冷熱ポテンシャル全体を実現することができない。これらの2種類の状況では、得られる温度曲線が基準曲線に合致しないため、治療結果が満足のいくものにならない。
【0080】
さらに、周囲の残留湿度の存在下で冷熱作用により皮膚上で結晶化した水が氷(霜)として形成されることで、所定の期間のあいだマイナス温度を安定的に維持するということが可能になる。
【0081】
しかし、過度に浅い形状(小さい高さ)のノズル1では温度を-15℃~-5℃の範囲に十分長く維持することができない一方、過度に深い形状(大きい高さH)では対象と結晶化した水との接触期間が長くなり過ぎて温度が過度に低くなってしまう。本発明は、前記ノズルのプロファイルとして、最適な基準曲線に忠実に対応した温度曲線を得ることが可能な特定のプロファイルを選択することを目的としている。
【0082】
後で実施説明する実験及び試験の目標は、対象領域の位置で得られる温度曲線への各種パラメータ(S)、(D)及び(H)の影響を検証し明らかにすることである。
【0083】
これらの実験では、温度が℃で表されて時間が秒で表される。表中の太字の数値は、当該数値が基準曲線の数値又は数値範囲に準拠していることを表す。
【0084】
時刻の原点(t0)は、電子回路30の通電、特にはソレノイドバルブ3の制御が開始した時点に相当する。技術的な理由から、このシーケンスは、ソレノイドバルブ3を開放位置に切り替えることでタンク2から前記ガスを放出するための最初の信号が当該ソレノイドバルブ3に送られる前の0.5秒間の休止フェーズから始まる。
【0085】
実際、本発明の治療装置では、開放位置に維持されたガスのタンク2が、閉鎖位置で休止しているソレノイドバルブ3に接続されている。電子回路30によってソレノイドバルブ3に電流が供給されると(プログラムされたシーケンス)、当該ソレノイドバルブ3が閉鎖位置から開放位置へと移行すると同時に前記ガスが流出可能となる。電子回路30が停止すると、ソレノイドバルブ3は休止状態に戻る。このようにして一連の信号列が構成され、開放位置又は閉鎖位置への前記ソレノイドバルブの切替えが、極めて正確な順序に従って且つ極めて正確な具体的期間に従って可能となる。正確な期間に従った間隔を伴う、所定期間の(ある切替状態から別の切替状態に変化可能な)一連の切替動作が、皮膚美容治療の臨床実施手順に相当する。
【実施例0086】
試験1-温度曲線に対する先端部13の高さ(H)の影響
本試験の目標は、前記ノズルの先端部13の高さHを0~4.12mmで変化させた場合の温度測定を、時間の関数として種々実行することである。
【0087】
次のことが判明する。前記先端部の高さHによって冷熱曲線の形状が変わるということは無い。ただし、先端部が設けられていない場合には(H=0mm)、-15℃未満の温度に急速に到達できず、上下変動も存在しなくなる。その一方で、高さ=4.2mm、5.6mm及び6.2mmの先端部の場合には、特に温度上昇段階で変動が見受けられるものの、大きな変動ではない。
【0088】
【表1】
【0089】
特定の手順及び特定のノズルプロファイルを伴った、高さ0≦H≦4.2mmの場合にのみ、基準値を遵守することができる。
【0090】
0~10mm、好ましくは6mm以下の高さの範囲でも、手順、ノズル1の形状、又は前記噴霧口の流路の直径を調整することにより、基準曲線の数値に従った冷熱作用が実現可能になると見なすことが可能である。
【0091】
試験2-温度曲線に対する、噴霧口の出口と対象領域との間の距離(D)の影響
本試験の目標は、前記噴霧口の出口と対象との間の距離(D)を25mm~65mmで変化させた場合の温度測定を、時間の関数として種々実行することである。
【0092】
次のことが判明する。小さい距離(D)、特には45mm未満の距離(D)では、前記極低温流体を満足に膨張させることができない。この状態では、対象の位置に流体滴(液滴)が形成されるため、実施された測定値に外乱が生じる。得られる温度曲線では、液体の発射に対応して極めて重要な振幅の上下変動が生じる。曲線によっては、どのパラメータの基準値も順守されない(太字は準拠値)。
【0093】
【表2】
【0094】
重要な距離(D)、特には45mm以上の距離(D)では、前記ガスが膨張し且つ液滴の形成なしで当該ガスの冷熱ポテンシャルを働かせることが可能となり、しかも、このポテンシャルは対象から遠くなるほど小さくなる。大半の実験距離では、基準曲線のパラメータの数値が順守されない(ただし、距離D=45mm及びD=55mmに対応する曲線を除く)(緑色は準拠値)。
【0095】
【表3】
【0096】
結果的に、特定の噴射手順及び特定の噴霧口を伴った、当該噴霧口の出口と対象とを隔てる距離D=45mm及びD=55mmの場合にのみ、これらの数値を遵守することができる。
【0097】
以上から、35mm~55mmの距離(D)の範囲でも、手順又は前記噴霧口の流路の直径を調整することにより、基準曲線のパラメータの数値に従った冷熱作用が実現可能になると見なすことが可能である。
【0098】
試験3-温度曲線に対するノズルの開口面積(S)の影響
本試験の目標は、ノズル1の本体部12のスリット10の面積(S)を変化させた場合の、つまり、前記ガスの膨張及び層流の強化に貢献する、外気との水平方向又は垂直方向の交換面積を変化させた場合の温度測定を、時間の関数として種々実行することである。
【0099】
垂直方向の変化とは、開口面積の合計=2160mmの参照ノズルと比較して、対象までの前記ガスの流出方向での前記スリットの高さを多かれ少なかれ減少させること、つまり、当該スリットの交換面積を減少させることで構成される。水平方向の変更とは、これらのスリットの幅を多かれ少なかれ減少させること、すなわち、対象までの前記ガスの流出方向と直交する方向において当該スリットを閉じることで構成される。
【0100】
次のことが判明する。ノズル1の、図面に示すような本発明の特定の構成に従ったスリット10を含む本体部12であれば、前記ガスを完全に膨張させて当該ガスの冷熱ポテンシャルを最大限活用することができる。
【0101】
他方で、前記ノズルを完全に閉じると、所与の時間における前記ガスの圧力が周囲の大気圧と平衡にならず当該ガスの膨張が不可能となるので、基準曲線に従わない曲線が生じることになる。
【0102】
【表4】
【0103】
第一の見解は、手順、前記噴霧口の構造(つまり、出力)、ガスの投与量、及び前記ノズルの形状にかかわらず、前記ノズルの開口面積の合計を1080mm以上とすることにより、前記ガスを全て膨張させて当該ガスの冷熱ポテンシャル全体を利用可能にできるという点である。
【0104】
第二の見解は、開口率が低くなるほど、曲線が基準曲線及び基準曲線のパラメータの数値から大きく外れるという点である。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
つまり、曲線に対する前記ノズルの前記本体部の前記スリットの開口の影響は、当該開口が垂直方向の開口なのか水平方向の開口なのかに従って、同じ割合であっても異なるということが分かり得る。
【0108】
【表7】
【0109】
本実験により、開口が垂直方向に生じるのか水平方向に生じるのかに従って、2つの面積が同じ(それぞれ1080mm)であっても温度曲線及び温度曲線のパラメータが異なるということが分かる。
【0110】
手順、又は前記噴霧口の流路の直径を調整することにより、基準曲線の冷熱作用に従った冷熱作用を確保するのに必要な開口の合計は1080mm以上であると見なすことが可能になる。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療に用いられ、加圧液化極低温ガスのタンクから供給を受ける噴霧口を有する装置用のノズルであって、
当該ノズルが、外殻体(8)に連結される上側リング部(11)を有し、前記上側リング部(11)から中央本体部(12)が延びており、前記中央本体部(12)が下方に向かって幅狭となる側壁(12a)を有しており、前記側壁(12a)が、長手方向開口(10)を有すると共に、皮膚に適用される先端部(13)内に設けられた円錐台形状の散布導管(13a)に連通するガス膨張空間を画定しており、前記散布導管(13a)は、吐出口(13b)を介して外部へ開口している、ノズルにおいて、
前記側壁(12a)の前記長手方向開口(10)の側面(10a)が、前記本体部(12)の上側部分において次第に外側方向に向きを変え、かつ末広がりとなるように形成されており、前記本体部(12)の下側部分において次第に内側方向に向きを変え、かつ末広がりとなるように形成されていることを特徴とする、ノズル。
[態様2]
態様1に記載のノズルにおいて、前記長手方向開口(10)が、ねじれ状の側面(12a)を有することを特徴とする、ノズル。
[態様3]
態様1または2に記載のノズルにおいて、前記円錐台形状の散布導管(13a)の高さ(H)及びその直径が、それぞれ10mm以下であることを特徴とする、ノズル。
[態様4]
態様1から3のいずれかに記載のノズルにおいて、前記先端部(13)の前記吐出口(13b)は、その軸心が前記本体部(12)の軸心(X)に対してオフセット(d)していることを特徴とする、ノズル。
[態様5]
態様1から4のいずれかに記載のノズルにおいて、前記オフセット(d)が、1.5mm~3.5mmであることを特徴とする、ノズル。
[態様6]
態様1から5のいずれかに記載のノズルにおいて、前記膨張空間の高さ(D)が、35~55mmであることを特徴とする、ノズル。
[態様7]
態様1から6のいずれかに記載のノズルにおいて、前記本体部(12)の前記長手方向開口(10)の面積の合計(S)が、1080mm2~2160mm2であることを特徴とする、ノズル。
[態様8]
態様1から7のいずれかに記載のノズルにおいて、前記本体部(12)の前記長手方向開口が、9つの同じスリット(10)からなることを特徴とする、ノズル。
[態様9]
態様1から8のいずれかに記載のノズルにおいて、前記中央本体部(12)の断面が、略台形状であり、断面積が上部から下部に向かって減少していることを特徴とする、ノズル。
[態様10]
態様1から9のいずれかに記載のノズルにおいて、前記本体部(12)の前記側壁(12a)の、前記ノズルの長手方向軸心(X)に対する傾きが約8°であることを特徴とする、ノズル。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞選択性凍結治療によるシミの皮膚美容治療に用いられ、加圧液化極低温ガスのタンクから供給を受ける噴霧口を有する装置用の、軸心を有する筒状のノズルであって、
当該ノズルが、外殻体(8)に連結される上側リング部(11)を有し、前記上側リング部(11)から中央本体部(12)が軸方向に延びており、前記中央本体部(12)が軸方向下方に向かって幅狭となる側壁(12a)を有しており、前記側壁(12a)が、前記中央本体部(12)の内側から外側へ貫通する長手方向開口(10)を有すると共に、皮膚に適用される先端部(13)内に設けられた円錐台形状の散布導管(13a)に連通するガス膨張空間を画定しており、前記散布導管(13a)は、吐出口(13b)を介して外部へ開口している、ノズルにおいて、
前記側壁(12a)の前記長手方向開口(10)の側面(10a)が、前記軸方向において上側部分から下側部分にかけて捩れながら延びる斜面状を呈し、前記上側部分において次第に周方向よりも前記外側方向に向きを変え、かつ前記側に向かって末広がりとなるように形成されており、前記下側部分において次第に前記周方向よりも前記内側方向に向きを変え、かつ前記側に向かって末広がりとなるように形成されていることを特徴とする、ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルにおいて、前記円錐台形状の散布導管(13a)の高さ(H)及びその当該散布導管の出口における直径が、それぞれ10mm以下であることを特徴とする、ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のノズルにおいて、前記先端部(13)の前記吐出口(13b)は、その軸心が前記中央本体部(12)の軸心(X)に対してオフセット(d)していることを特徴とする、ノズル。
【請求項4】
請求項3に記載のノズルにおいて、前記オフセット(d)する量が、1.5mm~3.5mmであることを特徴とする、ノズル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記膨張空間の高さ(D)が、35~55mmであることを特徴とする、ノズル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記中央本体部(12)の前記長手方向開口が、9つの同じ形状のスリット(10)からなることを特徴とする、ノズル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のノズルにおいて、前記中央本体部(12)の軸心(X)に対して垂直な断面が、略台形状であり、前記断面の断面積が上部から下部に向かって減少していることを特徴とする、ノズル。