(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096026
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】フラッシュ・シールを有する逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
F16K15/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080738
(22)【出願日】2023-05-16
(62)【分割の表示】P 2022567350の分割
【原出願日】2021-05-05
(31)【優先権主張番号】16/869,428
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェイス、レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】マレキ、シャルビン
(57)【要約】
【課題】流体流セット及び装置のための逆止弁組立体が提供される。
【解決手段】逆止弁組立体は、入口本体及び出口本体を有するハウジングを含む。入口本体は、流体入口と、第1の高さを有する第1のシール・ビードと、第2の高さを有する第2のシール・ビードと、中央チャネルとを含む。出口本体は、流体出口と、入口本体の中央チャネルによって受け入れられるセンタリング・ポストを有するステムとを含む。シールは、第1の厚さを有する内側リングと、第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有する外側リングとを有する。逆止弁組立体の完全に封止された位置では、内側リングが第1のシール・ビードと係合状態にあるとともに外側リングが第2のシール・ビードと係合状態にある。流体流セット、及び逆止弁組立体を製造する方法も提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁組立体であって、
流体入口、
第1のシール・ビード、及び
第2のシール・ビード、
を含む入口本体と、
流体出口、
を含む出口本体と、
を含み、
逆止弁組立体が、シールを含み、前記シールは、
内側及び外側リング、を含み、前記逆止弁組立体の完全に封止された位置では、前記内側リングが前記第1のシール・ビードと係合するように構成されるとともに前記外側リングが前記第2のシール・ビードと係合するように構成される、
逆止弁組立体。
【請求項2】
前記第1のシール・ビードの高さ及び前記内側リングの厚さは、前記第2のシール・ビードの高さ及び前記外側リングの厚さに等しい、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項3】
前記第1のシール・ビードの前記高さは、前記第2のシール・ビードの前記高さよりも低い、請求項2に記載の逆止弁組立体。
【請求項4】
前記外側リングの前記厚さは、前記内側リングの前記厚さより薄い、請求項2に記載の逆止弁組立体。
【請求項5】
前記第1のシール・ビードは、前記入口本体の内面から直交して延びる円形リブであり、及び前記入口本体の中央チャネルの周りに配置される、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項6】
前記第2のシール・ビードは、前記入口本体の前記内面から直交して延びるとともに前記第1のシール・ビードの周りに同心円状に配置された円形リブである、請求項5に記載の逆止弁組立体。
【請求項7】
前記内側リングの直径は、前記第1のシール・ビードの直径よりも大きく、前記外側リングの直径は、前記第2のシール・ビードの直径よりも大きい、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項8】
前記第1のシール・ビード及び前記第2のシール・ビードのうちの一方の端面は傾斜している、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項9】
前記逆止弁組立体の前記完全に封止された位置では、前記端面の尖端部のみが前記シールと係合状態にある、請求項8に記載の逆止弁組立体。
【請求項10】
前記出口本体は、センタリング・ポストを含み、及び前記シールは、前記シールの中央穴を介して前記センタリング・ポストに連結される、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項11】
前記出口本体は、肩部を有するステムを含み、及び前記肩部に前記シールの前記内側リングが係合される、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項12】
前記シールは、前記ステムの前記肩部と前記入口本体の中央チャネルの端面との間に挟まれる、請求項11に記載の逆止弁組立体。
【請求項13】
前記入口本体及び前記出口本体はともに封止される、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項14】
前記流体入口は第1の静脈チューブ(intravenous tube)を受け入れるように構成され、及び前記流体出口は第2の静脈チューブを受け入れるように構成される、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項15】
前記内側リングの可撓性が、前記逆止弁組立体のクラッキング圧力を決定する、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項16】
前記内側リング及び前記外側リングのうちの一方を形成する材料の剛性が、前記逆止弁組立体のクラッキング圧力を決定する、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項17】
前記逆止弁組立体の開放流体流位置では、前記内側リングが前記第1のシール・ビードから離れて撓んでいるとともに前記外側リングが前記第2のシール・ビードから離れて撓んでいる、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項18】
前記逆止弁組立体の部分的に封止された位置では、前記外側リングが前記第2のシール・ビードと係合状態にあるとともに前記内側リングが前記第1のシール・ビードから離れて撓んでいる、請求項1に記載の逆止弁組立体。
【請求項19】
静脈(IV:intravenous)セットであって、
流体入口管と、
流体出口管と、
請求項1から18までのいずれか一項に記載の逆止弁組立体と、
を含む、静脈セット。
【請求項20】
請求項1に記載の逆止弁組立体を製造する方法であって、
前記シールを前記出口本体に連結することと、
前記入口本体を前記出口本体に接続することであって、前記シールの前記外側リングが前記第2のシール・ビードによって付勢されることと、
前記入口本体を前記出口本体に超音波溶接することであって、前記シールの前記内側リングが前記入口本体と前記出口本体との間に固定され、前記シールの前記内側リングが前記第1のシール・ビードによって付勢されることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
逆止弁は、医療分野において、静脈(IV:intravenous)重力又はポンプ・セットからの流体流用のような、患者への流体流を制御する装置内で使用される。
【背景技術】
【0002】
典型的な逆止弁は、微粒子がエラストマー・シールとシール・ビードとの間に捕捉されると低流量の漏れを起こしやすい。二重シール・ビードを有することは、漏れを許すことになる隙間を排除するためにそれらシール・ビードが正確に同じ高さである必要があることから、課題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
低流量の漏れを防止し、したがって安全性を高めるとともにリスクを減らす、医療用流体流逆止弁を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、二重封止リングを有する医療用流体流逆止弁を提供する。
【0005】
1つ又は複数の実施例では、逆止弁組立体が提供される。逆止弁組立体は、入口本体を有するハウジングを含む。入口本体は、流体入口と、第1の高さを有する第1のシール・ビードと、第2の高さを有する第2のシール・ビードと、中央チャネルとを含む。ハウジングはまた、出口本体を含む。出口本体は、流体出口と、入口本体の中央チャネルによって受け入れられるように構成されたセンタリング・ポストを有するステムとを含む。逆止弁組立体はまた、第1の厚さを有する内側リングと、第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有する外側リングとを有するシールを含む。逆止弁組立体の完全に封止された位置では、内側リングが第1のシール・ビードと係合状態にあるとともに外側リングが前記第2のシール・ビードと係合状態にある。
【0006】
1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビードの第1の高さは、第2のシール・ビードの第2の高さよりも低い。1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビードの第1の高さ及び内側リングの第1の厚さは、第2のシール・ビードの第2の高さ及び外側リングの第2の厚さに等しい。1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビードは、入口本体の内面から直交して延びるとともに中央チャネルの周りに配置された円形リブである。1つ又は複数の態様では、第2のシール・ビードは、入口本体の内面から直交して延びるとともに第1のシール・ビードの周りに同心円状に配置された円形リブである。1つ又は複数の態様では、内側リングの直径は、第1のシール・ビードの直径よりも大きく、外側リングの直径は、第2のシール・ビードの直径よりも大きい。
【0007】
1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビード及び第2のシール・ビードのうちの一方の端面は傾斜している。1つ又は複数の態様では、逆止弁組立体の完全に封止された位置では、端面の尖端部のみがシールと係合状態にある。1つ又は複数の態様では、シールは、シールの中央穴を介してセンタリング・ポストに連結される。1つ又は複数の態様では、ステムは肩部を含み、この肩部にシールの内側リングが係合される。1つ又は複数の態様では、シールは、ステムの肩部と中央チャネルの端面との間に挟まれる。1つ又は複数の態様では、入口本体及び出口本体はともに封止される。
【0008】
1つ又は複数の態様では、入口本体及び出口本体のうちの一方は、静脈チュービングと連結するように構成される。1つ又は複数の態様では、内側リングの可撓性が、逆止弁組立体のクラッキング圧力を決定する。1つ又は複数の態様では、逆止弁組立体の開放流体流位置では、内側リングが第1のシール・ビードから離れて撓んでいるとともに外側リングが第2のシール・ビードから離れて撓んでいる。1つ又は複数の態様では、逆止弁組立体の部分的に封止された位置では、外側リングが第2のシール・ビードと係合状態にあるとともに内側リングが第1のシール・ビードから離れて撓んでいる。
【0009】
1つ又は複数の実施例では、上記に説明された逆止弁組立体を製造する方法が提供される。方法は、シールをステムに連結することであって、センタリング・ポストがシールの中央穴に挿入され、シールがステムの肩部に当接することを含む。方法はまた、入口本体を出口本体に接続することであって、シールの外側リングが第2のシール・ビードによって付勢されることを含む。方法は、入口本体を出口本体に超音波溶接することであって、シールの内側リングがステムの肩部と入口本体の中央チャネルの端面との間に固定され、シールの内側リングが第1のシール・ビードによって付勢されることをさらに含む。
【0010】
1つ又は複数の実施例では、流体流セットが提供される。流体流セットは、流体入口管と、流体出口管と、逆止弁組立体とを含む。逆止弁組立体は、出口本体に連結された入口本体を有するハウジングであって、入口本体が、流体入口、中央チャネル、及び第2のシール・ビードとは異なる高さを有する第1のシール・ビードを有し、出口本体が、流体出口、及び中央チャネルによって受け入れられるセンタリング・ポストを有する、ハウジングを含む。逆止弁組立体はまた、内側リングと、内側リングよりも薄い外側リングとを有する、センタリング・ポストに連結されたシールを含む。逆止弁組立体の完全に封止された位置では、内側リングが第1のシール・ビードと係合状態にあるとともに外側リングが第2のシール・ビードと係合状態にある。逆止弁組立体の開放流体流位置では、内側リングが第1のシール・ビードから離れて撓んでいるとともに外側リングが第2のシール・ビードから離れて撓んでいる。逆止弁組立体の部分的に封止された位置では、外側リングが第2のシール・ビードと係合状態にあるとともに内側リングが第1のシール・ビードから離れて撓んでいる。
【0011】
1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビードは、入口本体の内面から直交して延びるとともに中央チャネルの周りに配置された円形リブであり、第2のシール・ビードは、入口本体の内面から直交して延びるとともに第1のシール・ビードの周りに同心円状に配置された円形リブである。1つ又は複数の態様では、第1のシール・ビード及び第2のシール・ビードのそれぞれの端面は、傾斜しており、逆止弁組立体の完全に封止された位置では、各端面の一部のみがシールと係合状態にある。
【0012】
本開示の追加の特徴及び利点が以下の説明に明記され、一部が説明から明らかとなるか、又は本開示の実践によって教示され得る。本開示の目的及び他の利点は、本明細書に記載の説明及び請求項、並びに添付の図面に具体的に挙げられる構造によって実現及び達成される。
【0013】
上述の概要及び後述の詳細な説明は共に、例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載の本開示のさらなる説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【0014】
本開示のさらなる理解を提供するように含まれ、本明細書に組み込まれるとともにその一部を構成する添付の図面は、本開示の実施例を示し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】典型的な組み立てられた輸液セットの概略図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの態様による、例示的な逆止弁の分解斜視図である。
【
図3】本開示のいくつかの態様による、
図2の逆止弁の断面斜視図である。
【
図4】本開示のいくつかの態様による、予め組み立てられた状態にある、
図2の逆止弁の部分断面斜視図である。
【
図5】本開示のいくつかの態様による、
図4の逆止弁の正面図である。
【
図6】本開示のいくつかの態様による、組み立てられた状態にある、
図2の逆止弁の部分断面斜視図である。
【
図7】本開示のいくつかの態様による、
図6の逆止弁の正面図である。
【
図8】本開示のいくつかの態様による、逆止弁シールの斜視図である。
【
図9】本開示のいくつかの態様による、
図8の逆止弁シールの正面図である。
【
図10】本開示のいくつかの態様による、開放流状態にある、
図7の逆止弁の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術の様々な構成を記載しており、主題の技術が実践され得る唯一の構成を表すことは意図されていない。詳細な説明は、主題の技術の完全な理解を提供するための特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な実例として特定の態様に関して提供される。しかしながら、主題の技術はこれらの特定の詳細なしに実践され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの場合において、よく知られている構造体及び構成要素は、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形態で示されている。
【0017】
本開示は、主題の技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。ここで、主題の技術の様々な態様が、特定の、ただし非限定的な実例に従って開示される。本開示に記載される様々な実施例は、異なる方式及び変形例において、所望の用途又は実施に従って実施され得る。
【0018】
図1に示すように、典型的な輸液セット30が、ドリップ・チャンバ40と、逆止弁50と、ローラ・クランプ60と、Y字連結部70とを含み得、これらすべてがともにチュービング20によって接続されている。典型的な輸液セット30は、さらなる輸液構成要素(例えば、ピンチ・クランプ、フィルタ)を含むことができ、構成要素とチュービング20との任意の組み合わせから形成されることができる。
【0019】
逆止弁50は典型的に、流体流ハウジング内に取り付けられた可撓性(例えば、エラストマー)シールから形成される。典型的には、可撓性シールは、封止位置ではハウジング内のシール・ビードに係合するとともに開放流位置ではシール・ビードから離れて撓むように取り付けられる。しかしながら、流体中の微粒子がシールとシール・ビードとの間に捕捉されると、逆止弁50が封止位置に戻った場合、シールとシール・ビードとの間に隙間がある状態のままとなる。この隙間は、逆止弁50が流体流を防止するように完全に封止されるものと想定されている場合に流体の漏れ(例えば、低流量の漏れ)を許してしまう。
【0020】
本開示の態様によれば、逆止弁組立体には、二重封止リングを有するシールと、二重シール・ビードを有するハウジングとが設けられる。外側シールは、微粒子(例えば、塵埃)が内側シールに達することを防止し、したがって、内側シールが完全に閉じるとともに流体流を密封することを可能にする。
【0021】
図2~
図10は、本開示のいくつかの態様による、逆止弁100として示された逆止弁組立体を示す。逆止弁100は、入口本体120と、出口本体130と、シール140とを有するハウジング110を含む。
【0022】
入口本体120は、IVチューブ(例えば、チュービング20)を介して流体源(例えば、IVバッグ、輸液ポンプ、無針注射器)と接続するように構成された流体入口122を有する。入口本体120は、第1のシール・ビード124及び第2のシール・ビード126を含み、これらがそれぞれ入口本体120の内面121に配置されている。第1及び第2のシール・ビード124、126は、例えば円筒リブ又は歯として構成され得る。
図3に示すように、第1のシール・ビード124は、入口本体120内の中央チャネル128の周りに配置された円形リブである。中央チャネル128は、端面129を有する。
【0023】
図5に示すように、第1のシール・ビード124は、内径D
1及び高さH
1を有する。第2のシール・ビード126は、第1のシール・ビード124の周りに同心円状に配置された円形リブであり、第2のシール・ビード126は、内径D
2及び高さH
2を有する。ここで、高さH
2は高さH
1よりも高く、そのため、第2のシール・ビード126が、第1のシール・ビード124が延びるよりも内面121からさらに離れて延びる。本開示のいくつかの態様では、第1のシール・ビード124の端面123及び/又は第2のシール・ビード126の端面125は、逆止弁100が完全に封止された(例えば密閉された)位置にある場合に端面123、125の尖端部のみがシール140と係合するように傾斜している。
【0024】
出口本体130は、下流の流体構成要素(例えば、ローラ・クランプ60)と接続するように構成された流体出口132を有する。出口本体130は、センタリング・ポスト136と肩部138とを有するステム134を含み、センタリング・ポスト136は、入口本体120の中央チャネル128によって受け入れられるように構成されている。
【0025】
シール140は、内側リング142及び外側リング144を含む。内側リング142は厚さT
1を有し、外側リング144は厚さT
2を有し、厚さT
1は厚さT
2よりも大きい(
図9を参照)。内側リング142は直径D
s1を有し、外側リング144は直径D
s2を有し、直径D
s2は直径D
s1よりも大きい。シール140の内側リング142の直径D
s1は、第1のシール・ビード124の内径D
1よりも大きく、シール140の外側リング144の直径D
s2は、第2のシール・ビード126の外径D
2よりも大きい。シール140はまた、出口本体130のセンタリング・ポスト136に取り付ける中央穴146と出口本体130の肩部138に当接する内側リング142の部分とを含む。シール140は、任意の可撓性材料(例えば、シリコーン)から形成され得、内側リング142は、いくらか可撓性があり、外側リング144はより薄く、より多く可撓性がある。例えば、外側リングは、バリと同じくらい薄いものであり得る。
【0026】
逆止弁100を組み立てるには、シール140がシール140の中央穴146を介して出口本体130のセンタリング・ポスト136に連結され/取り付けられ、内側リング142が出口本体130の肩部138に当接する。
図4及び
図5に示すように、入口本体120は、出口本体130に連結され/取り付けられ、これにより、外側リング144が第2のシール・ビード126に係合し、このシール・ビードによって付勢される。
図6及び
図7に示すように、入口本体120及び出口本体130は次いで、ともに封止(例えば、超音波溶接)され得、これにより、内側リング142が出口本体130の肩部138と中央チャネル128の端面129との間に挟まれ、及び/又は固定され、さらに、内側リング142が第1のシール・ビード124に係合し、このシール・ビードによって付勢される。したがって、逆止弁100の組み立て時、先に外側リング144が付勢され、次に内側リング142が付勢される。本開示のいくつかの態様では、内側リング142及び外側リング144は、異なる予荷重力を有する。
【0027】
図10に示すように、内側リング142及び外側リング144をそれぞれ第1のシール・ビード124及び第2のシール・ビード126から強制的に離すのに十分な力で流体が流体入口122を通って入ると、逆止弁100は、開放モードすなわち流体流モードになる。したがって、逆止弁組立体100のこの開放流体流位置では、内側リング142が第1のシール・ビード124から離れて撓んでいるとともに外側リング144が第2のシール・ビード126から離れて撓んでいる。流体は、ハウジング110の内部容積112を通って出口本体130の流体出口132に流れ出る。流体圧力が低減又は停止する(例えば、流体流が減速又は停止する)と、逆止弁100は密閉位置に動く。
【0028】
逆止弁100が閉じる際、外側リング144は、撓んでその開始位置に戻ることによって先に閉じて、第2のシール・ビード126に係合する。これは、外側リング144が内側リング142よりも薄く、より可撓性があるために起こり、したがって、外側リング144を、内側リング142よりも早く及び/又は大きな可動域にわたって撓ませる。外側リング144は、先に閉じることによって、微粒子又は塵埃が内側リング142に達することを防止する最初のシールをもたらす。したがって、逆止弁組立体100のこの部分的に封止された位置では、外側リング144が第2のシール・ビード126と係合状態にあるとともに内側リング142が依然として第1のシール・ビード124から離れて撓んでいる。
【0029】
外側リング144が閉じた後、次いで内側リング142が撓んでその開始位置に戻ることによって閉じて、第1のシール・ビード124と係合する。こうして、内側リング142は、外側リング144がより早く封止することによってもたらされる、微粒子又は塵埃がない状態にあるため、完全に閉じることができる。したがって、逆止弁組立体100のこの完全に封止された位置では、内側リング142が第1のシール・ビード124と係合状態にあるとともに外側リング144が第2のシール・ビード126と係合状態にある。
【0030】
シール140について、内側リング142は主要なシールであり、外側リング144は副次的なシールである。主要なシールである内側リング142の特性が、例えば、内側リング142の可撓性等、逆止弁100のクラッキング圧力(例えば、シール140を開くか又は突破するのに必要とされる流体圧力の量)を決定する。本開示のいくつかの態様では、副次的なシールである外側リング144が非常に薄く、流体圧力に対する抵抗をほとんど有しないため、クラッキング圧力は、内側リング142によって決定される。本開示のいくつかの態様では、主要なシールである内側リング142が第1のシール・ビード124に対して封止され、これにより、流体が副次的なシールである外側リング144に達することが防止されるため、クラッキング圧力は、内側リング142によって決定される。クラッキング圧力が逆止弁100内に達すると、主要なシールである内側リング142及び副次的なシールである外側リング144は共に、第1のシール・ビード124及び第2のシール・ビード126から離れて(例えば、開いて)、流体がシール140を通過して流れることを可能にする。
【0031】
逆止弁100の動作は、種々の要素を改変することによって様々であり得る。例えば、内側リング142の厚さT1及び外側リング144の厚さT2のいずれか一方又は双方を増加/低減させること、内側リング142の直径D1及び外側リング144の直径D2のいずれか一方又は双方を増加/低減させること、第1のシール・ビード124の高さH1及び第2のシール・ビード126の高さH2のいずれか一方又は双方を増加/低減させること、並びに、内側リング142及び外側リング144のいずれか一方又は双方の剛性又は可撓性を変えるように様々な材料を使用することにより、逆止弁100のクラッキング圧力及び/又は流れ特性が変わり得る。
【0032】
開示されているプロセスの方法におけるブロックのいかなる特定の順序又は階層も、例示的なアプローチの例示であることが理解される。設計又は実施の優先度に基づいて、プロセスにおけるブロックの特定の順序又は階層は、配置換えされてもよいこと、又は、示されたブロックがすべて行われてもよいことが理解される。いくつかの実施態様では、ブロックのうちのいずれも同時に実施されてもよい。
【0033】
本開示は、当業者がいずれも本明細書に記載された様々な態様を実践することを可能にするために提供される。本開示は、主題の技術の様々な実例を提供しており、主題の技術は、これらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義される包括的な原理は他の態様に適用され得る。
【0034】
単数形の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「1つ及びただ1つ」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。具体的にそうでないことが述べられていない限り、「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは単に便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定しない。
【0035】
「例示的な」という語は、本明細書において「実例又は例示として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書において「例示的な」として記載される態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されない。一態様では、本明細書に記載された様々な代替の構成及び動作は、少なくとも等価であるとみなされてもよい。
【0036】
本明細書において使用されているように、一連の事項に続く「~の少なくとも1つ」という語句は、それら事項の任意のものを分離するための用語「又は」を伴う場合、列挙されたものの各事項ではなく、全体として列挙されたものを修飾する。「~の少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの事項を選択する必要はなく、むしろ、この語句は、事項の任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は事項の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は事項のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。実例として、「A、B、又はCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、或いは、A、B、及びCの任意の組み合わせを指し得る。
【0037】
「態様」等の語句は、そのような態様が主題の技術に不可欠であることも、そのような態様が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。態様に関する開示は、すべての構成或いは1つ又は複数の構成に当てはまり得る。態様は、1つ又は複数の実例を提供し得る。態様等の語句は、1つ又は複数の態様を指すことがあり、その逆もまた同様である。「実施例」等の語句は、そのような実施例が主題の技術に不可欠であることも、そのような実施例が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。実施例に関する開示は、すべての実施例或いは1つ又は複数の実施例に当てはまり得る。実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。実施例等の語句は、1つ又は複数の実施例を指すことがあり、その逆もまた同様である。「構成」等の語句は、そのような構成が主題の技術に不可欠であることも、そのような構成が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。構成に関する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に当てはまり得る。構成は、1つ又は複数の実例を提供し得る。構成等の語句は、1つ又は複数の構成を指すことがあり、その逆もまた同様である。
【0038】
一態様では、別段の記載がない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評点、位置、大きさ、寸法、及び他の仕様は、以下に続く特許請求の範囲におけるものを含め、概略的なものであり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する機能及びそれらが属する技術分野の慣例に矛盾しない、合理的な範囲を有することを意図される。
【0039】
開示されているステップ、動作又はプロセスの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。設計の優先度に基づいて、ステップ、動作又はプロセスの特定の順序又は階層は、配置換えされてもよいことが理解される。ステップ、動作又はプロセスのうちのいくつかは、同時に実施されてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なく、自動的に実施され得る。添付の方法の請求項がある場合、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素をサンプル順序で提示しており、提示されている特定の順序又は階層に限定されることを意味していない。
【0040】
当業者に知られているか又は後で知られることになる、本開示の全体を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な均等物は、明確に参照により本明細書に援用され、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されているいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることは意図されていない。請求項のいかなる要素も、その要素が、「~ための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、又は、方法の請求項の場合において、その要素が、「~ためのステップ(step for)」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。そのうえ、「含む(include)」、「有する(have)」等の用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprise)」が請求項の中の移行句として用いられる場合に解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様にして包括的なものであることが意図されている。
【0041】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明及び要約書は、これによって本開示に援用され、本開示の限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。本開示は、これらが請求項の範囲又は意味を限定するように使用されないという理解のもとで提出される。さらに、詳細な説明において、説明は例示的な実例を提供しており、また、本開示を簡潔にする目的で様々な実施例において様々な特徴がともにグループ化されていることが分かる。本開示の方法は、特許請求されている主題が各請求項の中で明示的に記載されているよりも多くの特徴を要するという意図を示すものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、本発明の主題は、単一の開示されている構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の特許請求の範囲は、これにより、詳細な説明に援用され、各請求項は、別々に特許請求されている主題としてそれ自体に基づいている。
【0042】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図されるのではなく、特許請求の範囲の文言に矛盾しない完全な範囲を与えられるべきであり、すべての法的均等物を包含するものとする。しかしながら、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、又は第103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、また、そのように解釈されるべきではない。