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特開2023-96125測定装置、測定システムおよび測定装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096125
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】測定装置、測定システムおよび測定装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20230629BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
G08C19/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082355
(22)【出願日】2023-05-18
(62)【分割の表示】P 2018231004の分割
【原出願日】2018-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 涼平
(57)【要約】
【課題】簡易に測定データを取得する。
【解決手段】本開示に係る測定装置10は、測定対象の物理量を受ける被測定部101と、通信機器20の接近に応じて、無線給電により通信機器20から電力の供給を受ける電源回路11と、通信機器20の接近に応じて、通信機器20と近距離無線通信を行う無線通信部12と、電源回路11に供給された電力により駆動され、被測定部101が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部17と、を備え、無線通信部12は、信号生成部17により生成された信号を通信機器20に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置であって、
測定対象の物理量を受ける被測定部と、
外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受ける電源回路と、
前記外部機器の接近に応じて、前記外部機器と近距離無線通信を行う無線通信部と、
前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部と、を備え、
前記信号生成部は、前記電源回路に供給された電力により駆動される、ゲージセンサと、電圧測定回路と、演算回路と、を備え、
前記ゲージセンサは、前記被測定部が受けた物理量に応じた電圧を出力し、
前記電圧測定回路は、前記ゲージセンサから出力された電圧を測定し、
前記演算回路は、前記電圧測定回路により測定された電圧に基づき前記信号を生成し、
前記無線通信部は、前記演算回路により生成された信号を前記外部機器に送信し、
前記信号生成部は、不揮発性記憶部をさらに備え、前記外部機器から前記無線通信部を介して送信されてきた情報を前記不揮発性記憶部に記憶させ、
前記情報は、前記測定装置を識別するためのタグ名である、測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記情報は、前回の測定データの取得日時をさらに含む、測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置において、
新たな測定データの取得日時に対する、前記前回の測定データの取得日時からの経過時間を得る、測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の測定装置において、
前記情報は、前回の測定データをさらに含む、測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置において、
前記情報は、前記測定装置の設置場所の情報をさらに含む、測定装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置において、
前記無線通信部は、NFC(Near Field Communication)規格に従った通信方式により、前記外部機器と近距離無線通信を行う、測定装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置において、
機械的な動作により、前記被測定部が受けた物理量に応じた変位を前記物理量を示す値として指示する機械式指示計をさらに備える、測定装置
【請求項8】
測定装置と、前記測定装置への接近に応じて、前記測定装置への給電および前記測定装置との通信が可能な外部機器と、前記測定装置の測定データを管理する管理装置とを備え、
前記測定装置は、
物理量を受ける被測定部と、
前記外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受ける電源回路と、
前記外部機器の接近に応じて、前記外部機器と近距離無線通信を行う無線通信部と、
前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部と、を備え、
前記信号生成部は、前記電源回路に供給された電力により駆動される、ゲージセンサと、電圧測定回路と、演算回路と、を備え、
前記ゲージセンサは、前記被測定部が受けた物理量に応じた電圧を出力し、
前記電圧測定回路は、前記ゲージセンサから出力された電圧を測定し、
前記演算回路は、前記電圧測定回路により測定された電圧に基づき前記信号を生成し、
前記無線通信部は、前記演算回路により生成された信号を前記外部機器に送信し、
前記信号生成部は、不揮発性記憶部をさらに備え、前記外部機器から前記無線通信部を介して送信されてきた情報を前記不揮発性記憶部に記憶させ、
前記情報は、前記測定装置を識別するためのタグ名であり、
前記外部機器は、前記測定装置から送信されてきた信号を、ネットワークを介して前記管理装置に送信する、測定システム。
【請求項9】
物理量を受ける被測定部を備える測定装置の制御方法であって、
外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受けるステップと、
前記電力の供給を受けると、前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成するステップと、
前記生成した信号を前記外部機器に無線通信により送信するステップと、を含み、
前記測定装置は、前記無線給電により供給された電力により駆動される、ゲージセンサと、電圧測定回路と、演算回路と、を備え、
前記信号を生成するステップでは、
前記ゲージセンサは、前記被測定部が受けた物理量に応じた電圧を出力し、
前記電圧測定回路は、前記ゲージセンサから出力された電圧を測定し、
前記演算回路は、前記電圧測定回路により測定された電圧に基づき前記信号を生成し、
前記測定装置は、不揮発性記憶部をさらに備え、
前記外部機器から前記無線通信により送信されてきた情報を前記不揮発性記憶部に記憶させ、
前記情報は、前記測定装置を識別するためのタグ名である、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定システムおよび測定装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量を測定する測定装置の中には、測定した物理量に応じた機械的な動作により測定値を指示する機械式指示計を備えるものがある。また、特許文献1には、アクセスが困難な場所での圧力などの測定データを取得するために、圧力などの測定データを無線送信するデータ通信装置と、データ通信装置を駆動する電源(電池)とを備える測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-510035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械式指示計を備える測定装置では、測定値の確認、測定データを管理する管理装置への測定データの入力などを人手で行う必要があり手間がかかる。また、特許文献1に開示されている測定装置では、測定データを継続的に取得するためには、電池交換の手間およびコストが生じてしまう。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、簡易に測定データを取得することができる測定装置、測定システムおよび測定装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、測定対象の物理量を受ける被測定部と、外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受ける電源回路と、前記外部機器の接近に応じて、前記外部機器と近距離無線通信を行う無線通信部と、前記電源回路に供給された電力により駆動され、前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部と、を備え、前記無線通信部は、前記信号生成部により生成された信号を前記外部機器に送信する。
このような構成を有する測定装置によれば、外部機器を測定装置に近づけるという簡単な操作で、測定装置の測定データが外部機器に送信されるので、簡易に測定データを取得することができる。
【0007】
一実施形態において、測定装置は、機械的な動作により、前記被測定部が受けた物理量に応じた変位を前記物理量を示す値として指示する機械式指示計をさらに備え、前記信号生成部は、前記変位に応じた電圧を出力するゲージセンサと、前記ゲージセンサから出力された電圧を測定する電圧測定回路と、前記電圧測定回路により測定された電圧に基づき前記信号を生成する演算回路と、を備える。
このような構成により、被測定部が受けた物理量を測定して、機械式指示計により無電力で指示することができるとともに、測定データを外部機器に送信することができる。
【0008】
一実施形態において、無線通信部は、NFC(Near Field Communication)規格に従った通信方式により、前記外部機器と近距離無線通信を行う。
このような構成により、NFC通信規格に従った通信方式による通信が可能な汎用的な機器を用いて測定データを取得することができる。
【0009】
一実施形態において、前記信号生成部は、不揮発性記憶部を備え、前記外部機器から前記無線通信部を介して送信されてきた情報を前記不揮発性記憶部に記憶させる。
このような構成により、種々の情報を不揮発性記憶部に記憶させることができるので、利便性を向上することができる。
【0010】
幾つかの実施形態に係る測定システムは、測定装置と、前記測定装置への接近に応じて、前記測定装置への給電および前記測定装置との通信が可能な外部機器と、前記測定装置の測定データを管理する管理装置とを備え、前記測定装置は、物理量を受ける被測定部と、前記外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受ける電源回路と、前記外部機器の接近に応じて、前記外部機器と近距離無線通信を行う無線通信部と、前記電源回路に供給された電力により駆動され、前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部と、を備え、前記無線通信部は、前記信号生成部により生成された信号を前記外部機器に送信し、前記外部機器は、前記測定装置から送信されてきた信号を、ネットワークを介して前記管理装置に送信する。
このような構成を有する測定システムによれば、外部機器を測定装置に近づけるという簡単な操作で、測定装置の測定データが外部機器に送信されるので、簡易に測定データを取得し、管理装置に送信することができる。
【0011】
幾つかの実施形態に係る測定装置の制御方法は、物理量を受ける被測定部を備える測定装置の制御方法であって、外部機器の接近に応じて、無線給電により前記外部機器から電力の供給を受けるステップと、前記電力の供給を受けると、前記被測定部が受けた物理量の測定データを示す信号を生成するステップと、前記生成した信号を前記外部機器に無線通信により送信するステップと、を含む。
このような構成を有する制御方法によれば、外部機器を測定装置に近づけるという簡単な操作で、測定装置の測定データが外部機器に送信されるので、簡易に測定データを取得することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る測定装置、測定システムおよび測定装置の制御方法によれば、簡易に測定データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置を含む測定システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3図1に示す測定装置および通信機器の動作の一例を示すシーケンス図である。
図4図1に示す測定装置を含む測定システムの他の構成例を示す図である。
図5図1に示す測定装置が圧力計である場合の構成例を示す図である。
図6図1に示す測定装置と通信機器との間の通信原理について説明するための図である。
図7図1に示す測定装置の他の構成例を示す図である。
図8】比較例に係る測定装置の構成例を示す図である。
図9図8に示す測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10図8に示す測定装置における測定データの取得について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0015】
まず比較のために、図8を参照して、比較例に係る測定装置100の構成例を説明する。
【0016】
図8に示す測定装置100は、被測定部101と、物理量-変位変換部102と、変位-指示変換部103と、機械式指示計104とを備える。
【0017】
被測定部101は、振動、温度あるいは圧力などの測定対象の物理量を受ける。例えば、測定対象の物理量が圧力である場合には、被測定部101は、その測定対象の圧力が印加される。
【0018】
物理量-変位変換部102は、被測定部101が受けた物理量に応じて変位する。
【0019】
変位-指示変換部103は、物理量-変位変換部102の変位を機械指示計104の指示値に変換して、機械式指示計104に指示させる。
【0020】
機械式指示計104は、変位-指示変換部103からの指示値に応じて機械的に動作し、被測定部101が受けた物理量を指示する。すなわち、被測定部101が受けた物理量が、機械式指示計104により測定装置100の測定値(測定データ)として出力される。
【0021】
図9は、図8に示す測定装置100の動作を示すフローチャートである。
【0022】
被測定部101が物理量を受けると、測定装置100は動作を開始する。
【0023】
物理量-変位変換部102は、被測定部101が受けた物理量に応じて変位する(ステップS101)。すなわち、物理量-変位変換部102は、被測定部101が受けた物理量を、物理量-変位変換部102によって変位に変換する。
【0024】
変位-指示変換部103は、物理量-変位変換部102の変位を機械式指示計104の指示値に変換する(ステップS102)。機械式指示計104は、その指示値を機械的な動作により指示することで、被測定部101が受けた物理量を、測定データとして表示する(ステップS103)。このように、図8に示す測定装置100によれば、物理量の測定および測定した物理量の表示を無電力で行うことができる。
【0025】
図10は、測定装置100の測定データの取得について説明するための図である。
【0026】
測定装置100の測定データを取得する場合、図10に示すように、測定装置100の機械式指示計104に表示されている物理量の測定値を、作業者200が目視により確認する(作業A)。次に、作業者200は、確認した測定値を測定装置100が設置された現場で使用可能な記録媒体300(例えば、紙)に記録する(作業B)。そして、作業者200は、測定データを管理する管理装置400に、記録媒体300に記録された測定データを入力する(作業C)。
【0027】
このように、測定装置100においては、測定データの取得のために、上述した作業A-Cのように、作業者200による複数の作業が必要となり、手間がかかってしまう。また、人手を介するため、ヒューマンエラーが発生する可能性もある。
【0028】
次に、図1を参照して、本開示の一実施形態に係る測定装置10の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る測定装置10を含む測定システム1の構成例を示す図である。図1において、図8と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係る測定装置10は、外部機器である通信機器20との間で通信を行う。
【0029】
図1に示す測定システム1は、測定装置10と、通信機器20とを含む。
【0030】
測定装置10は、例えば、プラントに設置され、振動、温度あるいは圧力などの種々の物理量を測定して、測定データを出力するものである。測定装置10が設置されるプラントは、例えば、化学プラントなどの工業プラント、ガス田および油田などの井戸元あるいはその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光あるいは風力などの環境発電を管理制御するプラント、および、上下水、ダムなどを管理制御するプラントなどである。
【0031】
通信機器20は、例えば、電磁誘導を用いた電磁誘導方式あるいは電磁界の共鳴現象を利用した電磁界共鳴方式などにより、他の機器との間で、無線給電および近距離(例えば、数cm-数m)無線通信が可能な無線通信機器である。通信機器20の具体例としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末などがある。
【0032】
次に、本実施形態に係る測定装置10の構成について説明する。
【0033】
図1に示す測定装置10は、被測定部101と、物理量-変位変換部102と、変位-指示変換部103と、機械式指示計104と、電源回路11と、無線通信部12と、ブリッジ回路13と、電圧測定回路15と、演算回路16とを備える。すなわち、本実施形態に係る測定装置10は、図8に示す測定装置100と比べて、電源回路11、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16をさらに備える。なお、電圧測定回路15および演算回路16は、アナログ回路、デジタル回路、プロセッサなどから構成されてもよい。
【0034】
電源回路11は、通信機器20の接近に応じて、無線給電により通信機器20から電力の供給を受ける。電源回路11は、通信機器20から供給された電力を、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16に供給する。ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16は、電源回路11から給電されていない状態では駆動しておらず、電源回路11からの給電に応じて駆動され、後述する動作を行う。
【0035】
無線通信部12は、通信機器20の接近に応じて、通信機器20と近距離無線通信を行う。
【0036】
ブリッジ回路13は、例えば、ゲージセンサ14と抵抗とが直列に接続された第1の直列体と、2つの抵抗が直列に接続された第2の直列体とが並列に接続された構成の回路(ホイートストンブリッジ回路)である。ゲージセンサ14は、物理量-変位変換部102の変位に応じて変形し、その変形に応じた電圧を出力する。ブリッジ回路13は、ゲージセンサ14から出力された電圧を出力電圧として出力する。上述したように、物理量-変位変換部102は被測定部101が受けた物理量に応じて変位する。ゲージセンサ14は、物理量-変位変換部102の変位に応じて変形し、その変形に応じた電圧を出力する。したがって、ブリッジ回路13の出力電圧は、被測定部101が受けた物理量に対応するものである。
【0037】
電圧測定回路15は、ブリッジ回路13の出力電圧、すなわち、ゲージセンサ14から出力された電圧を測定する。
【0038】
演算回路16は、電圧測定回路15により測定された電圧に基づき、被測定部101が受けた物理量の測定データを示す信号を生成し、生成した信号を無線通信部12を介して通信機器20に送信する。例えば、演算回路16は、被測定部101が受けた物理量と、その物理量に対応するブリッジ回路13の出力電圧との予め定められた関係に基づき、被測定部101の測定データを示す信号を生成する。
【0039】
ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16は、信号生成部17を構成する。上述したように、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16は、電源回路11からの給電に応じて駆動される。したがって、信号生成部17は、電源回路11から供給された電力により駆動され、被測定部101が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する。そして、無線通信部12は、信号生成部17により生成された信号を通信機器20に送信する。
【0040】
本実施形態に係る測定装置10においては、通信機器20を測定装置10に近づけることで、通信機器20から測定装置10に電力が供給され、その供給された電力により、測定データが生成され、当該測定データが測定装置10から通信機器20に送信される。そのため、例えば、作業者は、通信機器20を測定装置10に近づけるという簡易な操作で、測定装置10の測定データを取得することができる。また、本実施形態に係る測定装置10においては、通信機器20から測定装置10に電力が供給されるため、測定データを送信するための電力を供給する電池などを測定装置10に設ける必要が無い。そのため、電池の交換などの手間をかけることなく、測定データを取得することができる。したがって、本実施形態に係る測定装置10によれば、簡易に測定データを取得することができる。また、機械式指示計104は、機械的な動作を行うので、通信機器20から供給される電力を必要としないで、すなわち、無電力で、被測定部101が受けた物理量を指示することができる。
【0041】
図2は、本実施形態に係る測定装置10の制御方法を説明するための図であり、測定装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0042】
通信機器20が測定装置10に近づけられると、電源回路11は、通信機器20から電力の供給を受ける(ステップS11)。電源回路11は、通信機器20から供給された電力を、無線通信部12、信号生成部17を構成するブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16に供給する(ステップS12)。電源回路11から電力が供給されることで、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16が駆動される。すなわち、電源回路11から電力が供給されることで、信号生成部17が駆動される。
【0043】
信号生成部17が駆動された状態で、被測定部101が受けた物理量に応じて物理量-変位変換部102が変位すると、ゲージセンサ14は、物理量-変位変換部102の変位に応じて変形し、その変形に応じた電圧を出力する。電圧測定回路15は、ゲージセンサ14から出力された電圧を測定する(ステップS13)。
【0044】
演算回路16は、電圧測定回路15により測定された電圧を物理量の測定データに変換する(ステップS14)。変換により得られる物理量の測定データは、被測定部101が受けた物理量に対応するものである。演算回路16は、得られた物理量、すなわち、被測定部101が受けた物理量の測定データを示す信号生成する。無線通信部12は、演算回路16により生成された信号を無線通信により通信機器20に送信する(ステップS15)。
【0045】
図3は、本実施形態に係る測定装置10および通信機器20の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0046】
測定装置10において、被測定部101が物理量を受けると、物理量-変位変換部102は、被測定部101が受けた物理量に応じて変位する。すなわち、物理量-変位変換部102は、被測定部101が受けた物理量を変位に変換する(ステップS21)。物理量-変位変換部102の変位に応じて、ゲージセンサ14が変形する(ステップS22)。
【0047】
ここで、通信機器20が測定装置10に近づけられ、すなわち、通信機器20と測定装置10とが近接し、この状態が保持され続けるとする(ステップS23)。
【0048】
通信機器20と測定装置10とが近接すると、通信機器20から測定装置10の電源回路11に電力が供給される(ステップS24)。電源回路11は、通信機器20から供給された電力を、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16に供給する(ステップS25)。通信機器20からの電力供給に応じて、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16が駆動する。
【0049】
ブリッジ回路13が駆動すると、ゲージセンサ14は、物理量-変位変換部102の変位に応じて変形しているので、その変形に応じた電圧を出力する。電圧測定回路15は、ゲージセンサ14から出力される電圧を測定する。演算回路16は、電圧測定回路15により測定された電圧を物理量の測定データに変換する(ステップS26)。そして、演算回路16は、得られた物理量、すなわち、被測定部101の測定データを示す信号を生成し、無線通信部12を介して通信機器20に送信する(ステップS27)。
【0050】
通信機器20は、測定装置10から送信されてきた信号を受信する(ステップS28)。そして、通信機器20は、受信した信号に示される測定データを、通信機器20が備える表示部、あるいは、通信機器20に接続された表示部などに表示する(ステップS29)。また、通信機器20は、受信した信号に示される測定データを、通信機器20が備えるストレージに保存する(ステップS30)。通信機器20と測定装置10とが近接した状態で、被測定部101が受ける物理量が変化すると、ステップS26-S30の処理を繰り返して、その変化に応じた測定データが逐次、通信機器20に送信され、保存される。
【0051】
通信機器20に測定データが保存された後、通信機器20が測定装置10から離されたとする。すなわち、通信機器20と測定装置10との近接が解除され、通信機器20が、測定装置10との近距離無線通信が可能な範囲から外れたとする(ステップS31)。通信機器20と測定装置10との近接が解除されると、通信機器20から測定装置10の電源回路11への電力供給が途絶える(ステップS32)。通信機器20と測定装置10との近接が解除されると、通信機器20は、測定装置10との通信を終了する(ステップS33)。また、通信機器20からの電力供給が途絶えると、無線通信部12、ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16は、稼働を停止する(ステップS34)。
【0052】
なお、図3においては、測定装置10の測定データを通信機器20に保存する例を用いて説明したが、これに限られるものではない。例えば、通信機器20は、測定データを管理する管理装置30に測定データを送信してもよい。すなわち、測定システム1は、図4に示すように、測定装置10と、通信機器20と、管理装置30とを含んでいてもよい。
【0053】
管理装置30は、例えば、ネットワーク31に接続されたクラウドサーバであり、測定装置10の測定データを管理する上位機器である。ネットワーク31は、有線または無線を問わず、インターネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)などの種々のネットワークである。
【0054】
通信機器20は、測定装置10から取得した測定データを、ネットワーク31を介して管理装置30に送信する。上述したように、通信機器20は、スマートフォン、タブレット端末などの通信機器である。このような通信機器の多くは、ネットワークを介して通信を行う通信機能を備える。通信機器20は、この通信機能により、ネットワーク31を介して管理装置30に送信することができる。
【0055】
通信機器20から測定装置10に供給される電力は、例えば、数cm~数十cm程度の近距離無線通信が可能な程度の微小な電力である。そのため、測定装置10からネットワーク31上の管理装置30に測定データを直接送信することは困難である。しかしながら、図4に示すように、通信機器20を介することで、測定装置10の測定データを管理装置30に送信することができる。
【0056】
測定装置10は、例えば、圧力を測定する圧力計である。測定装置10が圧力計である場合、図5に示すように、物理量-変位変換部102としては、ブルドン管102aを用いることができる。ブルドン管102aは、流体が流入される円弧状の管である。ブルドン管102aは、被測定部101としての、流体が流入される入口(圧力入口101a)に印加される圧力に応じて変位する。
【0057】
また、測定装置10が温度計である場合、物理量-変位変換部102としては、熱膨張率の異なる2枚の金属板を張り合わせたバイメタル(不図示)を用いることができる。この場合、被測定部101の温度に応じて、バイメタルが変位する。
【0058】
ブルドン管102aあるいはバイメタルにゲージセンサ14を設けることで、これらの変位に応じてゲージセンサ14が変形し、ゲージセンサ14からは被測定部101が受けた物理量に応じた電圧が出力される。
【0059】
測定装置10と通信機器20との間の近距離無線通信は、例えば、国際標準規格ISO/IEC18092を基礎とするNFC-A、NFC-B、NFC-Fなどを含むNFC(Near Field Communication)規格に沿った通信方式により行うことができる。この場合、電源回路11および無線通信部12は、図6に示すように、コイル状のアンテナ11aにより構成することができる。測定装置10のアンテナ11aと、通信機器20のアンテナとの電磁誘導による結合を介して、通信機器20は、測定装置10に電力を供給することができる。この電力により、無線通信部12と、信号生成部17(ブリッジ回路13、電圧測定回路15および演算回路16)とを駆動して、測定データを示す信号を生成することができる。また、測定装置10のアンテナ11aと、通信機器20のアンテナとの電磁誘導による結合を介して、測定装置10は、生成した信号を通信機器20に送信することができる。
【0060】
現在、スマートフォン、タブレット端末などの通信機器の中には、NFC規格に従った通信方式により通信を行う機能(NFC通信機能)を有する機器が数多く流通している。そのため、通信機器20として、専用の機器ではなく、NFC通信機能を有する汎用的な機器を用いることができる。
【0061】
測定装置10の信号生成部17は、図7に示すように、不揮発性記憶部18をさらに備えていてもよい。演算回路16は、通信機器20から供給された電力により駆動され、無線通信部12を介して通信機器20から情報が送信されてくると、その情報を不揮発性記憶部18に記憶させることができる。不揮発性記憶部18は、通信機器20からの電力供給が途絶えても、記憶した情報を保持することができる。不揮発性記憶部18に記憶させる情報は、例えば、測定装置10を識別するためのタグ名、前回の測定データの取得日時、測定装置10の設置場所、前回の取得された測定データの値などの情報である。これらの情報を通信機器20から測定装置10に送信して不揮発性記憶部18に記憶させておき、例えば、新たに測定データを取得する際に、不揮発性記憶部18に記憶されている情報も併せて取得することで、前回の測定データの取得日時からの経過時間などを容易に把握することができる。そのため、測定データを収集する際の利便性を向上させることができる。
【0062】
このように本実施形態においては、測定装置10は、物理量を受ける被測定部101と、外部機器である通信機器20の接近に応じて、無線給電により通信機器20から電力の供給を受ける電源回路11と、通信機器20の接近に応じて、通信機器20と近距離無線通信を行う無線通信部12と、電源回路11に供給された電力により駆動され、被測定部101が受けた物理量の測定データを示す信号を生成する信号生成部17と、を備える。そして、無線通信部12は、信号生成部17により生成された信号を通信機器20に送信する。
【0063】
通信機器20を測定装置10に近づけることで、通信機器20から測定装置10に電力が供給され、その供給された電力により、測定データが生成され、当該測定データが測定装置10から通信機器20に送信される。そのため、例えば、作業者は、通信機器20を測定装置10に近づけるという簡単な操作で、測定装置10の測定データを取得することができる。また、本実施形態に係る測定装置10においては、通信機器20から測定装置10に電力が供給されるため、測定データを送信するための電力を供給する電池などを測定装置10に設ける必要が無い。そのため、電池の交換などの手間をかけることなく、測定データを取得することができる。したがって、本実施形態に係る測定装置10によれば、簡易に測定データを取得することができる。
【0064】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本開示は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 測定システム
10,100 測定装置
11 電源回路
11a アンテナ
12 無線通信部
13 ブリッジ回路
14 ゲージセンサ
15 電圧測定回路
16 演算回路
17 信号生成部
18 不揮発性記憶部
101 被測定部
101a 圧力入口
102 物理量-変位変換部
102a ブルドン管
103 変位-指示変換部
104 機械式指示計
20 通信機器(外部機器)
30 管理装置
31 ネットワーク
200 作業者
300 記録媒体
400 管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10