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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096158
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】電気化学エネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/78 20130101AFI20230629BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20230629BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20230629BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20230629BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20230629BHJP
   H01G 11/32 20130101ALI20230629BHJP
【FI】
H01G11/78
H01G11/84
H01G11/10
H01G11/74
H01G11/60
H01G11/32
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083211
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2021133961の分割
【原出願日】2015-06-29
(31)【優先権主張番号】62/018,739
(32)【優先日】2014-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/749,785
(32)【優先日】2015-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】バーラト ラワル
(72)【発明者】
【氏名】カール エル.エッガーディング
(72)【発明者】
【氏名】ボブ ノップスナイダー
(57)【要約】
【課題】電極間の複層集電体および有機電解質を有する電極材料を利用する極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置を提供すること。
【解決手段】複数のセルは複数のスタック内に位置決めされることができ、全てのセルは、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせにすることができる。エネルギー貯蔵装置は、0.5ミリメートル未満の厚さに構成され、極低ESRおよび比較的高い温度範囲能力を示すことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置であって、
電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対と、
各対における、前記それぞれの電極の間のセパレータ層と、
それぞれの集電体の複数の対であって、各対において、前記集電体の各1つがそれぞれ、前記電極のそれぞれの外側にある、集電体の対と、
前記集電体を囲み、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースと、を備え、
前記ケースの内容物が、最小0.5ミリメートル未満の厚さを有し、
前記装置が、電極面積について約1.5Ω・cm以下の抵抗率、および1ファラドから10ファラドの静電容量を有し、
前記ケースが、約10ppm以下の含水量を有する、極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記装置が、-40℃~70℃の温度動作上の範囲定格を有する、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項3】
前記装置が、4.2ボルトの電圧定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、
請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項4】
前記装置が、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項5】
前記電解質が有機電解質を備える、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
前記電解質が少なくとも炭酸プロピレンを備える、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項7】
複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置される複数の前記装置をさらに備える、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項8】
前記複数のセルのスタックが、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせで配置される、請求項7に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項9】
前記ケースが、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有する、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項10】
前記ケースが、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると共に、最小約150mΩの極めて低いESRも維持する、請求項1に記載の極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置。
【請求項11】
極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置を製造するための方法であって、
電解質を有するそれぞれの内部電極の複数の対を提供するステップであって、セパレータ層が、各対において前記それぞれの電極の間にある、ステップと、
それぞれの集電体の複数の対を提供するステップであって、前記集電体の各1つがそれぞれ、各対において前記電極のそれぞれの外側にある、ステップと、
前記集電体を、前記集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースで囲むステップと、を含み、
前記ケースの内容物が、最小0.5ミリメートル未満の厚さを有し、
前記装置が、電極面積について約1.5Ω・cm以下の抵抗率、および1ファラドから10ファラドの静電容量を有し、
前記方法が、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施される、方法。
【請求項12】
前記装置が、-40℃~70℃の温度動作上の範囲定格を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記装置が、4.2ボルトの電圧定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記装置が、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度を有する炭素炭素二重層コンデンサを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電解質が有機電解質を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電解質が少なくとも炭酸プロピレンを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして複数の前記装置を配置するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のセルのスタックが、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせで配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ケースが、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ケースが、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると共に、最小約150mΩの極めて低いESRも維持する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、「ORGANIC ELECTROLYTE CAPACITORS」という名称を付けられ、米国特許出願第62/018,739号を譲渡され、2014年6月30日に出願され、すべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれている、以前に出願された米国特許仮出願の利益を主張するものである。
【0002】
ここで開示される技術は、一般に、電気エネルギーの貯蔵および放出のための電気化学システム、ならびに対応する方法論に関する。より詳細には、ここで開示される技術は、特殊化されたスーパーコンデンサ(supercapacitor)エネルギー貯蔵装置の性能を提供するために、極薄の構造と共に、きわめて低い等価直列抵抗(ESR)(および対応する低い抵抗率)ならびに高められた温度動作上の能力(temperature operational capability)を有する、有機物ベースの電解質コンデンサ装置の構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで開示される主題は、一般に、電気化学エネルギー貯蔵装置および製造方法に関する。特に、ここで開示される主題は、例えばコンデンサおよび/またはバッテリとして電子回路に使用するための電気化学システムに関する。より詳細には、ここで開示される主題は、有機溶液電解質材料を有する電気化学システムに関する。
【0004】
さらに、一部において、ここで開示される主題は、電気化学システムの複数のシングルセルの組立体のための改善された設計に関する。より詳細には、個々のセルは、(単一のケースまたは複数のケースの中で)スタックを形成するように個々に互いに接続されることができ、スタックは一緒に接続されて組立体を形成する。さらに、ここで開示される主題は、直列、並列またはそれらの組み合わせでセル間またはスタック間の接続を実現するために、かつ単一の統合された製品において、1または複数のコンデンサと組み合わされた1または複数のバッテリのハイブリッドパック(hybrid pack)を実現するために、より汎用性が高い。
【0005】
様々な電子装置がさらに携帯できるようになり、より多くの機能性を提供するにつれて、そうした携帯性を可能にするそうした装置の特徴および構成要素に、対応する進歩が求められている。しばしば、電子装置の大きさと機能性の両方における制限因子は、その構成要素部分の大きさおよび重量であり、特に関連付けられたエネルギー貯蔵構成要素の大きさおよび重量である。全般的な電子機器の小型化への取り組みが、空間と重量の両方を節約するための様々な構成要素の単一の装置への統合という結果にもなっている。
【0006】
携帯できる電子機器に使用される通常の主エネルギー源は、電気化学バッテリおよび/または電気化学コンデンサを含む。他の装置および構成要素のように、エネルギー貯蔵構成要素の1つの制限態様は、電気化学システムのパッケージング、および結果として生じるシステムの大きさである。
【0007】
性能の観点から、特定の用途における特定の構造の使用に影響を与える、またはそれを制限する追加の態様は、構成要素がその中で機能する温度の範囲、ならびに関連付けられた回路に関する構成要素の等価直列抵抗(ESR)である。
【0008】
したがって、有機電解質を使用する電気化学コンデンサを備えることができる極薄の(非常に高さの低い)エネルギー貯蔵構成要素を提供することが望ましい。
【0009】
構成要素の構造によってセルが直列もしくは並列、またはそれらの組み合わせである、単一の電子装置に有用なそうした電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供することも望ましい。
【0010】
さらに、改善されたきわめて低いESR(および対応するきわめて低い抵抗率)を有し、かつ有用な動作に対する拡張された温度範囲を有するそうした装置を提供することが望ましい。
【0011】
コンデンサ装置および関連付けられた組立体、ならびにそれらのための構造方法論の様々な実装形態が開発されているが、対象技術に従って以下に示されるような所望の特徴のすべてを全体的に包含する設計は現れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,576,365号明細書
【発明の概要】
【0013】
ここで開示される主題は、電気化学エネルギー貯蔵構成要素の設計とそれを作製する方法の両方に関係する様々な前述の制限および欠点などを認識し、対処するものである。したがって、概して、ここで開示される技術のある特定の実施形態の目的は、有機電解質ベースのコンデンサに関連付けられたある特定のコンデンサ構成要素および構成要素組立体のための改善された設計を提供することである。他の目的は、概して、直列、並列またはそれらのいくつかの組み合わせで接続される改善された極薄の電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供すること、さらにそうした構成要素を作製する改善された方法に関する。
【0014】
したがって、ここで開示される主題の原理目的は、改善された電気化学コンデンサを提供することである。
【0015】
ここで開示される主題の別のより詳細な目的は、きわめて低い(または極低の)等価直列抵抗(ESR)(および対応するきわめて低い抵抗率)を有する電気化学コンデンサ装置を提供することである。
【0016】
さらに、ここで開示される主題のさらなる目的は、極薄の電気化学コンデンサ装置を提供することである。そうした文脈において、ここで開示される主題のより詳細な目的は、静電容量および/または電圧を変えるために、その構造によって直列、並列またはそれらの組み合わせの複数の接続されたセルの配置を容易にする、電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供することである。
【0017】
ここで開示される主題のさらなる目的は、効果的に製造され得る極薄の電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供することである。
【0018】
ここで開示される主題のさらなる目的は、動作の拡張された温度範囲を効果的に有する電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供することである。
【0019】
ここで開示される主題のさらなる目的は、製造プロセス中の著しく低減された水分への暴露によって効果的に製造され得る、改善された電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供し、熱暴露に敏感な改善された寸法安定性を有する製品を産することである。
【0020】
ここで開示される主題のさらなる目的は、低ESRパルススーパーコンデンサ、または改善された低ESR電気化学二重層コンデンサ(EDLC)を効果的に備える、電気化学エネルギー貯蔵構成要素を提供することである。
【0021】
ここで開示される主題に基づく1つの例示的な実施形態は、極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置に関する。そうした装置は、好ましくは、電解質を有するそれぞれの内部電極の対と、そうしたそれぞれの電極間のセパレータ層と、それぞれの集電体の対であって、そうした集電体の各1つがそれぞれ、そうした電極のそれぞれの外側にあるそれぞれの集電体の対と、そうした集電体を囲み、そうした集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースとを備える。好ましくは、そうしたケースの内容物はまた、最小0.5ミリメートル未満の厚さを有する。
【0022】
前述のもののいくつかの変形形態では、そうしたケースは約10ppm以下の含水量を有することができる。いくつかのそうした代替形態では、そうした電解質は有機電解質を備えることができ、他のものでは、そうした電解質は少なくとも部分的に炭酸プロピレンを備える。
【0023】
他の代替的実施形態では、そうしたケースは約10ppm以下の含水量を有することができ、そうした装置は、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格(temperature operational range rating)
を有することができる。
【0024】
例示的な実施形態のさらに他の構成では、複数のそうした装置は、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせに構成された複数のスタック内に位置決めされた、複数のセルとして配置され得る。
【0025】
例示的な実施形態のさらに他の代替的構成では、そうした装置は、内部電極の複数のそうした対と、セパレータ層と、そうしたケースによって囲まれた集電体のそうした対とを含むことができ、そうしたケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有することができる。
【0026】
ここで開示される例示的な極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置の他の実施形態の場合、そうした電解質は有機電解質を備えることができ;そうした装置は、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度を有する、電気化学二重層(ECDL)コンデンサを備えることができる。ここで開示されるそうした極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置のさらに別の代替的実施形態では、そうした電解質は、200℃を超える沸点を有することができ;そうしたケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含むことができ;そうしたコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格(temperature operational half-voltage range rating)を有することができる。あるいは、そうした
有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含むことができ;そうしたケースは、およそ長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmの寸法を有することができ、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持することもできる。
【0027】
ここで開示されるさらに別の例示的な実施形態では、極薄の極低ESRスーパーコンデンサは、好ましくは、有機電解質を有するそれぞれの内部電極の対と、そうしたそれぞれの電極間の極薄のセパレータ層と、それぞれの複層集電体の対であって、そうした集電体の各1つがそれぞれ、そうした電極のそれぞれの外側にあるそれぞれの複層集電体の対と、そうした集電体を囲み、そうした集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースとを備える。さらに、そうしたケースの内容物は、好ましくは最小0.5ミリメートル未満の厚さ、および約10ppm以下の含水量を有し、そうしたスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する。
【0028】
そうしたスーパーコンデンサのここで開示される例示的な変形形態では、そうしたスーパーコンデンサは、4.2ボルトの電圧定格、および-40°から90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有する炭素炭素二重層コンデンサを備えることができる。別の実施形態では、そうした有機電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含むことができる。
【0029】
他の代替形態の場合、複数のそうしたスーパーコンデンサは、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置され得る。いくつかのそうした例では、複数のセルのそうしたスタックは、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせで配置され得る。
【0030】
そうした例示的なスーパーコンデンサの他の実施形態では、そうした装置は、内部電極の複数のそうした対と、セパレータ層と、そうしたケースによって囲まれた集電体のそうした対とを含むことができ、そうしたケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有することができる。
【0031】
ここで開示されるスーパーコンデンサの例示的な実施形態のさらに他の変形形態の場合、そうした電解質は、200℃を超える沸点を有することができ;そうしたケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含むことができ;そうしたスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有することができる。他のものでは、そうしたケースは、およそ長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmの寸法を有することができ、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持することもできる。
【0032】
本明細書による完全な開示から、ここで開示される主題は、装置、ならびに対応するかつ/または関連付けられた方法論に等しく関係することが理解されるべきである。ここで開示される方法論の1つの例示的な実施形態は、極薄の電気化学エネルギー貯蔵装置を製造するための方法論に関し、そうした方法論は、好ましくは、電解質を有するそれぞれの内部電極の対を、そうしたそれぞれの電極間のセパレータ層と共に提供するステップと、それぞれの集電体の対を提供するステップであって、そうした集電体の各1つがそれぞれ、そうした電極のそれぞれの外側にあるステップと、そうした集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、そうした集電体を囲むステップとを含む。さらに、好ましくはそうした例示的な実施形態によって、そうしたケースの内容物は、最小0.5ミリメートル未満の厚さを有する。そうした方法論のいくつかの変形形態では、そうした方法論は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され得る。
【0033】
ここで開示される他の変形形態では、複数のそうした装置は、所望の静電容量および/または動作上の電圧レベルを選択的に実現するために、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせに構成された複数のスタック内に位置決めされた、複数のセルとして配置され得る。さらに他の変形形態では、そうした装置は、内部電極の複数のそうした対と、セパレータ層と、そうしたケースによって囲まれた集電体のそうした対とを含むことができ、そうしたケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有することができる。
【0034】
他の例示的な代替形態では、そうした電解質は、炭酸プロピレンの少なくともいくつかを含むことができ;そうしたケースは、およそ長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmの寸法を有することができ、最大約105℃の貯蔵温度で寸法安定性を維持すると同時に、最小約150mΩのきわめて低いESRを維持することもできる。
【0035】
ここで開示される別の例示的な実施形態は、極薄の極低ESRスーパーコンデンサを作製するための方法論に関し、そうした方法論は、好ましくは、有機電解質を有するそれぞれの内部電極の対を、そうしたそれぞれの電極間の極薄のセパレータ層と共に提供するステップと、それぞれの複層集電体の対を提供するステップであって、そうした集電体の各1つがそれぞれ、そうした電極のそれぞれの外側にあるステップと、そうした集電体とそれぞれ接続された端子のそれぞれの対を有するケースによって、そうした集電体を囲むステップとを含む。さらに、そうした例示的な実施形態によって、好ましくは、そうしたケースの内容物は、最小0.5ミリメートル未満の厚さを有することができ、そうした方法論は、約10ppm以下の含水量を有する制御された環境で実施され、そうしたスーパーコンデンサは、電極面積について約1.5Ω・cm2以下の抵抗率、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度、および-40°から70℃の温度動作上の範囲定格を有する。
【0036】
前述のもののいくつかの変形形態では、そうした方法論は、所望の静電容量および/または動作上の電圧レベルを選択的に実現するために、複数のそうしたスーパーコンデンサを、複数のスタック内に位置決めされた複数のセルとして配置するステップを含むことができる。他のそうした変形形態では、複数のセルのそうしたスタックは、単一の統合された製品において1または複数のコンデンサと組み合わされた1または複数のバッテリのハイブリッドパックを実現するために、直列もしくは並列の接続の一方、またはそれらの組み合わせに配置され得る。さらに他の変形形態では、そうした装置は、内部電極の複数のそうした対と、セパレータ層と、そうしたケースによって囲まれた集電体のそうした対とを含むことができ、そうしたケースは、0.5ミリメートルから5.0ミリメートルの厚さを有することができる。
【0037】
ここで開示される他の代替形態の場合、そうした電解質は、200℃を超える沸点を有することができ;そうしたケースは、熱的に安定な密封材料をさらに含むことができ;そうしたスーパーコンデンサは、最大90℃の温度動作上の半電圧範囲定格を有することができる。
【0038】
ここで開示される主題の追加の目的および利点は、本明細書において述べられるか、または以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。また、この本明細書の参照によって、本明細書の具体的に示され論じられる特徴およびその材料に対する修正形態ならびに変形形態が、本明細書の趣旨および範囲から逸脱することなく、ここで開示される主題の様々な実施形態および使用において実行され得ることがさらに理解されるべきである。そうした変形形態は、それだけに限定されないが、示されるまたは論じられるものから、等価なステップ、手段、特徴および材料への置き換え、ならびに様々なステップ、部分、特徴などの機能的または位置的な逆転を含むことができる。
【0039】
さらに、ここで開示される主題の異なる実施形態、ならびにここで好ましい異なる実施形態は、ここで開示されるステップ、特徴、要素もしくはそれらの等価物の様々な組み合わせまたは構成(明示的に図に示されていない、もしくは詳細な説明に述べられていないステップ、特徴またはそれらの構成の組み合わせを含む)を含むことが可能であることを理解されたい。
【0040】
ここで開示される主題のこれらのおよび他の特徴、態様ならびに利点は、以下の説明の参照によってより適切に理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、説明と共にここで開示される主題の実施形態を示し、ここで開示される主題の原理を説明する役目を果たす。
【0041】
当業者に向けられる、その最良の方式を含むここで開示される主題の十分かつ可能にする説明が、添付される図を参照する本明細書において述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】例示的な従来技術の電気化学エネルギー貯蔵装置を備える層の分解等角図である。
図2】ここで開示される主題に基づく電気化学二重層コンデンサ(ECDL)装置の例示的な実施形態の概略図である。
図3A】ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の例示的な実施形態の上面図である。
図3B】ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の例示的な実施形態の側縁立面図である。
図3C図3A図3Bのここで開示される主題に基づく例示的な実施形態の類似のものを示す図である。
図4A】ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の別の例示的な実施形態の上面図である。
図4B】ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の別の例示的な実施形態の側縁立面図である。
図4C図4A図4Bのここで開示される主題に基づく例示的な実施形態の類似のものを示す図である。
図5】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(負荷2.8Vにおける)室温の負荷寿命と等価直列抵抗(ESR)の百分率変化の関係のグラフである。
図6】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(負荷2.8Vにおける)室温の負荷寿命と静電容量の百分率変化の関係のグラフである。
図7】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(負荷2.8Vにおける)室温の負荷寿命と漏れ電流の百分率変化の関係のグラフである。
図8】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的なそれぞれ75℃、85℃および105℃の温度における貯蔵寿命とESRの百分率変化との関係のグラフである。
図9】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的なそれぞれ75℃、85℃および105℃の温度における貯蔵寿命と静電容量の百分率変化との関係のグラフである。
図10】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(温度70℃および負荷2.2Vにおける)負荷寿命と漏れ電流の百分率変化の関係のグラフである。
図11】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(温度50℃および負荷2.5Vにおける)負荷寿命と静電容量の百分率変化の関係のグラフである。
図12】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(温度50℃および負荷2.5Vにおける)負荷寿命と漏れ電流の百分率変化の関係のグラフである。
図13】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的なESRと温度の関係のグラフである。
図14】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な静電容量と温度の関係のグラフである。
図15】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な漏れ電流と温度の関係のグラフである。
図16】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いて行われる電圧サイクル試験に使用され得る、電圧および電流の両方と時間との関係を示す例示的なGSM波形のグラフである。
図17】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いた、例示的なGSM波形の電圧サイクルにおけるESRの百分率変化とサイクル数の関係のグラフである。
図18】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いて行われる電圧サイクル試験に使用され得る、電圧と時間の関係を示す例示的な三角波形のグラフである。
図19】ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いた、例示的な三角波形の電圧サイクルにおけるESRの百分率変化とサイクル数の関係のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書および添付図面の全体を通して、参照および説明の繰り返しの使用は、ここで開示される主題の同じもしくは類似の特徴、要素またはステップを表すことが意図される。
【0044】
主題の概要の項で論じられたように、ここで開示される主題は、一般に、ある特定の有機電解質コンデンサ装置、ならびに関係のある技術、ならびに製造および/または取り付けの方法論に関係付けられる。より詳細には、ここで開示される主題は、ある特定の極薄の極低ESRスーパーコンデンサ構成要素およびエネルギー貯蔵構成要素組立体のための改善された設計、ならびに関係のある方法論に関係付けられる。
【0045】
開示される技術の態様の選択された組み合わせは、ここで開示される主題の複数の異なる実施形態に対応する。本明細書において示され論じられる例示的な実施形態のそれぞれは、ここで開示される主題の限定を示唆するものではないことが留意されるべきである。一実施形態の一部として示されるもしくは記載される特徴またはステップは、別の実施形態の態様と組み合わせて使用され、さらなる実施形態をもたらすことができる。さらに、ある特定の特徴は、同じまたは同様の機能を果たす、明示的に言及されていない同様の装置または特徴と交換され得る。
【0046】
次に、ここで好ましい例示的な実施形態への参照が詳細に行われ、そのために図2は、ここで開示される技術によって構成される例示的な電気化学二重層コンデンサ(ECDL)装置の概略図を示している。ここで開示される主題をさらによく理解するために、以下のように、ECDL装置に対するいくつかの追加の背景が提供される。図1は、例示的な従来技術の電気化学エネルギー貯蔵装置を備える層の分解等角図(exploded isometric view)を示している。例えば、電気化学エネルギー貯蔵装置に関し、その完全な開示がすべての目的のために本明細書に完全に組み込まれている、本出願人に所有される(Meitavらの)特許文献1の図4も参照されたい。一般的に言えば、そうした二重層コンデンサは、電子的な技術と比べてある特定の利益を有する。
【0047】
電気化学(ECDL)コンデンサがどのように働くかを考えると、その最も重要な電子コンデンサとの違いは、電荷移動が、電子コンデンサ内の電子によって行われることと、ECDL装置内の電子およびイオンによって行われることである。二重層スーパーコンデンサに含まれるアニオンおよびカチオンは、液体(場合により、水溶液もしくは有機溶液)または固体とすることが可能な電解質中に含有される。固体の電解質は、伝導性ポリマーであることがしばしばである。
【0048】
電子は、比較的速く動いており、したがって「即座に」電荷を移動させる。しかしながら、イオンは、アノードからカソードへ比較的ゆっくりと動くはずである。したがって、装置の完全な公称静電容量に達するには、限られた量の時間が必要とされる。そうした公称静電容量は、通常は1秒で測定される。EDLC(電気化学二重層コンデンサ)と電子コンデンサの間の様々な違いは、以下のようにまとめられることができる:
・コンデンサは基本的に、セラミック、プラスチックフィルム、紙、酸化アルミニウムなどとすることが可能な誘電体材料の層によって分離された2つの伝導性プレート(電極)からなる。
・EDLCは、電極を分離する別個の誘電体中間相を使用しない。EDLCは、電極-電解質界面を横断して形成される電荷分離を利用する。
・EDLCは、2つのタイプの電荷キャリア:電解質側のイオン種、および電極側の電子種からなる。
【0049】
この図1の分解等角図は、典型的な従来技術の電気化学エネルギー貯蔵装置を備える層を示している。
【0050】
この例では、ケースまたはフレームが、共通の内部のセル構造のための形を提供し、構造の外側層(頂部および底部)が、アノード要素を備えるセルケース材料で構成される。典型的な従来技術の図1に示されるように、集電体の対が提供されてもよい。それらは、例えばセル電極と接触する伝導性ポリマーの第1の層を備えることができる。第2の伝導性構造(層)は、好ましくは高い伝導性、低い接触抵抗、および伝導性ポリマー層またはポリマー複合体に対する優れた接着特性を発揮する、金属、合金、金属性フィルム、またはそれらの組み合わせもしくは混合物とすることができる。
【0051】
一方の集電体は下側のセルケースに付着されることができ、他方の集電体は、その配置でのカソードを備える電極に隣接する。したがって、そうしたカソード電極とセルケースのアノードの間に、絶縁材料の層が示されている。示される各集電体は、他の点では、炭素の層に隣接しており、炭素の層のそれぞれはセパレータ層に隣接することができる。
【0052】
図2は、ここで開示される技術によって構成される、したがって、きわめて低いESRのECDL装置または(パルス可能なエネルギー貯蔵装置を提供するのに適した)パルススーパーコンデンサを備える、例示的な電気化学二重層コンデンサ(ECDL)装置の概略図を示している。示すように、セパレータ層は電解質を有する電極の対の間に挟まれ、電極は集電体の対によって外側から挟まれる。そうした電解質は、好ましくは有機電解質を備える。ここで開示される実施形態のいくつかの場合、炭酸プロピレン(PC)電解質が好ましい。
【0053】
そうした配置では、50から300mΩの低ESR(すなわち、電極面積について約1.5Ω・cm2以下、いくつかの例では電極面積について1.3Ω・cm2以下の抵抗率)、1から10Fの静電容量(すなわち、活性電極の体積1ccあたり少なくとも約10ファラドの静電容量密度)、漏れ電流<50μA、および2.1から4.2Vの電圧定格という総体的な電気特性を有する、炭素炭素(CC)コンデンサを提供することが可能であることが示されている。
【0054】
1つの例示的な用途では、1Wの定出力は、以下のように4秒バックアップ(4 second back up)を備える:
・想定の総ΔV=1V
・ΔV(総計)=ΔVesr+ΔVcap
・ΔVesr=0.25*0.1=0.025V(小さい降下)
・ΔVcap約1Vを用い、4Vで動作
・I=C*dV/dtから推定されるC約1ファラド
・(ESRによる電圧低下は小さく、したがって、それが倍になっても影響は小さいことに留意されたい。)
【0055】
別の例示的な用途の場合、ここで開示される技術によって実現され得る重要な電気的パラメータは、1Fの静電容量、4.2Vの電圧定格、-40°から70℃の温度動作上の範囲定格、および100mΩのESRを含む。
【0056】
ここで開示される主題は、一部には水ベースの電解質の代わりに有機電解質を使用することによって、一部には約2から3mm程度の従来技術の装置の代わりに最小0.5mm(または0.5mm未満)などの(スタック層に対する能力を有する)きわめて薄い設計を用いることによって、増加された出力密度に対する要求に対処するのを助ける。バッテリと並列に置かれる能力を有するそうした極薄の構成は、バッテリ寿命(使用寿命)を35%増やすことができる。
【0057】
ここで開示される主題の別の利点は、比較的増大される動作温度範囲である。好ましくは、例えば最大240℃など、200℃を超える沸点を有する電解質が使用される。好ましい例は、炭酸プロピレン(PC)の少なくともいくつかを含む。ここで開示される主題を実行する者が、密封材に熱的に安定な材料を使用する場合には、電解質および端子は、高温の動作上の範囲における制約にはならない。例えば、装置が依然として形状を保つような105℃での貯蔵能力と共に、半定格電圧で90℃の増大された温度範囲能力が可能である。
【0058】
一般に、比較的高い温度に耐えると同時に形状を保持するその能力にも寄与する、ここで開示される主題の態様は、製造プロセスに関する。有利には、水/水分が、きわめて高い程度で製造環境から閉め出される。例えば、酸化リチウムバッテリの製造が、100から1000ppmの水に関係する0.01から0.1%の水分を試み保つことが知られている。しかしながら、この例では、水分環境を、10ppmに関係するわずか0.001%に制限することにより、本明細書によって開示される他の態様と組み合わせた有利な熱に対する形状抵抗が実現される。そのきわめて低い水分環境レベルでは、意図される熱範囲の限界において、性能に対する応答としての任意の増大を無視することができる。
【0059】
炭素炭素コンデンサ(CCキャップ)の構造は、一部にはそれぞれの層の間のきわめて薄いセパレータ層の使用によって実現される。本明細書による完全な開示から当業者によって理解されるように、増大された静電容量および/または電圧を選択的に実現するために、薄いコンデンサを積み重ねるさらなる実施形態が形成され得る。例えば、直列に配置された2.1ボルトの2つの装置はそれぞれ、3.6Vのリチウムバッテリの代替物として働くことができる。結果として生じる極薄のここで開示される主題は、例えば著しく低減された寸法によって、バッテリを携帯電話用の追加されるケース内に位置決めする可能性を実現するような小さい実施形態を提供する。一般に、ここで開示されるECDL電気化学二重層コンデンサ(ECDL)の主題は、様々な他の製品配置に有用なエネルギー貯蔵装置を提供する、スーパーキャップまたはウルトラキャップとしての役目を果たすことができる。さらなる一例は、無停電電源装置(UPS)の中での、または無停電電源装置としての使用のためのものである。もちろん、当業者によって理解されるように、静電容量および/または電圧を増大させるために、直列および/または並列に接続された実施形態から様々な配置が生じ得る。
【0060】
一般に、ここで開示される主題は、有機電解質材料を使用する非常に高さの低い設計の使用によって、スーパーコンデンサにおける増大された出力密度を実現する、極低ESRスーパーキャップの極薄のバージョンに関する。結果として生じる主題は、2から3mmの厚さの通常の従来技術の基準に比べて、最小0.5mm未満の厚さのきわめて薄い装置を提供する。また、新しい設計は、バッテリの使用寿命の増加と共に、著しく高められた高温性能を有する。高温許容材料と結合されたここで開示されるきわめて薄い設計、およびここで開示される製造方法論は、きわめて低いESR特性に関する優れた結果を提供する。さらに、炭酸プロピレン(PC)電解質を規定し、長さ約50mm×幅40mm×厚さ0.5mmのケースの寸法を有する実施形態の使用も、きわめて低いESR特性を提供することができる。
【0061】
きわめて低いESR特性に関連して、高められた温度または最大105℃の貯蔵温度における動作と組み合わせても、150ミリオーム未満程度の結果が企図される。
【0062】
図3Aおよび図3Bはそれぞれ、この図2により詳細に示されるような、ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の例示的な実施形態の上面図および側縁立面図である。示されるように、そうしたシングルセルの配置の例示的なケースの寸法は、長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mmであり、そうしたケースと関連付けられた端子の対が存在する。図3Cは、図3Aおよび図3Bのここで開示される主題に基づく例示的な実施形態の類似のものを示している。
【0063】
図4Aおよび図4Bはそれぞれ、ここで開示される主題に基づく有機電解質コンデンサ装置の別の例示的な実施形態の上面図および側縁立面図であり、この図2により詳細に示されるような構造のセルの配置された対を示している。示すように、そうした二重の(対をなす)セルの配置の例示的なケースの寸法は、長さ50mm×幅80mm×厚さ0.5mmであり、そうした実施形態と関連付けられた端子の2つの対が存在する。図4Cは、図4Aおよび図4Bのここで開示される主題に基づく例示的な実施形態の類似のものを示している。
【0064】
図5図6および図7は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な(負荷2.8Vにおける)室温の負荷寿命と、等価直列抵抗(ESR)、静電容量および漏れ電流の百分率変化との関係のグラフである。示されるように、グラフは、信頼性試験のデータを実証するために、4000時間以上の時間露出にわたる。反映されたデータは、試験されたカテゴリすべてにおいて優れた市販用の性能を示している。そうした信頼性試験の追加の態様は、当業者によって理解されるように、試験電圧(2.8V)は故意に定格電圧(2.1V)よりずっと高くなっているというものである。電気化学装置は、実際には通常、定格電圧でまたは定格電圧より低い電圧で使用されることが当業者によって理解されるため、試験に対するそうしたアプローチは、試験される装置が丈夫であるとみなされることを十分に実証する。したがって、本明細書における試験電圧(2.8VTなど)は、より高い定格電圧(2.1Vなど)を示唆するものとして意図されていない。
【0065】
図8は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的なそれぞれ75℃、85℃および105℃のそれぞれの温度における貯蔵寿命に関する信頼性試験のデータ(4000時間を超える軸)をグラフで示している。図8のデータはESRの百分率変化に対処しているが、図9のデータは静電容量の百分率変化に対処している。示されるように、ここで開示される主題は、拡張された温度範囲で動作するときでも優れた性能を示す。
【0066】
図10は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、例示的な負荷寿命と漏れ電流の百分率変化の関係のグラフである。測定値は、やはり信頼性試験のデータの観点からのものであり、温度70℃および負荷2.2Vにおける動作に対処している。図11および図12は同様のグラフであるが、温度50℃および負荷2.5Vにおける動作に対処することを包含する。図11および図12のグラフもそれぞれ、具体的には静電容量および漏れ電流の百分率変化を示している。
【0067】
図13図14および図15は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態に対する、様々な電気特性と温度の関係をグラフで示している。図13は、グラフ化されたESRの百分率変化を表し、0℃以上から、ESRが室温の値の約±50%以内に維持され、したがって、広い温度範囲にわたってきわめて低いESRが実現されることを示している。図14は静電容量の変化を表し、-40℃から70℃の範囲にわたり約±25%の変化を示すだけである。図15も、示された温度範囲にわたり安定した漏れ電流性能を示している。
【0068】
図16から図19は、周波数発生器および出力増幅器の試験配置を用いた、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態の電圧サイクル試験に関する適切なデータをグラフで示している。特に、図16および図17は、例示的なGSM波形の試験用法に関し、図18および図19は、例示的な三角波形の試験用法に関する。示されるサンプルのGSM波形は、1.4Vから2.8Vの試験範囲にわたって示される、25%デューティサイクルを用いた217HzのGSM方形波に関する。示されるサンプルの三角波形は、やはり1.4Vから2.8Vの試験範囲にわたる0.1Hzの三角波を反映している。
【0069】
より詳細には、図16は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いて行われる電圧サイクル試験に使用され得る、例示的なGSM波に対する電圧および電流の両方と時間との関係を示し、図17は、耐久性能を、そうした試験波形の100万サイクルを通じた例示的なESRの百分率変化として追っている。図18は、ここで開示される主題に基づく例示的な実施形態を用いて行われる電圧サイクル試験に使用され得る、例示的な三角波に対する電圧と時間の関係を示し、図19は、耐久性能を、そうした試験波形の150,000サイクルを通じた例示的なESRの百分率変化として追っている。図17図19も、そうした耐久サイクル試験に対して、概して無視できるESR性能の変化を反映しているだけである。
【0070】
要約すれば、ここで開示される主題の例示的な実施形態は、長さ50mm×幅40mm×厚さ0.5mの例示的なケースの寸法を、そうしたケースと関連付けられた端子の対(対象の図3Aおよび図3B参照)と共に備え、好ましくは炭酸プロピレン(PC)電解質の少なくともいくつかを使用することができる。そうした例示的な実施形態は、2.1ボルトの電圧定格(Vr)および2.1F/ccの静電容量を有することができる。それは、90℃および0.5定格ボルトの動作において優れた性能を提供することができる。同時に、それは、膨れを回避し、最大105℃の貯蔵温度でも寸法安定性を維持することができると同時に、150ミリオームのきわめて低いESRおよび約72ミリオーム/cc/Fの正規化されたESR/Capも維持する。
【0071】
全般に、ここで開示される実施形態は、活性電極の体積について約10F/ccより大きい静電容量密度に対する低い漏れ電流と共に、優れた高出力パルス能力を示すことができる。試験データも、高められた温度において半定格電圧の低下がないこと、および維持される貯蔵寿命、および比較的高い温度(105℃など)を含む、強化された温度範囲性能を示す。
【0072】
ここで開示される主題が、その具体的な実施形態に関連して詳細に述べられたが、当業者は、前述のことについての理解が得られると、ここで開示される技術を、そうした実施形態に対する改変または追加、その変更、および/またはその等価物に容易に適合させることが可能であることが理解されるであろう。それに応じて、本開示の範囲は、限定のためではなく例示のためのものであり、当業者には容易に明らかになるように、対象の開示は、ここで開示される主題に対するそうした修正、変更および/または追加を含むことを排除しない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19