(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096173
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】骨髄増殖性障害を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230629BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230629BHJP
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A61K 38/17 20060101ALI20230629BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230629BHJP
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A61P 7/00 20060101ALI20230629BHJP
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A61K 31/58 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230629BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230629BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230629BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230629BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230629BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230629BHJP
C12N 9/99 20060101ALN20230629BHJP
C07K 14/715 20060101ALN20230629BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K38/17
A61K47/68
A61P7/06
A61P7/00
A61P7/04
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P19/02
A61P19/08
A61P21/00
A61P3/02
A61P17/04
A61P1/06
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K35/14
A61K38/18
A61K31/568
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A61K31/16
A61K31/58
A61K31/454
A61K31/519
A61K31/506
A61K31/5377
A61K31/553
A61K31/437
A61K31/497
C12P21/02 C
C12N5/10
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N9/99 ZNA
C07K14/715
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083682
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2021017312の分割
【原出願日】2016-08-04
(31)【優先権主張番号】62/263,603
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/201,058
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509125475
【氏名又は名称】アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラビンドラ クマール
(72)【発明者】
【氏名】ナガ ベンカタ サイ ラジャセクハル スラガニ
(57)【要約】
【課題】骨髄増殖性障害を処置するための方法の提供。
【解決手段】一部において、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本
態性血小板血症および骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、またはその重症度を低減させるための方法に関する。本開示はさらに
、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、またはその重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様
では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および
骨髄線維症)もしくはヤヌスキナーゼ関連障害、または骨髄増殖性障害もしくはヤヌスキ
ナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその重症度を低
減させるためのTβRIIアンタゴニストを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年8月4日に出願された米国仮出願第62/201,058号おと
び2015年12月4日に出願された米国仮出願第62/261,603号に由来する優
先権の利益を主張する、前記出願のぞれぞれの明細書は、その全体が本明細書に参照によ
り組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨髄増殖性障害(MPD)または新生物(MPN)は、血球(血小板、白血球および赤
血球)の一部または全てにおける慢性的な増加を一般に特徴とする一群の状態である[T
alaricoら(1998年)Patient Care 30巻:37~57頁;Y
avorkovskyら(2001年)J Clin Oncol 19巻:3790~
3792頁;およびCampbellら(2006年)N Engl J Med 35
5巻:2452~2466頁]。この群の血液障害には、真性赤血球増加症(PV)、本
態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後
骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)および慢性骨髄性白血病(CML)が
含まれる。PVは、3つ全ての型の血球の増加した産生を特徴とするが、ETは、血小板
の上昇として現れる。骨髄線維症(MF)は、赤血球、白血球および/または血小板の異
常な産生の結果として、骨髄において線維性(瘢痕様)組織が発達する疾患である。CM
Lは、骨髄における優勢に骨髄系の細胞の増加した調節されない成長、および末梢血にお
けるこれらの細胞の蓄積を特徴とする。
【0003】
MPDは、造血幹細胞における形質転換から生じると一般に考えられている。実際、C
MLは、フィラデルフィア転座(Ph)から最も一般的に生じる、その原因分子病変であ
るBCR-ABL融合遺伝子によって現在規定されている。したがって、CMLは、BC
R-ABL陽性(+)骨髄増殖性障害として特徴付けられる。この規定された分子的欠陥
の発見は、CMLを処置するための薬物メシル酸イマチニブ(Gleevec;Nova
rtis、Basel、Switzerland)の開発をもたらしている[Druke
rら(2001年)N Engl J Med 344巻:1031~1037頁]。
【0004】
他の3種の骨髄増殖性新生物(PV、ETおよびMF)は、BCR-ABL陰性骨髄増
殖性障害として特徴付けられる。最近、いくつかのグループが、PVを有する患者のおよ
そ90%、ETを有する患者のおよそ50%、およびMFを有する患者のおよそ50~6
0%において、チロシンキナーゼJAK2の機能獲得型変異(JAK2V617F)を、
主要な分子的欠陥として同定した[Baxterら(2005年)Lancet 365
巻:1054~1061頁;Jamesら(2005年)Nature 434巻:11
44~1148頁;Kralovics(2005年)N. Engl. J. Med
.352巻:1770~1790頁]。興味深いことに、最近の研究により、入院患者か
ら収集された血液試料のほぼ1%が、JAK2V617F変異について試験陽性であるこ
とが実証された[Xuら(2007年)Blood 109巻:339~342頁]。こ
れらのJAKV617F陽性患者のほとんどは、MPDの診断基準を満たしていないが、
JAKV617F陰性患者よりも高い比率で、血栓症、冠動脈性心疾患、動脈硬化症、脳
虚血および脳梗塞を含む血管性疾患を発病した。これらのデータは、MPDおよびMPD
前状態が、元々見込まれたものよりも著明な公衆衛生上の問題を提示し得ることを示唆し
、JAK2V617Fならびに他のヤヌスキナーゼ変異の病理的重要性をさらに強調して
いる。
同種間造血幹細胞移植は、BCR-ABL陰性MPDのための唯一の公知の治療方法で
ある[Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁]。し
かし、幹細胞処置関連の死亡率は高く、ごく一部の患者だけが移植に適格である。JAK
インヒビターの開発および使用は、顕著な治療上の進歩を示すが、BCR-ABL陰性M
PDの処置におけるそれらの使用には、明らかな制約が存在する。特に、JAKインヒビ
ターは、骨髄線維症患者において脾腫を低減させるのに有用なようである;しかし、この
疾患に対するそれらの効果は、他の点では概して対症的である[Guptaら(2012
年)Blood 120巻:1367~1379頁]。特に、JAKインヒビターは、例
えば、血球減少症、輸血依存、加速したまたは急性転化期の疾患、および線維症を含む疾
患の多くの顕在化(合併症)に対して、ほとんど~全く効果を有さない。さらに、JAK
インヒビターは、一部の患者において、血小板減少症、貧血および好中球減少症を促進す
る、または悪化させることが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Talaricoら(1998年)Patient Care 30巻:37~57頁
【非特許文献2】Yavorkovskyら(2001年)J Clin Oncol 19巻:3790~3792頁;およびCampbellら(2006年)N Engl J Med 355巻:2452~2466頁
【非特許文献3】Drukerら(2001年)N Engl J Med 344巻:1031~1037頁
【非特許文献4】Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054~1061頁
【非特許文献5】Jamesら(2005年)Nature 434巻:1144~1148頁;Kralovics(2005年)N. Engl. J. Med.352巻:1770~1790頁
【非特許文献6】Xuら(2007年)Blood 109巻:339~342頁
【非特許文献7】Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、MPDおよびヤヌスキナーゼ関連障害を処置する有効な治療の高い必要性
が満たされていない。したがって、MPDもしくはヤヌスキナーゼ関連障害またはMPD
もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法を提供することが、本開
示の目的である。
【0007】
一部において、本開示は、TGFβ II型受容体(TβRII)アンタゴニスト(イ
ンヒビター)が、骨髄線維症を処置するために、特に、例えば、線維症、脾腫および炎症
性合併症を含む疾患の種々の合併症を寛解するために使用され得るという発見に関する。
特に、本明細書で提示されるデータは、TβRIIポリペプチドが、骨髄線維症のJAK
2V617Fモデルにおいて線維症、脾腫および炎症を減少させることを示している。こ
れらのデータは、TβRIIアンタゴニストが、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症
、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板減少症後骨髄線維症)ならびに、例
えば、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症を含む他の骨髄増殖性障害を処置する
ために使用され得ることを示唆している。さらに、JAK2V617Fモデルからのデー
タは、TβRIIアンタゴニストが、ヤヌスキナーゼ関連障害、特に、上昇したまたは構
成的なヤヌスキナーゼ活性(例えば、上昇したまたは構成的なJAK2活性)と関連する
障害を処置するために使用され得ることを示唆している。したがって、ある特定の態様で
は、本開示は、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニストを、骨髄増殖性障害ま
たはヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬
剤と任意選択で組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによって、骨髄増殖
性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌ
スキナーゼ関連障害あるいは骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症
、脾腫および炎症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する
、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための、組成物お
よび方法に関する。TβRIIポリペプチドは、TβRIIアンタゴニズム以外の機構を
介して、骨髄増殖性障害およびヤヌスキナーゼ関連障害に影響を与え得るが[例えば、T
GFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうち1または複数の阻害は、おそらくはTGF
-ベータスーパーファミリーの他のメンバーを含め、さらなる薬剤のスペクトルの活性を
ある薬剤が阻害する傾向の指標であり得、かかる集合的阻害は、例えば、骨髄増殖性障害
およびヤヌスキナーゼ関連障害に対する所望の効果をもたらし得る]、本開示は、それで
もなお、望ましい治療剤が、TβRIIアンタゴニズムに基づいて選択され得ることを実
証している。したがって、特定の作用機構に束縛されることは望まないが、他のTβRI
Iアンタゴニスト[例えば、TβRII受容体のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβ
RII結合性リガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)のアンタゴ
ニスト、1もしくは複数のTβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)のアンタゴニ
スト、1もしくは複数のTβRII関連共受容体(ベータグリカン)のアンタゴニスト、
1もしくは複数のTβRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)のアンタゴニス
ト、またはかかるアンタゴニストの組合せ]が、骨髄増殖性障害またはヤヌスキナーゼ関
連障害の処置において、特に、1または複数の骨髄増殖性障害またはヤヌスキナーゼ関連
障害の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減
させる際に、有用であると予測される。かかる薬剤は、本明細書で「TβRIIアンタゴ
ニスト」または「TβRIIインヒビター」と集合的に称される。
【0008】
したがって、ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を処置するため
の方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与す
るステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障
害を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要と
する患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌ
スキナーゼ関連障害の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIア
ンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特
定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の重症度を低減させるための方法であ
って、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップ
を含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1また
は複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、
それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本
開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を予防するための方法であって
、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含
む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複
数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニ
ストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様
では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の重症度を低減させる
ための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投
与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、無効造血、髄外造
血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合
併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫
、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発
熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常(pa
rasthesias)、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイト
カインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および
骨骨髄線維症からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
の方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、1または複数の機能
獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は
、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキ
ナーゼにおける1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形
態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2における1または複数の機能獲得型ヤヌス
キナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、1または複
数のヤヌスキナーゼの上昇したキナーゼ活性(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常
な被験体と比較して、上昇したキナーゼ活性)と関連する。一部の実施形態では、ヤヌス
キナーゼ関連障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する。
一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK1、JAK2またはJAK3か
らなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したまたは構成的なキナー
ゼ活性と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2の上昇し
たまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障
害は、JAK2関連障害である。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JA
K2V617F関連障害である。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障
害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が骨髄線維症を
有する方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、原
発性骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は
、真性赤血球増加症後骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障
害を有する患者は、本態性血小板血症後骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開
示は、骨髄線維症を有する患者において、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、
肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症
(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血
、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹
、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好
中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症
性合併症、骨硬化症、骨骨髄線維症、および失血からなる群から選択される、ヤヌスキナ
ーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および
/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナー
ゼ関連障害を有する患者は、国際予後スコアリングシステム(Internationa
l Prognostic Scoring System)(IPSS)に従って、低
リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患
者は、IPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、
ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、IPSSに従って、中間-2リスクの骨髄線維
症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、IPSSに
従って、高リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害
を有する患者は、ダイナミックIPSS(dynamic IPSS)(DIPSS)に
従って、低リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害
を有する患者は、DIPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部の実
施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSSに従って、中間-2リ
スクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者
は、DIPSSに従って、高リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌス
キナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラス(DIPSS-plus)に従っ
て、低リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有
する患者は、DIPSS-プラスに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部
の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラスに従って
、中間-2リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害
を有する患者は、DIPSS-プラスに従って、高リスクの骨髄線維症を有する。ある特
定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1も
しくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度
を低減させる方法であって、患者が真性赤血球増加症を有する方法に関する。一部の実施
形態では、本開示は、真性赤血球増加症を有する患者において、疲労、掻痒症、寝汗、骨
痛、発熱、および体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧
亢進症、血管性事象、血栓塞栓性事象、出血、血栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視
力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系
細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高
い血小板レベル、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、およびIL-6媒介性炎
症性合併症からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスク
の真性赤血球増加症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患
者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態で
は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓
症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキ
ナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有する。一部の実施形態
では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、血
栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、
高リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前
に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真
性赤血球増加症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性である。一部の実施
形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し
、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、
ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置
する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって
、患者が本態性血小板血症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、本態
性血小板血症を有する患者において、血小板増加症、低い白血球数、低いヘモグロビンレ
ベル、低い乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障
害、体重減少、微小血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、脾腫、肝腫、炎症性
合併症、IL-6炎症性合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6
レベル、および出血からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数
の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させ
るための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、
低リスクの本態性血小板血症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を
有する患者は、低リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実
施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの本態性血小板血症を有
し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、
ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有する。一部の
実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を
有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する
患者は、高リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病
歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リ
スクの本態性血小板血症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性である。一
部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血
症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である。ある特定の態様では、本
開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法
であって、患者が線維症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌス
キナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、
ヤ
ヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、線維症が、脾臓、肝臓、肺、
リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織にある方法に関
する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓線維
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
の方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において
、骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減
させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者
は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0の骨髄線維症
を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauerm
eisterスコアリングシステムに従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の
実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコ
アリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤ
ヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステム
に従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連
障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレー
ド4の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連
障害を有する患者において、骨髄線維症を、Bauermeisterスコアリングシス
テムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、4から3、4から2、4か
ら1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0
の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤ
ヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、Bauermeisterスコアリングシ
ステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0か
ら1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2か
ら4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)
ことに関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、欧州コン
センサススコアリングシステム(European consensus scorin
g system)に従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、
ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従っ
て、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を
有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維
症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患
者において、骨髄線維症を、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って少なくとも
1グレード低減させること(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から
0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、
本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、欧州コンセンサススコ
アリングシステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例
えば、0から1、0から2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症の
グレードの進行を予防する、または遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、本
開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが
、線維症の発症前に投与される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキ
ナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後
に投与される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害ま
たはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはそ
の進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、臓器/組織腫大
(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織の
サイズおよび/または重量)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤ
ヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織腫大を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では
、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織腫大を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1ま
たは複数の臓器/組織が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択
される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者にお
いて、脾臓腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低
減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害
患者において、肝臓腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ
関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、臓器
/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓
器/組織炎症)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ
関連障害患者において、臓器/組織炎症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、
ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織炎症を処置する、予防する、またはそ
の進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数の臓
器/組織が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される方法に
関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓炎
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
の方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において
、肝臓炎症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減さ
せるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害また
はヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が脾腫を有する方法に
関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾腫を
処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方
法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナ
ーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が肝腫を有する方法に関する。一部
の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、肝腫を処置する、予
防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。
ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害
の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させる方法であって、患者が髄外造血を有する方法に関する。一部の実施形
態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、髄外造血を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部
の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、髄外造血を処置する
、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であっ
て、1または複数の臓器/組織が、脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群
から選択される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害
またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、上昇した炎症
性サイトカインレベル(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、
上昇した炎症性サイトカインレベル)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開
示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数の臓器/組織における炎症性
サイトカインレベル(例えば、血清サイトカインレベル)を低減させるための方法に関す
る。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複
数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させるための方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは
複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減
させる方法であって、患者が、低い赤血球レベル(例えば、例えば同じ年齢および性別の
健常な被験体と比較して、低い赤血球レベル)を有する方法に関する。一部の実施形態で
は、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において赤血球レベルを増加させるための方
法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナ
ーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低いヘモグロビンレベル(例え
ば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、低いヘモグロビンレベル)を
有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者にお
いてヘモグロビンレベルを増加させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示
は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を
処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であ
って、患者が貧血を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナー
ゼ関連障害患者において、貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もし
くは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキ
ナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予
防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、TβR
IIアンタゴニスト処置の開始前に、患者に1または複数回の血球輸血が投与されている
方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、血球輸血
依存的である。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者に
おいて、血球輸血の負担を減少させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示
は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、血球輸血の負担を減少させるための
方法であって、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8
週間にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90
%超または100%減少させる方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキ
ナーゼ関連障害を有する患者において、血球輸血の負担を減少させるための方法であって
、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたっ
て、血球輸血を約50%超減少させる方法に関する。ある特定の態様では、ヤヌスキナー
ゼ
関連障害を有する患者は、鉄過剰症を有する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキ
ナーゼ関連障害患者において、鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、
ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓(脾)鉄過剰症を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形
態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害において、肝臓(肝)鉄過剰症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する
。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害において、心臓(心)鉄過剰
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
の方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において
対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌ
スキナーゼ関連障害患者において、1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝
子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナー
ゼ関連障害患者において、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される
1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関
する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または
複数のJAK2対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実
施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数のヤヌスキ
ナーゼの上昇した(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇
したヤヌスキナーゼ活性)または構成的な活性化を生じる1または複数の変異と関連する
1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関
する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、JAK2
V617Fの対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本
開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法
であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある方法に関する。
一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害
の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させる方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、ルキ
ソリチニブ)による処置に対して不耐性である方法に関する。一部の実施形態では、本開
示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法で
あって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、ルキソリチニブ)による処置に
対して抵抗性である方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有す
る患者は、少なくともJAK2を阻害するヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたこと
がある。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、ルキソリチニブ
、フェドラチニブ(fedratinib)(SAR302503)、モメロチニブ(m
onoelotinib)(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD
-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-70
1、XL019およびAT-9283からなる群から選択されるヤヌスキナーゼインヒビ
ターで処置されたことがある。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患
者は、ルキソリチニブで処置されたことがある。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌス
キナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者
が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、本開
示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法で
あって、患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である方法に関する。一部
の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1
もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症
度を低減させる方法であって、患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性であ
る方法に関する。
【0009】
したがって、ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害を処置するための方法で
あって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステッ
プを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害を予防するため
の方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与す
るステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の進行
速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必
要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、
骨髄増殖性障害の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置するための方法であっ
て、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを
含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合
併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要
とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨
髄増殖性障害の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効
量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法
に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の重
症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必
要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、
骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血
小板減少症後骨髄線維症)を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線
維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)を予防するための方法であって、有効量の
TβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関
する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の進行速度を低減させ
るための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に
投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例
えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨
髄線維症)の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニス
トを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様で
は、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症を処置するための方法
であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステ
ップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性
骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の
1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニス
トを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様で
は、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症の進行速度を低減させ
るための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に
投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例
えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨
髄線維症)の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量の
TβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関
する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症を処置するための方法であって
、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含
む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症を予防するための方
法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するス
テップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の進行速
度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要
とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真
性赤血球増加症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合併症を処置するための方法であ
って、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップ
を含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数
の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを
必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は
、真性赤血球増加症の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって
、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含
む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合
併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、
それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本
開示は、本態性血小板血症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、本態性血小板血症を予防するための方法であって、有効量のTβRI
Iアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。あ
る特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の進行速度を低減させるための方法であ
って、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップ
を含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の重症度を低減
させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患
者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小
板血症の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアン
タゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定
の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症を予防するための方法
であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステ
ップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または
複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態
様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症の重症度を低減させるため
の方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与す
るステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄
線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/も
しくは重症度を低減させる方法であって、患者が、国際予後スコアリングシステム(IP
SS)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本
開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、
またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、IPS
Sに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、
本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、IP
SSに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では
、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、I
PSSに従って、高リスクの骨髄線維症のリスクの骨髄線維症を有する方法に関する。あ
る特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を
処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であ
って、患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスクの骨髄線維症を
有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1
もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症
度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維
症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症
の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、中間-2リスクの骨髄
線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線
維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もし
くは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、高リスクの骨髄線
維症のリスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄
線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-プラス
に従って、低リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は
、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-
プラスに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様で
は、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、
DIPSS-プラスに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある
特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であっ
て、患者が、DIPSS-プラスに従って、高リスクの骨髄線維症のリスクの骨髄線維症
を有する方法に関する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症
についての認識されたリスク層別化モデル(例えば、IPSS、DIPPSおよびDIP
PS-プラス)のいずれかに従って、骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延
させるために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは
、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、低リスクから中間-1リス
クへの骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用され得る。他
の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS
-
プラスに従って、中間-1リスクから中間-2リスクへの骨髄線維症のリスクの進行を予
防する、または遅延させるために使用され得る。なお他の実施形態では、TβRIIアン
タゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、中間-2リス
クから高リスクへの骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用
され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症についての認
識されたリスク層別化モデル(例えば、IPSS、DIPPSおよびDIPPS-プラス
)のいずれかに従って、骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために
使用され得る。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、
DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、高リスクから中間-2リスクへの骨髄線
維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。他の実施形態で
は、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従
って、中間-2リスクから中間-1リスクへの骨髄線維症のリスクの後退を促進する、ま
たは増加させるために使用され得る。なお他の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト
は、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、中間-1リスクから低リ
スクへの骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。
ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症または真性赤血球増加症の1もしくは
複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減
させる方法であって、患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する方法に関する。一部
の実施形態では、患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない
。一部の実施形態では、患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症を有する、
または血栓症を以前に有した。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症または
真性赤血球増加症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、高リスクの真性赤血球増加
症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、高リスクの真性赤血球増加症を
有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、高リスクの真性赤血球増
加症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。一部の実施形態では、患者
は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性ま
たは不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板減少症または本態性血
小板減少症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および
/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低リスクの本態性血小板減少症を
有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、低リスクの本態性血小板減少症を有
し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、低リスクの本態性血小板減
少症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。ある特定の態様では、本開
示は、本態性血小板減少症または本態性血小板減少症の1もしくは複数の合併症を処置す
る、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、
患者が、高リスクの本態性血小板減少症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患
者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態
では、患者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症を有する、または血栓症を
以前に有した。一部の実施形態では、患者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、ヒ
ドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である。ある特定の態様では、本
開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血
症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用す
る方法であって、患者が、骨髄増殖性障害と関連する1または複数の遺伝子変異または他
の分子マーカーを含む方法に関する。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴ
ニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、
骨髄増殖性障害は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1
、JAK2、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNK
からなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異と関連する
。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、ヤヌスキナーゼ(JAK)(例えば、JAK
1、JAK2および/またはJAK3)における1または複数の遺伝子変異と関連する。
一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数のJAK2変異と関連する。一部
の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関
連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK1、JAK2およびJAK3か
らなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼにおける1または複数の機能獲得
型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2に
おける1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、
骨髄増殖性障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したキナーゼ活性(例えば、例
えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇したキナーゼ活性)と関連する
。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナ
ーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK1、JAK2また
はJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したまたは構
成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2の上
昇したまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は
、JAK2関連障害である。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2 46/
1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK2V617F、CALR+ASXL1-、C
ALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からな
る群から選択される1または複数の遺伝子マーカーと関連する。一部の実施形態では、骨
髄増殖性障害は、JAK2V617F変異と関連する。一部の実施形態では、方法は、患
者において、骨髄増殖性疾患関連の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、
方法は、1または複数のJAK2変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態で
は、方法は、JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、
方法は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK2
、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群
から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異の対立遺伝子負荷を低
減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌ
ル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、
およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカー
の対立遺伝子負荷を低減させる。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例え
ば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1
もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症
度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、骨髄線維症が
、増加した血清IL-8レベル、増加した血清IL-2Rレベルおよび増加した血清遊離
軽鎖レベルからなる群から選択される1または複数の上昇した血清マーカーと関連する方
法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真
性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併
症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
にTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビ
ターで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、患者は、JAK2イン
ヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブ、フェ
ドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レ
スタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY278
4544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択される
ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ル
キソリチニブで処置されたことがある。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト
は、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は
、ヤヌスキナーゼインヒビターに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用
され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対する不適当な応答を有する。ある特定
の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および
本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴ
ニストを使用する方法であって、患者が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法
に関する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨
髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対して
不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害また
は骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対
する不適当な応答を有する。
【0010】
本明細書で記載する場合、骨髄増殖性障害は、患者における疾患進行の間に現れ得る種
々の臨床的合併症と関連する造血のクローン性新生物性疾患である。本開示の例は、Tβ
RIIアンタゴニストが、いくつかのこれらの臨床的合併症を軽減するために使用され得
ることを実証しており、TβRIIアンタゴニストが、疾患の合併症のうち1つまたは限
定数の合併症を処置するだけの現行の骨髄増殖性障害治療の多くとは対照的に、骨髄増殖
性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)の種々の合
併症をより広く処置するために使用され得ることを示している。したがって、ある特定の
態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤
血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、1または複数の体質的症
状(例えば、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、早期満腹、腹痛または腹部不快感、
関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪心、腹部臓器圧迫、頭痛および悪液質)を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。あ
る特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症
、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、骨痛を処置する
、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得
る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄
線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、視覚障害
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために
使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、
真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の
合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる
方法であって、患者が線維症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨
髄増殖性障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/
もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄
増殖性障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/も
しくは重症度を低減させるための方法であって、線維症が、脾臓、肝臓、肺、リンパ節お
よび骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織にある方法に関する。一部
の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、脾臓線維症を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一
部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、骨髄線維症を処置する、予
防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。
一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコア
リングシステムに従って、グレード0の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄
増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、
グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は
、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を
有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeiste
rスコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態で
は、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに
従って、グレード4の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄
増殖性障害を有する患者において、骨髄線維症を、Bauermeisterスコアリン
グシステムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、4から3、4から2
、4から1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1
から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法
は、骨髄増殖性障害を有する患者において、Bauermeisterスコアリングシス
テムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から
1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から
4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)こ
とに関する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、欧州コンセンサスス
コアリングシステムに従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、
骨髄増殖性障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレ
ード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、欧
州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部
の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖性障害を有する患者において、骨髄線維症を
、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って少なくとも1グレード低減させること
(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄
線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖
性障害を有する患者において、欧州コンセンサススコアリングシステムに従う骨髄線維症
のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から
3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または
遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性において、線維
症を予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であ
って、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される方法に関する。一部の
実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、線維症を処置する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴ
ニストが、線維症の発症後に投与される方法に関する。ある特定の態様では、TβRII
アンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態
性血小板減少症)を有する患者において、臓器/組織(例えば、脾臓、肝臓、リンパ節お
よび肺)の炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加し
た炎症)および/または腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較
して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。一部の実施形態
では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球
増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、脾腫を処置する、予防する、
またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。一部の実
施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性
赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、肝腫を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。あ
る特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症
、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、脾梗塞を処置す
る、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され
得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨
髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、1また
は複数の炎症性合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症
度を低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは
、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)
を有する患者において、炎症性サイトカインレベルを低減させるために使用され得る。一
部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症
、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、IL6レベルを
低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨
髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有
する患者において、1または複数のIL6関連合併症を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加
症および本態性血小板減少症)を有する患者において、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血
、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、
TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症
および本態性血小板減少症)を有する患者において、血管性合併症を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特
定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真
性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、血栓症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る
。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線
維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、出血を処置
する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用さ
れ得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、
骨髄線維症)を有する患者において、無効赤血球生成を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者に
おいて、無効赤血球生成を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト
は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、汎血球減少症を処置
する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用さ
れ得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、
骨髄線維症)を有する患者において、汎血球減少症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、
TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者にお
いて、血小板減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度
を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、
骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、貧血を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある
特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)
を有する患者において、変形赤血球症を処置する、予防する、またはその進行速度および
/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIア
ンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、好中球
減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる
ために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障
害
(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、骨硬化症を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様
では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患
者において、骨骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニス
トは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症)を有する患者において、1または複
数種の血球(例えば、赤血球細胞、骨髄系細胞および巨核球細胞)の過剰な増殖を処置す
る、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され
得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真
性赤血球増加症)を有する患者において、赤血球のレベルを低減させるために使用され得
る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性
赤血球増加症)を有する患者において、白血球のレベルを低減させるために使用され得る
。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤
血球増加症および本態性血小板血症)を有する患者において、血小板のレベルを低減させ
るために使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、有効量のTβRIIアンタゴニ
ストを投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者にお
いて赤血球レベルを増加させることに関する。ある特定の態様では、開示は、有効量のT
βRIIアンタゴニストを投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症
)を有する患者においてヘモグロビンレベルを増加させることに関する。ある特定の態様
では、本明細書に記載される方法に従って処置される骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維
症)を有する患者は、貧血を有する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは
、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、貧血を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。あ
る特定の態様では、本開示は、1または複数回の血球輸血(全血または赤血球輸血)が投
与された患者において、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の
合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる
ためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法に関する。一部の実施形態では、本開示
は、血球輸血依存的である患者において、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)または
骨髄増殖性障害の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法に関する。ある特定の
態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有す
る患者において、血球輸血の負担を減少させる(低減させる)ために使用され得る。例え
ば、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者
において、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間
にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超
または100%減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタ
ゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、TβRII
アンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血
を約50%超減少させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴ
ニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、鉄過剰症を減
少させるために使用され得る。例えば、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(
例えば、骨髄線維症)を有する患者において、臓器および/または組織における鉄過剰症
を減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、
骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者の脾臓における鉄過剰症を減少させ
るために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性
障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者の肝臓における鉄過剰症を減少させるために使
用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例え
ば、骨髄線維症)を有する患者の心臓における鉄過剰症を減少させるために使用され得る
。
【0011】
一部において、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害を処置する、予防する、またはそ
の重症度もしくは進行速度を低減させる方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニス
トを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態で
は、患者は、JAK2V617F変異関連障害を有する。ある特定の態様では、本開示は
、JAK2キナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRII
アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。例え
ば、一部の実施形態では、JAK2キナーゼ関連障害の1または複数の合併症は、無効造
血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)
、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維
症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少
、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚
異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固
障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からな
る群から選択される。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害または
JAK2キナーゼ関連障害(例えば、JAK2機能獲得型関連障害)の1もしくは複数の
合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる
ためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、骨髄増殖性障害と関
連する1または複数のさらなる遺伝子変異または他の分子マーカーをさらに含む方法に関
する。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関
連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、骨髄増殖
性障害は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、TYK2、MPL
、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の
遺伝子における1または複数の変異とさらに関連する。一部の実施形態では、JAK2キ
ナーゼ関連障害は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK2V6
17F、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、
およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカー
とさらに関連する。一部の実施形態では、方法は、患者において、JAK2関連障害の対
立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、1または複数のJAK2変異
の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2V617Fの対
立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、IDH1、IDH2、EZH
2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TE
T2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1
または複数の変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK
2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-A
SKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選
択される1または複数の遺伝子マーカーの対立遺伝子負荷を低減させる。ある特定の態様
では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしく
は複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低
減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、JAK2キナーゼ関
連障害が、増加した血清IL-8レベル、増加した血清IL-2Rレベルおよび増加した
血清遊離軽鎖レベルからなる群から選択される1または複数の上昇した血清マーカーとさ
らに関連する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害
またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを
使用する方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある方
法に関する。一部の実施形態では、患者は、JAK2インヒビターで処置されたことがあ
る。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR30250
3)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-14
80、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、X
L019およびAT-9283からなる群から選択されるヤヌスキナーゼインヒビターで
処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブで処置されたこと
がある。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害
またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヤヌス
キナーゼインヒビターに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴ
ニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数
の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させ
るために使用され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対する不適当な応答を有す
る。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ
関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/
もしくは重症度を低減させるためにJAK2キナーゼ関連障害を使用する方法であって、
患者が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、
TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障
害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしく
は重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対して不耐性であ
る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害また
はJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはそ
の進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシ
ウレアに対する不適当な応答を有する。
【0012】
本明細書に記載される方法および使用のいずれかでは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄
線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者および/またはヤヌ
スキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を有する患者には、骨髄増殖
性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害または骨髄増殖性障害および/もしくは
ヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させるために、(1または複数のTβRIIアンタ
ゴニストの投与に加えて)1または複数のさらなる活性薬剤および/または支持療法がさ
らに投与され得る。例えば、一部の実施形態では、患者には、輸血(全血または赤血球輸
血)、赤血球生成刺激剤[例えば、ESA、例えば、エリスロポエチン(EPO)および
その誘導体]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメス
テロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾン、レナリドミド、鉄
キレート剤、デフェロキサミン、デフェリプロン、デフェラシロクス、ヒドロキシウレア
、クラドリビン、ルキソリチニブ、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、
AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタ
ウルチニブ、SEP-701、AT-9283、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、
JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のインヒビター)、脾臓摘出術、
放射線療法、アスピリン、免疫調節薬、PI3K/mTORインヒビター、エピジェネテ
ィック因子モジュレーター、ポマリドミド(pomalidonmide)、ラパマイシ
ン、シロリムス、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ23
5、BGT226、SF1126、PK1-587、INK128、AZD8055、A
ZD2014、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、ギビノスタット(givinos
tat)、パノビノスタット、プラシノスタット(pracinostat)、コルチコ
ステロイド、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトト
レキセート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコ
フェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキン、カルシウムチャネルブロッカー、ニフ
ェジピン、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、パラ-アミノ安息香酸、ジメチルス
ルホキシド、インターロイキン-5(IL-5)インヒビター、凡カスパーゼインヒビタ
ー、レクチン、コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリ
ドマイド、ペントキシフィリン、およびテオフィリンからなる群から選択される1または
複数の支持療法または活性薬剤がさらに投与され得る。
【0013】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増
加症および本態性血小板減少症)、ならびに/あるいはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば
、JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関
連障害の1もしくは複数の合併症を有する患者を処置する、予防する、またはその進行速
度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、a)ヤヌスキナーゼインヒ
ビター;およびb)TβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステ
ップを含み、ヤヌスキナーゼインヒビターおよびTβRIIアンタゴニストが有効量で投
与される方法に関する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、ヤヌスキナ
ーゼインヒビターによる処置前に投与される。他の実施形態では、TβRIIアンタゴニ
ストは、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置後に投与される。さらに他の実施形態で
は、TβRIIアンタゴニストは、ヤヌスキナーゼインヒビターと同時発生的に投与され
る。本明細書に記載される方法に従って使用されるヤヌスキナーゼインヒビターは、JA
K1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼ
を阻害する薬剤であり得る。例えば、ヤヌスキナーゼインヒビターは、細胞ベースのアッ
セイにおいて、JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のシグナル伝達を
阻害する薬剤であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って使用
されるヤヌスキナーゼインヒビターは、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302
503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-
1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701
、XL019およびAT-9283からなる群から選択される。一部の好ましい実施形態
では、本明細書に記載される方法に従って使用されるヤヌスキナーゼインヒビターは、ル
キソリチニブである。
【0014】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する
薬剤(例えば、TGFβ1アンタゴニスト)である。TGFβ1阻害に対する効果は、例
えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナ
ル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の
TβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ1に結
合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性ア
ッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニス
トまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1
×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1
×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ1に
結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポ
リペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの
組合せを含む、TGFβ1を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記
載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ1を
阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2、TG
Fβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し
得る。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアン
タゴニストの組合せは、TGFβ3をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1
を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻
害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ1を
阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ3をさら
に阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0015】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する
薬剤(例えば、TGFβ2アンタゴニスト)である。TGFβ2阻害に対する効果は、例
えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナ
ル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の
TβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ2に結
合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性ア
ッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニス
トまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1
×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1
×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ2に
結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポ
リペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの
組合せを含む、TGFβ2を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記
載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ2を
阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TG
Fβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し
得る。
【0016】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する
薬剤(例えば、TGFβ3アンタゴニスト)である。TGFβ3阻害に対する効果は、例
えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナ
ル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の
TβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ3に結
合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性ア
ッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニス
トまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1
×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1
×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ3に
結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポ
リペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの
組合せを含む、TGFβ3を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記
載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ3を
阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TG
Fβ2、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し
得る。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアン
タゴニストの組合せは、TGFβ1をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3
を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻
害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3を
阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1をさら
に阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0017】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTβRIIを阻害する
薬剤(例えば、TβRII受容体アンタゴニスト)である。TβRII阻害に対する効果
は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smad
シグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本
開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTβRI
Iに結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親
和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタ
ゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なく
とも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なく
とも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTβR
IIに結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβR
IIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそ
れらの組合せを含む、TβRIIを阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細
書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TβR
IIを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1
、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに
阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIを阻害するTβRIIアンタゴニストまた
はアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻
害しない。
【0018】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK5を阻害する薬
剤(例えば、ALK5アンタゴニスト)である。ALK5阻害に対する効果は、例えば、
本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達
アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK5に結合し得る
。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを
使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のALK5アンタゴニストまたはア
ンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8
M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-1
1Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともALK5に結合する。本
明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドお
よびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む
、ALK5を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法お
よび使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、ALK5を阻害するTβRI
Iアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ
3、TβRIIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実
施形態では、ALK5を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合
せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0019】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともベータグリカンを阻害
する薬剤(例えば、ベータグリカンアンタゴニスト)である。ベータグリカン阻害に対す
る効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、S
madシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態で
は、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともベ
ータグリカンに結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを
含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のベータ
グリカンアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(
例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-
10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少
なくともベータグリカンに結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラッ
プ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオ
チド配列、およびそれらの組合せを含む、ベータグリカンを阻害する種々のTβRIIア
ンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定
の実施形態では、ベータグリカンを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニ
ストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびALK5のう
ち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、ベータグリカンを阻害するT
βRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、ま
たはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0020】
ある特定の態様では、本開示は、TβRIIポリペプチド、およびTGFβ1および/
またはTGFβ3に対する選択的アンタゴニストとしての、かかるTβRIIポリペプチ
ドの使用を提供する。本明細書に記載するように、さらなる変異ありまたはなしのTβR
II細胞外ドメイン(ECD)の一部または全てを含むポリペプチドは、変動する親和性
で、TGFβ1および/もしくはTGFβ3と結合するおよび/またはGDF15、TG
Fβ1もしくはTGFβ3を阻害する。したがって、ある特定の態様では、本開示は、T
GFβスーパーファミリー関連障害を選択的に阻害する際の使用のためのTβRIIポリ
ペプチドを提供する。
【0021】
ある特定の態様では、本開示は、TβRIIの細胞外ドメイン中に変異および/または
トランケーションを含むポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、Tβ
RIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むTβRI
I融合ポリペプチドであって、この第1のアミノ酸配列が、a)配列番号5の23位~3
5位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~159位のいずれかにおいて終わ
る配列、もしくはb)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列番号6
の178位~184位のいずれかにおいて終わる配列に対して、少なくとも80%、少な
くとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも9
7%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なもしくは同一なアミノ酸配列を含む、
またはかかるアミノ酸配列からなるTβRII融合ポリペプチドを提供する。
【0022】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG2のFcドメインの少なくとも一部分に融
合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしくはトランケートされた細胞
外ドメインを含むポリペプチドを提供する。したがって、ある特定の態様では、本開示は
、TβRIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むT
βRII融合ポリペプチドであって、この第1のアミノ酸配列が、a)配列番号5の23
位~35位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~159位のいずれかにおい
て終わる配列、もしくはb)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列
番号6の178位~184位のいずれかにおいて終わる配列に対して、少なくとも80%
、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なく
とも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なもしくは同一なアミノ酸配列を
含む、またはかかるアミノ酸配列からなり、このポリペプチドが、ヒトIgG2の少なく
とも定常ドメインを含み、任意選択で、配列番号19に対して少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97
%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得るまたはかか
るアミノ酸配列からなり得る第2のポリペプチド配列を含み、リンカーが、任意選択で、
第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間に位置付けられるTβRII融合ポリペ
プチドを提供する。この一例は、配列番号50として提供され、配列番号51の核酸配列
によってコードされる。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号50のアミノ酸配
列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99
%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるア
ミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列
番号51の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97
%、98%、99%もしくは100%同一である核酸配列を含むまたはかかる核酸配列か
らなる核酸配列によってコードされるポリペプチドを提供する。
【0023】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG1、IgG3またはIgG4のFcドメイ
ンの少なくとも一部分に融合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしく
はトランケートされた細胞外ドメインを含むポリペプチドを提供する。
【0024】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG1のFcドメインの少なくとも一部分に融
合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしくはトランケートされた細胞
外ドメインを含むポリペプチドを提供する。したがって、ある特定の態様では、本開示は
、TβRIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むT
βRII融合ポリペプチドであって、第1のアミノ酸配列が、配列番号13のアミノ酸配
列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%
、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一な、
または同一なアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的になる、またはかかる
アミノ酸配列からなり、リンカーが、任意選択で、第1のポリペプチドと第2のポリペプ
チドとの間に位置付けられる、TβRII融合ポリペプチドを提供する。別のTβRII
融合ポリペプチドの一例は、配列番号101として提供され、配列番号102の核酸配列
によってコードされる。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号101のアミノ酸
配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的にな
る、またはかかるアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的になる、またはかかるアミノ
酸配列からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では
、本開示は、配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、
29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、4
2、43、44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミ
ノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、17
6、177、178、179、180、181、182、183、184、185または
186)のいずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%
または100%同一であるアミノ酸配列を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は
、配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96
%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含むまたはかかる核酸
配列からなる核酸配列によってコードされるポリペプチドを提供する。ある特定の実施形
態では、本開示は、配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90
%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む
またはかかる核酸配列からなる核酸配列を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の23位において始まり
配列番号5の159位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施
形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の29位において始まり配列番号5の
159位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、こ
の第1のアミノ酸配列は、配列番号5の35位において始まり配列番号5の159位にお
いて終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミ
ノ酸配列は、配列番号5の23位において始まり配列番号5の153位において終わる配
列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、
配列番号5の29位において始まり配列番号5の153位において終わる配列を含むまた
はかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の
35位において始まり配列番号5の153位において終わる配列を含むまたはかかる配列
からなる。
【0026】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の23位において始まり
配列番号6の184位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施
形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の29位において始まり配列番号6の
184位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、こ
の第1のアミノ酸配列は、配列番号6の23位において始まり配列番号6の178位にお
いて終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミ
ノ酸配列は、配列番号6の29位において始まり配列番号6の178位において終わる配
列を含むまたはかかる配列からなる。
【0027】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号47の36位に対応する位
置におけるDおよび/もしくは配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有する
配列を含むまたはかかる配列からなる。
【0028】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号7もしくは配列番号13の配列に対して少な
くとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも9
6%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なまたは同一な第1
のアミノ酸配列またはその活性断片と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチ
ドであって、この第1のアミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置における
Dおよび/または配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有するTβRII融
合ポリペプチドを提供する。
【0029】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸1~12に対
応する1~12アミノ酸または配列番号13のアミノ酸1~37に対応する1~37アミ
ノ酸のN末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は
、配列番号7または配列番号13のアミノ酸1~6に対応する6アミノ酸のN末端トラン
ケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミ
ノ酸1~12に対応する12アミノ酸または配列番号13のアミノ酸1~37に対応する
37アミノ酸のN末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ
酸配列は、配列番号7のアミノ酸137~132または配列番号13のアミノ酸162~
157に対応する1~6アミノ酸のC末端トランケーションを含む。一部の実施形態では
、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸132~137または配列番号13
のアミノ酸157~162に対応する6アミノ酸のC末端トランケーションを含む。一部
の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号47の117位と118位に対応
する残基の間に、配列番号18に対応する挿入を含む。
【0030】
一部の実施形態では、この異種部分は、in vivo安定性、in vivo半減期
、取り込み/投与、組織局在もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または精
製のうちの1または複数を増強する1または複数のポリペプチド部分を含む。一部の実施
形態では、この異種部分は、免疫グロブリンFcドメインおよび血清アルブミンから選択
されるポリペプチド部分を含む。さらなる実施形態では、この免疫グロブリンFcドメイ
ンは、リンカーによってこのTβRIIポリペプチドに接続されている。
【0031】
一部の実施形態では、このポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸
、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコン
ジュゲートしたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートしたアミノ酸から選択
される1または複数の修飾されたアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、このポリペ
プチドはグリコシル化されている。
【0032】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるア
ミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少な
くとも95%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からな
る第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する
。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるア
ミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外
ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合
ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47
~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を
含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分
とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列
番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも98%同
一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ
酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態
様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対
して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部
分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを
提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択
されるアミノ酸配列であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分から
なる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供す
る。
【0033】
ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、2
9、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対し
て少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%同
一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部
分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59
、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む
またはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開
示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37
、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であ
るアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分から
なるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60
、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミ
ノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の
態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、3
3、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも
97%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしく
はその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、5
8、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%
同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供す
る。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、
29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対
して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミ
ノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、
56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少
なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペ
プチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番
号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるア
ミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むま
たはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53
、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸
配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列
からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去
された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43か
ら選択されるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはそ
の部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、
59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配
列からなるポリペプチドを提供する。
【0034】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号26、28、30、32、34、36、38
、40、42および44から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対してストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むTβR
IIポリペプチドを提供する。
【0035】
上述の各々において、全長TβRII ECDを含まないTβRIIポリペプチドが、
選択され得る。TβRIIポリペプチドは、モノマータンパク質として、またはダイマー
化形態で、使用され得る。TβRIIポリペプチドはまた、改善された特性、例えば、増
加した半減期、または産生もしくは精製のより高い容易さを提供するために、第2のポリ
ペプチド部分に融合され得る。融合は、直接的であり得るか、またはリンカーが、TβR
IIポリペプチドと任意の他の部分との間に挿入され得る。リンカーは、構造化されてい
ても構造化されていなくてもよく、1、2、3、4、5、10、15、20、30、50
またはそれ超のアミノ酸からなり得、任意選択で二次構造を比較的含まなくてもよい。
【0036】
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドは、CHO細胞におけるこのポ
リペプチドの発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する。
【0037】
一部の実施形態では、本開示は、本開示の2つのTβRIIポリペプチドを含むホモダ
イマーを提供する。
【0038】
一部の実施形態では、本開示は、本開示のTβRIIポリペプチドのコード配列を含む
、単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、この単離さ
れたポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオ
チドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、本開示の単離されたポリヌクレオチド
または組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を提供する。一部の実施形態では、
この細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、この細胞は、CHO細胞または
ヒト細胞である。一部の実施形態では、この細胞は、HEK-293細胞である。
【0039】
ある特定の態様では、本開示は、本開示のTβRIIポリペプチドまたはホモダイマー
と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬調製物を提供する。
【0040】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである。
ある特定の態様では、抗体は、少なくともTβRIIに結合する。一部の実施形態では、
TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなど
の細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害
する。一部の実施形態では、TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1
または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリー
I型受容体またはTGFβスーパーファミリー共受容体が、TβRIIに結合することを
阻害する。一部の実施形態では、TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は
、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1または複数のT
GF-ベータスーパーファミリーリガンドが、TβRIIに結合することを阻害する。あ
る特定の態様では、抗体は、少なくともALK5に結合する。一部の実施形態では、AL
K5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞
ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、ALK5シグナル伝達を阻害する。一
部の実施形態では、ALK5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1または複数
のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリーII型受容
体またはTGFβスーパーファミリー共受容体が、ALK5に結合することを阻害する。
一部の実施形態では、ALK5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1
、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1または複数のTGF-ベータ
スーパーファミリーリガンドが、ALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様で
は、抗体は、少なくともベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、ベータグリカ
ンに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベ
ースのアッセイで任意選択で測定されるように、ベータグリカンシグナル伝達を阻害する
。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1
または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリー
I型受容体またはTGFβスーパーファミリーII型受容体が、ベータグリカンに結合す
ることを阻害する。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTβRIIアンタゴ
ニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1ま
たは複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドが、ベータグリカンに結合するこ
とを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、少なくともTG
Fβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合するTβRIIアンタゴニス
ト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定され
るように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合
するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1-TβRII、TGFβ1-ALK5
および/またはTGFβ1-ベータグリカン(betaglcyan)の結合を阻害する
。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、少なくともTGFβ2に結合
する。一部の実施形態では、TGFβ2に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本
明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、T
βRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ2に結合するTβRI
Iアンタゴニスト抗体は、TGFβ2-TβRII、TGFβ1-ALK5および/また
はTGFβ1-ベータグリカンの結合を阻害する。ある特定の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト抗体は、少なくともTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGF
β3に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞
ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。
一部の実施形態では、TGFβ3に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ
3-TβRII、TGFβ1-ALK5および/またはTGFβ1-ベータグリカンの結
合を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、多特異性抗体ま
たは多特異性抗体の組合せであり、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、
ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の細胞ベースのアッセイにおいて、シ
グナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒ
ト抗体である。一部の実施形態では、抗体は、単鎖抗体、F(ab’)2断片、単鎖ディ
アボディ(diabody)、タンデム単鎖Fv断片、タンデム単鎖ディアボディ、また
は単鎖ディアボディと免疫グロブリン重鎖定常領域の少なくとも一部分とを含む融合タン
パク質である。
【0041】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、小分子インヒビターまたは小分子
インヒビターの組合せである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子イ
ンヒビターは、少なくともTβRIIのインヒビターである。一部の実施形態では、Tβ
RIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともALK5のインヒビターである
。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともベ
ータグリカンのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小
分子インヒビターは、少なくともTGFβ1のインヒビターである。一部の実施形態では
、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともTGFβ2のインヒビタ
ーである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少な
くともTGFβ3のインヒビターである。
【0042】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、核酸インヒビターまたは核酸イン
ヒビターの組合せである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビ
ターは、少なくともTβRIIのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともALK5のインヒビターである。一部の
実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともベータグリカ
ンのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビ
ターは、少なくともTGFβ1のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTGFβ2のインヒビターである。一部
の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTGFβ3
のインヒビターである。
【0043】
ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに対する細胞の
応答をモジュレートする方法であって、細胞を本開示のTβRIIポリペプチドまたはホ
モダイマーに曝露するステップを含む方法を提供する。
【0044】
ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに対する細胞の
応答をモジュレートする方法であって、細胞を本開示のTβRIIポリペプチドまたはホ
モダイマーに曝露するステップを含む方法を提供する。
【0045】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載される骨髄増殖性障害(例えば、骨髄
線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障害の1もしく
は複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその
進行速度および/もしくは重症度を低減させるための医薬の製造における、骨髄増殖性障
害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせ
た、1または複数のTβRIIアンタゴニストの使用に関する。ある特定の態様では、本
開示は、本明細書に記載されるヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血
球増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の
合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるための医薬の製造における、ヤヌスキナーゼ関連障
害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を処置するための1または複数の他の支持療法
または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストの
使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載される骨髄増殖性障害(
例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障
害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際の使用のための、骨髄増殖
性障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合
わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストに関する。ある特定の態様では、本開
示は、本明細書に記載されるヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球
増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合
併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度お
よび/もしくは重症度を低減させる際の使用のための、ヤヌスキナーゼ関連障害を処置す
るための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1また
は複数のTβRIIアンタゴニストに関する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヤヌスキナーゼ関連障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、ヤヌス
キナーゼ関連障害の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必
要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目2)
ヤヌスキナーゼ障害またはヤヌスキナーゼ障害の1もしくは複数の合併症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって
、i)TβRIIアンタゴニストおよびii)ヤヌスキナーゼインヒビターを、ヤヌスキ
ナーゼ障害またはヤヌスキナーゼ障害の1もしくは複数の合併症の処置、予防、またはそ
の進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含み、
前記TβRIIアンタゴニストおよびヤヌスキナーゼインヒビターが有効量で投与される
、方法。
(項目3)
ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIア
ンタゴニストを、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の処置、予防、または
その進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む
方法。
(項目4)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1およびTGFβ3を阻害する、項目1か
ら3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRIIポリペプチドである、項目1から4のいず
れか一項に記載の方法。
(項目6)
前記TβRIIポリペプチドがFc融合タンパク質である、項目5に記載の方法。
(項目7)
TβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号103のアミノ酸配列を含む、項目6に
記載の方法。
(項目8)
前記患者が、機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する障害を有する、項目1から7の
いずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複
数のヤヌスキナーゼにおける機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する障害を有する、項
目8に記載の方法。
(項目10)
前記患者が、JAK2における機能獲得型変異と関連する障害を有する、項目9に記載
の方法。
(項目11)
前記患者が、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する障害を有
する、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複
数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する障害を有する、項目11に記載の方
法。
(項目13)
前記患者が、JAK2の構成的キナーゼ活性と関連する障害を有する、項目12に記載
の方法。
(項目14)
前記患者が、JAK2関連障害を有する、項目1から13のいずれか一項に記載の方法
。
(項目15)
前記患者が、JAK2V617F関連障害を有する、項目14に記載の方法。
(項目16)
ヤヌスキナーゼ関連障害の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば
、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血
球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血
小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症
、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞
、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性
の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される、
項目2から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記患者が、骨髄線維症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記患者が、原発性骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記患者が、真性赤血球増加症後骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記患者が、本態性血小板血症後骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記患者が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血お
よびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾
臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝
脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、
関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイ
トカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、骨骨
髄線維症、および失血からなる群から選択される、骨髄線維症の1または複数の合併症を
有する、項目17から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記患者が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)に従って、低リスク、中間-
1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のい
ずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスク、中間-1リス
ク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のいずれか
一項に記載の方法。
(項目24)
前記患者が、DIPSS-プラスに従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リス
クまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のいずれか一項に記載の方法
。
(項目25)
低リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、中間-1リスクから中間-2リスクの
骨髄線維症への、または中間-2リスクから高リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリス
クの進行を予防する、または遅延させる、項目22から24のいずれか一項に記載の方法
。
(項目26)
高リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、中間-2リスクから中間-1リスクの
骨髄線維症への、または中間-1リスクから低リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリス
クの後退を促進する、または増加させる、項目22から24のいずれか一項に記載の方法
。
(項目27)
前記患者が、真性赤血球増加症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法
。
(項目28)
前記患者が、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱、および体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、
早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、血管性事象、血栓塞栓性事象、出血、血
栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅
痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高
い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、上昇した炎症性サイトカイン、
炎症性合併症、およびIL-6媒介性炎症性合併症からなる群から選択される、真性赤血
球増加症の1または複数の合併症を有する、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する、項目27または28に記載の方法
。
(項目30)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記患者が、高リスクの真性赤血球増加症を有する、項目27または28に記載の方法
。
(項目33)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目3
2から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記患者が、本態性血小板血症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法
。
(項目37)
前記患者が、血小板増加症、低い白血球数、低いヘモグロビンレベル、低い乳酸デヒド
ロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害、体重減少、微小血
管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、脾腫、肝腫、炎症性合併症、IL-6炎症
性合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、および出血か
らなる群から選択される、本態性血小板血症の1または複数の合併症を有する、項目36
に記載の方法。
(項目38)
前記患者が、低リスクの本態性血小板血症を有する、項目36または37に記載の方法
。
(項目39)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記患者が、高リスクの本態性血小板血症を有する、項目36または37に記載の方法
。
(項目42)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目4
1から43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記患者が、線維症を有する、項目1から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目4
5に記載の方法。
(項目47)
脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/
組織における線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させ
る、項目46に記載の方法。
(項目48)
骨髄線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項
目47に記載の方法。
(項目49)
前記患者が、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0、
1、2、3または4の骨髄線維症を有する、項目48に記載の方法。
(項目50)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、4から3、4から2、4か
ら1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0
の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目49に記載の方法。
(項目51)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0か
ら2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、また
は3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目49
に記載の方法。
(項目52)
前記患者が、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード0、1、2ま
たは3の骨髄線維症を有する、項目48に記載の方法。
(項目53)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、3から2、3から1、3か
ら0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる
、項目52に記載の方法。
(項目54)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0か
ら2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防
する、または遅延させる)、項目52に記載の方法。
(項目55)
脾臓線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項
目47に記載の方法。
(項目56)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される、項目1から55のい
ずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される、項目1から55のい
ずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記線維症が骨髄線維症である、項目56または57に記載の方法。
(項目59)
前記線維症が脾臓線維症である、項目56または57に記載の方法。
(項目60)
前記患者が、臓器/組織腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比
較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を有する、項目1から59の
いずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記患者が、臓器/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比
較して、増加した臓器/組織炎症)を有する、項目1から60のいずれか一項に記載の方
法。
(項目62)
臓器/組織の腫大および/または炎症を処置する、またはその進行速度および/もしく
は重症度を低減させる、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記患者が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される1ま
たは複数の臓器/組織の、臓器/組織の腫大および/または炎症を有する、項目60から
62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記患者が、脾腫を有する、項目1から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
脾腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目64
に記載の方法。
(項目66)
前記患者が、肝腫を有する、項目1から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
肝腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目66
に記載の方法。
(項目68)
前記患者が、髄外造血を有する、項目1から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目
68に記載の方法。
(項目70)
脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群から選択される1または複数の臓
器/組織における髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低
減させる、項目69に記載の方法。
(項目71)
1または複数の臓器/組織における炎症性サイトカインレベル(例えば、血清サイトカ
インレベル)を低減させる、項目1から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
1または複数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させる、項目71に記載の方
法。
(項目73)
前記患者において赤血球レベルを増加させる、項目1から15、17から28および4
5から72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記患者においてヘモグロビンレベルを増加させる、項目1から15、17から28お
よび45から73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記患者が、貧血を有する、項目1から15、17から28および45から74のいず
れか一項に記載の方法。
(項目76)
貧血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目75
に記載の方法。
(項目77)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前に、前記患者に1または複数回の血球輸血が投
与されている、項目1から15、17から28および45から76のいずれか一項に記載
の方法。
(項目78)
前記患者が、血球輸血依存的である、項目1から15、17から28および45から7
7のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
血球輸血の負担を減少させる、項目78に記載の方法。
(項目80)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたっ
て、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または1
00%減少させる、項目79に記載の方法。
(項目81)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたっ
て、血球輸血を約50%超減少させる、項目80に記載の方法。
(項目82)
鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目
1から15、17から28および45から81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
肝臓、脾臓および心臓からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における鉄
過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目82
に記載の方法。
(項目84)
前記患者において対立遺伝子負荷を低減させる、項目1から83のいずれか一項に記載
の方法。
(項目85)
1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目84に
記載の方法。
(項目86)
JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキ
ナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目85に記載の方法。
(項目87)
1または複数のJAK2対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目86に記載の
方法。
(項目88)
前記1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子が、1または複数のヤヌスキナーゼの上
昇したまたは構成的な活性化を生じる1または複数の変異と関連する、項目85から87
のいずれか一項に記載の方法。
(項目89)
JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる、項目85から88のいずれか一項
に記載の方法。
(項目90)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている、またはヤヌスキナー
ゼインヒビターで処置されたことがある、項目1および3から89のいずれか一項に記載
の方法。
(項目91)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置に対して不耐性または抵抗性であ
る、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、少なくともJAK2を阻害する、項目90または
91に記載の方法。
(項目93)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302
503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-
1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701
、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目90から92のいず
れか一項に記載の方法。
(項目94)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記患者が、ヒドロキシウレアで現在処置されている、またはヒドロキシウレアで処置
されたことがある、項目1から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目9
5に記載の方法。
(項目97)
骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度お
よび/もしくは重症度を低減させるための方法であって、i)TβRIIアンタゴニスト
およびii)ヤヌスキナーゼインヒビターを、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の
処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与
するステップを含み、前記TβRIIアンタゴニストおよびヤヌスキナーゼインヒビター
が有効量で投与される、方法。
(項目98)
骨髄増殖性障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を
低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、骨髄増殖性障害
の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投
与するステップを含む方法。
(項目99)
骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度お
よび/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニ
ストを、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目100)
前記骨髄増殖性障害が骨髄線維症である、項目97から99のいずれか一項に記載の方
法。
(項目101)
前記骨髄線維症が原発性骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記骨髄線維症が真性赤血球増加症後骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目103)
前記骨髄線維症が本態性血小板減少症後骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目104)
骨髄線維症の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造
血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線
維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、
貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期
満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症
、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または
炎症性合併症、骨硬化症、骨骨髄線維症、および失血からなる群から選択される、項目1
00から103のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記患者が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)に従って、低リスク、中間-
1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104
のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスク、中間-1リス
ク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104のいず
れか一項に記載の方法。
(項目107)
前記患者が、DIPSS-プラスに従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リス
クまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104のいずれか一項に記載の
方法。
(項目108)
低リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、中間-1リスクから中間-2リスクの
骨髄線維症への、または中間-2リスクから高リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリス
クの進行を予防する、または遅延させる、項目105から107のいずれか一項に記載の
方法。
(項目109)
高リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、中間-2リスクから中間-1リスクの
骨髄線維症への、または中間-1リスクから低リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリス
クの後退を促進する、または増加させる、項目105から107のいずれか一項に記載の
方法。
(項目110)
前記骨髄増殖性障害が真性赤血球増加症である、項目97から99のいずれか一項に記
載の方法。
(項目111)
真性赤血球増加症の前記1または複数の合併症が、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱、
体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、血管性お
よび/または血栓塞栓性事象、出血、血栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視力障害、
遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過
剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板
レベル、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、ならびにIL-6媒介性炎症性合
併症からなる群から選択される、項目110に記載の方法。
(項目112)
前記患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する、項目110または111に記載の
方法。
(項目113)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目112に記載の方法
。
(項目115)
前記患者が、高リスクの真性赤血球増加症を有する、項目110または111に記載の
方法。
(項目116)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目115に記載の方法。
(項目117)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目115に記載の方法
。
(項目118)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目1
15から117のいずれか一項に記載の方法。
(項目119)
前記骨髄増殖性障害が本態性血小板減少症である、項目97から99のいずれか一項に
記載の方法。
(項目120)
本態性血小板減少症の前記1または複数の合併症が、血小板増加症、低い白血球数、低
いヘモグロビンレベル、低い乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心
、しびれ、視覚障害、および体重減少、微小血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛
症、脾腫、肝腫、炎症性合併症、IL-6炎症性合併症、上昇した炎症性サイトカインレ
ベル、上昇したIL-6レベル、および出血からなる群から選択される、項目119に記
載の方法。
(項目121)
前記患者が、低リスクの本態性血小板減少症を有する、項目119または120に記載
の方法。
(項目122)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目121に記載の方法
。
(項目124)
前記患者が、高リスクの本態性血小板減少症を有する、項目119または120に記載
の方法。
(項目125)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目124に記載の方法
。
(項目127)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目1
24から126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記患者が、機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目
97から127のいずれか一項に記載の方法。
(項目129)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複
数のヤヌスキナーゼにおける機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する骨髄増殖性障害を
有する、項目128に記載の方法。
(項目130)
前記患者が、JAK2における機能獲得型変異と関連する骨髄増殖性障害を有する、項
目129に記載の方法。
(項目131)
前記患者が、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖
性障害を有する、項目97から130のいずれか一項に記載の方法。
(項目132)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複
数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目13
1に記載の方法。
(項目133)
前記患者が、JAK2の構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目
132に記載の方法。
(項目134)
前記患者が、JAK2関連骨髄増殖性障害を有する、項目97から133のいずれか一
項に記載の方法。
(項目135)
前記患者が、JAK2V617F関連骨髄増殖性障害を有する、項目134に記載の方
法。
(項目136)
JAK2関連障害を処置する、予防する、またはその重症度もしくは進行速度を低減さ
せる方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、JAK2関連障害の処置、予
防、またはその重症度もしくは進行速度の低減を必要とする患者に投与するステップを含
む方法。
(項目137)
JAK2関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴ
ニストを、JAK2関連障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度
および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目138)
JAK2関連障害の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓
髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少
症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減
少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛
、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血
、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症
または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される、項目1
37に記載の方法。
(項目139)
前記JAK2関連障害が、JAK2V617F変異関連障害である、項目136から1
38のいずれか一項に記載の方法。
(項目140)
前記骨髄増殖性障害が、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、J
AK1、JAK2、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよび
LNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異と関
連する、項目97から139のいずれか一項に記載の方法。
(項目141)
前記骨髄増殖性障害が、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK
2V617F、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL
1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マ
ーカーと関連する、項目97から140のいずれか一項に記載の方法。
(項目142)
前記患者が、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、J
AK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から
選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異をさらに有する、項目13
6から140のいずれか一項に記載の方法。
(項目143)
前記患者が、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASX
L1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL
1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーを有する、項目142に記
載の方法。
(項目144)
前記患者において対立遺伝子負荷を低減させる、項目97から143のいずれか一項に
記載の方法。
(項目145)
1または複数のJAK2変異の対立遺伝子負荷を低減させる、項目144に記載の方法
。
(項目146)
JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる、項目145に記載の方法。
(項目147)
IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK3、TY
K2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1
または複数の遺伝子における1または複数の変異の対立遺伝子負荷を低減させる、項目1
44から146のいずれか一項に記載の方法。
(項目148)
JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CA
LR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる
群から選択される1または複数の遺伝子マーカーの対立遺伝子負荷を低減させる、項目1
47に記載の方法。
(項目149)
前記患者が、線維症を有する、項目97から148のいずれか一項に記載の方法。
(項目150)
線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目1
49に記載の方法。
(項目151)
脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/
組織における線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させ
る、項目150に記載の方法。
(項目152)
骨髄線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項
目151に記載の方法。
(項目153)
前記患者が、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0、
1、2、3または4の骨髄線維症を有する、項目152に記載の方法。
(項目154)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、4から3、4から2、4か
ら1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0
の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目153に記載の方法。
(項目155)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0か
ら2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、また
は3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目15
3に記載の方法。
(項目156)
前記患者が、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード0、1、2ま
たは3の骨髄線維症を有する、項目152に記載の方法。
(項目157)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、3から2、3から1、3か
ら0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる
、項目156に記載の方法。
(項目158)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0か
ら2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防
する、または遅延させる)、項目156に記載の方法。
(項目159)
脾臓線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項
目151に記載の方法。
(項目160)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される、項目97から159
のいずれか一項に記載の方法。
(項目161)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される、項目97から159
のいずれか一項に記載の方法。
(項目162)
前記線維症が骨髄線維症である、項目160または161に記載の方法。
(項目163)
前記線維症が脾臓線維症である、項目160または161に記載の方法。
(項目164)
前記患者が、臓器/組織腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比
較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を有する、項目79から16
3のいずれか一項に記載の方法。
(項目165)
前記患者が、臓器/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比
較して、増加した臓器/組織炎症)を有する、項目79から163のいずれか一項に記載
の方法。
(項目166)
臓器/組織の腫大および/または炎症を処置する、またはその進行速度および/もしく
は重症度を低減させる、項目164または165に記載の方法。
(項目167)
前記患者が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される1ま
たは複数の臓器/組織の、臓器/組織の腫大および/または炎症を有する、項目164か
ら166のいずれか一項に記載の方法。
(項目168)
前記患者が、脾腫を有する、項目97から167のいずれか一項に記載の方法。
(項目169)
脾腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目16
8に記載の方法。
(項目170)
前記患者が、肝腫を有する、項目97から169のいずれか一項に記載の方法。
(項目171)
肝腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目17
0に記載の方法。
(項目172)
前記患者が、髄外造血を有する、項目97から171のいずれか一項に記載の方法。
(項目173)
髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目
172に記載の方法。
(項目174)
脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群から選択される1または複数の臓
器/組織における髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低
減させる、項目173に記載の方法。
(項目175)
1または複数の臓器/組織における炎症性サイトカインレベル(例えば、血清サイトカ
インレベル)を低減させる、項目79から174のいずれか一項に記載の方法。
(項目176)
1または複数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させる、項目175に記載の
方法。
(項目177)
前記患者において赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを増加させる、項目
97から109および128から176のいずれか一項に記載の方法。
(項目178)
前記患者が、貧血を有する、項目97から109および128から177のいずれか一
項に記載の方法。
(項目179)
貧血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目17
8に記載の方法。
(項目180)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前に、前記患者に1または複数回の血球輸血が投
与されている、項目97から109および128から179のいずれか一項に記載の方法
。
(項目181)
前記患者が、血球輸血依存的である、項目97から109および128から180のい
ずれか一項に記載の方法。
(項目182)
血球輸血の負担を減少させる、項目181に記載の方法。
(項目183)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたっ
て、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または1
00%減少させる、項目182に記載の方法。
(項目184)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたっ
て、血球輸血を約50%超減少させる、項目183に記載の方法。
(項目185)
鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目
97から109および128から184のいずれか一項に記載の方法。
(項目186)
肝臓、脾臓および心臓からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における鉄
過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目18
5に記載の方法。
(項目187)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている、またはヤヌスキナー
ゼインヒビターで処置されたことがある、項目98から186のいずれか一項に記載の方
法。
(項目188)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置に対して不耐性または抵抗性であ
る、項目187に記載の方法。
(項目189)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、少なくともJAK2を阻害する、項目187また
は188に記載の方法。
(項目190)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302
503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-
1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701
、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目189に記載の方法
。
(項目191)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目190に記載の方法。
(項目192)
前記患者が、ヒドロキシウレアで現在処置されている、またはヒドロキシウレアで処置
されたことがある、項目97から191のいずれか一項に記載の方法。
(項目193)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目1
92に記載の方法。
(項目194)
骨髄増殖性障害、ヤヌスキナーゼ関連障害および/またはJAK2関連障害を処置する
ための1または複数のさらなる活性薬剤または支持療法を投与するステップをさらに含む
、項目1から193のいずれか一項に記載の方法。
(項目195)
前記1または複数のさらなる活性薬剤または支持療法が、輸血(全血または赤血球輸血
)、赤血球生成刺激剤[例えば、ESA、例えば、エリスロポエチン(EPO)およびそ
の誘導体]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステ
ロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾン、レナリドミド、鉄キ
レート剤、デフェロキサミン、デフェリプロン、デフェラシロクス、ヒドロキシウレア、
クラドリビン、ルキソリチニブ、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、A
ZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタウ
ルチニブ、SEP-701、AT-9283、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、J
AK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のインヒビター)、脾臓摘出術、放
射線療法、アスピリン、免疫調節薬、PI3K/mTORインヒビター、エピジェネティ
ック因子モジュレーター、ポマリドミド、ラパマイシン、シロリムス、デフォロリムス、
エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、
PK1-587、INK128、AZD8055、AZD2014、ヒストンデアセチラ
ーゼインヒビター、ギビノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、コルチコス
テロイド、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレ
キセート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコフ
ェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキン、カルシウムチャネルブロッカー、ニフェ
ジピン、アンジオテンシン変換酵素インヒビターインヒビター、パラ-アミノ安息香酸、
ジメチルスルホキシド、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)インヒビター
、インターロイキン-5(IL-5)インヒビター、凡カスパーゼインヒビター、レクチ
ン、コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリドマイド、
ペントキシフィリン、およびテオフィリンからなる群から選択される、項目194に記載
の方法。
(項目196)
前記さらなる活性薬剤がヤヌスキナーゼインヒビターである、項目195に記載の方法
。
(項目197)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群か
ら選択されるヤヌスキナーゼのうち1または複数を阻害する、項目196に記載の方法。
(項目198)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、細胞ベースのアッセイにおいて、JAK1、JA
K2およびJAK3のうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目197に記載の
方法。
(項目199)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302
503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-
1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701
、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目196から198の
いずれか一項に記載の方法。
(項目200)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目199に記載の方法。
(項目201)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ1アンタゴニストである、項目1から200
のいずれか一項に記載の方法。
(項目202)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ2アンタゴニストである、項目1から200
のいずれか一項に記載の方法。
(項目203)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ3アンタゴニストである、項目1から200
のいずれか一項に記載の方法。
(項目204)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRII受容体アンタゴニストである、項目1から
200のいずれか一項に記載の方法。
(項目205)
前記TβRIIアンタゴニストがALK5アンタゴニストである、項目1から200の
いずれか一項に記載の方法。
(項目206)
前記TβRIIアンタゴニストがベータグリカンアンタゴニストである、項目1から2
00のいずれか一項に記載の方法。
(項目207)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1およびTGFβ3アンタゴニストである
、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目208)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ2をアンタゴナイズしない、またはTGF
β2を実質的にアンタゴナイズしない、項目207に記載の方法。
(項目209)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRIIポリペプチドである、項目1から207の
いずれか一項に記載の方法。
(項目210)
前記TβRIIポリペプチドがTβRII-Fc融合タンパク質である、項目209に
記載の方法。
(項目211)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、
a)配列番号5の23位~35位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~1
59位のいずれかにおいて終わる配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列;
b)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列番号6の178位~1
84位のいずれかにおいて終わる配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列;
c)配列番号5の23位において始まり配列番号5の159位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
d)配列番号5の29位において始まり配列番号5の159位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
e)配列番号5の35位において始まり配列番号5の159位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
f)配列番号5の23位において始まり配列番号5の153位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
g)配列番号5の29位において始まり配列番号5の153位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
h)配列番号5の35位において始まり配列番号5の153位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
i)配列番号6の23位において始まり配列番号6の184位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
j)配列番号6の29位において始まり配列番号6の184位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
k)配列番号6の23位において始まり配列番号6の178位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
l)配列番号6の29位において始まり配列番号6の178位において終わる配列から
なるアミノ酸配列;
m)配列番号7の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、
93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるア
ミノ酸配列、および免疫グロブリンFcドメイン由来の第2のアミノ酸であって、第1の
アミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/または配列番
号47の76位に対応する位置におけるKを有する、アミノ酸配列;
n)配列番号13の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である
アミノ酸配列、および免疫グロブリンFcドメイン由来の第2のアミノ酸であって、第1
のアミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/または配列
番号47の76位に対応する位置におけるKを有する、アミノ酸配列;
o)配列番号7~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、4
3、47~62、104および105から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも8
0%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、9
8%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
p)配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列;
q)配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列;
r)配列番号104のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列;ならびに
s)配列番号105のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目212)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号10
3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%
、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸
配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目213)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号10
1のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、
33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45また
は46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~186(例え
ば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、17
9、180、181、182、183、184、185または186)のいずれか1つに
おいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である
アミノ酸配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目214)
リンカードメインが、TβRIIドメインと免疫グロブリンFcドメインとの間に位置
付けられる、項目210または211に記載の方法。
(項目215)
前記TβRIIポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネ
シル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、および脂質部分にコンジュ
ゲートしたアミノ酸から選択される1または複数の修飾されたアミノ酸残基を含む、項目
209から214のいずれか一項に記載の方法。
(項目216)
前記ポリペプチドがグリコシル化されている、項目215に記載の方法。
(項目217)
前記ポリペプチドが、CHO細胞における前記ポリペプチドの発現に特徴的なグリコシ
ル化パターンを有する、項目215に記載の方法。
(項目218)
項目209から217のいずれか一項で規定される2つのポリペプチドを含むホモダイ
マー。
(項目219)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβに結合する、項目209から218のいずれ
か一項に記載の方法。
(項目220)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ1に結合する、項目219に記載の方法。
(項目221)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ3に結合する、項目219に記載の方法。
(項目222)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目219
に記載の方法。
(項目223)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ2に結合しない、項目222に記載の方法。
(項目224)
前記TβRIIアンタゴニストが、抗体または抗体の組合せである、項目1から208
のいずれか一項に記載の方法。
(項目225)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII
、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数に結合する抗体または抗体の組合せ
である、項目224に記載の方法。
(項目226)
前記抗体が、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベー
タグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目224または225に記
載の方法。
(項目227)
前記抗体または抗体の組合せが、細胞ベースのアッセイにおいて、前記1または複数の
シグナル伝達を阻害する、項目226に記載の方法。
(項目228)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII
、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数に結合する多特異性抗体または多特
異性抗体の組合せである、項目224に記載の方法。
(項目229)
前記多特異性抗体または多特異性抗体の組合せが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ
3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻
害する、項目224または228に記載の方法。
(項目230)
多特異性抗体または多特異性抗体の組合せが、細胞ベースのアッセイにおいて、前記1
または複数のシグナル伝達を阻害する、項目229に記載の方法。
(項目231)
前記抗体が、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である、項目224
から230のいずれか一項に記載の方法。
(項目232)
前記抗体が、単鎖抗体、F(ab’)2断片、単鎖ディアボディ、タンデム単鎖Fv断
片、タンデム単鎖ディアボディ、または単鎖ディアボディと免疫グロブリン重鎖定常領域
の少なくとも一部分とを含む融合タンパク質である、項目224から231のいずれか一
項に記載の方法。
(項目233)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII
、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の小分子インヒビターである、項目
1から208のいずれか一項に記載の方法。
(項目234)
前記小分子インヒビターが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、AL
K5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目233に
記載の方法。
(項目235)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII
、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の核酸インヒビターである、項目1
から209のいずれか一項に記載の方法。
(項目236)
前記核酸インヒビターが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK
5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目235に記
載の方法。
(項目237)
配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、
92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目238)
配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、
92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一
であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目239)
配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30
、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、
44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170
~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177
、178、179、180、181、182、183、184、185または186)の
いずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、
91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または10
0%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目240)
グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミ
ノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートしたアミノ酸、および有機誘導体
化剤にコンジュゲートしたアミノ酸から選択される1または複数の修飾されたアミノ酸残
基を含む、項目237から239のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目241)
グリコシル化されている、項目240に記載のポリペプチド。
(項目242)
グリコシル化されており、CHO細胞における発現から取得可能なグリコシル化パター
ンを有する、項目241に記載のポリペプチド。
(項目243)
TGFβ1に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目244)
TGFβ3に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目245)
TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載
のポリペプチド。
(項目246)
TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない、項目245に記載
のポリペプチド。
(項目247)
単離された、項目237から246のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目248)
組換えである、項目237から247のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目249)
項目237から247のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬調製物。
(項目250)
さらなる活性薬剤を含む、項目249に記載の医薬調製物。
(項目251)
さらなる活性薬剤および/または支持療法と組み合わせて投与される、項目249に記
載の医薬調製物。
(項目252)
前記さらなる活性薬剤がルキソリチニブである、項目250または251に記載の医薬
調製物。
(項目253)
項目237から248のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド。
(項目254)
配列番号102の相補体にハイブリダイズする、項目253に記載のポリヌクレオチド
。
(項目255)
配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92
%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であ
る核酸配列を含む、項目253に記載のポリヌクレオチド。
(項目256)
単離されたポリヌクレオチドである、項目253から255のいずれか一項に記載のポ
リヌクレオチド。
(項目257)
組換えである、項目253から256のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(項目258)
項目253から257のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞。
(項目259)
哺乳動物細胞である、項目258に記載の細胞。
(項目260)
CHO細胞である、項目259に記載の細胞。
(項目261)
TβRII-Fc融合タンパク質を作製するための方法であって、前記TβRII-F
c融合タンパク質の発現に適切な条件下で細胞を培養するステップを含み、前記細胞が、
項目253から257のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、方法。
(項目262)
前記TβRII-Fc融合タンパク質を回収するさらなるステップを含む、項目261
に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれる
。有色の図面(複数可)を伴う本特許または特許出願公開の複製が、申請および必要な料
金の納付時に特許庁によって提供される。
【0047】
【
図1】
図1は、ヒトTGFβ受容体II型(hTβRII)のB(短)アイソフォームのネイティブ前駆体のアミノ酸配列(NP_003233.4)を示す図である。実線の下線は、成熟細胞外ドメイン(ECD)(残基23~159)を示し、二重下線は、A(長)アイソフォームにおいて置き換えられるバリンを示す。点線の下線は、リーダー(残基1~22)を示す。
【0048】
【
図2】
図2は、ヒトTβRIIのA(長)アイソフォームのネイティブ前駆体のアミノ酸配列(NP_001020018.1)を示す図である。実線の下線は、成熟ECD(残基23~184)を示し、二重下線は、スプライス生成されたイソロイシン置換を示す。点線の下線は、リーダー(残基1~22)を示す。
【0049】
【
図3】
図3は、hTβRII短トランケーションおよびそれらのhTβRII長対応物のN末端アラインメントを示す図である。hTβRII長トランケーション中に存在する25アミノ酸の挿入に下線を付す。スプライシングプロセスによって、短アイソフォーム中の挿入部位に隣接するバリンが、長アイソフォームではイソロイシンによって置き換えられることに留意のこと。四角で囲んだ配列はリーダーを示す。
【0050】
【
図4】
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図4B)、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図4C)、および同齢の野生型マウス(
図4A)由来の骨生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス由来の骨髄試料において低減された。
【0051】
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、JAK2V617Fマウスにおける赤血球レベル(
図5A)および脾臓重量(
図5B)に対するmTβRII-Fcの影響を示す。mTβRII-Fc処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、RBCレベルに対して中程度の影響を有し、脾臓重量を著しく減少させた(-29%、p<0.01)。
【0052】
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図6A)およびmTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図6B)由来の脾臓生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス由来の脾臓試料において低減された。
【0053】
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、JAK2V617Fマウスにおける赤血球レベル(
図7A)および脾臓重量(
図7B)に対するmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの影響を示す。単独の、またはmTβRII-Fcと組み合わせたRux処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、RBCレベルを著しく低下させ、脾臓重量を低減させた(ビヒクルに対して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。mTβRII-Fc単独処置は、RBCレベルおよび脾臓重量に対して、より中程度の影響を有した(ビヒクルに対して、*P<0.05および**P<0.01)。
【0054】
【
図8】
図8A、
図8B、
図8Cおよび
図8Dは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図8A)、ルキソリチニブ処置JAK2V617Fマウス(
図8B)、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図8C)、ならびにmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの両方で処置したJAK2V617Fマウス(
図8D)由来の骨生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617FマウスならびにmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの両方で処置したJAK2V617Fマウス由来の骨髄試料において低減された。
【発明を実施するための形態】
【0055】
1.概説
本明細書に記載されるタンパク質は、特記しない限り、ヒト形態である。これらのタン
パク質に対するNCBI参照は、以下の通りである:ヒトTβRIIアイソフォームA(
hTβRII長)、NP_001020018.1およびヒトTβRIIアイソフォーム
B(hTβRII短)、NP_003233.4。ネイティブヒトTβRIIタンパク質
の配列は、
図1~2に示される。
【0056】
TGFβスーパーファミリーは、共通の配列エレメントおよび構造モチーフを共有する
種々の増殖因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および非脊椎動物の両方におい
て多種多様な細胞型に対して生物学的効果を発揮することが公知である。このスーパーフ
ァミリーのメンバーは、パターン形成および組織特異化において胚発生の間に重要な機能
を果たし、脂肪生成、筋形成、軟骨形成、心発生、造血発生、神経発生および上皮細胞分
化を含む種々の分化プロセスに影響を与え得る。TGFβファミリーのメンバーの活性を
操作することによって、生物において顕著な生理学的変化を引き起こすことが可能な場合
が多い。例えば、ピエモンテ(Piedmontese)およびベルギアンブルー(Be
lgian Blue)のウシ品種は、筋肉量における顕著な増加を引き起こす、GDF
8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子における機能喪失型変異を保有する。[Grob
etら、(1997)Nat Genet.17巻(1号):71~4頁]同様に、ヒト
では、GDF8の不活性対立遺伝子は、増加した筋肉量、および報告によれば、例外的な
強さと関連する。[Schuelkeら、(2004)N Engl J Med、35
0巻:2682~8頁]
【0057】
TGFβシグナルは、リガンド刺激の際に下流のSMADタンパク質をリン酸化および
活性化する、I型(例えば、TβRI)およびII型(例えば、TβRII)セリン/ス
レオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体によって媒介される[Massague、(
2000)、Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1巻:169~1
78頁]。これらのI型およびII型の受容体は、システインリッチ領域を有するリガン
ド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されたセリン/スレオニン特異性
を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。I型受容体は、シグナ
ル伝達に重要である;II型受容体は、リガンドに結合するためおよびI型受容体の発現
のために必要とされる。I型およびII型の受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を
形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化を生じる。TGFβは、各々in v
ivoで個別の機能を有する3つの哺乳動物アイソフォーム、TGFβ1、TGFβ2お
よびTGFβ3を有する。TβRIIへのTGFβの結合は、TGFβシグナル伝達経路
の活性化を開始する際の重要なステップであり、SMAD2のリン酸化、および活性化さ
れたSMAD2/SMAD4複合体の核への転位置をもたらして、遺伝子発現をモジュレ
ートする。
【0058】
驚くべきことに、可溶性TβRIIポリペプチドは、GDF15に対する高度に特異的
な高親和性の結合を有することが、本明細書で示される。TβRIIは、TGFβに対す
る公知のII型受容体であり、高い親和性でTGFβ1およびTGFβ3と結合する。ヒ
トTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングによって生成
される、少なくとも2つのアイソフォーム-A(長)およびB(短)-として天然に生じ
る(
図2および1ならびに配列番号6および5)。この長アイソフォームは、25アミノ
酸の挿入を有し、スプライシングプロセスによって、短アイソフォーム中の挿入部位に隣
接するバリンが、長アイソフォームではイソロイシンによって置き換えられる。可溶性受
容体外部ドメインは、リガンド-受容体相互作用を阻害するために、スカベンジャーまた
はリガンドトラップとして機能し得る。ネイティブTβRII細胞外ドメイン(外部ドメ
イン)を取り込んでいる可溶性TβRII-Fc融合タンパク質などのリガンドトラップ
は、TGFβ1およびTGFβ3を含むTβRIIリガンドに対する凡インヒビターとし
て機能する。一部の治療設定では、このより広いスペクトルのリガンド結合およびシグナ
ル阻害が有利であり得るが、他の設定では、より選択的な分子が優れている可能性がある
。TβRII外部ドメインポリペプチドなどのリガンドトラップが選択的なリガンド結合
プロファイルを示すことは、高度に望ましい。したがって、ある特定の態様では、本開示
は、種々のTGFβ1またはTGFβ3関連障害を処置する際の使用のための、TGFβ
1またはTGFβ3のアンタゴニストとしての、TβRIIポリペプチドを提供する。任
意の特定の作用機構に束縛されることは望まないが、かかるポリペプチドは、TGFβ1
またはTGFβ3と結合し、これらのリガンドが三元シグナル伝達複合体を形成する能力
を阻害することによって作用すると予測される。
【0059】
骨髄増殖性障害は、血球(血小板、白血球および赤血球)の一部または全てにおける慢
性的な増加を一部特徴とする一群の状態である。この群の血液障害には、真性赤血球増加
症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症(PM
F)、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)および慢性
骨髄性白血病(CML)が含まれる。骨髄増殖性障害は、造血幹細胞における形質転換か
ら生じると一般に考えられている。実際、CMLは、フィラデルフィア転座から最も一般
的に生じる、その原因分子病変であるBCR-ABL融合物によって規定される。最近、
いくつかのグループが、BCR-ABL陰性骨髄増殖性障害PV、ETおよび骨髄線維症
(MF)を有する患者において、チロシンキナーゼJAK2の機能獲得型(JAK2V6
17F)を、主要な分子的欠陥として同定した。JAK2V617Fマウスは、ヒト本態
性血小板血症および真性赤血球増加症と密接に似た病理を発病する[Xingら(200
8年)Blood 111巻:5109~5117頁]。加齢と共に、これらのJAK2
V617Fマウスは、原発性骨髄線維症様の病理もまた発病する。本明細書で開示するよ
うに、TβRII-Fc処置が、JAK2V617F疾患モデルにおいて、脾腫、線維症
および他の病的状態を低減できることが発見された。
【0060】
本明細書で提示されるデータは、TβRIIアンタゴニストが、JAK2V617F変
異からの合併症結果を処置または予防するために使用され得ることを実証しており、かか
る治療薬が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および骨髄
線維症)ならびにヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を処置
するために使用され得ることを示している。初期(例えば、脾腫)、および後期疾患病理
(例えば、線維症および炎症促進性サイトカイン)の発症の低減/遅延に対する効果を考
慮すると、TβRIIアンタゴニストは、線維症および他の後期疾患合併症の発症を予防
する/遅延させるためまたはその重症度を低減させるため、ならびにしたがって、続発性
骨髄線維症疾患(それぞれ、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨
髄線維症)への移行を予防する/遅延させるための、真性赤血球増加症および本態性血小
板血症の処置に特に十分に適し得る。また、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患
者において、処置された末期線維症および炎症における陽性の効果を明確に実証している
。
【0061】
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内で、かつ各用語が使用される特
定の文脈において、当該分野におけるそれらの通常の意味を有する。特定の用語は、本発
明の組成物および方法ならびにそれらを如何にして作製および使用するかを記載すること
において、実務者にさらなるガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の箇
所において議論される。用語の任意の使用の範囲または意味は、その用語が使用される特
定の文脈から明らかである。
【0062】
「相同」とは、その全ての文法的形態およびつづりのバリエーションで、同じ種の生物
におけるスーパーファミリー由来のタンパク質、ならびに異なる種の生物由来の相同タン
パク質を含む、「共通の進化的起源」を有する2つのタンパク質間の関係性に関する。か
かるタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、パーセント同一性に関するものであれ
、特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであれ、それらの
配列類似性によって反映される、配列相同性を有する。用語「配列類似性」とは、その全
ての文法的形態で、共通の進化的起源を共有してもしなくてもよい核酸またはアミノ酸配
列間での同一性または対応の程度を指す。しかし、共通の用法において、および本出願に
おいて、用語「相同」とは、「高度に」などの副詞で修飾される場合、配列類似性を指し
得、共通の進化的起源に関係してもしなくてもよい。
【0063】
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関して「パーセント(%)配列同一性
」は、配列をアラインし、必要に応じて、最大のパーセント配列同一性を達成するために
ギャップを導入した後、配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮せずに、参照
ポリペプチド(ヌクレオチド)配列中のアミノ酸残基(または核酸)に対して同一である
、候補配列中のアミノ酸残基(または核酸)の百分率として定義される。パーセントアミ
ノ酸配列同一性を決定することを目的としたアラインメントは、当業者の技術範囲内にあ
る種々の方法で、例えば、公に入手可能なコンピューターソフトウェア、例えば、BLA
ST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウ
ェアを使用して達成され得る。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のア
ラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするた
めの適切なパラメーターを決定することができる。しかし、本明細書の目的のために、%
アミノ酸(核酸)配列同一性値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を
使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムは、Genen
tech,Inc.によって作成され、ソースコードは、アメリカ著作権局、Washi
ngton D.C.、20559においてユーザー文書と共にファイルされており、こ
れは、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プ
ログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco
、Calif.から公に入手可能であり、またはソースコードからコンパイルされ得る。
ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNI
X(登録商標)オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルすべきである。全
ての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動はさせ
ない。
【0064】
「アゴナイズする」とは、その全ての文法的形態で、タンパク質および/もしくは遺伝
子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅することによって、ま
たは不活性タンパク質を活性状態に入るように誘導することによって)活性化するプロセ
ス、またはタンパク質の活性および/もしくは遺伝子の活性を増加させるプロセスを指す
。
【0065】
「アンタゴナイズする」とは、その全ての文法的形態で、タンパク質および/もしくは
遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害もしくは減少させることによって
、または活性タンパク質を不活性状態に入るように誘導することによって)阻害するプロ
セス、またはタンパク質の活性および/もしくは遺伝子の活性を減少させるプロセスを指
す。
【0066】
用語「約」および「およそ」は、本明細書および特許請求の範囲を通じて数値と併せて
使用する場合、当業者によく知られた、当業者にとって許容可能な正確さの区間を示す。
一般に、正確さのかかる区間は、±10%である。あるいは、特に生物学的系において、
用語「約」および「およそ」は、あるオーダーの大きさ以内、好ましくは、所与の値の≦
5倍、より好ましくは≦2倍にある値を意味し得る。
【0067】
本明細書に開示される数値範囲は、その範囲を規定する数を含む。
【0068】
用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、この用語が使用される文脈が明確
に他を示さない限り、複数形の指示被験体を含む。用語「1つの(a)」(または1つの
(an))、ならびに用語「1または複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書
で相互交換可能に使用され得る。さらに、「および/または」は、本明細書で使用する場
合、他方を伴うまたは伴わない、2つまたはそれよりも多くの特定された特色または構成
要素の各々の具体的な開示として解釈すべきである。したがって、本明細書で「Aおよび
/またはB」などの語句において使用する場合、用語「および/または」は、「Aおよび
B」、「AまたはB」、「A」(単独)ならびに「B」(単独)を含む意図である。同様
に、「A、Bおよび/またはC」などの語句において使用する場合、用語「および/また
は」は、以下の態様の各々を包含する意図である:A、BおよびC;A、BまたはC;A
またはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独)
;B(単独);ならびにC(単独)。
【0069】
本明細書を通じて、単語「含む(comprise)」またはバリエーション、例えば
、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、述べ
られた1つの整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しない
ことを示すと理解される。
2.TβRIIアンタゴニスト
【0070】
一部において、本明細書で提示されるデータは、TβRIIアンタゴニスト(インヒビ
ター)が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および骨髄線
維症)および/またはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を
有する患者を処置するために使用され得ることを実証している。特に、TβRIIポリペ
プチドは、例えば、脾腫、高い炎症性サイトカインレベルおよび線維症を含む種々の骨髄
増殖性疾患合併症を改善する際に有効であることが示された。したがって、本開示は、一
部において、骨髄増殖性障害、ならびに/あるいはヤヌスキナーゼ関連障害または骨髄増
殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を有する患
者を処置する、予防する、その進行速度および/または重症度を低減させるために、単独
で、または1もしくは複数のさらなる活性薬剤および/もしくは支持療法と組み合わせて
使用され得る種々のTβRIIアンタゴニストを提供する。TβRIIポリペプチドは、
TβRIIリガンドの阻害以外の機構を介して、骨髄増殖性疾患、およびヤヌスキナーゼ
関連障害を有する患者に影響を与え得るが[例えば、TGFβ1、TGFβ2および/ま
たはTGFβ3のうち1または複数の阻害は、おそらくはTGF-ベータスーパーファミ
リーの他のメンバーを含め、さらなる薬剤のスペクトルの活性をある薬剤が阻害する傾向
の指標であり得るが、かかる集合的阻害は、例えば、骨髄増殖性疾患および/またはヤヌ
スキナーゼ関連障害に対する所望の効果をもたらし得る]、他の型のTGFβアンタゴニ
スト[例えば、TβRII受容体のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRIIリガン
ド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)のアンタゴニスト、1もしくは
複数のTβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)のアンタゴニスト、1もしくは複
数のTβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)のアンタゴニスト、1もしくは
複数のTβRII下流シグナル伝達成分(Smad)のアンタゴニスト、またはかかるア
ンタゴニストの組合せ]が、骨髄増殖性障害および/またはヤヌスキナーゼ関連障害の処
置において、特に、骨髄増殖性障害および/またはヤヌスキナーゼ関連障害の1または複
数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度における低減にお
いて有用である。かかるアンタゴニストには、例えば、例えば、TβRIIポリペプチド
およびそのバリアント、抗TGFβ抗体、抗ALK5抗体、抗ベータグリカン抗体ならび
に抗TβRII抗体;TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5、ベータグリカン
およびTβRIIのうち1または複数の活性または発現(例えば、転写、翻訳、細胞から
の分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する核酸;ならびにTGFβ1、TGFβ2、T
GFβ3、ALK5、ベータグリカンおよびTβRIIのうち1または複数の活性または
発現(例えば、転写、翻訳、細胞からの分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する小分子
が含まれる。
A.TβRIIポリペプチド
【0071】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストは、TβRIIポリペプチドまたはそのバリアント(TβRIIアン
タゴニストポリペプチド)である。TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合せ
は、例えば、1または複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およ
びTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)お
よび/またはTβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)を阻害し得る。一部の
実施形態では、TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合せがシグナル伝達(例
えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細書に記載されるものなどを含む
細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合
せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症
)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害、または骨髄増殖性障害および/もしくはヤ
ヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために
、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使
用され得る。
【0072】
天然に存在するTβRIIタンパク質は、細胞の外側に位置付けられるタンパク質の一
部分(細胞外部分)および細胞の内側に位置付けられるタンパク質の一部分(細胞内部分
)を有する膜貫通タンパク質である。本開示の態様は、TβRIIの細胞外ドメイン内の
変異および/または細胞外ドメインのトランケートされた部分を含むバリアントTβRI
Iポリペプチドを包含する。上記のように、ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD
)における選択的スプライシングによって生成される、少なくとも2つのアイソフォーム
-A(長)およびB(短)-として天然に生じる(
図2および1ならびに配列番号6およ
び5)。配列番号5の残基23~159に対応する配列番号7は、TβRIIの短アイソ
フォームのネイティブ全長細胞外ドメインを示す。配列番号6の残基23~184に対応
する配列番号13は、TβRIIの長アイソフォームのネイティブ全長細胞外ドメインを
示す。特記しない限り、TβRIIの短および長アイソフォームに基づくバリアントに関
するアミノ酸位置の番号付けは、それぞれ、ネイティブ前駆体配列番号5および配列番号
6中の対応する位置を指す。
【0073】
ある特定の実施形態では、本開示は、バリアントTβRIIポリペプチドを提供する。
本開示のTβRIIポリペプチドは、例えばTGFβ1またはTGFβ3であるがこれら
に限定されないTGFβスーパーファミリーメンバーと結合し得、その機能を阻害し得る
。TβRIIポリペプチドには、そのC末端が配列番号5のアミノ酸153~159(例
えば、153、154、155、156、157、158または159)のいずれかにお
いて存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドのトランケートされたECDドメ
インに対して少なくとも80%同一なアミノ酸配列、および任意選択で、少なくとも85
%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99
%もしくは100%同一なアミノ酸配列からなるまたはかかるアミノ酸配列を含むポリペ
プチドが含まれ得る。TβRIIポリペプチドには、そのC末端が配列番号6のアミノ酸
178~184(例えば、178、179、180、181、182、183または18
4)のいずれかにおいて存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドのトランケー
トされたECDドメインに対して少なくとも80%同一なアミノ酸配列、および任意選択
で、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、9
7%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列からなるまたはかかるアミノ
酸配列を含むポリペプチドが含まれ得る。任意選択で、TβRIIポリペプチドは、配列
番号5のアミノ酸160~567からなる配列由来または配列番号6のアミノ酸185~
592からなる配列由来の、5つよりも多く連続するアミノ酸、あるいは10、20、3
0、40、50、52、60、70、80、90、100、150もしくは200よりも
多く、またはそれ超連続するアミノ酸を含まない。プロセシングされていないTβRII
ポリペプチドは、任意のシグナル配列、ならびにシグナル配列に対してN末端の任意の配
列を含むかまたは排除するかのいずれかであり得る。本明細書で詳述するように、成熟(
プロセシングされた)TβRIIポリペプチドのN末端は、配列番号5のアミノ酸23~
35または配列番号6のアミノ酸23~60のいずれかにおいて存在し得る。成熟TβR
IIポリペプチドの例には、配列番号5のアミノ酸23~159(配列番号7に示される
)、配列番号5のアミノ酸29~159(配列番号105に示される)、配列番号5のア
ミノ酸35~159(配列番号10に示される)、配列番号5のアミノ酸23~153(
配列番号11に示される)、配列番号5のアミノ酸29~153(配列番号48に示され
る)、配列番号5のアミノ酸35~153(配列番号47に示される)、配列番号6のア
ミノ酸23~184(配列番号13に示される)、配列番号6のアミノ酸29~184(
配列番号15に示される)、配列番号6のアミノ酸35~184(配列番号10に示され
る)、配列番号6のアミノ酸23~178(配列番号16に示される)、配列番号6のア
ミノ酸29~178(配列番号49に示される)および配列番号6のアミノ酸35~17
8(配列番号47に示される)が含まれるがこれらに限定されない。同様に、TβRII
ポリペプチドは、配列番号30のヌクレオチド73~465、配列番号34のヌクレオチ
ド73~447、配列番号38のヌクレオチド73~465、配列番号38のヌクレオチ
ド91~465もしくは配列番号38のヌクレオチド109~465またはそれらのサイ
レントバリアント、あるいはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(一般に、
かかる条件は、当該分野で公知であるが、例えば、65℃で一晩の、50%v/vホルム
アミド、5×SSC、2%w/vブロッキング剤、0.1%N-ラウロイルサルコシンお
よび0.3%SDS中でのハイブリダイゼーション、ならびに例えば、約65℃で5×S
SC中での洗浄を含み得る)下でそれらの相補体にハイブリダイズする核酸によってコー
ドされるポリペプチドを含み得る。TβRIIの長アイソフォームに基づく対応するバリ
アントが、25アミノ酸の挿入に対してC末端の隣接する位置における保存的Val-I
le置換と共に、この挿入をコードするヌクレオチド配列を含むことが、当業者によって
理解される。これらのTβRIIポリペプチドは、しかるべく、短および長アイソフォー
ムの両方、それらのバリアント(例えば、配列番号5のアミノ酸23~159または配列
番号6のアミノ酸23~184に対応する配列中に、2、3、4、5、10、15、20
、25、30または35以下のアミノ酸置換を含むバリアントを含む)、それらの断片、
ならびに上述のいずれかを含む融合タンパク質を含む、TβRIIポリペプチドの単離さ
れた細胞外部分を含み得るが、各場合において、好ましくは、上述のTβRIIポリペプ
チドのいずれかは、TGFβ1またはTGFβ3のうちの少なくとも1つに対する実質的
な親和性を保持する。一般に、TβRIIポリペプチドは、生物学的に適切な温度、pH
レベルおよびモル浸透圧濃度において、水性溶液中で可溶性であるように設計される。
【0074】
一部の実施形態では、本開示のバリアントTβRIIポリペプチドは、変更されたリガ
ンド結合プロファイルを付与する、細胞外ドメイン中の1または複数の変異を含む。Tβ
RIIポリペプチドは、天然に存在するTβRIIポリペプチドの対応する部分と比較し
て、アミノ酸配列中に、1、2、5またはそれ超の変更を含み得る。一部の実施形態では
、この変異は、配列番号5の70位に対応する位置において、置換、挿入または欠失を生
じる。一部の実施形態では、この変異は、配列番号5の110位に対応する位置において
、置換、挿入または欠失を生じる。例には、配列番号5のそれぞれ70位および110位
に対応する位置におけるNからDへの置換またはDからKへの置換が含まれるがこれらに
限定されない。かかるバリアントTβRIIポリペプチドの例には、配列番号8、配列番
号14、配列番号12および配列番号17に示される配列が含まれるがこれらに限定され
ない。TβRIIポリペプチドは、配列番号26のヌクレオチド73~483、配列番号
42のヌクレオチド73~465もしくはそれらのサイレントバリアントまたはストリン
ジェントなハイブリダイゼーション条件下でそれらの相補体にハイブリダイズする核酸に
よってコードされるポリペプチドまたはその部分を含み得る。
【0075】
一部の実施形態では、本開示のバリアントTβRIIポリペプチドは、ヒトTβRII
アイソフォームC(Konradら、BMC Genomics 8巻:318頁、20
07年)に天然に生じるような、ヒトTβRII ECDのC末端の近傍に位置するグル
タミン酸残基の対(配列番号5の151位および152位、または配列番号6の176位
および177位)の間に、36アミノ酸の挿入(配列番号18)をさらに含む。
【0076】
本開示は、TβRIIポリペプチドが、TβRIIリガンドを選択的にアンタゴナイズ
するように修飾され得ることをさらに実証している。本明細書に提示されるデータは、T
βRIIポリペプチドのより短いN末端およびC末端がトランケートされたバリアントを
含むFc融合タンパク質が、TGFβ1およびTGFβ3によって媒介される細胞シグナ
ル伝達に対して示差的な阻害効果を示すことを示している。具体的には、配列番号5のア
ミノ酸29または35において始まり、それぞれ細胞外ドメインの6アミノ酸または12
アミノ酸のN末端トランケーションを保有する、N末端がトランケートされたバリアント
は、TβRIIの短アイソフォームの全長細胞外ドメインと比較して、中間の程度のTG
Fβ1阻害を維持しつつ、TGFβ3を阻害する潜在力を有意に低減させたことが見出さ
れた。配列番号5のアミノ酸153において終わり、細胞外ドメインの6アミノ酸のC末
端トランケーションを保有する、C末端がトランケートされたバリアントは、リガンド結
合に対して実質的な影響を有さず、したがって、全長バージョンと相互交換可能に使用さ
れ得る。配列番号5の70位に対応する位置におけるNからDへの置換は、TGFβ3を
強力に阻害し、TGFβ1に対する無視できる影響を有することが見出された。N70残
基は、潜在的なグリコシル化部位を示す。さらに、配列番号5の110位に対応する位置
におけるDからKへの置換を含むFc融合タンパク質は、TβRIIの短アイソフォーム
の全長細胞外ドメインと比較して、中間の程度のTGFβ3阻害を維持しつつ、TGFβ
1を阻害する潜在力を有意に低減させたことが見出された。110位周囲の領域は、公知
のTβRIIリガンドTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3に対する選択性とは関連
付けられてこなかった。したがって、予想外に、例えばN70DおよびD110K(残基
の番号付けは、配列番号5の番号付けと対応する)であるがこれらに限定されないECD
中の変異を含み、ならびに/またはアミノ酸29と35との間で始まりおよび/もしくは
アミノ酸153とアミノ酸159との間で終結するTβRIIポリペプチドは、全て、活
性であり、異なるリガンドに対して広く異なる阻害潜在力を示すと予測される。臨床また
は実験設定に依存して、これらのトランケートされたバリアント形態のいずれかを使用す
ることが望まれ得る。
【0077】
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1と結合し、このTβ
RIIポリペプチドは、TGFβ3に対する実質的な結合を示さない。ある特定の実施形
態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3と結合し、このTβRIIポリペプチド
は、TGFβ1に対する実質的な結合を示さない。結合は、例えば、溶液中で、またはB
iacore(商標)システムなどの表面プラズモン共鳴システム中で、精製されたタン
パク質を使用して評価され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1細胞シグナル伝達を阻
害し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ3に対して、中間のまたは限定的な阻害
効果を有する。ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3細胞シ
グナル伝達を阻害し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ1に対して、中間のまた
は限定的な阻害効果を有する。細胞シグナル伝達に対する阻害効果は、当該分野で公知の
方法によってアッセイされ得る。
【0079】
総合すると、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号5のアミノ酸配列23~
153、23~154、23~155、23~156、23~157または23~158
、ならびに配列番号5のアミノ酸24~35のいずれかにおいて始まるこれらの配列のバ
リアントを含み得る。同様に、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号6のアミ
ノ酸配列23~178、23~179、23~180、23~181、23~182また
は23~183、ならびに配列番号6のアミノ酸24~60のいずれかにおいて始まるこ
れらの配列のバリアントを含み得る。例示的なTβRIIポリペプチドは、配列番号5の
アミノ酸配列29~159、35~159、23~153、29~153および35~1
53、または配列番号6のアミノ酸配列29~184、60~184、23~178、2
9~178および60~178を含む。これらの範囲内のバリアント、特に、配列番号5
または配列番号6の対応する部分に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有
するバリアントもまた、企図される。配列番号5のアミノ酸160~567または配列番
号6のアミノ酸185~592からなる配列を含まないTβRIIポリペプチドが、選択
され得る。
【0080】
上記のように、本開示は、天然に存在するTβRIIポリペプチドに対して、特定した
程度の配列同一性または類似性を共有するTβRIIポリペプチドを提供する。2つのア
ミノ酸配列のパーセント同一性を決定するために、これらの配列は、最適な比較を目的と
して、アラインされる(例えば、ギャップが、最適なアラインメントのために第1および
第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方において導入され得、非相同配列が、比
較を目的として無視され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸残基が
比較される。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残
基によって占められる場合、これらの分子は、その位置において同一である(本明細書で
使用する場合、アミノ酸「同一性」は、アミノ酸「相同性」と等価である)。2つの配列
間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があ
るギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、これらの配列によって共有される同
一な位置の数の関数である。
【0081】
2つの配列間の配列の比較ならびにパーセント同一性および類似性の決定は、数学的ア
ルゴリズムを使用して達成され得る(Computational Molecular
Biology、Lesk, A. M.編、Oxford University
Press、New York、1988年;Biocomputing: Infor
matics and Genome Projects、Smith, D. W.編
、Academic Press、New York、1993年;Computer
Analysis of Sequence Data、Part 1、Griffin
, A. M.およびGriffin, H. G.編、Humana Press、N
ew Jersey、1994年;Sequence Analysis in Mol
ecular Biology、von Heinje, G.、Academic P
ress、1987年;ならびにSequence Analysis Primer、
Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M Stockton
Press、New York、1991年)。
【0082】
一実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパ
ッケージ中のGAPプログラム中に組み込まれたNeedlemanおよびWunsch
(J Mol. Biol.(48巻):444~453頁(1970年))のアルゴリ
ズムを使用して決定される(http://www.gcg.comにおいて利用可能)
。具体的な実施形態では、以下のパラメーターが、GAPプログラムにおいて使用される
:Blosum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならび
に16、14、12、10、8、6または4のギャップ重み(gap weight)お
よび1、2、3、4、5または6の長さ重み(length weight)。さらに別
の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア
パッケージ中のGAPプログラムを使用して決定される(Devereux, J.ら、
Nucleic Acids Res.12巻(1号):387頁(1984年))(h
ttp://www.gcg.comにおいて利用可能)。例示的なパラメーターには、
NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70または80の
ギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さ重みを使用することが含まれる。
特記しない限り、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Blosum 62マト
リックス、10のギャップ重みおよび3の長さ重みを使用するGAPプログラムを使用し
て決定され、かかるアルゴリズムが所望のパーセント同一性を計算できない場合、本明細
書に開示される適切な代替法を選択すべきである。
【0083】
別の実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、PAM120重み残
基テーブル、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して、A
LIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み込まれたE. MyersおよびW.
Miller(CABIOS、4巻:11~17頁(1989年))のアルゴリズムを
使用して決定される。
【0084】
2つのアミノ酸配列間の最良の全体的アラインメントを決定するための別の実施形態は
、Brutlagら(Comp. App. Biosci.、6巻:237~245頁
(1990年))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用
して決定され得る。配列アラインメントでは、クエリー配列および対象配列は、共にアミ
ノ酸配列である。前記網羅的配列アラインメントの結果は、パーセント同一性を単位とし
て示される。一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、Brutlagら(Comp.
App. Biosci.、6巻:237~245頁(1990年))のアルゴリズムに
基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して実施される。具体的な実施形態
では、アミノ酸アラインメントのパーセント同一性および類似性を計算するために使用さ
れるパラメーターは、マトリックス=PAM 150、k-タプル=2、ミスマッチペナ
ルティ=1、ジョイニングペナルティ=20、ランダム化グループ長=0、カットオフス
コア=1、ギャップペナルティ=5およびギャップサイズペナルティ=0.05を含む。
【0085】
TβRIIポリペプチドは、N末端において種々のリーダー配列のうちのいずれかをさ
らに含み得る。かかる配列は、ペプチドが、真核生物の系において発現され、分泌経路へ
と標的化されることを可能にする。例えば、Ernstら、米国特許第5,082,78
3号(1992年)を参照のこと。あるいは、ネイティブTβRIIシグナル配列は、細
胞からの突出(extrusion)をもたらすために使用され得る。可能なリーダー配
列には、ネイティブリーダー、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)およびミ
ツバチメリチン(それぞれ、配列番号22~24)が含まれる。TPAリーダー配列を取
り込んでいるTβRII-Fc融合タンパク質の例には、配列番号25、27、29、3
1、33、35、37、39、41、43、101および103が含まれる。シグナルペ
プチドのプロセシングは、変数のなかでも、選択されたリーダー配列、使用される細胞型
および培養条件に依存して変動し得、したがって、成熟TβRIIポリペプチドについて
の実際のN末端開始部位は、N末端またはC末端方向のいずれかで、1、2、3、4また
は5アミノ酸シフトし得る。TβRII-Fc融合タンパク質の例には、TβRIIポリ
ペプチド部分に下線を付した、本明細書に示される配列番号25、27、29、31、3
3、35、37、39、41、43、50、53、54、55、56、57、58、59
、60、61、62、101および103が含まれる(実施例を参照のこと)。TβRI
Iの長アイソフォームに基づく対応するバリアントが、25アミノ酸の挿入に対してC末
端の隣接する位置における保存的Val-Ile置換と共に、この挿入を含むことが、当
業者によって理解される。ある特定の態様では、本開示は、配列番号101のアミノ酸配
列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95
%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むTβ
RIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載される方法に従うその使用に関する。ある
特定の態様では、本開示は、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、
85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、
99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチド、ならびに
本明細書に記載される方法に従うその使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、配
列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、3
1、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44
、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~1
86(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、1
78、179、180、181、182、183、184、185または186)のいず
れか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91
%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載される
方法に従うその使用に関する。
【0086】
ある特定の実施形態では、本開示は、そのポリペプチドのグリコシル化を変更するよう
な、TβRIIポリペプチドの特異的変異を企図する。かかる変異は、O結合型またはN
結合型グリコシル化部位などの1または複数のグリコシル化部位を導入または排除するよ
うに、選択され得る。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞
グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン-X-ス
レオニン(またはアスパラギン-X-セリン)(式中、「X」は任意のアミノ酸である)
を含む。この変更は、野生型TβRIIポリペプチドの配列に対する、1もしくは複数の
セリンもしくはスレオニン残基の付加または1もしくは複数のセリンもしくはスレオニン
残基による置換によっても、行われ得る(O結合型グリコシル化部位について)。グリコ
シル化認識部位の第1もしくは第3のアミノ酸位置の一方もしくは両方における種々のア
ミノ酸の置換もしくは欠失(および/または第2の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾
されたトリペプチド配列において非グリコシル化を生じる。TβRIIポリペプチド上の
炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、TβRIIポリペプチドへのグリコシドの化
学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリング様式に依存し
て、糖(複数可)は、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;
(c)システインのものなどの遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、スレオニンもしく
はヒドロキシプロリンのものなどの遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロ
シンもしくはトリプトファンのものなどの芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド
基と結合し得る。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれる、1987年9月
11日に公開されたWO87/05330、ならびにAplinおよびWriston(
1981年)CRC Crit. Rev. Biochem.、259~306頁中に
記載されている。TβRIIポリペプチド上に存在する1または複数の炭水化物部分の除
去は、化学的におよび/または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化には、例え
ば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのTβRIIポリペプチ
ドの曝露が関与し得る。この処理は、アミノ酸配列をインタクトなままにしつつ、連結糖
(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除いた、ほとんどま
たは全ての糖の切断を生じる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら(19
87年)Arch. Biochem. Biophys.259巻:52頁およびEd
geら(1981年)Anal. Biochem. 118巻:131頁によってさら
に記載されている。TβRIIポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thot
akuraら(1987年)Meth. Enzymol. 138巻:350頁に記載
されるように、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって
達成され得る。哺乳動物、酵母、昆虫および植物の細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列
によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入し得るので、TβRIIポリペ
プチドの配列は、必要に応じて、使用される発現系の型に依存して調整され得る。一般に
、ヒトでの使用のためのTβRIIポリペプチドは、HEK293またはCHO細胞株な
どの、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株において発現されるが、他の哺乳動
物発現細胞株、操作されたグリコシル化酵素を有する酵母細胞株、および昆虫細胞も、同
様に有用であると予測される。
【0087】
本開示は、変異体、特に、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル変異体のセット
、ならびにトランケーション変異体を生成する方法をさらに企図する;コンビナトリアル
変異体のプールは、機能的バリアント配列を同定するために特に有用である。かかるコン
ビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはア
ンタゴニストのいずれかとして作用し得る、またはあるいは、新規活性を全て一緒に有す
るTβRIIポリペプチドバリアントを生成することであり得る。種々のスクリーニング
アッセイは、以下に提供され、かかるアッセイは、バリアントを評価するために使用され
得る。例えば、TβRIIポリペプチドバリアントは、TβRIIリガンドと結合する能
力、TβRIIポリペプチドへのTβRIIリガンドの結合を防止する能力、またはTβ
RIIリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を妨害する能力について、スクリー
ニングされ得る。TβRIIポリペプチドまたはそのバリアントの活性は、細胞ベースの
アッセイまたはin vivoアッセイ、特に、実施例に開示されるアッセイのいずれか
においても、試験され得る。
【0088】
天然に存在するTβRIIポリペプチドの細胞外ドメインを含むTβRIIポリペプチ
ドと比較して、選択的なまたは一般に増加した潜在力を有する、コンビナトリアルに誘導
されたバリアントが、生成され得る。同様に、変異誘発は、対応する野生型TβRIIポ
リペプチドとは劇的に異なる血清半減期を有するバリアントを生じ得る。例えば、変更さ
れたタンパク質は、ネイティブTβRIIポリペプチドの破壊、またはネイティブTβR
IIポリペプチドの他の方法による排除もしくは不活化を生じる、タンパク質分解性の分
解または他のプロセスに対して、より安定にされ得るかまたはより不安定にされ得るかの
いずれかである。かかるバリアント、およびそれらをコードする遺伝子は、TβRIIポ
リペプチドの半減期をモジュレートすることによって、TβRIIポリペプチドレベルを
変更するために利用され得る。例えば、短い半減期は、より一過的な生物学的効果を生じ
得、患者内の組換えTβRIIポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にし得る。F
c融合タンパク質では、変異が、タンパク質の半減期を変更するために、リンカー(存在
する場合)および/またはFc部分中に作成され得る。
【0089】
コンビナトリアルライブラリーは、潜在的TβRIIポリペプチド配列の少なくとも一
部分を各々が含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーに
よって産生され得る。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物は、潜在的TβRIIポ
リペプチドのヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、またはある
いは、(例えば、ファージディスプレイのために)より大きい融合タンパク質のセットと
して発現可能であるように、遺伝子配列へと酵素的にライゲーションされ得る。
【0090】
潜在的TβRIIポリペプチドバリアントのライブラリーが縮重オリゴヌクレオチド配
列から生成され得る多くの方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学的合成は、自動DNA
合成機において実施され得、次いで、合成遺伝子が、発現のために適切なベクター中にラ
イゲーションされ得る。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である(例え
ば、Narang, SA(1983年)Tetrahedron 39巻:3頁;It
akuraら、(1981年)Recombinant DNA, Proc. 3rd
Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Wal
ton編、Amsterdam: Elsevier 273~289頁;Itakur
aら、(1984年)Annu. Rev. Biochem. 53巻:323頁;I
takuraら、(1984年)Science 198巻:1056頁;Ikeら、(
1983年)Nucleic Acid Res. 11巻:477頁を参照のこと)。
かかる技術は、他のタンパク質の指向性の進化において使用されてきた(例えば、Sco
ttら、(1990年)Science 249巻:386~390頁;Roberts
ら、(1992年)PNAS USA 89巻:2429~2433頁;Devlinら
、(1990年)Science 249巻:404~406頁;Cwirlaら、(1
990年)PNAS USA 87巻:6378~6382頁;ならびに米国特許第5,
223,409号、同第5,198,346号および同第5,096,815号を参照の
こと)。
【0091】
あるいは、他の形態の変異誘発が、コンビナトリアルライブラリーを生成するために利
用され得る。例えば、TβRIIポリペプチドバリアントは、例えば、アラニンスキャニ
ング変異誘発などを使用するスクリーニングによって(Rufら、(1994年)Bio
chemistry 33巻:1565~1572頁;Wangら、(1994年)J.
Biol. Chem. 269巻:3095~3099頁;Balintら、(19
93年)Gene 137巻:109~118頁;Grodbergら、(1993年)
Eur. J. Biochem. 218巻:597~601頁;Nagashima
ら、(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:2888~2892頁;
Lowmanら、(1991年)Biochemistry 30巻:10832~10
838頁;およびCunninghamら、(1989年)Science 244巻:
1081~1085頁)、リンカースキャニング変異誘発によって(Gustinら、(
1993年)Virology 193巻:653~660頁;Brownら、(199
2年)Mol. Cell Biol. 12巻:2644~2652頁;McKnig
htら、(1982年)Science 232巻:316頁);飽和変異誘発によって
(Meyersら、(1986年)Science 232巻:613頁);PCR変異
誘発によって(Leungら、(1989年)Method Cell Mol Bio
l 1巻:11~19頁);または化学的変異誘発などを含むランダム変異誘発によって
(Millerら、(1992年)A Short Course in Bacter
ial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harb
or、NY;およびGreenerら、(1994年)Strategies in M
ol Biol 7巻:32~34頁)、ライブラリーから生成および単離され得る。特
にコンビナトリアル設定におけるリンカースキャニング変異誘発は、TβRIIポリペプ
チドのトランケートされた(生物活性)形態を同定するための代替的な方法である。
【0092】
広い範囲の技術が、点変異およびトランケーションによって作製されたコンビナトリア
ルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、およびそれについて言えば、特
定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするために
、当該分野で公知である。かかる技術は、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル変
異誘発によって生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに、一般に順応性
がある。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用される技術
は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター中にクローニングするス
テップ、ベクターの得られたライブラリーで適切な細胞を形質転換するステップ、および
所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な
単離を促進する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させるステップを含む。好まし
いアッセイには、TβRIIリガンド結合アッセイおよびリガンド媒介性細胞シグナル伝
達アッセイが含まれる。
【0093】
ある特定の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチ
ド中に天然に存在する任意の修飾に加えて、翻訳後修飾をさらに含み得る。かかる修飾に
は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ペグ化(ポリエチ
レングリコール)およびアシル化が含まれるがこれらに限定されない。結果として、修飾
されたTβRIIポリペプチドは、非アミノ酸要素、例えば、ポリエチレングリコール、
脂質、モノサッカライドまたはポリサッカライドおよびホスフェートを含み得る。TβR
IIポリペプチドの機能性に対するかかる非アミノ酸要素の影響は、他のTβRIIポリ
ペプチドバリアントについて本明細書に記載したように試験され得る。TβRIIポリペ
プチドが、TβRIIポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞中で産生され
る場合、翻訳後プロセシングは、タンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能にとっ
ても重要であり得る。異なる細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI
38、NIH-3T3またはHEK-293)は、かかる翻訳後活性のための特異的な細
胞マシナリーおよび特徴的機構を有し、TβRIIポリペプチドの正確な修飾およびプロ
セシングを確実にするために選択され得る。
【0094】
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドの機能的バリアントまたは修飾された形
態には、TβRIIポリペプチドの少なくとも一部分と1または複数の融合ドメインとを
有する融合タンパク質が含まれる。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン
、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プ
ロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タン
パク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが含まれるがこれらに限定されない。融合ド
メインは、所望の特性を付与するように選択され得る。例えば、一部の融合ドメインは、
アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフ
ィニティー精製を目的として、アフィニティークロマトグラフィーのための適切なマトリ
ックス、例えば、グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトコンジュゲ
ート樹脂が使用される。かかるマトリックスの多くは、(HIS6)融合パートナーと共
に有用な、Pharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標
)システム(Qiagen)などの「キット」形態で入手可能である。別の例として、融
合ドメインは、TβRIIポリペプチドの検出を促進するように選択され得る。かかる検
出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびにそれに対する
特異的抗体が入手可能である通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれ
る。それに対する特異的モノクローナル抗体が容易に入手可能である周知のエピトープタ
グには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)およびc-mycタグ
が含まれる。一部の場合では、これらの融合ドメインは、適切なプロテアーゼが融合タン
パク質を部分的に消化するのを可能にし、それによって、そこから組換えタンパク質を遊
離させる、第Xa因子またはトロンビンなどについてのプロテアーゼ切断部位を有する。
次いで、遊離されたタンパク質は、引き続くクロマトグラフィー分離によって、融合ドメ
インから単離され得る。ある特定の好ましい実施形態では、TβRIIポリペプチドは、
TβRIIポリペプチドをin vivoで安定化するドメイン(「安定剤」ドメイン)
と融合される。「安定化する」とは、減少した破壊、腎臓による減少したクリアランス、
または他の薬物動態学的効果に起因するか否かには関わらず、血清半減期を増加させるも
のを意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広い範囲のタンパク質に対して所
望の薬物動態学的特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融
合は、所望の特性を付与できる。選択され得る他の型の融合ドメインには、マルチマー化
(例えば、ダイマー化、テトラマー化)ドメインおよび機能的ドメインが含まれる。
【0095】
具体的な例として、本開示は、3つのFcドメイン配列(例えば、配列番号19、20
および21ならびに配列番号19、20および21に対して85%、90%、91%、9
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一の
配列)のうちの1つに融合されたTβRIIポリペプチドのバリアントを含む融合タンパ
ク質を提供する。任意選択で、このFcドメインは、Asp-265、Lys-322お
よびAsn-434(対応する全長IgGに従って番号付けした)などの残基にお
いて、1または複数の変異を有する。特定の場合には、これらの変異のうち1または複数
(例えば、Asp-265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと
比較して、Fcγ受容体と結合する能力を低減させた。他の場合には、これらの変異のう
ち1または複数(例えば、Asn-434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型
Fcドメインと比較して、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)と結合する能力を
増加させた。
【0096】
融合タンパク質の異なるエレメントは、所望の機能性と一致する任意の様式でアレンジ
され得ることが理解される。例えば、TβRIIポリペプチドは、異種ドメインに対して
C末端に配置され得、またはあるいは、異種ドメインが、TβRIIポリペプチドに対し
てC末端に配置され得る。TβRIIポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合
タンパク質中で隣接している必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列が、いず
れかのドメインに対してC末端もしくはN末端に、またはドメイン間に、含まれ得る。
【0097】
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリンFcドメイン」または単に「Fc」は
、免疫グロブリン鎖の定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一
部分の、カルボキシル末端部分を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領
域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、2)CH1ドメイン
およびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメイン
およびCH3ドメイン、または5)2もしくはそれ超のドメインおよび免疫グロブリンヒ
ンジ領域の組合せを含み得る。好ましい実施形態では、この免疫グロブリンFc領域は、
少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、好ま
しくは、CH1ドメインを欠く。
【0098】
一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ
)(γサブクラス1、2、3または4)である。他のクラスの免疫グロブリン、IgA(
Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)およびIgM(Igμ)が、使用され得
る。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号およ
び同第5,726,044号において、詳細に議論されている。特定の結果を達成するた
めの、特定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定
常領域配列の選択は、当該分野の技術水準の範囲内とみなされる。免疫グロブリンFc領
域をコードするDNA構築物の部分は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部分
、および好ましくは、FcガンマのCH3ドメインまたはIgA、IgD、IgEもしく
はIgMのいずれかにおける相同ドメインの少なくとも一部分を含む。
【0099】
さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本明細書に開
示される方法および組成物の実施において有用であり得ることが企図される。一例は、F
c受容体に対する低減された親和性を有するFcバリアントを創出するために、上のCH
2領域中にアミノ酸置換を導入することである(Coleら(1997年)J.Immu
nol. 159巻:3613頁)。
【0100】
本出願は、操作されたまたはバリアントFc領域を有するTβRII-Fc融合タンパ
ク質をさらに提供する。かかる抗体およびFc融合タンパク質は、例えば、抗原依存的細
胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)などのエフェクター機能をモジ
ュレートする際に、有用であり得る。さらに、これらの修飾は、抗体およびFc融合タン
パク質の安定性を改善し得る。これらの抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列バ
リアントは、DNA中に適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチ
ド合成によって、調製される。かかるバリアントは、例えば、本明細書に開示される抗体
およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列からの欠失、ならびに/またはかかるアミノ酸
配列中への挿入、ならびに/またはかかるアミノ酸配列内の残基の置換を含む。欠失、挿
入および置換の任意の組合せが、最終構築物が所望の特徴を有することを条件として、最
終構築物に到達するために作成される。アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位
置を変化させるなど、抗体およびFc融合タンパク質の翻訳後プロセスもまた変更し得る
。
【0101】
低減されたエフェクター機能を有する抗体およびFc融合タンパク質は、Bluest
oneら(WO94/28027およびWO98/47531を参照のこと;Xuら、2
000年、Cell Immunol 200巻;16~26頁もまた参照のこと)によ
って記載されたAla-Ala変異が含まれるがこれに限定されない変化をアミノ酸配列
中に導入することによって産生され得る。したがって、ある特定の実施形態では、定常領
域内にAla-Ala変異を含む変異を有する本開示の抗体およびFc融合タンパク質が
、エフェクター機能を低減または無効にするために、使用され得る。これらの実施形態に
よれば、抗体およびFc融合タンパク質は、234位におけるアラニンへの変異もしくは
235位におけるアラニンへの変異、またはそれらの組合せを含み得る。一実施形態では
、この抗体またはFc融合タンパク質は、IgG4フレームワークを含み、ここで、Al
a-Ala変異は、234位におけるフェニルアラニンからアラニンへの変異(複数可)
および/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。別の実施形
態では、この抗体またはFc融合タンパク質は、IgG1フレームワークを含み、ここで
、Ala-Ala変異は、234位におけるロイシンからアラニンへの変異(複数可)お
よび/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。この抗体また
はFc融合タンパク質は、CH2ドメインにおける点変異K322Aを含む他の変異を、
代替的にまたはさらに保有し得る(Hezarehら、2001年、J Virol.7
5巻:12161~8頁)。
【0102】
特定の実施形態では、この抗体またはFc融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害(C
DC)を増強するかまたは阻害するために修飾され得る。モジュレートされたCDC活性
は、Fc領域中に1または複数のアミノ酸置換、挿入または欠失を導入することによって
達成され得る(例えば、米国特許第6,194,551号を参照のこと)。あるいは、ま
たはさらに、システイン残基(複数可)がFc領域中に導入され得、それによって、この
領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。こうして生成されたホモダイマ
ー抗体は、改善もしくは低減された内在化能および/または増加もしくは減少された補体
媒介性細胞死滅を有し得る。Caronら、J. Exp Med.176巻:1191
~1195頁(1992年)ならびにShopes, B. J.、Immunol.1
48巻:2918~2922頁(1992年)、WO99/51642、Duncanお
よびWinter、Nature 322巻:738~40頁(1988年);米国特許
第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;ならびにWO94/293
51を参照のこと。
【0103】
ある特定の実施形態では、本開示は、他のタンパク質および/もしくは他のTβRII
ポリペプチド種から単離された、または他のタンパク質および/もしくは他のTβRII
ポリペプチド種を他の方法で実質的に含まない(例えば、少なくとも80%、90%、9
5%、96%、97%、98%または99%含まない)、TβRIIポリペプチドの単離
および/または精製された形態を利用可能にする。TβRIIポリペプチドは、一般に、
組換え核酸からの発現によって産生される。
【0104】
ある特定の実施形態では、本開示は、TβRIIタンパク質の細胞外部分のコード配列
を含む、可溶性TβRIIポリペプチドをコードする核酸を含む。さらなる実施形態では
、本開示は、かかる核酸を含む宿主細胞にも関する。この宿主細胞は、任意の原核または
真核細胞であり得る。例えば、本開示のポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、
昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母または哺乳動物細胞にお
いて、発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。したがって、本開示
の一部の実施形態は、TβRIIポリペプチドを産生する方法にさらに関する。
B.TβRIIポリペプチドをコードする核酸
【0105】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される断片、機能的バリアントおよび
融合タンパク質を含むTβRIIポリペプチドのいずれかをコードする単離されたおよび
/または組換え核酸を提供する。配列番号26、28、30、32、34、36、38、
40、42、44および102は、IgG2 FcドメインまたはN末端がトランケート
されたIgG1 Fcドメインに融合されたTβRII細胞外ドメインのバリアントをコ
ードする。対象核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNAまたはR
NA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、TβRIIポリペプチドを作製するため
の方法において、または直接的治療剤として(例えば、アンチセンス、RNAiまたは遺
伝子治療アプローチにおいて)、使用され得る。
【0106】
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドをコードする対象核酸は、配列番号26
、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102のバリアントで
ある核酸を含むことが、さらに理解される。バリアントヌクレオチド配列には、1または
複数のヌクレオチド置換、付加または欠失によって異なる配列、例えば、対立遺伝子バリ
アントが含まれる。
【0107】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号26、28、30、32、34、36、
38、40、42および44に対して少なくとも80%、85%、90%、91%。、9
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一で
ある、単離されたまたは組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号26、28、3
0、32、34、36、38、40、42、44および102に対して相補的な核酸配列
、ならびに配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44およ
び102ならびにそのバリアントもまた、本開示の範囲内であることを理解する。さらな
る実施形態では、本開示の核酸配列は、単離され得る、組換えであり得るおよび/もしく
は異種ヌクレオチド配列と融合され得る、またはDNAライブラリー中にあり得る。
【0108】
他の実施形態では、本開示の核酸は、配列番号26、28、30、32、34、36、
38、40、42、44および102に示されるヌクレオチド配列、配列番号26、28
、30、32、34、36、38、40、42、44および102の相補体配列、または
それらの断片に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオ
チド配列もまた含む。上で議論したように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを
促進する適切なストリンジェンシーの条件が変動され得ることを、容易に理解する。例え
ば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)におけるハイ
ブリダイゼーションと、その後の、50℃での2.0×SSCの洗浄とを、実施すること
ができる。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃における約2.0×SSCの
低いストリンジェンシーから、50℃における約0.2×SSCの高いストリンジェンシ
ーまでで、選択され得る。さらに、洗浄ステップにおける温度は、室温、約22℃での低
いストリンジェンシーの条件から、約65℃での高いストリンジェンシーの条件まで増加
され得る。温度および塩の両方が変動され得、または温度もしくは塩濃度は、他の変数が
変化しても一定で維持され得る。一部の実施形態では、本開示は、室温での6×SSCと
その後の室温での2×SSCにおける洗浄の低いストリンジェンシーの条件下でハイブリ
ダイズする核酸を提供する。
【0109】
遺伝子コードにおける縮重に起因して配列番号26、28、30、32、34、36、
38、40、42、44および102に示される核酸とは異なる単離された核酸もまた、
本開示の範囲内である。例えば、いくつかのアミノ酸は、1よりも多いトリプレットによ
って指定される。同じアミノ酸または同義語(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジ
ンについて同義語である)を特定するコドンは、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与え
ない「サイレント」変異を生じ得る。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列における変
化をもたらすDNA配列多型が、哺乳動物細胞の間に存在すると予測される。当業者は、
特定のタンパク質をコードする核酸の1または複数のヌクレオチドにおけるこれらのバリ
エーション(ヌクレオチドの最大約3~5%)が、天然の対立遺伝子バリエーションに起
因して、所与の種の個体の間に存在し得ることを理解する。あらゆるかかるヌクレオチド
バリエーションおよび得られたアミノ酸多型は、本開示の範囲内である。
【0110】
TβRIIの長アイソフォームに基づく対応するバリアントが、25アミノ酸の挿入に
対してC末端の隣接する位置における保存的Val-Ile置換と共に、この挿入をコー
ドするヌクレオチド配列を含むことが、当業者によって理解される。TβRIIの長(A
)または短(B)アイソフォームのいずれかに基づく対応するバリアントが、天然に存在
するTβRIIアイソフォームCについて記載されたのと同じ位置で、36アミノ酸の挿
入(配列番号18)をコードする108ヌクレオチドの挿入を含むバリアントヌクレオチ
ド配列を含むこともまた、理解される(例証を参照のこと)。
【0111】
ある特定の実施形態では、本開示の組換え核酸は、発現構築物において、1または複数
の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。調節ヌクレオチド配列は、一般に、
発現のために使用される宿主細胞に適切である。多数の型の適切な発現ベクターおよび適
切な調節配列が、種々の宿主細胞について、当該分野で公知である。典型的には、前記1
または複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配
列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびに
エンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれ得るがこれらに限定されない。当該分野
で公知の構成的または誘導性プロモーターが、本開示によって企図される。これらのプロ
モーターは、天然に存在するプロモーター、または1よりも多いプロモーターのエレメン
トを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラ
スミドのように、エピソーム上で細胞中に存在し得、または発現構築物は、染色体中に挿
入され得る。好ましい一実施形態では、この発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の
選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は、当該
分野で周知であり、使用される宿主細胞によって変動する。
【0112】
本明細書に開示されるある特定の態様では、この対象核酸は、TβRIIポリペプチド
をコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結した
発現ベクター中で提供される。調節配列は、当該分野で認識されており、TβRIIポリ
ペプチドの発現を指向するために選択される。したがって、用語調節配列には、プロモー
ター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントが含まれる。例示的な調節配列は、G
oeddel; Gene Expression Technology: Meth
ods in Enzymology、Academic Press、San Die
go、CA(1990年)に記載されている。例えば、それに作動可能に連結した場合に
DNA配列の発現を制御する広範な種々の発現制御配列のいずれかが、TβRIIポリペ
プチドをコードするDNA配列を発現させるために、これらのベクターにおいて使用され
得る。かかる有用な発現制御配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター
、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター
、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7
RNAポリメラーゼによって指向されるT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレ
ーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリ
ン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸ホスファターゼのプロモーター、例
えば、Pho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモー
ター、および原核もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御するこ
とが公知の他の配列、ならびにそれらの種々の組合せが含まれる。発現ベクターの設計は
、形質転換される宿主細胞の選択、および/または発現されることが望まれるタンパク質
の型などの因子に依存し得ることを、理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、
そのコピー数を制御する能力、およびこのベクターによってコードされる任意の他のタン
パク質、例えば抗生物質マーカーの発現もまた、考慮すべきである。
【0113】
本開示に含まれる組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部分を、原核
細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫または哺乳動物)のいずれか、またはそれら両方にお
ける発現に適切なベクター中にライゲーションさせることによって、産生され得る。組換
えTβRIIポリペプチドの産生のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベク
ターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下の型のプラスミドが含まれる:E.
coliなどの原核細胞における発現のための、pBR322由来プラスミド、pEMB
L由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来
プラスミド。
【0114】
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの繁殖を促進するための原核生
物配列、および真核細胞において発現される1または複数の真核生物転写単位の両方を含
む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、
pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT
7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに
適切な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちの一部は、原核細胞お
よび真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を促進するために、pBR322な
どの細菌プラスミド由来の配列で修飾される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BP
V-1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205
)などのウイルスの誘導体が、真核細胞中でのタンパク質の一過的な発現のために使用さ
れ得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子治療送達系の説明
において以下に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において使用
される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方のための他
の適切な発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Molecular Clo
ning A Laboratory Manual、第3版、Sambrook、Fr
itschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Lab
oratory Press、2001年)を参照のこと。一部の例では、バキュロウイ
ルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。
かかるバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392
、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来ベクター(例えば、pAcUW
1)およびpBlueBac由来ベクター(例えば、β-gal含有pBlueBac
III)が含まれる。
【0115】
ある特定の実施形態では、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene、
La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、C
arlsbad、Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega、Ma
dison、Wisc.)などのベクターが、CHO細胞における対象TβRIIポリペ
プチドの産生のために設計される。好ましい実施形態では、ベクターは、HEK-293
細胞における対象TβRIIポリペプチドの産生のために設計される。明らかなように、
これらの対象遺伝子構築物は、例えば、融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含
むタンパク質を、精製のために産生するために、培養物中で繁殖された細胞において、対
象TβRIIポリペプチドの発現を引き起こすために使用され得る。
【0116】
本開示は、対象TβRIIポリペプチドのうちの1または複数のコード配列(例えば、
配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44または102)
を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞にも関する。この宿主細胞は、任
意の原核または真核細胞であり得る。例えば、本明細書に開示されるTβRIIポリペプ
チドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使
用する)、酵母または哺乳動物細胞において、発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当
業者に公知である。
【0117】
したがって、本開示は、対象TβRIIポリペプチドを産生する方法にさらに関する。
例えば、TβRIIポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿
主細胞は、TβRIIポリペプチドの発現を生じさせるための適切な条件下で培養され得
る。このTβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチドを含む細胞および培地の混
合物から分泌および単離され得る。あるいは、このTβRIIポリペプチドは、細胞質に
または膜画分中に保持され得、細胞が回収され得、溶解され得、タンパク質が単離され得
る。細胞培養物は、宿主細胞および培地を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周
知である。これらの対象TβRIIポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲ
ル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、TβRIIポリペプチドの特定のエピ
トープに対して特異的な抗体を用いたイムノアフィニティー精製、およびTβRIIポリ
ペプチドに融合されたドメインと結合する薬剤を用いたアフィニティー精製(例えば、プ
ロテインAカラムが、TβRII-Fc融合物を精製するために使用され得る)を含む、
タンパク質を精製するための当該分野で公知の技術を使用して、細胞培養培地、宿主細胞
またはそれら両方から単離され得る。好ましい実施形態では、このTβRIIポリペプチ
ドは、その精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。一例として、精製は、
例えば、任意の順序で、以下のうちの3つまたはそれ超を含む、一連のカラムクロマトグ
ラフィーステップによって達成され得る:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロ
ースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマ
トグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルス濾過および緩衝
液交換を用いて完了され得る。
【0118】
別の実施形態では、組換えTβRIIポリペプチドの所望の部分のN末端においてポリ
(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺
伝子は、Ni2+金属樹脂を使用するアフィニティークロマトグラフィーによる発現され
た融合タンパク質の精製を可能にし得る。次いで、この精製リーダー配列は、精製された
TβRIIポリペプチドを提供するために、エンテロキナーゼによる処理によって引き続
いて除去され得る(例えば、Hochuliら、(1987年)J. Chromato
graphy 411巻:177頁;およびJanknechtら、PNAS USA
88巻:8972頁を参照のこと)。
【0119】
融合遺伝子を作製するための技術は、周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列
をコードする種々のDNA断片の接続は、ライゲーションのための平滑末端または粘着末
端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着末端の充填、望ましく
ない接続を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションを
使用する従来の技術に従って実施される。別の実施形態では、この融合遺伝子は、自動化
DNA合成機を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子断片のPCR増
幅が、キメラ遺伝子配列を生成するために引き続いてアニーリングされ得る2つの連続す
る遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを使用して実施され
得る(例えば、Current Protocols in Molecular Bi
ology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年を
参照のこと)。
【0120】
TβRII、TGFβ1およびTGFβ3のアンタゴニストである核酸化合物のカテゴ
リーの例には、アンチセンス核酸、RNAi構築物および触媒的核酸構築物が含まれる。
核酸化合物は、一本鎖または二本鎖であり得る。二本鎖化合物は、オーバーハングまたは
非相補性の領域もまた含み得、ここで、これらの鎖の一方または他方は、一本鎖である。
一本鎖化合物は、自己相補性の領域を含み得、これは、この化合物が、二重らせん構造の
領域を有する、いわゆる「ヘアピン」または「ステムループ」構造を形成することを意味
する。核酸化合物は、全長TβRII核酸配列またはリガンド核酸配列の1000以下、
500以下、250以下、100以下または50、35、30、25、22、20もしく
は18以下のヌクレオチドからなる領域に対して相補的なヌクレオチド配列を含み得る。
相補性の領域は、好ましくは、少なくとも8ヌクレオチド、および任意選択で少なくとも
10または少なくとも15ヌクレオチド、例えば、15~25ヌクレオチドの間である。
相補性の領域は、標的転写物のイントロン、コード配列または非コード配列、例えば、コ
ード配列部分内に含まれ得る。一般に、核酸化合物は、約8~約500ヌクレオチドまた
は塩基対長の長さ、例えば、約14~約50ヌクレオチドの長さを有する。核酸は、DN
A(特に、アンチセンスとしての使用のため)、RNAまたはRNA:DNAハイブリッ
ドであり得る。任意の1つの鎖は、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたは
RNAのいずれとしても容易に分類できない修飾された形態を含み得る。同様に、二本鎖
化合物は、DNA:DNA、DNA:RNAまたはRNA:RNAであり得、任意の1つ
の鎖はまた、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたはRNAのいずれとして
も容易に分類できない修飾された形態を含み得る。核酸化合物は、骨格(ヌクレオチド間
連結を含む、天然核酸中の糖-リン酸部分)または塩基部分(天然核酸のプリンまたはピ
リミジン部分)への1または複数の修飾を含む、種々の修飾のいずれかを含み得る。アン
チセンス核酸化合物は、好ましくは、約15~約30ヌクレオチドの長さを有し、血清に
おいて、細胞において、または化合物が送達される可能性が高い場所、例えば経口送達さ
れた化合物の場合には胃において、吸入された化合物については肺において、安定性など
の特徴を改善するための、1または複数の修飾を含むことが多い。RNAi構築物の場合
、標的転写物に対して相補的な鎖は、一般に、RNAまたはその修飾物である。他方の鎖
は、RNA、DNAまたは任意の他のバリエーションであり得る。二本鎖または一本鎖「
ヘアピン」RNAi構築物の二重鎖部分は、好ましくは、Dicer基質として機能する
限り、18~40ヌクレオチド長の長さ、および任意選択で約21~23ヌクレオチド長
の長さを有する。触媒的または酵素的核酸は、リボザイムまたはDNA酵素であり得、修
飾された形態もまた含み得る。核酸化合物は、生理学的条件下およびナンセンスまたはセ
ンス制御がほとんどまたは全く影響を有さない濃度において細胞と接触させた場合、約5
0%、75%、90%またはそれ超、標的の発現を阻害し得る。核酸化合物の影響を試験
するための好ましい濃度は、1、5および10マイクロモルである。核酸化合物は、例え
ば、血管新生に対する影響についても試験され得る。
C.抗体アンタゴニスト
【0121】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストは、抗体(TβRIIアンタゴニスト抗体)または抗体の組合せであ
る。TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、例えば、1または複数のTβ
RIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容
体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、および/またはTβRII共受容
体(例えば、ベータグリカン)を阻害および/またはそれに結合し得る。一部の実施形態
では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せがシグナル伝達(例えば、Sm
adシグナル伝達)を阻害する能力および/または標的に結合する能力は、本明細書に記
載されるものなどを含むin vitroのまたは細胞ベースのアッセイで決定される。
本明細書に記載するように、TβRIIアンタゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体の
組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板
血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)
、または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合
併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるた
めに、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせ
て使用され得る。
【0122】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少な
くともTGFβ1を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ1に結合する。本明細書
で使用する場合、TGFβ1抗体(抗TGFβ1抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ
1を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTG
Fβ1に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非T
GFβ1タンパク質に対する抗TGFβ1抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノア
ッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ1に対するその抗体の結合の約10
%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。あ
る特定の実施形態では、抗TGFβ1抗体は、異なる種由来のTGFβ1間で保存された
、TGFβ1のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ1
抗体は、ヒトTGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1抗体は、TGFβ
1がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/また
はベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ1シグナル伝達(
例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ1は、TGFβ2およびTGF
β3に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、
TGFβ1に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ
3にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ1に結合し、例えば、1も
しくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはT
GFβ2およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例
えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば
、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびそ
の使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合する多特異性抗体は、TGFβ
2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超の
KDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mも
しくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、TGFβ1に結合する多特異
性抗体は、TGFβ3にさらに結合するが、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2
に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、また
は比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)
。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ1抗体と、例えば、1もしくは複数のさらな
るTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはTGFβ2およびTG
Fβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIお
よびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)
に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
一部の実施形態では、TGFβ1抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ2抗体を含まない
。一部の実施形態では、TGFβ1抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ3抗体をさらに
含むが、TGFβ2抗体は含まない。
【0123】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少な
くともTGFβ2を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ2に結合する。本明細書
で使用する場合、TGFβ2抗体(抗TGFβ2抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ
2を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTG
Fβ2に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非T
GFβ2タンパク質に対する抗TGFβ2抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノア
ッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ2に対するその抗体の結合の約10
%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。あ
る特定の実施形態では、抗TGFβ2抗体は、異なる種由来のTGFβ2間で保存された
、TGFβ2のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ2
抗体は、ヒトTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2抗体は、TGFβ
2がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/また
はベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ2シグナル伝達(
例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ2は、TGFβ1およびTGF
β3に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、
TGFβ2に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ1および/またはTGFβ
3にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ2に結合し、例えば、1も
しくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはT
GFβ1およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例
えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば
、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびそ
の使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ2抗体と、例えば、1もしく
は複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはTGF
β1およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば
、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベ
ータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその
使用に関する。
【0124】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少な
くともTGFβ3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ3に結合する。本明細書
で使用する場合、TGFβ3抗体(抗TGFβ3抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ
3を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTG
Fβ3に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非T
GFβ3タンパク質に対する抗TGFβ3抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノア
ッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ3に対するその抗体の結合の約10
%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。あ
る特定の実施形態では、抗TGFβ3抗体は、異なる種由来のTGFβ3間で保存された
、TGFβ3のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ3
抗体は、ヒトTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3抗体は、TGFβ
3がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/また
はベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ3シグナル伝達(
例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ3は、TGFβ2およびTGF
β1に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、
TGFβ3に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ
1にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ3に結合し、例えば、1も
しくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ1、またはT
GFβ2およびTGFβ1)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例
えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば
、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびそ
の使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ3に結合する多特異性抗体は、TGFβ
2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超の
KDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mも
しくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、TGFβ3に結合する多特異
性抗体は、TGFβ1にさらに結合するが、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2
に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、また
は比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)
。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ3抗体と、例えば、1もしくは複数のさらな
るTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ1、またはTGFβ2およびTG
Fβ1)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIお
よびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)
に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
一部の実施形態では、TGFβ3抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ2抗体を含まない
。一部の実施形態では、TGFβ3抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ1抗体をさらに
含むが、TGFβ2抗体は含まない。
【0125】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくと
もTβRIIを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアン
タゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTβRIIに結合する。本明細書で使
用する場合、TβRII抗体(抗TβRII抗体)は一般に、その抗体が、TβRIIを
標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTβRI
Iに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非TβRIIタンパク質に
対する抗TβRII抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、B
iacoreまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイに
よって測定される通り、TβRIIに対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7
%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態
では、抗TβRII抗体は、異なる種由来のTβRII間で保存された、TβRIIのエ
ピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TβRII抗体は、ヒトTβ
RIIに結合する。一部の実施形態では、抗TβRII抗体は、1または複数のTβRI
Iリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ
3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、T
GFβ2およびTGFβ3]がTβRIIに結合することを阻害し得る。一部の実施形態
では、抗TβRII抗体は、TβRIIと1または複数のTβRIIリガンド[例えば、
TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/
または共受容体(例えば、ベータグリカン)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特
異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗TβRII抗体と、例えば、1ま
たは複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、
I型受容体(例えば、ALK5)および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)に
結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0126】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくと
もALK5を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタ
ゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK5に結合する。本明細書で使用す
る場合、ALK5抗体(抗ALK5抗体)は一般に、その抗体が、ALK5を標的化する
際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でALK5に結合する
抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非ALK5タンパク質に対する抗ALK
5抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacoreまた
は他のタンパク質-タンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイによって測定される
通り、ALK5に対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4
%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ALK5抗
体は、異なる種由来のALK5間で保存された、ALK5のエピトープに結合する。ある
特定の好ましい実施形態では、抗ALK5抗体は、ヒトALK5に結合する。一部の実施
形態では、抗ALK5抗体は、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1
;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2
;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]がA
LK5に結合することを阻害し得る。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、ALK5
と1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ
3]、II型受容体(例えば、TβRII)および/または共受容体(例えば、ベータグ
リカン)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態
では、本開示は、抗ALK5抗体と、例えば、1または複数のTβRIIリガンド[例え
ば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、II型受容体(例えば、TβRII)
および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる
抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0127】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくと
もベータグリカンを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRII
アンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともベータグリカンに結合する。本明
細書で使用する場合、ベータグリカン抗体(抗ベータグリカン抗体)は一般に、その抗体
が、ベータグリカンを標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十
分な親和性でベータグリカンに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な
非ベータグリカンタンパク質に対する抗ベータグリカン抗体の結合の程度は、例えば、ラ
ジオイムノアッセイ(RIA)、Biacoreまたは他のタンパク質-タンパク質相互
作用もしくは結合親和性アッセイによって測定される通り、ベータグリカンに対するその
抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または
約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、異なる種由来の
ベータグリカン間で保存された、ベータグリカンのエピトープに結合する。ある特定の好
ましい実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ヒトベータグリカンに結合する。一部の
実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、
TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1および
TGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2およびTGF
β3]がベータグリカンに結合することを阻害し得る。一部の実施形態では、抗ベータグ
リカン抗体は、ベータグリカンと1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ
1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/またはI
I型受容体(例えば、TβRII)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体
)である。一部の実施形態では、本開示は、抗ベータグリカン抗体と、例えば、1または
複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型
受容体(例えば、ALK5)および/またはII型受容体(例えば、TβRII)に結合
する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0128】
用語抗体は、最も広い意味で本明細書で使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す
限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗
体)および抗体断片が含まれるがこれらに限定されない種々の抗体構造を包含する。抗体
断片とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の一部分を含
むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、F
ab’-SH、F(ab’)2;ディアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、sc
Fv);および抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれるがこれらに限定されない
。例えば、Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~134頁;
Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal
Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、(Spr
inger-Verlag、New York)、269~315頁(1994年);W
O93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号、同第5,587,45
8号および同第5,869,046号を参照のこと。本明細書に開示される抗体は、ポリ
クローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。ある特定の実施形態では、本開示
の抗体は、それと結合し、検出されることができる標識を含む(例えば、標識は、放射性
同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る)。好ましい実施形態では、本開
示の抗体は、単離された抗体である。ディアボディは、二価または二重特異性であり得る
、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097;WO19
93/01161;Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~1
34頁(2003年);およびHollingerら(1993年)Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 90巻:6444~6448頁を参照のこと。ト
リアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)もまた、H
udsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~134頁に記載されてい
る。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分または抗体の軽
鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、
単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。例えば、米国特許第6,248,5
16号を参照のこと。抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタ
ンパク質分解性の消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ
)による産生が含まれるがこれらに限定されない、種々の技術によって作製され得る。
【0129】
本明細書の抗体は、任意のクラスのものであり得る。抗体のクラスとは、その重鎖が有
する定常ドメインまたは定常領域の型を指す。5つの主要なクラスの抗体:IgA、Ig
D、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイ
ソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA
2へとさらに分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメイン
は、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。
【0130】
一般に、本明細書に開示される方法における使用のための抗体は、好ましくは高い結合
親和性で、その標的抗原に特異的に結合する。親和性は、KD値として表され得、固有の
結合親和性を反映する(例えば、最小化された結合活性効果(avidity effe
ct)を有する)。典型的には、結合親和性は、無細胞設定または細胞関連設定のいずれ
であれ、in vitroで測定される。例えば、表面プラズモン共鳴(Biacore
(商標)アッセイ)、放射能標識抗原結合アッセイ(RIA)およびELISAを含む、
本明細書に開示されるものを含む当該分野で公知のいくつかのアッセイのうちいずれかが
、結合親和性の測定値を取得するために使用され得る。一部の実施形態では、本開示の抗
体は、少なくとも、1×10-7もしくはそれより強い、1×10-8もしくはそれより
強い、1×10-9もしくはそれより強い、1×10-10もしくはそれより強い、1×
10-11もしくはそれより強い、1×10-12もしくはそれより強い、1×10-1
3もしくはそれより強い、または1×10-14もしくはそれより強いKDで、それらの
標的抗原(例えば、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ2、ALK5、ベータグリカンお
よびTβRII)に結合する。
【0131】
ある特定の実施形態では、KDは、以下のアッセイによって記載されるような、目的の
抗体のFabバージョンおよびその標的抗原を用いて実施されるRIAによって測定され
る。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、滴定シリーズの未標識の抗原の存在下で、
最小濃度の放射能標識された抗原(例えば、125I標識された)でFabを平衡化し、
次いで、結合した抗原を、抗Fab抗体コーティングされたプレートを用いて捕捉するこ
とによって、測定される[例えば、Chenら(1999年)J. Mol. Biol
.293巻:865~881頁を参照のこと]。アッセイのための条件を確立するために
、マルチウェルプレート(例えば、Thermo ScientificのMICROT
ITER(登録商標))が、捕捉抗Fab抗体(例えば、Cappel Labsのもの
)で(例えば、一晩)コーティングされ、好ましくは室温(例えば、およそ23℃)で、
ウシ血清アルブミンで引き続いてブロッキングされる。非吸着性プレートでは、放射能標
識された抗原は、目的のFabの連続希釈と混合される[例えば、Prestaら、(1
997年)Cancer Res.57巻:4593~4599頁における抗VEGF抗
体Fab-12の評価と一致する]。次いで、目的のFabは、好ましくは一晩インキュ
ベートされるが、このインキュベーションは、平衡に達することを確実にするために、よ
り長い期間(例えば、約65時間)にわたって持続し得る。その後、混合物は、好ましく
は室温での約1時間にわたるインキュベーションのために捕捉プレートに移される。次い
で、溶液が除去され、プレートは、好ましくは、ポリソルベート20およびPBSの混合
物で、数回洗浄される。プレートが乾燥したところで、シンチラント(例えば、Pack
ardのMICROSCINT(登録商標))が添加され、プレートがガンマカウンター
(例えば、PackardのTOPCOUNT(登録商標))でカウントされる。
【0132】
別の実施形態によれば、KDは、例えば、約10応答単位(RU)で固定化抗原CM5
チップと共にBIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3
000(Biacore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用する表面
プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡潔に述べると、カルボキシメチル化デ
キストランバイオセンサーチップ(CM5、Biacore,Inc.)は、供給業者の
指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩
酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。例えば
、抗原は、およそ10応答単位(RU)のカップリングされたタンパク質を達成するため
に、5μl/分の流速での注入前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/m
l(約0.2μM)になるように希釈され得る。抗原の注入後に、未反応の基を遮断する
ために、1Mエタノールアミンが注入される。速度論測定のために、2倍連続希釈のFa
b(0.78nM~500nM)が、およそ25μl/分の流速で、0.05%ポリソル
ベート20(TWEEN-20(登録商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中で
注入される。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、会合および解離のセン
サーグラムを同時にフィットさせることによって、例えば、単純な1対1 Langmu
ir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software
バージョン3.2)を使用して計算される。平衡解離定数(KD)は、比koff/ko
nとして計算される[例えば、Chenら、(1999年)J. Mol. Biol.
293巻:865~881頁を参照のこと]。オンレート(on-rate)が、例えば
上記表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオンレ
ートは、撹拌キュベットと共にストップフロー装備分光光度計(Aviv Instru
ments)または8000シリーズSLM-AMINCO(登録商標)分光光度計(T
hermoSpectronic)などの分光計で測定される、漸増する濃度の抗原の存
在下での、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光強度(例えば、励起
=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)における増加または減少を測定
する蛍光クエンチ技術を使用することによって決定され得る。
【0133】
TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の
核酸およびアミノ酸配列、特にヒト配列は、当該分野で周知であり、したがって、本開示
に従う使用のための抗体アンタゴニストは、当該分野の知識および本明細書に提供される
教示に基づいて、当業者によって慣用的に作製され得る。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗
体とは、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来し、重鎖および
/または軽鎖の残部が異なる供給源または種に由来する抗体を指す。ある特定のキメラ抗
体は、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、(198
4年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851~6
855頁に記載されている。一部の実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例え
ば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギまたは非ヒト霊長類、例えばサル由来の可変領
域)およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブ
クラスが親抗体のものから変化されている「クラススイッチされた」抗体である。一般に
、キメラ抗体には、その抗原結合性断片が含まれる。
【0135】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるキメラ抗体は、ヒト化抗体である。ヒ
ト化抗体とは、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基と、ヒトフレームワーク
領域(FR)由来のアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、
ヒト化抗体は、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のもの
に対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する、少なくとも1つ
、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒ
ト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。「ヒト化形態」の抗体、例え
ば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0136】
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、AlmagroおよびFrans
son(2008年)Front. Biosci.13巻:1619~1633頁で概
説されており、例えば、Riechmannら、(1988年)Nature 332巻
:323~329頁;Queenら(1989年)Proc. Nat’l Acad.
Sci. USA 86巻:10029~10033頁;米国特許第5,821,33
7号、同第7,527,791号、同第6,982,321号および同第7,087,4
09号;Kashmiriら、(2005年)Methods 36巻:25~34頁[
SDR(a-CDR)移植を記載している];Padlan、Mol. Immunol
.(1991年)28巻:489~498頁(「表面再構成(resurfacing)
」を記載している);Dall’Acquaら(2005年)Methods 36巻:
43~60頁(「FRシャッフリング」を記載している);Osbournら(2005
年)Methods 36巻:61~68頁;ならびにKlimkaら、Br. J.
Cancer(2000年)83巻:252~260頁(FRシャッフリングへの「誘導
選択(guided selection)」アプローチを記載している)にさらに記載
されている。
【0137】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」方法を使用し
て選択されたフレームワーク領域[例えば、Simsら(1993年)J. Immun
ol.151巻:2296頁を参照のこと];特定の下位群の軽鎖または重鎖可変領域の
ヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域[例えば、Carterら(
1992年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:428
5頁;およびPrestaら(1993年)J. Immunol.、151巻:262
3頁を参照のこと];ヒト成熟(体細胞性に変異した)フレームワーク領域またはヒト生
殖系列フレームワーク領域[例えば、AlmagroおよびFransson(2008
年)Front. Biosci.13巻:1619~1633頁を参照のこと];およ
びFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域[例えば、Baca
ら、(1997年)J. Biol. Chem.272巻:10678~10684頁
;およびRosokら、(1996年)J. Biol. Chem.271巻:226
11~22618頁を参照のこと]が含まれるがこれらに限定されない。
【0138】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は
、当該分野で公知の種々の技術を使用して産生され得る。ヒト抗体は、van Dijk
およびvan de Winkel(2001年)Curr. Opin. Pharm
acol.5巻:368~74頁およびLonberg(2008年)Curr. Op
in. Immunol.20巻:450~459頁に一般に記載されている。
【0139】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体、またはヒト可変領域
を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫
原(例えば、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2またはT
GFβ3ポリペプチド)を投与することによって調製され得る。かかる動物は、典型的に
は、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換える、または染色体外に存在する、もしくは
動物の染色体中にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一
部分を含む。かかるトランスジェニック動物では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一
般に不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を取得するための方法の概
説については、例えば、Lonberg(2005年)Nat. Biotechnol
.23巻:1117~1125頁;米国特許第6,075,181号および同第6,15
0,584号(XENOMOUSE(商標)テクノロジーを記載している);米国特許第
5,770,429号(HuMab(登録商標)テクノロジーを記載している);米国特
許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)テクノロジーを記載してい
る);および米国特許出願公開第2007/0061900号(VelociMouse
(登録商標)テクノロジーを記載している)を参照のこと。かかる動物によって生成され
たインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせる
ことによって、さらに修飾され得る。
【0140】
本明細書に提供されるヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によっても作製され得
る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫
細胞株は、記載されている[例えば、Kozbor、J. Immunol.、(198
4年)133巻:3001頁;Brodeurら(1987年)Monoclonal
Antibody Production Techniques and Appli
cations、51~63頁、Marcel Dekker, Inc.、New Y
ork;およびBoernerら(1991年)J. Immunol.、147巻:8
6頁を参照のこと]。ヒトB細胞ハイブリドーマテクノロジーを介して生成されたヒト抗
体がまた、Liら、(2006年)Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA、103巻:3557~3562頁に記載されている。さらなる方法には、例えば、
米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIg
M抗体の産生を記載している)およびNi、Xiandai Mianyixue(20
06年)26巻(4号):265~268頁(2006年)(ヒト-ヒトハイブリドーマ
を記載している)に記載されたものが含まれる。ヒトハイブリドーマテクノロジー(トリ
オーマ(Trioma)テクノロジー)がまた、VollmersおよびBrandle
in(2005年)Histol. Histopathol.、20巻(3号):92
7~937頁(2005年)ならびにVollmersおよびBrandlein(20
05年)Methods Find Exp. Clin. Pharmacol.、2
7巻(3号):185~91頁に記載されている。
【0141】
本明細書に提供されるヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから
選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。次い
で、かかる可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わされ得る。抗体ライ
ブラリーからヒト抗体を選択するための技術は、本明細書に記載されている。
【0142】
例えば、本開示の抗体は、所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてコンビ
ナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。ファージディ
スプレイライブラリーを生成し、所望の結合特徴を有する抗体についてかかるライブラリ
ーをスクリーニングするための種々の方法は、当該分野で公知である。かかる方法は、例
えば、Hoogenboomら(2001年)、Methods in Molecul
ar Biology 178巻:1~37頁、O’Brienら編、Human Pr
ess、Totowa、N.J.に概説され、例えば、McCaffertyら(199
1年)Nature 348巻:552~554頁;Clacksonら、(1991年
)Nature 352巻:624~628頁;Marksら(1992年)J. Mo
l. Biol.222巻:581~597頁;MarksおよびBradbury(2
003年)、Methods in Molecular Biology 248巻:
161~175頁、Lo編、Human Press、Totowa、N.J.;Sid
huら(2004年)J. Mol. Biol.338巻(2号):299~310頁
;Leeら(2004年)J. Mol. Biol.340巻(5号):1073~1
093頁;Fellouse(2004年)Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 101巻(34号):12467~12472頁;ならびにLeeら(2
004年)J. Immunol. Methods 284巻(1~2号):119~
132頁にさらに記載されている。
【0143】
ある特定のファージディスプレイ方法では、VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリ
ーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライ
ブラリー中にランダムに組換えられ、これは次いで、Winterら(1994年)An
n. Rev. Immunol.、12巻:433~455頁に記載されるように、抗
原結合性ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv
(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして、抗体断片をディスプレイする。免
疫化された供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原
(例えば、TβRII、TGFβ1、TGFβ2またはTGFβ3ポリペプチド)に対す
る高親和性抗体を提供する。あるいは、ナイーブレパートリーが、Griffithsら
(1993年)EMBO J、12巻:725~734頁によって記載されるように、い
ずれの免疫化もなしに、広範な非自己抗原およびまた自己抗原に対する抗体の単一の供給
源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローニングされ得る。最後に、ナイーブラ
イブラリーは、HoogenboomおよびWinter(1992年)J. Mol.
Biol.、227巻:381~388頁によって記載されるように、高度に可変性の
CDR3領域をコードし、in vitroでの再編成を達成するために、幹細胞由来の
再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプ
ライマーを使用することによって、合成によっても作製され得る。ヒト抗体ファージライ
ブラリーを記載している特許公報には、例えば、米国特許第5,750,373号ならび
に米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第
2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/016
0598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号および
同第2009/0002360号が含まれる。
【0144】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、多特異性抗体、例えば、二重
特異性抗体である。多特異性抗体(典型的にはモノクローナル抗体)は、1または複数(
例えば、2、3、4、5、6またはそれよりも多く)の抗原上の少なくとも2つ(例えば
、2、3、4、5、または6もしくはそれよりも多く)の異なるエピトープに対する結合
特異性を有する。
【0145】
「オクトパス抗体」を含む、3またはそれよりも多くの機能的抗原結合部位を有する操
作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1
を参照のこと)。
【0146】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、モノクローナル抗体である。
モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から取得された抗体を指す、即ち、
この集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する変異を含む、またはモノクロ
ーナル抗体調製物の産生の間に生じる可能なバリアント抗体を除いて、同一である、およ
び/または同じエピトープに結合し、かかるバリアントは一般に、微量で存在する。異な
るエピトープに対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的
に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに
対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の特徴を、抗体の実
質的に均一な集団から取得されたと示すのであって、任意の特定の方法による抗体の産生
を必要とすると解釈すべきではない。例えば、本発明の方法に従って使用されるモノクロ
ーナル抗体は、ハイブリドーマ方法、組換えDNA方法、ファージディスプレイ方法、お
よびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物を利用
する方法が含まれるがこれらに限定されない種々の技術によって作製され得、かかる方法
、およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は、本明細書に記載され
ている。
【0147】
例えば、TβRII由来の免疫原を使用することによって、抗タンパク質/抗ペプチド
抗血清またはモノクローナル抗体は、標準的なプロトコールによって作製され得る[例え
ば、Antibodies: A Laboratory Manual(1988年)
、HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Press
を参照のこと]。哺乳動物、例えば、マウス、ハムスターまたはウサギは、免疫原性形態
のTβRIIポリペプチド、抗体応答を惹起することが可能な抗原性断片、または融合タ
ンパク質によって、免疫化され得る。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与するた
めの技術には、担体へのコンジュゲート化または当該分野で周知の他の技術が含まれる。
TβRIIポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫
化の進行は、血漿または血清における抗体力価の検出によって、モニタリングされ得る。
標準的なELISAまたは他のイムノアッセイが、抗体産生のレベルおよび/または結合
親和性のレベルを評価するために、抗原としての免疫原と共に使用され得る。
【0148】
TβRIIの抗原性調製物による動物の免疫化後、抗血清が取得され得、所望の場合、
ポリクローナル抗体が、血清から単離され得る。モノクローナル抗体を産生するために、
抗体産生細胞(リンパ球)が、免疫化した動物から回収され得、ハイブリドーマ細胞を得
るために、標準的な体細胞融合手順によって、骨髄腫細胞などの不死細胞と融合され得る
。かかる技術は、当該分野で周知であり、これには、例えば、ハイブリドーマ技術[例え
ば、KohlerおよびMilstein、(1975年)Nature、256巻:4
95~497頁を参照]、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術[例えば、Kozbarら、(
1983年)Immunology Today、4巻:72頁を参照]およびヒトモノ
クローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術[Coleら、(1985
年)Monoclonal Antibodies and Cancer Thera
py、Alan R. Liss, Inc. 77~96頁]が含まれる。ハイブリド
ーマ細胞は、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離された、TβRIIポリペ
プチドと特異的に反応性の抗体およびモノクローナル抗体の産生について、免疫化学的に
スクリーニングされ得る。
【0149】
ある特定の実施形態では、1または複数のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体
のFc領域中に導入され得、それによって、Fc領域バリアントを生成する。Fc領域バ
リアントは、1または複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失お
よび/または付加)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG
3またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0150】
例えば、本開示は、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体バリアントを
企図し、それにより、このバリアントは、ある特定のエフェクター機能[例えば、補体依
存性細胞傷害(CDC)および抗体依存的細胞傷害(ADCC)]が不要または有害であ
る、抗体のin vivo半減期がなおも重要である適用のための望ましい候補になる。
in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害性アッセイは、CDCおよび/
またはADCC活性の低減/枯渇を確認するために実施され得る。例えば、Fc受容体(
FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠い
ている可能性が高い)が、FcRn結合能を保持していることを確実にするために実施さ
れ得る。ADCCを媒介するための初代細胞NK細胞は、FcγRIIIのみを発現する
が、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上で
のFcR発現は、例えば、RavetchおよびKinet(1991年)Annu.
Rev. Immunol.9巻:457~492頁にまとめられている。目的の分子の
ADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第
5,500,362号;Hellstrom, I.ら(1986年)Proc. Na
t’l Acad. Sci. USA 83巻:7059~7063頁;Hellst
rom, Iら(1985年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA
82巻:1499~1502頁;米国特許第5,821,337号;およびBrugg
emann, M.ら(1987年)J. Exp. Med.166巻:1351~1
361頁に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法が使用され得る(例えば、
ACTI(商標)、フローサイトメトリーのための非放射性細胞傷害性アッセイ;Cel
lTechnology,Inc.、Mountain View、Calif.;およ
びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、Promega、Ma
dison、Wis.)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球
(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、またはさらに
、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら(1998
年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 95巻:652~656
頁に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。C1q結合アッセイもまた
、抗体がC1qに結合できず、したがってCDC活性を欠くことを確認するために実施さ
れ得る[例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402におけ
るC1qおよびC3c結合ELISAを参照のこと]。補体活性化を評価するために、C
DCアッセイが実施され得る[例えば、Gazzano-Santoroら(1996年
)J. Immunol. Methods 202巻:163頁;Cragg, M.
S.ら(2003年)Blood 101巻:1045~1052頁;ならびにCra
gg, M. SおよびM. J. Glennie(2004年)Blood 103
巻:2738~2743頁を参照のこと]。FcRn結合およびin vivoクリアラ
ンス/半減期の決定もまた、当該分野で公知の方法を使用して実施され得る[例えば、P
etkova, S. B.ら(2006年)Int. Immunol.18巻(12
号):1759~1769頁を参照のこと]。
【0151】
低減されたエフェクター機能を有する本開示の抗体には、Fc領域残基238、265
、269、270、297、327および329のうち1または複数の置換を有するもの
が含まれる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc変異体には、残基265お
よび297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ
酸位置265、269、270、297および327のうち2またはそれよりも多くにお
いて置換を有するFc変異体が含まれる(米国特許第7,332,581号)。
【0152】
ある特定の実施形態では、システイン操作された抗体、例えば、抗体の1または複数の
残基がシステイン残基で置換された「チオMAb(thioMAb)」を創出することが
望まれ得る。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在
する。それによって、本明細書にさらに記載されるように、これらの残基をシステインで
置換することによって、反応性チオール基が、抗体のアクセス可能な部位に位置付けられ
、抗体を他の部分、例えば、薬物部分またはリンカー-薬物部分にコンジュゲートしてイ
ムノコンジュゲートを創出するために使用され得る。ある特定の実施形態では、以下の残
基のうちいずれか1または複数が、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kab
at番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(E
U番号付け)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号
に記載されるように生成され得る。
【0153】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために使用される技術
は、取得された抗体の特性に影響し得る。例えば、抗体が、溶液中で抗原に結合するため
に使用されるものである場合、溶液結合を試験することが望ましい場合がある。種々の異
なる技術が、特に望ましい抗体を同定するために、抗体と抗原との相互作用を試験するた
めに利用可能である。かかる技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(
例えば、Biacore(商標)結合アッセイ、Biacore AB、Uppsala
、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN Internation
al,Inc.、Gaithersburg、Marylandの常磁性ビーズシステム
)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイおよび免疫組織化学が含まれる。
【0154】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体および/または結合性ポリペプチ
ドのアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体および/または結合性ポリペプ
チドの結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。抗体お
よび/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、その抗体および/もしく
は結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによ
って、またはペプチド合成によって調製され得る。かかる修飾には、例えば、抗体および
/もしくは結合性ポリペプチドのアミノ酸配列からの欠失、ならびに/またはかかるアミ
ノ酸配列中への挿入、ならびに/またはかかるアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。
欠失、挿入および置換の任意の組合せが、最終構築物が所望の特徴、例えば、標的結合(
TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2および/またはTGF
β3)を有することを条件として、最終構築物に到達するために作成され得る。
【0155】
変更(例えば、置換)が、例えば、抗体親和性を改善するために、HVR中に作成され
得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟プロセスの間に高頻
度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury(20
08年)Methods Mol. Biol.207巻:179~196頁(2008
年)を参照のこと)および/またはSDR(a-CDR)において作成され得、得られた
バリアントVHまたはVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築
し、そこから再選択することによる親和性成熟は、当該分野で記載されている[例えば、
Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology
178巻:1~37頁、O’Brienら編、Human Press、Totowa
、N.J.、(2001年)を参照のこと]。親和性成熟の一部の実施形態では、多様性
が、種々の方法のいずれか(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリングまたはオ
リゴヌクレオチド特異的変異誘発)によって、成熟のために選択された可変遺伝子中に導
入される。次いで、二次ライブラリーが創出される。次いで、このライブラリーは、所望
の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定するためにスクリーニングされる。多様性
を導入するための別の方法には、数個のHVR残基(例えば、1回に4~6残基)がラン
ダム化されるHVR特異的アプローチが関与する。抗原結合に関与するHVR残基は、例
えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデル化を使用して、具体的に同定され得る
。CDR-H3およびCDR-L3が特に標的化される場合が多い。
【0156】
ある特定の実施形態では、置換、挿入または欠失は、抗原に結合する抗体の能力をかか
る変更が実質的に低減させない限り、1または複数のHVR内に存在し得る。例えば、結
合親和性を実質的に低減させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換
)が、HVR中に作成され得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」またはSDR
の外側にあり得る。本明細書に提供されるバリアントVHおよびVL配列のある特定の実
施形態では、各HVRのいずれかは、未変更である、または1、2もしくは3以下のアミ
ノ酸置換を含む。
【0157】
変異誘発のために標的化され得る抗体および/または結合性ポリペプチドの残基または
領域の同定に有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989年)Sc
ience、244巻:1081~1085頁によって記載されるように、「アラニンス
キャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体または結合性ポリペプチドと抗原
との相互作用が影響されるかどうかを決定するために、標的残基(例えば、荷電残基、例
えば、arg、asp、his、lysおよびglu)の1つの残基または群が同定され
、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置
き換えられる。さらなる置換がそのアミノ酸位置において導入され得、初回の置換に対す
る機能的感受性を実証する。あるいは、またはさらに、抗原-抗体複合体の結晶構造が、
抗体と抗原との間の接触点を同定するために使用され得る。かかる接触残基および隣接残
基は、置換のための候補として、標的化または排除され得る。バリアントは、それらが所
望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0158】
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100またはそれよりも多くの残基を含むポリペ
プチドまでの範囲の長さのアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単
一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオ
ニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端ま
たはC末端の、酵素(例えば、ADEPTのため)、または抗体の血清半減期を増加させ
るポリペプチドへの融合物が含まれる。
【0159】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体および/または結合性ポリペプチ
ドは、当該分野で公知であり容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含むように
さらに修飾され得る。抗体および/または結合性ポリペプチドの誘導体化に適切な部分に
は、水溶性ポリマーが含まれるがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例
には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコール
のコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、
エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポ
リマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール(propropylene glycol
)ホモポリマー、ポリプロピレンオキシド(prolypropylene oxide
)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロー
ル)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されな
い。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、
製造における利点を有し得る。このポリマーは、任意の分子量のものであり得、分岐また
は非分岐であり得る。抗体および/または結合性ポリペプチドに結合したポリマーの数は
、変動し得、1つよりも多いポリマーが結合する場合、それらは、同じまたは異なる分子
であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または型は、改善され
る抗体および/または結合性ポリペプチドの特定の特性または機能、規定された条件下で
の治療において抗体誘導体および/または結合性ポリペプチド誘導体が使用されるかどう
かが含まれるがこれらに限定されない考慮事項に基づいて決定され得る。
【0160】
本明細書に開示されるTβRIIアンタゴニスト抗体のいずれかが、所望の効果を達成
する[骨髄異形成障害または骨髄異形成障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる]ために、1または複数
のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。例えば、TβRIIアンタゴ
ニスト抗体は、i)1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニスト抗体、ii)その
バリアントを含む、1または複数のTβRIIポリペプチド;iii)1または複数のT
βRIIアンタゴニスト小分子;およびiv)1または複数のTβRIIアンタゴニスト
ポリヌクレオチドと組み合わせて使用され得る。
D.小分子アンタゴニスト
【0161】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストは、小分子(TβRIIアンタゴニスト小分子)または小分子の組合
せである。TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、例えば、1もしく
は複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、T
βRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、TβRII関連共受
容体(例えば、ベータグリカン)、および/または下流シグナル伝達成分(例えば、Sm
ad)を阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分
子の組合せがシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細
書に記載されるものなどを含む細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIアンタゴ
ニスト小分子または小分子の組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血
球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、
JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連
障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もし
くは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もし
くは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0162】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少な
くともTGFβ1を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一
部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ1に結合する。一部の
実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ1の発現(例えば、転写、
翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1の小
分子インヒビターは、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリ
カンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1の小分子イ
ンヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部
の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ3をさらに阻害するが、
TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともTGFβ2を阻
害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、T
GFβ2の小分子インヒビターは、TGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGF
β2の小分子インヒビターは、TGFβ2の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそ
れらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ2の小分子インヒビターは、
TGFβ3、TGFβ1、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複
数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分
子の組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害
)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ3
に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ3の発
現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態で
は、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ2、TGFβ1、TβRII、ALK
5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、T
GFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的
に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ1を
さらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なく
ともTβRIIを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部
の実施形態では、TβRIIの小分子インヒビターは、TβRIIに結合する。一部の実
施形態では、TβRIIの小分子インヒビターは、TβRIIの発現(例えば、転写、翻
訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIの小分
子インヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカ
ンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニス
ト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害する。
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGF
β2がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴ
ニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害す
る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、T
GFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2お
よびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRI
Iアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合するこ
とを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ
2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRII
アンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合すること
を阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2
がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIア
ンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRII
に結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、ま
たはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともALK5を阻害
する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、AL
K5の小分子インヒビターは、ALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5の小
分子インヒビターは、ALK5の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合
せ)を阻害する。一部の実施形態では、ALK5の小分子インヒビターは、TGFβ1、
TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに
阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せ
は、TGFβ1がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRII
アンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ2がALK5に結合することを
阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せ
は、TGFβ3がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRII
アンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5
に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子また
は小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がALK5に結合するこ
とを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組
合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結
合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害し
ない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、
TGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合するこ
とを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。あ
る特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ
1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結
合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害し
ない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、
少なくともベータグリカンを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したが
って、一部の実施形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、ベータグリカンに
結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、ベータグリカ
ンの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施
形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ
3、TβRIIおよびALK5のうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様で
は、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がベータグリ
カンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子
または小分子の組合せは、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害する。ある
特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3
がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴ
ニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに
結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または
小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がベータグリカンに結合す
ることを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子
の組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベ
ータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合す
ることを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子ま
たは小分子の組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TG
Fβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカ
ンに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニス
ト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに結合
することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、また
はTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。
【0163】
TβRIIアンタゴニスト小分子は、直接的または間接的インヒビターであり得る。例
えば、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TβRII、ALK5
、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3のうち少なくとも1もしくは複
数、および/または1もしくは複数の下流TβRIIシグナル伝達因子(Smad)の発
現(例えば、転写、翻訳、細胞分泌、またはそれらの組合せ)を阻害し得る。あるいは、
直接的TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、例えば、TβRII、
ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうち1もしくは
複数、または1もしくは複数の下流TβRIIシグナル伝達因子に直接結合し得る。1ま
たは複数の間接的TβRIIアンタゴニスト小分子および1または複数の直接的TβRI
Iアンタゴニスト小分子の組合せが、本明細書に開示される方法に従って使用され得る。
【0164】
本開示の結合性有機小分子アンタゴニストは、公知の方法論を使用して、同定および化
学合成され得る(例えば、PCT公開番号WO00/00823およびWO00/395
85を参照のこと)。一般に、本開示の小分子アンタゴニストは通常、サイズが約200
0ダルトン未満であり、あるいは、サイズが約1500、750、500、250または
200ダルトン未満であり、かかる有機小分子は、好ましくは、具体的には本明細書に記
載されるポリペプチド(例えば、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、
TGFβ2およびTGFβ3)に結合することが可能である。かかる小分子アンタゴニス
トは、周知の技術を使用して過度の実験なしに同定され得る。これに関して、ポリペプチ
ド標的に結合することが可能な分子について有機小分子ライブラリーをスクリーニングす
るための技術は、当該分野で周知であることに留意されたい(例えば、国際特許公開番号
WO00/00823およびWO00/39585を参照のこと)。
【0165】
本開示の結合性有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、
セミカルバゾン、カルバジド、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、N-置換ヒ
ドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド
、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カルボネート、ケタール、チオ
ケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハライド、アリールスルホン酸、アル
キルハライド、スルホン酸アルキル、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケ
ン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリ
ジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネー
ト、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物および酸塩化物であり得る。
【0166】
本明細書に開示されるTβRIIアンタゴニスト小分子のいずれかは、所望のものを達
成するために、1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。
例えば、TβRIIアンタゴニスト小分子は、i)1もしくは複数のさらなるTβRII
アンタゴニスト小分子、ii)本明細書に開示される1もしくは複数のTβRIIアンタ
ゴニスト抗体;iii)そのバリアントを含む、1もしくは複数のTβRIIポリペプチ
ド;および/またはiv)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド
と組み合わせて使用され得る。
E.アンタゴニストポリヌクレオチド
【0167】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβR
IIアンタゴニストは、ポリヌクレオチド(TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド
)またはポリヌクレオチドの組合せである。TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド
またはポリヌクレオチドの組合せは、例えば、1または複数のTβRIIリガンド(例え
ば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I
型受容体(例えば、ALK5)、TβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)、
および/または下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害し得る。一部の実施形
態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せが
シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細書に記載され
るものなどを含む細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIアンタゴニストポリヌ
クレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、
真性赤血球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(
例えば、JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナ
ーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度およ
び/もしくは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持
療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0168】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオ
チドの組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻
害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは
、TGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビ
ターは、TGFβ1の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害
する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2
、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに
阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGF
β2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TG
Fβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3をさらに阻害するが、TGFβ2
を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRI
Iアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTG
Fβ2を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形
態では、TGFβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2に結合する。一部の
実施形態では、TGFβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2の発現(例え
ば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TG
Fβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3、TGFβ1、TβRII、AL
K5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なく
ともTGFβ3を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部
の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3に結合する
。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3の発
現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態で
は、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2、TGFβ1、TβRI
I、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形
態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2を阻害しない、また
はTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチ
ドインヒビターは、TGFβ1をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはT
GFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌ
クレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTβRIIを阻害する(例え
ば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TβRIIのポ
リヌクレオチドインヒビターは、TβRIIに結合する。一部の実施形態では、TβRI
Iのポリヌクレオチドインヒビターは、TβRIIの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、
またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIのポリヌクレオチ
ドインヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカ
ンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニス
トポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合
することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド
またはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害する
。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオ
チドの組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態で
は、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、T
GFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では
、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TG
Fβ1、TGFβ2およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実
施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合
せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに
結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻
害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリ
ヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害するが、TGF
β2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合す
ることを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌク
レオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRII
に結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、ま
たはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では
、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少な
くともALK5を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部
の実施形態では、ALK5のポリヌクレオチドインヒビターは、ALK5に結合する。一
部の実施形態では、ALK5のポリヌクレオチドインヒビターは、ALK5の発現(例え
ば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、AL
K5のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβR
IIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGF
β1がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニ
ストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ2がALK5に結合
することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド
またはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害する。
一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチ
ドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害する。一部
の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの
組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害す
る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレ
オチドの組合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がA
LK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質
的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまた
はポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、T
GFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合す
ることを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌク
レオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に
結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、または
TGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、Tβ
RIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくとも
ベータグリカンを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部
の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、ベータグリカンに
結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、ベ
ータグリカンの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。
一部の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1、
TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびALK5のうち1または複数をさらに阻害す
る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレ
オチドの組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施
形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せ
は、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、Tβ
RIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3
がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴ
ニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ
3がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタ
ゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1、TGFβ2
およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、T
βRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ
1がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合す
ることを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害
しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌ
クレオチドの組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TG
Fβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカ
ンに結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニス
トポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3が
ベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合するこ
とを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しな
い。
【0169】
本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アンチセンス核酸、RNAi分子[例え
ば、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、micr
oRNA(miRNA)]、アプタマーおよび/またはリボザイムであり得る。ヒトTβ
RII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の核酸お
よびアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、したがって、本開示の方法に従う使用のた
めのポリヌクレオチドアンタゴニストは、当該分野の知識および本明細書に提供される教
示に基づいて、当業者によって慣用的に作製され得る。
【0170】
例えば、アンチセンステクノロジーは、アンチセンスDNAもしくはRNAを介して、
または三重らせん形成を介して、遺伝子発現を制御するために使用され得る。アンチセン
ス技術は、例えば、Okano(1991年)J. Neurochem.56巻:56
0頁;Oligodeoxynucleotides as Antisense In
hibitors of Gene Expression、CRC Press、Bo
ca Raton、Fla.(1988年)で議論されている。三重らせん形成は、例え
ば、Cooneyら(1988年)Science 241巻:456頁;およびDer
vanら、(1991年)Science 251巻:1300頁で議論されている。こ
れらの方法は、相補的DNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。一部の
実施形態では、アンチセンス核酸は、所望の遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部分に
対して相補的である一本鎖RNAまたはDNA配列を含む。しかし、完全な相補性は、好
ましくはあるが、必要ではない。
【0171】
本明細書でいう「RNAの少なくとも一部分に対して相補的」な配列とは、RNAとハ
イブリダイズして安定な二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を
意味する;したがって、本明細書に開示される遺伝子の二本鎖アンチセンス核酸の場合、
二重鎖DNAの単一の鎖が試験され得る、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブ
リダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一
般に、ハイブリダイズする核酸が大きいほど、その核酸が含み得る、安定な二重鎖(また
は、場合によっては三重鎖)をなおも形成し得る、RNAとの塩基ミスマッチは多くなる
。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用によ
って、ミスマッチの容認できる程度を確認できる。
【0172】
メッセージの5’末端、例えば、AUG開始コドンまでかつそれを含む5’非翻訳配列
に対して相補的であるポリヌクレオチドは、翻訳を阻害する際に最も効率的に機能するは
ずである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に対して相補的な配列が、mRNAの翻訳
を阻害する際に同様に有効であることが示されている[例えば、Wagner, R.、
(1994年)Nature 372巻:333~335頁を参照のこと]。したがって
、本開示の遺伝子の5’非翻訳または3’非翻訳のいずれかの非コード領域に対して相補
的なオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAの翻訳を阻害するために、アンチセンスアプ
ローチにおいて使用され得る。mRNAの5’非翻訳領域に対して相補的なポリヌクレオ
チドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコード領域に対して相補
的なアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが
、本開示の方法に従って使用され得る。本開示のmRNAの5’非翻訳領域、3’非翻訳
領域またはコード領域のいずれにハイブリダイズするように設計されても、アンチセンス
核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長でなければならず、好ましくは、6~約50ヌクレ
オチド長の範囲のオリゴヌクレオチドである。具体的な態様では、このオリゴヌクレオチ
ドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌク
レオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである。
【0173】
一実施形態では、本開示のアンチセンス核酸は、外因性配列からの転写によって細胞内
で産生される。例えば、ベクターまたはその一部分が転写されて、本開示の遺伝子のアン
チセンス核酸(RNA)を産生する。かかるベクターは、所望のアンチセンス核酸をコー
ドする配列を含む。かかるベクターは、所望のアンチセンスRNAを産生するためにそれ
が転写され得る限り、エピソーム性のままであり得る、または染色体に組み込まれ得る。
かかるベクターは、当該分野において標準的な組換えDNAテクノロジー方法によって構
築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞における複製および発現に使用される、プラスミ
ド、ウイルス、または当該分野で公知の他のものであり得る。本開示の所望の遺伝子をコ
ードする配列またはその断片の発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用する
ことが当該分野において公知の任意のプロモーターによるものであり得る。かかるプロモ
ーターは、誘導性または構成的であり得る。かかるプロモーターには、SV40初期プロ
モーター領域[例えば、BenoistおよびChambon(1981年)Natur
e 29巻:304~310頁を参照のこと]、ラウス肉腫ウイルスの長い3’末端反復
配列中に含まれるプロモーター[例えば、Yamamotoら(1980年)Cell
22巻:787~797頁を参照のこと]、ヘルペスチミジンプロモーター[例えば、W
agnerら(1981年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.
A.78巻:1441~1445頁を参照のこと]、およびメタロチオネイン遺伝子の調
節配列[例えば、Brinsterら(1982年)Nature 296巻:39~4
2頁を参照のこと]が含まれるがこれらに限定されない。
【0174】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンタゴニストは、1または複数の遺伝子の発
現を標的化する干渉RNAまたはRNAi分子である。RNAiとは、標的化されたmR
NAの発現を干渉するRNAの表現を指す。具体的には、RNAiは、siRNA(低分
子干渉RNA)を介して特異的mRNAと相互作用することを介して、標的化された遺伝
子をサイレンシングする。次いで、dsRNA複合体は、細胞による分解のために標的化
される。siRNA分子は、十分に相補的(例えば、遺伝子に対して少なくとも80%の
同一性)である標的遺伝子の発現を干渉する、10~50ヌクレオチド長の二本鎖RNA
二重鎖である。一部の実施形態では、このsiRNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド
配列に対して少なくとも85、90、95、96、97、98、99または100%同一
であるヌクレオチド配列を含む。
【0175】
さらなるRNAi分子には、低分子ヘアピンRNA(shRNA);また、低分子干渉
ヘアピンおよびmicroRNA(miRNA)が含まれる。shRNA分子は、ループ
によって接続された、標的遺伝子由来のセンス配列およびアンチセンス配列を含む。この
shRNAは、核から細胞質中に輸送され、mRNAに沿って分解される。Pol II
IまたはU6プロモーターは、RNAiのためのRNAを発現させるために使用され得る
。Paddisonら[Genes & Dev.(2002年)16巻:948~95
8頁、2002年]は、RNAiをもたらすための手段として、ヘアピンへと折り畳まれ
た小さいRNA分子を使用している。したがって、かかる低分子ヘアピンRNA(shR
NA)分子もまた、本明細書に記載される方法において有利に使用される。機能的shR
NAのステムおよびループの長さは変動する;ステムの長さは、約25~約30ntの範
囲のどこかであり得、ループサイズは、サイレンシング活性に影響を与えることなしに、
4~約25ntの間の範囲であり得る。任意の特定の理論によって束縛されることは望ま
ないが、これらのshRNAは、DICER RNaseの二本鎖RNA(dsRNA)
産物と似ており、いずれにしても、特異的遺伝子の発現を阻害する同じ能力を有すると考
えられる。このshRNAは、レンチウイルスベクターから発現され得る。miRNAは
、「ステム-ループ」構造を特徴とするプレmiRNAとして最初に転写され、引き続い
て、RISCを介したさらなるプロセシングの後に成熟miRNAへとプロセシングされ
る、約10~70ヌクレオチド長の一本鎖RNAである。
【0176】
siRNAが含まれるがこれに限定されない、RNAiを媒介する分子は、化学合成に
よって(Hohjoh、FEBS Lett 521巻:195~199頁、2002年
)、dsRNAの加水分解によって(Yangら、Proc Natl Acad Sc
i USA 99巻:9942~9947頁、2002年)、T7 RNAポリメラーゼ
を用いたin vitro転写によって(Donzeetら、Nucleic Acid
s Res 30巻:e46頁、2002年;Yuら、Proc Natl Acad
Sci USA 99巻:6047~6052頁、2002年)、およびE.coli
RNase IIIなどのヌクレアーゼを使用する二本鎖RNAの加水分解によって(Y
angら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:9942~994
7頁、2002年)、in vitroで産生され得る。
【0177】
別の態様によれば、本開示は、デコイDNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、複合体化
DNA、カプセル化DNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、ネイキッドRNA、カ
プセル化RNA、ウイルスRNA、二本鎖RNA、RNA干渉を生じさせることが可能な
分子、またはそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されないポリヌクレオチドアンタ
ゴニストを提供する。
【0178】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アプタマーである
。アプタマーは、標的分子、例えば、TβRII、TGFβ1、TGFβ2およびTGF
β3ポリペプチドに結合し、標的分子に特異的に結合する三次構造を形成する、二本鎖D
NAおよび一本鎖RNA分子を含む核酸分子である。アプタマーの生成および治療的使用
は、当該分野で十分確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号を参照の
こと。アプタマーについてのさらなる情報は、米国特許出願公開第2006014874
8号に見出され得る。核酸アプタマーは、例えば、試験管内進化法(SELEX)プロセ
スを介して、当該分野で公知の方法を使用して選択される。SELEXは、例えば、米国
特許第5,475,096号、同第5,580,737号、同第5,567,588号、
同第5,707,796号、同第5,763,177号、同第6,011,577号およ
び同第6,699,843号に記載されるような、標的分子に対する高度に特異的な結合
を有する核酸分子のin vitro進化のための方法である。アプタマーを同定するた
めの別のスクリーニング方法は、米国特許第5,270,163号に記載されている。こ
のSELEXプロセスは、種々の2次元および3次元構造を形成する核酸の能力、ならび
に他の核酸分子およびポリペプチドを含む、モノマーであれポリマーであれ実質的に任意
の化学化合物とのリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)ためにヌクレオチ
ドモノマー内で利用可能な化学的多用途性に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が、
標的として機能し得る。このSELEX方法には、所望の結合親和性および選択性を達成
するために同じ一般的選択スキームを使用する、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの
選択、ならびに結合、分離および増幅の段階的反復が関与する。ランダム化された配列の
セグメントを含み得る核酸の混合物から開始して、このSELEX方法は、結合に好都合
な条件下で、混合物を標的と接触させるステップ;標的分子に特異的に結合した核酸から
、未結合の核酸を分離するステップ;核酸-標的複合体を解離させるステップ;核酸-標
的複合体から解離された核酸を増幅して、核酸のリガンド富化された混合物を得るステッ
プを含む。結合、分離、解離および増幅のステップは、標的分子に対する高度に特異的な
高親和性の核酸リガンドを得るために、必要に応じて最初から最後まで何度でも反復され
る。
【0179】
典型的には、かかる結合性分子は、動物に別々に投与されるが[例えば、O’Conn
or(1991年)J. Neurochem.56巻:560頁を参照のこと]、かか
る結合性分子はまた、宿主細胞によって取り込まれたポリヌクレオチドからin viv
oで発現され得、in vivoで発現され得る[例えば、Oligodeoxynuc
leotides as Antisense Inhibitors of Gene
Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(19
88年)を参照のこと]。
【0180】
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドのいずれかは、所望の効果を達成するため
に、1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。例えば、T
βRIIアンタゴニストポリヌクレオチドは、i)1もしくは複数のさらなるTβRII
アンタゴニストポリヌクレオチド、ii)そのバリアントを含む、1もしくは複数のTβ
RIIポリペプチド;iii)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニスト抗体;および
/またはiv)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニスト小分子と組み合わせて使用さ
れ得る。
5.スクリーニングアッセイ
【0181】
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ-TβRIIシグナル伝達経路のアゴニスト
またはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための、TβRIIポリペプチド
(例えば、可溶性TβRIIポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングによっ
て同定された化合物は、in vitroでTGFβシグナル伝達活性をモジュレートす
るそれらの能力を評価するために、試験され得る。任意選択で、これらの化合物は、in
vivoで組織成長をモジュレートするそれらの能力を評価するために、動物モデルに
おいてさらに試験され得る。
【0182】
TGFβおよびTβRIIポリペプチドを標的化することによって組織成長をモジュレ
ートするための治療剤についてスクリーニングするための多数のアプローチが存在する。
ある特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングが、TGFβまたは
TβRII媒介性の細胞シグナル伝達を乱す薬剤を同定するために、実施され得る。ある
特定の実施形態では、このアッセイは、TGFβへのTβRIIポリペプチドの結合を特
異的に阻害または低減させる化合物をスクリーニングおよび同定するために実施される。
あるいは、このアッセイは、TGFβへのTβRIIポリペプチドの結合を増強する化合
物を同定するために使用され得る。さらなる実施形態では、これらの化合物は、TGFβ
またはTβRIIポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定され得る。
【0183】
種々のアッセイ形式が、本開示に照らして十分であるが、それにもかかわらず、本明細
書に明示的に記載されていないアッセイ形式が、当業者によって理解される。本明細書に
記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアルケミカル方
法によって創出され得る。あるいは、これらの対象化合物は、in vivoまたはin
vitroで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織成長のモジュレータ
ーとして作用するそれらの能力について試験される化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵
母、植物もしくは他の生物によって産生され得(例えば、天然産物)、化学的に産生され
得(例えば、ペプチド模倣物を含む小分子)、または組換え産生され得る。本発明によっ
て企図される試験化合物には、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチ
ド模倣物、糖、ホルモンおよび核酸分子が含まれる。具体的な実施形態では、この試験薬
剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小さい有機分子である。
【0184】
本発明の試験化合物は、単一の個別の実体として提供され得るか、またはコンビナトリ
アルケミストリーなどによって作製された、より高い複雑度のライブラリーにおいて提供
され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハライド、アミン、
アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他のクラスの有機化合物を含み得る。試
験系への試験化合物の提示は、特に初期スクリーニングステップでは、単離された形態の
化合物でまたは化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意選択で、これらの化合
物は、他の化合物で任意選択で誘導体化され得、化合物の単離を促進する誘導体化基を有
し得る。誘導体化基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン(
digoxygenin)、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁性ビーズ
、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化可能なクロスリンカーまたは
それらの任意の組合せが含まれる。
【0185】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラ
ムでは、ハイスループットアッセイが、所与の期間に調査される化合物の数を最大化する
ために、望ましい。精製または半精製のタンパク質を用いて誘導され得るものなどの無細
胞系で実施されるアッセイは、迅速な開発と試験化合物によって媒介される分子標的にお
ける変更の比較的容易な検出とを可能にするように生み出され得るという点で、「一次」
スクリーニングとして好ましいことが多い。さらに、試験化合物の細胞毒性またはバイオ
アベイラビリティの影響は、一般に、in vitroの系では無視され得、その代わり
に、このアッセイは、TβRIIポリペプチドとTGFβとの結合親和性の変更として現
れ得るような、分子標的に対する薬物の影響に主に焦点を当てる。
【0186】
単に例示するために、本発明の例示的なスクリーニングアッセイでは、目的の化合物は
、通常はTGFβと結合することが可能な単離および精製されたTβRIIポリペプチド
と接触させられる。次いで、化合物およびTβRIIポリペプチドの混合物に、TβRI
Iリガンドを含む組成物が添加される。TβRII/TGFβ複合体の検出および定量化
は、TβRIIポリペプチドとTGFβとの複合体形成を阻害(または強化)する際の化
合物の効力を決定するための手段を提供する。この化合物の効力は、種々の濃度の試験化
合物を使用して取得されたデータから、用量反応曲線を生成することによって評価され得
る。さらに、対照アッセイもまた、比較のためのベースラインを提供するために実施され
得る。例えば、対照アッセイでは、単離および精製されたTGFβが、TβRIIポリペ
プチドを含む組成物に添加され、TβRII/TGFβ複合体の形成が、試験化合物の非
存在下で定量化される。一般に、反応物が混合され得る順序は、変動され得、同時に混合
され得ることが理解される。さらに、精製されたタンパク質の代わりに、細胞抽出物およ
び溶解物が、適切な無細胞アッセイ系を提供するために使用され得る。
【0187】
TβRIIポリペプチドとTGFβとの複合体形成は、種々の技術によって検出され得
る。例えば、複合体の形成のモジュレーションは、イムノアッセイまたはクロマトグラフ
ィー検出により、例えば、検出可能に標識されたタンパク質、例えば、放射能標識された
(例えば、32P、35S、14Cもしくは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC
)、または酵素的に標識されたTβRIIポリペプチドまたはTGFβを使用して、定量
化され得る。
【0188】
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質と
の相互作用の程度を、直接的または間接的にのいずれかで測定する際の、蛍光偏光アッセ
イおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、他の
様式の検出、例えば、光導波路(PCT公開WO96/26432および米国特許第5,
677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサーおよび表面力セ
ンサーに基づくものが、本発明の多くの実施形態と適合性である。
【0189】
さらに、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質との相互作用を破壊
または強化する薬剤を同定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の相
互作用トラップアッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;
Zervosら(1993年)Cell 72巻:223~232頁;Maduraら(
1993年)J Biol Chem 268巻:12046~12054頁;Bart
elら(1993年)Biotechniques 14巻:920~924頁;および
Iwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693~1696頁)を
参照のこと。具体的な実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タン
パク質との相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するた
めの逆ツーハイブリッドシステムの使用を企図する。例えば、VidalおよびLegr
ain、(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919~29頁
;VidalおよびLegrain、(1999年)Trends Biotechno
l 17巻:374~81頁;ならびに米国特許第5,525,490号;同第5,95
5,280号;および同第5,965,368号を参照のこと。
【0190】
ある特定の実施形態では、これらの対象化合物は、本発明のTβRIIまたはTGFβ
ポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定される。化合物とTβRIIまた
はTGFβポリペプチドとの相互作用は、共有結合または非共有結合であり得る。例えば
、かかる相互作用は、光架橋、放射能標識されたリガンド結合およびアフィニティークロ
マトグラフィーを含むin vitroの生化学的方法を使用して、タンパク質レベルで
同定され得る(Jakoby WBら、1974年、Methods in Enzym
ology 46巻:1頁)。特定の場合には、これらの化合物は、機構ベースのアッセ
イ、例えば、TGFβまたはTβRIIポリペプチドと結合する化合物を検出するための
アッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相または液相結合事象を含み得る
。あるいは、TGFβまたはTβRIIポリペプチドをコードする遺伝子は、細胞中にレ
ポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質
)と共にトランスフェクトされ得、好ましくはハイスループットスクリーニングによって
ライブラリーに対してスクリーニングされ得、またはライブラリーの個々のメンバーを用
いてスクリーニングされ得る。他の機構ベースの結合アッセイ、例えば、自由エネルギー
における変化を検出する結合アッセイが、使用され得る。結合アッセイは、ウェル、ビー
ズもしくはチップに固定された、または固定化された抗体によって捕捉された、またはキ
ャピラリー電気泳動によって分離された標的を用いて、実施され得る。結合した
化合物は、通常は比色または蛍光または表面プラズモン共鳴を使用して、検出され得る。
【0191】
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ媒介性の細胞シグナル伝達をモジュレート(
刺激または阻害)するための方法および薬剤を提供する。したがって、同定された任意の
化合物は、TGFβシグナル伝達をモジュレートするそれらの能力を確認するために、細
胞または組織全体中で、in vitroまたはin vivoで試験され得る。当該分
野で公知の種々の方法が、この目的のために利用され得る。
【0192】
6.例示的な治療的使用
骨髄増殖性新生物(MPN)は、異常な造血幹細胞増殖から生じ、骨髄線維症(PMF
)、真性赤血球増加症(PV)および本態性血小板血症(ET)を含む[Mesa, R
.A.(2013年)Leuk Lymphoma 54巻(2号):242~251頁
]。ETおよびPVは、骨髄線維症(それぞれ、ET後関連骨髄線維症およびPV後関連
骨髄線維症)へと進化することが可能である[Thieleら(2008年)WHO C
lassification of Tumours of Haematopoiet
ic and Lymphoid Tissues. IARC Lyon: Worl
d Health Organization、44~7頁;およびCervantes
ら(2009年)Blood 113巻(13号):2895~901頁]。ある特定の
特有の特徴にもかかわらず、これらの骨髄線維症疾患は、血栓性および溶血性合併症を発
症し、急性脊髄性白血病へと進行するそれらの傾向などの顕著な表現型的および臨床的共
通性を有する[Spivak, J.L.(2002年)Blood 100巻:427
2~4290頁;Finazziら(2007年)Blood 190巻:5104~5
111頁;およびPassamnotiら(2010年)Blood 115巻:170
3~1708頁]。ルキソリチニブ(例えば、ジャカビ(Jakafi))の食品医薬品
局(FDA)承認の前には、造血幹細胞移植(HSCT)以外にMFの処置に関して承認
された処置はなかった。疾患生物学の理解の改善が、潜在的な新しいクラスの治療学を評
価する臨床試験の増加につながっている。しかしながら、脊髄増殖性障害の処置に関して
、かなりの満たされていない要求が依然として残っている。
【0193】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症およ
び本態性血小板血症後骨髄線維症を含むBCR-ABL陰性骨髄増殖性新生物)または骨
髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫、炎症、貧血および髄外
造血)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる
ための方法であって、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または複数のさらな
る支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼイン
ヒビター)と組み合わせて、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニスト(例えば
、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、
47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列
に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96
%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから
本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患
者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0194】
ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ
関連障害)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防す
る、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、任意
選択でヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための1または複数のさらなる支持療法および
/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み
合わせて、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~1
7、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53
~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なく
とも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98
%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、
またはそれから本質的になるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与
するステップを含む方法を提供する。本開示の方法によって処置または予防され得るヤヌ
スキナーゼ関連障害として、例えば、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性
赤血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症、
本態性血小板血症後骨髄線維症およびCML)、ヤヌスキナーゼ関連障害と関連付けられ
る他の血管障害、およびヤヌスキナーゼ関連障害と関連付けられる他のクローン障害なら
びにそれらか生じる合併症が挙げられる。
【0195】
本明細書で使用する場合、障害または状態を「予防する」治療薬とは、統計学的試料に
おいて、未処置の対照試料と比較して、処置した試料において障害もしくは状態の発生を
低減させ、あるいは未処置の対照試料と比較して、障害もしくは状態の1もしくは複数の
症状の発症を遅延またはその重症度を低減させる化合物を指す。
【0196】
用語「処置する」は、本明細書で使用する場合、状態が一旦確立された後の、その状態の
寛解または排除を含む。いずれの場合にも、予防または処置は、医師または他の健康ケア
提供者によって提供される診断および治療剤の投与の意図した結果において、識別され得
る。
【0197】
概して、本開示において記載するような疾患もしくは状態の処置または予防は、TβR
IIアンタゴニストを有効量で投与するステップによって達成される。作用物質の有効量
は、必要な投与量および期間での所望の治療上または予防上の結果を達成するのに有効な
量を指す。本開示の作用物質の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、
ならびに作用物質の、個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に応じて様々で
あり得る。予防有効量は、必要な投与量および期間での所望の予防上の結果を達成するの
に有効な量を指す。
【0198】
骨髄線維症は、一般的にますますの無効造血、髄外造血、様々な炎症性合併症、および
に寿命の短縮をもたらす進行性骨髄線維症を特徴とするクローン腫瘍性障害である[Ma
scarenhasら(2012年)Curr Med Chem 19巻:4399~
4413頁;およびVannucchiら(2011年)Hematol Am Soc
Hematol Educ Prog 2011年:222~230頁]。それは、過
剰な細胞が産生される骨髄の脊髄増殖性障害の1つである。異常造血細胞クローンによる
線維芽細胞増殖因子などのサイトカインの産生が、コラーゲン線維症を介した結合組織に
よる骨髄の造血組織の置換をもたらす。造血組織の減少は、新しい血液細胞を生成する患
者の能力を損ない、進行性汎血球減少症、全ての血液型の不足をもたらす。しかしながら
、コラーゲンの増殖、線維芽細胞および堆積は、二次的な現象であり、線維芽細胞自体は
、異常細胞クローンの一部ではない。骨髄の進行性瘢痕、または線維症の結果として、造
血細胞が、他の領域、特に肝臓および脾臓へ強制的に移動されるため、患者は、髄外造血
を発症する。これは、これらの臓器の腫大を引き起こす。肝臓では、その状態は、肝腫と
呼ばれる。脾臓の腫大は、脾腫と呼ばれ、それはまた、汎血球減少症、特に血小板減少お
よび貧血の一因となる。また、肺およびリンパ節で発生する髄外造血の報告も見られる。
髄外造血の別の合併症は、異常な形をした赤血球の存在の変形赤血球症である。骨髄線維
症の一般的な臨床所見として、進行性肝脾腫、異常血球数ならびに疲労、体重減少、寝汗
、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、錯感覚(p
arasthesias)、悪液質、脾梗塞および失血などの衰弱性の症状が挙げられる
。最近まで、疾患の進行に対する明らかに実証された影響による唯一の処置は、同種造血
幹細胞移植alloHSCTであったが、処置関連の死亡率が高く、ほんの少数の患者だ
けが、この集中療法に適格である[Guptaら(2012年)Blood 120巻:
1367~1379頁]。
【0199】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄
線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)を処置す
る、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、
または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。特に、
TβRIIアンタゴニストは、例えば無効造血、貧血、炎症、線維症(例えば、骨髄線維
症、脾臓線維症髄および肝線維症)、汎血球減少症、好中球減少症、上昇したサイトカイ
ン、凝固障害、炎症性合併症、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、血小板減少症
、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、
肝腫、脾腫、骨硬化症、骨骨髄線維症、変形赤血球症、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻
痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、錯感覚、悪液質、脾梗
塞および失血を含む骨髄線維症の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはそ
の進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の
支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0200】
原発性骨髄線維症(PMF)の現在の診断は、World Health Organ
ization(WHO)基準に基づいており、臨床的および研究室的特徴の複合評価を
含む[Tefferi Aら(2007年)Blood.110巻:1092~1097
頁]。3つのWHO診断一次基準がある:1)レチクチンおよび/またはコラーゲン線維
症のいずれかを伴うか、あるいはレチクリンの非存在下での巨核球増殖および異型(異常
な核/細胞質比、ならびに多染色体性および不規則に折り畳まれた核、ならびに高密度ク
ラスター形成を伴う小~大の巨核球)(巨大核細胞の変化は、骨髄細胞性の増加、顆粒球
増殖および多くの場合、赤血球生成増殖(即ち、前線維性原発性骨髄線維症の減少を伴わ
なくてはならない))、2)慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、脊髄異形成症候群ま
たは他の骨髄新生物に関するWHO基準を満たさないこと、ならびに3)JAK2V61
7Fもしくは他のクローンマーカーの実証、または反応性骨髄線維症の根拠がないこと。
さらに、4つのWHO診断小規模基準がある:1)血球赤芽球症、2)血清LDHレベル
の増加、3)貧血、および4)触知可能な脾腫。末梢血白赤芽球症(即ち、有核赤血球、
未熟顆粒球および涙滴赤血球の存在)は、PMFの典型であるが、不変的な特徴ではなく
、前線維性PMFは、顕性白赤芽球症を示さない場合もある[Kvasnickaら(2
010年)Am J Hematol.85巻:62~69頁]。PMFにおける骨髄線
維症は、通常JAK2V617Fまたは変異CALR、またはMPL、トリソミー9また
はdel(13q)と関連付けられる[Husseinら(2009年)Eur J H
aematol.82巻:329~338頁]。したがって、これらの遺伝子マーカーの
存在は、骨髄線維症と関連付けられる骨髄新生物の存在下で、PMFの診断を強力に支持
する。ある特定の態様では、本開示は、原発性骨髄線維症を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴ
ニストの使用に関し、特に原発性骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防
する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる。
【0201】
真性赤血球増加症後骨髄線維症(PV後MF)および本態性血小板血症後骨髄線維症(
ET後MF)の現在の診断は、International Working Grou
p for MPN Research and Treatment(IWG-MRT
)によって発表された基準に基づく[Barosi Gら(2008年)Leukemi
a.22巻:437~438頁]。PV後MFに関しては、2つのIWG-MRT一次基
準がある:1)WHO基準によって規定されるような真性赤血球増加症の以前の診断の証
拠書類、および2)欧州分類に従う骨髄線維症グレード2~3(0~3のスケールで)ま
たはグレード3~4(0~4のスケールで)。欧州分類に従うグレード2~3:膠原化の
根拠を有さないびまん性、多くの場合粗線維ネットワーク(陰性トリクローム染色)また
は膠原化の領域を有するびまん性の粗線維ネットワーク(陽性トリクローム染色)[Th
ieleら(2005年)Haematologica.90巻:1128~1132頁
]。標準分類に従うグレード3~4:時々コラーゲンの限局性線維束のみおよび/または
限局性骨硬化症を有する広範な交差を伴うレチクリンのびまん性かつ高密度の増加、ある
いは多くの場合、かなりの骨硬化症と関連付けられるコラーゲンの粗線維束を有する広範
な交差を伴うレチクリンのびまん性かつ高密度の増加[Manoharanら(1979
年)Br J Haematol 43巻:185~190頁]。さらに、4つのIWG
-MRT診断二次基準があり、そのうちの2つは、PV後MF診断に関するIWG-MR
T一次基準とともに患者において検出されなければならない:1)貧血または細胞減少療
法の非存在下での静脈切開の要件の持続的な損失、2)白赤芽球性末梢血液像、3)5c
m以上の触知可能な脾腫の増加、または新たな触知可能な脾腫の出現のいずれかとして規
定される脾腫の増加、4)3つの全身症状:6ヵ月以内での10%を超える体重減少、寝
汗、原因不明の発熱のうちの1つ以上の発症。ET後MFに関して2つのIWG-MRT
一次基準がある:1)WHO基準によって規定されるような真性赤血球増加症の以前の診
断の証拠書類、2)骨髄線維症グレード2~3(0~3のスケールで)またはグレード3
~4(0~4のスケールで)。さらに、5つのIWG-MRT診断二次基準があり、その
うちの2つは、ET後MF診断に関するIWG-MRT一次基準とともに患者において検
出されなければならない:1)貧血およびベースラインヘモグロビンレベルから2g/d
L以上の減少、2)白赤芽球性末梢血液像、3)5cm以上の触知可能な脾腫の増加、ま
たは新たな触知可能な脾腫の出現のいずれかとして規定される脾腫の増加、4)乳酸脱水
素酵素の増加、ならびに5)3つの全身症状:6ヵ月以内での10%を超える体重減少、
寝汗、原因不明の発熱のうちの1つ以上の発症。ある特定の態様では、本開示は、真性赤
血球増加症後骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関し、特に真性赤
血球増加症後骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させる。ある特定の態様では、本開示は、真本態性
血小板血症後骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関し、特に本態性
血小板血症後骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進
行速度および/もしくは重症度を低減させる。
【0202】
骨髄線維症における頑強な予後モデリングは、2009年に国際予後スコアリングシス
テム(IPSS)の開発から始まった[Cervantes Fら(2009年)Blo
od 113巻:2895~2901頁]。骨髄線維症に関するIPSSは、初期診断時
に評価されている患者に適用可能であり、下生存の5つの独立予測因子を使用する:年齢
>65歳、ヘモグロビン<10g/dL、白血球数>25×109個/L、循環芽細胞≧
1%および全身症状の存在。0個、1個、2個および3個以上の有害因子の存在は、それ
ぞれ、低、中間-1、中間-2、および高リスクの疾患を規定する。相当する生存期間中
央値は、それぞれ、11.3年、7.9年、4年および2.3年であった。ある特定の態
様では、本開示は、IPSSに従う低、中間-1、中間-2、および/または高リスクの
骨髄線維症を有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度
および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用
に関する。一部の実施形態では、本開示は、IPSSに従う骨髄線維症のリスクの進行を
予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する
(例えば、IPSSに従う低から中間-1のリスクへの、中間-1から中間-2のリスク
への、および/もしくは中間-2から高リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延
させる)。一部の実施形態では、本開示は、IPSSに従う骨髄線維症の危険性の後退を
促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する
(例えば、IPSSに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスク
への、および/もしくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)
。
【0203】
続いて、IWG-MRTは、IPSSにおいて使用される同じ予後変数を使用するが、
疾患経過間にいつでも適用され得るダイナミック予後モデル(ダイナミック国際予後スコ
アリングシステム[DIPSS])を開発した[Passamonti Fら(2010
年)Blood.115巻:1703~1708頁]。DIPSSは、ヘモグロビン<1
0g/dLに関しては、1つではなく、2つの有害ポイントを割り当て、リスク分類はそ
れに応じて修正される:低(0有害ポイント)、中間-1(1または2ポイント)、中間
-2(3または4ポイント)および高(5または6ポイント)。相当する生存期間中央値
は、到達せず、14.2年、4年および1.5年であった。ある特定の態様では、本開示
は、DIPSSに従う低、中間-1、中間-2、および/または高リスクの骨髄線維症を
有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もし
くは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一
部の実施形態では、本開示は、DIPSSに従う骨髄線維症のリスクの進行を予防する、
または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、
DIPSSに従う低から中間-1のリスクへの、中間-1から中間-2のリスクへの、お
よび/もしくは中間-2から高リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)
。一部の実施形態では、本開示は、DIPSSに従う骨髄線維症の危険性の後退を促進す
る、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例え
ば、DIPSSに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスクへの
、および/もしくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)。
【0204】
次に、骨髄線維症における生存に関するIPSSおよびDIPSS独立リスク因子が同
定され、好適でない核型(即ち、+8、-7/7q-、i(17q)、inv(3)、-
5/5q-、12p-または11q23再編成)[Husseinら(2010年)Bl
ood.115巻:496~499頁]、赤血球輸血の必要性[Tefferiら(20
09年)Am J Hematol.85巻:14~17頁]および血小板数<100×
109個/L[Patnaikら(2010年)Eur J Haematol.84巻
:105~108頁]を含む複雑な核型または唯一もしくは2つの異常を含んでいた。し
たがって、DIPSSは、これらの3つのさらなるDIPSS独立リスク因子:血小板数
<100×109個/L、赤血球輸血の必要性および好適でない核型を組み込むことによ
って、DIPSS-プラスに修正した。上述の8つのリスク因子に基づく4つのDIPS
S-プラスリスクカテゴリーは、15.4年、6.5年、2.9年、および1.3年のそ
れぞれの生存期間中央値を有する低(リスク因子なし)、中間-1(リスク因子1つ)、
中間-2(リスク因子2つまたは3つ)および/または高(4つを超えるリスク因子)で
ある。ある特定の態様では、本開示は、DIPSS-プラスに従う低、中間-1、中間-
2、および/または高リスクの骨髄線維症を有する患者における骨髄線維症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびT
βRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、DIPSS-
プラスに従う骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるための方法および
TβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSS-プラスに従う低から中
間-1リスクへの、中間-1から中間-2リスクへの、および/もしくは中間-2から高
リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)。一部の実施形態では、本開示
は、DIPSS-プラスに従う骨髄線維症の危険性の後退を促進する、または増加させる
ための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSS-プラ
スに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスクへの、および/も
しくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)。
【0205】
DIPSS-プラスの発表以来、さらなる予後情報を示唆するいくつかの研究が発表さ
れた。例えば、骨髄線維症における80%を超える2年死亡率は、モノソーム核型、in
v(3)/i(17q)、または循環芽細胞>9%、白血球≧40×109個/Lもしく
は他の好適でない核型のうちのいずれか2つによって予測された[Tefferiら(2
011年)Blood.118巻:4595~4598頁]。同様に、骨髄線維症におけ
る下生存は、JAK2 46/1ハプロタイプに関するヌル欠損、低JAK2V617F
対立遺伝子負荷、またはIDH、EZH2、SRSF2もしくはASXL1変異の存在に
関連付けられている[Tefferi、Ayalew(2014年)Am.J.Hema
tol.89巻:916~925頁]。対照的に、JAK2V617F、MPLまたはT
ET2変異の存在または非存在は、生存に影響を及ぼさないようであった。骨髄線維症に
おける生存はまた、血清IL-8およびIL-2Rレベルならびに無血清軽鎖レベルの増
加によって影響され、ともにDIPSS-プラスから独立していた。つい最近では、Te
fferiらは、骨髄線維症を有する254名の患者を研究し、3つ全ての変異(即ち、
トリプルネガティブ)について、JAK2に関して58%、CALRに関して25%、M
PLに関して8%、および野生型に関して9%の変異頻度を報告した[Tefferiら
(2014年)Leukemia.DOI 10.1038/leu.2014.3とし
て予定日前に出版された]。JAK2/MPL非変異の事例におけるCALR変異頻度は
、74%であった。CALR変異は、若年、より高い血小板数およびより低いDIPSS
-プラススコアと関連付けられた。CALR変異患者はまた、貧血性である可能性が低い
か、輸血を必要とする可能性が低いか、または白血球増加症を示す可能性が低かった。ス
プライソソーム変異は、CALR変異患者においては稀であった。570名の患者の続く
国際的研究において、CALR+ASXL1-患者における最も長い生存(中央値10.
4年)およびCALR-ASXL1+患者における最も短い生存(中央値2.3年)を著
者らは報告した[Tefferiら(2014年)、Leukemia.DOI 10.
1038/leu.2014.57として予定日前に出版された]。CALR+ASXL
1+およびCALR-ASXL1-患者は、中間リスクカテゴリーにおいて一緒に分類さ
れた(生存中央値5.8年)。全生存に関して明らかになってきているように、白血病を
発症してない生存もまた、IDHおよびSRSF2を含むある特定の変異を保有する患者
において、非常に危うい[Tefferiら(2012年)Leukemia.26巻:
475~480頁;Lashoら(2012年)Blood.120巻:4168~41
71頁]。さらに、LNKおよびTHPOにおける変異もまた、骨髄線維症と関連付けら
れている。
【0206】
ある特定の態様では、本開示は、モノソーム核型、inv(3)/i(17q)異常、
循環芽細胞>9%および/または白血球≧40×109個/L、JAK2 46/1ハプ
ロタイプに関するヌル欠損、JAK2V617F変異、IDH1変異、IDH2変異、E
ZH2変異、SRSF2変異、ASXL1変異、血清IL-8レベルの増加、血清IL-
2Rレベルの増加、遊離軽鎖レベルの増加、JAK1変異、JAK2変異、JAK3変異
、TYK2変異、MPL変異、CALR変異、CALR+ASXL1-、CALR-AS
KL1+、CALR+ASKL1+、CALR-ASKL1-、TET2変異、THPO
変異、およびLNK変異の1もしくは複数を有する患者における骨髄線維症を処置する、
予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびT
βRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0207】
概して、PVは、赤血球質量の増加を特徴とする[Vardimanら(2009年)
Blood.114巻:937~951頁;Stuartら(2004年)Am Fam
Physician 69巻:2139~2144頁;Hensleyら(2013年
)Expert Opin Pharmacother 14巻:609~617頁;P
assamonti F.(2012年)Blood 120巻:275~2845頁;
およびVannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Med
.5巻:177~184頁]。PVを有する患者は通常、赤血球だけでなく、骨髄におけ
る骨髄性および巨核球性構成成分の過剰な激増を有し、高い赤血球、白血球(WBC)お
よび血小板数をもたらす。PV患者は概して、生活の質の低下を有し、二次MFおよび急
性骨髄性白血病(AML)への変換の危険性がある。治療選択は限られており(例えば、
低用量アスピリン、静脈切開およびヒドロキシウレア)、主に対処療法的であり、血栓症
の発生を予防すること、また上昇した赤血球、骨髄および/または巨核球レベルと関連付
けられる症状を改善させることに焦点を当てている。
【0208】
PVは、MFよりもはるかに高い有病率を有し(それぞれ、100,000人当たり4
~6人に対して、100,000人当たり44~57人)、PV患者は、一般集団よりも
高い死のリスクを有する[Mehtaら(2014年)Leuk Lymphoma 5
5巻:595~600頁;およびPassamontiら(2004年)Am J Me
d.117巻:755~761頁]。PVは、女性よりも男性に影響を及ぼし、診断の年
齢中央値は、60歳であるが、患者のおよそ20~25%が、40歳よりも若い[Tib
esら(2013年)Expert Opin Emerg Drugs.18巻:39
3~404頁]。PVを有する患者における生存期間中央値は、およそ14年であるが、
それは、60歳よりも高齢である患者および/または血栓症歴を有する患者においてはる
かに低い(約8年)[Tefferiら(2013年)Leukemia 27巻:18
74~1881頁]。
【0209】
PVの病因の理解は、PVを有する大部分の患者においてJAK2における変異を活性
化するという発見後に大いに改善された[Levine RL、Pardanani A
、Tefferiら(2007年)Nat Rev Cancer 7巻:673~68
3頁;Tefferi A.(2011年)Leukemia 25巻:1059~10
63頁;およびSeverら(2014年)Leuk Lymphoma 55巻:26
85~2690頁]。古典的なJAK2 V617F変異は、PVを有する患者のおよそ
96%に存在し、JAK2エクソン12変異は、PVを有する患者のおよそ3%に存在す
る。JAK-STATを含むJAK2の過剰活性化は、下流経路を自律的に活性化させ、
調節されない造血をもたらす。これらの見解は、診断および処置に関する基準を形作るの
に役立っている。JAK2V617F変異の存在は、PVの診断における主要基準であり
、いくつかのJAK2インヒビターが、PV用の分子標的療法として開発中である[He
nsleyら(2013年)Expert Opin Pharmacother 14
巻:609~617頁]。
【0210】
PV診断は現在、the 2008 World Health Organizat
ion(WHO)診断基準に基づく[Vardimanら(2009年)Blood.1
14巻:937~951頁]。WHO診断基準は、臨床値、形態学的特徴および遺伝子デ
ータを重視し、赤血球増加症が、第1の主要基準である。WHOによれば、赤血球増加症
の根拠は、ヘモグロビン(Hgb)レベルの上昇(男性では>18.5g/dLおよび女
性では>16.5g/dL)を含むが、British Committee for
Standards in HaematologyおよびPolycythemia
Vera Study Groupなどの他のグループは、それぞれ、ヘマトクリット(
Hct)値の上昇(女性では>48%および男性では>52%)または赤血球量測定の使
用を重視する[McMullinら(2007年)Br J Haematol 138
巻:821~822頁;およびMurphy S.(1999年)Semin Hema
tol 36巻:9~13頁]。近年、研究者らによっては、特にPVを有する患者のサ
ブグループにおける仮面PV(mPV)の同定を受けて、WHO基準を改正することを提
案しているものもいる[Barbui Tら(2014年)Leukemia 28巻:
1191~1195頁;およびBarbuiら(2014年)Am J Hematol
89巻:199~202頁]。顕性PVを有する患者とは異なり、mPV患者を有する
患者は、正常または境界HgbおよびHct値を有する傾向にあるが、通常JAK2変異
に関して陽性であり、PVと一致した骨髄の特徴を有し、低い血清エリスロポイエチンレ
ベルを有する。より低いHgb閾値および/またはHct閾値の使用を重視することを伴
う現在のWHO診断基準に対する改正は、mPVを有するものを正確に診断するのに有益
である可能性があり、これらの患者の適切かつ迅速な処置を可能にし得ると提唱されてい
る。
【0211】
現在のリスク層別化モデルでは、60歳以上の年齢および血栓症歴は、PVを有する患
者を低(0個のリスク因子)および高(1つまたは2つのリスク因子)リスクグループへ
分類するのに使用される2つのリスク因子である。ある特定の態様では、本開示は、低も
しくは高リスクPVを有する患者におけるPVまたはPVの1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法
およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、PV
リスクの進行を予防する、または遅延させる(例えば、低から高リスクPVへのリスクの
進行を予防する、または遅延させる)ための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用
に関する。一部の実施形態では、本開示は、PVリスク後退を促進する、または増加させ
るための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、高から低リスク
PVへの後退を促進する、または増加させる)。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線
維症へのPV進行(PV後骨髄線維症)を予防する、または遅延させるための方法および
TβRIIアンタゴニストの使用に関する。PVはまた、急性白血病への変換のリスクを
保有する[Vannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg M
ed.5巻:177~184頁]。PVを有する患者におけるAMLへの変換の発生率は
、経時的に進行性リスクを伴って、疾患の10年後に5~15%に及ぶ[Finazzi
ら(2005年)Blood 105巻:2664~2670頁]。高齢、女性およびア
ルキル化剤、放射線または腫瘍縮小薬の組合せの使用は、白血病変換のより高いリスクと
関連付けられる。一部の実施形態では、本開示は、AMLへのPV進行を予防する、また
は遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0212】
PVにおける症候性の負担は、一般的に重篤であり、疾患を有する大部分の患者に存在
する[Scherberら(2011年)Blood 118巻:401~408頁;お
よびHensleyら(2013年)Expert Opin Pharmacothe
r 14巻:609~617頁である]。最も一般的な病状は、疲労(患者の88%によ
り報告される)、掻痒症(62%)、寝汗(52%)、骨痛(50%)、発熱(18%)
および体重減少(31%)であり、掻痒症および疲労が、最も一般的であり、かつ厄介な
症状である。掻痒症は、全身性のヒリヒリ感、チクチク感、うずきまたはムズムズ感とし
て現れ、水への接触後に頻繁に報告され(水原性そう痒症)、大規模な温度変化、アルコ
ール消費または運動が、相当する症状を誘導する場合がある。疲労は、上昇した循環サイ
トカイン(例えば、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン-1およびインターロイキ
ン-6)の結果として同定されている。さらに、患者のおよそ35~45%が、脾腫を発
症するが、その存在は通常、進行性疾患を示している[Tefferiら(2013年)
Leukemia 27巻:1874~1881頁]。脾腫は通常、腹痛、早期満腹、体
重減少および悪心を含む二次的症状をもたらし、合併症は、腹部臓器圧迫および門脈圧亢
進症を引き起こし得る。PV関連の全身症状および脾腫と関連付けられる症状は、患者の
70%に存在し、European Organisation for Resear
ch and Treatment of Cancer Quality of Li
fe Questionnaire Core 30および/またはMPN-Sympt
om Assessment Form(SAF)アンケートなどのツールによって評価
されるように、生活の質を危うくする[Scherberら(2011年)Blood
118巻:401~408頁;Hensleyら(2013年)Expert Opin
Pharmacother 14巻:609~617頁;およびAbelssonら(
2013年)Leuk Lymphoma 54巻:2226~2230頁]。MPN-
SAF Total Symptom Scoreは、疲労、集中、早期満腹、不活発、
寝汗、ムズムズ感、骨痛、腹部不快感、体重減少および発熱に焦点を当てた10品目スコ
アリング手段である。これらのツールに基づいて、PVを有する患者における症状の負担
が、新たに診断される原発性MFを有する患者において観察されるものに匹敵する、また
はそれよりも悪化させることがわかっている。
【0213】
PVのうち最も高頻度の合併症の幾つかは、血管性および血栓塞栓性事象ならびに出血
である[Vannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Me
d.5巻:177~184頁]。血栓症は、診断時にPVを有する患者の最大39%で観
察される顕著な症状である[Tefferiら(2007年)Semin Thromb
Hemost 33巻:313~320頁;およびBarbui Tら(2012年)
Blood Rev 26巻:205~211頁]。主な血栓症の最も高頻度のタイプと
しては、発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、末梢動脈血栓症、深部静脈血栓症、門脈血
栓症、およびバッド・キアリ症候群を引き起こす肝静脈の血栓症が挙げられる。大血管性
合併症に加えて、患者は、微小血管性症状(例えば、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異
常、肢端チアノーゼ)を経験する場合があり、肢端紅痛症は、最も特徴的な障害であり、
四肢におけるうっ血、発赤および灼熱痛からなる。極度の血小板増加症(例えば、>15
00×109個/L)の場合、患者は、後天性フォン・ウィルブランド症候群を発症する
リスクがある可能性があり、それは、失血の素因を引き起こす[Chou YSら(20
13年)Eur J Haematol 90巻:228~236頁]。出血はまた、累
積発生率39.6%(人年当たり6.2%)で、PVを有する患者における罹患率および
死亡率の重大な原因である。さらに、全生存は、この合併症を伴わない患者間よりも、出
血を伴う患者間で、著しく短いことがわかっている(全生存中央値、およそ95ヵ月)。
【0214】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、
27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、1
01、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%
または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれ
からなるTβRIIポリペプチド)は、真性赤血球増加症を処置する、予防する、または
その進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数
の支持療法もしくは活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビタ
ー)と組み合わせて使用され得る。特に、TβRIIアンタゴニストは、真性赤血球増加
症の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と
組み合わせて使用され得る。本明細書中に開示する方法に従って処置され得る真性赤血球
増加症の合併症として、例えば、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨
核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、疲労
、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱および体重減少、上昇した炎症性サイトカイン(例えば、I
L-6)、炎症性合併症、IL-6媒介性の炎症性合併症、脾腫、腹痛、早期満腹、体重
減少、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、全身症状、血管性合併症、血栓症、微小血管
性合併症、および大血管性合併症が挙げられる。
【0215】
2008年に発行された本態性血小板血症(ET)に関する新しいWorld Hea
lth Organization(WHO)診断基準は、真のETと早期骨髄線維症と
の間で重要な区別を行い、したがって、一部には、より長期の生存および顕性MFへのよ
り少ない変換を特徴とする診断に関して、より同種の集団を同定するのに役立った。血小
板増加症は、ETの診断に関して必要条件であるが、かかる事象はまた、ほとんど見られ
ないもののPVおよびPMF患者においても現れる場合がある[Birgegard G
.(2015年)Ther Adv Hematol 6巻(3号):142~156頁
]。さらに、ETは、早期骨髄線維症患者よりも、より低い白血球数、より低いヘモグロ
ビンレベル、血漿中の低い乳酸脱水素酵素(LDH)レベル、および重要なことに、より
良好な予後を特徴とする[Barbuiら(2012年)Blood 120巻:569
~571頁]。WHO分類されたETに関する最近の予後モデルにより、診断からの予測
生存は、高リスク患者に関しては13.7年、中間グループに関しては24.5年、低リ
スク患者に関しては25年を超えることが示される[Passamontiら(2012
年)Blood 120巻:1197~1201頁]。真のETと早期MFとの間の区別
は、これが、血栓出血性事象に関してリスク層別化によって方向付けられるため、これま
でのところ薬理学的処置にとってあまり重要ではないが、それは、患者とのコミュニケー
ションにおいては、当然のことながら重要であり、開発中の新たな薬物を用いた処置の決
定にとってもすぐに非常に重要となり得る。
【0216】
ETおよび他の骨髄線維症状態におけるドライバー変異の検出は、疾患の病理生物学の
理解を大いに高めている。これまで論述されるように、骨髄線維症の研究における躍進は
、JAK2遺伝子の偽キナーゼドメインにおける変異が、骨髄線維症患者の大部分に存在
することが発見された際に成された。興味深いことに、PV患者のおよそ95%が、JA
K2V617F変異を保有するのに対して、ET患者のほんのおよそ約50%が、JAK
2変異陽性である[Campbellら(2005年)Lancet 366巻:194
5~1953頁]。さらに、JAK2V617F+ET患者は、JAK2V617F-E
T患者とわずかに異なる表現型パターンを現し、より高いHbおよびWBCレベル、より
少ない血清エリスロポイエチンおよびより少ない血小板を提示する。いくつかの研究によ
り、JAK2V617F-ET患者と比較して、JAK2V617F+ET患者において
血栓症のリスクの増加が見られることが実証される[Ziakas P.(2008年)
Haematologica 93巻:1412~1414頁;Dahabrehら(2
009年)Leuk Res 33巻:67~73頁;およびLussanaら(200
9年)Thromb Res 124巻:409~417頁]。最近の研究により、特に
高い安定レベルで、JAK2V617F対立遺伝子負荷の進行が、MFの発症と著しく相
関されることが示された[Alvarez-Larran Aら(2014年)、Am
J Hematol 89巻:517~523頁]。
【0217】
骨髄線維症における変異パターンへの最近の追加は、部分的に未知の機能を有する高度
に保存された多機能小胞体タンパク質であるCALRのドライバー変異の検出である。変
異は、ETおよびPMF患者に見られるが、JAK2またはMPLのいずれかにおいて変
異を有さない患者では、ほぼ例外なく見られる[Klampflら(2013年)N E
ngl J Med 369巻:2379~2390頁;Nangaliaら(2013
年)N Engl J Med 369巻:2391~2405頁]。頻度は、ETおよ
びPMFの両方ではおよそ約20%であり、これは、ET患者の約85%が、今では分子
マーカーを用いて診断することができることを意味する。興味深いことに、ETにおける
CALR変異は、JAK2V617F+患者との明らかな差を有する表現型プロファイル
をもたらす。JAK2V617F+患者と比較して、CALR+患者は、より若く、より
一般に男性であり、より高い血小板レベルおよびより低い白血球レベルを有する[Gan
gatら(2014年)Eur J Haematol 94巻:31~36頁;Rot
unnoら(2014年)Blood 123巻:1552~1555頁;Rumiら(
2014年)Blood 123巻:2416~2419頁;Tefferiら(201
4年)Leukemia 28巻:2300~2303頁]。さらに、血栓率の差は、非
常に顕著である:10年累積発生率は、それぞれ5.1%(JAK2V617F+患者)
および14.5%(CALR+患者)であり、相応して15年率は、10.5%(JAK
2V617F+患者)および25.1%(CALR+患者)である。
【0218】
現在のリスク層別化モデルでは、60歳以上の年齢および血栓症歴は、ETを有する患
者を低(0個のリスク因子)および高(1つまたは2つのリスク因子)リスクグループへ
分類するのに使用される2つのリスク因子である。ある特定の態様では、本開示は、低も
しくは高リスクETを有する患者におけるETまたはETの1もしくは複数の合併症を処
置する、予防する、または低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用
に関する。一部の実施形態では、本開示は、ETリスクの進行を予防する、または遅延さ
せる(例えば、低から高リスクETへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)た
めの方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示
は、ETリスク後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴ
ニストの使用に関する(例えば、高から低リスクETへの後退を促進する、または増加さ
せる)。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症へのET進行(ET後骨髄線維症)
を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関す
る。ETはまた、急性白血病への変換のリスクも保有する[Vannucchi A.M
.(2010年)Intern Emerg Med.5巻:177~184頁]。一部
の実施形態では、本開示は、AMLへのEV進行を予防する、または遅延させるための方
法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0219】
研究により、ET患者は、生活の質に対して影響を持つ重要な症状の負担を有すること
が示されている。国際努力では、MPN集団に特異的な症状評価ツールが開発および確証
された[Emanuelら(2012年)J Clin Oncol 30巻:4098
~4103頁;およびScherberら(2011年)Blood 118巻:401
~408頁]。ETの症状/合併症として、例えば、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障
害および体重減少、ならびに頭痛、胸痛、眩暈および肢端紅痛症のような微小血管性合併
症に起因するものが挙げられる。さらに、ET患者の約20%が、診断前に、または診断
時に、血栓症を経験している。軽度の脾腫もまた、ET患者において頻繁に観察される。
【0220】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、
27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、1
01、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%
または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれ
からなるTβRIIポリペプチド)は、本態性血小板血症を処置する、予防するまたはそ
の進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の
支持療法もしくは活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター
)と組み合わせて使用され得る。特に、TβRIIアンタゴニストは、本態性血小板血症
の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重
症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組
み合わせて使用され得る。本明細書中に開示する方法に従って処置され得る本態性血小板
血症の合併症として、例えば、血小板増加症、疲労、掻痒症、寝汗、悪心、しびれ、視覚
障害、体重減少、微小血管性合併症、大血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、
血栓症、脾腫、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、IL-6炎症性の合併症、
上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、血管系合併症、および出
血が挙げられる。
【0221】
上記で論述するように、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)機能獲得型変異であるJAK2
V617Fの発見は、骨髄線維症の基礎にある生物学の理解における大幅な改善、ならび
に骨髄線維症の処置に関してFDAによって承認された第1の薬物であるJAK2インヒ
ビターのルキソリチニブの開発をもたらした[Baxterら(2005年)Lance
t 365巻:1054~1061頁;James C.ら(2005年)Nature
434巻:1144~1148頁;Kralovicsら(2005年)N Engl
J Med.352巻:1779~1790頁;およびLevineら(2005年)
Cancer Cell 7巻:387~397頁]。JAK2V617Fは、大多数の
骨髄線維症(50~60%)およびPV(95%)患者、ならびに約半分のET(約50
%)患者に存在する[Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054
~1061年;James C.ら(2005年)Nature 434巻:1144~
1148頁;Kralovicsら(2005年)N Engl J Med.352巻
:1779~1790頁;Levineら(2005年)Cancer Cell 7巻
:387~397頁;およびQuintas-Cardamaら(2011年)Nat
Rev Drug Discov 10巻:127~140頁]。JAK-STAT経路
に関連するさらなる変異は、例えば、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、
IDH2、THPOおよびASXL1を含む骨髄増殖性障害を有する患者において同定さ
れた[Pikmanら(2006年)PLoS Med 3巻:e270頁;Ohら(2
010年)Blood 116巻:988~992頁;Delhommeauら(200
9年)N Engl J Med 360巻:2289~2301頁;およびCarbu
cciaら(2009年)Leukemia 23巻:2183~2186頁]。JAK
2V617Fおよび他の変異は、同時に同じ患者において起こる場合があり、異なる変異
プロファイルを有する多重クローンは、単一の患者において起こり得る。JAK2V61
7Fの存在は、骨髄増殖性疾患の症状および進行段階を進行期へと悪化させることと相関
していた[Barosiら(2007年)Blood 110巻:4030~4036頁
;およびTefferiら(2005年)Br J Haematol 131巻:32
0~328頁]。
【0222】
これらの遺伝子マーカーの発見とともに、より新たな治療戦略は、一部には、骨髄増殖
性疾患関連対立遺伝子負荷の低減を達成すること焦点を当てている。骨髄増殖性疾患の状
況では、対立遺伝子負荷は一般的に、所定の患者における総遺伝子コピー数に対する変異
体コピー数(例えば、JAK2V617F)の比(例えば、JAK2V617F/JAK
2V617F+野生型JAK2)として定義される。いくつかの研究において、より少な
い対立遺伝子負荷を有する患者は、より高い対立遺伝子負荷を有する患者よりも良好な予
後を示している。いくつかのMF研究は、高い対立遺伝子負荷を疾患の進行に関連付けて
おり、例えば、一研究は、ある特定の変異遺伝子のより高い対立遺伝子負荷が、AMLへ
の進行に関連付けられることを示しており、それは、白血病を有する患者の大部分が、J
AK2V617Fに関してホモ接合性であるという観察と一貫している[Barosiら
(2007年)Blood 110巻:4030~4036頁;およびPassamon
tiら(2010年)Leukemia 24巻:1574~1579頁]。さらに、研
究は、増加する対立遺伝子負荷と悪化する脾腫および骨髄造血の増加との間の関連性を一
貫して実証している[Passamontiら(2009年)Haematologic
a 94巻:7~10頁]。
【0223】
ある特定の態様では、本開示は、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または
複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌス
キナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、
配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、4
7~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に
対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%
、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本
質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者
に投与するステップによって、骨髄増殖性障害[例えば、骨髄線維症(例えば、原発性骨
髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)、真性
赤血球増加症(例えば、仮面真性赤血球増加症)および本態性血小板血症]または骨髄増
殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫、炎症、貧血および髄外造血
)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるため
の方法を提供し、ここで、患者は、1または複数の骨髄増殖性関連対立遺伝子(例えば、
JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、IDH2、THPOおよび
ASXL1)を有する。一部の実施形態では、上記方法は、患者において1または複数の
骨髄増殖性関連対立遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、
IDH1、IDH2、THPOおよびASXL1)の対立遺伝子負荷を低減させる。一部
の実施形態では、患者は、1または複数の骨髄増殖性関連JAK2対立遺伝子を有する。
一部の実施形態では、上記方法は、1または複数の骨髄増殖性関連JAK2対立遺伝子の
対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、患者は、JAK2V617F骨髄増
殖性関連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、上記方法は、JAK2V617F骨
髄増殖性関連対立遺伝子負荷を低減させる。
【0224】
ある特定の態様では、本開示は、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または
複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌス
キナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、
配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、4
7~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に
対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%
、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本
質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者
に投与するステップによって、骨髄増殖性障害[例えば、骨髄線維症(例えば、原発性骨
髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)、真性
赤血球増加症(例えば、仮面真性赤血球増加症)および本態性血小板血症]を有する患者
において、骨髄増殖性関連対立遺伝子負荷を低減させるための方法を提供する。一部の実
施形態では、患者は、JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、ID
H2、THPOおよびASXL1からなる群から選択される1または複数の骨髄増殖性関
連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、患者は、1または複数のJAK2骨髄増殖
性関連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、患者は、JAK2V617F骨髄増殖
性関連対立遺伝子を有する。
【0225】
本明細書中に記載する方法によれば、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5
~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、
53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少
なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になる
か、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)は、単独で、または1もしくは複数の
さらなる活性薬剤もしくは支持療法、例えば、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維
症、真性赤血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄
線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)ならびに骨髄増殖性障害の1もしくは複数
の合併症を処置するのに有用である活性薬剤もしくは支持療法と組み合わせて、被験体に
投与することができる。
【0226】
本明細書中で使用する場合、投与「と組み合わせて」、投与「の組合せ」、投与「と組
み合わせた」、または「結合した」投与は、さらなる療法(例えば、第2、第3、第4等
)が身体中で有効のままである(例えば、多重化合物が、患者において同時に有効であり
、それらが、それらの化合物の相乗効果を含み得る)ような任意の投与形態を指す。有効
性は、血液、血清または血漿中の作用物質の測定可能な濃度に相関し得ない。例えば、異
なる治療用化合物は、同じ製剤中、または別個の製剤中のいずれかで、同時に、または順
次、および異なるスケジュールで投与することができる。したがって、かかる処置を受け
る個体は、異なる両方の複合効果から利益を得ることができる。本開示の1または複数の
TβRIIアンタゴニストは、1もしくは複数の他のさらなる作用物質または支持療法と
同時に、それらよりも前に、またはそれらに続いて投与することができる。概して、治療
剤はそれぞれ、その特定の作用物質に関して決定される用量で、および/またはタイムス
ケジュールで投与される。レジメンにおいて用いるための特定の組合せは、本開示のTβ
RIIアンタゴニストと、療法および/または所望の効果との適合性を考慮する。
【0227】
貧血の管理は、骨髄線維症を有する患者を処置することの最も難易度の高い態様の1つ
であり得る[Tefferi A.(2011年)Blood 117巻(13号):3
949~3504頁;Barosiら(2011年)Expert Opin Phar
macother 12巻(10号):1597~1611頁]。輸血(全血または赤血
球輸血)は、症候的に貧血性の骨髄線維症患者のための標準的な治療法である。輸血の他
に、これらの患者において貧血を処置するのに使用される様々な従来の作用物質が存在す
る。例えば、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびその誘導
体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシ
メステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレナリド
ミドは、骨髄線維症患者において貧血を処置するのに一般的に使用される。概して、ES
Aは、中程度の輸血非依存的貧血および低血清エリスロポイエチンレベルを有する患者に
おいて使用される。応答率は、20から60%まで多様であり、従来の組換えエリスロポ
イエチンに対するダーベポエチン-アルファに関して、明らかな支持を伴わない。ESA
応答は通常、短期間である(およそ1年)。ESAが、機能しないか、または乏しい有効
性を有する場合、ダナゾールまたはアンドロゲン調製物は通常、およそ20%の応答率で
貧血患者を処置するのに使用される。プレドニゾンをテーパリングすることに関連付けら
れる低用量サリドマイドは、患者のおよそ20~40%において貧血における応答をもた
らした[Thapaliyaら(2011年)Am J Hematol 86巻(1号
):86~98頁]。しかしながら、サリドマイド処置は多くの場合、末梢神経障害、便
秘および傾眠を伴って許容されにくく、大部分の患者において薬物の中止を招く。del
(5q31)関連貧血を有する骨髄線維症患者において、レナリドミドは、貧血の回復、
および時には分子寛解の根拠を伴う有意な改善が報告されているため、推奨される第一線
の療法である[Tefferiら(2007年)Leukemia 21巻(8号):1
827~1828頁]。
【0228】
ある特定の態様では、本開示は、貧血を有する患者において骨髄線維症を処置する、予
防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβ
RIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症患者
において貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減
させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では
、本開示は、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびその誘導
体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシ
メステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレナリド
ミドからなる群から選択される1または複数のさらなる活性薬剤と結合した1または複数
のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする患者において骨髄線維症ま
たは骨髄線維症の1もしくは複数の合併症(例えば、貧血)を処置する、予防する、また
はその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形
態では、本開示は、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびそ
の誘導体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフル
オキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレ
ナリドミドからなる群から選択される1または複数のさらなる活性薬剤と結合した1また
は複数のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする骨髄線維症患者にお
いて貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させ
るための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、輸血(全血または赤血球輸血)
と結合した1または複数のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする骨
髄線維症患者において貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは
重症度を低減させるための方法に関する。
【0229】
本開示の1または複数のTβRIIアンタゴニストは、特に低用量で赤血球の増加を達
成するように、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用され得る。これは、高用量の
EPO受容体活性化因子と関連付けられる既知のオフターゲットの影響およびリスクを低
減させるのに有用であり得る。ESAの主な有害作用として、例えば、ヘマトクリットま
たはヘモグロビンレベルの過剰な増加および赤血球増加症が挙げられる。上昇したヘマト
クリットレベルは、高血圧(より詳細には、高血圧の悪化)につながり得る。報告されて
いるESAの他の有害作用は、それらの幾つかが高血圧に関連しており、頭痛、インフル
エンザ様症候群、シャントの閉塞、心筋梗塞ならびに血栓症、高血圧性脳症および赤血球
形成不全に起因する脳痙攣である。例えば、Singibarti(1994年)J.C
lin Investig 72巻(付録6)、S36~S43頁;Horlら(200
0年)Nephrol Dial Transplant 15巻(付録4)、51~5
6頁;Delantyら(1997年)Neurology 49巻、686~689頁
;およびBunn(2002年)N Engl J Med 346巻(7号)、522
~523頁を参照のこと。ある特定の実施形態では、本開示は、患者に、治療有効量の1
または複数のTβRIIアンタゴニストおよびEPO受容体活性化因子を投与するステッ
プによって、骨髄線維症患者において貧血を処置または予防するための方法を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストは、ESAの有害作用の影
響を受けやすい患者において、これらの活性化因子の所要用量を低減させるように、EP
O受容体活性化因子と組み合わせて使用され得る。これらの方法は、患者の治療上および
予防上の処置に使用され得る。
【0230】
ヒトにおいてヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットレベルをモニタリングする場
合、適切な年齢および性別のカテゴリーに関して正常に満たないレベルは、貧血を示し得
るが、個体変動が考慮される。例えば、10~12.5g/dl、典型的には約11.0
g/dlのヘモグロビンレベルは、健常な成人において正常範囲内であるとみなされるが
、治療の観点から、より低い標的レベルが、より少ない心血管系の副作用を引き起こし得
る。例えば、Jacobsら(2000年)Nephrol Dial Transpl
ant 15巻、15~19頁を参照のこと。あるいは、ヘマトクリットレベル(細胞に
よって占有される血液試料の容量のパーセント)は、貧血の尺度として使用することがで
きる。健常な個体に関するヘマトクリットレベルは、成人男性に関しては約41~51%
、および成人女性に関しては35~45%の範囲である。ある特定の実施形態では、患者
は、許容されるレベルの赤血球、ヘモグロビンおよび/もしくはヘマトクリットを維持し
ながら、赤血球、ヘモグロビンおよび/もしくはヘマトクリットの標的レベルにまで患者
を回復するように、または赤血球輸血の低減もしくは排除を可能にするように(輸血の負
担を低減させるように)意図される投薬レジメン(例えば、任意選択で1または複数のさ
らなる活性薬剤または支持療法と組み合わせたTβRIIアンタゴニスト)で処置され得
る。ヘモグロビンおよびヘマトクリットレベルは、人それぞれ多様であるため、最適には
、標的ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットレベルは、各患者に関して個別化され
得る。
【0231】
全血または赤血球の高頻度の輸血を受ける患者において、鉄ホメオスタシスの正常なメ
カニズムは、押さえ込まれ、最終的には、心臓、肝臓および内分泌腺などの不可欠な組織
における鉄の有毒でかつ潜在的に致死性の蓄積を引き起こし得る。規則的な赤血球輸血は
、血液の様々なドナーユニットへの曝露、したがって同種免疫のより高いリスクを要する
。血管アクセス障害、鉄のキレート化の利用可能性およびそれによるコンプライアンス、
ならびに高いコストは、赤血球輸血の回数を制限限することが有益であり得る理由の幾つ
かである。
【0232】
ある特定の態様では、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせた1または複数
のTβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患者において鉄過剰症を処置する、予防する
、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、1または複数の鉄キレ
ート剤と組み合わせて使用され得る。一部の実施形態では、任意選択でEPO受容体活性
化因子と組み合わせた1または複数のTβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患者にお
いて組織鉄過剰症[例えば、脾臓(脾性)、肝臓(肝性)、心臓(心性)鉄過剰症]を処
置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、1ま
たは複数の鉄キレート剤と組み合わせて使用されて使用され得る。有効な鉄キレート剤は
、水酸基および酸化産物の触媒産生による大部分の鉄毒性の主要因である可能性が高い非
トランスフェリン結合型鉄の酸化形態である鉄イオンを選択的に結合および中和すること
が可能であるべきである[例えば、Espositoら(2003年)Blood 10
2巻:2670~2677頁を参照のこと]。これらの作用物質は、構造的に多様である
が、全てが、1:1(6配座作用物質)、2:1(3配座)または3:1(2配座)の化
学量論で、個々の鉄原子を伴う中和八面体配位化合物を形成することが可能な酸素または
窒素ドナー原子を保有する[Kalinowskiら(2005年)Pharmacol
Rev 57巻:547~583頁]。一般に、有効な鉄キレート剤はまた、影響を受
けた組織への接近を可能にするように水および脂質の両方中での溶解度を有する比較的低
分子量(例えば、700ダルトン未満)である。鉄キレート分子の具体例として、毎日の
非経口投与を要する細菌起源の6配座作用物質であるデフェロキサミン、ならびに経口活
性な合成作用物質デフェリプロン(2配座)およびデフェラシロクス(3配座)が挙げら
れる。2つの鉄キレート剤の同日投与からなる併用療法は、キレート化単独療法に対して
無応答の患者における見込み、およびまたデレロキサミン単独を用いた場合の乏しい患者
コンプライアンスの問題を克服することの見込みを示す。[Caoら(2011年)Pe
diatr Rep 3巻(2号):e17頁;およびGalanelloら(2010
年)Ann NY Acad Sci 1202巻:79~86頁]。
【0233】
骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)
を有する患者の管理において、腫瘍縮小剤は、症候性脾腫を有する大部分の患者に対して
最適な処置となっている。ヒドロキシカルバミド(ヒドロキシウレア、HC)は、最も一
般的に使用される腫瘍縮小剤であり、それは通常、より高用量で中程度の反応をもたらす
。しかしながら、HCは多くの場合、血漿減少症を悪化させる可能性があり、したがって
、多くの場合あまり許容されない。25%~50%の脾臓サイズの低減は、HCで処置し
た患者の最大35%で報告されている[Martinez-Trillosら(2010
年)Ann Hematol.89巻(12号):1233~1237頁]。HCに応答
しない患者において、特に高齢患者において、ブスルファンまたはメルファランは、これ
らの作用物質が、白血病変換の頻度を増加させ得るという根拠が見られるため、使用され
得る。低用量サリドマイドによる脾臓応答は、低い(<20%)。しかしながら、レナリ
ドミドは、先のサリドマイド療法を失敗した幾らかの患者を含む研究において、応答率3
3%をもたらすことが示された。重度の抵抗性脾種の場合、月1回の静脈内クラドリビン
過程は、最大50%の応答をもたらし、重症であるが、可逆的な血液減少症が、主な毒性
である[Faoroら(2005年)Eur J Haematol 74巻(2号):
117~120頁]。ルキソリチニブは、最近の研究においてHCより優れていることが
判明し、したがって、症候性または進行性脾腫を制御するための第一線の作用物質となっ
ている。他のJAKインヒビター(例えば、SAR302503、CYT387、パクリ
チニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544
、レスタウルチニブ、SEP-701およびAT-9283)は、MF、ETおよびPV
を処置する際における使用に関して評価されており、したがって、かかる患者において脾
腫を低減させるのに有用であり得る。
【0234】
脾摘出術による骨髄増殖性疾患関連脾腫の管理は十分確立されているのに対して、その
手順は、それぞれ、およそ31%および9%の罹患率および死亡率と関連付けられる[M
esa RA.(2009年)Blood 113巻(22号):5394~5400頁
]。場合によっては迅速な肝腫を引き起こす肝髄外造血は、珍しいが、血栓性リスクの増
加であるように脾摘出術後の十分に理解されている合併症である。結果として、脾摘出術
は概して、抵抗性溶血または貧血、症候性脾腫、著しい脾梗塞、重症の門脈圧亢進症およ
び/または重症の異化亢進性の症状(hypercarabolic symptoms
)を有する選択患者に制限される。放射線療法は、症候性脾腫および適切な血小板数を有
する患者における脾摘出術に対する代替法であり得る。しかしながら、研究により、患者
の44%が、放射線療法の後、血球減少症を経験し、そのうちの13%が致死性であった
ことが示されている[Elliott MAら(1999年)Blood Rev.13
巻(3号):163~170頁]。低用量放射線療法は依然として、結果として生じる腹
水および胸水を伴う胸膜ならびに肋膜の介入を含む、非脾臓髄外造血に対する好ましい処
置である。
【0235】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、脾腫および/または髄外造血を処置するための1または複数の活性薬剤ま
たは支持療法と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5
~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、
53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少
なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になる
か、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与する
ステップを含む方法を提供する。脾腫および/または髄外造血を処置するための活性薬剤
または支持療法として、例えば、腫瘍縮小剤、サリドマイド(例えば、Immunopr
in、Talidex、TalizerおよびThalomid)、レナリドミド(例え
ば、Revlimid)、ヒドロキシウレア(例えば、Apo-Hydroxyurea
、DroxiaおよびHydrea)、ブスルファン(例えば、MyleranおよびB
usulfex IV)、メルファラン(例えば、AlkeranおよびSarcoly
sin)、クラドリビン(例えば、Leustatin、LitakおよびMovect
ro)、脾摘出術、放射線療法、JAKインヒビター(例えば、ルキソリチニブ、SAR
302503、CYT387、パクリチニブ、AZD-1480、BMS-911543
、NS-018、LY2784544、レスタウルチニブ、SEP-701およびAT-
9283)が挙げられる。
【0236】
骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加
症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線
維症)を有する患者は、重大な心血管イベントのリスクの増加を被る[Barbuiら(
2010年)Blood 115巻(4号):778~782頁]。致死性および非致死
性血栓症は、多施設シリーズにおいて含まれるPMF患者の7.2%において報告され、
患者年1.75%の割合が、ETで報告されるもの(患者年1%~3%)と異なっていな
かった。血栓症に関するリスク因子は、特に後者が白血球増加症と関連付けられる場合、
60歳を超える年齢およびJAK2V617F変異状態であった。ヒドロキシウレアおよ
び低用量アスピリンは一般的に、MF患者において血栓症を処置する、または予防するた
めに処方される。
【0237】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、血栓症を処置するための1または複数の活性薬剤または支持療法と組み合
わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、
29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、
および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90
%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからな
るTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を
提供する。血栓症を処置するための活性薬剤または支持療法として、例えば、ヒドロキシ
ウレア(例えば、Apo-Hydroxyurea、DroxiaおよびHydrea)
およびアスピリンが挙げられる。
【0238】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、1または複数のJAKインヒビターと組み合わせて、有効量のTβRII
アンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、3
7、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいず
れか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%
、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸
配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)
を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従
って使用され得るJAKインヒビターとして、例えば、ルキソリチニブ、フェドラチニブ
(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチ
ニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、
SEP-701、XL019およびAT-9283が挙げられる。
【0239】
JAK2阻害の他に、免疫調節薬(IMiD)、ラパマイシン哺乳動物標的(mTOR
)経路のインヒビター、およびエピジェネティック因子モジュレーターを含むいくつかの
他の処置戦略が、骨髄増殖性障害の処置に関して研究中である[Mascarenhas
ら(2013年)Haematologica 98巻(10号):1499~1509
頁]。
【0240】
ポマリドミドは、MF、PVおよびEVの処置のための用量の範囲において評価段階に
ある第二世代免疫調整薬である[Begnaら(2011年)Leukemia 25巻
:301~304頁;Mesaら(2010年)Am J Hematol 85巻:1
29~130頁]。58名の患者において低用量ポマリドミドおよびプレドニゾンを評価
する第2相治験により、JAK2V617F陽性患者の24%において貧血応答が報告さ
れた。貧血応答は、変異を伴わないものにおいては非存在であり、ポマリドミド誘発性好
塩基球増加症および顕著な脾腫の非存在によって予測された。2007年から2010年
まで3連続第1相および第2相臨床試験に登録されたMFを有する82名の評価可能な患
者の分析により、IWG-MRT基準に従って患者の27%において貧血応答が実証され
た。貧血応答は、JAK2V617Fの存在下で、および顕著な脾腫の非存在下で、処置
の最初の6ヵ月で最も頻繁に発生した。
【0241】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、1または複数の免疫調節剤と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴ
ニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39
、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つ
のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%
、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含
むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それ
を必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従って使用
され得る免疫調節剤として、例えば、ポマリドミド(PomalystおよびImnov
id)が挙げられる。
【0242】
JAK/STATの他に、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/ラパマイシン哺
乳動物標的(PI3K/mTOR)経路などの他の関連経路が、骨髄増殖性障害患者にお
いて調節不全であることがわかっている[Tefferi A.(2011年)Am J
Hematol 86巻(12号):1017~1026頁]。いくつかの研究におい
て、JAK2V617F陽性細胞の増殖は、mTORインヒビターエベロリムスで処置さ
れると減少したことが示されている[Guglielmelliら(2011年)Blo
od 118巻(8号):2069~2076頁;およびVannucchiら(200
9年)Blood 114巻(22号):2914頁]。また、エベロリムスで処置した
PMFまたはPV/EV後MFを有する39名の高または中間リスク患者の第I相/第I
I相研究からの結果もまた報告されている。30名の評価可能な患者のうち、それぞれ、
69%および80%が、全身症状および掻痒症の完全消散を受けた。応答は、Europ
ean Myelofibrosis Network基準が適用された場合には60%
であり(8名が大、7名が中、および3名が小の応答)、あるいはInternatio
nal Working Group for Myelofibrosis Rese
arch and Treatment基準が使用された場合には23%であった(1名
が部分応答、6名が臨床的改善)。これらの結果は、mTOR経路を標的とすることが、
骨髄増殖性新生物を有する患者において臨床的に意義があり得るという概念の証拠を提供
する。
【0243】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、1または複数のmTORインヒビターと組み合わせて、有効量のTβRI
Iアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、
37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のい
ずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93
%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ
酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド
)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に
従って使用され得るmTORインヒビターとして、例えば、ラパマイシン、シロリムス、
デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ235、BGT226
、SF1126、PK1-587、INK128、AZD8055およびAZD2014
が挙げられる。
【0244】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害は、JAK-STAT経路に対して阻害効果
を有し、HDACインヒビターギビノスタット(ITF2357)、パノビノスタット(
LBH589)およびプラシノスタット(SB939)は全て、現在MFに関して研究中
である[Quintas-Cardamaら(2011年)Therapy Blood
118巻(付録1);Mascarenhasら(2011年)Blood.118巻
(付録1);およびRambaldiら(2011年)Blood 118巻(付録1)
]。プラシノスタットによる処置は、患者の27%において脾臓サイズの低減を、またM
F患者のおよそ10%においてIWG基準貧血応答をもたらすと報告されている。毎日3
回の20、25および30mgの用量でのパノビノスタットもまた、第1/2相治験から
の結果において有望な活性を実証した。脾腫における永続的な(6ヵ月を超える)応答、
白赤芽球症の減少、および貧血における応答は、IWG基準によって報告された。ギビノ
スタットもまた、ヒドロキシウレアに応答しなかったPVを有する患者において、無作為
化第2相治験の結果に基づいて見込みを示す。患者のおよそ50%において、完全または
部分応答が観察され、組合せは概して、十分に許容された。
【0245】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤
血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症
および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための
方法であって、1または複数のヒストンデアセチラーゼインヒビターと組み合わせて、有
効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31
、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および10
3~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%
、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同
一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRI
Iポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
本開示の方法に従って使用され得るヒストンデアセチラーゼインヒビターとして、例えば
、ギビノスタット、パノビノスタットおよびプラシノスタットが挙げられる。
【0246】
本開示は、線維性障害を処置するための1または複数の療法と組み合わせたTβRII
アンタゴニストの使用を企図する。例えば、TβRIIアンタゴニストは、細胞毒、免疫
抑制剤、放射性毒剤および/または治療用抗体と組み合わせて(と一緒に)投与すること
ができる。本発明によって企図される特定の共治療学として、ステロイド(例えば、Pr
ednisoneなどのコルチコステロイドステロイド)、免疫抑制および/または抗炎
症剤(例えば、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メト
トレキサート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミ
コフェノール酸モフェチルおよびヒドロキシクロロキン)、細胞障害薬、カルシウムチャ
ネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、アンジオテンシン変換酵素インヒビター(ACE
)インヒビター、パラアミノ安息香酸(PABA)、ジメチルスルホキシド、トランスフ
ォーミング増殖因子β(TGFβ)インヒビター、インターロイキン-5(IL-5)イ
ンヒビターおよび汎カスパーゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。T
βRIIアンタゴニストと組み合わせて使用され得るさらなる抗線維性作用物質として、
レクチン(例えば、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号7
,026,283号において記載される)ならびにWynnら(2007年、J Cli
n Invest 117巻:524~529頁、その内容全体が、参照により本明細書
に組み込まれる)によって記載される抗線維性作用物質が挙げられるが、これらに限定さ
れない。例えば、さらなる抗線維性作用物質および療法として、様々な抗炎症/免疫抑制
/細胞障害薬(コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリ
ドマイド、ペントキシフィリンおよびテオフィリンを含む)、TGFβシグナル伝達修飾
因子(リラキシン、SMAD7、HGFおよびBMP7、ならびにTGFβ1、TβRI
、TβRII、EGR-IおよびCTGFインヒビターを含む)、サイトカインおよびサ
イトカイン受容体アンタゴニスト(IL-1β、IL-5、IL-6、IL-13、IL
-21、IL-4R、IL-13Rα1、GM-CSF、TNF-α、オンコスタチンM
、WlSP-I、およびPDGFのインヒビター)、サイトカインおよびケモカイン(c
hemokincs)(IFN-γ、IFN-α/β、IL-12、IL-10、HGF
、CXCL10およびCXCL11)、ケモカインアンタゴニスト(CXCLl、CXC
L2、CXCL12、CCL2、CCL3、CCL6、CCL17およびCCL18のイ
ンヒビター)、ケモカイン受容体アンタゴニスト(CCR2、CCR3、CCR5、CC
R7、CXCR2およびCXCR4のインヒビター)、TLRアンタゴニスト剤(TLR
3、TLR4およびTLR9のインヒビター)、血管新生アンタゴニスト(VEGF特異
的抗体およびアデノシンデアミナーゼ補充療法)、高血圧治療薬(ベータ遮断薬、ならび
にANG 11、ACEおよびアルドステロンのインヒビター)、血管作動性物質(ET
-1受容体アンタゴニストおよびボセタン(bosetan))、コラーゲンを合成およ
びプロセシングする酵素のインヒビター(プロリルヒドロキシラーゼのインヒビター)、
B細胞アンタゴニスト(リツキシマブ)、インテグリン/接着分子アンタゴニスト(α1
β1およびαvβ6インテグリンを遮断する分子、ならびにインテグリン連結キナーゼの
インヒビター、ならびにICAM-IおよびVCAM-Iに特異的な抗体)、筋線維芽細
胞を標的とするアポトーシス促進薬、MMPインヒビター(MMP2、MMP9およびM
MP12のインヒビター)、およびTlMPインヒビター(TIMP-1に特異的な抗体
)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
ある特定の実施形態では、本開示の対象方法は、単独で使用され得る。あるいは、これ
らの対象方法は、増殖性障害(例えば、腫瘍)の処置または予防に対して指向された他の
従来の抗がん治療アプローチと組み合わせて使用され得る。例えば、かかる方法は、予防
的がん予防、手術後のがんの再発および転移の予防において、ならびに他の従来のがん治
療のアジュバントとして、使用され得る。本開示は、従来のがん治療(例えば、化学療法
、放射線療法、光線療法、免疫療法および手術)の有効性が、対象アンタゴニスト治療剤
の使用を介して増強され得ることを認識している。
【0248】
本明細書に開示される治療剤が、併用してまたは順次のいずれかで、別の従来の抗新生
物剤と組み合わせて投与される場合、かかる治療剤は、抗新生物剤の治療効果を増強し得
る、またはかかる抗新生物剤に対する細胞の耐性を克服し得る。これは、抗新生物剤の投
薬量の減少を可能にし、それによって、望ましくない副作用を低減させ、または耐性細胞
における抗新生物剤の有効性を回復させる。本開示によれば、本明細書に記載されるTβ
RIIアンタゴニストは、疾患の処置のために他の組成物および手順と組み合わせて使用
され得る。例えば、腫瘍は、TβRIIアンタゴニストと組み合わせた手術、放射線療法
または化学療法で従来通りに処置され得、次いで、TβRIIアンタゴニストが、微小転
移の休眠を延長させ、任意の残留原発性腫瘍を安定化させるために、患者に引き続いて投
与され得る。
【0249】
本発明のある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストと1つまたは複数のがん治療
:例えば、手術、細胞傷害剤、照射または放射性物質の投与が関与する放射線学的処置、
化学療法剤、抗ホルモン剤、成長阻害剤、抗新生物組成物、ならびに本明細書に列挙され
当該分野で公知の抗がん剤による処置、またはそれらの組合せとの組合せ治療に有用な他
の治療剤。
【0250】
用語「細胞傷害剤」とは、本明細書で使用する場合、細胞の機能を阻害もしくは防止す
る、および/または細胞の破壊を引き起こす、物質を指す。この用語は、放射性同位体(
例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm15
3、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えば、メトトレ
キセート、アドリアマイシン(adriamicin)、ビンカアルカロイド(ビンクリ
スチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシ
ンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインターカレート剤、酵素およびそれ
らの断片、例えば、核酸分解酵素、抗生物質、ならびに毒素、例えば、小分子毒素、また
はそれらの断片および/もしくはバリアントを含む、細菌、真菌、植物もしくは動物起源
の酵素的に活性な毒素、ならびに以下に開示する種々の抗腫瘍剤もしくは抗がん剤を含む
ことを意図する。他の細胞傷害剤は、以下に記載されている。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破
壊を引き起こす。
【0251】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例に
は、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファ
ミド(cyclosphosphamide);スルホン酸アルキル、例えば、ブスルフ
ァン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カ
ルボコン、メツレドパおよびウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエ
チレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレ
ンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)
およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む、
エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);アセトゲニ
ン(具体的には、ブラタシンおよびブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビ
ノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコー
ル;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMT
IN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))
、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、および9-アミノカンプトテシンを含む)
;ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンお
よびビセレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシ
ド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラス
タチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCB1-TM1を含
む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイ
トロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミ
ド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩
、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド
、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosurea)、例えば、カルムスチ
ン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン(ra
nimnustine);抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリチアマ
イシン、特に、カリチアマイシンガンマールおよびカリチアマイシンオメガール(例えば
、Agnew、Chem Intl. Ed. Engl.、33巻:183~186頁
(1994年)を参照のこと);ディネマイシンAを含むディネマイシン;エスペラミシ
ン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連の色素タンパク質エンジイン抗生物
質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、
アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カル
ミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダ
クチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロ
イシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシ
ン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシ
ドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシ
ン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、
オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシ
ン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメク
ス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセートおよび5-フル
オロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、
プテロプテリン、トリメトレキセート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メ
ルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタ
ビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジ
ン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カル
ステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テス
トラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補
充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブ
リン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセ
ート(edatraxate);デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン(elfo
rnithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;
ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシン
およびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリ
ン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒド
ラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Nat
ural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフ
ィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロ
ロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよ
びアンギジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDES
IN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトー
ル;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイ
ド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers S
quibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(
商標)パクリタキセルのCremophorなしのアルブミン操作したナノ粒子製剤(A
merican Pharmaceutical Partners、Schaumbe
rg、Illinois)およびTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(doxe
taxel)(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France
);クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;
メルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカル
ボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-
16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商
標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(N
AVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;
アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼインヒビターRFS 2000;
ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシ
タビン(XELODA(登録商標));上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸もし
くは誘導体;ならびに上記の2もしくはそれ超の組合せ、例えば、シクロホスファミド、
ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロンの組合せ治療の略称CHOP、な
らびに5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN
(商標))を用いる処置レジメンの略称FOLFOXが含まれる。
【0252】
がんの成長を促進し得るホルモンの影響を調節、低減、遮断または阻害するように作用
し、全身性または全身処置の形態であることが多い抗ホルモン剤もまた、この定義に含ま
れる。これらは、ホルモン自体であり得る。例には、例えば、タモキシフェン(NOLV
ADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェ
ン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフ
ェン、LYl 17018、オナプリストンおよびFARESTON(登録商標)トレミ
フェンを含む、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SE
RM);抗プロゲステロン剤;エストロゲン受容体下方調節剤(ERD);卵巣を抑制ま
たは停止させるように機能する薬剤、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH
)アゴニスト、例えば、LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)酢
酸リュープロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリンおよびトリプトレリン(tript
erelin);他の抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミドおよびビカル
タミド;ならびに副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害する
アロマターゼインヒビター、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、M
EGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメス
タン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVIS OR(登録商標)ボロゾール、FE
MARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾー
ルなどが含まれる。さらに、化学療法剤のかかる定義には、ビスホスホネート、例えば、
クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)もしくはOSTAC(登録商標)
)、DIDROC AL(登録商標)エチドロネート、NE-58095、ZOMET
A(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロ
ネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロ
ネートまたはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(
1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチ
ド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害する
もの、例えば、PKC-アルファ、Raf、H-Rasおよび上皮増殖因子受容体(EG
F-R)など;ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチン、ならびに
遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVE
CTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTE
CAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)r
mRH;二トシル酸ラパチニブ(GW572016としても公知のErbB-2およびE
GFR二重チロシンキナーゼ小分子インヒビター);ならびに上記のいずれかの薬学的に
許容される塩、酸または誘導体が含まれる。
【0253】
「成長阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、in vitroまたはin viv
oのいずれかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害
剤は、S期にある細胞の百分率を顕著に低減させる薬剤であり得る。成長阻害剤の例には
、細胞周期の進行を(S期以外の場所において)遮断する薬剤、例えば、G1停止および
M期停止を誘導する薬剤が含まれる。古典的なM期ブロッカーには、ビンカ(ビンクリス
チンおよびビンブラスチン)、タキサン、ならびにトポイソメラーゼIIインヒビター、
例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシドおよびブレオマイ
シンが含まれる。DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカル
バジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシルおよ
びara-Cなどの、G1を停止させる薬剤はまた、S期停止まで波及する。さらなる情
報は、The Molecular Basis of Cancer、Mendels
ohnおよびIsrael編、第1章、Murakamiらによる表題「Cell cy
cle regulation, oncogenes, and antineopl
astic drugs」(WB Saunders:Philadelphia、19
95年)、特に13頁において見出すことができる。タキサン(パクリタキセルおよびド
セタキセル)は、共にイチイの木から誘導された抗がん薬物である。ヨーロッパイチイか
ら誘導されたドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulen
c Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-My
ers Squibb)の半合成アナログである。パクリタキセルおよびドセタキセルは
、チューブリンダイマーからの微小管のアセンブリを促進し、脱重合を防止することによ
って微小管を安定化して、細胞における有糸分裂の阻害を生じる。
7.医薬組成物
【0254】
本明細書に記載される治療剤(例えば、配列番号7~17、25、27、29、31、
33、35、37、39、41、43、47~50、52~62、101および103~
105を含む、本質的にからなる、またはからなるTβRIIポリペプチド)は、医薬組
成物に製剤化され得る。本開示に従う使用のための医薬組成物は、1または複数の生理学
的に許容される担体または賦形剤を使用して、従来の様式で製剤化され得る。かかる製剤
は、一般に、ほとんどの規制要件に応じて、実質的に発熱物質を含まない。
【0255】
ある特定の実施形態では、本開示の治療方法は、全身的に、またはインプラントもしく
はデバイスとして局所的に、組成物を投与するステップを含む。投与される場合、本開示
における使用のための治療組成物は、発熱物質を含まない、生理学的に許容される形態で
ある。これもまた上記のように組成物中に任意選択で含まれ得るTβRIIシグナル伝達
アンタゴニスト以外の治療的に有用な薬剤が、本明細書に開示される方法において、対象
化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)と同時にまたは順次に投与され得る。
【0256】
典型的には、本明細書に開示されるタンパク質治療剤は、非経口で、特に静脈内または
皮下に投与される。非経口投与に適切な医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤
を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質または懸濁化剤もしくは増粘剤を含み得
る、1または複数の薬学的に許容される無菌の等張水性もしくは非水性溶液、分散物、懸
濁物またはエマルジョン、あるいは使用の直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散物へ
と再構成され得る無菌粉末と組み合わせて、1または複数のTβRIIアンタゴニストを
含み得る。本開示の医薬組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例に
は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、な
らびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、
例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散物の場合には必要とされ
る粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0257】
これらの組成物および製剤は、所望の場合、活性成分を含む1または複数の単位投薬形
態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイス中に提示され得る。このパックは、例
えば、金属またはプラスチックのホイル、例えば、ブリスターパックを含み得る。このパ
ックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための指示書が付随し得る。
【0258】
さらに、この組成物は、標的組織部位への送達のための形態で、カプセル化または注射
され得る。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、標的組織部位に1または複数の
治療化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)を送達し、発生中の組織に構造を提供す
ることが可能であり、最適には身体中に吸収されることが可能な、マトリックスを含み得
る。例えば、このマトリックスは、TβRIIアンタゴニストの緩徐な放出を提供し得る
。かかるマトリックスは、他の植え込まれた医学的適用のために現在使用されている材料
から形成され得る。
【0259】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、表面的外観および界
面特性に基づく。対象組成物の特定の適用は、適切な製剤を規定する。組成物のための潜
在的マトリックスは、生分解性かつ化学的に規定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシ
ウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ酸無水物であり得る。骨または皮膚コ
ラーゲンなどの他の潜在的材料は、生分解性であり生物学的に十分規定されている。さら
なるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス構成成分から構成され
る。他の潜在的マトリックスは、非生分解性かつ化学的に規定されており、例えば、焼結
ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミネートまたは他のセラミックである。マト
リックスは、上述の型の材料のいずれかの組合せ、例えば、ポリ乳酸およびヒドロキシア
パタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムから構成され得る。バイオセラミッ
クは、組成、例えば、カルシウム-アルミネート-ホスフェートにおいて変更され得、ポ
アサイズ、粒子サイズ、粒子形状および生分解性を変更するために加工され得る。
【0260】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、経口でのために、例えば、各々が活性成分
として所定の量の薬剤を含む、カプセル剤、サシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味付
けした基礎、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガントを使用する)、粉末、顆
粒の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁物として、または水中
油もしくは油中水液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤とし
て、またはトローチ剤(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロ
ースおよびアカシアを使用する)として、および/または口腔洗浄薬などとして、投与さ
れ得る。薬剤は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても投与され得る。
【0261】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)
では、本発明の1または複数の治療化合物は、1または複数の薬学的に許容される担体、
例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれ
かと、混合され得る:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スク
ロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)バインダー、例えば、
カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロ
ースおよび/またはアカシアなど;(3)保水剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤
、例えば、寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン
酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(
6)吸収加速剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルア
ルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンお
よびベントナイト粘土;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそ
れらの混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの
医薬組成物は、緩衝剤もまた含み得る。同様の型の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖
などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用するソフトおよびハ
ード充填ゼラチンカプセル剤において、充填剤としても使用され得る。
【0262】
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマ
ルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて
、この液体投薬形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他
の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、
炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコー
ル、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、
胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアル
コール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれら
の混合物を含み得る。不活性希釈剤に加えて、これらの経口組成物は、アジュバント、例
えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、調味料、着色剤、芳香剤、ならびに防腐
剤もまた含み得る。
【0263】
懸濁物は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコ
ール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、結晶セルロース、
アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天-寒天およびトラガント、ならびに
それらの混合物を含み得る。
【0264】
本発明の組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤もま
た含み得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン
、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって、確実にされ得る
。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることもまた、望ましい場
合がある。さらに、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例
えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによって、もたらされ
得る。
【0265】
投薬レジメンは、本発明の対象化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)の作用を修
飾する種々の因子を考慮して、担当医によって決定されることが理解される。種々の因子
には、患者の年齢、性別および食餌、重症度疾患、投与の時間、および他の臨床学的因子
が含まれるがこれらに限定されない。任意選択で、投薬量は、再構成において使用される
マトリックスの型および組成物中の化合物の型によって変動し得る。最終組成物への他の
公知の増殖因子の添加もまた、投薬量に影響し得る。進行は、骨の成長および/または修
復の周期的評価、例えば、X線(DEXAを含む)、組織形態計測的決定およびテトラサ
イクリン標識化によって、モニタリングされ得る。
【0266】
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRIIアンタゴニストのin vivo産生
のための遺伝子治療もまた提供する。かかる治療は、上に列挙した障害を有する細胞また
は組織中へのTβRIIポリヌクレオチド配列の導入によって、その治療効果を達成する
。TβRIIポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスなどの組換え発現ベクター
またはコロイド分散系を使用して、達成され得る。TβRIIポリヌクレオチド配列の治
療的送達には、標的化リポソームの使用が好ましい。
【0267】
本明細書に教示される遺伝子治療に利用され得る種々のウイルスベクターには、アデノ
ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、好ましくは、レトロウイルスなどの
RNAウイルスが含まれる。好ましくは、このレトロウイルスベクターは、マウスまたは
トリのレトロウイルスの誘導体である。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルス
ベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉
腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイ
ルス(RSV)が含まれるがこれらに限定されない。いくつかのさらなるレトロウイルス
ベクターが、複数の遺伝子を取り込み得る。これらのベクターは全て、形質導入された細
胞が同定および生成され得るように、選択可能なマーカーの遺伝子を移入させ得るまたは
取り込み得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合
させることによって、標的特異的にされ得る。好ましい標的化は、抗体を使用することに
よって達成される。当業者は、特異的ポリヌクレオチド配列が、TβRIIポリヌクレオ
チドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、レトロウイル
スゲノム中に挿入され得る、またはウイルスエンベロープと結合し得ることを認識する。
好ましい実施形態では、このベクターは、骨または軟骨へと標的化される。
【0268】
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、
レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドで直接ト
ランスフェクトされ得る。次いで、これらの細胞は、目的の遺伝子を含むベクタープラス
ミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクター
を放出する。
【0269】
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドのための別の標的化送達系は、コロイド分
散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル剤、ミクロスフェア、ビ
ーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベ
ースの系が含ま
れる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、in vit
roおよびin vivoで送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DN
Aおよびインタクトなビリオンは、水性内部内にカプセル化され得、生物学的に活性な形
態で細胞に送達され得る(例えば、Fraleyら、Trends Biochem.
Sci.、6巻:77頁、1981年を参照のこと)。リポソームビヒクルを使用した効
率的な遺伝子移入のための方法は、当該分野で公知であり、例えば、Manninoら、
Biotechniques、6巻:682頁、1988年を参照のこと。リポソームの
組成物は、通常、通常はステロイド、特にコレステロールと組み合わせた、リン脂質の組
合せである。他のリン脂質または他の脂質もまた使用され得る。リポソームの物理的特徴
は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
【0270】
リポソーム産生において有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えば、ホスフ
ァチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジル
エタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドが含まれる。例
示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンお
よびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。リポソームの標的化もまた、例え
ば、臓器特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性に基づいて可能であり、当該分野で
公知である。
【0271】
本開示は、pHを調整するための酸および塩基;ならびに狭い範囲内にpHを維持する
ための緩衝剤を含むように変動され得る製剤を提供する。
【実施例0272】
例証
本発明はここまで一般に記載されてきたが、本発明のある特定の実施形態の例示を単に
目的として含まれ、本発明を限定することを意図しない、以下の実施例を参照して、より
容易に理解される。
(実施例1)
受容体融合タンパク質バリアントの生成
TβRII ECDバリアント
【0273】
ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングによって
生成される、少なくとも2つのアイソフォーム-A(長)およびB(短)-として天然に
生じる(
図1および
図2)。TβRIIは、TGFβ1およびTGFβ3に、高い親和性
で結合する。いくつかの治療状況においては、この範囲のリガンド結合が好適であり得る
のに対して、他の状況では、より選択的な分子が優れている場合がある。以下で詳述する
ように、出願人らは、TβRII長または短アイソフォーム(TβRII
長またはTβR
II
短)ならびにそれらのバリアントの細胞外ドメインを含む様々なTβRIIポリペプ
チドおよびFc融合タンパク質を生成し、想定してきた。
【0274】
野生型hTβRII
長(23~184)配列を以下に示し(配列番号13)、ここで、
25アミノ酸挿入に下線が引かれている。スプライシングは、挿入に対してC末端にある
隣接位置で、連続アミノ酸置換(Val→Ile)をもたらすことに留意されたい。いく
つかのhTβRII
短バリアントとそれらのhTβRII
長対応物との間の配列関係性を
図3に示す。
【化1】
【0275】
出願人は、hTβRII
長(23~184)-Fc融合タンパク質を生成し、ここで、
hTβRII
長(23~184)ドメインは、C末端で(最小のリンカーを介して)ヒト
IgG1 FcドメインにC末端で融合され、N末端でTPAリーダー配列に融合され、
それは、下記アミノ酸配列(配列番号101)を有する:
【化2】
【0276】
N末端リーダー配列およびC末端Fcドメインは、一本下線によって表され、リンカー
ドメインは、二重下線によって示される。hTβRII
長(23~184)-Fc融合タ
ンパク質をコードするヌクレオチド配列は、下記ヌクレオチド配列(配列番号102)を
有する:
【化3】
【化4】
hTβRII
長(23~184)-Fc融合タンパク質のプロセシングされた様式は、
下記アミノ酸配列(配列番号103)を示す。
【化5】
【0277】
本明細書中に記載するある特定の動物モデルにおける使用のために、出願人らは、マウ
スTβRIIアイソフォーム1由来の成熟完全長ECDを含むFc融合タンパク質を生成
し、それを本明細書中ではmTβRII-Fcと呼ぶ。マウスTβRIIアイソフォーム
1は、ヒトTβRIIアイソフォームA(長型)に相同的であり、したがって、上述する
hTβRII長(23~184)-Fc融合タンパク質のマウス等価形態である。ヒト形
態と同様に、mTβRII-Fcは、TGFβ1およびTGFβ3に、高い親和性(ピコ
モル)で結合するが、TGFβ2には結合しないことが決定された。さらに、hTβRI
I長(23~184)-Fc融合タンパク質およびmTβRII-Fcは、以下に記載す
るように細胞ベースのアッセイにおいて、TGFβ1およびTGFβ3活性の強力なイン
ヒビターであるが、TGFβ2活性を阻害しないことが決定された。
【0278】
本出願人らはまた、(配列番号13)に示される野生型hTβRII長(23~184
)配列およびそのFc融合タンパク質に基づいて、5つの相当するバリアント(配列番号
14~17)を想定する。
【0279】
(1)以下に示すhTβRII
長(23~184/D135K)アミノ酸配列(配列番
号14)、配列中、置換された残基に二重下線を付す。
【化6】
【0280】
(2)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII
長(29~184)アミノ
酸配列(配列番号15)。
【化7】
【0281】
(3)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII
長(60~184)アミノ
酸配列(配列番号104)。
【化8】
【0282】
(4)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII
長(23~178)アミノ
酸配列(配列番号16)。
【化9】
【0283】
(5)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII
長(23~178/N95
D)アミノ酸配列(配列番号17)、配列中、置換された残基に二重下線を付す。
【化10】
【0284】
以下に示す野生型hTβRII短(23~159)配列(配列番号7)は、以下に列挙す
る5つの受容体ECDバリアント(配列番号8~12)についての基礎として機能した。
野生型hTβRII短(23~159)を、IgG2のFc部分に融合させて、新規の基
礎Fc融合構築物を生成した。以下の配列番号50、51および52を参照のこと。
【化11】
【0285】
(1)以下に示すhTβRII短(23~159/D110K)アミノ酸配列(配列番号
8)、配列中、置換された残基に下線を付す。
【化12】
【0286】
(2)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII短(29~159)アミノ酸
配列(配列番号9)。
【化13】
【0287】
(3)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII短(35~159)アミノ酸
配列(配列番号10)。
【化14】
【0288】
(4)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII短(23~153)アミノ酸
配列(配列番号11)。
【化15】
【0289】
(5)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII短(23~153/N70D
)アミノ酸配列(配列番号12)、配列中、置換された残基に下線を付す。
【化16】
【0290】
さらなるTβRII ECDバリアントには、以下が含まれる:
(A)以下に示す、N末端およびC末端がトランケートされたhTβRII短(35~1
53)またはhTβRII長(60~178)アミノ酸配列(配列番号47)。
【化17】
【化18】
【0291】
(B)以下に示すN末端およびC末端がトランケートされたhTβRII短(29~15
3)アミノ酸配列(配列番号48)。
【化19】
【0292】
(C)以下に示すN末端およびC末端がトランケートされたhTβRII長(29~17
8)アミノ酸配列(配列番号49)。
【化20】
【0293】
上記バリアント(例えば、配列番号8~12、14~17および47~49)のいずれ
かは、hTβRIIアイソフォームC[Konradら、(2007)BMC Geno
mics 8巻:318頁]に天然に生じるような、hTβRII ECDのC末端の近
傍に位置するグルタミン酸残基の対(配列番号5の151位および152位、または配列
番号6の176位および177位)の間の36アミノ酸の挿入(配列番号18)を取り込
み得る。
【化21】
【0294】
一例として、任意選択の挿入部位に隣接する対になったグルタミン酸残基が、hTβR
II短(29~159)バリアント(配列番号105)について以下に示される(下線)
。
【化22】
【0295】
一部には、出願人らは、ヒトTβRII ECDのバリアントを含む融合タンパク質を
生成することによって、TGFβ1もしくはTGFβ3に対する選択性の増強または低減
を有するポリペプチドを追求した。以下に示す野生型hTβRII短(23~159)配
列(配列番号7)は、以下で列挙する5つの受容体ECDバリアント(配列番号8~12
)に関する基盤として機能を果たした。野生型hTβRII短(23~159)をIgG
2のFc部分に融合させて、新規の基礎Fc構築物を生成した。以下の配列番号50、5
1および52を参照のこと。
【0296】
出願人らは、以下に示される野生型hTβRII
長(23~184)配列(配列番号1
3)に基づいて、5つの相当するバリアント(配列番号14~17)(配列中、25個の
アミノ酸挿入に下線を付す)を想定する。スプライシングが、挿入に対してC末端にある
隣接位置で、保存的アミノ酸置換(Val→Ile)をもたらすことに留意されたい。い
くつかのhTβRII
短バリアントとそれらのhTβRII
長対応物との間の配列関係性
を
図3に示す。
Fcドメインバリアント
【0297】
上記5つのhTβRII短バリアントが各々、以下のアミノ酸配列(配列番号19)を
有するヒトIgG2 Fcドメインに、それらのC末端において(ミニマルリンカーを介
して)融合された、hTβRII-hFc融合タンパク質を生成した:
【化23】
【0298】
出願人らは、上記の全長ヒトIgG2 Fc、IgG1 Fc(hG1Fc)(配列番
号20、以下)およびN末端がトランケートされたヒトIgG1 Fc(hG1Fc短)
(配列番号21、以下)を含むFcドメインを含むhTβRII
(短および長)-hFc
融合タンパク質を想定する。任意選択で、Fcドメインと無関係のポリペプチドを、Fc
ドメインの代わりに結合させることができる。
【化24】
リーダー配列バリアント
以下の3つのリーダー配列を検討した:
【化25】
hTβRII-hFc融合タンパク質の発現
【0299】
選択されたhTβRII-hFcタンパク質バリアントは、TPAリーダーを取り込み
、配列番号25、29、33、37、41および101に示されるプロセシングされてい
ないアミノ酸配列を有する(実施例3を参照のこと)。これらのバリアントの対応するヌ
クレオチド配列は、配列番号26、30、34、38、42および102である。各々が
G2Fcドメイン(配列番号19)を有する選択されたhTβRII-hFcバリアント
を、HEK-293細胞において発現させ、濾過およびプロテインAクロマトグラフィー
によって馴化培地から精製した。レポーター遺伝子アッセイのための試料の純度を、SD
S-PAGEおよびウエスタンブロット分析によって評価した。
【0300】
出願人らは、配列番号27、31、35、39、43および101に示されるプロセシ
ングされていないアミノ酸配列を有するさらなるhTβRII-hFcタンパク質バリア
ント、ならびに配列番号28、32、36、40、44および101に示される対応する
ヌクレオチド配列を想定する。
【0301】
野生型短構築物hTβRII短(23~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番
号50)が、以下に示される。
【化26】
【0302】
このタンパク質を、以下に示すような、TPAリーダー配列を含む構築物(配列番号5
2)から発現させた。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化27】
配列番号52をコードする核酸配列を以下に示す:
【化28】
(実施例2)
細胞ベースのアッセイにおける受容体融合タンパク質バリアントによる示差的リガンド
阻害
【0303】
A549細胞におけるレポーター遺伝子アッセイを使用して、TGFβ1、TGFβ2
およびTGFβ3の活性を阻害するhTβRII-hFcバリアントの能力を決定した。
このアッセイは、pGL3(CAGA)12レポータープラスミド(Dennlerら、
1998年、EMBO 17巻:3091~3100頁)ならびにトランスフェクション
効率について制御するためのRenillaレポータープラスミド(pRLCMV)でト
ランスフェクトしたヒト肺癌細胞株に基づく。CAGAモチーフは、TGFβ応答性遺伝
子(例えば、PAI-1)のプロモーター中に存在するので、このベクターは、SMAD
2およびSMAD3を介してシグナル伝達する因子のために一般に使用される。
【0304】
アッセイの最初の日に、A549細胞(ATCC(登録商標):CCL-185(商標
))を、1ウェル当たり6.5×104細胞で48ウェルプレート中に分配した。2日目
に、10μg pGL3(CAGA)12、100ng pRLCMV、30μl X-
tremeGENE 9(Roche Applied Science)および970
μl OptiMEM(Invitrogen)を含む溶液を、30分間事前インキュベ
ートし、次いで、0.1%BSAを補充したイーグル最小必須培地(EMEM、ATCC
(登録商標))に添加し、これを、室温で一晩のインキュベーションにわたり、プレート
した細胞に適用した(500μl/ウェル)。3日目に、培地を除去し、細胞を、以下に
記載するように調製したリガンドおよびインヒビターの混合物と共に、37℃で一晩イン
キュベートした。
【0305】
試験物品の連続希釈を、200μl体積のアッセイ緩衝液(EMEM+0.1%BSA
)中で48ウェルプレートにおいて行った。試験リガンドを含む等体積のアッセイ緩衝液
を添加して、予め決定したEC50と等しい最終リガンド濃度を得た。ヒトTGFβ1、
ヒトTGFβ2およびヒトTGFβ3は、PeproTechから取得した。試験溶液を
、37℃で30分間インキュベートし、次いで、250μlの混合物を、全てのウェルに
添加した。各濃度の試験物品を、二連で決定した。試験溶液との一晩のインキュベーショ
ン後に、細胞を、リン酸緩衝食塩水でリンスし、次いで、受動溶解緩衝液(Promeg
a E1941)で溶解させ、-70℃で一晩貯蔵した。4日目の最終日に、プレートを
、穏やかに振盪しながら室温まで温めた。細胞溶解物を、化学発光プレート(96ウェル
)に二連で移し、Dual-Luciferase Reporter Assayシス
テム(Promega E1980)の試薬を用いてルミノメーターで分析して、正規化
されたルシフェラーゼ活性を決定した。
【0306】
このアッセイを使用して、TβRIIリガンドによる細胞シグナル伝達に対する潜在的
阻害効果について、受容体融合タンパク質バリアントをスクリーニングした。野生型Tβ
RII短-FcおよびTβRII長-Fcに関する以前の報告[del Reら、(20
04)J Biol Chem 279巻:22765頁]と一致して、試験したいずれ
のバリアントも、高い濃度であっても、TGFβ2を阻害できなかった。しかし、hTβ
RII-hFcバリアントは、TGFβ1およびTGFβ3によって媒介される細胞シグ
ナル伝達の示差的阻害を、予想外に示した。野生型TβRII短(23~159)-G2
Fcと比較すると、TβRII短(23~159/D110K)-G2Fcバリアントは
、TGFβ1の阻害の喪失を示したが、TGFβ3の中程度の阻害を維持した(以下の表
を参照のこと)。110位は、TβRIIの「フック」領域中に位置するが[Radae
vら、(2010)J Biol Chem 285巻:14806頁]、認識されたT
βRIIリガンドTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうちで選択性を付与するこ
とは示唆されてこなかった。したがって、このバリアントは、差次的なリガンド阻害のプ
ロファイルを示し、ここで、いくつかのTGFβ3阻害は維持され、バリアントは、TG
Fβ1活性に対する影響をほとんどから全く有さない。
【表1】
【0307】
第2の実験では、N末端がトランケートされたTβRII ECDを有するバリアント
の潜在力を、全長野生型TβRII ECDのものと比較した。以下の表に示すように、
TβRII短(29~159)-G2FcおよびTβRII短(35~159)-G2F
cは、TβRII短(23~159)-G2Fc(野生型)と比較して、TGFβ3を阻
害する大きく減退した能力を示したが、一部のTGFβ1インヒビター効果を維持する。
【表2】
【0308】
第3の実験では、本発明者らは、C末端がトランケートされたTβRII ECDにお
けるN70D置換の潜在力に対する影響を決定した。このアスパラギン酸残基は、潜在的
グリコシル化部位を示す。以下の表に示すように、TβRII
短(23~153/N70
D)-G2Fcは、TβRII
短(23~153)-G2Fcと比較して、TGFβ1を
阻害する大きく減退された能力およびTGFβ3を阻害する事実上減退されていない能力
を示した。したがって、N70D置換を伴うC末端がトランケートされたバリアントは、
差次的なリガンド阻害のプロファイルを示し、ここで、TGFβ3は最も強力に阻害され
るが、TGFβ1阻害に関する効力を非常に減少させる。
【表3】
【0309】
合わせると、これらの結果は、出願人らが、大きく異なるリガンド結合プロファイルを
示すTβRII ECDのトランケーションおよび変異を生成したことを実証している。
これらのバリアントの活性プロファイルは、以下の表にまとめられ得る。
【表4】
【0310】
本発明者らは、これらのTβRII短ECDバリアントのTβRII長ECD対応物が
、類似のリガンド選択性を示すことを予測する。さらに、C’Δ6トランケートされたE
CD(例えば、それぞれ、TβRII短およびTβRII長アイソフォームについて配列
番号11および16)が、変異およびN末端トランケーションを導入するTβRII短ま
たはTβRII長についての塩基配列として使用され得る。
(実施例3)
例示的なhTβRII-hFc核酸およびタンパク質
【0311】
この実施例は、細胞培養物から単離されたタンパク質を提供するために、本明細書に提
供される方法に従って、HEK-293またはCHO細胞においてTβRII構築物を発
現させるために使用され得る核酸構築物をまとめる。各場合において、細胞培養物から単
離された成熟タンパク質は、リーダー配列(以下の各配列中の点線の下線)が除去されて
いる。
【0312】
項目1は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcのアミノ酸配列
(配列番号25)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを示
し、実線の下線はリンカーを示す。
【化29】
【0313】
項目2は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcをコードするヌ
クレオチド配列(配列番号26)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線
はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化30】
【化31】
【0314】
項目3は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短のアミノ酸配
列(配列番号27)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを
示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化32】
【0315】
項目4は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短をコードする
ヌクレオチド配列(配列番号28)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下
線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化33】
【化34】
【0316】
項目5は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号2
9)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化35】
【0317】
項目6は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配
列(配列番号30)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す
。
【化36】
【化37】
【0318】
項目7は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号
31)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化38】
【0319】
項目8は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド
配列(配列番号32)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示
す。
【化39】
【化40】
【0320】
項目9は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号3
3)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化41】
【0321】
項目10は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcをコードするヌクレオチド
配列(配列番号34)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示
す。
【化42】
【化43】
【0322】
項目11は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番
号35)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化44】
【0323】
項目12は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短をコードするヌクレオチ
ド配列(配列番号36)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを
示す。
【化45】
【化46】
【0324】
項目13は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号
37)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化47】
【0325】
項目14は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcをコードするヌクレオチド
配列(配列番号38)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示
す。
【化48】
【化49】
【0326】
項目15は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番
号39)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化50】
【0327】
項目16は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短をコードするヌクレオチ
ド配列(配列番号40)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを
示す。
【化51】
【化52】
【0328】
項目17は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcのアミノ酸配列
(配列番号41)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示し
、実線の下線はリンカーを示す。
【化53】
【0329】
項目18は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcをコードするヌ
クレオチド配列(配列番号42)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線は
リーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化54】
【化55】
【0330】
項目19は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短のアミノ酸配
列(配列番号43)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示
し、実線の下線はリンカーを示す。
【化56】
【0331】
項目20は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短をコードする
ヌクレオチド配列(配列番号44)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線
はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化57】
【0332】
項目21は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcの成熟アミノ
酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号53)を示す。二重下線はD110K置換
を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化58】
【0333】
項目22は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短の成熟アミ
ノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号54)を示す。二重下線はD110K置
換を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化59】
【0334】
項目23は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち
、リーダー配列なし)(配列番号55)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化60】
【0335】
項目24は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即
ち、リーダー配列なし)(配列番号56)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化61】
【0336】
項目25は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち
、リーダー配列なし)(配列番号57)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化62】
【0337】
項目26は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即
ち、リーダー配列なし)(配列番号58)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化63】
【0338】
項目27は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち
、リーダー配列なし)(配列番号59)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化64】
【0339】
項目28は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即
ち、リーダー配列なし)(配列番号60)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化65】
【0340】
項目29は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcの成熟アミノ酸
配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号61)を示す。二重下線はN70D置換を示
す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化66】
【0341】
項目30は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短の成熟アミノ
酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号62)を示す。二重下線はN70D置換を
示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化67】
(実施例4)
JAK2V617F動物モデルにおけるTβRII-Fcの影響
【0342】
骨髄増殖性障害は、一部には、血液細胞異常(例えば、血小板、白血球および赤血球の
1または複数の異常レベル)を特徴とする状態の一群である。この群の障害は、真性赤血
球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)および骨髄線維症(MF)を含む。近年、
いくつかのグループが、PV、ETおよびMFを有する患者において、主要な分子欠陥と
してチロシンキナーゼJAK2の機能獲得型変異(JAK2V617F)を同定した[例
えば、Kralovicsら(2005年)N Engl J Med 2005年;3
52巻:1779~1790頁]。変異は、JAK2の構成的な活性化を生じ、それは、
骨髄増殖性疾患の発症または悪化に関連付けられている。近年、JAK2インヒビター(
ルキソリチニブ)は、MFおよびPVの処置に関して承認されている。
【0343】
ヒト新生物に非常に似ているJAK2V617F骨髄増殖性疾患モデルが開発された[
Xingら(2008年)Blood 111巻:5109~5117頁]。特に、JA
K2V617Fマウスは、若年時にヒトPVまたはETに非常に似ている病理学を発症し
、その疾患は、高齢に伴って進行して、骨髄線維症をもたらす。出願人らは、骨髄増殖性
疾患のこのJAK2V617FモデルにおけるTβRII長-Fc融合タンパク質の影響
を評価した。
【0344】
トランスジェニックJAK2V617F変異マウス[Xingら(2008年)Blo
od 111巻:5109~5117頁に記載されるようなA株]および同齢の野生型(
対照)マウス(C57BL/6マウス)をこれらの研究において使用した。骨髄増殖性疾
患の発症および進行を理解するために、JAK2V617Fマウスにおける完全血球数お
よび線維症の度合いを、様々な年齢で、対照動物から得られるデータと比較した。赤血球
(RBC)および血小板レベルは、2~5ヵ月間の変異動物におけるレベルの増加の傾向
を伴って、野生型と比較して全ての年齢でJAK2V617Fマウスにおいて上昇し、続
いて8~14ヵ月間、段階的に減少した。線維症は、およそ5ヵ月で始まって、JAK2
V617Fマウスの骨髄で検出可能であり、それは、年齢とともに悪化した。JAK2V
617Fマウスはまた、脾腫を示し、それもまた、年齢とともに悪化した。興味深いこと
に、TGFβ1、TGFβ2および様々な骨代謝サイトカイン(例えば、OPG、OPN
、aFGFおよびTrance)の血清レベルは、より高齢のJAK2V617Fマウス
より、より若いJAK2V617Fマウス(およそ2~5ヵ月齢)において上昇し、それ
はRBCおよび血小板レベルにおいて観察された増加と一致する。これらのタンパク質の
ピーク血清レベルは、線維症の発症時(約5ヵ月)に観察された。同様に、炎症性サイト
カイン(例えば、IL-6、IL-1bおよびTNFα)は、より高齢で上昇した。した
がって、JAK2V617Fマウスは、初期(およそ2~5ヵ月齢)でPVまたはET病
理学を示し、それらが年を取るにつれ(およそ5~8ヵ月齢後に)、MF病理学を発症す
る。
【0345】
TβRII-Fc研究のために、処置を4ヵ月齢(それは、血清TGFβ1の上昇に相
当するが、線維症の発症(およそ5ヵ月齢で)に先立っていた)で開始した。マウスを、
3つの群の1つに配置した:i)週に2度の10mg/kgの投薬スケジュールでの、上
述するようなマウスTβRII
長-Fc(mTβRII-Fc)によるJAK2V617
Fマウスの処置;ii)週に2度のビヒクル(TBS)によるJAK2V617Fマウス
の処置、およびiii)ビヒクル処置した野生型マウス(C57BL/6マウス)。処置
の6ヵ月後に、ビヒクル処置したJAK2V617Fマウスは、野生型マウスと比較して
、RBCレベルの上昇(+37.1%、P<0.001)、血小板の上昇(+74.5%
、P<0.001)および脾臓重量の増加(+9.5倍、P<0.001)を示した。さ
らに、ビヒクル処置JAK2V617Fマウスからの骨髄切片(
図4Bを参照のこと)か
ら、野生型マウス(
図4Aを参照のこと)と比較して、重症の線維症が明らかとなった。
ビヒクルと比較して、mTβRII-Fc JAK2V617Fマウスは、より少ないR
BCレベルの傾向が見られ(
図5Aを参照のこと)、フローサイトメトリー分析から、骨
髄および脾臓試料においてTer119+赤血球前駆細胞のレベルの低減が明らかとなっ
た(-15%、P<0.05)。処置はまた、脾腫に対して著しい影響を有し、mTβR
II-Fc処置JAK2V617Fマウスは、ビヒクル処置と比較して脾臓重量の低減(
-29%、P<0.01)を有し(
図5B)、また線維症に対して著しい影響を有し、m
TβRII-Fc処置JAK2V617Fマウスは、ビヒクル処置と比較した骨髄線維症
(
図4Cを参照のこと)および脾臓線維症(
図6Aおよび6Bを参照のこと)の低減を有
した。線維症における低減と一致して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウ
スは、ビヒクル処置マウスと比較して、IL-6レベルの低減(-48.9%、P<0.
05)を示した。
【0346】
したがって、データにより、高い血清TGFβレベルが、このJAK2V617F疾患
モデルにおける線維症の発症(およそ約5ヵ月齢)と相関していること、およびTβRI
I-Fc融合タンパク質による処置が、線維症および脾腫ならびに疾患と関連付けられる
病的状態の低減(例えば、炎症性サイトカインのレベルの低減)をもたらすことが示され
る。総合すると、これらのデータは、TβRII-Fcポリペプチドが、JAK2V61
7F変異から起こる疾患を処置する、または予防するのに使用され得ることを実証し、こ
れは、かかる治療学が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症
後骨髄線維症、ならびに原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性
血小板血症)および他のヤヌスキナーゼ関連障害を処置するのに使用され得ることを示す
。初期(例えば、脾腫および血液細胞レベルの上昇)および後期(例えば、線維症および
炎症誘発性サイトカイン)疾患病理学に対する正の影響を考慮すると、TβRII-Fc
ポリペプチドは、PV、ETおよびMF患者の処置に特に十分に適し得る。例えば、Tβ
RII-Fc処置は、PVおよびET病理学を軽減し、ならびに線維症および他の後期疾
患合併症の発症を予防する/遅延させる、またはそれらの重症度を低減させる。TβRI
I-Fc処置はまた、二次的な骨髄線維症疾患(真性赤血球増加症後骨髄線維症および本
態性血小板血症)へのPVおよび/またはETの移行を予防する/遅延させるのに有用で
あり得る。
(実施例5)
JAK2V617F動物モデルにおけるTβRII-Fcおよびルキソリチニブの影響
【0347】
上述のトランスジェニックJAK2V617F変異マウスモデルをさらに使用して、骨
髄線維症に対する、別々での、および組み合わせた、mTβRII-Fcおよびルキソリ
チニブ(rux)の影響を比較した。実施例4と対照的に、この研究における処置は、1
2ヵ月齢で開始し、それは、骨髄線維症の後期段階に相当し、ここでは、マウスは概して
、より若いJAK2V617マウス(例えば、2~5ヵ月齢)と比較して様々な組織(例
えば、骨髄および脾臓)における線維症のレベルの増加、および赤血球レベルの低減を有
する。マウスを、4つの群の1つに配置した:i)週に2度のビヒクル(TBS)による
JAK2V617Fマウスの処置;ii)週に2度の10mg/kgの投薬スケジュール
での、上述するようなmTβRII-FcによるJAK2V617Fマウスの処置;ii
i)1日に2度の60mg/kgの投薬スケジュールでの、ruxによるJAK2V61
7Fマウスの処置;ならびにiv)週に2度の10mg/kgでのmTβRII-Fc、
および毎日の60mg/kgでのruxによるJAK2V617Fマウスの処置。処置の
3週後、単独の、またはmTβRII-Fcと組み合わせたrux処置は、ビヒクル処置
マウスと比較して、著しくRBCレベルを低減させ、脾臓重量を低減させた(
図7Aおよ
び7Bを参照のこと)。mTβRII-Fc処置単独は、より高齢のJAK2V617F
マウスにおいて、RBCレベルおよび脾臓重量に対してより適度な影響を有した。骨髄線
維症もまた、処置の3週後に評価した。ruxおよびビヒクル処置マウスは、類似した高
レベルの骨髄線維症を有し、それは、ruxがヒト患者において骨髄線維症を改善するよ
うには見えないという観察と一致する(それぞれ、
図8Bおよび
図8Aを参照のこと)。
驚くべきことに、単独での、およびruxと組み合わせたmTβRII-Fc処置は、療
法開始の3週後と少なくとも早期のうちに、骨髄線維症を低減させるようであり(それぞ
れ、
図8Cおよび
図8Dを参照のこと)、mTβRII-Fc処置が、進行性骨髄線維症
を有する患者において線維性瘢痕を実際に逆戻りさせ得ることを示唆する。
【0348】
データによって実証されるように、骨髄線維症は、患者が、例えば、赤血球過形成、脾
腫、増加した炎症性サイトカインレベル、および組織線維症を含む多くの種々の合併症に
苦しんでいる複雑な疾患である。ruxは、骨髄線維症を処置するための現在承認されて
いる治療学である。ruxは、脾腫を低減させることが示されている一方で、それは、例
えば、骨髄線維症を含む疾患の他の合併症を処置しない。初期および後期骨髄線維症の両
方の研究において、出願人らは、TβRII-Fc融合タンパク質単独による処置は、組
織線維症を減少させるのに使用され、骨髄増殖性疾患に対して他の正の影響(例えば、特
に疾患のPVおよびET段階における、脾腫および血液細胞レベルの低減)を有し得るこ
とを実証している。したがって、TβRIIアンタゴニスト処置は、ruxによって影響
を受けない骨髄線維症のある特定の合併症を処置することに対して有益な影響を有する。
したがって、出願人らは、TβRII-Fc融合タンパク質が、骨髄線維症ならびにヤヌ
スキナーゼ関連障害を処置するのに、単独療法として、ならびにruxとの併用療法とし
て使用され得ることを実証している。さらに、これらのデータにより、TβRIIアンタ
ゴニストは、骨髄増殖性障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしく
は重症度を低減させる際に、特にMF、PVおよび/またはETの1または複数の合併症
を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際に、
様々な有益な影響を有し得ることが示唆される。
参照による組み込み
参照による組み込み
【0349】
本明細書で言及される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照に
より組み込まれることがあたかも具体的かつ個々に示されるかのように、その全体が参照
により本明細書に組み込まれる。
【0350】
主題の具体的な実施形態が議論されてきたが、上記明細書は、例示的であって限定的で
はない。多くのバリエーションが、本明細書および以下の特許請求の範囲の再検討により
、当業者に明らかとなる。本発明の全範囲は、等価物のそれらの全範囲と共に特許請求の
範囲を参照し、かかるバリエーションと共に明細書を参照することによって、決定される
べきである。