(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096187
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】油を処理する濾過助剤並びにその作製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
B01J 20/10 20060101AFI20230629BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230629BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20230629BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B01J20/10 B
B01J20/10 A
B01J20/10 D
B01J20/30
B01D15/00 K
B01D23/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】43
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084018
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2020532588の分割
【原出願日】2018-12-14
(31)【優先権主張番号】62/598,728
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】398031330
【氏名又は名称】アイメリーズ ユーエスエー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】オー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フ,リ-チ
(57)【要約】
【課題】油を濾過する、例えば調理に使用された油から遊離脂肪酸(FFA)を除去する組成物及び方法を提供する。
【解決手段】上記組成物は、アルカリケイ酸塩と、無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤を含み得る。濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物とを含み、アルカリケイ酸塩の少なくとも一部がケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、濾過助剤における上記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である。更に濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着剤とを含む。油を濾過する方法は、油を濾過助剤と混ぜ合わせることと、任意に混合物を加熱することと、油から濾過助剤の少なくとも一部を分離することにより、油からFFAの少なくとも一部を除去することとを含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルカリケイ酸塩と、(b)無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤。
【請求項2】
前記アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項3】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項4】
前記メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項5】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム五水和物を含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項6】
前記ケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカを含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項7】
前記ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項8】
前記ケイ酸塩鉱物は、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項9】
前記アルカリケイ酸塩は、前記濾過助剤の約10重量%~約70重量%を占める、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項10】
前記無機シリカ又はケイ酸塩は、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項11】
前記無機シリカ又はケイ酸塩は、前記ケイ酸塩鉱物の表面上に沈降されている、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項12】
前記複合材料は、約50重量%~約95重量%の生物起源シリカを含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項13】
前記複合材料は、該複合材料の総重量に対して約5重量%~約80重量%の前記無機シリカ又はケイ酸塩を含む、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項14】
約0.05ダルシー~約3.0ダルシーの範囲の浸透率を有する、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項15】
約5m2/g~約450m2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項16】
前記複合材料の粒子サイズ分布は、約5μm~約300μmの範囲のd50直径を有する、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項17】
前記複合材料は、約0.1μm~約10.0μmの範囲のメジアン細孔径(4V/A)を有する、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項18】
前記複合材料は、約5lb/ft3~約30lb/ft3の範囲の湿潤密度を有する、請求項1に記載の濾過助剤。
【請求項19】
油を濾過するための請求項1に記載の濾過助剤の使用。
【請求項20】
油を濾過する方法であって、該油を請求項1に記載の濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含む、方法。
【請求項21】
前記混合物を加熱することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記油は、約0.05重量%~約10.0重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記油から前記濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、前記濾過助剤により、前記油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の前記遊離脂肪酸が除去される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記油は、食用油を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記混合物は、前記油の重量に対して約0.05%~約10.0%の前記濾過助剤を含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の濾過助剤を作製する方法であって、ケイ酸塩鉱物を無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングすることにより複合材料を調製することと、該複合材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせることとを含む、方法。
【請求項27】
前記ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含み、前記複合材料の調製は、前記無機シリカ又はケイ酸塩を前記珪藻土の表面上に沈降させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記濾過助剤が該濾過助剤の総量に対して約0.5重量%~約10重量%の水を含むように、前記濾過助剤に水を添加することを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
(a)アルカリケイ酸塩と(b)ケイ酸塩鉱物とを含む濾過助剤であって、該アルカリケイ酸塩の少なくとも一部が前記ケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、前記濾過助剤における前記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である、濾過助剤。
【請求項30】
前記アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項31】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムを含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項32】
前記メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項33】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム五水和物を含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項34】
前記ケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカを含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項35】
前記ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項36】
前記ケイ酸塩鉱物は、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項37】
約0.05ダルシー~約10.0ダルシーの範囲の浸透率を有する、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項38】
約0.2m2/g~約450m2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項29に記載の濾過助剤。
【請求項39】
油を濾過するための請求項29に記載の濾過助剤の使用。
【請求項40】
油を濾過する方法であって、該油を請求項29に記載の濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含む、方法。
【請求項41】
前記混合物を加熱することを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記油は、約0.05重量%~約10.0重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記油から前記濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、前記濾過助剤により、前記油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の前記遊離脂肪酸が除去される、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記油は、食用油を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記混合物は、前記油の重量に対して約0.05%~約10.0%の前記濾過助剤を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項46】
アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着剤とを含む濾過助剤。
【請求項47】
約10重量%~約60重量%のアルカリケイ酸塩と、約10重量%~約60重量%のケイ酸塩鉱物と、約10重量%~約60重量%の吸着剤とを含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項48】
前記吸着剤は、前記ケイ酸塩鉱物上に少なくとも部分的にコーティングされている、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項49】
前記吸着剤は、前記ケイ酸塩鉱物と実質的に結合されていない粒状材料である、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項50】
前記アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項51】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムを含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項52】
前記メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項53】
前記アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム五水和物を含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項54】
前記ケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカを含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項55】
前記ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項56】
前記ケイ酸塩鉱物は、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項57】
前記吸着剤は、ケイ酸マグネシウムである、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項58】
約0.05ダルシー~約3.0ダルシーの範囲の浸透率を有する、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項59】
約5m2/g~約450m2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項60】
前記濾過助剤の総重量に対して、約0.5重量%~約20重量%の水、例えば約1重量%~約10重量%の水を含む、請求項46に記載の濾過助剤。
【請求項61】
油を濾過するための請求項46に記載の濾過助剤の使用。
【請求項62】
油を濾過する方法であって、該油を請求項46に記載の濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含む、方法。
【請求項63】
前記混合物を加熱することを更に含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記油は、約0.05重量%~約10.0重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記油から前記濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、前記濾過助剤により、前記油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の前記遊離脂肪酸が除去される、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記油は、食用油を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記混合物は、前記油の重量に対して約0.05%~約10.0%の前記濾過助剤を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
吸着剤を更に含む、請求項29に記載の濾過助剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本PCT国際出願は、2017年12月14日付けで出願された米国仮特許出願第62/598,728号の優先権の利益を主張し、その主題は引用することによりその全体が本出願の一部をなす。
【0002】
本開示の実施の形態は、概して、濾過助剤として、例えば油を濾過するのに有用な組成物に関する。上記組成物は、複合ケイ酸塩材料とアルカリケイ酸塩とを含む濾過助剤を含み得る。
【背景技術】
【0003】
食べ物を揚げるのに調理油を使用することで、例えば、加水分解、酸化、及び/又は重合により、幾つかの形態の油の汚染が生じる。調理中に食べ物に存在する水分が蒸気となり、この蒸気が酸素とともに化学反応を開始させ、遊離脂肪酸(FFA)が生成し得る。トリグリセリドからFFAが生成する機構の例を下記に示す。
【化1】
【0004】
調理油中のFFAの量は、使用することで(繰り返し揚げることで)増加する傾向がある。FFAは、油の質に悪影響を与え、例えば油の酸化安定性が低下し、及び/又は食べ物に異臭が生じる。このことから、FFA含量は、油の質の指標をもたらし得る。したがって、調理油のFFA含量を減らすことが可能な組成物及び方法に興味が持たれる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、濾過助剤、その使用方法、及びその作製方法を含む。例えば、一例では、本開示は、(a)アルカリケイ酸塩と、(b)無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤を含む。別の例では、本開示は、(a)アルカリケイ酸塩と(b)ケイ酸塩鉱物とを含む濾過助剤であって、該アルカリケイ酸塩の少なくとも一部がケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、濾過助剤における上記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である、濾過助剤を含む。更に別の例では、本開示は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着剤とを含む濾過助剤を含む。
【0006】
一例では、本開示は、アルカリケイ酸塩と、無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤を含む。アルカリケイ酸塩は、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含み得る。幾つかの例では、アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム、例えばメタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物を含む。例えば、濾過助剤は、約10重量%~約75重量%のメタケイ酸ナトリウム五水和物を含み得る。
【0007】
一例では、濾過助剤は、約10重量%~約70重量%のアルカリケイ酸塩を含む。別の例では、濾過助剤は、約10重量%~約60重量%のアルカリケイ酸塩と、約10重量%~約60重量%のケイ酸塩鉱物と、約10重量%~約60重量%の吸着剤とを含む。
【0008】
さらに又は代替的には、濾過助剤のケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカ(例えば、珪藻土)、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含み得る。さらに、例えば、無機シリカ又はケイ酸塩は、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、又はそれらの組合せを含み得る。少なくとも1つの例では、無機シリカ又はケイ酸塩は、ケイ酸塩鉱物の表面上に沈降されている。本明細書中の幾つかの例によれば、濾過助剤の複合材料は、複合材料の総重量に対して、約50重量%~約95重量%の生物起源シリカ、及び/又は約5重量%~約80重量%の無機シリカ若しくはケイ酸塩を含む。幾つかの例では、アルカリケイ酸塩は、複合材料と混ぜ合わされて、濾過助剤を形成する粉状(loose)粒子、例えば粉末として存在し得る。幾つかの例では、アルカリケイ酸塩は、複合材料の無機シリカ又はケイ酸塩とは異なる化合物又は化合物の混合物を含み得る。
【0009】
一例では、濾過助剤は、少なくとも1つの吸着剤を含み得る。幾つかの例では、吸着剤は、ケイ酸塩鉱物上に少なくとも部分的にコーティングされ得る。他の例では、吸着剤は、ケイ酸塩鉱物と実質的に結合されていない粒状材料であり得る。多くの例では、吸着剤は、ケイ酸マグネシウムであり得る。
【0010】
濾過助剤は、約0.05ダルシー~約10.0ダルシーの範囲の浸透率及び/又は約0.2m2/g~約450m2/gの範囲のBET表面積を有し得る。幾つかの例では、濾過助剤における複合材料の粒子サイズ分布は、約5μm~約300μmの範囲のd50直径を有する。さらに、幾つかの例では、濾過助剤は、二峰性の粒子サイズ分布を有し得る。幾つかの例では、複合材料は、約0.1μm~約10.0μmの範囲のメジアン細孔径(4V/A)及び/又は約5lb/ft3~約30lb/ft3の範囲の湿潤密度を有し得る。少なくとも1つの例では、濾過助剤は、濾過助剤の総重量に対して、約0.5重量%~約10重量%の水を含む。
【0011】
本明細書には、上記及び本明細書の他の記載で述べられる濾過助剤を含む組成物が更に含まれる。例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも80重量%の濾過助剤と、約1.0重量%~約10.0重量%の水とを含み得る。幾つかの例では、組成物(例えば、水性組成物)は、約9.0~約13.0の範囲のpHを有する。幾つかの例では、組成物は、乾燥粒状物の形態である。別の例では、濾過助剤は、濾過助剤の総重量に対して、約0.5重量%~約20重量%の水、例えば約1重量%~約10重量%の水を含む。
【0012】
本開示は、かかる濾過助剤及び/又は組成物を用いて油を濾過する方法も含む。例えば、上記方法は、油を濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含み得て、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩と、無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む。上述のように、アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、濾過助剤は、メタケイ酸ナトリウム、例えばメタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物を含み得る。
【0013】
本開示の幾つかの態様によれば、濾過方法は、油と濾過助剤とを含む混合物を加熱することを更に含む。油は、遊離脂肪酸、例えば約0.05重量%~約10.0重量%の遊離脂肪酸を含み得る。上記方法は、油から濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み得て、濾過助剤により、油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の遊離脂肪酸が除去される。油は、食用油、例えば動物及び/又は植物由来の油を含み得る。幾つかの例では、混合物は、油の重量に対して約0.05%~約10.0%の濾過助剤を含む。
【0014】
本開示は、かかる濾過助剤を作製する方法も含む。例えば、上記方法は、ケイ酸塩鉱物を無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングすることにより複合材料を調製することと、該複合材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせることとを含み得る。アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム、例えばメタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物を含み得る。さらに又は代替的には、ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含み得て、複合材料の調製は、珪藻土の表面上に無機シリカ又はケイ酸塩を沈降させることを含む。少なくとも1つの例では、上記方法は、濾過助剤が該濾過助剤の総量に対して約0.5重量%~約10重量%の水を含むように、濾過助剤に水を添加することを更に含む。
【0015】
別の例では、濾過助剤を作製する方法は、ケイ酸塩鉱物基材上にアルカリケイ酸塩をコーティングすることを含む。一例では、回転ミキサー、パンペレタイザーを用いてコーティングを達成することができる。別の例では、噴霧乾燥プロセスを用いてコーティングを達成することができる。幾つかの例では、濾過助剤を作製する方法は、吸着剤をアルカリケイ酸塩及びケイ酸塩鉱物と混合することを含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の特定の態様を、以下でより詳細に記載する。引用することにより本出願の一部をなす用語及び/又は定義と矛盾する場合には、本明細書に示される用語及び定義を優先する。
【0017】
本明細書で使用される場合に、用語「含む("comprises," "comprising,")」、又はこれらの他のいかなる変形語も、非排他的な包括を範囲に含むものと意図されるため、要素の列挙を含むプロセス、方法、組成物、物品、又は装置は、これらの要素だけを含むものではなく、そのようなプロセス、方法、組成物、物品、又は装置に表現上列挙されていない他の要素又はそれらに固有の要素も含み得る。用語「例示的」は、「理想的」よりむしろ「例」の意味で使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に特段の記載がない限り、複数形の指示対象を含む。用語「およそ(approximately)」及び「約(about)」は、参照された数又は値とほとんど同じであることを指す。本明細書で使用される場合に、用語「およそ」及び「約」は、具体的な量又は値の±5%を含むと理解されるべきである。
【0019】
本開示は、油、例えば食用油又は調理するのに若しくは揚げるのに用いられる他の油を濾過して、FFA等の汚染物を除去するのに有用な濾過助剤を含む。本明細書の濾過助剤は、少なくとも1つのシリカ若しくはケイ酸塩、又は複数の種類のシリカ/ケイ酸塩の組合せを含み得て、これらは、生物起源又は無機であってもよい。
【0020】
本明細書の幾つかの例では、濾過助剤は、複合材料が形成されるように、シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされた又は完全にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含み、基材は任意で、コーティングとは異なるケイ酸塩材料を含む。コーティングされたケイ酸塩鉱物は、アルカリケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウム等のケイ酸ナトリウム等の別のケイ酸塩化合物と更に混ぜ合わせることができる。
【0021】
他の例では、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩でコーティングされたケイ酸塩鉱物、例えばケイ酸ナトリウムでコーティングされたダイアトマイト又はケイ酸ナトリウムでコーティングされたパーライトを含む。例えば、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物とを含み得て、アルカリケイ酸塩の少なくとも一部は、ケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、濾過助剤における上記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である。
【0022】
他の例では、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着剤とを含む。吸着剤は、例えばアルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウムであり得る。
【0023】
理論に縛られることを意図するものではないが、濾過助剤のケイ酸塩の組合せが、例えば、油を濾過することで、調理に使用される油、例えば揚げ油の質を維持する又は高める機能的な相乗作用をもたらすことができると考えられる。幾つかの例では、濾過は、油を濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含み得る。かかる濾過は、FFAを濾過助剤のアルカリケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)で中和して、塩を形成することでFFAの除去を可能にし得る:
【化2】
【0024】
(一般的に石鹸と称される)FFA塩は、濾過助剤のコーティングされたケイ酸塩鉱物粒子に吸着され得る。例えば、FFA塩が、コーティングされたケイ酸塩鉱物粒子に物理的に及び/又は化学的に付着され得ることで、油から粒子を濾過することによりFFAの除去が可能になる。
【0025】
本開示の幾つかの態様によれば、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含む。例えば、濾過助剤は、ケイ酸ナトリウム((Na2SiO2)nO)を含み得て、モル比SiO2:Na2Oは、1.0~4.0の範囲である。アルカリケイ酸塩は、水和又は無水であり得る。幾つかの例では、ケイ酸ナトリウムは、1.0のモル比SiO2:Na2Oを有するメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)を含む。例えば、濾過助剤は、無水メタケイ酸ナトリウム、及び/又はメタケイ酸ナトリウム五水和物(Na2SiO3・5H2O)、メタケイ酸ナトリウム九水和物(Na2SiO3・9H2O)、任意の他の水和形態等のメタケイ酸ナトリウムの水和形態、又はそれらの混合物を含み得る。少なくとも1つの例では、ケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物を含む。少なくとも1つの例では、ケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム九水和物を含む。
【0026】
幾つかの例では、アルカリケイ酸塩は、粉末形態であってもよく、例えば、濾過助剤は、粒状材料(例えば、シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的に又は完全にコーティングされたケイ酸塩鉱物粒子)、例えば複合材料を更に含む。このため、アルカリケイ酸塩の少なくとも一部は、ケイ酸塩鉱物粒子に付着することができず、又は他の形でケイ酸塩鉱物粒子のコーティングに結び付くことができず、例えば、アルカリケイ酸塩は、遊離粒子の形態で存在する。例えば、濾過助剤は、二峰性の分布(例えば、遊離アルカリケイ酸塩の粒子サイズ分布及び複合材料の粒子サイズ分布に対応する)を有する粒子を含み得る。さらに、例えば、アルカリケイ酸塩は、複合材料の無機シリカ又はケイ酸塩とは異なる化合物又は化合物の混合物を含み得る。例えば、濾過助剤は、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸カリウムを含み得て、複合材料のコーティングは、シリカゲルを含み得る。別の例では、複合材料のコーティングは、ケイ酸ナトリウムを含み得て、アルカリケイ酸塩は、コーティングとは異なるケイ酸ナトリウム(例えば、異なる水和形態、異なるモル比SiO2/Na2O、無水対水和等)を含み得る。
【0027】
幾つかの例では、濾過助剤は、濾過助剤の総重量に対して、約5重量%~約80重量%、例えば約10重量%~約75重量%、約15重量%~約70重量%、約10重量%~約20重量%、約5重量%~約25重量%、約20重量%~約60重量%、約25重量%~約50重量%、約30重量%~約65重量%、又は約50重量%~約75重量%のアルカリケイ酸塩を含み得る。理論に縛られることを意図するものではないが、アルカリケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウムは、油混合物中のFFAを中和するのに特に有益である、塩基強度と水分含量との組合せをもたらすことができると考えられる。
【0028】
濾過助剤の粒状複合材料は、シリカ、ケイ酸塩、及び/又はアルミノケイ酸塩化合物の1つ以上で少なくとも部分的に又は完全にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含み得る。本開示の幾つかの態様によれば、ケイ酸塩鉱物は、1つ以上のケイ酸塩及び/又はアルミノケイ酸塩を含む鉱物粒子を含み、これにはガラス質鉱物及びガラス質鉱物由来の材料が含まれる。ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩の例としては、珪藻土、パーライト、軽石、軽石粉、火山灰、焼成カオリン、スメクタイト、マイカ、シラス、黒曜石、松脂岩、籾殻灰、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
珪藻土(「DE」又は「ダイアトマイト」とも呼ばれる)は、一般的に珪藻のケイ酸質の被殻の形態の生物起源シリカ(生きた生物により生産される又はもたらされるシリカ)に富んだ堆積物として知られている。珪藻は、一般的にクサリケイソウ綱である、多種多様な微細な単細胞性の黄金色藻であり、生きた珪藻においてピルボックスのように組み合わされる2つの殻を備える多様で複雑な構造の飾りのある(ornate)ケイ酸質の骨格を持つ。珪藻土は、水生珪藻の残骸から形成され得て、そのため、珪藻土の堆積物は、現在の又はかつての水域近くで見つけることができる。これらの堆積物は、一般的に供給源に応じて、淡水及び塩水の2つのカテゴリーに分けられる。淡水珪藻土は、一般的に乾燥湖床から採掘され、低い結晶性シリカ含量及び高い鉄含量を有することを特徴とし得る。これに対して、塩水珪藻土は、一般的に海洋域から取り出され、高い結晶性シリカ含量及び低い鉄含量を有することを特徴とし得る。
【0030】
ガラス質鉱物(「火山ガラス」とも称され得る)は、ケイ酸質のマグマ又は溶岩の急速冷却により形成される。火山ガラス、例えばパーライト及び軽石は、大きい堆積物にて生じる傾向がある。火山灰(固まった形態で「凝灰岩」と称されることが多い)は、ガラス形態であり、ガラス質鉱物としても特徴づけられ得る小さい粒子又は断片を含む。
【0031】
パーライトは、二酸化ケイ素と、酸化アルミニウムと、他の金属又は金属酸化物、例えば酸化ナトリウム及び酸化鉄の組合せとを含む水和ガラス質鉱物である。例えば、パーライトは、約70重量%~75重量%のSiO2と、約12重量%~15重量%のAl2O3と、約0.5重量%~2重量%のFe2O3と、約3重量%~5重量%のNa2Oと、約3重量%~5重量%のK2Oと、約0.4重量%~1.5重量%のCaOと、より少量の他の金属又は金属酸化物とを含み得る。パーライトは、比較的高い含水量(例えば、約2重量%~5重量%)、ガラス質、真珠光沢、及び特徴的な同心又は弓状の玉ねぎの皮のような断口により、他のガラス質鉱物と区別することができる。パーライトのモース硬度は、通例約5超、例えば約5.5~約7.0の範囲である。
【0032】
発泡パーライトは、加熱することで内部の水の蒸発により熱膨張を起こしたパーライトを指す。例えば、ガラスが軟化し始め(約750℃~1100℃)、水が再結合し、蒸発するまでパーライトを急速に加熱することができる。ガラスが水蒸気により拡張するのに十分軟化している限りは、水蒸気は膨張することができ、これによりガラスマトリックス内に小さい気泡が生じ、ガラスマトリックスが破壊されることで、縁の尖ったより小さい断片がもたらされる。
【0033】
軽石は、メソ多孔質構造を特徴とする、例えば細孔又は小胞を有するガラス質鉱物である。軽石の多孔性は、軽石に比較的低い見かけ上の密度を与え、多くの場合で水の表面上に浮かぶことが可能である。軽石は一般的に、約60重量%~約70重量%のSiO2を含む。黒曜石材料は、シリカに富んだガラス質鉱物を含む。黒曜石ガラスは、シリカ含量に応じてサブカテゴリーに分類することができ、流紋岩黒曜石(通例、約73重量%のSiO2を含有する)が最も一般的である。籾殻は、十分なシリカを含有しており、商業的に灰化することで、一般的に籾殻灰として知られる産物であるケイ酸質の残屑にすることができる。或る特定の海綿体も、シリカの濃縮源であり、その残りは針状骨片(acicular spicules)として地質堆積物に見ることができる。
【0034】
本開示の幾つかの態様によれば、ケイ酸塩鉱物は、ケイ酸塩材料、例えば生物起源シリカを含む。本明細書の幾つかの例では、ケイ酸塩鉱物は、珪藻土、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含み得る。幾つかの例では、ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含む。少なくとも1つの例では、ケイ酸塩鉱物は、パーライト、例えば発泡パーライトを含む。
【0035】
ケイ酸塩鉱物は、例えば、1つ以上のシリカ、ケイ酸塩、及び/又はアルミノケイ酸塩化合物で部分的にコーティングされる、又は完全にコーティングされる等の処理をされていてもよい。幾つかの例では、コーティングは、無機シリカ及び/又はケイ酸塩を含む。コーティングに使用することができる無機シリカ/ケイ酸塩の例としては、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも1つの例では、無機シリカ/ケイ酸塩は、ケイ酸塩鉱物の表面上に沈降されている。例えば、本明細書の濾過助剤は、粒子(例えば、珪藻土、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せの粒子)上に沈降される、無機シリカ/ケイ酸塩、又は無機シリカ/ケイ酸塩の混合物を含み得る。少なくとも1つの例では、コーティングされたケイ酸塩鉱物は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、又はケイ酸ナトリウムとケイ酸マグネシウムとの混合物で少なくとも部分的にコーティングされた又は完全にコーティングされた珪藻土粒子を含む。
【0036】
少なくとも1つの例では、複合材料は、ケイ酸マグネシウムで少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩粒子(例えば、珪藻土粒子)を含み、アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸カリウムを含む。少なくとも1つの例では、複合材料は、ケイ酸ナトリウムで少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩粒子(例えば、珪藻土粒子)を含み、アルカリケイ酸塩は、コーティングのケイ酸ナトリウムとは異なるケイ酸ナトリウムを含む。更に別の例では、複合材料は、シリカゲルで少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩粒子(例えば、珪藻土粒子)を含み、アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、例えばメタケイ酸ナトリウムを含む。
【0037】
幾つかの例では、シリカ/ケイ酸塩のコーティングは、複合物(composite)のコーティングされたケイ酸塩鉱物の約5重量%~約50重量%を占め得る。例えば、濾過助剤は、約20重量%~約95重量%の鉱物粒子と、約5重量%~約80重量%の、鉱物粒子を少なくとも部分的に又は完全にコーティングする無機シリカ/ケイ酸塩とを含む複合材料を含み得る。幾つかの例では、複合材料は、約50重量%~約95重量%の生物起源シリカ(例えば、珪藻土粒子)又は火山ガラス(例えば、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、又は火山灰の粒子)と、生物起源シリカ又は火山ガラス上に沈降された無機ケイ酸塩又は無機ケイ酸塩の混合物とを含む。幾つかの例では、複合材料は、複合材料の総重量に対して、約5重量%~約80重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約50重量%、又は約25重量%~約40重量%の無機シリカ/ケイ酸塩、又は無機シリカ/ケイ酸塩の混合物を含み、無機シリカ/ケイ酸塩、又は無機シリカ/ケイ酸塩の混合物は、生物起源シリカ又は火山ガラスの粒子を少なくとも部分的にコーティングするか、又は完全にコーティングする。
【0038】
基材となる鉱物粒子は、1つ以上の処理工程、例えばミル粉砕及び/又は分級に供し、コーティング前に所望の粒子サイズ分布をもたらすことができる。例えば、鉱物粒子は、粒子が所望のサイズ分布を有するようにミル粉砕することができる。さらに又は代替的には、鉱物粒子は、コーティング後に1つ以上の処理工程に供してもよい。本開示にて言及される粒子サイズ及び他の粒子サイズ特性は、例えば、Micromeritics Corporation社により供給されるSedigraph 5100機器、又はLeeds & Norththrup社により供給されるMicrotrac Model X-100等の任意の適切な測定技法により測定することができる。かかる測定装置を用いて、所与の粒子のサイズは、等価球直径、すなわち(ESD)と呼ばれることもある等価直径の球の直径に関して表される。メジアン粒子サイズ、すなわちd50値は、粒子の50重量%がd50値未満のESDを有する直径である。同様に、d90値は、粒子の90重量%がd90値未満のESDを有する直径であり、d10値は、粒子の10重量%がd10値未満のESDを有する直径である。粒子サイズを決定する他の方法及び/又は装置も企図される。
【0039】
本開示の幾つかの態様によれば、ケイ酸塩鉱物又は複合材料は、約1μm~約300μm、例えば約5μm~約300μm、約100μm~約300μm、約150μm~約300μm、約1μm~約100μm、約5μm~約100μm、約10μm~約100μm、約50μm~約100μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約10μm~約50μm、約1μm~約10μm、約5μm~約10μm、又は約1μm~約5μmの範囲のメジアン粒径(d50値)を有する。例えば、複合材料は、約40μm~約300μm、約40μm~約250μm、約100μm~約250μm、約5μm~約150μm、約40μm~約140μm、約60μm~約120μm、約30μm~約60μm、約60μm~約90μm、約90μm~約120μm、約120μm~約150μm、約1μm~約40μm、約10μm~約40μm、約10μm~約30μm、又は約15μm~約25μmの範囲のd50値を有し得る。
【0040】
さらに又は代替的には、ケイ酸塩鉱物又は複合材料は、約50μm~約700μm、例えば約300μm~約700μm、約300μm~約500μm、約100μm~約300μm、約200μm~約400μm、約50μm~約300μm、約100μm~約200μm、約200μm~約300μm、約50μm~約100μm、約60μm~約140μm、約70μm~約120μm、又は約80μm~約110μmの範囲のd90値を有し得る。
【0041】
さらに又は代替的には、ケイ酸塩鉱物又は複合材料は、約1μm~約30μm、例えば約1μm~約10μm、約10μm~約20μm、約20μm~約30μm、約5μm~約15μm、約15μm~約25μm、約20μm~約25μm、約2μm~約20μm、約3μm~約15μm、約4μm~約12μm、約5μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約1μm~約3μmの範囲のd10値を有し得る。
【0042】
ケイ酸塩鉱物又は複合材料は、所望の細孔サイズ又は細孔サイズ分布を有し得る。材料における細孔サイズ分布を示す技法の一つは、等方圧の印加下で水銀圧入を用いて、ケイ酸塩鉱物の細孔等のマイクロスケールの細孔を測定する水銀圧入ポロシメトリーである。この方法では、密閉した真空容器において液体水銀で材料を囲み、圧力を徐々に増大させる。容器を密封して、圧力を非常に低いレベルまで低減させてから、水銀圧入を始める。低い圧力では、液体水銀の表面張力が高いために水銀は試料に入り込まない。圧力が増大するにつれて、水銀が試料に移動するが、初めに最も大きいスペースに入り込み、そこでは水銀表面の曲率は最小となる。圧力が更に増大すると、水銀は材料のより密なスペースに移動する。最終的に全ての空隙が水銀で満たされる。ナノ多孔質構造は、Micromeritics Instrument Corporation社(米国、ジョージア州、ノークロス)から入手可能なASAP(商標) 2460 Surface Area and Porosimetry Analyzerを用いて窒素吸着により測定することができる。このようにして、空隙全体の体積対圧力のプロットを展開することができる。そのため、この方法は、細孔全体の体積をもたらすことができるだけでなく、細孔サイズの分布を識別することもできる。細孔分布が推定されたら、細孔サイズに基づき、細孔の形状を推測することにより(一般的に球形状と推測され得る)、表面積の推定値を算出することが可能である。体積又は面積に基づいて、メジアン細孔サイズの推定値も算出することができる。メジアン細孔サイズ(体積)は、積算体積グラフにおける50パーセンタイルの細孔サイズであり、メジアン細孔サイズ(面積)は、積算面積グラフにおける50パーセンタイルの細孔サイズである。平均細孔サイズ(直径)は、総細孔体積と総細孔面積との比の4倍(4V/A)である。幾つかの例では、複合材料は約0.1μm~約10.0μm、例えば約0.1μm~約5.0μm、約0.5μm~約5.0μm、約0.1μm~約1.0μm、約1.0μm~約10.0μm、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約5.0μm、約1.5μm~約8.0μm、又は約5.0μm~約10.0μmの範囲のメジアン細孔径(4V/A)を有し得る。
【0043】
真の密度が相対的に一定のままであれば、より低い湿潤密度を有する濾過成分により、より大きい多孔性、ひいてはおそらくより大きい濾過効率を有する製品が生じ得る。幾つかの態様によれば、複合材料は、約5lb/ft3~約30lb/ft3の範囲の(約80.1kg/m3~約480.6kg/m3の範囲に相当する)湿潤密度を有し得る。例えば、複合材料は、約10lb/ft3~約20lb/ft3、約20lb/ft3~約30lb/ft3、約15lb/ft3~約25lb/ft3、約25lb/ft3~約35lb/ft3、約15lb/ft3~約20lb/ft3、約20lb/ft3~約25lb/ft3、又は約25lb/ft3~約30lb/ft3の範囲の湿潤密度を有し得る。湿潤密度が濾過プロセスにおいて物体を捉える吸着剤成分の空隙体積を反映するものであることから、より低い湿潤密度は、吸着剤成分がより高い空隙体積を有し、そのため流体中のより多くの要素を吸着することができることを示し得る。
【0044】
湿潤密度は、目盛り付きの15mL容遠心管内に既知の重量(約1.00g~約2.00g)の試料を入れることで測定することができる。次いで、脱イオン水を添加し、およそ10mLの容量にする。試料が全て水気を含み、粉末がなくなるまで、混合物を十分に振盪する。遠心管の上部辺りから更なる脱イオン水を添加し、振盪後に遠心管の側壁に付着した混合物を全て洗い落とす。次いで、Model 221スインギングバケットローターを備えたIEC Centra(商標) MP-4R遠心分離機(米国マサチューセッツ州ニーダムハイツ、International Equipment Company社)にて遠心管を2500RPMで5分間遠心分離する。遠心分離後、固形物を崩すことなく遠心管を慎重に取り出し、沈降した物質の程度(体積)を測定する。次いで、遠心分離後の湿潤密度を、試料重量の測定体積での除算、例えばg/cm3(又は試験中に用いられる単位に基づきkg/m3若しくはlb/ft3等)の単位により算出する。
【0045】
本明細書の濾過助剤は、油及び油混合物の濾過に有益な特徴を有し得る。本明細書の幾つかの例によれば、濾過助剤は、約0.2m2/g~約450m2/g、例えば約5m2/g~約400m2/g、約25m2/g~約250m2/g、約50m2/g~約150m2/g、約100m2/g~約200m2/g、約75m2/g~約150m2/g、約300m2/g~約450m2/g、約250m2/g~約300m2/g、約100m2/g~約150m2/g、又は約50m2/g~約300m2/gの範囲のBET表面積(すなわち、ブルナウアー-エメット-テラー(BET)理論に従って算出された比表面積)を有する。
【0046】
幾つかの例によれば、濾過助剤は、非水性液体、例えば、食用油、又は調理に用いられる若しくは有用な他の油若しくは油混合物の濾過に使用するのに適した浸透率を有し得る。浸透率は一般的に、ダルシー単位、すなわちダルシーで測定される。浸透率は、濾過助剤組成物の懸濁水溶液からセプタム(septum:隔壁)上に濾過ケークを形成するように設計された装置を用いて、次いで規定の容量の水が既知の断面積の濾過ケークの実測厚さを通って流れるのに要する時間を測定することにより決定することができる。例えば、浸透率は、1大気圧差の印加下、1cm3/秒の流速で、1mPa・sの粘度の流体が流れる高さ1cm及び断面積1cm2の多孔質の濾過助剤材料により測定することができる。浸透率の測定原理は、以前にダルシーの法則(例えば、J. Bear, "The Equation of Motion of a Homogeneous Fluid: Derivations of Darcy's Law," in Dynamics of Fluids in Porous Media 161-177 (2nd ed. 1988)を参照されたい)により多孔質媒体について導かれている。
【0047】
幾つかの例によれば、濾過助剤は、約0.05ダルシー~約10.0ダルシーの範囲の浸透率を有し得る。例えば、濾過助剤は、約0.1ダルシー~約10.0ダルシー、約0.1ダルシー~約5.0ダルシー、約0.1ダルシー~約3.0ダルシー、約0.5ダルシー~約2.5ダルシー、約0.5ダルシー~約1.5ダルシー、約1.0ダルシー~約2.0ダルシー、約0.1ダルシー~約1.0ダルシー、約0.5ダルシー~約1.0ダルシー、約1.0ダルシー~約2.5ダルシー、約0.05ダルシー~約1.0ダルシー、又は約0.1ダルシー~約0.5ダルシーの範囲の浸透率を有し得る。
【0048】
本開示の幾つかの態様によれば、濾過助剤は、水性懸濁液又はスラリー等の組成物として提供することができる。幾つかの例では、組成物は、水、例えば、少なくとも75重量%又は少なくとも80重量%の水と、約1.0重量%~約10.0重量%の濾過助剤とを含み得る。例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、約1.0重量%~約5.0重量%、約2.5重量%~約7.5重量%、約5.0重量%~約7.5重量%、約3.5重量%~約8.0重量%、又は約3.5重量%~約6.5重量%の濾過助剤を含み得る。幾つかの態様によれば、組成物は、組成物の総重量に対して4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、又は6.0重量%の濾過助剤を含む水性懸濁液又はスラリーを含む。かかる水性組成物は、約9.0~約13.0、例えば約10.0~約13.0、約11.0~約12.0、又は約12.0~約13.0の範囲のpHを有し得る。
【0049】
本明細書の濾過助剤は、例えば、ケイ酸塩鉱物を無機シリカ/ケイ酸塩(例えばケイ酸塩又はシリカゲル)で少なくとも部分的にコーティングすることで複合材料(粒状材料)を調製し、複合材料を、アルカリケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウムと混ぜ合わせることにより調製することができる。
【0050】
濾過助剤の複合材料の調製は、無機ケイ酸塩をケイ酸塩鉱物の表面上に沈降させること、例えばケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸マグネシウムを珪藻土、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せの粒子上に沈降させることを含み得る。沈降されたケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸マグネシウムは、基材の鉱物粒子の表面上にin-situで沈降されている吸着性のコーティング又は層を形成し得る。幾つかの例では、ケイ酸塩鉱物粒子は、例えば、ケイ酸塩鉱物粒子を、水、ケイ酸ナトリウム及び酸(例えば、H2SO4)と混ぜ合わせることによりシリカゲルでコーティングすることができる。このようにして形成された複合材料は、ケイ酸塩コーティングの(例えば、FFA塩の形成のための)吸着特徴及び基材の鉱物粒子の濾過特性を保持することができる。
【0051】
一例では、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩でコーティングされたケイ酸塩鉱物、例えば、ケイ酸ナトリウムでコーティングされたダイアトマイト又はケイ酸ナトリウムでコーティングされたパーライトを含み得る。一例では、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物とを含み、アルカリケイ酸塩の少なくとも一部は、ケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、濾過助剤における上記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である。
【0052】
幾つかの例では、アルカリケイ酸塩は、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含み得る。例えば、アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム、例えば、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物を含み得る。幾つかの例では、ケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカ(例えば、ダイアトマイト)、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含み得る。
【0053】
幾つかの例では、コーティングにおけるアルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、約1:4~約4:1、例えば約1:2~約1:4、約3:4~約1:4、約1:1~約1:4、約1:1~約1:3、約1:1~約1:2、又は約1:2~約2:1の範囲であり得る。
【0054】
一例では、ロータリーミキサー、パンペレタイザーを用いてコーティングを達成することができる。別の例では、噴霧乾燥プロセスを用いてコーティングを達成することができる。幾つかの例では、濾過助剤を作製する方法は、吸着剤をアルカリケイ酸塩及びケイ酸塩鉱物と混合することを含み得る。概して、混合をベースとする造粒法は、コーティングにおけるアルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率がより低い場合に好ましく、噴霧乾燥はより高い比率の場合に好ましいと考えられる。
【0055】
別の例では、濾過助剤は、アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着性材料との組合せを含み得る。この例では、ケイ酸塩鉱物のフィルターは、化学修飾又は機能的コーティングしている必要はない。アルカリケイ酸塩及びケイ酸塩鉱物を吸着剤とともに使用する場合、得られる濾過助剤は、吸着剤自体が相対的に低い濾過効率を有していたとしても、遊離脂肪酸の除去と、石鹸の除去と、濾過速度と、費用との良好なバランスをもたらすことができる。
【0056】
一例では、吸着剤をケイ酸塩鉱物上に少なくとも部分的にコーティングすることができる。他の例では、吸着剤は、ケイ酸塩鉱物とは実質的に結合しない粒状材料であり得る。幾つかの例では、吸着剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩、例えば、ケイ酸マグネシウムを含み得る。
【0057】
幾つかの例では、濾過助剤は、約10重量%~約60重量%のアルカリケイ酸塩と、約10重量%~約60重量%のケイ酸塩鉱物と、約10重量%~約60重量%の吸着剤とを含む。例えば、濾過助剤は、10重量%~約50重量%、例えば約20%~約50%、約30%~約60%、又は約30%~約50%のアルカリケイ酸塩を含み得る。また、例えば、濾過助剤は、10重量%~約50重量%、例えば約20%~約50%、約30%~約60%、又は約30%~約50%のケイ酸塩鉱物を含み得る。別の例では、濾過助剤は、10重量%~約50重量%、例えば約10%~約40%、約20%~約50%、又は約20%~約40%の吸着剤を含み得る。
【0058】
本明細書の幾つかの例示的な方法では、ケイ酸塩鉱物粒子を水と混合し、懸濁液又はスラリーを形成することができる。ケイ酸ナトリウム溶液、ケイ酸カリウム溶液、及び/又は硫酸マグネシウム溶液(コーティングがケイ酸マグネシウムを含む場合)を懸濁液に添加して、混合物を撹拌する又はかき混ぜることで、ケイ酸塩を沈降させることができる。ケイ酸ナトリウムは、例えば、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、及び/又は二ケイ酸ナトリウム(Na2Si2O5)を含み得る。硫酸マグネシウムは、ケイ酸ナトリウムと反応して、ケイ酸マグネシウムを沈降させるものであれば、どのような硫酸マグネシウムであってもよい。例えば、硫酸マグネシウムは、水性硫酸マグネシウムとすることができ、これを希釈してから、ケイ酸ナトリウム溶液と混ぜ合わせることで、沈降に望ましいモル濃度を達成することができる。
【0059】
本開示の幾つかの態様によれば、複合材料を酸で処理してから、この材料とアルカリケイ酸塩とを混ぜ合わせることで、濾過助剤を形成することができる。特定の理論により縛られることを望むものではないが、酸処理がケイ酸塩コーティングの表面と反応することで、複合材料の吸着特性及び/又は不純物除去特性が改善すると考えられる。幾つかの例によれば、酸処理は、複合材料の表面化学性質を変えることができる。例えば、酸処理は、ケイ酸塩コーティングの表面pHを下げることができ、これにより油及び油混合物等の非水性液体からの金属、石鹸及びFFA等の不純物の吸着が促され得る。
【0060】
例えば、複合材料を、少なくとも1つの弱酸、例えば、クエン酸、酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、又はそれらの混合物等で処理することができる。酸処理は、コーティングされたケイ酸塩鉱物粒子を酸又は酸と水との混合物と混合することにより行うことができる。幾つかの態様によれば、酸処理は、酸又は酸と水との混合物を材料上に噴霧することを含み得る。本明細書の幾つかの例では、次いで酸処理複合材料を、任意で高温、例えば約70℃を超える温度、又は約70℃~約120℃の範囲の温度で乾燥させてから、複合材料をアルカリケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウムと混ぜ合わせることができる。
【0061】
幾つかの例では、複合材料は、該材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせる前に酸で処理せずに、濾過助剤を形成する。
【0062】
本開示の幾つかの態様によれば、濾過助剤は、約0.5重量%~約20重量%、例えば約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、約5重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約6重量%~約9重量%、約2.5重量%~約4.5重量%の水分、又は約3重量%~約5重量%の水を含み得る。例えば、濾過助剤を作製する方法は、ケイ酸塩鉱物を無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングして、複合材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせて、約1%~約10重量%の水を添加することにより材料を調製することを含み得る。理論により縛られることを意図するものではないが、水分の添加は、濾過助剤の濾過性能を、例えばアルカリケイ酸塩によるFFA塩の形成、及び続く複合材料へのFFA塩の吸着を介して改善することができると考えられる。
【0063】
本明細書の濾過助剤を様々な非水性液体の濾過に使用することができる。例えば、液体は、例えば食用油を含む油又は油混合物、例えば調理に有用な動物材料又は植物材料由来の油であり得る。適切な油としては、パーム油、パーム核油、バター、ギー、ココアバター、ココアバター代用品、イリッペ脂、シア脂、カノーラ油、ひまし油、ヤシ油、コリアンダー油、トウモロコシ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、麻実油、亜麻仁油、マンゴー核油、オリーブ油、落花生油、菜種油、米ぬか油、紅花油、大豆油、ひまわり油、動物油脂(例えば、アヒル脂、ラード、獣脂、魚油)、及びそれらの混合物が挙げられ得る。濾過する前に、例えば、化学処理又は酵素処理等による脱ガム、漂白、脱臭及び/又はエステル交換を含む1つ以上の精錬工程に油を供し得る。少なくとも1つの例では、油を精錬する。濾過する前に、更に油に分留等の他の処理工程を行ってもよい。
【0064】
幾つかの例では、油は、パーム由来の1つ以上の油を含む。パーム由来の油としては、パーム油、パーム油ステアリン、パーム油オレイン、パーム核油、パーム核ステアリン及びパーム核オレイン、並びにそれらのエステル交換生成物が挙げられる。幾つかの例では、植物油は、パーム油又はその留分を含む。パーム油留分としては、パーム油オレイン、パーム油ステアリン、パーム油中融点分別脂(palm mid-fractions)及びそれらのエスエル交換生成物が挙げられる。植物油は、精錬パーム油又はその留分、例えばパーム油オレイン又はパーム油ステアリンを含み得る。
【0065】
本開示の幾つかの態様によれば、油は、調理油、例えば揚げ油を含み、これには、上記で挙げられた例示的な油脂の1つ以上が含まれ得る。油は、調理に使用する前に及び/又は調理に使用した後に(例えば、濾過される油は使用済みの調理油を含む)本開示に従って濾過することができる。例えば、本明細書の濾過助剤を使用して、使用済みの調理油を濾過することで、例えば、続く調理(例えば揚げ)プロセスで使用される油の質を高めることができる。濾過される油は、FFA及び/又は一般的に除去すべき汚染物であるとみなされる他の成分を含み得る。
【0066】
本開示の幾つかの態様によれば、この方法は、液体を本明細書に開示の濾過助剤に通すか、又はそうでなければ液体と本明細書に開示の濾過助剤とを接触させることを含み得る。幾つかの例では、濾過助剤を濾過される液体に直接添加してもよく、これは一般的にボディーフィード法として知られている。例示的な濾過プロセスでは、FFAを含む油を本明細書に開示の複合フィルターと混ぜ合わせることで、混合物を形成することができる。油は、少なくとも0.05重量%のFFA、例えば約0.05重量%~約10.0重量%、約0.1重量%~約8.0重量%、約0.5重量%~約5.0重量%、約1.0重量%~約5.0重量%、約5.0重量%~約10.0重量%、約7.0重量%~約9.0重量%、約4.0重量%~約6.0重量%、約1.0重量%~約3.0重量%、約1.5重量%~約2.5重量%、約0.05重量%~約2.0重量%、又は約0.1重量%~約3.0重量%のFFAを含み得る。例えば、油は、約0.5重量%、約0.7重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、又は約2.5重量%のFFAを含み得る。
【0067】
油と濾過助剤との混合物は、油の重量に対して、約0.05重量%~約10.0重量%の濾過助剤を含み得る。幾つかの例では、濾過助剤を、乾燥形態で、例えば粒状濾過助剤として油と混ぜ合わせてもよい。他の例では、濾過助剤を、水性懸濁液の総重量に対して、例えば約1.0重量%~約10.0重量%の範囲の量の濾過助剤で水性懸濁液として調製することができる。
【0068】
油は、例えば、濾過助剤が油に適切に分布するようにかき混ぜ得る。幾つかの例では、油(又は油/水性混合物)は、例えば約50℃~約130℃又は約60℃~約120℃の範囲の温度、例えば約70℃、約80℃、約90℃、約100℃又は約110℃の温度で又はそれらの温度まで加熱することができる。幾つかの実施形態では、油は、120℃~160℃と高い温度であり得る。液体の濾過に十分な期間の後、粒子を回収し、液体から取り出すことができる。例えば、FFA塩の形成及び複合材料へのFFA塩の吸着の際に、材料を油から取り出すことで、油からFFAを除去することができる。材料は、例えば濾過、遠心分離等の任意の適切な技法により取り出すことができる。
【0069】
場合によっては、濾過方法は、少なくとも1つの濾材を濾過助剤でプレコーティングすることと、濾過される液体と少なくとも1つの濾材とを接触させることとを含み得る。1つ以上の濾材は、セプタム(例えば、メッシュスクリーン、メンブレン、又はパッド)と、プラスチック又は十分に微細な組織の金属繊維で覆われた円筒管又はウェハー状構造体とを備え得る。或る特定の場合、1つ以上の濾材は、或るサイズの材料が濾過装置を通るための空隙を有する多孔質構造体を備え得る。濾過助剤は、初めにプレコーティングとして知られるプロセスにて濾材のセプタムに適用され得る。プレコーティングは概して、水と濾過助剤とのスラリーを混合することと、セプタムを通って流れる流れにスラリーを導入することとを伴い得る。このプロセス中、薄層、例えば約1.5mm~約3.0mmの濾過助剤をセプタム上に沈着させることで、濾過装置を形成することができる。
【0070】
本明細書の濾過助剤は、油のFFAを少なくとも一部、又は実質的に全て除去することが可能であり得る。例えば、本明細書の濾過助剤を使用して、油のFFAの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%を除去することができる。幾つかの例では、濾過助剤は、油からFFAの約40%~約99%、例えば約50%~約95%、約60%~約90%、約75%~約99%、約80%~約95%、又は約90%~約99%を除去する。さらに又は代替的には、本明細書の方法は、油の石鹸(例えば、FFAから生成されるFFA塩)の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%を除去することができる。幾つかの例では、濾過助剤は、油の石鹸(FFAから生成される)の約75%~約99%、約80%~約99%、約90%~約99%、又は約95%~約99%を除去することができる。幾つかの例では、濾過助剤は、油から実質的に全ての石鹸を除去することができる(99%を超える石鹸の除去)。
【0071】
一態様では、濾過の前に又は濾過中に、任意にアルカリ炭酸塩又はアルカリ重炭酸塩を油に添加することで、遊離脂肪酸の除去の増強をもたらすことができる。一態様では、アルカリ炭酸塩又はアルカリ重炭酸塩を添加して、高温、例えば、約120℃超、約130℃超、又は約140℃超で濾過を行うことができる。一態様では、高温は、揚げ油の使用温度からの余熱によるものとすることができ、そのため遊離脂肪酸の除去処理前に冷却する必要性が低減される。このようにして、高温で良好な性能を有する配合物は、ユーザーにより良好な有用性をもたらすことができる。
【0072】
本開示の態様を、以下の非限定的な番号付けされた例示的な実施形態を参照することにより更に説明する。
【0073】
1.(a)アルカリケイ酸塩と、(b)無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤。
【0074】
2.(a)アルカリケイ酸塩と(b)ケイ酸塩鉱物とを含む濾過助剤であって、該アルカリケイ酸塩の少なくとも一部がケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、濾過助剤における上記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で約1:4~4:1の範囲である、濾過助剤。
【0075】
3.アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物と吸着剤とを含む濾過助剤。
【0076】
4.アルカリケイ酸塩は、濾過助剤の約10重量%~約70重量%を占める、段落1による濾過助剤。
【0077】
5.約10重量%~約60重量%のアルカリケイ酸塩と、約10重量%~約60重量%のケイ酸塩鉱物と、約10重量%~約60重量%の吸着剤とを含む、段落3に記載の濾過助剤。
【0078】
6.上記吸着剤は、ケイ酸塩鉱物上に少なくとも部分的にコーティングされている、段落3に記載の濾過助剤。
【0079】
7.吸着剤は、ケイ酸塩鉱物と実質的に結合されていない粒状材料である、段落3に記載の濾過助剤。
【0080】
8.アルカリケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はそれらの混合物を含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0081】
9.アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムを含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0082】
10.メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0083】
11.アルカリケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム五水和物を含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0084】
12.ケイ酸塩鉱物は、生物起源シリカを含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0085】
13.ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0086】
14.ケイ酸塩鉱物は、パーライト、軽石、軽石粉、黒曜石、松脂岩、火山灰、又はそれらの組合せを含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0087】
15.上記吸着剤は、ケイ酸マグネシウムである、段落3~7のいずれかに記載の濾過助剤。
【0088】
16.無機シリカ又はケイ酸塩は、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、又はそれらの組合せを含む、段落1に記載の濾過助剤。
【0089】
17.無機シリカ又はケイ酸塩は、ケイ酸塩鉱物の表面上に沈降されている、段落1に記載の濾過助剤。
【0090】
18.複合材料は、約50重量%~約95重量%の生物起源シリカを含む、段落1に記載の濾過助剤。
【0091】
19.複合材料は、該複合材料の総重量に対して約5重量%~約80重量%の無機シリカ又はケイ酸塩を含む、段落1に記載の濾過助剤。
【0092】
20.約0.05ダルシー~約3.0ダルシーの範囲の浸透率を有する、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0093】
21.約5m2/g~約450m2/gの範囲のBET表面積を有する、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0094】
22.複合材料の粒子サイズ分布は、約5μm~約300μmの範囲のd50直径を有する、段落1に記載の濾過助剤。
【0095】
23.複合材料は、約0.1μm~約10.0μmの範囲のメジアン細孔径(4V/A)を有する、段落1に記載の濾過助剤。
【0096】
24.複合材料は、約5lb/ft3~約30lb/ft3の範囲の湿潤密度を有する、段落1に記載の濾過助剤。
【0097】
25.濾過助剤の総重量に対して、約0.5重量%~約20重量%の水、例えば約1重量%~約10重量%の水を含む、任意の上述の段落に記載の濾過助剤。
【0098】
26.任意の上述の段落に記載の濾過助剤を含む組成物。
【0099】
27.組成物の総重量に対して、少なくとも80重量%の濾過助剤と、約1.0重量%~約10.0重量%の水とを含む、段落26に記載の組成物。
【0100】
28.約9.0~約13.0の範囲のpHを有する、段落26又は27に記載の組成物。
【0101】
29.油を濾過するための段落1~25のいずれかによる濾過助剤又は段落26~28のいずれかに記載の組成物の使用。
【0102】
30.油を濾過する方法であって、該油を段落1~25のいずれかに記載の濾過助剤と混ぜ合わせて、混合物を形成することを含む、方法。
【0103】
31.混合物を加熱することを更に含む、段落30に記載の方法。
【0104】
32.油は、約0.05重量%~約10.0重量%の遊離脂肪酸を含む、段落30又は31に記載の方法。
【0105】
33.油から濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、濾過助剤により、油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の遊離脂肪酸が除去される、段落30又は31に記載の方法。
【0106】
34.油は、食用油を含む、段落30~33のいずれかに記載の方法。
【0107】
35.混合物は、油の重量に対して約0.05%~約10.0%の濾過助剤を含む、段落30~34のいずれかに記載の方法。
【0108】
36.段落1、4、8~14、及び16~25のいずれかに記載の濾過助剤を作製する方法。
【0109】
37.ケイ酸塩鉱物を無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングすることにより複合材料を調製することと、該複合材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせることとを含む、段落36に記載の方法。
【0110】
38.ケイ酸塩鉱物は、珪藻土を含み、複合材料の調製は、無機シリカ又はケイ酸塩を珪藻土の表面上に沈降させることを含む、段落36又は37に記載の方法。
【0111】
39.濾過助剤が該濾過助剤の総量に対して約0.5重量%~約10重量%の水を含むように、濾過助剤に水を添加することを更に含む、段落36~38のいずれかに記載の方法。
【0112】
以下の実施例は、本開示を説明することを目的とするものであって、それを限定する性質のものではない。本開示は、上記説明及び下記の実施例に見合った追加の実施形態を含むものと解される。
【実施例0113】
実施例1
実験を行い、FFA含量が高い油試料を濾過する際の多様な濾過助剤組成物の性能を比較した。それぞれの場合で使用される油試料は、家庭調理用の市販の植物油(0.1重量%未満のFFAを含む)とし、これにFFA汚染を模するために2重量%のオレイン酸を加えた。
【0114】
4つの組成物を下記の表1に概説されるように試験した。試料1及び試料2を、本開示に従って、メタケイ酸ナトリウム五水和物と、粒子の95%超がサイズ400μm未満であり、粒子の95%超がサイズ5μmより大きい粒子サイズを有する、ケイ酸マグネシウムでコーティングされた珪藻土粒子又はシリカゲルでコーティングされた珪藻土粒子とを含む濾過助剤として調製した。試料1は、30重量%のNa2SiO3・5H2O及び70重量%のDE/MgO-SiO2複合体(40重量%のDE粒子上にコーティングされた60重量%のMgO-SiO2(約2.5~約3.2の範囲のモル比SiO2/MgOを有する)を含む)(Imerys社)で調製した。試料2は、30重量%のNa2SiO3・5H2O及び70重量%のDE/SiO2複合体(40重量%のDE粒子上にコーティングされた60重量%のシリカゲルを含む)(Imerys社)で調製した。また、2つの参照試料(試料3及び試料4)をDallas Group社から市販されている製品である、MAGNESOL(商標) 600R及びMAGNESOL(商標) PolySorb 30/40から調製した。試料3は、DALSORB(商標)(60重量%のNa2SiO3と40重量%のMgSiO3とを含む)とし、試料4は、MAGNESOL(商標) 600R及びMAGNESOL(商標) PolySorb 30/40の50/50混合物(30重量%のNa2SiO3と70重量%のMgSiO3とを含む)とした。
【0115】
それぞれの場合、150グラムの油を100℃に加熱し、3グラムの乾燥組成物試料(油の2重量%)を添加した。混合物を100℃で60分間撹拌した。次いで、処理した油を、Whatman #4濾紙を備えた加熱したブフナー漏斗(100±5℃)に通して減圧濾過した。150グラムの油試料を濾過するのに要する時間は、±1分の精度で記録した。
【0116】
濾過した油試料は、指示薬としてフェノールフタレインを使用して、イソプロパノール中のNaOHを用いて、FFA含量について滴定した(AOCS Official Method Aa 6-38)。FFAの除去パーセントを式3に従って算出した:
【数1】
【0117】
石鹸除去を決定するために、濾過した油試料を、指示薬としてブロモフェノールブルーを使用して、2%水を有するアセトン中のHClを用いて、石鹸含量について滴定した(AOCS Recommended Practice Cc 17-95)。石鹸除去パーセントを式4に従って算出した:
【数2】
【0118】
生成された理論石鹸の量を式5に従って算出した:
【数3】
【0119】
結果を下記表1に示す。
【0120】
【0121】
試料1及び試料2は、市販の製品と比較して、より高いFFA除去、同等又はより高い石鹸(FFA由来)の除去、及びより速い濾過時間をもたらすことが分かった。
【0122】
実施例2
実施例1に記載の同じ手順を用いて、更なる濾過助剤組成物(試料5、試料6、及び試料9~試料14)及び参照組成物(7及び8)を調製し、表2に概説されるように、濾過時間、FFA除去%、及び石鹸除去%について試験した。これらの研究について、40重量%のDE粒子上にコーティングされた60重量%のMgO-SiO2(約2.5~約3.2の範囲のモル比SiO2/MgOを有する)(試料5、試料6、試料9、及び試料11)(Imerys社)、又は60重量%のDE粒子上にコーティングされた40重量%のMgO-SiO2(約2.5~約3.2の範囲のモル比SiO2/MgOを有する)(試料10及び試料13)(Imerys社)を含む、2つの異なる種類の複合的なケイ酸マグネシウムでコーティングされたDE粒子を使用した。シリカゲルでコーティングされたDE粒子を試料12及び試料14にて使用した(Imerys社)。無水ケイ酸ナトリウム(モル比SiO2/Na2O=2.0)及びBRITESIL(商標) C20ケイ酸ナトリウム(モル比SiO2/Na2O=2.0;17.5%水分)をPQ Corporation社から入手した。水を試料6に添加し、約8重量%の水分を与えた。
【0123】
【0124】
これらの研究を実施例1と比較すると、メタケイ酸ナトリウム以外の様々なアルカリケイ酸塩が油からFFAを除去するのに成功したことが示唆される。モル比SiO2/Na2Oがより高いケイ酸ナトリウムを含む組成物は、概してより低いFFA除去をもたらすことが分かった。また、ケイ酸塩でコーティングされた珪藻土粒子を有する組成物は、シリカゲルでコーティングされた粒子と比較して、より高いFFA除去をもたらした。さらに、組成物Fの結果から、濾過助剤に幾らかの更なる水を付加することで、より良好なFFAの濾過性能をもたらすことができることが示唆される。
【0125】
実施例3
アルカリケイ酸塩でコーティングされたケイ酸塩鉱物の試料を、使用する油の遊離脂肪酸含量を約0.82%とすることを除いて実施例1に記載されるものと同じ一般手順を用いてアッセイした。ケイ酸ナトリウムでコーティングされたダイアトマイトを含む濾過助剤の試料を下記のように調製した:1600gのケイ酸ナトリウム(Oxy Chemicals社、グレード50)、560gのダイアトマイト及び384gの脱イオン水を混合した。得られた混合物を、320℃に設定した入口温度及び108℃の出口温度及び21rpmに設定したポンプ供給速度にてラボスケールの噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。
【0126】
得られる噴霧乾燥材料は、1.5:1(w/w)のNaSil:DE比及びケイ酸ナトリウムコーティングにおける約15%の水分を有する、ケイ酸ナトリウムでコーティングされたDE(NaSil-DE)(400℃での乾燥減量により決定される、およそ10%の全水分)であるとみなされる。BRITESIL(商標) C20シリカゲルを試料18~試料20に対照として使用した。試料20では、50%のBRITESIL(商標) C20を、細孔サイズ60Å、230メッシュ~400メッシュの粒子サイズ及び550m2/gのBET表面積を有する、50%の高純度のシリカゲル(Sigma-Aldrich社から市販されている)と混合した。
【0127】
【0128】
上記の表3に示されるように、複合材料「NaSil-DE」は、単独で使用される場合(試料15)、非常に良好な濾過時間及びFFA除去、並びに十分な石鹸除去性能を達成した。80%のNaSil-DEと20%のDE/SiO2複合体との組合せ(試料17)は、優れた石鹸除去を可能にし、通例、3つの性能因子間で最良なバランスが取れているとみなされる。80%のNaSil-DEと20%のメタケイ酸ナトリウム五水和物(Na2SiO3・5H2O)との組合せ(試料16)は、ほとんど(nearly)完全なFFAの除去を可能にした。
【0129】
実施例4
試料を、使用する油の遊離脂肪酸含量を約0.82%とすることを除いて実施例1に記載されるものと同じ一般手順を用いて、下記表4に述べられるようにアッセイして、吸着性のケイ酸マグネシウムの使用の効果を評価した。使用するケイ酸マグネシウム(MgSil)は、Shangyu Jiehua社から市販されている沈降ケイ酸マグネシウム(粒子サイズDv=60μm、Dn=9.3μm、約500m2/gのBET表面積)とした。
【0130】
【0131】
メタケイ酸ナトリウムとミリ粉砕発泡パーライトとの組合せ(試料23)は、非常に良好なFFA除去性能及び石鹸除去性能を達成した。しかしながら、ケイ酸マグネシウムと鉱物濾過助剤とを有する複合材料(試料21及び試料22)は、更に良好なFFA除去性能及び石鹸除去性能を達成した。40%のメタケイ酸ナトリウムと60%のMgSilとの混合物を試験し、おそらくは石鹸を効果的に濾過することができなくなることによるフィルターの詰まりを起こしたことが分かった。試料21~試料23は、3分以内に濾過を完了し、これは実際の使用に良好な濾過速度に相当する。
【0132】
実施例5:
濾過助剤配合物に炭酸ナトリウム(e)又は重炭酸ナトリウム(e)を含ませることは、低温でのFFA低減において殆ど効果がないことが分かった。特に、2%のオレイン酸を含有する植物油(150g)を、40%のNaHCO3+60%の(DE-SiO2)又は40%のNa2CO3+60%の(DE-SiO2)の複合体を含有する2%配合物(3g)を用いて60分間処理することで、およそ10%のFFAの相対除去(すなわち、0.2%のFFAの絶対低減)をもたらした。しかしながら、温度を146℃(290°F)まで増大させると、FFA低減は、71%(すなわち、0.85%のFFAの絶対低減)に増大した。
【0133】
本開示の他の態様及び実施形態は、本明細書の検討及び本明細書に開示の実施形態の実施により当業者に明らかとなるであろう。
【0134】
本明細書及び本明細書中の実施例は例示的なものに過ぎないとみなされることが意図され、本開示の真の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
(a)アルカリケイ酸塩と、(b)無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングされたケイ酸塩鉱物を含む複合材料とを含む濾過助剤を作製する方法であって、ケイ酸塩鉱物を無機シリカ又はケイ酸塩で少なくとも部分的にコーティングすることにより複合材料を調製することと、該複合材料をアルカリケイ酸塩と混ぜ合わせることとを含む、方法。
(a)アルカリケイ酸塩と(b)ケイ酸塩鉱物とを含む濾過助剤であって、該アルカリケイ酸塩の少なくとも一部が前記ケイ酸塩鉱物上のコーティングとして存在しており、前記濾過助剤における前記アルカリケイ酸塩とケイ酸塩鉱物との比率は、重量基準で1:4~4:1の範囲である、濾過助剤。
前記メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項6に記載の濾過助剤。
前記油から前記濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、前記濾過助剤により、前記油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の前記遊離脂肪酸が除去される、請求項15に記載の方法。
前記メタケイ酸ナトリウムは、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、無水メタケイ酸ナトリウム、又はそれらの混合物である、請求項26に記載の濾過助剤。
前記油から前記濾過助剤の少なくとも一部を分離することを更に含み、前記濾過助剤により、前記油から少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の遊離脂肪酸が除去される、請求項37に記載の方法。