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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096207
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230630BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20230630BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20230630BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230630BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G03B30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211780
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE06
2H044BE09
2H044BE17
2H044DA01
2H044DB02
2K005AA01
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA42
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】可動体の部品点数の削減および小型化を図り、光学モジュールのレンズ駆動機構に対する磁気干渉を抑制する。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1の可動体5は、光学モジュール4と、光学モジュール4の外周面に固定される第1金属部材11および第2金属部材12を備える。第1金属部材11は磁性金属であり、光学モジュール4の-X方向および-Y方向の側面に固定されて、振れ補正用駆動機構6の磁石に対するヨークとなる。第2金属部材12は非磁性の金属からなり、光学モジュール4の+X方向の側面および+Y方向の側面に固定される。光学モジュール4のレンズ駆動機構17は、光軸Lに対して第2金属部材12が位置する側(+X方向)に配置される。第1金属部材11および第2金属部材12には、ジンバルフレーム70と可動体5とを第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構71が設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、
前記光学モジュールの外周面は、前記光軸と交差する第1方向で対向する第1側面および第3側面と、前記光軸と交差し且つ前記第1方向と交差する第2方向で対向する第2側面および第4側面と、を備え、
前記可動体は、
前記第1側面に固定される第1板部、前記第2側面に固定される第2板部、および、前記第1板部と前記第2板部とを接続する第1曲げ部を備える第1金属部材と、
前記第3側面に固定される第3板部、前記第4側面に固定される第4板部、および、前記第3板部と前記第4板部とを接続する第2曲げ部を備える第2金属部材と、を備え、
前記第1接続機構は、前記可動体の前記第1軸方向の対角位置に配置される前記第1曲げ部および前記第2曲げ部に設けられ、
前記第1金属部材は、磁性金属からなり、前記第1側面および前記第2側面には、前記第1板部および前記第2板部を介して前記振れ補正用駆動機構の磁石が固定され、
前記光学モジュールは、レンズを備える移動体と、前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、
前記第2金属部材は、非磁性の金属からなり、前記レンズ駆動機構は、前記光軸に対して前記第2金属部材が位置する側に配置されることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記光学モジュールは、非磁性の金属からなる外装ケースを備え、
前記第1金属部材および前記第2金属部材は、前記外装ケースに固定されることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記移動体は、前記外装ケースに設けられた開口部と前記光軸方向に対向し、
前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記外装ケースは、前記第1軸方向で対向する第5側面および第6側面を備え、前記第5側面は前記第1側面と前記第2側面を接続し、前記第6側面は前記第3側面と前記第4側面を接続し、
前記第1曲げ部は、前記第1板部および前記第2板部の前記第5側面側の端から前記第1軸方向の一方側へ延びる一対の第1腕部と、前記第5側面の外周側において前記一対の第1腕部を接続する第1連結板部と、を有し、
前記第2曲げ部は、前記第3板部および前記第4板部の前記第6側面側の端から前記第1軸方向の他方側へ延びる一対の第2腕部と、前記第6側面の外周側において前記一対の第2腕部を接続する第2連結板部と、を有し、
前記第1連結板部および前記第2連結板部のそれぞれには、球体、前記第1軸方向に突出する凸曲面、および前記第1軸方向に凹む凹曲面の何れかが設けられ、
前記球体、前記凸曲面、および前記凹曲面の何れかと前記ジンバルフレームとが前記第1軸上において点接触することにより、前記第1接続機構が構成されることを特徴とする請求項2または3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第1金属部材および前記第2金属部材は、前記外装ケースに設けられたケース側位置決め孔に重なる金属部材側位置決め孔を備えることを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記第1板部および前記第2板部は、前記磁石を前記光軸方向に位置決めする位置決め部を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記光軸方向の一方側は、前記光学モジュールの被写体側と一致し、
前記固定体は、前記可動体を前記光軸方向の他方側から覆うベースを備え、
前記第1金属部材および前記第2金属部材の少なくとも一方は、前記光学モジュールの前記光軸方向の他方側の端部よりも前記他方側へ延びるストッパ部を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記可動体から引き出されるフレキシブルプリント基板、および、前記フレキシブルプリント基板に固定される補強板を備え、
前記第3板部と前記第4板部の一方は、前記光軸方向に切り欠いた切欠き部と、前記切欠き部の周方向の両側に設けられた一対の係止板と、前記切欠き部の前記光軸方向の縁から外周側へ延びる押さえ板と、を備え、
前記補強板は、前記切欠き部の周方向の両側に延びた両端部が前記一対の係止板に係止されることにより、前記光軸方向に立ち上がる姿勢で保持され、
前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板と共に前記光軸方向に延びてから前記押さえ板に沿って外周側へ折り曲げられていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記押さえ板の前記光軸方向の位置は、前記可動体から前記フレキシブルプリント基板が引き出される引き出し位置よりも前記可動体の揺動中心に近いことを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を揺動あるいは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール(光学モジュール)を備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する回転軸(X軸、Y軸)周りに回転可能に支持する揺動支持機構と、可動体を揺動させる揺動用磁気駆動機構を有する。可動体は、カメラモジュールを保持する樹脂製のホルダを備える。ホルダの側面には、金属製のヨークを介して揺動用磁気駆動機構の磁石が固定される。また、ホルダの対角位置には、揺動支持機構のジンバルフレームを接続するための金属部品(スラスト受け部材)が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-063971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の可動体は、カメラモジュールの外装ケースの外側に外装ケースとは別部品のホルダが配置される。従って、可動体の側面が二重に部品を重ねた構造になっている。外周側の部品であるホルダは樹脂部品であるため、強度確保のために必要な板厚が大きい。また、ホルダの対角位置には、ジンバルフレームを接続するための金属部品(スラスト受け部材)を保持する凹部があり、振れ補正駆動機構の磁石を固定する側面には、磁石に対するヨークとして機能する金属板が固定される。そのため、可動体の外形を小さくしようとしても限界がある。また、ジンバルフレームを接続するための金属部品やヨークがホルダとは別部品である。そのため、部品点数が多く、組立工数が多くなっている。
【0006】
また、特許文献1の可動体は、カメラモジュールがレンズ位置を調節するレンズ駆動機構を備えており、外装ケースの内側において、レンズ群を保持する移動体(鏡筒)が光軸方向に移動可能に保持される。ここで、カメラモジュールの外装ケースに直接、振れ補正用の磁気駆動機構の磁石を固定するとともに、外装ケースの対角位置にジンバルフレームを接続するための金属部品を固定すれば、部品点数を削減できるとともに、可動体の外形を小さくできるかもしれない。しかしながら、ヨークの機能を持たせるためには外装ケースを磁性金属とする必要があり、この場合、外装ケースとレンズ駆動機構の磁石との間で磁気干渉が発生することが問題となる。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体の部品点数の削減および小型化を図り、振れ補正機能付き光学ユニットの製品サイズを小さくするとともに、光学モジュールに設けられたレンズ駆動機構に対する磁気干渉を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、前記光学モジュールの外周面は、前記光軸と交差する第1方向で対向する第1側面および第3側面と、前記光軸と交差し且つ前記第1方向と交差する第2方向で対向する第2側面および第4側面と、を備え、前記可動体は、前記第1側面に固定される第1板部、前記第2側面に固定される第2板部、および、前記第1板部と前記第2板部とを接続する第1曲げ部を備える第1金属部材と、前記第3側面に固定される第3板部、前記第4側面に固定される第4板部、および、前記第3板部と前記第4板部とを接続する第2曲げ部を備える第2金属部材と、を備え、前記第1接続機構は、前記可動体の前記第1軸方向の対角位置に配置される前記第1曲げ部および前記第2曲げ部に設けられ、前記第1金属部材は、磁性金属からなり、前記第1側面および前記第2側面には、前記第1板部および前記第2板部を介して前記振れ補正用駆動機構の磁石が固定され、前記光学モジュールは、レンズを備える移動体と、前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記第2金属部材は、非磁性の金属からなり、前記レンズ駆動機構は、前記光軸に対して前記第2金属部材が位置する側に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、光学モジュールの外周面に取り付けた第1金属部材および第2金属部材によってジンバル機構の第1接続機構を構成できる。また、第1金属部材は、磁性金属からなり、振れ補正用駆動機構の磁石に対するヨークとして機能する。このようにすると、樹脂部品のホルダは不要となるので、可動体の外形を小さくできる。また、ジンバルフレームを接続するための金属部品を直接、光学モジュールの対角位置に取り付ける場合は、金属部品に取り付けしろが必要となるが、本発明ではヨークと金属部品とが一体化されているので、取り付けしろを省略できる。第2金属部材においても同様の構成である。従って、可動体の対角方向のサイズを小さくできる。また、部品点数を削減でき、組立工数を削減できる。さらに、レンズ駆動機構は光軸に対して第2金属部材が位置する側に配置されるが、第2金属部材は非磁性の金属であるため、第2金属部材とレンズ駆動機構との磁気干渉を避けることができる。また、第2金属部材が位置する側は、磁石および第1金属部材が配置される側とは異なる側である。従って、レンズ駆動機構と第1金属部材との磁気干渉を避けることができる。また、第1金属部材の表面に配置される磁石とレンズ駆動機構との磁気干渉を避けることができる。
【0010】
本発明において、前記光学モジュールは、非磁性の金属からなる外装ケースを備え、前記第1金属部材および前記第2金属部材は、前記外装ケースに固定されることが好ましい。外装ケースを非磁性にすることで、レンズ駆動機構の磁石が外装ケースに吸引されて移動体が動けなくなることを避けることができる。また、金属製の外装ケースを用いることにより、板厚が薄くても強度を確保できる。従って、可動体の小型化を図り、且つ、強度を確保できる。
【0011】
本発明において、前記移動体は、前記外装ケースに設けられた開口部と前記光軸方向に対向し、前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することが好ましい。このようにすると、落下等による衝撃が加わった際に、外装ケースから移動体が脱落して光学モジュールが破損することを避けることができる。
【0012】
本発明において、前記外装ケースは、前記第1軸方向で対向する第5側面および第6側面を備え、前記第5側面は前記第1側面と前記第2側面を接続し、前記第6側面は前記第3側面と前記第4側面を接続し、前記第1曲げ部は、前記第1板部および前記第2板部の前記第5側面側の端から前記第1軸方向の一方側へ延びる一対の第1腕部と、前記第5側面の外周側において前記一対の第1腕部を接続する第1連結板部と、を有し、前記第2曲げ部は、前記第3板部および前記第4板部の前記第6側面側の端から前記第1軸方向の他方側へ延びる一対の第2腕部と、前記第6側面の外周側において前記一対の第2腕部を接続する第2連結板部と、を有し、前記第1連結板部および前記第2連結板部のそれぞれには、球体、前記第1軸方向に突出する凸曲面、および前記第1軸方向に凹む凹曲面の何れかが設けられ、前記球体、前記凸曲面、および前記凹曲面の何れかと前記ジンバルフレームとが前記第1軸上において点接触することにより、前記第1接続機構が構成されることが好ましい。このようにすると、ジンバルフレームの端部を外装ケースと金属部材との隙間に挿入することによって第1接続機構を構成できるので、ジンバル機構の組立が容易である。また、可動体は対角部を面取りした形状になっており、面取りした箇所に第1接続機構が設けられているので、可動体およびジンバル機構の対角方向のサイズを小さくできる。
【0013】
本発明において、前記第1金属部材および前記第2金属部材は、前記外装ケースに設けられたケース側位置決め孔に重なる金属部材側位置決め孔を備えることが好ましい。このようにすると、第1金属部材および第2金属部材を外装ケースに溶接等により固定する際に、正確に位置決めできる。従って、第1金属部材および第2金属部材の位置精度を高めることができる。また、可動体を組み立てる際の組立容易性が高まる。
【0014】
本発明において、前記第1板部および前記第2板部は、前記磁石を前記光軸方向に位置決めする位置決め部を備えることが好ましい。このようにすると、磁石の位置精度を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記光軸方向の一方側は、前記光学モジュールの被写体側と一致し、前記固定体は、前記可動体を前記光軸方向の他方側から覆うベースを備え、前記第1金属部材および前記第2金属部材の少なくとも一方は、前記光学モジュールの前記光軸方向の他方側の端部よりも前記他方側へ延びるストッパ部を備えることが好ましい。このようにすると、落下等による衝撃が加わった際に、光学モジュールがベースに衝突することを避けることができる。
【0016】
本発明において、前記可動体から前記引き出されるフレキシブルプリント基板、および、前記フレキシブルプリント基板に固定される補強板を備え、前記第3板部と前記第4板部の一方は、前記光軸方向に切り欠いた切欠き部と、前記切欠き部の周方向の両側に設けられた一対の係止板と、前記切欠き部の前記光軸方向の縁から外周側へ延びる押さえ板と、を備え、前記補強板は、前記切欠き部の周方向の両側に延びた両端部が前記一対の係止板に係止されることにより、前記光軸方向に立ち上がる姿勢で保持され、前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板と共に前記光軸方向に延びてから前記押さえ板に沿って外周側へ折り曲げられていることが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板を可動体から引き出した位置から押さえ板の位置まで立ち上げることができ、フレキシブルプリント基板を適正な位置まで立ち上げてから外周側へ引き出すことができる。また、補強板を係止板に係止するだけでよいため、フレキシブルプリント基板を適正な位置から引き出す作業が容易である。
【0017】
本発明において、前記押さえ板の前記光軸方向の位置は、前記可動体から前記フレキシブルプリント基板が引き出される引き出し位置よりも前記可動体の揺動中心に近いことが好ましい。このようにすると、可動体が揺動する際、フレキシブルプリント基板は、揺動
中心に近い位置で撓む。これにより、フレキシブルプリント基板のばね定数を小さくすることができるので、可動体の揺動負荷を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学モジュールの外周面に取り付けた第1金属部材および第2金属部材によってジンバル機構の第1接続機構を構成できる。また、第1金属部材は、磁性金属からなり、振れ補正用駆動機構の磁石に対するヨークとして機能する。このようにすると、樹脂部品のホルダは不要となるので、可動体の外形を小さくできる。また、ジンバルフレームを接続するための金属部品を直接、光学モジュールの対角位置に取り付ける場合は、金属部品に取り付けしろが必要となるが、本発明ではヨークと金属部品とが一体化されているので、取り付けしろを省略できる。第2金属部材においても同様の構成である。従って、可動体の対角方向のサイズを小さくできる。また、部品点数を削減でき、組立工数を削減できる。さらに、レンズ駆動機構は光軸に対して第2金属部材が位置する側に配置されるが、第2金属部材は非磁性の金属であるため、第2金属部材とレンズ駆動機構との磁気干渉を避けることができる。また、磁性金属からなる第1金属部材は光軸に対してレンズ駆動機構とは反対側に配置され、レンズ駆動機構から離れている。従って、レンズ駆動機構と第1金属部材との磁気干渉を避けることができる。また、第1金属部材の表面に配置される磁石とレンズ駆動機構との磁気干渉を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3】振れ補正機能付き光学ユニットをXY平面で切断した断面図である。
図4】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
図5】可動体の斜視図である。
図6】可動体の分解斜視図である。
図7】外装ケース、第1金属部材、および第2金属部材の平面図である。
図8】外装ケース、第1金属部材、および第2金属部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXY平面で切断した断面図であり、可動体5の揺動中心Pの高さで切断した断面図である。図4は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図であり、光軸Lの位置で切断した断面図である。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子が搭載された基板3を備えた光学モジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、光学モジュール4の傾きを補正する。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4が備えるレンズ2の光軸Lと直
交する第1軸R1(図2図3参照)回りに光学モジュール4を回転させるとともに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに光学モジュール4を回転させて振れ補正を行う。本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0024】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は光軸Lと一致する。X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0025】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とし、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。X軸方向は第1方向であり、Y軸方向は第2方向である。Z軸方向は、光軸Lに沿った光軸方向である。+Z方向は、光軸方向の一方側であり、光学モジュール4の被写体側である。-Z方向は、光軸方向の他方側であり、光学モジュール4の像側である。また、第1軸R1に沿う方向を第1軸方向、第2軸R2に沿う方向を第2軸方向とする。
【0026】
図1図4に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、ジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、可動体5を揺動させる振れ補正用駆動機構6と、フレキシブルプリント基板9、10を備える。フレキシブルプリント基板9は可動体5に接続される。振れ補正用駆動機構6への給電用のフレキシブルプリント基板10は、固定体8に固定される。
【0027】
ジンバル機構7は、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動可能に支持する揺動支持機構である。可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのピッチ方向、および、Y軸回りのヨー方向に回転可能である。
【0028】
振れ補正用駆動機構6は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用駆動機構6Xと、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用駆動機構6Yを備える。図4に示すように、本形態では、第1振れ補正用駆動機構6Xは、可動体5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用駆動機構6Yは、可動体5の-X方向に配置される。
【0029】
(可動体)
図2に示すように、可動体5は、光学モジュール4と、光学モジュール4の外周面に固定される第1金属部材11および第2金属部材12を備える。光学モジュール4は、第1金属部材11および第2金属部材12が固定される外装ケース13と、外装ケース13に設けられた開口部13aから+Z方向に突出する鏡筒14を備えており、鏡筒14にレンズ2が保持される。光学モジュール4の-Z方向の端部には、基板3が配置される。フレキシブルプリント基板9は、撮像素子が搭載される基板3に接続され、光学モジュール4の-Z方向の端部から+X方向に引き出される。
【0030】
図3に示すように、可動体5の-Y方向の側面には、第1磁石61Xが配置される。また、可動体5の-X方向の側面には、第2磁石61Yが配置される。第1磁石61Xおよび第2磁石61Yは、Z軸方向に分極着磁されている。第1磁石61Xおよび第2磁石61Yは、第1金属部材11を介して外装ケース13の側面に固定される。外装ケース13は非磁性の金属からなり、第1金属部材11は磁性金属からなる。従って、第1金属部材11は、第1磁石61Xおよび第2磁石61Yに対するヨークとして機能する。一方、第
2金属部材12は、非磁性の金属からなる。
【0031】
(固定体)
図2図4に示すように、固定体8は、可動体5の外周側を囲むケース20と、ケース20に-Z方向から固定されるベース21と、ケース20に+Z方向から被さるカバー22を備える。ケース20は樹脂製であり、ベース21およびカバー22は金属製である。ケース20は、ベース21とカバー22との間に収容される。図1図4に示すように、可動体5およびジンバル機構7の一部は、カバー22の開口部22aから+Z方向に突出している。
【0032】
ケース20は、可動体5を囲む枠部23と、枠部23から+X方向に延びる配線収容部24を備える。枠部23は、可動体5の+X方向においてY軸方向に延びる第1側壁25を備える。図4に示すように、第1側壁25に設けられた切欠き部26から+X方向に引き出されたフレキシブルプリント基板9は、ベース21と配線収容部24との間に収容され、配線収容部24から-Y方向に引き出されている(図1参照)。
【0033】
図3に示すように、枠部23の-Y方向の側面には、第1コイル62Xが配置される。また、枠部23の-X方向の側面には、第2コイル62Yが配置される。図2に示すように、第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、枠部23に設けられたコイル配置穴27、28に配置される。第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、周方向に長い長円形の空芯コイルである。第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、フレキシブルプリント基板10に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板10は、枠部23の-X方向の側面および-Y方向の側面に沿って引き回されている。
【0034】
(ジンバル機構)
図2図3に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、第1接続機構71と、第2接続機構72を備える。第1接続機構71は、可動体5の第1軸方向の対角位置において、ジンバルフレーム70と可動体5とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、固定体8における枠部23の第2軸方向の対角位置において、ジンバルフレーム70とケース20とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点である揺動中心P(図3図4参照)を中心に揺動可能となる。
【0035】
ジンバルフレーム70は、金属製の板バネからなる。図2に示すように、ジンバルフレーム70は、光学モジュール4の鏡筒14が配置される開口部73を備えたジンバルフレーム本体部74と、ジンバルフレーム本体部74から第1軸方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第1延設部75と、ジンバルフレーム本体部74から第2軸方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第2延設部76とを備える。
【0036】
第1接続機構71は、可動体5の第1軸方向の対角部分に設けられた一対の接点部77と、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第1延設部75によって構成される。後述するように、第1接続機構71では、一対の接点部77の一方は第1金属部材11に設けられ、一対の接点部77の他方は第2金属部材12に設けられている。各接点部77は、それぞれ、金属製の球体79を備える(図3参照)。一方、各第1延設部75の先端には、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面が設けられている。第1金属部材11と光学モジュール4の外周面との隙間、および、第2金属部材12と光学モジュール4の外周面との隙間にそれぞれ第1延設部75を挿入して、第1軸R1上において凹曲面と球体79とを点接触させることにより、第1接続機構71が構成される。
【0037】
第2接続機構72は、枠部23の第2軸方向の対角部分に固定される一対のジンバルフ
レーム受け部材29と、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第2延設部76によって構成される。各ジンバルフレーム受け部材29は、球体30を備える。一方、各第2延設部76は、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面を備えている。各ジンバルフレーム受け部材29とケース20との隙間に第2延設部76を挿入して、第2軸R2上において凹曲面に凸曲面(球体30の表面)を点接触させることにより、第2接続機構72が構成される。
【0038】
(振れ補正用駆動機構)
ジンバル機構7が構成されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1磁石61Xとケース20に固定された第1コイル62XとがY軸方向に対向し、第1振れ補正用駆動機構6Xを構成する(図3参照)。従って、第1コイル62Xへの給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。また、可動体5の-X方向の側面に固定された第2磁石61Yとケース20に固定された第2コイル62YとがX軸方向に対向し、第2振れ補正用駆動機構6Yを構成する(図3参照)。従って、第2コイル62Yへの給電により、可動体5はY軸回りに回転する。振れ補正用駆動機構6は、第1振れ補正用駆動機構6Xによる可動体5のX軸回りの回転と、第2振れ補正用駆動機構6Yによる可動体5のY軸回りの回転とを合成して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0039】
(光学モジュール)
図5は、可動体5の斜視図である。図6は、可動体5の分解斜視図である。図7は、外装ケース13、第1金属部材11、および第2金属部材12の平面図である。図8は、外装ケース13、第1金属部材11、および第2金属部材12の分解斜視図である。図4図6に示すように、光学モジュール4は、外装ケース13と、外装ケース13の内側に固定される支持体15と、レンズ2および鏡筒14を備える移動体16と、移動体16を支持体15に対して光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17を備える。支持体15の-Z方向の端部には、基板3が配置される。
【0040】
外装ケース13は、支持体15の外周側を囲む胴部18と、胴部18の+Z方向の端から内周側へ延びる端板部19を備える。端板部19の中央には、開口部13aが設けられている。図4図5に示すように、開口部13aの内周縁は、移動体16の外周部分と光軸方向に対向する。従って、端板部19は、移動体16が開口部13aから+Z方向に飛び出すことを規制する位置規制部として機能している。
【0041】
レンズ駆動機構17は磁気駆動機構である。図4図6に示すように、レンズ駆動機構17は、移動体16に配置される磁石171と、支持体15に配置されるコイル172を備える。支持体15の+X方向の側面には、コイル172に接続される基板173が配置される。磁石171には、コイル172とは反対側にヨーク174が重ねられている。磁石171およびコイル172は、Y軸方向に延びており、X軸方向に対向する。磁石171は、Z軸方向に分極着磁される。本形態では、光学モジュール4の外装ケース13は、上記のように非磁性の金属からなる。従って、レンズ駆動機構17の磁石171が外装ケース13に吸着されることを避けることができる。
【0042】
レンズ駆動機構17は、光学モジュール4の光軸Lに対して+X方向に配置される。一方、振れ補正用駆動機構6は、可動体5の-X方向の側面および-Y方向の側面に配置されており、光軸Lに対して-X方向およびY方向に配置される。従って、レンズ駆動機構17と振れ補正用駆動機構6は、光軸Lに対して異なる側に配置される。
【0043】
図5に示すように、光学モジュール4は、第1軸方向および第2軸方向の対角部分が面取りされており、Z軸方向から見て8角形である。光学モジュール4の外周面は、X軸方向(第1方向)に対向する第1側面41および第3側面43と、Y軸方向(第2方向)に
対向する第2側面42および第4側面44を備える。第1側面41は-X方向を向いており、第2側面42は-Y方向を向いており、第3側面43は+X方向を向いており、第4側面44は+Y方向を向いている。また、光学モジュール4の外周面は、第1軸方向に対向する第5側面45および第6側面46と、第2軸方向に対向する第7側面47および第8側面48を備える。第5側面45は、第1側面41と第2側面42との間に位置する。第6側面46は、第3側面43と第4側面44の間に位置する。
【0044】
(金属部材)
図5図6図7図8に示すように、第1金属部材11は、光学モジュール4の第1側面41、第5側面45、および第2側面42の外周側に配置される。第1金属部材11は、第1側面41に固定される第1板部31と、第2側面42に固定される第2板部32と、第1板部31と第2板部32とを接続する第1曲げ部33を備える。第1曲げ部33は、可動体5の第1軸方向の一方側の対角位置において、径方向外側へ突出する形状に曲げられている。
【0045】
第1曲げ部33は、第1板部31および第2板部32の第5側面45側の端から径方向外側へ向かって第1軸方向の一方側に略平行に延びる一対の第1腕部34、35と、一対の第1腕部34、35の先端を接続する第1連結板部36を備える。第1連結板部36は、第2軸方向に直線状に延びており、第5側面45から離間している。
【0046】
第1金属部材11は、第1板部31が第1磁石61Xに対するヨークとして機能し、第2板部32が第2磁石61Yに対するヨークとして機能する。第1板部31および第2板部32の-Z方向の端部は、それぞれ、振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)を光軸方向に位置決めする位置決め部37を備える。位置決め部37は、第1板部31および第2板部32の-Z方向の端部の中央部分を外周側に曲げた曲げ部である。また、第1板部31および第2板部32は、それぞれ、振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)を周方向に位置決めする位置決め部38を備える。第1板部31の位置決め部38は、第1板部31の+Y方向の端部を外周側に曲げた曲げ部である。第2板部32の位置決め部38は、第2板部32の+X方向の端部を外周側に曲げた曲げ部である。
【0047】
第1金属部材11が配置される第1側面41および第2側面42は、光学モジュール4の-X方向および-Y方向の側面であり、レンズ駆動機構17に対して光軸Lとは反対側の側面である。すなわち、磁性金属からなる第1金属部材11は、レンズ駆動機構17から遠い側の側面に取り付けられている。
【0048】
第2金属部材12は、光学モジュール4の第3側面43、第6側面46、および第4側面44の外周側に配置される。第2金属部材12は、第3側面43に固定される第3板部51と、第3側面43に固定される第4板部52と、第3板部51と第4板部52とを接続する第2曲げ部53を備える。第2曲げ部53は、可動体5の第1軸方向の対角位置において、径方向外側へ突出する形状に曲げられている。
【0049】
第2曲げ部53は、第3板部51および第4板部52の第6側面46側の端から径方向外側に向かって第1軸方向の他方側に略平行に延びる一対の第2腕部54、55と、一対の第2腕部54、55の先端を接続する第2連結板部56を備える。第2連結板部56は、第2軸方向に直線状に延びており、第6側面46から離間している。
【0050】
第2金属部材12の第3板部51は、フレキシブルプリント基板9が引き出される第3側面43に配置される。第3板部51は、Y軸方向の中央部分を+Z方向に切り欠いた切欠き部57と、切欠き部57の周方向の両側(Y軸方向の両側)に配置される一対の係止
板58と、切欠き部57の+Z方向の縁から+X方向に延びる押さえ板59を備える。一対の係止板58は、それぞれ、第3板部51の+X方向に位置し、第3板部51のY軸方向の両端から+X方向に延びる接続部60を介して第3板部51に接続される。第3板部51からY軸方向の両側に延ばした延出部を+X方向に曲げてから第3板部51のY軸方向に中央に向かって折り返すことにより、第3板部51とX軸方向に対向する位置に一対の係止板58が配置される。
【0051】
第1金属部材11の第1連結板部36、および、第2金属部材12の第2連結板部56には、ジンバル機構7と可動体5とを接続する第1接続機構71の接点部77が設けられている。本形態では、第1連結板部36および第2連結板部56において第1軸R1上に設けられた穴78に金属製の球体79を溶接する。これにより、接点部77が構成される。接点部77において、球体79の外周面は、径方向内側に向かう凸曲面を構成する。
【0052】
第1金属部材11および第2金属部材12は、溶接により外装ケース13に固定される。第1金属部材11および第2金属部材12は、それぞれ、外装ケース13に設けられたケース側位置決め孔81に重なる金属部材側位置決め孔82を備える。ケース側位置決め孔81は、第1側面41、第2側面42、第3側面43、第4側面44の各面における-Z方向の端部にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。第1金属部材11には、第1板部31と第2板部32のそれぞれに、ケース側位置決め孔81と重なる金属部材側位置決め孔82が1箇所ずつ設けられている。また、第2金属部材12には、第3板部51と第4板部52のそれぞれに、ケース側位置決め孔81と重なる金属部材側位置決め孔82が1箇所ずつ設けられている。
【0053】
第1板部31、第2板部32、および第4板部52には、金属部材側位置決め孔82の周方向の両側に1箇所ずつ貫通孔83が設けられている。第1金属部材11は、+Z方向の縁および貫通孔83の縁が外装ケース13の外周面に溶接される。また、第2金属部材12は、+Z方向の縁および貫通孔83の縁が外装ケース13の外周面に溶接されるとともに、フレキシブルプリント基板9を引き出すための切欠き部57の縁が外装ケース13の外周面に溶接される。
【0054】
第1金属部材11および第2金属部材12の-Z方向の端縁には、-Z方向に延びるストッパ部84が設けられている。第1金属部材11において、ストッパ部84は、第1板部31の-Z方向の端部に設けられた位置決め部37の両側、および、第2板部32の-Z方向の端部に設けられた位置決め部37の両側の4箇所に設けられている。また、第2金属部材12において、ストッパ部84は、第3板部51の-Z方向の端部におけるY軸方向の両端、および、第4板部52の-Z方向の端部におけるX軸方向の両端の4箇所に設けられている。ストッパ部84は、光学モジュール4の-Z方向の端部に配置される基板3よりも-Z方向の位置まで延びており、光学モジュール4を-Z方向から覆うベース21と対向する。
【0055】
(フレキシブルプリント基板)
図2図4に示すように、フレキシブルプリント基板9は、可動体5の底部から+X方向に引き出される引き出し部91、引き出し部91から+Z方向に立ち上がる立ち上がり部92、立ち上がり部92から+X方向へ延びる平面部93、平面部93から-Y方向へ延びて固定体8の外部へ引き出される接続部94を備える。接続部94は、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器本体に接続される。
【0056】
フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92には、Y軸方向に延びる補強板90が固定される。補強板90のY軸方向の両端部は、光学モジュール4の第3側面43に配置される第3板部51に設けられた切欠き部57の周方向の両側に延びている。図5に示す
ように、補強板90のY軸方向の両端部を第2金属部材12に設けられた一対の係止板58と第3板部51との間に挿入すると、+Z方向に曲げられたフレキシブルプリント基板9が元の形状に戻ろうとする復帰力により、補強板90が係止板58に押し付けられる。これにより、補強板90および立ち上がり部92は、光軸方向に延びる姿勢に保持される。また、補強板90の+Z方向において光軸方向に延びるフレキシブルプリント基板9が押さえ板59に当たって+X方向に曲げられる。これにより、平面部93は、押さえ板59の高さに位置決めされる。
【0057】
フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92は、Y軸方向の幅が補強板90よりも広い。補強板90は導電性の金属からなり、Y軸方向の両端部を立ち上がり部92の表面に半田付けすることにより、立ち上がり部92に固定される。補強板90を立ち上がり部92に半田付けすることにより、フレキシブルプリント基板9に設けられたGND配線と補強板90とが電気的に接続される。上記のように、補強板90は第2金属部材12の係止板58に押し付けられるため、補強板90を介して第2金属部材12とフレキシブルプリント基板9のGND配線とが電気的に接続される。従って、第2金属部材12および補強板90を介して、フレキシブルプリント基板9が接地される。
【0058】
本形態では、フレキシブルプリント基板9において、引き出し部91から平面部93までの部分は、第1層901、第2層902、第3層903からなる3層の積層構造である(図4参照)。なお、積層構造の層数は3に限定されるものではない。第1層901、第2層902、第3層903はいずれも両面に配線が形成される両面基板であるが、片面側のみに配線が形成される構成であってもよい。また、各層は他の層に接着されていない非接着領域を備える。例えば、平面部93は、非接着領域である。
【0059】
フレキシブルプリント基板9は、固定体8に固定される被固定部95を備える。本形態では、平面部93と接続部94との間に、被固定部95が設けられている。被固定部95は、例えば、リジッド基板からなる。被固定部95を配線収容部24に固定することにより、フレキシブルプリント基板9が固定体8に固定される。
【0060】
図4に示すように、平面部93は、第2金属部材12に設けられた押さえ板59により、可動体5の揺動中心Pを通り光軸Lに対して垂直な仮想平面V上に位置決めされる。図2に示すように、平面部93は、仮想平面V内において湾曲する面内湾曲部96を備える。面内湾曲部96は、Y軸方向に1回逆向きに折り返されている。
【0061】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、固定体8と、固定体8に対して可動体5を光学モジュール4の光軸Lと交差する第1軸R1周りに揺動可能に支持すると共に、可動体5を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸R2周りに揺動可能に支持するジンバル機構7と、可動体5を第1軸R1周りおよび第2軸R2周りに揺動させる振れ補正用駆動機構6を有する。ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、可動体5とジンバルフレーム70とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構71と、固定体8とジンバルフレーム70とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構72を備える。光学モジュール4の外周面は、光軸Lと交差する第1方向で対向する第1側面41および第3側面43と、光軸Lと交差し且つ第1方向と交差する第2方向で対向する第2側面42および第4側面44を備える。可動体5は、第1側面41に固定される第1板部31、第2側面42に固定される第2板部32、および、第1板部31と第2板部32とを接続する第1曲げ部33を備える第1金属部材11を有する。また、可動体5は、第3側面43に固定される第3板部51、第4側面44に固定される第4板部52、および、第3板部51と第4板部52とを接続する第2曲げ部53を備える第2金属部材12を有する。第1接続機構71は、可動体5
の第1軸方向の対角位置に配置される第1曲げ部33および第2曲げ部53に設けられる。第1金属部材11は、磁性金属からなり、第1側面41には、第1板部31を介して第1磁石61Xが固定され、第2側面42には、第2板部32を介して第2磁石61Yが固定される。光学モジュール4は、レンズ2を備える移動体16と、移動体16を光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17を備える。第2金属部材12は非磁性の金属からなり、レンズ駆動機構17は、光軸Lに対して第2金属部材12が位置する側(+X方向)に配置される。
【0062】
本形態では、このように、光学モジュール4の外周面に取り付けた第1金属部材11および第2金属部材12によってジンバル機構7の第1接続機構71を構成できる。また、第1金属部材11は、磁性金属からなり、振れ補正用駆動機構6の第1磁石61Xまたは第2磁石61Yに対するヨークとして機能する。従って、従来の樹脂部品のホルダは不要であるため、可動体5の外形を小さくできる。また、ジンバルフレーム70を接続するための金属部品を直接、光学モジュール4の対角位置に取り付ける場合は、金属部品に対角方向の側面(第5側面45、第6側面46)に当接する取り付けしろが必要となるが、本形態ではヨークと金属部品とが一体化されているので、取り付けしろを省略できる。第2金属部材12においても同様の構成である。従って、可動体5の対角方向のサイズを小さくできる。また、部品点数を削減でき、組立工数を削減できる。
【0063】
さらに、本形態では、レンズ駆動機構17は光軸Lに対して+X方向に配置され、第2金属部材12が位置する側に配置されるが、第2金属部材12は非磁性の金属であるため、レンズ駆動機構17との磁気干渉を避けることができる。従って、レンズ駆動機構17の磁石171が第2金属部材12に吸着されて移動体16を動かせなくなることを回避できる。また、+X方向は、第1金属部材11が配置される側(-X方向、-Y方向)とは異なる側である。従って、レンズ駆動機構17と第1金属部材11とが離れているので、レンズ駆動機構17と第1金属部材11との磁気干渉を避けることができる。また、第1金属部材11に固定される磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)とレンズ駆動機構17との磁気干渉を避けることができる。なお、レンズ駆動機構17は、光軸Lに対して+Y方向に配置されていてもよいし、+X方向と+Y方向の中間の方向に配置されていてもよい。
【0064】
本形態の光学モジュール4は、非磁性の金属からなる外装ケース13を備え、第1金属部材11および第2金属部材12は、外装ケース13に固定される。外装ケース13を非磁性にすることで、レンズ駆動機構17の磁石171が外装ケース13に吸着されて移動体16を動かせなくなることを避けることができる。また、金属製の外装ケース13を用いることにより、板厚が薄くても強度を確保できる。従って、可動体5の小型化を図り、且つ、強度を確保できる。
【0065】
本形態の光学モジュール4は、オートフォーカス機構を備えており、レンズ2を備えた移動体16を光軸方向に移動させる。移動体16は、外装ケース13に設けられた開口部13aと光軸方向に対向しており、開口部13aの縁は、移動体16に対して光軸方向に対向して移動体16が開口部13aから飛び出すことを規制する位置規制部として機能する。従って、落下等による衝撃が加わった際に、外装ケース13から移動体16が飛び出して光学モジュール4が壊れることを避けることができる。
【0066】
本形態では、光学モジュール4の外装ケース13は、光軸方向から見て8角形であり、第1軸方向で対向する第5側面45および第6側面46を備える。第5側面45は第1側面41と第2側面42を接続し、第6側面46は第3側面43と第4側面44を接続する。第1曲げ部33は、第1板部31および第2板部32の第5側面45側の端から第1軸方向の一方側へ延びる一対の第1腕部34、35と、第5側面45の外周側において一対
の第1腕部34、35を接続する第1連結板部36を有する。第2曲げ部53は、第3板部51および第4板部52の第6側面46側の端から第1軸方向の他方側へ延びる一対の第2腕部54、55と、第6側面46の外周側において一対の第2腕部54、55を接続する第2連結板部56を有する。第1連結板部36および第2連結板部56のそれぞれには球体79が固定され、球体79とジンバルフレーム70の第1延設部75に設けられた凹曲面とが第1軸R1上において点接触することにより、第1接続機構71が構成される。従って、第1延設部75を内周側に撓ませて外装ケース13の側面と金属部材との間に挿入することによって第1接続機構71を構成できるので、ジンバル機構7の組立が容易である。また、可動体5は対角部を面取りした形状になっており、面取りした箇所に第1接続機構71が設けられているので、可動体5およびジンバル機構7の対角方向のサイズを小さくできる。
【0067】
なお、本形態では、第1連結板部36および第2連結板部56の穴に球体79を溶接することによりジンバルフレーム70の凹曲面に点接触する接点部77を構成しているが、接点部77は、プレス加工により、第1連結板部36および第2連結板部56に第1軸方向に突出する凸曲面を形成したものであってもよい。また、本形態では、第1連結板部36および第2連結板部56に設けた球体79の外周面(凸曲面)とジンバルフレーム70に設けた凹曲面とを点接触させているが、凹凸を逆にしてもよい。すなわち、第1連結板部36および第2連結板部56に設けた第1軸方向に凹む凹曲面と、ジンバルフレーム70に設けた第1軸方向に突出する凸曲面とを点接触させる構成としてもよい。ジンバルフレーム70に凸曲面を設ける場合は、第1延設部75および第2延設部76の先端に金属製の球体を溶接する構成としてもよい。
【0068】
本形態では、第1金属部材11および第2金属部材12は、外装ケース13に設けられたケース側位置決め孔81に重なる金属部材側位置決め孔82を備える。従って、第1金属部材11および第2金属部材12を外装ケース13に固定する際に、位置決め作業が容易であり、且つ、正確に位置決めできる。また、第1板部31および第2板部32には、それぞれ、振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)を光軸方向に位置決めする位置決め部37が設けられている。従って、第1磁石61Xまたは第2磁石61Yの位置精度が高い。
【0069】
本形態では、第1金属部材11および第2金属部材12は、光学モジュール4の-Z方向の端部よりも-Z方向へ延びるストッパ部84を備える。従って、落下等による衝撃が加わった際に、光学モジュール4の底部に配置される基板3が、可動体5を-Z方向から覆うベース21に衝突して破損することを回避できる。
【0070】
本形態では、フレキシブルプリント基板9は可動体5の+X方向の側面(第3側面43)から引き出されており、第3側面43に固定される第3板部51は、光軸方向に切り欠いた切欠き部57と、切欠き部57の周方向の両側に設けられた一対の係止板58と、切欠き部57の光軸方向の縁から外周側へ延びる押さえ板59を備える。従って、フレキシブルプリント基板9を切欠き部57から引き出すことができる。また、フレキシブルプリント基板9に固定された補強板90のY軸方向の両端部を一対の係止板58で係止すれば、補強板90は光軸方向に立ち上がる姿勢で保持される。その結果、フレキシブルプリント基板9は、補強板90と共に光軸方向に延びてから押さえ板59によって曲げられて+X方向へ引き出される。従って、フレキシブルプリント基板9を適正な位置まで立ち上げてから外周側へ引き出すことができる。また、補強板90を係止板58に係止する作業は容易であるため、フレキシブルプリント基板9を適正な位置まで立ち上げて引き出す作業が容易である。なお、フレキシブルプリント基板9を可動体5から+Y方向に引き出す場合は、第4板部52に同様の保持構造(切欠き部57、一対の係止板58、押さえ板59)を設ければよい。
【0071】
本形態では、押さえ板59の光軸方向の位置は、可動体5の揺動中心Pの光軸方向の位置と一致する。従って、フレキシブルプリント基板9を揺動中心Pの高さから引き出すことができるため、フレキシブルプリント基板9の平面部93が撓むとき、揺動中心Pを含む仮想平面V上で撓む。よって、フレキシブルプリント基板9のばね定数が小さいので、可動体5の揺動負荷が小さい。なお、押さえ板59の光軸方向の位置は、可動体5からフレキシブルプリント基板9が引き出される引き出し位置よりも可動体5の揺動中心Pに近い位置であればよい。このようにすると、可動体5が揺動する際、フレキシブルプリント基板9は揺動中心Pに近い位置で撓むため、ばね定数が小さく、可動体5の揺動負荷が小さい。
【0072】
(他の実施形態)
(1)上記形態は、光学モジュール4がレンズ駆動機構17を備えており、レンズ位置を調節可能なオートフォーカス機能を備えているものであったが、本発明は、レンズ駆動機構17を備えていない光学モジュールを備える振れ補正機能付き光学ユニットに適用可能である。この場合は、光学モジュールの鏡筒が固定されるため、鏡筒が脱落しないようにするための位置規制部を外装ケースに設ける必要がない。従って、光学モジュールは、金属製の外装ケースを備えていなくてもよい。外装ケースを省略した場合には、可動体をさらに小型化することが可能である。
【0073】
(2)上記形態は、可動体5をピッチング方向およびヨーイング方向に揺動させて2軸回りの振れ補正を行う形態であったが、本発明は、可動体5を3軸回りに揺動させる振れ補正機能付き光学ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…基板、4…光学モジュール、5…可動体、6…振れ補正用駆動機構、6X…第1振れ補正用駆動機構、6Y…第2振れ補正用駆動機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9、10…フレキシブルプリント基板、11…第1金属部材、12…第2金属部材、13…外装ケース、13a…開口部、14…鏡筒、15…支持体、16…移動体、17…レンズ駆動機構、18…胴部、19…端板部、20…ケース、21…ベース、22…カバー、22a…開口部、23…枠部、24…配線収容部、25…側壁、26…切欠き部、27、28…コイル配置穴、29…ジンバルフレーム受け部材、30…球体、31…第1板部、32…第2板部、33…第1曲げ部、34、35…第1腕部、36…第1連結板部、37、38…位置決め部、41…第1側面、42…第2側面、43…第3側面、44…第4側面、45…第5側面、46…第6側面、47…第7側面、48…第8側面、51…第3板部、52…第4板部、53…第2曲げ部、54、55…第2腕部、56…第2連結板部、57…切欠き部、58…係止板、59…押さえ板、60…接続部、61X…第1磁石、61Y…第2磁石、62X…第1コイル、62Y…第2コイル、70…ジンバルフレーム、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…開口部、74…ジンバルフレーム本体部、75…第1延設部、76…第2延設部、77…接点部、78…穴、79…球体、81…ケース側位置決め孔、82…金属部材側位置決め孔、83…貫通孔、84…ストッパ部、90…補強板、91…引き出し部、92…立ち上がり部、93…平面部、94…接続部、95…被固定部、96…面内湾曲部、171…磁石、172…コイル、173…基板、174…ヨーク、901…第1層、902…第2層、903…第3層、L…光軸、P…可動体の揺動中心、R1…第1軸、R2…第2軸、V…仮想平面
図1
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図8