(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096208
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230630BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230630BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20230630BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230630BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G02B7/04 E
G02B7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211781
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE06
2H044BE09
2H044BE17
2H044DA01
2H044DB02
2K005AA01
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA42
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】可動体の小型化を図り、振れ補正機能付き光学ユニットの外形を小さくする。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5を揺動させて振れ補正を行う。可動体5は、光学モジュール4の外装ケースを兼ねる金属製のホルダ11を備える。ホルダ11には、第1軸方向の対角位置を胴部12から端板部13まで光軸方向に切り欠いた一対の第1切欠き部51、52が設けられている。第1切欠き部51、52の周方向の両側の縁から延びる一対の第1腕部35によって第1ジンバルフレーム受け部材77が保持される。第1ジンバルフレーム受け部材77は、ジンバルフレーム70を第1軸回りに回転可能に支持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、
前記可動体は、前記光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダを備え、
前記ホルダは、前記光学モジュールの外周側を囲む胴部と、前記胴部の前記光軸方向の一方側の端から内周側へ延びる端板部と、を備え、
前記胴部の外周面に前記振れ補正用駆動機構の磁石またはコイルが固定され、
前記ホルダには、前記第1軸方向の両側の対角位置を前記胴部から前記端板部まで前記光軸方向に切り欠いた一対の第1切欠き部が設けられ、
前記ホルダの前記第1軸方向の対角位置には、前記第1切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の第1腕部に保持されるジンバルフレーム受け部材が配置され、
前記ジンバルフレームが前記ジンバルフレーム受け部材によって前記第1軸回りに回転可能に支持されることにより、前記第1接続機構が構成されることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記ホルダには、前記第2軸方向の対角位置を前記胴部から前記端板部まで前記光軸方向に切り欠いた一対の第2切欠き部が設けられ、
前記第2切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の第2腕部の先端同士が接合されていることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記ジンバルフレーム受け部材は球体を備え、
前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム本体部と、前記ジンバルフレーム本体部における前記第1軸方向の対角位置において前記光軸方向に延びる一対の第1延設部を備え、
前記第1延設部には、前記第1軸方向に凹む凹曲面が設けられ、前記凹曲面に前記球体が点接触することを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記ジンバルフレーム受け部材は、
前記球体が固定される板部と、
前記板部の前記光軸方向の一方側の端から周方向の両側へ延びて前記一対の第1腕部に前記光軸方向の一方側から係止される一対の第1係止部と、
前記板部の前記光軸方向の他方側の端から周方向の両側へ延びて前記一対の第1腕部に前記光軸方向の他方側から係止される一対の第2係止部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記一対の腕部の先端には、前記第1切欠き部の周方向の中央へ向かって延びる一対の屈曲部が設けられ、
前記ジンバルフレーム受け部材は、前記一対の屈曲部に内周側から当接することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記光学モジュールは、前記胴部の内側に配置される支持体と、レンズを備える移動体と、前記支持体に対して前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、
前記レンズは、前記光軸方向の一方側から見て前記端板部に設けられた開口部の内側に位置し、
前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記胴部は、前記磁石を前記光軸方向に位置決めする位置決め部を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記固定体は、前記可動体を前記光軸方向の他方側から覆うベースを備え、
前記胴部の前記光軸方向の他方側の端部は、前記光学モジュールの前記光軸方向の他方側の端部よりも前記他方側へ延びるストッパ部を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記可動体から外周側へ引き出される引き出し部を備えるフレキシブルプリント基板、および、前記フレキシブルプリント基板に固定される補強板を備え、
前記ホルダは、前記胴部に対して外周側から対向するとともに周方向に離間した一対の係止板と、前記引き出し部に対して光軸方向に離間した位置において前記胴部から外周側へ延びる押さえ板と、を備え、
前記補強板は、周方向の両側に延びた両端部が前記一対の係止板に内周側から当接することにより、前記光軸方向に立ち上がる姿勢で保持され、
前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板に沿って前記光軸方向に延びてから前記押さえ板に沿って外周側へ折り曲げられていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記ホルダは、前記胴部を光軸方向に切り欠いた切欠き部と、前記切欠き部の周方向の両側において前記胴部の前記光軸方向の端から外周側へ屈曲した一対の接続部を備え、
前記一対の係止板のそれぞれは、前記接続部の先端から前記光軸方向に延びていることを特徴とする請求項9に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項11】
前記胴部は、前記可動体の側面を構成する側板を備え、前記側板を前記光軸方向に切り欠いた切欠き部が設けられ、
前記ホルダは、前記側板の周方向の両側の縁から外周側へ屈曲した一対の接続部を備え、
前記一対の係止板のそれぞれは、前記接続部の先端から前記側板の周方向の中央へ向かって周方向に延びていることを特徴とする請求項9に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項12】
前記押さえ板は、前記胴部から外周側へ延びる延出部の中央に設けられ、
前記一対の係止板は、前記押さえ板の周方向の両側において、前記延出部の先端から前記光軸方向に延びていることを特徴とする請求項9に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項13】
前記押さえ板の前記光軸方向の位置は、前記可動体から前記フレキシブルプリント基板が引き出される引き出し位置よりも前記可動体の揺動中心に近いことを特徴とする請求項9から12の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項14】
前記係止板および前記補強板は、少なくとも表面が導電性の金属からなり、
前記補強板は、前記フレキシブルプリント基板に半田付けされており、
前記フレキシブルプリント基板に設けられたGND配線が前記補強板および前記係止板を介して前記可動体に電気的に接続されることを特徴とする請求項9から13の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項15】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、
前記可動体は、前記光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダを備え、
前記光学モジュールは、支持体と、レンズを備える移動体と、前記支持体に対して前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、
前記ホルダは、前記支持体の外周側を囲む胴部と、前記胴部の前記光軸方向の一方側の端から内周側へ延びる端板部と、を備え、前記胴部の外周面に前記振れ補正用駆動機構の磁石またはコイルが固定され、
前記レンズは、前記光軸方向の一方側から見て前記端板部に設けられた開口部の内側に位置し、
前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を揺動あるいは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュール(光学モジュール)を備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する回転軸(X軸、Y軸)周りに回転可能に支持する揺動支持機構と、可動体を揺動させる揺動用磁気駆動機構を有する。可動体は、カメラモジュールを保持する樹脂製のホルダを備える。ホルダの側面には、金属製のヨークを介して揺動用磁気駆動機構の磁石が固定される。また、ホルダの対角位置には、揺動支持機構のジンバルフレームを接続するための金属部品(ジンバルフレーム受け部材)が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の可動体は、カメラモジュールの外装ケースの外側に外装ケースとは別部品のホルダが配置される。従って、可動体の側面が二重に部品を重ねた構造になっている。外周側の部品であるホルダは樹脂部品であるため、強度確保のために必要な板厚が大きい。また、ホルダの対角位置には、ジンバルフレームを接続するための金属部品(ジンバルフレーム受け部材)を保持する凹部があり、振れ補正用の磁気駆動機構の磁石を固定する側面には、磁石に対するヨークとして機能する金属板がホルダに重ねて固定される。そのため、可動体の外形を小さくしようとしても限界がある。また、ジンバルフレームを接続するための金属部品や磁石に対するヨークがホルダとは別部品である。そのため、部品点数が多く、組立工数が多くなっている。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、可動体の小型化を図り、振れ補正機能付き光学ユニットの外形を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、前記可動体は、前記光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダを備え、前記ホルダは、前記光学モジュール
の外周側を囲む胴部と、前記胴部の前記光軸方向の一方側の端から内周側へ延びる端板部と、を備え、前記胴部の外周面に前記振れ補正用駆動機構の磁石またはコイルが固定され、前記ホルダには、前記第1軸方向の両側の対角位置を前記胴部から前記端板部まで前記光軸方向に切り欠いた一対の第1切欠き部が設けられ、前記ホルダの前記第1軸方向の対角位置には、前記第1切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の第1腕部に保持されるジンバルフレーム受け部材が配置され、前記ジンバルフレームが前記ジンバルフレーム受け部材によって前記第1軸回りに回転可能に支持されることにより、前記第1接続機構が構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダの第1軸方向の対角部に第1切欠き部が設けられ、第1切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の腕部にジンバルフレーム受け部材が保持される。ジンバルフレーム受け部材は、ジンバルフレームを第1軸回りに回転可能に支持しており、ジンバル機構の第1接続機構を構成する。このようにすると、従来のように外装ケースとホルダの2部材を重ねていた部分を1部材で構成できるので、部品点数を削減できるとともに、可動体の外形を小さくできる。また、金属製のホルダは、強度を確保しつつ、板厚を小さくできるので、可動体の外形をより小さくできる。さらに、ホルダの対角部を端板部まで大きく切り欠いているので、ジンバルフレーム受け部材を内周側に配置できる。従って、可動体の対角方向のサイズを小さくできる。よって、振れ補正機能付き光学ユニットの外形を小さくできる。
【0009】
本発明において、前記ホルダには、前記第2軸方向の対角位置を前記胴部から前記端板部まで前記光軸方向に切り欠いた一対の第2切欠き部が設けられ、前記第2切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の第2腕部の先端同士が接合されていることが好ましい。このように、第2軸方向の対角部分を第1軸方向の対角部分と同様に端板部まで大きく切り欠くことにより、ホルダを製造する際、金属板の曲げ加工によって製造することが可能となる。従って、ホルダの製造が容易である。また、第2切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の第2腕部の先端を突き合わせて接合することにより、ホルダの剛性を高めることができる。従って、可動体の強度を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記ジンバルフレーム受け部材は球体を備え、前記ジンバルフレームは、ジンバルフレーム本体部と、前記ジンバルフレーム本体部における前記第1軸方向の対角位置において前記光軸方向に延びる一対の第1延設部を備え、前記第1延設部には、前記第1軸方向に凹む凹曲面が設けられ、前記凹曲面に前記球体が点接触することが好ましい。このようにすると、一対の第1延設部をジンバルフレーム受け部材の内周側に挿入することにより第1接続機構を構成できるので、ジンバル機構を容易に組み立てることができる。
【0011】
本発明において、前記ジンバルフレーム受け部材は、前記球体が固定される板部と、前記板部の前記光軸方向の一方側の端から周方向の両側へ延びて前記一対の第1腕部に前記光軸方向の一方側から係止される一対の第1係止部と、前記板部の前記光軸方向の他方側の端から周方向の両側へ延びて前記一対の第1腕部に前記光軸方向の他方側から係止される一対の第2係止部と、を備えることが好ましい。このようにすると、ジンバルフレーム受け部材を光軸方向に位置決めできるとともに、ジンバルフレーム受け部材の脱落を防止できる。
【0012】
本発明において、前記一対の腕部の先端には、前記第1切欠き部の周方向の中央へ向かって延びる一対の屈曲部が設けられ、前記ジンバルフレーム受け部材は、前記一対の屈曲部に内周側から当接することが好ましい。このようにすると、ジンバルフレーム受け部材を内周側に配置できるので、可動体の対角方向のサイズを小さくできる。
【0013】
本発明において、前記光学モジュールは、前記胴部の内側に配置される支持体と、レンズを備える移動体と、前記支持体に対して前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記レンズは、前記光軸方向の一方側から見て前記端板部に設けられた開口部の内側に位置し、前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することが好ましい。このようにすると、落下等による衝撃が加わった際に、外装ケースから移動体が脱落して光学モジュールが破損することを避けることができる。
【0014】
本発明において、前記胴部は、前記磁石を前記光軸方向に位置決めする位置決め部を備えることが好ましい。このようにすると、磁石の位置精度を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記固定体は、前記可動体を前記光軸方向の他方側から覆うベースを備え、前記胴部の前記光軸方向の他方側の端部は、前記光学モジュールの前記光軸方向の他方側の端部よりも前記他方側へ延びるストッパ部を備えることが好ましい。このようにすると、落下等による衝撃が加わった際に、光学モジュールがベースに衝突することを避けることができる。
【0016】
本発明において、前記可動体から外周側へ引き出される引き出し部を備えるフレキシブルプリント基板、および、前記フレキシブルプリント基板に固定される補強板を備え、前記ホルダは、前記胴部に対して外周側から対向するとともに周方向に離間した一対の係止板と、前記引き出し部に対して光軸方向に離間した位置において前記胴部から外周側へ延びる押さえ板と、を備え、前記補強板は、周方向の両側に延びた両端部が前記一対の係止板に内周側から当接することにより、前記光軸方向に立ち上がる姿勢で保持され、前記フレキシブルプリント基板は、前記補強板に沿って前記光軸方向に延びてから前記押さえ板に沿って外周側へ折り曲げられていることが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板を可動体から引き出した位置から押さえ板の位置まで光軸方向に立ち上げることができ、フレキシブルプリント基板を適正な位置まで立ち上げてから外周側へ引き出すことができる。また、補強板を係止板の内周側に挿入するだけで係止板に当接させて光軸方向に延びる姿勢に位置決めできるので、フレキシブルプリント基板を適正な位置から引き出す作業が容易である。
【0017】
この場合に、前記ホルダは、前記胴部を光軸方向に切り欠いた切欠き部と、前記切欠き部の周方向の両側において前記胴部の前記光軸方向の端から外周側へ屈曲した一対の接続部を備え、前記一対の係止板のそれぞれは、前記接続部の先端から前記光軸方向に延びている構成とすることができる。このようにすると、胴部の光軸方向の縁から延ばした延出部を光軸方向に折り返すことによって係止板を設けることができる。
【0018】
あるいは、前記胴部は、前記可動体の側面を構成する側板を備え、前記側板を前記光軸方向に切り欠いた切欠き部が設けられ、前記ホルダは、前記側板の周方向の両側の縁から外周側へ屈曲した一対の接続部を備え、前記一対の係止板のそれぞれは、前記接続部の先端から前記側板の周方向の中央へ向かって周方向に延びている構成とすることができる。このようにすると、側板の周方向の縁から延ばした延出部を周方向に折り返すことによって係止板を設けることができる。
【0019】
また、前記押さえ板は、前記胴部から外周側へ延びる延出部の中央に設けられ、前記一対の係止板は、前記押さえ板の周方向の両側において、前記延出部の先端から前記光軸方向に延びている構成とすることができる。例えば、胴部を切り欠いて外周側へ屈曲させた切り起こし部を延出部とし、延出部の先端に押さえ板および一対の係止板を設けることができる。
【0020】
本発明において、前記押さえ板の前記光軸方向の位置は、前記可動体から前記フレキシブルプリント基板が引き出される引き出し位置よりも前記可動体の揺動中心に近いことが好ましい。このようにすると、可動体が揺動する際、フレキシブルプリント基板は、揺動中心に近い位置で撓む。これにより、フレキシブルプリント基板のばね定数を小さくすることができるので、可動体の揺動負荷を小さくすることができる。
【0021】
本発明において、前記係止板および前記補強板は、少なくとも表面が導電性の金属からなり、前記補強板は、前記フレキシブルプリント基板に半田付けされており、前記フレキシブルプリント基板に設けられたGND配線が前記補強板および前記係止板を介して前記可動体に電気的に接続されることが好ましい。このようにすると、フレキシブルプリント基板を引きまわす作業により、同時にフレキシブルプリント基板のGNDが可動体に電気的に接続される。従って、組立工数を削減できる。
【0022】
次に、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、前記可動体は、前記光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダを備え、前記光学モジュールは、支持体と、レンズを備える移動体と、前記支持体に対して前記移動体を前記光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、を備え、前記ホルダは、前記支持体の外周側を囲む胴部と、前記胴部の前記光軸方向の一方側の端から内周側へ延びる端板部と、を備え、前記胴部の外周面に前記振れ補正用駆動機構の磁石またはコイルが固定され、前記レンズは、前記光軸方向の一方側から見て前記端板部に設けられた開口部の内側に位置し、前記開口部の縁は、前記移動体に対して前記光軸方向に対向して前記移動体が前記開口部から飛び出すことを規制することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、振れ補正機能付き光学ユニットの光学モジュールは、レンズを備える移動体を光軸方向に移動させるレンズ駆動機構を備えている。光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダは、光軸方向の一方側の端に端板部が設けられており、端板部に設けられた開口部の縁は、移動体がホルダから飛び出すことを規制する位置規制部として機能している。従って、落下等による衝撃が加わった際に、外装ケースから移動体が脱落して光学モジュールが破損することを避けることができる。また、従来のように外装ケースとホルダの2部材を重ねていた部分を1部材で構成できるので、部品点数を削減できるとともに、可動体の外形を小さくできる。また、金属製のホルダは、強度を確保しつつ、板厚を小さくできるので、可動体の外形をより小さくできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光学モジュールの外装ケースを兼ねる金属製のホルダの第1軸方向の対角部に第1切欠き部が設けられ、第1切欠き部の周方向の両側の縁から延びる一対の腕部にジンバルフレーム受け部材が保持される。ジンバルフレーム受け部材は、ジンバルフレームを第1軸回りに回転可能に支持しており、ジンバル機構の第1接続機構を構成する。このようにすると、従来のように外装ケースとホルダの2部材を重ねていた部分を1部材で構成できるので、部品点数を削減できるとともに、可動体の外形を小さくできる。また、金属製のホルダは、強度を確保しつつ、板厚を小さくできるので、可動体の外形をより小さくできる。さらに、ホルダの対角部を端板部まで大きく切り欠いているので、ジンバルフレーム受け部材を内周側に配置できる。従って、可動体の対角方向のサイズを小さくできる。よって、振れ補正機能付き光学ユニットの外形を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1の振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図3】振れ補正機能付き光学ユニットをXY平面で切断した断面図である。
【
図4】振れ補正機能付き光学ユニットをXZ平面で切断した断面図である。
【
図8】ホルダと第1ジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である。
【
図9】フレキシブルプリント基板の保持構造の変形例1を示す斜視図である。
【
図10】フレキシブルプリント基板の保持構造の変形例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0027】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。
図3は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXY平面で切断した断面図であり、可動体5の揺動中心Pの高さで切断した断面図である。
図4は、振れ補正機能付き光学ユニット1をXZ平面で切断した断面図であり、光軸Lの位置で切断した断面図である。
【0028】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子が搭載された基板3を備えた光学モジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、光学モジュール4の傾きを補正する。
【0029】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4が備えるレンズ2の光軸Lと直交する第1軸R1(
図2、
図3参照)回りに光学モジュール4を回転させるとともに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに光学モジュール4を回転させて振れ補正を行う。本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0030】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は光軸Lと一致する。X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0031】
また、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とし、Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とし、Z軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とする。X軸方向は第1方向であり、Y軸方向は第2方向である。Z軸方向は、光軸Lに沿った光軸方向である。+Z方向は、光軸方向の一方側であり、光学モジュール4の被写体側である。-Z方向は、光軸方向の他方側であり、光学モジュール4の像側である。また、第
1軸R1に沿う方向を第1軸方向、第2軸R2に沿う方向を第2軸方向とする。
【0032】
図1-
図4に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、ジンバル機構7と、ジンバル機構7を介して可動体5を支持する固定体8と、可動体5を揺動させる振れ補正用駆動機構6と、フレキシブルプリント基板9、10を備える。フレキシブルプリント基板9は可動体5に接続される。振れ補正用駆動機構6への給電用のフレキシブルプリント基板10は、固定体8に固定される。
【0033】
ジンバル機構7は、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに揺動可能に支持する揺動支持機構である。可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのピッチ方向、および、Y軸回りのヨー方向に回転可能である。
【0034】
振れ補正用駆動機構6は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用駆動機構6Xと、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用駆動機構6Yを備える。
図4に示すように、本形態では、第1振れ補正用駆動機構6Xは、可動体5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用駆動機構6Yは、可動体5の-X方向に配置される。
【0035】
(可動体)
図2に示すように、可動体5は、光学モジュール4と、光学モジュール4を保持する金属製のホルダ11を備える。ホルダ11は、光学モジュール4の外周側を囲む胴部12と、胴部12の+Z方向の端から内周側へ延びる端板部13を備えており、光学モジュール4の外装ケースを兼ねている。光学モジュール4は、端板部13に設けられた開口部13aから+Z方向に突出する鏡筒14を備えており、鏡筒14にレンズ2が保持される。
図4に示すように、光学モジュール4の-Z方向の端部には、基板3が配置される。フレキシブルプリント基板9は、撮像素子が搭載される基板3に接続され、光学モジュール4の-Z方向の端部から+X方向に引き出される。
【0036】
図3に示すように、可動体5の-Y方向の側面には、第1磁石61Xが配置される。また、可動体5の-X方向の側面には、第2磁石61Yが配置される。第1磁石61Xおよび第2磁石61Yは、Z軸方向に分極着磁されている。第1磁石61Xおよび第2磁石61Yは、ホルダ11の胴部12に固定される。
【0037】
(固定体)
図2、
図4に示すように、固定体8は、可動体5の外周側を囲むケース20と、ケース20に-Z方向から固定されるベース21と、ケース20に+Z方向から被さるカバー22を備える。ケース20は樹脂製であり、ベース21およびカバー22は金属製である。ケース20は、ベース21とカバー22との間に収容される。
図1、
図4に示すように、可動体5およびジンバル機構7の一部は、カバー22の開口部22aから+Z方向に突出している。
【0038】
ケース20は、可動体5を囲む枠部23と、枠部23から+X方向に延びる配線収容部24を備える。枠部23は、可動体5の+X方向においてY軸方向に延びる第1側壁25を備える。
図4に示すように、第1側壁25に設けられた切欠き部26から+X方向に引き出されたフレキシブルプリント基板9は、ベース21と配線収容部24との間に収容され、配線収容部24から-Y方向に引き出されている(
図1参照)。
【0039】
図3に示すように、枠部23の-Y方向の側面には、第1コイル62Xが配置される。また、枠部23の-X方向の側面には、第2コイル62Yが配置される。
図2に示すよう
に、第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、枠部23に設けられたコイル配置穴27、28に配置される。第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、周方向に長い長円形の空芯コイルである。第1コイル62Xおよび第2コイル62Yは、フレキシブルプリント基板10に電気的に接続される。フレキシブルプリント基板10は、枠部23の-X方向の側面および-Y方向の側面に沿って引き回されている。
【0040】
(ジンバル機構)
図2、
図3に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、第1接続機構71と、第2接続機構72を備える。第1接続機構71は、可動体5の第1軸方向の対角位置において、ジンバルフレーム70と可動体5とを第1軸R1回りに回転可能に接続する。第2接続機構72は、固定体8における枠部23の第2軸方向の対角位置において、ジンバルフレーム70とケース20とを第2軸R2回りに回転可能に接続する。ジンバル機構7が構成されると、可動体5は、光軸L、第1軸R1、および第2軸R2が交差する交点である揺動中心P(
図3、
図4参照)を中心に揺動可能となる。
【0041】
ジンバルフレーム70は、金属製の板バネからなる。
図2に示すように、ジンバルフレーム70は、光学モジュール4の鏡筒14が配置される開口部73を備えたジンバルフレーム本体部74と、ジンバルフレーム本体部74から第1軸方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第1延設部75と、ジンバルフレーム本体部74から第2軸方向の両側に向かって突出して-Z方向に延びる一対の第2延設部76とを備える。
【0042】
第1接続機構71および第2接続機構72は、ジンバルフレーム70に点接触するジンバルフレーム受け部材として、第1ジンバルフレーム受け部材77および第2ジンバルフレーム受け部材78を備える。第1接続機構71は、可動体5の第1軸方向の対角部分に固定される一対の第1ジンバルフレーム受け部材77と、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第1延設部75によって構成される。各第1ジンバルフレーム受け部材77は球体79を備える。一方、各第1延設部75の先端には、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面を備える。
図3に示すように、各第1ジンバルフレーム受け部材77と光学モジュール4との隙間にそれぞれ第1延設部75を挿入して、第1軸R1上において第1延設部75の凹曲面と球体79とを点接触させることにより、第1接続機構71が構成される。
【0043】
第2接続機構72は、枠部23の第2軸方向の対角部分に固定される一対の第2ジンバルフレーム受け部材78と、ジンバルフレーム70に設けられた一対の第2延設部76によって構成される。各第2ジンバルフレーム受け部材78は球体80を備える。一方、各第2延設部76は、それぞれ、径方向内側へ凹む凹曲面を備えている。各第2ジンバルフレーム受け部材78と枠部23との隙間に第2延設部76を挿入して、第2軸R2上において第2延設部76の凹曲面と球体80とを点接触させることにより、第2接続機構72が構成される。
【0044】
(振れ補正用駆動機構)
ジンバル機構7が構成されると、可動体5の-Y方向の側面に固定された第1磁石61Xとケース20に固定された第1コイル62XとがY軸方向に対向し、第1振れ補正用駆動機構6Xを構成する(
図3参照)。従って、第1コイル62Xへの給電により、可動体5は、X軸回りに回転する。また、可動体5の-X方向の側面に固定された第2磁石61Yとケース20に固定された第2コイル62YとがX軸方向に対向し、第2振れ補正用駆動機構6Yを構成する(
図3参照)。従って、第2コイル62Yへの給電により、可動体5はY軸回りに回転する。振れ補正用駆動機構6は、第1振れ補正用駆動機構6Xによる可動体5のX軸回りの回転と、第2振れ補正用駆動機構6Yによる可動体5のY軸回りの回転とを合成して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0045】
(光学モジュール)
図5は、可動体5の斜視図である。
図6は、可動体5の分解斜視図である。
図3、
図4、
図6に示すように、光学モジュール4は、ホルダ11の内側に固定される支持体15と、レンズ2および鏡筒14を備える移動体16と、移動体16を支持体15に対して光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17を備える。支持体15の-Z方向の端部には、基板3が配置される。
図4、
図5に示すように、ホルダ11の端板部13に設けられた開口部13aの内周縁は、移動体16の外周部分と光軸方向に対向する。従って、端板部13における開口部13aの内周縁は、移動体16が開口部13aから+Z方向に飛び出すことを規制する位置規制部として機能している。
【0046】
レンズ駆動機構17は磁気駆動機構である。
図4、
図6に示すように、レンズ駆動機構17は、移動体16の+X方向の側面に配置される磁石171と、支持体15に配置されるコイル172を備える。支持体15の+X方向の側面には、コイル172に接続される基板173が配置される。磁石171には、コイル172とは反対側にヨーク174が重ねられている。磁石171およびコイル172は、Y軸方向に延びており、X軸方向に対向する。磁石171は、Z軸方向に分極着磁される。
【0047】
本形態では、光学モジュール4を保持するホルダ11は、非磁性の金属からなる。例えば、SUS305、SUS304などのオーステナイト系ステンレスからなる。従って、レンズ駆動機構17の磁石171がホルダ11に吸着されることを避けることができる。第1磁石61Xおよび第2磁石61Yは、図示しないヨークを介してホルダ11の胴部12に固定される。
【0048】
レンズ駆動機構17は、光学モジュール4の光軸Lに対して+X方向に配置される。一方、振れ補正用駆動機構6は、可動体5の-X方向の側面および-Y方向の側面に配置されており、光軸Lに対して-X方向およびY方向に配置される。従って、レンズ駆動機構17と振れ補正用駆動機構6は、光軸Lに対して異なる側に配置される。これにより、振れ補正用駆動機構6の磁石のレンズ駆動機構17に対する磁気干渉が抑制される。
【0049】
図4、
図6に示すように、光学モジュール4の外周面は、支持体15によって構成される。光学モジュール4は、第1軸方向および第2軸方向の対角部分が面取りされており、Z軸方向から見て8角形である。光学モジュール4の外周面は、X軸方向(第1方向)に対向する第1側面41および第3側面43と、Y軸方向(第2方向)に対向する第2側面42および第4側面44を備える。第1側面41は-X方向を向いており、第2側面42は-Y方向を向いており、第3側面43は+X方向を向いており、第4側面44は+Y方向を向いている。また、光学モジュール4の外周面は、第1軸方向に対向する第5側面45および第6側面46と、第2軸方向に対向する第7側面47および第8側面48を備える。第5側面45は、第1側面41と第2側面42との間に位置する。第6側面46は、第3側面43と第4側面44の間に位置する。
【0050】
光学モジュール4の外周面において、+X方向を向く第3側面43は-Z方向に大きく切り欠かれており、ここにレンズ駆動機構17の基板173が配置される。また、-X方向を向く第1側面41、-Y方向を向く第2側面42、および+Y方向を向く第4側面44の中央には爪部49が形成されている。各爪部49がホルダ11の胴部12に設けられた係止孔50に係止されることにより、ホルダ11が支持体15から外れることが規制される。各爪部49は、-Z方向に向かうに従って各側面からの突出寸法が増大する形状をしており、-Z方向の端部が最も突出寸法が大きい。従って、ホルダ11の胴部12の内側に-Z方向から光学モジュール4を挿入する際、爪部49の表面に沿って胴部12を外周側へ撓ませながら挿入することができる。
【0051】
(ホルダ)
図7(a)は、ホルダ11を+Y方向から見た斜視図であり、
図7(b)は、ホルダ11を-Y方向から見た斜視図である。
図8は、ホルダ11と第1ジンバルフレーム受け部材77の分解斜視図である。ホルダ11は、金属板の曲げ加工により製造される。ホルダ11の胴部12は、-X方向を向く第1側板31、-Y方向を向く第2側板32、+X方向を向く第3側板33、および、+Y方向を向く第4側板34を備える。第1側板31、第2側板32、第3側板33、および第4側板34の+Z方向の端は端板部13に接続される。第1側板31、第2側板32、および第4側板34の中央には、矩形の係止孔50が1か所ずつ設けられている。
【0052】
ホルダ11の第1軸方向の両側の対角位置には、一対の第1切欠き部51、52が設けられている。第1切欠き部51、52は、胴部12の-Z方向の端から端板部13の外周部分まで光軸方向に大きく切り欠かれている。第1切欠き部51、52の周方向の両側の縁からは、一対の第1腕部35が第1軸方向に略平行に外周側へ延びている。
【0053】
ホルダ11の第1軸方向の両側の対角位置には、一対の第1腕部35に保持される第1ジンバルフレーム受け部材77が配置される。各第1腕部35の先端には、第1切欠き部51、52の周方向の中央へ向かって屈曲する屈曲部36が設けられている。第1ジンバルフレーム受け部材77は、光軸方向の中央部分が一対の第1腕部35の間に挿入されており、一対の屈曲部36に内周側から当接する。
【0054】
図8に示すように、第1ジンバルフレーム受け部材77は、Z軸方向に帯びる板部81と、板部81の+Z方向の端から周方向の両側へ延びる一対の第1係止部82と、板部81の-Z方向の端から周方向の両側へ延びる一対の第2係止部83を備える。また、第1ジンバルフレーム受け部材77は、第1係止部82と第2係止部83の間において、板部81の周方向の両側の端から第1軸方向に略平行に延びる一対の曲げ部84を備える。板部81の中央を貫通する穴85には、球体79が固定される。第2係止部83および曲げ部84は、板部81から内周側へ曲げられており、球体79は、板部81に対して内周側に配置される。
【0055】
第1ジンバルフレーム受け部材77をホルダ11の第1軸方向の対角位置に固定する際は、以下の手順で行う。まず、-Z方向の端部に設けられた一対の第2係止部83を一対の曲げ部84と同じ角度まで折り曲げておき、ホルダ11に設けられた一対の第1腕部35の間に+Z方向から第1ジンバルフレーム受け部材77を挿入する。各第1係止部82がそれぞれ第1腕部35に+Z方向から当たるまで第1ジンバルフレーム受け部材77を挿入してから、一対の第2係止部83を周方向の両側へ開くと、一対の第2係止部83が一対の第1腕部35に-Z方向から係止される。しかる後に、第1腕部35の先端に設けられた屈曲部36に板部81を内周側から当接させ、溶接または接着剤により板部81を屈曲部36に固定する。
【0056】
ホルダ11の第2軸方向の両側の対角位置には、一対の第2切欠き部53、54が設けられている。第2切欠き部53、54は、胴部12の-Z方向の端から端板部13の外周部分まで光軸方向に大きく切り欠かれている。第2切欠き部53、54の周方向の両側の縁からは、一対の第2腕部37が延びている。各第2腕部37の先端には、第2軸R2に対して直交する方向に曲げられた屈曲部38が設けられており、屈曲部38の先端同士が突き合わされて接合されている。
【0057】
図7(b)に示すように、ホルダ11の第1側板31および第2側板32は、それぞれ、振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)を光軸方向に位置決めする位置決め部39を備える。位置決め部39は、第1側板31および第2側板32の
-Z方向の端部の中央部分を外周側に曲げた曲げ部である。また、第1側板31および第2側板32は、それぞれ、振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)を周方向に位置決めする位置決め部40を備える。第1側板31の位置決め部40は、第1側板31の+Y方向の端部を外周側に曲げた曲げ部である。第2側板32の位置決め部40は、第2側板32の+X方向の端部を外周側に曲げた曲げ部である。
【0058】
ホルダ11は、胴部12の-Z方向の端部を光学モジュール4の-Z方向の端部よりも-Z方向へ延ばしたストッパ部18を備える。ストッパ部18は、第4側板34のX軸方向の両端の2箇所に設けられている。ストッパ部は、光学モジュール4を-Z方向から覆うベース21と対向する。
【0059】
ホルダ11の第3側板33は、Y軸方向の中央部分を+Z方向に切り欠いた切欠き部57と、切欠き部57の周方向の両側(Y軸方向の両側)に配置される一対の係止板58と、切欠き部57の+Z方向の縁から+X方向に延びる押さえ板59を備える。一対の係止板58は、それぞれ、第3側板33の+X方向に位置し、第3側板33の-Z方向の端から+X方向に延びる接続部60を介して第3側板33に接続される。
【0060】
(フレキシブルプリント基板)
図2、
図4に示すように、フレキシブルプリント基板9は、光学モジュール4の底部から+X方向に引き出される引き出し部91、引き出し部91から+Z方向に立ち上がる立ち上がり部92、立ち上がり部92から+X方向へ延びる平面部93、平面部93から-Y方向へ延びて固定体8の外部へ引き出される接続部94を備える。接続部94は、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器本体に接続される。
【0061】
フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92には、Y軸方向に延びる補強板90が固定される。補強板90のY軸方向の両端部は、ホルダ11の第3側板33に設けられた切欠き部57の周方向の両側に延びている。
図5に示すように、補強板90のY軸方向の両端部をホルダ11に設けられた一対の係止板58と第3側板33との間に挿入すると、+Z方向に曲げられたフレキシブルプリント基板9が元の形状に戻ろうとする復帰力により、補強板90が係止板58に押し付けられる。これにより、補強板90および立ち上がり部92は、光軸方向に延びる姿勢に保持される。また、補強板90の+Z方向において光軸方向に延びるフレキシブルプリント基板9が押さえ板59に当たって+X方向に曲げられる。これにより、平面部93は、押さえ板59の高さに位置決めされる。
【0062】
フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92は、Y軸方向の幅が補強板90よりも広い。補強板90は、少なくとも表面が導電性の金属からなり、Y軸方向の両端部を立ち上がり部92の表面に半田付けすることにより、立ち上がり部92に固定される。補強板90を立ち上がり部92に半田付けすることにより、フレキシブルプリント基板9に設けられたGND配線と補強板90とが電気的に接続される。上記のように、補強板90はホルダ11の係止板58に押し付けられるため、補強板90を介してホルダ11とフレキシブルプリント基板9のGND配線とが電気的に接続される。従って、ホルダ11および補強板90を介して、フレキシブルプリント基板9が接地される。ホルダ11は、補強板90との接触によりフレキシブルプリント基板9との電気的な導通をとるために、少なくとも係止板58の表面には、導電性の金属が配置される。例えば、ホルダ11および補強板90は、表面にニッケルめっきなどの導電性のめっき処理がなされている。
【0063】
本形態では、フレキシブルプリント基板9において、引き出し部91から平面部93までの部分は、第1層901、第2層902、第3層903からなる3層の積層構造である(
図4参照)。なお、積層構造の層数は3に限定されるものではない。第1層901、第2層902、第3層903はいずれも両面に配線が形成される両面基板であるが、片面側
のみに配線が形成される構成であってもよい。また、各層は他の層に接着されていない非接着領域を備える。例えば、平面部93は、非接着領域である。
【0064】
フレキシブルプリント基板9は、固定体8に固定される被固定部95を備える。本形態では、平面部93と接続部94との間に、被固定部95が設けられている。被固定部95は、例えば、リジッド基板からなる。被固定部95を配線収容部24に固定することにより、フレキシブルプリント基板9が固定体8に固定される。
【0065】
図4に示すように、フレキシブルプリント基板9の平面部93は、ホルダ11の第3側板33に設けられた押さえ板59により、可動体5の揺動中心Pを通り光軸Lに対して垂直な仮想平面V上に位置決めされる。
図2に示すように、平面部93は、仮想平面V内において湾曲する面内湾曲部96を備える。面内湾曲部96は、Y軸方向に1回逆向きに折り返されている。
【0066】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、固定体8と、固定体8に対して可動体5を光学モジュール4の光軸Lと交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、可動体5を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構7と、可動体5を第1軸回りおよび第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構6と、を有する。ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、可動体5とジンバルフレーム70とを第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構71と、固定体8とジンバルフレーム70とを第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構72と、を備える。可動体5は、光学モジュール4の外装ケースを兼ねる金属製のホルダ11を備え、ホルダ11は、光学モジュール4の外周側を囲む胴部12と、胴部12の+Z方向(光軸方向の一方側)の端から内周側へ延びる端板部13と、を備え、胴部12の外周面に振れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)が固定される。ホルダ11には、第1軸方向の両側の対角位置を胴部12から端板部13まで光軸方向に切り欠いた一対の第1切欠き部51、52が設けられ、第1切欠き部51、52のそれぞれにおいて、周方向の両側の縁から延びる一対の第1腕部35に第1ジンバルフレーム受け部材77が保持される。ジンバルフレーム70が第1ジンバルフレーム受け部材77によって第1軸回りに回転可能に支持されることにより、第1接続機構71が構成されている。
【0067】
本形態では、従来には外装ケースと樹脂製のホルダの2部材を重ねていた部分を1部材のホルダ11で構成できるので、部品点数を削減できるとともに、可動体5の外形を小さくできる。また、金属製のホルダ11は、強度を確保しつつ、板厚を小さくできるので、可動体5の外形をより小さくできる。さらに、ホルダ11の対角部を端板部13まで大きく切り欠いているので、第1ジンバルフレーム受け部材77を従来よりも内周側に配置できる。従って、可動体5の対角方向のサイズを小さくすることができ、振れ補正機能付き光学ユニットの外形を小さくできる。
【0068】
本形態のホルダ11には、第2軸方向の両側の対角位置を胴部12から端板部13まで光軸方向に切り欠いた一対の第2切欠き部53、54が設けられ、第2切欠き部53、54のそれぞれにおいて、周方向の両側の縁から延びる一対の第2腕部37の先端同士が接合されている。このように、第2軸方向の対角部分を第1軸方向の対角部分と同様に端板部13まで大きく切り欠くことにより、ホルダ11を製造する際、金属板の曲げ加工によって製造することが可能となる。従って、ホルダ11の製造が容易である。また、一対の第2腕部37の先端を突き合わせて接合することにより、ホルダ11の剛性を高めることができる。従って、可動体5の強度を高めることができる。
【0069】
本形態では、第1ジンバルフレーム受け部材77の板部81固定される球体79と、ジンバルフレーム70の第1延設部75に設けられた凹曲面とが第1軸R1上において点接触することにより、第1接続機構71が構成される。第1接続機構71は、一対の第1延設部75を内周側に撓ませて第1ジンバルフレーム受け部材77と支持体15との間に挿入することによって接続できるので、ジンバル機構7の組立が容易である。また、可動体5は対角部を面取りした形状になっており、面取りした箇所に第1接続機構71が設けられているので、可動体5およびジンバル機構7の対角方向のサイズを小さくできる。
【0070】
本形態では、第1ジンバルフレーム受け部材77は、球体79が固定される板部81と、板部81の+Z方向(光軸方向の一方側)の端から周方向の両側へ延びる一対の第1係止部82と、板部81の-Z方向(光軸方向の他方側)の端から周方向の両側へ延びる一対の第2係止部83を備える。一対の第1係止部82は、一対の第1腕部35に+Z方向から係止され、一対の第2係止部83は、一対の第1腕部35に-Z方向から係止される。このような部品形状を採用すると、第1係止部82と第2係止部83のどちらかを内側に曲げることにより、第1ジンバルフレーム受け部材77を一対の第1腕部35の間に挿入し、しかる後に曲げた係止部を外側へ開くことにより、第1ジンバルフレーム受け部材77を一対の第1腕部35の間に保持させることができる。これにより、第1ジンバルフレーム受け部材77を光軸方向に容易に位置決めできる。また、第1ジンバルフレーム受け部材77の脱落を防止できる。
【0071】
なお、本形態では、第1ジンバルフレーム受け部材77の板部81に固定した球体79をジンバルフレーム70の第1延設部75に設けられた凹曲面に点接触させて第1接続機構71を構成しているが、球体79を用いる代わりに、プレス加工により、板部81に第1軸方向に突出する凸曲面を形成してもよい。また、本形態では、球体79の外周面(凸曲面)とジンバルフレーム70に設けた凹曲面とを点接触させているが、凹凸を逆にしてもよい。すなわち、板部81に設けた第1軸方向に凹む凹曲面と、第1延設部75に設けた第1軸方向に突出する凸曲面もしくは球体とを点接触させる構成としてもよい。また、第2ジンバルフレーム受け部材78においても、同様に、球体80を溶接する代わりに、プレス加工により凸曲面を設けてもよいし、第2ジンバルフレーム受け部材78と第2延設部76とが点接触する箇所の凹凸を逆にしてもよい。
【0072】
本形態では、ホルダ11の第1軸方向の対角位置において、一対の第1腕部35の先端には、第1切欠き部51もしくは第1切欠き部52の周方向の中央へ向かって延びる一対の屈曲部36が設けられており、第1ジンバルフレーム受け部材77は、一対の屈曲部36に内周側から当接する。このように、第1ジンバルフレーム受け部材77を内周側に配置することにより、可動体5の対角方向のサイズを小さくできる。また、ジンバルフレーム70の第1延設部75を内周側に撓ませてから第1ジンバルフレーム受け部材77の内側に挿入してジンバル機構7を組み立てる際、第1延設部75から押圧される第1ジンバルフレーム受け部材77を外周側から支持できる。
【0073】
本形態の光学モジュール4は、オートフォーカス機構を備えており、レンズ2を備えた移動体16を光軸方向に移動させる。すなわち、光学モジュール4は、胴部12の内側に配置される支持体15と、レンズを備える移動体16と、支持体15に対して移動体16を光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17と、を備えている。移動体16は、ホルダ11の端板部13に設けられた開口部13aと光軸方向に対向しており、開口部13aの縁は、移動体16に対して光軸方向に対向して移動体16が開口部13aから飛び出すことを規制する位置規制部として機能する。従って、落下等による衝撃が加わった際に、ホルダ11から移動体16が飛び出して光学モジュール4が壊れることを避けることができる。
【0074】
本形態では、ホルダ11の胴部12に触れ補正用駆動機構6の磁石(第1磁石61X、第2磁石61Y)が固定される。胴部12において、第1磁石61Xが固定される第1側板31、および、第2磁石61Yが固定される第2側板32は、第1磁石61X、第2磁石61Yを光軸方向に位置決めする位置決め部39を備える。従って、第1磁石61Xおよび第2磁石61Yの位置精度が高い。
【0075】
本形態では、固定体8は、可動体5を-Z方向(光軸方向の他方側)から覆うベース21を備え、胴部12の-Z方向(光軸方向の他方側)の端部は、光学モジュール4の-Z方向の端部よりも-Z方向へ延びるストッパ部18を備える。従って、落下等による衝撃が加わった際に、光学モジュール4の底部に配置される基板3が、可動体5を-Z方向から覆うベース21に衝突して破損することを回避できる。
【0076】
本形態では、可動体5から外周側(+X方向)へ引き出される引き出し部91を備えるフレキシブルプリント基板9を有し、フレキシブルプリント基板9には補強板90が固定される。ホルダ11は、胴部12に対して外周側(+X方向)から対向するとともに周方向に離間した一対の係止板58と、引き出し部91に対して+Z方向に離間した位置(光軸方向に離間した位置)において胴部12から外周側(+X方向)へ延びる押さえ板59を備える。フレキシブルプリント基板9に固定された補強板90のY軸方向の両端部は一対の係止板58に内周側から当接しており、補強板90は光軸方向に立ち上がる姿勢で保持される。従って、フレキシブルプリント基板9を補強板90と共に光軸方向に延ばした姿勢で保持できるので、フレキシブルプリント基板9を適正な位置まで立ち上げてから外周側へ引き出すことができる。また、補強板90を係止板58の内周側に挿入するだけで、フレキシブルプリント基板9の復帰力によって補強板90を係止板58に押し付けることができる。従って、フレキシブルプリント基板9を適正な位置まで立ち上げて引き出す作業が容易である。
【0077】
本形態のホルダ11は、胴部12を+Z方向に切り欠いた切欠き部57と、切欠き部57の周方向の両側において胴部12の-Z方向の端から+X方向へ屈曲した一対の接続部60を備え、一対の係止板58のそれぞれは、接続部60の先端から+X方向へ延びている。従って、胴部の光軸方向の縁から延ばした延出部を光軸方向に折り返すことによって係止板を設けることができるので、一対の係止板58を備えたホルダ11の製造が容易である。また、この場合には、切欠き部57の+Z方向の縁から+X方向に延びる切り起こし部を設けることができ、切り起こし部を押さえ板59として用いることができる。
【0078】
なお、本形態では、胴部12の-Z方向の端部が光学モジュール4の-Z方向の端部付近まで延びているため、フレキシブルプリント基板9を引き出すための引き出し口となる切欠き部57を設けているが、胴部12の光軸方向の高さを小さくした場合には、切欠き部57を設けなくてもよい。
【0079】
本形態では、押さえ板59の光軸方向の位置は、可動体5の揺動中心Pの光軸方向の位置と一致する。従って、フレキシブルプリント基板9を揺動中心Pの高さから引き出すことができるため、フレキシブルプリント基板9の平面部93が撓むとき、揺動中心Pを含む仮想平面V上で撓む。よって、フレキシブルプリント基板9のばね定数が小さいので、可動体5の揺動負荷が小さい。なお、押さえ板59の光軸方向の位置は、可動体5からフレキシブルプリント基板9が引き出される引き出し位置よりも可動体5の揺動中心Pに近い位置であればよい。このようにすると、可動体5が揺動する際、フレキシブルプリント基板9は揺動中心Pに近い位置で撓むため、ばね定数が小さく、可動体5の揺動負荷が小さい。
【0080】
本形態では、係止板58および補強板90は、表面が導電性の金属からなり、補強板9
0は、フレキシブルプリント基板9に半田付けされており、フレキシブルプリント基板9に設けられたGND配線が補強板90および係止板58を介して可動体5に電気的に接続される。従って、フレキシブルプリント基板9を引きまわす作業により、同時にフレキシブルプリント基板9のGNDが可動体5に電気的に接続されるので、組立工数を削減できる。
【0081】
(フレキシブルプリント基板の保持構造の変形例)
図9は、フレキシブルプリント基板9の保持構造の変形例1を示す斜視図である。上記形態では、補強板90をZ軸方向に延びる姿勢に保持するための構造として、第3側板33から-Z方向に延ばした延出部を+X方向に曲げてから+Z方向に折り返すことにより、第3側板33とX軸方向に対向する位置に周方向に離間した一対の係止板58を配置しているが、他の構造を採用することもできる。
【0082】
例えば、
図9に示すように、胴部12には、可動体5の+X方向の側面を構成する第3側板33を+Z方向に切り欠いた切欠き部57が設けられ、第3側板33の周方向の両側の縁から+X方向(外周側)へ屈曲した一対の接続部60Aが設けられ、一対の係止板58Aのそれぞれは、接続部60Aの先端から第3側板33のY軸方向(周方向)の中央へ向かってY軸方向に延びている構成とすることができる。このようにすると、上記形態と同様に、切欠き部57の周方向の両側に、周方向に離間した一対の係止板58Aが配置される。従って、第3側板33と係止板58Aとの間に補強板90を挿入すれば、補強板90がフレキシブルプリント基板9の復帰力によって係止板58Aに押し付けられる。よって、フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92は、光軸方向に延びる姿勢に保持される。
【0083】
図9の変形例では、押さえ板59は、上記形態と同様に、切欠き部57の+Z方向の縁から+X方向に延びる切り起こし部である。なお、押さえ板59は、他の構造により、引き出し位置から光軸方向に離間した位置(上記形態では、揺動中心Pの高さ)に設けることもできる。例えば、第3側板33において、切欠き部57のZ軸方向の高さを低くするとともに、切欠き部57の+Z方向の部位を切り起こして押さえ板59を設けることができる。
【0084】
図10は、フレキシブルプリント基板9の保持構造の変形例2を示す斜視図である。
図10に示す形態では、押さえ板59Bは、胴部12から+X方向(外周側)へ延びる延出部60Bの中央に設けられ、一対の係止板58Bは、押さえ板59の周方向の両側において、延出部60Bの先端から-Z方向に屈曲して延びている。
図10の形態では、胴部12には、上記形態よりも幅が広い切欠き部57Bが設けられている。延出部60B、押さえ板59B、および係止板58Bは、切欠き部57Bの+Z方向の縁から延びる切り起こし部である。このようにすると、上記形態と同様に、押さえ板59Bの周方向の両側に、周方向に離間した一対の係止板58が配置される。従って、第3側板33と係止板58Bとの間に補強板90の端部を挿入すれば、補強板90が係止板58Bに押し付けられる。よって、フレキシブルプリント基板9の立ち上がり部92は、光軸方向に延びる姿勢に保持される。
【0085】
なお、上記形態では、補強板90を介してフレキシブルプリント基板9のGNDをホルダ11と電気的に接続する構成であるが、他の経路でフレキシブルプリント基板9のGNDを可動体5または固定体8に接続するように構成してもよい。この場合は、補強板90は金属製でなくてもよい。また、ホルダ11の表面に導電性のめっき処理を行っていなくてもよい。
【0086】
(他の実施形態)
(1)上記形態は、光学モジュール4がレンズ駆動機構17を備えており、レンズ位置を調節可能なオートフォーカス機能を備えているものであったが、本発明は、レンズ駆動機構17を備えていない光学モジュールを備える振れ補正機能付き光学ユニットに適用可能である。この場合は、レンズ駆動機構17との磁気干渉が発生しないため、ホルダ11を磁性金属からなるものとすることができる。例えば、SUS430などのフェライト系ステンレス、SPCC(冷間圧延鋼板)などが用いられる。ホルダ11が磁性金属であれば、振れ補正用駆動機構6の磁石に対するヨークとして機能するため、別部品のヨークを用いる必要がない。従って、部品点数を削減できる。また、レンズ駆動機構17として磁気駆動機構でなく他のアクチュエータ用いる場合も同様に、ホルダ11を磁性金属からなるものとすることができる。
【0087】
(2)上記形態は、ホルダ11における胴部12の外周面に振れ補正用駆動機構6の第1磁石61Xおよび第2磁石61Yが固定されるものであったが、本発明は、振れ補正用駆動機構6の磁石とコイルの配置を逆にしてもよい。すなわち、可動体5は、胴部12の外周面に第1コイル62Xおよび第2コイル62Yが固定される構成であってもよい。
【0088】
(3)上記形態は、可動体5をピッチング方向およびヨーイング方向に揺動させて2軸回りの振れ補正を行う形態であったが、本発明は、可動体5を3軸回りに揺動させる振れ補正機能付き光学ユニットに適用可能である。
【0089】
(4)次に、本発明に係る振れ補正機能付き光学ユニットは、以下の構成を備えたものとすることができる。振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を備える可動体5と、固定体8と、固定体8に対して可動体5を光学モジュール4の光軸Lと交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、可動体5を光軸Lおよび第1軸R1と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構7と、可動体5を第1軸回りおよび第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構6と、を有する。ジンバル機構7は、ジンバルフレーム70と、可動体5とジンバルフレーム70とを第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構71と、固定体8とジンバルフレーム70とを第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構72と、を備える。可動体5は、光学モジュール4の外装ケースを兼ねる金属製のホルダ11を備え、光学モジュール4は、支持体15と、レンズを備える移動体16と、支持体15に対して移動体16を光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17と、を備える。ホルダ11は、支持体15の外周側を囲む胴部12と、胴部12の+Z方向(光軸方向の一方側)の端から内周側へ延びる端板部13と、を備え、胴部12の外周面に振れ補正用駆動機構6の磁石またはコイルが固定される。レンズは、+Z方向(光軸方向の一方側)から見て端板部13に設けられた開口部13aの内側に位置し、開口部13aの縁は、移動体16に対して光軸方向に対向して移動体16が開口部13aから飛び出すことを規制する。
【0090】
上記構成によれば、振れ補正機能付き光学ユニットの光学モジュール4は、レンズを備える移動体16を光軸方向に移動させるレンズ駆動機構17を備えている。光学モジュール4の外装ケースを兼ねる金属製のホルダ11は、+Z方向(光軸方向の一方側)の端に端板部13が設けられており、端板部13に設けられた開口部13aの縁は、移動体16がホルダ11から飛び出すことを規制する位置規制部として機能している。従って、落下等による衝撃が加わった際に、外装ケースから移動体16が脱落して光学モジュール4が破損することを避けることができる。また、従来のように外装ケースとホルダ11の2部材を重ねていた部分を1部材で構成できるので、部品点数を削減できるとともに、可動体5の外形を小さくできる。また、金属製のホルダ11は、強度を確保しつつ、板厚を小さくできるので、可動体5の外形をより小さくできる。この場合は、第1接続機構71として、上記形態とは異なる構成を採用してもよい。金属製のホルダ11の対角部分を大きく切り欠いて第1ジンバルフレーム受け部材77を保持させるための第1腕部35を設ける
構成としなくてもよい。例えば、ホルダ11の外周面に球体を備えたジンバルフレーム受け部材を溶接により固定する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…基板、4…光学モジュール、5…可動体、6…振れ補正用駆動機構、6X…第1振れ補正用駆動機構、6Y…第2振れ補正用駆動機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9、10…フレキシブルプリント基板、11…ホルダ、12…胴部、13…端板部、13a…開口部、14…鏡筒、15…支持体、16…移動体、17…レンズ駆動機構、18…ストッパ部、20…ケース、21…ベース、22…カバー、22a…開口部、23…枠部、24…配線収容部、25…側壁、26…切欠き部、27、28…コイル配置穴、31…第1側板、32…第2側板、33…第3側板、34…第4側板、35…第1腕部、36…屈曲部、37…第2腕部、38…屈曲部、39、40…位置決め部、41…第1側面、42…第2側面、43…第3側面、44…第4側面、45…第5側面、46…第6側面、47…第7側面、48…第8側面、49…爪部、50…係止孔、51、52…第1切欠き部、53、54…第2切欠き部、57、57B…切欠き部、58、58A、58B…係止板、59、59B…押さえ板、60、60A…接続部、60B…延出部、61X…第1磁石、61Y…第2磁石、62X…第1コイル、62Y…第2コイル、70…ジンバルフレーム、71…第1接続機構、72…第2接続機構、73…開口部、74…ジンバルフレーム本体部、75…第1延設部、76…第2延設部、77…第1ジンバルフレーム受け部材、78…第2ジンバルフレーム受け部材、79、80…球体、81…板部、82…第1係止部、83…第2係止部、84…曲げ部、85…穴、90…補強板、91…引き出し部、92…立ち上がり部、93…平面部、94…接続部、95…被固定部、96…面内湾曲部、171…磁石、172…コイル、173…基板、174…ヨーク、901…第1層、902…第2層、903…第3層、L…光軸、P…可動体の揺動中心、R1…第1軸、R2…第2軸、V…仮想平面