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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096214
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】搬送装置および部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
H05K13/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211799
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中西 智昭
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353HH52
5E353HH55
5E353HH56
5E353QQ07
5E353QQ22
(57)【要約】
【課題】安価な構成でワークを安定的に搬送することができる搬送装置およびこの搬送装置を備えた部品搭載装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ワークとしての部品収納体を搬送する搬送手段55と、搬送手段55によって搬送される部品収納体が既定の経路で進行するように部品収納体をガイドするガイド手段56とを有して搬送装置57が構成される。ガイド手段56は、部品収納体41の下面を支持する下面ガイド部材61と、部品収納体41の一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備え、下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62とは、相互に別個の部材から成っている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記ワークが既定の経路で進行するように前記ワークをガイドするガイド手段と、を有し、
前記ガイド手段は、
前記ワークの下面を支持する下面ガイド部材と、
前記ワークの一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材と、を備え、
前記下面ガイド部材と前記一対の側面ガイド部材とは相互に別個の部材から成る、搬送装置。
【請求項2】
前記下面ガイド部材は前記一対の側面ガイド部材の間に設けられる、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記一対の側面ガイド部材における前記ワークの入口側の端部それぞれに、前記ワークの入口から入る前記ワークの搬送方向に向かって内面同士の間隔が狭まる形状の第1の横方向テーパ面が設けられた、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記下面ガイド部材の前記ワークの入口側の端部に、前記ワークの入口から前記ワークの搬送方向に向かって上面の高さが上昇する形状の上下方向テーパ面が設けられた、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記一対の側面ガイド部材の前記ワークの入口側とは反対側の端部に、前記ワークの入口から入る前記ワークの搬送方向とは反対の方向に向かって外面同士の間隔が広がる形状の第2の横方向テーパ面が設けられた、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ワークの端部に被係合部が設けられており、前記搬送手段は前記被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で移動させることで前記ワークを搬送する、請求項1~5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
部品が収納されたワークと、前記ワークを収納したワーク収納体を格納する格納部と、前記格納部に格納されたワーク収納体から前記ワークを引き出して部品供給位置に位置させる引出し部と、前記引出し部によって前記部品供給位置に位置された前記ワークから部品をピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、を有する部品搭載装置であって、
前記格納部に格納されたワーク収納体とは異なるワーク収納体をストックするストッカと、
前記ストッカにストックされたワーク収納体と前記格納部に格納されたワーク収納体との間で前記ワークを搬送する請求項1~6のいずれかに記載の搬送装置と、を備えた部品搭載装置。
【請求項8】
部品を供給する部品供給部と、
ワークを搬送する請求項1~6のいずれかに記載の搬送装置と、
前記部品供給部により供給された部品をピックアップし、前記搬送装置によって搬送されて位置決めされた基板に対して部品を搭載する搭載ヘッドと、を備えた部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送されるワークが既定の経路で進行するようにワークをガイドするガイド手段を備えた搬送装置および搬送装置を備えた部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を搭載して実装基板を製造する部品搭載装置は、部品供給部から供給される部品を搭載ヘッドによりピックアップして基板に搭載する構成となっている。部品供給部には種々の形態のものがあり、その一種としてトレイフィーダが知られている。トレイフィーダは部品を収納した皿状の部品収納体をワークとして保持するワーク収納体としてのマガジンと、マガジンからワークを引き出して部品供給位置に位置させる引出し部を備えている。
【0003】
このようなトレイフィーダにおいて、引出し部はマガジンに対して移動自在なテーブル上に設けられており、マガジン内に保持されたワークの被係合部に係合部を係合させてマガジンから引き出す工程を経てワークを部品供給位置に位置させるようになっている。このときワークが既定の経路で進行するようにするために、テーブル上にはワークの側面と下面をガイドする一対のガイドレールが設けられている(例えば、下記の特許文献1)。このようにワークの引出しをガイドするための一対のガイドレールは、トレイフィーダの場合に限らず、ワークの下面を支持する下面ガイド部とワークの一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部とを有する。これら下面ガイド部と側面ガイド部は1つの部材に設けられて断面L字状に形成されることが多い。
【0004】
下面ガイド部と側面ガイド部には通常、ワークの入口においてワークを誘い込むためのテーパ面が形成される。側面ガイド部に形成されるテーパ面はワークの入口からワークの搬送方向に向かって内面同士の間隔が狭まる形状の横方向テーパ面となり、下面ガイド部に形成されるテーパ面はワークの入口からワークの搬送方向に向かって上面の高さが上昇する形状の上下方向テーパ面となる。これら横方向テーパ面の長さ(テーパ面の始端から終端までの長さ)と上下方向テーパ面の長さは必ずしも同じである必要はなく、むしろ最適な長さは両者の間で異なっているのが普通であるが、現状では工作性の容易さから両テーパ面の長さは一方(通常長い方)に統一される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-307291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように横方向テーパ面の長さと上下方向テーパ面の長さが一方に統一されると不都合が生じる場合がある。例えば、上下方向テーパ面の長さが横方向テーパ面の長さに合わせられて最適値よりも長くなると、ワークの入口から引き入れるワークの先頭部の下面が下面ガイド部のテーパ面(上下方向テーパ面)に着地するまでの距離が長くなってワークの先端部に垂れが生じ、ワークの先頭部が下面ガイド部に接触したときにワークに大きな衝撃が作用するなど、ワークを安定的に搬送することが難しくなるおそれがある。このような不都合を解消するには、1つの部材に形成される横方向テーパ面と上下方向テーパ面をそれぞれ最適長さに形成すればよいが、そうすると加工が複雑になってコスト高になるという新たな問題が生じてしまう。
【0007】
そこで本発明は、安価な構成でワークを安定的に搬送することができる搬送装置およびこの搬送装置を備えた部品搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の搬送装置は、ワークを搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記ワークが既定の経路で進行するように前記ワークをガイドするガイド手段と、を有し、前記ガイド手段は、前記ワークの下面を支持する下面ガイド部材と、前記ワークの一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材と、を備え、前記下面ガイド部材と前記一対の側面ガイド部材とは相互に別個の部材から成る。
【0009】
本発明の部品搭載装置は、部品が収納されたワークと、前記ワークを収納したワーク収納体を格納する格納部と、前記格納部に格納されたワーク収納体から前記ワークを引き出して部品供給位置に位置させる引出し部と、前記引出し部によって前記部品供給位置に位置された前記ワークから部品をピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、を有する部品搭載装置であって、前記格納部に格納されたワーク収納体とは異なるワーク収納体をストックするストッカと、前記ストッカにストックされたワーク収納体と前記格納部に格納されたワーク収納体との間で前記ワークを搬送する上記本発明の搬送装置と、を備えた。
【0010】
もうひとつの本発明の部品搭載装置は、部品を供給する部品供給部と、ワークを搬送する上記本発明の搬送装置と、前記部品供給部により供給された部品をピックアップし、前記搬送装置によって搬送されて位置決めされた基板に対して部品を搭載する搭載ヘッドと、を備えた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価な構成でワークを安定的に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1における部品搭載装置の平面図
図2】本発明の実施の形態1における部品搭載装置の側面図
図3】本発明の実施の形態1における部品供給部の平面図
図4】本発明の実施の形態1における部品供給部が備えるトレイフィーダの引出しテーブルおよび引出し部の構成を示す平面図
図5】本発明の実施の形態1における部品搭載装置が備える部品供給部の背面図
図6】本発明の実施の形態1における部品供給部が備えるストッカの平面図
図7】本発明の実施の形態1における部品搭載装置の制御系統を示すブロック図
図8】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダの動作説明図
図9】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1における部品供給部が行う部品収納体の移送動作の手順を示す図
図10】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図11】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図12】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図13】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図14】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図15】本発明の実施の形態1における部品供給部の一部の平面図
図16】本発明の実施の形態1におけるストッカが備える搬送装置の(a)斜視図(b)分解斜視図
図17】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1におけるストッカ内で搬送装置により部品収納体を搬送している状態を示す搬送装置の一部の平面図
図18】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1におけるストッカ内で搬送装置により部品収納体を搬送している状態を示す搬送装置の一部の側面図
図19】本発明の実施の形態1におけるストッカが備える搬送装置の(a)分解斜視図(b)斜視図
図20】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるストッカが備える搬送装置の分解斜視図
図21】(a)(b)(c)本発明の実施の形態2における部品搭載装置の構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1および図2は本発明の実施の形態1における部品搭載装置1を示している。部品搭載装置1は、基板KBを水平方向に送って位置決めし、その基板KBに部品BHを搭載して実装基板を製造する装置である。以下、基板KBの送り方向をX方向とし、X方向と直交する水平方向をY方向とする。上下方向はZ方向とする。また、Y方向のうち作業者OPから見た部品搭載装置1の奥側を前方とし、作業者OPから見た部品搭載装置1の手前側を後方とする。
【0014】
図1において、部品搭載装置1は、搭載装置本体部2と部品供給部3を備えている。搭載装置本体部2は基台11上にコンベア12を備えており、コンベア12によって基板KBをX方向に送り、基板KBの搬入、位置決めおよび搬出を行う。部品供給部3は、基台11におけるコンベア12の手前側の部品供給部設置領域11Sに設置されている。
【0015】
図1において、基台11上にはヘッド移動機構13が設けられている。ヘッド移動機構13は例えばXYテーブルから成り、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる。搭載ヘッド14は下方に延びたノズル14Nを備えている。搭載ヘッド14はノズル14Nの下端に真空吸着力を作用させて、部品供給部3が供給する部品BHを吸着してピックアップし、コンベア12によって位置決めされた基板KBに搭載する。
【0016】
部品供給部3について説明する。部品供給部3はトレイフィーダ3Tとストッカ3Sから成る。ストッカ3Sはトレイフィーダ3Tの手前側に設置されている。図2および図3に示すように、トレイフィーダ3Tは、筐体21、マガジン格納部22、引出しテーブル23および引出しテーブル昇降機構24を備えている。筐体21は基台11の後方に設置されている。マガジン格納部22は筐体21内に設けられている。
【0017】
図2および図3において、引出しテーブル23はマガジン格納部22の前方に位置している。引出しテーブル23上には、第1係合ロッド25Rと、第1係合ロッド25Rを移動させる第1係合ロッド駆動部25Kから成る引出し部25が設けられている(図3および図4)。第1係合ロッド駆動部25Kは第1係合ロッド25Rを引出しテーブル23上でY方向に移動させる(図4中に示す矢印A)。
【0018】
図3および図4において、引出しテーブル23上には一対のガイドレール23Gが設けられている。一対のガイドレール23GはそれぞれY方向に延びており、第1係合ロッド25Rを挟んでX方向に対向して配置されている。
【0019】
図2において、引出しテーブル昇降機構24は、筐体21内をZ方向に延びたボール螺子24Bを備えている。ボール螺子24Bは筐体21内に設けられた第1昇降モータ24Mに駆動されると、Z方向に延びた軸(Z軸)まわりに回転する。
【0020】
図2および図3において、引出しテーブル23の後部にはナット部23Nが設けられている。ボール螺子24Bは引出しテーブル23のナット部23Nに螺合している。このため第1昇降モータ24Mが作動してボール螺子24Bが回転すると、引出しテーブル23が昇降する(図2中に示す矢印B)。
【0021】
図2において、マガジン格納部22の内部には複数のマガジン格納棚31が上下方向に並んで設けられている(図5も参照)。マガジン格納部22の前方には格納部第1開口32が設けられており、マガジン格納部22の後方には格納部第2開口33が設けられている。各マガジン格納棚31は格納部第1開口32と格納部第2開口33の双方に通じている。
【0022】
各マガジン格納棚31にはマガジン40が格納されている。マガジン40内には上下方向に複数のスロットが設けられており、部品収納体41はスロットごとに1つ収納されている。
【0023】
図1および図3において、部品収納体41はトレイ42とパレット43を備えている。トレイ42はマトリクス状に形成された複数のポケットのそれぞれに部品BHを収納している。パレット43は長方形の皿形状を有しており、上面にトレイ42が固定される。
【0024】
図3において、パレット43の対向する一対の長辺のうちの一方側には第1被係合ブロック44がその辺に沿った方向に対向して設けられており、パレット43の対向する一対の長辺のうちの他方には第2被係合ブロック45がその辺に沿った方向に対向して設けられている。ここではパレット43の向きが明確になるように、第2被係合ブロック45同士の間の間隔は、第1被係合ブロック44同士の間の間隔よりも狭くなるように配置されている。部品収納体41は、マガジン格納部22のマガジン40内では、第1被係合ブロック44を前方(引出しテーブル23側)に向け、第2被係合ブロック45を後方(ストッカ3S側に)に向けた姿勢で収納されている。
【0025】
ストッカ3Sについて説明する。図2図3および図5において、ストッカ3Sはストック部51、搬送テーブル52、搬送テーブル昇降機構53およびテーブル旋回機構54を備えている。搬送テーブル52はストック部51の右方に設けられており、トレイフィーダ3Tが備えるマガジン格納部22の後方に位置している(図3)。
【0026】
図5および図6において、搬送テーブル52上には、搬送手段55とガイド手段56が設けられている。搬送手段55は、第2係合ロッド55Rと、第2係合ロッド55Rを水平方向に移動させる第2係合ロッド駆動部55Kとから成り、部品収納体41を水平方向に搬送する。ガイド手段56は互いに平行に延びた一対のガイド部56Gを備えており、搬送手段55によって搬送される部品収納体41が既定の経路で進行するように部品収納体41をガイドする。搬送テーブル52、搬送手段55およびガイド手段56は、実施の形態1における搬送装置57を構成している(図6)。
【0027】
図2および図5において、ストック部51の内部には複数のマガジン載置棚51Tが上下方向に複数並んで備えている。各マガジン載置棚51Tにはマガジン40がひとつずつ載置されている。
【0028】
図6において、マガジン載置棚51Tに載置されたマガジン40内の部品収納体41は、第2被係合ブロック45を搬送テーブル52の方向(すなわち右方)に向け、第1被係合ブロック44を搬送テーブル52とは反対側の方向(すなわち左方)を向けた姿勢となっている。ストック部51にストックされているマガジン40の右側の開口は、マガジン載置棚51Tに載置されたマガジン40に対して部品収納体41を出し入れするための開口部51Kとなっている(図6)。
【0029】
図2および図5において、搬送テーブル52はストック部51の右方に位置している。搬送テーブル52は平面視において長方形形状を有しており、短辺の延びる方向が部品収納体41の搬送方向となっている。以下、説明の便宜上、搬送テーブル52に関し、部品収納体41の搬送方向と直交する水平方向(長辺の延びる方向)を「左右方向」と称する。
【0030】
図3および図6において、第2係合ロッド55Rは搬送テーブル52の左右方向に延びた形状を有している。第2係合ロッド駆動部55Kは第2係合ロッド55Rを搬送テーブル52上で搬送方向に移動させる。
【0031】
搬送手段55は、第2係合ロッド55Rを移動させることによって、ストック部51内のマガジン40から部品収納体41を引き出して(搬送して)その部品収納体41をマガジン格納部22内のマガジン40に挿入する移送動作を行う。また搬送手段55は、マガジン格納部22内のマガジン40から部品収納体41を引き出してその部品収納体41をストック部51内のマガジン40に挿入する移送動作を行う。
【0032】
図6において、左右のガイド部56Gが延びる方向の2つの端部のうち一方は部品収納体41の出入口(「収納体出入口56D」と称する)となっている。第2係合ロッド駆動部55Kは、部品収納体41を搬送テーブル52上に搬送する(引き入れる)ときには、先ず、第2係合ロッド55Rを搬送テーブル52上の位置から収納体出入口56Dを通って搬送テーブル52の外部に向かう方向(以下、「外向き」と称する)に移動させる。そして、部品収納体41が備える一対の第2被係合ブロック45に第2係合ロッド55Rを係合させた後、第2係合ロッド55Rを、収納体出入口56Dを通って搬送テーブル52上の位置に戻る方向(以下、「内向き」と称する)に移動させる。
【0033】
このように本実施の形態では、部品収納体41の端部に被係合部としての第2被係合ブロック45が設けられており、搬送手段55は第2被係合ブロック45に係合可能な係合部としての第2係合ロッド55Rを有し、その第2係合ロッド55Rを第2被係合ブロック45に係合させた状態で移動させることで部品収納体41を搬送するようになっている。
【0034】
図5において、搬送テーブル昇降機構53は、Z方向に延びた昇降用ボール螺子53Bを備えている。昇降用ボール螺子53Bは第2昇降モータ53Mに駆動されてZ軸回りに回転する。
【0035】
図2および図3において、搬送テーブル52には昇降用ボール螺子53Bが螺合している。このため第2昇降モータ53Mが作動して昇降用ボール螺子53Bが回転すると、搬送テーブル52が昇降する(図5中に示す矢印C)。テーブル旋回機構54は搬送テーブル52をXY面内で旋回させる。
【0036】
図7は部品搭載装置1の制御系統を示している。部品搭載装置1が備える制御装置60はコンベア12、トレイフィーダ3T、ヘッド移動機構13および搭載ヘッド14それぞれの作動を制御する。コンベア12は制御装置60に制御されて基板KBの搬入、位置決めおよび搬出を行う。トレイフィーダ3Tは制御装置60に制御されて、マガジン40から引き出した部品収納体41を部品供給位置に位置させて搭載ヘッド14に部品BHを供給する。ヘッド移動機構13は制御装置60に制御されて搭載ヘッド14をXY面内で移動させ、搭載ヘッド14は制御装置60に制御されて、ノズル14Nの下端に部品BHを吸着させる。また制御装置60は、ストッカ3Sに設けられた第2係合ロッド駆動部55K(すなわち搬送装置57)、第2昇降モータ53Mおよびテーブル旋回機構54の作動も制御する。
【0037】
部品搭載装置1が基板KBに部品BHを搭載する部品搭載作業を行う場合には先ず、制御装置60はコンベア12を作動させて基板KBを外部から搬入し、所定の作業位置に位置決めする。そして、第1昇降モータ24Mを作動させ、引出しテーブル23を昇降させることによって、マガジン格納部22に格納されたマガジン40内の部品収納41(引き出そうとする部品収納体41)の高さよりも若干高い引出し準備位置に引出しテーブル23の上面を位置させる。
【0038】
引出しテーブル23の上面が引出し準備位置に位置したら、制御装置60は第1係合ロッド駆動部25Kを作動させて、第1係合ロッド25Rをマガジン40側に移動させる(図8(a)中に示す矢印A1)。そして、引き出そうとする部品収納体41のパレット43が備える左右の第1被係合ブロック44の上方に第1係合ロッド25Rの左右の端部が位置したら、引出しテーブル23をわずかに下降させて、第1係合ロッド25Rの両端部を左右の第1被係合ブロック44に係合させる。
【0039】
第1係合ロッド25Rの両端部が左右の第1被係合ブロック44に係合したら、制御装置60は第1係合ロッド駆動部25Kを作動させて、第1係合ロッド25Rを前方に移動させる(図8(b)中に示す矢印A2)。これにより部品収納体41がマガジン40から引き出され、引出しテーブル23上に位置した状態となる(図8(b))。
【0040】
ここで、部品収納体41が引出しテーブル23上に引き出されるとき、部品収納体41(直接的にはパレット43)は下面と左右の端部が左右のガイドレール23Gによってガイドされる。このため部品収納体41は既定の経路(ここでは第1係合ロッド駆動部25Kによる第1係合ロッド25Rの移動方向)で引出しテーブル23上を進行する。
【0041】
部品収納体41が引出しテーブル23上に位置決めされたら、第1昇降モータ24Mを作動させて引出しテーブル23を上昇させ、部品収納体41を部品供給位置に位置させる(図2)。これにより搭載ヘッド14は部品収納体41から部品BHをピックアップすることが可能となる。
【0042】
制御装置60は、部品収納体41を部品供給位置に位置させたら、ヘッド移動機構13を作動させて、搭載ヘッド14をトレイフィーダ3Tとコンベア12によって作業位置に位置決めされた基板KBとの間で移動させ、トレイフィーダ3Tが供給する部品BHをノズル14Nに吸着(ピックアップ)させて、基板KBに搭載させる動作を繰り返し実行する。これにより搭載すべき全ての部品BHが基板KBに搭載されたら、制御装置60はコンベア12を作動させて、基板KBを外部に搬出する。
【0043】
このような部品搭載作業を行う部品搭載装置1において、本実施の形態におけるストッカ3Sは、前述したように、搬送手段55により第2係合ロッド55Rを移動させることで、ストッカ3S(ストック部51)内のマガジン40からトレイフィーダ3T(マガジン格納部22)内のマガジン40に部品収納体41を移送する移送動作と、トレイフィーダ3Tのマガジン40からストッカ3S内のマガジン40に移送する移送動作を行う。これによりトレイフィーダ3Tへの部品収納体41の補充と、部品供給に使用しない部品収納体41のトレイフィーダ3Tからストッカ3Sへの移し替えとを行うことができる。以下にこのようなストッカ3Sによる部品収納体41の移送動作を説明する。
【0044】
ストッカ3S(ストック部51)内のマガジン40からトレイフィーダ3T(マガジン格納部22)内のマガジン40に部品収納体41を移送する場合には、制御装置60は先ず、移送対象としている部品収納体41をストッカ3Sのマガジン40内から搬送テーブル52上に引き出した(搬送した)うえで(図9(a))、部品収納体41をXY面内で90度回転させ(図9(b))、その引き出した部品収納体41をマガジン格納部22の格納部第2開口33を通じてトレイフィーダ3Tのマガジン40内に挿入する(図9(c))。
【0045】
この移動動作では、制御装置60は先ず、テーブル旋回機構54を作動させて搬送テーブル52を旋回させることによって、収納体出入口56Dをストック部51の開口部51Kに正対させる(図10)。そして、第2昇降モータ53Mにより搬送テーブル52を昇降させることによって、引き出そうとする部品収納体41が収納されているマガジン40内のスロットの高さよりも若干高い引出し準備位置に搬送テーブル52の上面を位置させる。
【0046】
搬送テーブル52の上面が引出し準備位置に位置したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを外向き(ストック部51内のマガジン40側)に移動させる(図11中に示す矢印D1)。そして、引き出そうとする部品収納体41のパレット43が備える左右の第2被係合ブロック45の上方に第2係合ロッド55Rの左右の端部が位置したら、搬送テーブル52をわずかに下降させて、第2係合ロッド55Rの両端部を左右の第2被係合ブロック45に係合させる。
【0047】
第2係合ロッド55Rの両端部が左右の第2被係合ブロック45に係合したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを内向き(搬送テーブル52側)に移動させる(図12中に示す矢印D2)。これにより部品収納体41(直接的にはパレット43)がストック部51内のマガジン40から引き出され、部品収納体41が搬送テーブル52上に位置した状態となる(図12)。
【0048】
ここで、部品収納体41が搬送テーブル52上に引き出されるとき、部品収納体41(直接的にはパレット43)は下面と左右の端部が左右のガイド部56Gによってガイドされる。このため部品収納体41は既定の経路(ここでは第2係合ロッド駆動部55Kによる第2係合ロッド55Rの移動方向)で搬送テーブル52上を進行する。
【0049】
上記のようにしてストッカ3S内のマガジン40から搬送テーブル52上に部品収納体41が引き出されたら、制御装置60はテーブル旋回機構54を作動させて搬送テーブル52を90度旋回させ(図13中に示す矢印R)、収納体出入口56Dをマガジン格納部22の格納部第2開口33に正対させる(図13)。そして、第2昇降モータ53Mにより搬送テーブル52を昇降させることによって、部品収納体41を挿入しようとしているマガジン40内のスロットの高さに搬送テーブル52の上面を位置させる。
【0050】
部品収納体41を挿入しようとするスロットの高さに搬送テーブル52の上面が位置したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを外向き(マガジン格納部22内のマガジン40側)に移動させる(図14中に示す矢印D3)。これにより部品収納体41がマガジン格納部22のマガジン40のスロット内に挿入される(図14)。
【0051】
部品収納体41がスロットに挿入されたら、搬送テーブル52をわずかに上昇させることによって、第2係合ロッド55Rの両端部を左右の第2被係合ブロック45から離脱させる。第2係合ロッド55Rの両端部が左右の第2被係合ブロック45から離脱したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを内向き(搬送テーブル52側)に移動させる(図15。図中に示す矢印D4。図9(c))。これによりストック部51内のマガジン40からマガジン格納部22内のマガジン40への部品収納体41の移送動作が終了する。
【0052】
一方、トレイフィーダ3T(マガジン格納部22)のマガジン40内からストッカ3S(ストック部51)のマガジン40内に部品収納体41を移送する場合には、制御装置60は先ず、テーブル旋回機構54を作動させて搬送テーブル52を旋回させることによって、収納体出入口56Dをマガジン格納部22の格納部第2開口33に正対させる(図15)。そして、第2昇降モータ53Mにより搬送テーブル52を昇降させることによって、引き出そうとする部品収納体41が収納されているスロットの高さよりも若干高い引出し準備位置に搬送テーブル52の上面を位置させる。
【0053】
搬送テーブル52の上面が引出し準備位置に位置したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを外向き(マガジン格納部22内のマガジン40側)に移動させる(図14)。そして、引き出そうとする部品収納体41のパレット43が備える左右の第2被係合ブロック45の上方に第2係合ロッド55Rの左右の端部が位置したら、搬送テーブル52をわずかに下降させることによって、第2係合ロッド55Rの両端部を左右の第2被係合ブロック45に係合させる。
【0054】
第2係合ロッド55Rの両端部が左右の第2被係合ブロック45に係合したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させることによって、第2係合ロッド55Rを内向き(搬送テーブル52側)に移動させる。これにより部品収納体41(直接的にはパレット43)がマガジン格納部22内のマガジン40から引き出され、搬送テーブル52上に位置した状態となる(図13)。ここでも部品収納体41が搬送テーブル52上に引き出されるとき、部品収納体41(直接的にはパレット43)は左右の端部が左右のガイド部56Gによってガイドされる。
【0055】
上記のようにしてマガジン格納部22内のマガジン40から搬送テーブル52上に部品収納体41が引き出されたら、制御装置60はテーブル旋回機構54を作動させて搬送テーブル52を90度旋回させ、収納体出入口56Dをストック部51の開口部51Kに正対させる(図12)。そして、第2昇降モータ53Mにより搬送テーブル52を昇降させることによって、部品収納体41を挿入しようとするマガジン40内のスロットの高さに搬送テーブル52の上面を位置させる。
【0056】
部品収納体41を挿入しようとするスロットの高さに搬送テーブル52の上面が位置したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを外向き(マガジン格納部22内のマガジン40側)に移動させる(図11)。これにより部品収納体41がストック部51のマガジン40のスロット内に挿入される。
【0057】
部品収納体41がスロットに挿入されたら、搬送テーブル52をわずかに上昇させることによって、第2係合ロッド55Rの両端部を左右の第2被係合ブロック45から離脱させる。第2係合ロッド55Rの両端部が左右の第2被係合ブロック45から離脱したら、制御装置60は第2係合ロッド駆動部55Kを作動させて、第2係合ロッド55Rを内向き(搬送テーブル52側)に移動させる(図10)。これによりマガジン格納部22内のマガジン40からストック部51内のマガジン40への部品収納体41の移送動作が終了する。
【0058】
このような構成の部品搭載装置1では、搬送テーブル52に設けられたガイド手段56の構成に特徴があり、以下にその説明を行う。
【0059】
図16(a),(b)において、ガイド手段56を構成する左右のガイド部56Gはそれぞれ、下面ガイド部材61と側面ガイド部材62から成っている。下面ガイド部材61は、搬送手段55によって搬送される部品収納体41の下面をガイドする部材であり、側面ガイド部材62は、搬送手段55によって搬送される部品収納体41の側面をガイドする部材である。
【0060】
左側の下面ガイド部材61と左側の側面ガイド部材62は互いに別個の部材から成っており、両者は近接または接触して配置される。また、右側の下面ガイド部材61と右側の側面ガイド部材62は互いに別個の部材から成っており、両者は近接または接触して配置される。
【0061】
このように本実施の形態においてガイド手段56は、部品収納体41の下面を支持する左右一対の下面ガイド部材61と、部品収納体41の左右一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備え、一対の下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62とが相互に別個の部材から成った構成となっている。
【0062】
図16(a),(b)において、左右の下面ガイド部材61と左右の側面ガイド部材62は相互に平行に延びている。左右の側面ガイド部材62は搬送テーブル52上に、第2係合ロッド55Rを挟む位置に対向して設けられている。左右の下面ガイド部材61は搬送テーブル52上に、左右の側面ガイド部材62の間に対向して設けられている。
【0063】
図16(a),(b)において、左右の側面ガイド部材62それぞれの収納体出入口56D側の端部の内面側には、第1の横方向テーパ面62Pが設けられている。第1の横方向テーパ面62Pは、収納体出入口56Dから部品収納体41の内向きの搬送方向(図16(a)中に示す矢印E)に向かって内面同士の間隔が狭まる形状を有している。
【0064】
左右の下面ガイド部材61それぞれの収納体出入口56D側の端部の上面側には、上下方向テーパ面61Pが設けられている。上下方向テーパ面61Pは、収納体出入口56Dから部品収納体41の搬送方向(内向きの方向)に向かって上面の高さが上昇する形状を有している。
【0065】
図16(a),(b)において、左右一対の側面ガイド部材62それぞれの収納体出入口56D側とは反対側の端部の外面側には、第2の横方向テーパ面62Qが設けられている。第2の横方向テーパ面62Qは、収納体出入口56Dとは反対側の端部から部品収納体41の搬送方向とは反対の方向(外向きの方向。図16(a)中に示す矢印Eと反対の方向)に向かって外面同士の間隔が広がる形状を有している。
【0066】
このように本実施の形態における搬送装置57は、一対の側面ガイド部材62におけるワーク(ここでは部品収納体41)の入口である収納体出入口56D側の端部それぞれに、収納体出入口56Dから入る部品収納体41の搬送方向(すなわち内向きの方向)に向かって内面同士の間隔が狭まる形状の第1の横方向テーパ面62Pが設けられた構成となっている。また、搬送装置57は、一対の側面ガイド部材62の収納体出入口56D側とは反対側の端部に、収納体出入口56Dから入る部品収納体41の搬送方向とは反対の方向(すなわち外向きの方向)に向かって外面同士の間隔が広がる形状の第2の横方向テーパ面62Qが設けられた構成となっている。
【0067】
搬送手段55によってマガジン40(ストック部51内のマガジン40またはマガジン格納部22内のマガジン40)から部品収納体41が搬送テーブル52側に引き寄せられると、部品収納体41の先頭部41Tの左右の端部が左右の側面ガイド部材62に形成された一対の第1の横方向テーパ面62Pによってガイドされ(図17(a)→図17(b)→図17(c))、また部品収納体41の先頭部41Tの下面が左右の下面ガイド部材61に形成された一対の上下方向テーパ面61Pによってガイドされることによって(図18(a)→図18(b)→図18(c))、搬送テーブル52上に移動する。このため部品収納体41はスムーズに搬送テーブル52上に位置する。
【0068】
搬送装置57では、上下方向テーパ面61Pの始端から終端までの長さである上下方向テーパ面長さL1(図16(a)、図17(a)および図18(a))と、第1の横方向テーパ面62Pの始端から終端までの長さである横方向テーパ面長さL2(図16(a)、図17(a)および図18(a))は同じであるとは限らない。実施の形態1では、図16(a),(b)、図17(a),(b),(c)および図18(a),(b),(c)に示すように、上下方向テーパ面長さL1は横方向テーパ面長さL2よりも短くなっている。なお、第2の横方向テーパ面62Qの長さは、第1の横方向テーパ面62Pの長さと同じ横方向テーパ面長さL2である(図16(a))。
【0069】
このように、実施の形態1における部品搭載装置1の部品供給部3が備える搬送装置57は、ワークとしての部品収納体41を搬送する搬送手段55と、搬送手段55によって搬送される部品収納体41が既定の経路で進行するように部品収納体41をガイドするガイド手段56を有しており、ベース部としての搬送テーブル52に設けられている。そして、ガイド手段56は、部品収納体41の下面を支持する下面ガイド部材61と、部品収納体41の一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備えている。
【0070】
ここで、上下方向テーパ面長さL1と横方向テーパ面長さL2は、部品収納体41が左右のガイド部56Gの間にスムーズに搬送される(引き込まれる)ように、部品収納体41の寸法や厚さ方向の剛性等に応じて、それぞれが最適値に設定されている。実施の形態1では、上述したように、上下方向テーパ面長さL1が横方向テーパ面長さL2よりも短くなっている。
【0071】
このため実施の形態1では、部品収納体41の先頭部41Tの左右の側面については、緩い傾斜のテーパ面(第1の横方向テーパ面62P)で徐々に左右の側面ガイド部材62の内面に沿わせるようにしつつ(図17(a)→図17(b)→図17(c))、部品収納体41の先頭部41Tの下面については、急傾斜の上下方向テーパ面61Pにできるだけ早く当接するようにすることができる。これにより下面ガイド部材61に乗り移る前に生じ得る先頭部41Tの垂れΔ(図18(b))を小さくすることができ、部品収納体41が上下方向テーパ面61Pから下面ガイド部材61の上面にスムーズに乗り移らせることが可能となるので、部品収納体41を安定的に搬送することができる。
【0072】
このように、下面ガイド部材61に形成されるテーパ面の長さ(上下方向テーパ面長さL1)と側面ガイド部材62に形成されるテーパ面の長さ(横方向テーパ面長さL2)はそれぞれ独立して最適値に設定されることが、部品収納体41を安定的に搬送するうえでは好ましい。実施の形態1では、下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62は相互に別個の部材から成っているため、従来のように、1つのガイド部材に上下方向テーパ面61Pと第1の横方向テーパ面62Pの双方を作り込むよりも工作性が遥かに容易であり、ガイド手段56を安価に作製することができる。
【0073】
ところで、前述したように、第2の横方向テーパ面62Qは収納体出入口56D側とは反対側の端部に、収納体出入口56Dとから入る部品収納体41の搬送方向とは反対の方向に向かって外面同士の間隔が広がる形状に設けられている。このため、左右の側面ガイド部材62それぞれを搬送テーブル52から取り外し、XY面内で180度回転させてから搬送テーブル52に再度取り付けることで(図19(a)→図19(b))、第1の横方向テーパ面62Pと第2の横方向テーパ面62Qの位置を入れ替えることができる。
【0074】
第1の横方向テーパ面62Pと第2の横方向テーパ面62Qの位置を入れ替えることで、第2の横方向テーパ面62Qを部品収納体41のガイドのための新たなテーパ面として使用することができる。このため、使用により第1の横方向テーパ面62Pが摩耗した場合、側面ガイド部材62を新たなものと部品交換をすることなく、部品交換した場合と同様の効果を得ることができる。これは、下面ガイド部材61と側面ガイド部材62とが相互に別個の部材として構成されることにより得られる効果である。
【0075】
また、左右の側面ガイド部材62をそれぞれ上下反対にしたうえで左右を入れ替えて搬送テーブル52に装着しなおすと(図20(a)→図20(b))、左右の側面ガイド部材62の間で、第1の横方向テーパ面62Pの上半分の領域(暗色で示した領域)と下半分の領域(明色で示した領域)とを入れ替えることができる。このため、使用により第1の横方向テーパ面62Pのうち上半分の領域または下半分の領域が局所的に摩耗した場合、側面ガイド部材62を新たなものと部品交換することなく、部品交換した場合と同様の効果を得ることができる。これも、下面ガイド部材61と側面ガイド部材62とが相互に別個の部材として構成されることにより得られる効果である。
【0076】
このように実施の形態1における部品搭載装置1は、部品BHが収納されたワークとしての部品収納体41と、部品収納体41を収納したワーク収納体としてのマガジン40を格納するマガジン格納部22(収納体格納部)と、マガジン格納部22に格納されたマガジン40から部品収納体41を引き出して部品供給位置に位置させる引出し部25と、引出し部25によって部品供給位置に位置された部品収納体41から部品BHをピックアップして基板KBに搭載する搭載ヘッド14とを備え、マガジン格納部22に格納されたマガジン40とは異なるマガジン40をストックするストッカ3Sと、ストッカ3Sにストックされたマガジン40とマガジン格納部22に格納されたマガジン40との間で部品収納体41を搬送する搬送装置57とを備えた構成となっている。
【0077】
そして、搬送装置57は、ワークとしての部品収納体41を搬送する搬送手段55と、搬送手段55によって搬送される部品収納体41が既定の経路で進行するように部品収納体41をガイドするガイド手段56を有し、ガイド手段56が、部品収納体41の下面を支持する下面ガイド部材61と、部品収納体41の一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備え、下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62とは相互に別個の部材から成っている。このため容易な工作性で、下面ガイド部材61に設けられるテーパ面(上下方向テーパ面61P)の長さと側面ガイド部材62に設けられるテーパ面(第1の横方向テーパ面62P)の長さをそれぞれ最適値に設定することができ、安価な構成でありながら部品収納体41を安定的に搬送することが可能である。
【0078】
(実施の形態2)
図21(a),(b),(c)は、本発明の実施の形態2における部品搭載装置1Aを示している。実施の形態2における部品搭載装置1Aは、部品を供給する部品供給部3Aと、ワークとしての基板KBを供給する基板供給部3Bと、基板供給部3Bから供給される基板KBを搬送する搬送装置57Aと、部品供給部3Aにより供給される部品BHをピックアップして基板KBに搭載する搭載ヘッド14を備えている。
【0079】
実施の形態2では、搬送装置57Aはワークとして基板KBを搬送する点が実施の形態1の場合と異なる。搭載ヘッド14は実施の形態1の場合と同様の構成であり、搬送装置57Aによって搬送され、作業位置に位置決めされた基板KBに対して部品BHを搭載する。
【0080】
部品供給部3Aは例えば、テープフィーダやトレイフィーダから成る。搬送装置57Aは、ワークとしての基板KBを搬送する搬送手段55Aと、搬送手段55Aによって搬送される基板KBが既定の経路で進行するように基板KBをガイドするガイド手段56Aを有している(図21(a),(b))。
【0081】
図21(a)において、搬送手段55Aは、基板供給部3Bが供給する基板KBの後縁に後方から当接させる当接部材71と、当接部材71を移動させる当接部材移動部72から成る。搬送手段55Aは、基板KBの後面に当接した当接部材71を当接部材移動部72が搬送装置57Aのガイド手段56Aが延びる方向に移動させる。そして、ガイド手段56Aによって基板KBの下面および左右の側面をガイドさせることで、基板KBを既定の方向に搬送し、所定の位置に位置決めする(図21(a)→図21(b))。搭載ヘッド14は、実施の形態1の場合と同様に、部品供給部3Aが供給する部品BHをピックアップして基板KBに搭載する(図21(c))。
【0082】
実施の形態2における部品搭載装置1Aが備える搬送装置57Aのガイド手段56Aは、実施の形態1の場合と同様に、搬送テーブル52上に左右のガイド部56Gを備えている。これら左右のガイド部56Gはそれぞれ、ワーク(基板KB)の下面を支持する下面ガイド部材61と、ワークの一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備えている(図21(a))。
【0083】
下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62が相互に別個の部材から成っているのは、実施の形態1の場合と同様である。このため容易な工作性で下面ガイド部材61に設けられたテーパ面(上下方向テーパ面61P)の長さと第1の側面ガイド部材62に設けられたテーパ面(第1の横方向テーパ面62P)の長さをそれぞれ最適値に設定することができ、実施の形態1の場合と同様、安価な構成でありながら部品収納体41を安定的に搬送することができる。
【0084】
以上説明したように、実施の形態1,2における搬送装置57(およびこれを備えた部品搭載装置1)では、搬送手段55,55Aによって搬送されるワークが既定の経路で進行するようにワークをガイドするガイド手段56,56Aが、ワークの下面を支持する下面ガイド部材61と、ワークの一対の側面をガイドする一対の側面ガイド部材62とを備えており、下面ガイド部材61と一対の側面ガイド部材62は相互に別個の部材から成っている。このため容易な工作性で横方向テーパ面の長さと上下方向テーパ面の長さをそれぞれ最適値に設定することができ、安価な構成でワークを安定的に搬送することが可能である。
【0085】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、下面ガイド部材61は左右の側面ガイド部材62と同様に左右に2つ配置されていたが、下面ガイド部材61の数は2つに限られず、1つ或いは3つ以上であってもよい。また、搬送装置57は、部品搭載装置1が備える引出しテーブル23と一対のガイドレール23Gから成る構成にも応用して適用することが可能である。
【0086】
また、上述の実施の形態において、部品収納体41は、マトリクス状に形成された複数のポケットを有するトレイ42と、トレイ42が固定される皿状のパレット43から構成されていたが、部品収納体41は部品BHを収納できればよく、トレイ42は必ずしもポケットを有していなくてもよい。また、トレイ42とパレット43が一体に形成されたもの(パレット43にポケットが形成されたもの)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
安価な構成でワークを安定的に搬送することができる搬送装置およびこの搬送装置を備えた部品搭載装置を提供する。
【符号の説明】
【0088】
1,1A 部品搭載装置
2 搭載装置本体部
3,3A 部品供給部
3B 基板供給部
3T トレイフィーダ
3S ストッカ
14 搭載ヘッド
22 マガジン格納部(格納部)
23 引出しテーブル
25 引出し部
32 格納部第1開口
33 格納部第2開口
40 マガジン(ワーク収納体)
41 部品収納体(ワーク)
45 第2被係合ブロック(被係合部)
51 ストック部
52 搬送テーブル
55,55A 搬送手段
55R 第2係合ロッド(係合部)
56,56A ガイド手段
56G ガイド部
56D 収納体出入口(入口)
57,57A 搬送装置
61 下面ガイド部材
61P 上下方向テーパ面
62 側面ガイド部材
62P 第1の横方向テーパ面
62Q 第2の横方向テーパ面
L1 上下方向テーパ面長さ
L2 横方向テーパ面長さ
BH 部品
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21